営業収益税法
法令番号: 法律第十一號
公布年月日: 大正15年3月27日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル營業收益稅法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十五年三月二十七日
內閣總理大臣 若槻禮次郞
大藏大臣 濱口雄幸
法律第十一號
營業收益稅法
第一條 本法施行地ニ本店、支店其ノ他ノ營業場ヲ有スル營利法人ニハ本法ニ依リ營業收益稅ヲ課ス
第二條 本法施行地ニ營業場ヲ有シ左ニ揭クル營業ヲ爲ス個人ニハ本法ニ依リ營業收益稅ヲ課ス
一 物品販賣業(動植物其ノ他普通ニ物品ト稱セサルモノノ販賣ヲ含ム)
二 銀行業
三 無盡業
四 金錢貸付業
五 物品貸付業(動植物其ノ他普通ニ物品ト稱セサルモノノ貸付ヲ含ム)
六 製造業(瓦斯電氣ノ供給、物品ノ加工修理ヲ含ム)
七 運送業(運送取扱ヲ含ム)
八 倉庫業
九 請負業
十 印刷業
十一 出版業
十二 寫眞業
十三 席貸業
十四 旅人宿業(下宿ヲ含ミ木賃宿ヲ含マス)
十五 料理店業
十六 周旋業
十七 代理業
十八 仲立業
十九 問屋業
第三條 營業收益稅ハ營業ノ純益ニ付之ヲ賦課ス
第四條 法人ノ純益ハ各事業年度ノ總益金ヨリ總損金ヲ控除シタル金額ニ依ル
法人カ事業年度中ニ解散シ又ハ合併ニ因リテ消滅シタル場合ニ於テハ其ノ事業年度ノ始ヨリ解散又ハ合併ニ至ル迄ノ期間ヲ以テ一事業年度ト看做ス
第五條 合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ハ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ純益ニ付營業收益稅ヲ納ムル義務アルモノトス
第六條 個人ノ純益ハ前年中ノ總收入金額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額ニ依ル但シ前年一月一日ヨリ引續キ爲シタルニ非サル營業ニ付テハ其ノ年ノ豫算ニ依リ計算ス
相續シタル營業ニ付テハ相續人カ引續キ之ヲ爲シタルモノト看做シテ其ノ純益ヲ計算ス
資本利子稅ヲ課セラルヘキ資本利子ハ之ヲ純益ニ算入セス
第七條 左ニ揭クル營業ノ純益ニハ營業收益稅ヲ課セス
一 政府ノ發行スル印紙切手類ノ賣捌
二 度量衡ノ製作、修覆又ハ販賣
三 自己ノ採掘シ又ハ採取シタル鑛物ノ販賣
四 新聞紙法ニ依ル出版
五 本法施行地外ニ在ル營業場ニ於テ爲ス營業
六 法人ノ漁業又ハ演劇興業
七 個人ノ自己ノ收穫シタル農產物、林產物、畜產物若ハ水產物ノ販賣又ハ之ヲ原料トスル製造但シ特ニ營業場ヲ設ケテ爲ス販賣又ハ製造ヲ除ク
第八條 勅令ヲ以テ指定スル重要物產ノ製造業ヲ營ム者ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ開業ノ年及其ノ翌年ヨリ三年間其ノ營業ヨリ生スル純益ニ付營業收益稅ヲ免除ス
第九條 個人ノ純益金額四百圓ニ滿タサルトキハ營業收益稅ヲ課セス
第十條 營業收益稅ハ左ノ稅率ニ依リ之ヲ賦課ス
法人 百分ノ三・六
個人 百分ノ二・八
法人カ各事業年度ニ於テ納付シタル地租額又ハ資本利子稅額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該事業年度ノ營業收益稅額ヨリ之ヲ控除ス
個人カ其ノ營業用ノ土地ニ付納付シタル地租額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ營業收益稅額ヨリ之ヲ控除ス
前二項ノ場合ニ於テ控除スヘキ地租又ハ資本利子稅ハ純益計算上之ヲ損金又ハ必要經費ニ算入セス
第十一條 納稅義務アル法人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ純益金額ヲ政府ニ申告スヘシ
第十二條 納稅義務アル個人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ每年三月十五日迄ニ純益金額ヲ政府ニ申告スヘシ
第十三條 法人ノ純益金額ハ第十一條ノ申告ニ依リ、申告ナキトキ又ハ申告ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定シ個人ノ純益金額ハ所得稅法ノ所得調査委員會ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
所得調査委員會閉會後個人ノ純益金額ノ決定ニ付脫漏アルコトヲ發見シタルトキハ其ノ決定ヲ爲スヘカリシ年ノ翌年ニ於ケル所得調査委員會ノ調査ニ依リ政府ニ於テ其ノ純益金額ヲ決定スルコトヲ得
所得調査委員會閉會後個人ノ營業ニ付納稅義務アルコトヲ申出テ又ハ純益金額ノ增加アルコトヲ申出テタルトキハ前二項ノ規定ニ拘ラス政府ニ於テ其ノ純益金額ヲ決定ス
第十四條 稅務署長ハ每年個人ノ營業ニ付納稅義務アリト認ムル者ノ純益金額ヲ調査シ其ノ調査書ヲ所得調査委員會ニ送付スヘシ
前項ノ規定ハ前條第二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十五條 所得稅法第五十條乃至第五十二條ノ規定ハ純益金額ノ決議及決定ニ付之ヲ準用ス
第十六條 第十三條又ハ前條ノ規定ニ依リ純益金額ヲ決定シタルトキハ政府ハ之ヲ納稅義務者ニ通知スヘシ
第十七條 納稅義務者前條ノ規定ニ依リ政府ノ通知シタル純益金額ニ對シテ異議アルトキハ通知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ不服ノ事由ヲ具シ政府ニ審査ノ請求ヲ爲スコトヲ得
前項ノ請求アリタル場合ト雖政府ハ稅金ノ徵收ヲ猶豫セス
第十八條 前條第一項ノ請求アリタルトキハ所得稅法ノ所得審査委員會ノ決議ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
所得稅法第五十二條及第六十一條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十九條 個人ノ營業ニ付納稅義務アル者純益金額二分ノ一以上減損アルトキハ政府ニ純益金額ノ更訂ノ請求ヲ爲スコトヲ得但シ翌年一月三十一日ヲ過キタルトキハ此ノ限ニ在ラス
純益金額決定後營業繼續ニ因リ純益金額ノ減損シタル場合ハ前項ノ規定ヲ適用セス
第二十條 前條第一項ノ請求アリタルトキハ政府ハ純益金額ヲ査覈シ二分ノ一以上ノ減損アルトキハ之ヲ更訂ス
第二十一條 納稅義務者第十八條ノ決定又ハ前條ノ更訂處分ニ對シ不服アルトキハ訴願又ハ行政訴訟ヲ爲スコトヲ得
第二十二條 法人ノ營業收益稅ハ事業年度每ニ之ヲ徵收ス
個人ノ營業收益稅ハ年額ヲ二分シ左ノ二期ニ於テ之ヲ徵收ス
第一期 其ノ年八月一日ヨリ三十一日限
第二期 其ノ年十一月一日ヨリ三十日限
第二十三條 第十九條第一項ノ請求アリタルトキハ政府ハ更訂處分ノ確定スルニ至ル迄稅金ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
第二十四條 個人ノ營業收益稅ハ納稅義務者ノ住所地、住所ナキトキハ主タル營業場ノ所在地ヲ以テ納稅地トス但シ第三種ノ所得ニ付所得稅ヲ納ムル者ニ在リテハ所得稅ノ納稅地ヲ以テ營業收益稅ノ納稅地トス
第二十五條 收稅官吏ハ營業ニ關スル帳簿物件ヲ檢査シ又ハ營業者ニ質問スルコトヲ得
第二十六條 政府ハ同業組合其ノ他ノ營業者ノ團體ニ對シ營業收益稅ニ關スル事項ヲ諮問スルコトヲ得
前項ノ諮問ヲ受ケタル團體ハ命令ノ定ムル所ニ依リ調書ヲ提出スヘシ
第二十七條 所得稅法第七十三條ノ二ノ規定ハ純益金額ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第二十八條 第二十五條ノ規定ニ依ル帳簿物件ノ檢査ヲ妨ケ又ハ虛僞ノ記載ヲ爲シタル帳簿ヲ提示シタル者ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十九條 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ因リ營業收益稅ヲ逋脫シタル者ハ其ノ逋脫シタル稅金ノ三倍ニ相當スル罰金又ハ科料ニ處ス但シ自首シタル者又ハ稅務署長ニ申出テタル者ハ其ノ罪ヲ問ハス
前項ノ場合ニ於テ個人ノ營業ニ付營業收益稅ヲ逋脫シタル者ノ純益金額ハ第十三條第二項ノ規定ニ拘ラス政府ニ於テ之ヲ決定シ直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス
第三十條 營業收益稅ノ調査又ハ審査ノ事務ニ從事シ又ハ從事シタル者其ノ調査又ハ審査ニ關シ知得タル祕密ヲ正當ノ事由ナクシテ漏洩シタルトキハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十一條 本法ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八條第三項但書、第三十九條第二項、第四十條、第四十一條、第四十八條第二項、第六十三條及第六十六條ノ例ヲ用ヒス但シ前條ノ罪ヲ犯シタル者ハ此ノ限ニ在ラス
附 則
本法ハ大正十六年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
法人ノ大正十六年一月一日以後ニ終了スル事業年度ノ期間カ大正十五年ニ跨ルモノニ付テハ當該事業年度ノ純益金額ヨリ日割計算ノ方法ニ依リテ算出シタル大正十五年ニ屬スル期間ノ純益ヲ控除ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル営業収益税法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十五年三月二十七日
内閣総理大臣 若槻礼次郎
大蔵大臣 浜口雄幸
法律第十一号
営業収益税法
第一条 本法施行地ニ本店、支店其ノ他ノ営業場ヲ有スル営利法人ニハ本法ニ依リ営業収益税ヲ課ス
第二条 本法施行地ニ営業場ヲ有シ左ニ掲クル営業ヲ為ス個人ニハ本法ニ依リ営業収益税ヲ課ス
一 物品販売業(動植物其ノ他普通ニ物品ト称セサルモノノ販売ヲ含ム)
二 銀行業
三 無尽業
四 金銭貸付業
五 物品貸付業(動植物其ノ他普通ニ物品ト称セサルモノノ貸付ヲ含ム)
六 製造業(瓦斯電気ノ供給、物品ノ加工修理ヲ含ム)
七 運送業(運送取扱ヲ含ム)
八 倉庫業
九 請負業
十 印刷業
十一 出版業
十二 写真業
十三 席貸業
十四 旅人宿業(下宿ヲ含ミ木賃宿ヲ含マス)
十五 料理店業
十六 周旋業
十七 代理業
十八 仲立業
十九 問屋業
第三条 営業収益税ハ営業ノ純益ニ付之ヲ賦課ス
第四条 法人ノ純益ハ各事業年度ノ総益金ヨリ総損金ヲ控除シタル金額ニ依ル
法人カ事業年度中ニ解散シ又ハ合併ニ因リテ消滅シタル場合ニ於テハ其ノ事業年度ノ始ヨリ解散又ハ合併ニ至ル迄ノ期間ヲ以テ一事業年度ト看做ス
第五条 合併後存続スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ハ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ純益ニ付営業収益税ヲ納ムル義務アルモノトス
第六条 個人ノ純益ハ前年中ノ総収入金額ヨリ必要ノ経費ヲ控除シタル金額ニ依ル但シ前年一月一日ヨリ引続キ為シタルニ非サル営業ニ付テハ其ノ年ノ予算ニ依リ計算ス
相続シタル営業ニ付テハ相続人カ引続キ之ヲ為シタルモノト看做シテ其ノ純益ヲ計算ス
資本利子税ヲ課セラルヘキ資本利子ハ之ヲ純益ニ算入セス
第七条 左ニ掲クル営業ノ純益ニハ営業収益税ヲ課セス
一 政府ノ発行スル印紙切手類ノ売捌
二 度量衡ノ製作、修覆又ハ販売
三 自己ノ採掘シ又ハ採取シタル鉱物ノ販売
四 新聞紙法ニ依ル出版
五 本法施行地外ニ在ル営業場ニ於テ為ス営業
六 法人ノ漁業又ハ演劇興業
七 個人ノ自己ノ収穫シタル農産物、林産物、畜産物若ハ水産物ノ販売又ハ之ヲ原料トスル製造但シ特ニ営業場ヲ設ケテ為ス販売又ハ製造ヲ除ク
第八条 勅令ヲ以テ指定スル重要物産ノ製造業ヲ営ム者ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ開業ノ年及其ノ翌年ヨリ三年間其ノ営業ヨリ生スル純益ニ付営業収益税ヲ免除ス
第九条 個人ノ純益金額四百円ニ満タサルトキハ営業収益税ヲ課セス
第十条 営業収益税ハ左ノ税率ニ依リ之ヲ賦課ス
法人 百分ノ三・六
個人 百分ノ二・八
法人カ各事業年度ニ於テ納付シタル地租額又ハ資本利子税額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ当該事業年度ノ営業収益税額ヨリ之ヲ控除ス
個人カ其ノ営業用ノ土地ニ付納付シタル地租額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ営業収益税額ヨリ之ヲ控除ス
前二項ノ場合ニ於テ控除スヘキ地租又ハ資本利子税ハ純益計算上之ヲ損金又ハ必要経費ニ算入セス
第十一条 納税義務アル法人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ純益金額ヲ政府ニ申告スヘシ
第十二条 納税義務アル個人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ毎年三月十五日迄ニ純益金額ヲ政府ニ申告スヘシ
第十三条 法人ノ純益金額ハ第十一条ノ申告ニ依リ、申告ナキトキ又ハ申告ヲ不相当ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定シ個人ノ純益金額ハ所得税法ノ所得調査委員会ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
所得調査委員会閉会後個人ノ純益金額ノ決定ニ付脱漏アルコトヲ発見シタルトキハ其ノ決定ヲ為スヘカリシ年ノ翌年ニ於ケル所得調査委員会ノ調査ニ依リ政府ニ於テ其ノ純益金額ヲ決定スルコトヲ得
所得調査委員会閉会後個人ノ営業ニ付納税義務アルコトヲ申出テ又ハ純益金額ノ増加アルコトヲ申出テタルトキハ前二項ノ規定ニ拘ラス政府ニ於テ其ノ純益金額ヲ決定ス
第十四条 税務署長ハ毎年個人ノ営業ニ付納税義務アリト認ムル者ノ純益金額ヲ調査シ其ノ調査書ヲ所得調査委員会ニ送付スヘシ
前項ノ規定ハ前条第二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十五条 所得税法第五十条乃至第五十二条ノ規定ハ純益金額ノ決議及決定ニ付之ヲ準用ス
第十六条 第十三条又ハ前条ノ規定ニ依リ純益金額ヲ決定シタルトキハ政府ハ之ヲ納税義務者ニ通知スヘシ
第十七条 納税義務者前条ノ規定ニ依リ政府ノ通知シタル純益金額ニ対シテ異議アルトキハ通知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以内ニ不服ノ事由ヲ具シ政府ニ審査ノ請求ヲ為スコトヲ得
前項ノ請求アリタル場合ト雖政府ハ税金ノ徴収ヲ猶予セス
第十八条 前条第一項ノ請求アリタルトキハ所得税法ノ所得審査委員会ノ決議ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
所得税法第五十二条及第六十一条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十九条 個人ノ営業ニ付納税義務アル者純益金額二分ノ一以上減損アルトキハ政府ニ純益金額ノ更訂ノ請求ヲ為スコトヲ得但シ翌年一月三十一日ヲ過キタルトキハ此ノ限ニ在ラス
純益金額決定後営業継続ニ因リ純益金額ノ減損シタル場合ハ前項ノ規定ヲ適用セス
第二十条 前条第一項ノ請求アリタルトキハ政府ハ純益金額ヲ査覈シ二分ノ一以上ノ減損アルトキハ之ヲ更訂ス
第二十一条 納税義務者第十八条ノ決定又ハ前条ノ更訂処分ニ対シ不服アルトキハ訴願又ハ行政訴訟ヲ為スコトヲ得
第二十二条 法人ノ営業収益税ハ事業年度毎ニ之ヲ徴収ス
個人ノ営業収益税ハ年額ヲ二分シ左ノ二期ニ於テ之ヲ徴収ス
第一期 其ノ年八月一日ヨリ三十一日限
第二期 其ノ年十一月一日ヨリ三十日限
第二十三条 第十九条第一項ノ請求アリタルトキハ政府ハ更訂処分ノ確定スルニ至ル迄税金ノ徴収ヲ猶予スルコトヲ得
第二十四条 個人ノ営業収益税ハ納税義務者ノ住所地、住所ナキトキハ主タル営業場ノ所在地ヲ以テ納税地トス但シ第三種ノ所得ニ付所得税ヲ納ムル者ニ在リテハ所得税ノ納税地ヲ以テ営業収益税ノ納税地トス
第二十五条 収税官吏ハ営業ニ関スル帳簿物件ヲ検査シ又ハ営業者ニ質問スルコトヲ得
第二十六条 政府ハ同業組合其ノ他ノ営業者ノ団体ニ対シ営業収益税ニ関スル事項ヲ諮問スルコトヲ得
前項ノ諮問ヲ受ケタル団体ハ命令ノ定ムル所ニ依リ調書ヲ提出スヘシ
第二十七条 所得税法第七十三条ノ二ノ規定ハ純益金額ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第二十八条 第二十五条ノ規定ニ依ル帳簿物件ノ検査ヲ妨ケ又ハ虚偽ノ記載ヲ為シタル帳簿ヲ提示シタル者ハ百円以下ノ罰金ニ処ス
第二十九条 詐偽其ノ他不正ノ行為ニ因リ営業収益税ヲ逋脱シタル者ハ其ノ逋脱シタル税金ノ三倍ニ相当スル罰金又ハ科料ニ処ス但シ自首シタル者又ハ税務署長ニ申出テタル者ハ其ノ罪ヲ問ハス
前項ノ場合ニ於テ個人ノ営業ニ付営業収益税ヲ逋脱シタル者ノ純益金額ハ第十三条第二項ノ規定ニ拘ラス政府ニ於テ之ヲ決定シ直ニ其ノ税金ヲ徴収ス
第三十条 営業収益税ノ調査又ハ審査ノ事務ニ従事シ又ハ従事シタル者其ノ調査又ハ審査ニ関シ知得タル秘密ヲ正当ノ事由ナクシテ漏洩シタルトキハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
第三十一条 本法ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八条第三項但書、第三十九条第二項、第四十条、第四十一条、第四十八条第二項、第六十三条及第六十六条ノ例ヲ用ヒス但シ前条ノ罪ヲ犯シタル者ハ此ノ限ニ在ラス
附 則
本法ハ大正十六年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
法人ノ大正十六年一月一日以後ニ終了スル事業年度ノ期間カ大正十五年ニ跨ルモノニ付テハ当該事業年度ノ純益金額ヨリ日割計算ノ方法ニ依リテ算出シタル大正十五年ニ属スル期間ノ純益ヲ控除ス