通信事業特別会計法
法令番号: 法律第四十一號
公布年月日: 昭和8年4月1日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル通信事業特別會計法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和八年三月三十一日
內閣總理大臣 子爵 齋藤實
大藏大臣 高橋是淸
遞信大臣 南弘
法律第四十一號
通信事業特別會計法
第一條 通信事業ヲ經營スル爲從來ノ本事業所屬ノ土地、建物、船舶、電信電話線路、機械其ノ他ノ設備、貯藏物品竝ニ將來ノ資本勘定過剩金及本會計ノ負擔ニ屬スル公債又ハ借入金ヲ以テ資本ト爲シ其ノ歲入ヲ以テ其ノ歲出ニ充テ特別會計ヲ設置ス
本法ニ於テ通信事業トハ郵便、電信及電話ノ事業(郵便爲替、郵便貯金、年金及恩給ノ支給其ノ他國庫金ノ受入拂渡竝ニ收入印紙賣捌ノ事務ヲ含ム)竝ニ之ガ附帶業務ヲ謂フ
第二條 通信事業設備ノ擴張及改良ニ必要ナル金額ハ業務勘定過剩金竝ニ電信電話建設寄附及設備負擔金ヲ以テ之ニ充ツ但シ業務勘定過剩金竝ニ電信電話建設寄附及設備負擔金不足ノ場合ニ於テハ電信電話設備ノ擴張及改良ニ必要ナル金額ニ付公債ヲ發行シ又ハ借入ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル公債及借入金ノ總額ハ電信電話設備擴張改良及補充費ノ每年度豫算定額ヨリ電信電話設備補充費繰入金ニ相當スル金額ヲ除キタル殘額以內トス
第三條 左ニ揭グル國債ハ本會計ノ負擔トス但シ昭和五年度以降一般會計ヨリ國債整理基金特別會計ヘノ繰入金額ノ內五百萬圓ハ本會計ノ負擔ニ屬スル國債ノ償還ニ充當セラレタルモノト看做ス
一 事業公債條例ニ依リ電話擴張ノ爲從來發行シタル公債
二 電話事業公債法ニ依リ從來發行シタル公債
三 電信事業公債法ニ依リ從來發行シタル公債
四 震災善後公債法ニ依リ通信事業ノ爲從來發行シタル公債又ハ借入金及將來發行スル公債又ハ借入金
五 前條ノ規定ニ依ル公債又ハ借入金
六 前各號ニ規定スル國債ノ借換ノ爲起債シタル國債
前項ニ規定スル國債ノ償還金、利子竝ニ發行及償還ニ關スル經費ノ支出ニ必要ナル金額ハ每年度之ヲ國債整理基金特別會計ニ繰入ルベシ
第四條 本會計ハ每年度八千二百萬圓以內ニ於テ豫算ニ定ムル金額ヲ一般會計ニ納付スベシ
第五條 本會計ハ之ヲ資本勘定、用品勘定及業務勘定ニ區分ス
第六條 資本勘定ハ業務勘定過剩金繰入金、事業設備補充費繰入金、電信電話建設寄附及設備負擔金、公債募集金、借入金、所屬財產ノ賣拂代金其ノ他附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ事業設備ノ擴張費改良費補充費、國債償還金其ノ他附屬諸費ヲ以テ其ノ歲出トス
第七條 用品勘定ハ用品收入、工作收入其ノ他附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ用品費、工作費其ノ他附屬諸費ヲ以テ其ノ歲出トス
第八條 業務勘定ハ業務上ノ諸收入、預金部繰入金、預金利子其ノ他附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ業務上ノ諸費用、一般會計納付金、事業設備ノ維持修理費、事業設備補充費繰入金、國債ノ利子其ノ他附屬諸費ヲ以テ其ノ歲出トス
第九條 業務取扱數量ノ增加ニ因リ生ジタル豫算ノ不足ヲ補フ爲用品勘定及業務勘定ノ歲出ニ豫備費ヲ設クベシ
第十條 用品勘定又ハ業務勘定ニ於テ決算上生ジタル過剩ハ之ヲ資本勘定ニ繰入ルベシ
用品勘定ニ於テ決算上生ジタル不足ハ之ヲ資本勘定ニ移シ整理スベシ
第十一條 資本勘定ニ於テ決算上生ジタル過剩ハ之ヲ資本ニ組入ルベシ
資本勘定ニ於テ決算上不足ヲ生ジタルトキハ資本ヲ減額シ之ヲ整理スベシ
第十二條 政府ハ每年本會計ノ歲入歲出豫算ヲ調製シ歲入歲出ノ總豫算ト共ニ帝國議會ニ提出スベシ
第十三條 本會計ニ於テ支拂上現金ニ餘裕アルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ大藏省預金部ニ預入ルコトヲ得
第十四條 本會計ノ收入支出ニ關スル規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本法ハ昭和九年度ヨリ之ヲ施行ス
電話事業公債法及電信事業公債法ハ之ヲ廢止ス
通信事業特別會計ノ設置ニ付他ノ會計ニ關涉シ必要ナル規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル通信事業特別会計法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和八年三月三十一日
内閣総理大臣 子爵 斎藤実
大蔵大臣 高橋是清
逓信大臣 南弘
法律第四十一号
通信事業特別会計法
第一条 通信事業ヲ経営スル為従来ノ本事業所属ノ土地、建物、船舶、電信電話線路、機械其ノ他ノ設備、貯蔵物品並ニ将来ノ資本勘定過剰金及本会計ノ負担ニ属スル公債又ハ借入金ヲ以テ資本ト為シ其ノ歳入ヲ以テ其ノ歳出ニ充テ特別会計ヲ設置ス
本法ニ於テ通信事業トハ郵便、電信及電話ノ事業(郵便為替、郵便貯金、年金及恩給ノ支給其ノ他国庫金ノ受入払渡並ニ収入印紙売捌ノ事務ヲ含ム)並ニ之ガ附帯業務ヲ謂フ
第二条 通信事業設備ノ拡張及改良ニ必要ナル金額ハ業務勘定過剰金並ニ電信電話建設寄附及設備負担金ヲ以テ之ニ充ツ但シ業務勘定過剰金並ニ電信電話建設寄附及設備負担金不足ノ場合ニ於テハ電信電話設備ノ拡張及改良ニ必要ナル金額ニ付公債ヲ発行シ又ハ借入ヲ為スコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル公債及借入金ノ総額ハ電信電話設備拡張改良及補充費ノ毎年度予算定額ヨリ電信電話設備補充費繰入金ニ相当スル金額ヲ除キタル残額以内トス
第三条 左ニ掲グル国債ハ本会計ノ負担トス但シ昭和五年度以降一般会計ヨリ国債整理基金特別会計ヘノ繰入金額ノ内五百万円ハ本会計ノ負担ニ属スル国債ノ償還ニ充当セラレタルモノト看做ス
一 事業公債条例ニ依リ電話拡張ノ為従来発行シタル公債
二 電話事業公債法ニ依リ従来発行シタル公債
三 電信事業公債法ニ依リ従来発行シタル公債
四 震災善後公債法ニ依リ通信事業ノ為従来発行シタル公債又ハ借入金及将来発行スル公債又ハ借入金
五 前条ノ規定ニ依ル公債又ハ借入金
六 前各号ニ規定スル国債ノ借換ノ為起債シタル国債
前項ニ規定スル国債ノ償還金、利子並ニ発行及償還ニ関スル経費ノ支出ニ必要ナル金額ハ毎年度之ヲ国債整理基金特別会計ニ繰入ルベシ
第四条 本会計ハ毎年度八千二百万円以内ニ於テ予算ニ定ムル金額ヲ一般会計ニ納付スベシ
第五条 本会計ハ之ヲ資本勘定、用品勘定及業務勘定ニ区分ス
第六条 資本勘定ハ業務勘定過剰金繰入金、事業設備補充費繰入金、電信電話建設寄附及設備負担金、公債募集金、借入金、所属財産ノ売払代金其ノ他附属雑収入ヲ以テ其ノ歳入トシ事業設備ノ拡張費改良費補充費、国債償還金其ノ他附属諸費ヲ以テ其ノ歳出トス
第七条 用品勘定ハ用品収入、工作収入其ノ他附属雑収入ヲ以テ其ノ歳入トシ用品費、工作費其ノ他附属諸費ヲ以テ其ノ歳出トス
第八条 業務勘定ハ業務上ノ諸収入、預金部繰入金、預金利子其ノ他附属雑収入ヲ以テ其ノ歳入トシ業務上ノ諸費用、一般会計納付金、事業設備ノ維持修理費、事業設備補充費繰入金、国債ノ利子其ノ他附属諸費ヲ以テ其ノ歳出トス
第九条 業務取扱数量ノ増加ニ因リ生ジタル予算ノ不足ヲ補フ為用品勘定及業務勘定ノ歳出ニ予備費ヲ設クベシ
第十条 用品勘定又ハ業務勘定ニ於テ決算上生ジタル過剰ハ之ヲ資本勘定ニ繰入ルベシ
用品勘定ニ於テ決算上生ジタル不足ハ之ヲ資本勘定ニ移シ整理スベシ
第十一条 資本勘定ニ於テ決算上生ジタル過剰ハ之ヲ資本ニ組入ルベシ
資本勘定ニ於テ決算上不足ヲ生ジタルトキハ資本ヲ減額シ之ヲ整理スベシ
第十二条 政府ハ毎年本会計ノ歳入歳出予算ヲ調製シ歳入歳出ノ総予算ト共ニ帝国議会ニ提出スベシ
第十三条 本会計ニ於テ支払上現金ニ余裕アルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ大蔵省預金部ニ預入ルコトヲ得
第十四条 本会計ノ収入支出ニ関スル規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本法ハ昭和九年度ヨリ之ヲ施行ス
電話事業公債法及電信事業公債法ハ之ヲ廃止ス
通信事業特別会計ノ設置ニ付他ノ会計ニ関渉シ必要ナル規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム