第一條 本法施行地ニ本店、支店其ノ他ノ營業場ヲ有スル營利法人ニハ本法ニ依リ營業收益稅ヲ課ス
第二條 本法施行地ニ營業場ヲ有シ左ニ揭クル營業ヲ爲ス個人ニハ本法ニ依リ營業收益稅ヲ課ス
一 物品販賣業(動植物其ノ他普通ニ物品ト稱セサルモノノ販賣ヲ含ム)
五 物品貸付業(動植物其ノ他普通ニ物品ト稱セサルモノノ貸付ヲ含ム)
六 製造業(瓦斯電氣ノ供給、物品ノ加工修理ヲ含ム)
第四條 法人ノ純益ハ各事業年度ノ總益金ヨリ總損金ヲ控除シタル金額ニ依ル
法人カ事業年度中ニ解散シ又ハ合併ニ因リテ消滅シタル場合ニ於テハ其ノ事業年度ノ始ヨリ解散又ハ合併ニ至ル迄ノ期間ヲ以テ一事業年度ト看做ス
第五條 合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ハ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ純益ニ付營業收益稅ヲ納ムル義務アルモノトス
第六條 個人ノ純益ハ前年中ノ總收入金額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額ニ依ル但シ前年一月一日ヨリ引續キ爲シタルニ非サル營業ニ付テハ其ノ年ノ豫算ニ依リ計算ス
相續シタル營業ニ付テハ相續人カ引續キ之ヲ爲シタルモノト看做シテ其ノ純益ヲ計算ス
資本利子稅ヲ課セラルヘキ資本利子ハ之ヲ純益ニ算入セス
第七條 左ニ揭クル營業ノ純益ニハ營業收益稅ヲ課セス
七 個人ノ自己ノ收穫シタル農產物、林產物、畜產物若ハ水產物ノ販賣又ハ之ヲ原料トスル製造但シ特ニ營業場ヲ設ケテ爲ス販賣又ハ製造ヲ除ク
第八條 勅令ヲ以テ指定スル重要物產ノ製造業ヲ營ム者ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ開業ノ年及其ノ翌年ヨリ三年間其ノ營業ヨリ生スル純益ニ付營業收益稅ヲ免除ス
第九條 個人ノ純益金額四百圓ニ滿タサルトキハ營業收益稅ヲ課セス
法人カ各事業年度ニ於テ納付シタル地租額又ハ資本利子稅額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該事業年度ノ營業收益稅額ヨリ之ヲ控除ス
個人カ其ノ營業用ノ土地ニ付納付シタル地租額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ營業收益稅額ヨリ之ヲ控除ス
前二項ノ場合ニ於テ控除スヘキ地租又ハ資本利子稅ハ純益計算上之ヲ損金又ハ必要經費ニ算入セス
第十一條 納稅義務アル法人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ純益金額ヲ政府ニ申告スヘシ
第十二條 納稅義務アル個人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ每年三月十五日迄ニ純益金額ヲ政府ニ申告スヘシ
第十三條 法人ノ純益金額ハ第十一條ノ申告ニ依リ、申告ナキトキ又ハ申告ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定シ個人ノ純益金額ハ所得稅法ノ所得調査委員會ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
所得調査委員會閉會後個人ノ純益金額ノ決定ニ付脫漏アルコトヲ發見シタルトキハ其ノ決定ヲ爲スヘカリシ年ノ翌年ニ於ケル所得調査委員會ノ調査ニ依リ政府ニ於テ其ノ純益金額ヲ決定スルコトヲ得
所得調査委員會閉會後個人ノ營業ニ付納稅義務アルコトヲ申出テ又ハ純益金額ノ增加アルコトヲ申出テタルトキハ前二項ノ規定ニ拘ラス政府ニ於テ其ノ純益金額ヲ決定ス
第十四條 稅務署長ハ每年個人ノ營業ニ付納稅義務アリト認ムル者ノ純益金額ヲ調査シ其ノ調査書ヲ所得調査委員會ニ送付スヘシ
第十五條 所得稅法第五十條乃至第五十二條ノ規定ハ純益金額ノ決議及決定ニ付之ヲ準用ス
第十六條 第十三條又ハ前條ノ規定ニ依リ純益金額ヲ決定シタルトキハ政府ハ之ヲ納稅義務者ニ通知スヘシ
第十七條 納稅義務者前條ノ規定ニ依リ政府ノ通知シタル純益金額ニ對シテ異議アルトキハ通知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ不服ノ事由ヲ具シ政府ニ審査ノ請求ヲ爲スコトヲ得
前項ノ請求アリタル場合ト雖政府ハ稅金ノ徵收ヲ猶豫セス
第十八條 前條第一項ノ請求アリタルトキハ所得稅法ノ所得審査委員會ノ決議ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
所得稅法第五十二條及第六十一條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十九條 個人ノ營業ニ付納稅義務アル者純益金額二分ノ一以上減損アルトキハ政府ニ純益金額ノ更訂ノ請求ヲ爲スコトヲ得但シ翌年一月三十一日ヲ過キタルトキハ此ノ限ニ在ラス
純益金額決定後營業繼續ニ因リ純益金額ノ減損シタル場合ハ前項ノ規定ヲ適用セス
第二十條 前條第一項ノ請求アリタルトキハ政府ハ純益金額ヲ査覈シ二分ノ一以上ノ減損アルトキハ之ヲ更訂ス
第二十一條 納稅義務者第十八條ノ決定又ハ前條ノ更訂處分ニ對シ不服アルトキハ訴願又ハ行政訴訟ヲ爲スコトヲ得
第二十二條 法人ノ營業收益稅ハ事業年度每ニ之ヲ徵收ス
個人ノ營業收益稅ハ年額ヲ二分シ左ノ二期ニ於テ之ヲ徵收ス
第二十三條 第十九條第一項ノ請求アリタルトキハ政府ハ更訂處分ノ確定スルニ至ル迄稅金ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
第二十四條 個人ノ營業收益稅ハ納稅義務者ノ住所地、住所ナキトキハ主タル營業場ノ所在地ヲ以テ納稅地トス但シ第三種ノ所得ニ付所得稅ヲ納ムル者ニ在リテハ所得稅ノ納稅地ヲ以テ營業收益稅ノ納稅地トス
第二十五條 收稅官吏ハ營業ニ關スル帳簿物件ヲ檢査シ又ハ營業者ニ質問スルコトヲ得
第二十六條 政府ハ同業組合其ノ他ノ營業者ノ團體ニ對シ營業收益稅ニ關スル事項ヲ諮問スルコトヲ得
前項ノ諮問ヲ受ケタル團體ハ命令ノ定ムル所ニ依リ調書ヲ提出スヘシ
第二十七條 所得稅法第七十三條ノ二ノ規定ハ純益金額ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第二十八條 第二十五條ノ規定ニ依ル帳簿物件ノ檢査ヲ妨ケ又ハ虛僞ノ記載ヲ爲シタル帳簿ヲ提示シタル者ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十九條 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ因リ營業收益稅ヲ逋脫シタル者ハ其ノ逋脫シタル稅金ノ三倍ニ相當スル罰金又ハ科料ニ處ス但シ自首シタル者又ハ稅務署長ニ申出テタル者ハ其ノ罪ヲ問ハス
前項ノ場合ニ於テ個人ノ營業ニ付營業收益稅ヲ逋脫シタル者ノ純益金額ハ第十三條第二項ノ規定ニ拘ラス政府ニ於テ之ヲ決定シ直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス
第三十條 營業收益稅ノ調査又ハ審査ノ事務ニ從事シ又ハ從事シタル者其ノ調査又ハ審査ニ關シ知得タル祕密ヲ正當ノ事由ナクシテ漏洩シタルトキハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十一條 本法ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八條第三項但書、第三十九條第二項、第四十條、第四十一條、第四十八條第二項、第六十三條及第六十六條ノ例ヲ用ヒス但シ前條ノ罪ヲ犯シタル者ハ此ノ限ニ在ラス