仮置場法
法令番号: 法律第二十四號
公布年月日: 明治45年7月22日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル假置場法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十五年七月二十日
內閣總理大臣 侯爵 西園寺公望
大藏大臣 山本達雄
法律第二十四號
假置場法
第一條 假置場ハ外國貨物ヲ假ニ藏置スル所トス
假置場ヲ置クヘキ場所ハ大藏大臣之ヲ定ム
第二條 大藏大臣ハ假置場ニ藏置スヘキ貨物ノ種類ヲ制限スルコトヲ得
第三條 外國貨物ハ假置場內ニ於テ改裝仕分其ノ他ノ手入ヲ爲シ、之ニ加工シ又ハ之ヲ原料トシテ製造ヲ爲スコトヲ得物品ノ混合ハ之ヲ製造ト看做ス
加工又ハ製造ヲ爲スコトヲ得ヘキ假置場及其ノ假置場內ニ於テ加工又ハ製造ヲ爲スコトヲ得ヘキ貨物ノ種類ハ大藏大臣之ヲ定ム
第四條 前條第一項ノ改裝仕分其ノ他ノ手入、加工又ハ製造ニハ內國貨物ヲ使用シ若ハ之ヲ原料トシ又ハ之カ爲內國貨物ヲ假置場ニ藏置スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ加工又ハ製造シタル貨物ハ之ヲ外國貨物トス
外國貨物ハ包裝トシテ之ヲ使用スルコトヲ得
第五條 假置場ニ藏置シタル外國貨物ヲ輸入スルトキハ其ノ輸入稅ハ輸入ノ時ノ性質及數量ニ依リ之ヲ課ス
第六條 貨物ノ藏置期間ハ六月トス但シ特別ノ事由アル場合ニ於テハ稅關長ハ申請ニ因リ之ヲ延長スルコトヲ得
內國貨物ノ藏置期間ハ稅關長之ヲ指定ス
第七條 稅關長ハ假置場ノ取締又ハ貨物ノ整理ニ關シ必要ト認ムルトキハ貨物ノ移出ヲ命シ其ノ他必要ノ處分ヲ爲スコトヲ得
第八條 貨物カ藏置期間ヲ經過シタルトキ又ハ前條ノ規定ニ依リ貨物ノ移出ヲ命セラレタル者稅關長ノ指定期間內ニ之ヲ移出セサルトキハ稅關ハ其ノ貨物ヲ收容スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ稅關ハ其ノ費用及危險ヲ負擔セス
第九條 稅關官吏ハ假置場ニ出入スル者ノ身體及之ニ屬スル物件ニ就キ搜索ヲ爲スコトヲ得
第十條 政府ハ藏置貨物ノ損害ニ付賠償ノ責ニ任セス
第十一條 假置場ニ貨物ヲ移入セムトスル者ハ稅關ノ免許ヲ受クヘシ
第十二條 藏置貨物ハ輸入、積戾、運送若ハ保稅倉庫庫入ノ免許ヲ受ケ又ハ稅關長ノ許可ヲ受クルニ非サレハ之ヲ移出スルコトヲ得ス
第十三條 大藏大臣ハ假置場ノ私設ヲ特許スルコトヲ得
保稅倉庫法第十九條、第二十四條乃至第二十六條、第二十八條及第三十條ノ規定ハ私設假置場ニ之ヲ準用ス
第十四條 假置場私設ノ特許消滅シタルトキハ稅關長ハ其ノ旨ヲ公吿シ貨主ヲシテ指定期間內ニ藏置貨物ノ處分ヲ爲サシムヘシ
前項ノ期間內ニ貨主其ノ貨物ノ處分ヲ爲ササルトキハ稅關ハ之ヲ收容スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ稅關ハ其ノ費用及危險ヲ負擔セス
第十五條 關稅法第三條、第四十七條乃至第五十二條ノ規定ハ第八條又ハ前條第二項ノ規定ニ依リ收容シタル貨物ニ之ヲ準用ス
第十六條 第十一條若ハ第十二條ノ規定ニ違反シタル者又ハ假置場內ニ於テ貨物ニ付第三條第一項若ハ第四條第一項、第三項ニ規定セサル行爲ヲ爲シタル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第十七條 認可ヲ受ケスシテ私設假置場ノ貨物藏置規則又ハ庫敷料ヲ定メタル者ハ五十圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第十八條 第九條ノ搜索又ハ監督ノ爲行フ當該官吏ノ檢査ヲ拒ミ、之ヲ忌避シ又ハ之ニ支障ヲ加ヘタル者ハ三十圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス其ノ刑法ニ正條アルモノハ刑法ニ依ル
第十九條 假置場私設ノ特許ヲ受ケタル者又ハ輸出若ハ輸入ノ業ヲ營ム者ノ代理人又ハ使用人ニシテ其ノ業務ニ關シ第十六條又ハ第十八條ノ規定ニ違反シタルトキハ特許ヲ受ケタル者又ハ營業者ヲ處罰ス但シ特許ヲ受ケタル者若ハ營業者カ其ノ代理人又ハ使用人ノ監督ニ付相當ノ注意ヲ爲シタルコトヲ證明スル場合又ハ稅關貨物取扱人カ貨物ノ取扱ヲ爲シタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
稅關貨物取扱人ノ代理人、雇人其ノ他ノ從業者ノ行爲ハ之ヲ稅關貨物取扱人ノ行爲ト看做ス
第二十條 前條ノ場合ニ於テ特許ヲ受ケタル者、營業者又ハ稅關貨物取扱人カ未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ヲ處罰ス但シ業務ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十一條 本法ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八條第三項但書、第三十九條第二項、第四十條、第四十一條、第四十八條第二項、第六十三條及第六十六條ノ例ヲ用井ス
第二十二條 犯則事件ノ調査及處分ニ關シテハ關稅法ヲ準用ス
附 則
稅關假置場法ニ依リ稅關假置場ニ藏置シタル貨物ハ本法ニ依リ假置場ニ藏置シタルモノト看做ス
他ノ法律中稅關假置場トアルハ假置場トス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル仮置場法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十五年七月二十日
内閣総理大臣 侯爵 西園寺公望
大蔵大臣 山本達雄
法律第二十四号
仮置場法
第一条 仮置場ハ外国貨物ヲ仮ニ蔵置スル所トス
仮置場ヲ置クヘキ場所ハ大蔵大臣之ヲ定ム
第二条 大蔵大臣ハ仮置場ニ蔵置スヘキ貨物ノ種類ヲ制限スルコトヲ得
第三条 外国貨物ハ仮置場内ニ於テ改装仕分其ノ他ノ手入ヲ為シ、之ニ加工シ又ハ之ヲ原料トシテ製造ヲ為スコトヲ得物品ノ混合ハ之ヲ製造ト看做ス
加工又ハ製造ヲ為スコトヲ得ヘキ仮置場及其ノ仮置場内ニ於テ加工又ハ製造ヲ為スコトヲ得ヘキ貨物ノ種類ハ大蔵大臣之ヲ定ム
第四条 前条第一項ノ改装仕分其ノ他ノ手入、加工又ハ製造ニハ内国貨物ヲ使用シ若ハ之ヲ原料トシ又ハ之カ為内国貨物ヲ仮置場ニ蔵置スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ加工又ハ製造シタル貨物ハ之ヲ外国貨物トス
外国貨物ハ包装トシテ之ヲ使用スルコトヲ得
第五条 仮置場ニ蔵置シタル外国貨物ヲ輸入スルトキハ其ノ輸入税ハ輸入ノ時ノ性質及数量ニ依リ之ヲ課ス
第六条 貨物ノ蔵置期間ハ六月トス但シ特別ノ事由アル場合ニ於テハ税関長ハ申請ニ因リ之ヲ延長スルコトヲ得
内国貨物ノ蔵置期間ハ税関長之ヲ指定ス
第七条 税関長ハ仮置場ノ取締又ハ貨物ノ整理ニ関シ必要ト認ムルトキハ貨物ノ移出ヲ命シ其ノ他必要ノ処分ヲ為スコトヲ得
第八条 貨物カ蔵置期間ヲ経過シタルトキ又ハ前条ノ規定ニ依リ貨物ノ移出ヲ命セラレタル者税関長ノ指定期間内ニ之ヲ移出セサルトキハ税関ハ其ノ貨物ヲ収容スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ税関ハ其ノ費用及危険ヲ負担セス
第九条 税関官吏ハ仮置場ニ出入スル者ノ身体及之ニ属スル物件ニ就キ捜索ヲ為スコトヲ得
第十条 政府ハ蔵置貨物ノ損害ニ付賠償ノ責ニ任セス
第十一条 仮置場ニ貨物ヲ移入セムトスル者ハ税関ノ免許ヲ受クヘシ
第十二条 蔵置貨物ハ輸入、積戻、運送若ハ保税倉庫庫入ノ免許ヲ受ケ又ハ税関長ノ許可ヲ受クルニ非サレハ之ヲ移出スルコトヲ得ス
第十三条 大蔵大臣ハ仮置場ノ私設ヲ特許スルコトヲ得
保税倉庫法第十九条、第二十四条乃至第二十六条、第二十八条及第三十条ノ規定ハ私設仮置場ニ之ヲ準用ス
第十四条 仮置場私設ノ特許消滅シタルトキハ税関長ハ其ノ旨ヲ公告シ貨主ヲシテ指定期間内ニ蔵置貨物ノ処分ヲ為サシムヘシ
前項ノ期間内ニ貨主其ノ貨物ノ処分ヲ為ササルトキハ税関ハ之ヲ収容スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ税関ハ其ノ費用及危険ヲ負担セス
第十五条 関税法第三条、第四十七条乃至第五十二条ノ規定ハ第八条又ハ前条第二項ノ規定ニ依リ収容シタル貨物ニ之ヲ準用ス
第十六条 第十一条若ハ第十二条ノ規定ニ違反シタル者又ハ仮置場内ニ於テ貨物ニ付第三条第一項若ハ第四条第一項、第三項ニ規定セサル行為ヲ為シタル者ハ百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
第十七条 認可ヲ受ケスシテ私設仮置場ノ貨物蔵置規則又ハ庫敷料ヲ定メタル者ハ五十円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
第十八条 第九条ノ捜索又ハ監督ノ為行フ当該官吏ノ検査ヲ拒ミ、之ヲ忌避シ又ハ之ニ支障ヲ加ヘタル者ハ三十円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス其ノ刑法ニ正条アルモノハ刑法ニ依ル
第十九条 仮置場私設ノ特許ヲ受ケタル者又ハ輸出若ハ輸入ノ業ヲ営ム者ノ代理人又ハ使用人ニシテ其ノ業務ニ関シ第十六条又ハ第十八条ノ規定ニ違反シタルトキハ特許ヲ受ケタル者又ハ営業者ヲ処罰ス但シ特許ヲ受ケタル者若ハ営業者カ其ノ代理人又ハ使用人ノ監督ニ付相当ノ注意ヲ為シタルコトヲ証明スル場合又ハ税関貨物取扱人カ貨物ノ取扱ヲ為シタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
税関貨物取扱人ノ代理人、雇人其ノ他ノ従業者ノ行為ハ之ヲ税関貨物取扱人ノ行為ト看做ス
第二十条 前条ノ場合ニ於テ特許ヲ受ケタル者、営業者又ハ税関貨物取扱人カ未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ヲ処罰ス但シ業務ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十一条 本法ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八条第三項但書、第三十九条第二項、第四十条、第四十一条、第四十八条第二項、第六十三条及第六十六条ノ例ヲ用井ス
第二十二条 犯則事件ノ調査及処分ニ関シテハ関税法ヲ準用ス
附 則
税関仮置場法ニ依リ税関仮置場ニ蔵置シタル貨物ハ本法ニ依リ仮置場ニ蔵置シタルモノト看做ス
他ノ法律中税関仮置場トアルハ仮置場トス