瓦斯事業法
法令番号: 法律第四十六號
公布年月日: 大正12年4月10日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル瓦斯事業法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十二年四月九日
內閣總理大臣 男爵 加藤友三郞
內務大臣 水野鍊太郞
農商務大臣 荒井賢太郞
法律第四十六號
瓦斯事業法
第一條 本法ニ於テ瓦斯事業ト稱スルハ一般ノ需用ニ應シ導管ニ依リテ瓦斯ヲ供給スル事業ヲ謂フ
第二條 本法ニ於テ瓦斯工作物ト稱スルハ瓦斯發生裝置、瓦斯精製裝置、瓦斯溜、導管其ノ他瓦斯供給ノ爲施設スル工作物ニシテ瓦斯事業ノ用ニ供スルモノヲ謂フ
第三條 瓦斯事業ヲ營マムトスル者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クヘシ
第四條 瓦斯事業者ハ主務大臣ノ指定スル期間內ニ工事施行ノ許可ヲ申請シ且其ノ事業ヲ開始スヘシ
主務大臣ハ正當ノ事由アリト認ムル場合ニ限リ前項ノ期間ノ延長ヲ許可スルコトヲ得
瓦斯事業者前二項ノ期間內ニ工事施行ノ許可ヲ申請セス又ハ事業ヲ開始セサルトキハ前條ノ許可ハ其ノ效力ヲ失フ
第五條 瓦斯事業者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ノ許可ヲ受クルニ非サレハ工事ヲ施行シ又ハ瓦斯工作物ヲ使用スルコトヲ得ス
第六條 瓦斯事業者ハ河川、溝渠、道路、橋梁、堤防其ノ他公共ノ用ニ供セラルル土地ニ導管ヲ施設スル必要アルトキハ其ノ效用ヲ妨ケサル限度ニ於テ其ノ管理者ノ許可ヲ受ケテ之ヲ使用スルコトヲ得
前項ノ管理者正當ノ事由ナクシテ前項ノ許可ヲ拒ミタルトキハ主務大臣ハ瓦斯事業者ノ申請ニ依リ前項ニ規定スル使用ヲ許可スルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テハ瓦斯事業者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ使用料ヲ納ムヘシ
前三項ノ規定ハ道路法ニ依ル道路及其ノ附屬物竝道路法第七條ノ規定ニ依リ同法ノ規定ヲ準用スル道路及其ノ附屬物ト爲ルヘキモノニ關シテハ之ヲ適用セス
第七條 瓦斯事業者ハ必要アルトキハ導管ノ施設ニ關スル調查、測量若ハ工業ノ爲他人ノ土地ニ立入リ又ハ現在ノ使用方法ヲ妨ケサル限度ニ於テ他人ノ土地ニ導管ヲ施設スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ瓦斯事業者他人ノ土地ニ立入リ又ハ導管ヲ施設セムトスル場合ニ於テ其ノ所有者及占有者ト協議調ハス又ハ協議ヲ爲スコト能ハサルトキハ其ノ使用ノ範圍ヲ定メ豫メ行政官廳ノ許可ヲ受クヘシ
瓦斯事業者前項ノ許可ヲ受ケタル後他人ノ土地ニ立入リ又ハ導管ヲ施設セムトスルトキハ少クトモ五日前ニ其ノ旨土地ノ所有者及占有者ニ通知スヘシ
第八條 前條ノ規定ニ依リ他人ノ土地ニ導管ヲ施設シタル場合ニ於テ其ノ土地ノ所有者又ハ占有者ハ其ノ土地ノ使用方法ヲ變更スル爲必要アルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ瓦斯事業者ニ對シ導管ノ位置ノ變更其ノ他土地ノ使用ニ對スル障害ノ豫防又ハ除却ニ必要ナル施設ヲ爲スコトヲ請求スルコトヲ得
前項ノ施設ニ要スル費用ハ瓦斯事業者ノ負擔トス但シ瓦斯事業者前項ノ施設ヲ爲シタル後前項ノ規定ニ依リ請求ヲ爲シタル土地ノ所有者又ハ占有者カ正當ノ事由ナクシテ其ノ土地ノ使用方法ノ豫定ノ變更ヲ爲ササルトキハ其ノ者ノ負擔トス
第九條 瓦斯事業者ハ瓦斯工作物ノ修理又ハ檢查ノ爲必要アルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ工作物ヲ施設シタル他人ノ土地又ハ建造物ニ立入ルコトヲ得但シ日沒ヨリ日出迄ノ間ニ於テハ占有者ノ意ニ反シテ邸宅又ハ建造物ニ立入ルコトヲ得ス
第十條 第七條及前條ノ場合ニ於テ現ニ生シタル損失ハ瓦斯事業者之ヲ補償スヘシ
前項ノ規定ニ依ル補償金額ニ付協議調ハス又ハ協議ヲ爲スコト能ハサルトキハ行政官廳之ヲ裁定ス其ノ裁定ニ不服アル者ハ其ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三月以內ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
行政官廳ハ必要アリト認ムルトキハ瓦斯事業者ヲシテ損失ノ補償ニ充ツヘキ金額ヲ供託セシムルコトヲ得
第十一條 瓦斯工作物相互間及瓦斯工作物ト其ノ他ノ工作物トノ間ニ於ケル障害ヲ防止スル爲必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
前項ノ規定ニ依リ爲ス工事ニ關スル費用ノ負擔其ノ他ノ事項ハ命令ヲ以テ定ムルモノノ外當事者ノ協議ニ依リ之ヲ定ム協議調ハス又ハ協議ヲ爲スコト能ハサルトキハ主務大臣之ヲ裁定ス
第十二條 瓦斯料金其ノ他命令ヲ以テ定ムル瓦斯供給條件ノ設定又ハ變更ハ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
前項ノ場合ニ於テ主務大臣ハ關係市町村ノ意見ヲ徵スヘシ
主務大臣ハ公益上必要アリト認ムルトキハ瓦斯料金其ノ他瓦斯供給條件ニ關シ必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
市町村ト瓦斯事業者トノ間ニ存スル事業經營ニ關スル定ニ基キ瓦斯事業者カ市町村ノ承認ヲ求メタル場合ニ於テ協議調ハサルトキハ主務大臣之ヲ裁定ス
第十三條 瓦斯ノ成分、壓力、光力及熱量竝瓦斯工作物ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十四條 瓦斯事業者ハ正當ノ事由アルニ非サレハ瓦斯ノ供給ヲ拒ムコトヲ得ス
第十五條 瓦斯事業者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非サレハ其ノ事業ノ全部又ハ一部ヲ廢止シ又ハ休止スルコトヲ得ス
第十六條 瓦斯事業ノ讓渡ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クヘシ瓦斯事業ヲ營ム會社ノ合併又ハ解散亦同シ
第十七條 市町村カ瓦斯事業ヲ營マムトスルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ管轄區域內ノ瓦斯事業ヲ買收スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル買收ノ價格其ノ他買收ノ條件ニ關シ協議調ハス又ハ協議ヲ爲スコト能ハサルトキハ主務大臣之ヲ裁定ス
前項ノ規定ニ依ル裁定中買收價格ニ付不服アル者ハ裁定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三月以內ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第十八條 行政官廳ハ瓦斯事業者ニ對シ業務及財產ノ狀況ニ關シ檢查ヲ爲シ、報告ヲ爲サシメ其ノ他監督上必要ナル事項ヲ命スルコトヲ得
第十九條 第一條ニ揭クルモノヲ除クノ外瓦斯ヲ供給シ又ハ使用スル事業ニ關シテハ第六條乃至第十條及第十七條ノ規定ヲ除クノ外勅令ノ定ムル所ニ依リ本法ノ全部又ハ一部ヲ準用スルコトヲ得
第二十條 瓦斯事業者本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シ、行政官廳ノ命シタル事項ヲ執行セス又ハ公益ヲ害スヘキ行爲ヲ爲シタルトキハ主務大臣ハ第三條ノ許可ヲ取消スコトヲ得
第二十一條 本法中主務大臣ノ職權ハ命令ヲ以テ之ヲ地方長官(東京府ニ在リテハ警視總監)ニ委任スルコトヲ得
第二十二條 瓦斯工作物ノ損壞其ノ他ノ方法ヲ以テ瓦斯ノ供給ヲ妨害シタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第二十三條 瓦斯事業者ノ承諾ヲ得スシテ濫ニ瓦斯工作物ノ施設ヲ變更シタル者ハ二百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第二十四條 本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ許可又ハ認可ヲ受クヘキ事項ヲ許可又ハ認可ヲ受ケスシテ爲シタル者又ハ第十二條ノ命令若ハ處分ニ違反シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十五條 瓦斯事業者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第十四條ノ規定ニ違反シタルトキ
二 正當ノ事由ナクシテ第十八條ノ規定ニ依ル檢查ヲ拒ミ、妨ケ若ハ忌避シ又ハ報告ヲ爲サス若ハ虛僞ノ報告ヲ爲シ其ノ他行政官廳ノ命シタル事項ヲ爲ササルトキ
第二十六條 瓦斯事業者ハ其ノ代理人、戶主、家族、雇人其ノ他ノ從業者カ其ノ業務ニ關シ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ス
第二十七條 本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ瓦斯事業者ニ適用スヘキ罰則ハ瓦斯事業者法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ニ依リ許可又ハ認可ヲ受クヘキ事項ニシテ本法施行ノ際現ニ存スルモノハ之ヲ本法ニ依リ許可又ハ認可ヲ受ケタルモノト看做ス
第十七條ノ規定ハ本法施行ノ際市町村ト瓦斯事業者トノ間ニ瓦斯事業ノ買收ニ關シ期間ノ定アルトキハ其ノ期間之ヲ適用セス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル瓦斯事業法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十二年四月九日
内閣総理大臣 男爵 加藤友三郎
内務大臣 水野錬太郎
農商務大臣 荒井賢太郎
法律第四十六号
瓦斯事業法
第一条 本法ニ於テ瓦斯事業ト称スルハ一般ノ需用ニ応シ導管ニ依リテ瓦斯ヲ供給スル事業ヲ謂フ
第二条 本法ニ於テ瓦斯工作物ト称スルハ瓦斯発生装置、瓦斯精製装置、瓦斯溜、導管其ノ他瓦斯供給ノ為施設スル工作物ニシテ瓦斯事業ノ用ニ供スルモノヲ謂フ
第三条 瓦斯事業ヲ営マムトスル者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クヘシ
第四条 瓦斯事業者ハ主務大臣ノ指定スル期間内ニ工事施行ノ許可ヲ申請シ且其ノ事業ヲ開始スヘシ
主務大臣ハ正当ノ事由アリト認ムル場合ニ限リ前項ノ期間ノ延長ヲ許可スルコトヲ得
瓦斯事業者前二項ノ期間内ニ工事施行ノ許可ヲ申請セス又ハ事業ヲ開始セサルトキハ前条ノ許可ハ其ノ効力ヲ失フ
第五条 瓦斯事業者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ行政官庁ノ許可ヲ受クルニ非サレハ工事ヲ施行シ又ハ瓦斯工作物ヲ使用スルコトヲ得ス
第六条 瓦斯事業者ハ河川、溝渠、道路、橋梁、堤防其ノ他公共ノ用ニ供セラルル土地ニ導管ヲ施設スル必要アルトキハ其ノ効用ヲ妨ケサル限度ニ於テ其ノ管理者ノ許可ヲ受ケテ之ヲ使用スルコトヲ得
前項ノ管理者正当ノ事由ナクシテ前項ノ許可ヲ拒ミタルトキハ主務大臣ハ瓦斯事業者ノ申請ニ依リ前項ニ規定スル使用ヲ許可スルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テハ瓦斯事業者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ使用料ヲ納ムヘシ
前三項ノ規定ハ道路法ニ依ル道路及其ノ附属物並道路法第七条ノ規定ニ依リ同法ノ規定ヲ準用スル道路及其ノ附属物ト為ルヘキモノニ関シテハ之ヲ適用セス
第七条 瓦斯事業者ハ必要アルトキハ導管ノ施設ニ関スル調査、測量若ハ工業ノ為他人ノ土地ニ立入リ又ハ現在ノ使用方法ヲ妨ケサル限度ニ於テ他人ノ土地ニ導管ヲ施設スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ瓦斯事業者他人ノ土地ニ立入リ又ハ導管ヲ施設セムトスル場合ニ於テ其ノ所有者及占有者ト協議調ハス又ハ協議ヲ為スコト能ハサルトキハ其ノ使用ノ範囲ヲ定メ予メ行政官庁ノ許可ヲ受クヘシ
瓦斯事業者前項ノ許可ヲ受ケタル後他人ノ土地ニ立入リ又ハ導管ヲ施設セムトスルトキハ少クトモ五日前ニ其ノ旨土地ノ所有者及占有者ニ通知スヘシ
第八条 前条ノ規定ニ依リ他人ノ土地ニ導管ヲ施設シタル場合ニ於テ其ノ土地ノ所有者又ハ占有者ハ其ノ土地ノ使用方法ヲ変更スル為必要アルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ瓦斯事業者ニ対シ導管ノ位置ノ変更其ノ他土地ノ使用ニ対スル障害ノ予防又ハ除却ニ必要ナル施設ヲ為スコトヲ請求スルコトヲ得
前項ノ施設ニ要スル費用ハ瓦斯事業者ノ負担トス但シ瓦斯事業者前項ノ施設ヲ為シタル後前項ノ規定ニ依リ請求ヲ為シタル土地ノ所有者又ハ占有者カ正当ノ事由ナクシテ其ノ土地ノ使用方法ノ予定ノ変更ヲ為ササルトキハ其ノ者ノ負担トス
第九条 瓦斯事業者ハ瓦斯工作物ノ修理又ハ検査ノ為必要アルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ工作物ヲ施設シタル他人ノ土地又ハ建造物ニ立入ルコトヲ得但シ日没ヨリ日出迄ノ間ニ於テハ占有者ノ意ニ反シテ邸宅又ハ建造物ニ立入ルコトヲ得ス
第十条 第七条及前条ノ場合ニ於テ現ニ生シタル損失ハ瓦斯事業者之ヲ補償スヘシ
前項ノ規定ニ依ル補償金額ニ付協議調ハス又ハ協議ヲ為スコト能ハサルトキハ行政官庁之ヲ裁定ス其ノ裁定ニ不服アル者ハ其ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三月以内ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
行政官庁ハ必要アリト認ムルトキハ瓦斯事業者ヲシテ損失ノ補償ニ充ツヘキ金額ヲ供託セシムルコトヲ得
第十一条 瓦斯工作物相互間及瓦斯工作物ト其ノ他ノ工作物トノ間ニ於ケル障害ヲ防止スル為必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
前項ノ規定ニ依リ為ス工事ニ関スル費用ノ負担其ノ他ノ事項ハ命令ヲ以テ定ムルモノノ外当事者ノ協議ニ依リ之ヲ定ム協議調ハス又ハ協議ヲ為スコト能ハサルトキハ主務大臣之ヲ裁定ス
第十二条 瓦斯料金其ノ他命令ヲ以テ定ムル瓦斯供給条件ノ設定又ハ変更ハ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
前項ノ場合ニ於テ主務大臣ハ関係市町村ノ意見ヲ徴スヘシ
主務大臣ハ公益上必要アリト認ムルトキハ瓦斯料金其ノ他瓦斯供給条件ニ関シ必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
市町村ト瓦斯事業者トノ間ニ存スル事業経営ニ関スル定ニ基キ瓦斯事業者カ市町村ノ承認ヲ求メタル場合ニ於テ協議調ハサルトキハ主務大臣之ヲ裁定ス
第十三条 瓦斯ノ成分、圧力、光力及熱量並瓦斯工作物ニ関スル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十四条 瓦斯事業者ハ正当ノ事由アルニ非サレハ瓦斯ノ供給ヲ拒ムコトヲ得ス
第十五条 瓦斯事業者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非サレハ其ノ事業ノ全部又ハ一部ヲ廃止シ又ハ休止スルコトヲ得ス
第十六条 瓦斯事業ノ譲渡ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クヘシ瓦斯事業ヲ営ム会社ノ合併又ハ解散亦同シ
第十七条 市町村カ瓦斯事業ヲ営マムトスルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ管轄区域内ノ瓦斯事業ヲ買収スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル買収ノ価格其ノ他買収ノ条件ニ関シ協議調ハス又ハ協議ヲ為スコト能ハサルトキハ主務大臣之ヲ裁定ス
前項ノ規定ニ依ル裁定中買収価格ニ付不服アル者ハ裁定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三月以内ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第十八条 行政官庁ハ瓦斯事業者ニ対シ業務及財産ノ状況ニ関シ検査ヲ為シ、報告ヲ為サシメ其ノ他監督上必要ナル事項ヲ命スルコトヲ得
第十九条 第一条ニ掲クルモノヲ除クノ外瓦斯ヲ供給シ又ハ使用スル事業ニ関シテハ第六条乃至第十条及第十七条ノ規定ヲ除クノ外勅令ノ定ムル所ニ依リ本法ノ全部又ハ一部ヲ準用スルコトヲ得
第二十条 瓦斯事業者本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ違反シ、行政官庁ノ命シタル事項ヲ執行セス又ハ公益ヲ害スヘキ行為ヲ為シタルトキハ主務大臣ハ第三条ノ許可ヲ取消スコトヲ得
第二十一条 本法中主務大臣ノ職権ハ命令ヲ以テ之ヲ地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監)ニ委任スルコトヲ得
第二十二条 瓦斯工作物ノ損壊其ノ他ノ方法ヲ以テ瓦斯ノ供給ヲ妨害シタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第二十三条 瓦斯事業者ノ承諾ヲ得スシテ濫ニ瓦斯工作物ノ施設ヲ変更シタル者ハ二百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
第二十四条 本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依リ許可又ハ認可ヲ受クヘキ事項ヲ許可又ハ認可ヲ受ケスシテ為シタル者又ハ第十二条ノ命令若ハ処分ニ違反シタル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
第二十五条 瓦斯事業者左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
一 第十四条ノ規定ニ違反シタルトキ
二 正当ノ事由ナクシテ第十八条ノ規定ニ依ル検査ヲ拒ミ、妨ケ若ハ忌避シ又ハ報告ヲ為サス若ハ虚偽ノ報告ヲ為シ其ノ他行政官庁ノ命シタル事項ヲ為ササルトキ
第二十六条 瓦斯事業者ハ其ノ代理人、戸主、家族、雇人其ノ他ノ従業者カ其ノ業務ニ関シ本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ス
第二十七条 本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依リ瓦斯事業者ニ適用スヘキ罰則ハ瓦斯事業者法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ニ依リ許可又ハ認可ヲ受クヘキ事項ニシテ本法施行ノ際現ニ存スルモノハ之ヲ本法ニ依リ許可又ハ認可ヲ受ケタルモノト看做ス
第十七条ノ規定ハ本法施行ノ際市町村ト瓦斯事業者トノ間ニ瓦斯事業ノ買収ニ関シ期間ノ定アルトキハ其ノ期間之ヲ適用セス