海軍潜水学校令
法令番号: 勅令第三百六十三號
公布年月日: 大正9年9月4日
法令の形式: 勅令
朕海軍潛水學校令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正九年九月三日
內閣總理大臣 原敬
海軍大臣 加藤友三郞
勅令第三百六十三號
海軍潛水學校令
第一條 海軍潛水學校ハ海軍將校下士官兵ヲシテ潛水艦ニ關スル須要ナル實務ヲ練習セシメ之ニ對シ潛水艦ニ關スル學術ヲ敎授シ且其ノ進步ヲ圖ル所トス
第二條 海軍潛水學校ノ敎育綱領ハ海軍大臣ノ認可ヲ受ケ海軍敎育本部長之ヲ定ム
第三條 海軍潛水學校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
副官
敎頭
敎官
分隊長
軍醫長
主計長
第四條 校長ハ海軍敎育本部長ニ隸シ軍紀風紀ヲ維持シ校務ヲ總理ス
第五條 校長ハ部下ノ職員缺員中又ハ事故アリテ其ノ職務ヲ執ルコト能ハサルトキハ他ノ職員ヲシテ其ノ職務ヲ代理セシムルコトヲ得
第六條 校長缺員中又ハ事故アリテ其ノ職務ヲ執ルコト能ハサルトキハ部下ノ兵科將校席次ノ順序ニ從ヒ其ノ職務ヲ代理ス但シ特ニ代理者ヲ置キタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第七條 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌理ス
第八條 敎頭ハ校長ノ命ヲ承ケ敎務ヲ監理シ紀律ヲ維持ス
第九條 敎官ハ敎頭ノ命ヲ承ケ各科ノ敎授ヲ擔任ス
第十條 分隊長ハ校長ノ命ヲ承ケ隊員ノ紀律ヲ維持シ之ヲ董督訓練ス
第十一條 軍醫長ハ校長ノ命ヲ承ケ醫務及衞生ニ關スルコトヲ掌ル
第十二條 主計長ハ校長ノ命ヲ承ケ會計及給與ニ關スルコトヲ掌ル
第十三條 海軍潛水學校ニ附ニ充ツル爲判任文官ヲ置ク
第十四條 附ハ海軍士官特務士官准士官下士官兵及判任文官ヲ以テ之ニ充ツ上官ノ命ヲ承ケ服務ス
第十五條 海軍潛水學校ニ於テ修習スル海軍將校ヲ海軍潛水學校學生、海軍下士官兵ヲ海軍潛水學校練習生ト稱ス
第十六條 海軍潛水學校學生ハ之ヲ左ノ四種ニ區別ス
一 高等科學生
二 普通科學生
三 特修科學生
四 選科學生
第十七條 高等科學生ハ海軍潛水學校普通科學生敎程ヲ修了シタル者又ハ之ニ準スヘキ經歷ヲ有スル海軍少佐又ハ大尉ニ就キ潛水艦ニ關スル樞要職員ノ素養ニ必要ナル事項ヲ修習セシムル爲海軍大臣之ヲ命ス
第十八條 普通科學生ハ海軍砲術學校、海軍水雷學校又ハ海軍機關學校ノ普通科學生敎程ヲ修了シタル尉官ニ就キ潛水艦職員ノ素養ニ必要ナル事項ヲ修習セシムル爲海軍大臣之ヲ命ス
海軍大臣ハ戰時又ハ事變ニ際シ必要ト認ムルトキハ前項ノ規定ニ拘ラス兵科又ハ機關科尉官ニ就キ普通科學生ヲ命スルコトヲ得
第十九條 特修科學生ハ潛水艦勤務ノ經歷ヲ有セサル海軍少佐又ハ大尉ニ就キ潛水艦職員ノ素養ニ必要ナル事項ヲ修習セシムル爲必要ニ應シ海軍大臣之ヲ命ス
第二十條 選科學生ハ海軍將校ニ就キ潛水艦ニ關スル事項中特ニ項目ヲ指定シ之ヲ修習セシムル爲必要ニ應シ海軍大臣之ヲ命ス
第二十一條 海軍潛水學校學生ノ修業期間ハ海軍大臣之ヲ定ム
第二十二條 海軍潛水學校學生其ノ敎程ヲ修了シタルトキハ之ニ修業證書ヲ授與ス
第二十三條 校長ハ學生中不適當ト認ムル者アルトキハ海軍敎育本部長ニ之ヲ禀申シ海軍敎育本部長其ノ禀申ヲ至當ト認ムルトキハ海軍大臣ニ之ヲ具申シ海軍大臣ハ其ノ學生ヲ免スルコトヲ得
第二十四條 海軍大臣ハ戰時又ハ事變ニ際シ必要ト認ムルトキハ學生ヲ免スルコトヲ得
海軍大臣ハ前項ノ規定ニ依リ學生ヲ免セラレタル者ニ對シ第十七條乃至第二十條ノ規定ニ拘ラス再ヒ學生ヲ命スルコトヲ得
第二十五條 海軍潛水學校練習生其ノ敎程ヲ修了シタルトキハ海軍潛水學校練習生修業徽章ヲ授與ス
第二十六條 海軍潛水學校練習生及海軍潛水學校練習生修業徽章ニ關スル事項ハ海軍大臣之ヲ定ム
第二十七條 校長ハ海軍敎育本部長ノ認可ヲ受ケ學生又ハ練習生ヲ艦船又ハ海軍諸學校若ハ海軍事業廳ニ派遣シ修業セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ派遣セラレタル學生又ハ練習生ハ其ノ修業ニ關シ當該艦船長又ハ廳長ノ指揮ヲ受ク
第二十八條 海軍大臣ハ海軍潛水學校ニ臨時講習科ヲ設ケ海軍軍人ニ對シ必要ナル講習ヲ受ケシムルコトヲ得
附 則
本令ハ大正九年九月十五日ヨリ之ヲ施行ス
朕海軍潜水学校令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正九年九月三日
内閣総理大臣 原敬
海軍大臣 加藤友三郎
勅令第三百六十三号
海軍潜水学校令
第一条 海軍潜水学校ハ海軍将校下士官兵ヲシテ潜水艦ニ関スル須要ナル実務ヲ練習セシメ之ニ対シ潜水艦ニ関スル学術ヲ教授シ且其ノ進歩ヲ図ル所トス
第二条 海軍潜水学校ノ教育綱領ハ海軍大臣ノ認可ヲ受ケ海軍教育本部長之ヲ定ム
第三条 海軍潜水学校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
副官
教頭
教官
分隊長
軍医長
主計長
第四条 校長ハ海軍教育本部長ニ隷シ軍紀風紀ヲ維持シ校務ヲ総理ス
第五条 校長ハ部下ノ職員欠員中又ハ事故アリテ其ノ職務ヲ執ルコト能ハサルトキハ他ノ職員ヲシテ其ノ職務ヲ代理セシムルコトヲ得
第六条 校長欠員中又ハ事故アリテ其ノ職務ヲ執ルコト能ハサルトキハ部下ノ兵科将校席次ノ順序ニ従ヒ其ノ職務ヲ代理ス但シ特ニ代理者ヲ置キタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第七条 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌理ス
第八条 教頭ハ校長ノ命ヲ承ケ教務ヲ監理シ紀律ヲ維持ス
第九条 教官ハ教頭ノ命ヲ承ケ各科ノ教授ヲ担任ス
第十条 分隊長ハ校長ノ命ヲ承ケ隊員ノ紀律ヲ維持シ之ヲ董督訓練ス
第十一条 軍医長ハ校長ノ命ヲ承ケ医務及衛生ニ関スルコトヲ掌ル
第十二条 主計長ハ校長ノ命ヲ承ケ会計及給与ニ関スルコトヲ掌ル
第十三条 海軍潜水学校ニ附ニ充ツル為判任文官ヲ置ク
第十四条 附ハ海軍士官特務士官准士官下士官兵及判任文官ヲ以テ之ニ充ツ上官ノ命ヲ承ケ服務ス
第十五条 海軍潜水学校ニ於テ修習スル海軍将校ヲ海軍潜水学校学生、海軍下士官兵ヲ海軍潜水学校練習生ト称ス
第十六条 海軍潜水学校学生ハ之ヲ左ノ四種ニ区別ス
一 高等科学生
二 普通科学生
三 特修科学生
四 選科学生
第十七条 高等科学生ハ海軍潜水学校普通科学生教程ヲ修了シタル者又ハ之ニ準スヘキ経歴ヲ有スル海軍少佐又ハ大尉ニ就キ潜水艦ニ関スル枢要職員ノ素養ニ必要ナル事項ヲ修習セシムル為海軍大臣之ヲ命ス
第十八条 普通科学生ハ海軍砲術学校、海軍水雷学校又ハ海軍機関学校ノ普通科学生教程ヲ修了シタル尉官ニ就キ潜水艦職員ノ素養ニ必要ナル事項ヲ修習セシムル為海軍大臣之ヲ命ス
海軍大臣ハ戦時又ハ事変ニ際シ必要ト認ムルトキハ前項ノ規定ニ拘ラス兵科又ハ機関科尉官ニ就キ普通科学生ヲ命スルコトヲ得
第十九条 特修科学生ハ潜水艦勤務ノ経歴ヲ有セサル海軍少佐又ハ大尉ニ就キ潜水艦職員ノ素養ニ必要ナル事項ヲ修習セシムル為必要ニ応シ海軍大臣之ヲ命ス
第二十条 選科学生ハ海軍将校ニ就キ潜水艦ニ関スル事項中特ニ項目ヲ指定シ之ヲ修習セシムル為必要ニ応シ海軍大臣之ヲ命ス
第二十一条 海軍潜水学校学生ノ修業期間ハ海軍大臣之ヲ定ム
第二十二条 海軍潜水学校学生其ノ教程ヲ修了シタルトキハ之ニ修業証書ヲ授与ス
第二十三条 校長ハ学生中不適当ト認ムル者アルトキハ海軍教育本部長ニ之ヲ禀申シ海軍教育本部長其ノ禀申ヲ至当ト認ムルトキハ海軍大臣ニ之ヲ具申シ海軍大臣ハ其ノ学生ヲ免スルコトヲ得
第二十四条 海軍大臣ハ戦時又ハ事変ニ際シ必要ト認ムルトキハ学生ヲ免スルコトヲ得
海軍大臣ハ前項ノ規定ニ依リ学生ヲ免セラレタル者ニ対シ第十七条乃至第二十条ノ規定ニ拘ラス再ヒ学生ヲ命スルコトヲ得
第二十五条 海軍潜水学校練習生其ノ教程ヲ修了シタルトキハ海軍潜水学校練習生修業徽章ヲ授与ス
第二十六条 海軍潜水学校練習生及海軍潜水学校練習生修業徽章ニ関スル事項ハ海軍大臣之ヲ定ム
第二十七条 校長ハ海軍教育本部長ノ認可ヲ受ケ学生又ハ練習生ヲ艦船又ハ海軍諸学校若ハ海軍事業庁ニ派遣シ修業セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ派遣セラレタル学生又ハ練習生ハ其ノ修業ニ関シ当該艦船長又ハ庁長ノ指揮ヲ受ク
第二十八条 海軍大臣ハ海軍潜水学校ニ臨時講習科ヲ設ケ海軍軍人ニ対シ必要ナル講習ヲ受ケシムルコトヲ得
附 則
本令ハ大正九年九月十五日ヨリ之ヲ施行ス