第一條 關東州ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ハ本令ニ依リ所得稅ヲ納ムル義務アルモノトス
第二條 前條ノ規定ニ該當セサル法人關東州ニ資產又ハ營業ヲ有スルトキハ其ノ資產又ハ營業ヨリ生スル所得ニ付所得稅ヲ納ムル義務アルモノトス但シ所得稅法施行地、朝鮮、臺灣又ハ樺太ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第四條 法人ノ所得ハ各事業年度ノ總益金ヨリ總損金ヲ控除シタル金額ニ依ル但シ保險會社ニ在リテハ各事業年度ノ利益金又ハ剩餘金ニ依ル
前項ノ總益金、科益金又ハ剩餘金中國債ノ利子及貯蓄債券法ニ依リ發行シタル貯蓄債券ノ利子アルトキハ之ニ相當スル金額ハ總益金、利益金又ハ剩餘金ヨリ之ヲ控除ス
第二條ノ規定ニ依リ納稅義務アル法人ノ所得ハ關東州ニ於ケル資產又ハ營業ニ付前二項ノ規定ニ準シ之ヲ計算ス
法人カ事業年度中ニ解散シ又ハ合併ニ因リテ消滅シタル場合ニ於テハ其ノ事業年度ノ初ヨリ解散又ハ合併ニ至ル迄ノ期間ヲ以テ一事業年度ト看做ス
第五條 法人ノ各事業年度ノ所得カ同年度ノ資本金額ニ對シ年百分ノ十ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超過スルトキハ其ノ超過金額ヲ以テ法人ノ超過所得トス
第六條 法人ノ各事業年度ノ資本金額ハ各月末ニ於ケル拂込株式金額、出資金額又ハ基金及積立金額ノ月割平均ヲ以テ之ヲ計算ス
前項計算ノ場合ニ於テ繰越缺損金アルトキハ其ノ各月末ニ於ケル金額ノ月割平均ヲ以テ之ヲ計算シ資本金額ヨリ控除ス
第七條 第二條ノ規定ニ依リ納稅義務アル法人又ハ所得稅ヲ課スヘキ所得ト其ノ他ノ所得トヲ有スル法人ノ各事業年度ノ資本金額ハ關東長官ノ定ムル所ニ依リ之ヲ計算ス
第八條 本令ニ於テ積立金ト稱スルハ積立金其ノ他名義ノ何タルヲ問ハス法人ノ所得中其ノ留保シタルモノヲ謂フ
第九條 法人ノ各事業年度ノ所得中積立金ト爲シタル金額ヲ以テ法人ノ留保所得トス
法人カ積立金ヲ減少シタルトキハ其ノ減少額ヲ塡補スルニ至ル迄其ノ後ノ各事業年度ノ留保所得ニ付所得稅ヲ課セス
積立金ヲ減少シタル法人カ合併ニ因リテ消滅シタルトキハ合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ニ付前項ノ規定ヲ適用ス但シ合併ノ際合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ積立金ヲ以テ合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ノ株式金額又ハ出資金額ニ充當シタルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第十條 法人ノ各事業年度ノ所得中利益ノ配當又ハ剩餘金ノ分配ニ充當シタル金額ヲ以テ法人ノ配當所得トス
法人ノ積立金ヲ減少シテ利益ノ配當又ハ剩餘金ノ分配ニ充當シタル金額ハ之ヲ前項ノ配當所得ニ加算ス
第十一條 法人解散シタル場合ニ於テ其ノ殘餘財產ノ價額カ解散當時ノ拂込株式金額、出資金額、積立金及最後ノ事業年度ニ於ケル留保所得ノ合計金額ヲ超過スルトキハ其ノ超過金額ヲ以テ法人ノ淸算所得トス
法人合併ヲ爲シタル場合ニ於テ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ株主又ハ社員カ合併後存續スル法人若ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ヨリ合併ニ因リテ取得スル株式ノ拂込濟金額又ハ出資金額及金錢ノ總額カ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ合併當時ノ拂込株式金額、出資金額、積立金及最後ノ事業年度ニ於ケル留保所得ノ合計金額ヲ超過スルトキハ其ノ超過金額ハ之ヲ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ淸算所得ト看做ス
第十二條 合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ハ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ所得ニ付所得稅ヲ納ムル義務アルモノトス
第十四條 關東長官ノ指定スル重要物產ノ製造業ヲ營ム法人ニハ關東長官ノ定ムル所ニ依リ開業ノ年及其ノ翌年ヨリ三年間其ノ業務ヨリ生スル所得ニ付所得稅ヲ免除ス
前項ノ規定ニ依リ所得稅ノ免除ヲ受クヘキ重要物產ノ製造業ヲ繼續シ又ハ其ノ繼續ト認ムヘキ事實アル法人ハ其ノ業務ニ付所得稅ノ免除期間ノ殘存スルトキニ限リ其ノ免除期間ヲ繼承ス
第十五條 所得稅法施行地、朝鮮、臺灣又ハ樺太ニ於テ所得稅ヲ免除スル各當該地ノ製造業ヨリ生スル所得ニ付テハ關東長官ノ定ムル所ニ依リ所得稅ヲ免除ス
第十六條 所得稅ハ左ノ稅率ニ依リ之ヲ賦課ス
一 超過所得金額ヲ左ノ各級ニ區分シ遞次ニ各稅率ヲ適用ス
所得金額中資本金額ニ對シ年百分ノ十ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユル金額 百分ノ四
同百分ノ二十ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユル金額 百分ノ十
同百分ノ三十ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超エル金額 百分ノ二十
五 第二條ノ規定ニ依リ納稅義務アル法人ノ關東州ニ於ケル資產又ハ營業ヨリ生スル所得金額 百分ノ七、五
法人ノ事業年度末ニ於ケル積立金及其ノ事業年度ニ於ケル留保所得ノ合計金額カ其ノ事業年度末ニ於ケル拂込株式金額、出資金額又ハ基金及之ニ代ルヘキ積立金ノ合計金額ノ二分ノ一ニ相當スル金額ヲ超過スルトキハ其ノ超過金額ニ屬スル其ノ事業年度ノ留保所得ニ對スル稅率ハ百分ノ十トシ其ノ事業年度末ニ於ケル拂込株式金額、出資金額又ハ基金及之ニ代ルヘキ積立金ノ合計金額ニ相當スル金額ヲ超過スルトキハ其ノ超過金額ニ屬スル其ノ事業年度ノ留保所得ニ對スル稅率ハ百分ノ二十トス但シ其ノ事業年度ニ於ケル所得ノ二十分ノ一ニ相當スル金額以內ノ金額ニ付テハ其ノ稅率ハ百分ノ五トス
第十七條 所得稅ヲ納ムル義務アル法人ハ關東長官ノ定ムル所ニ依リ財產目錄、貸借對照表、損益計算書又ハ淸算若ハ合併ニ關スル計算書竝第四條乃至第十一條ノ規定ニ依リ計算シタル所得及資本金額ノ明細書ヲ添附シ其ノ所得ヲ政府ニ申告スヘシ但シ第二條ノ規定ニ依リ納稅義務アル法人ハ關東州ニ於ケル資產又ハ營業ニ關スル損益ヲ計算シタル所得及資本金額ノ明細書ヲ添附スヘシ
前項ノ規定ハ所得稅ヲ課セラルヘキ法人ニ付其ノ所得ナキ場合ニ之ヲ準用ス
第十八條 所得金額ハ前條ニ規定スル申告ニ依リ、申告ナキトキ又ハ申告ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ノ調查ニ依リ政府之ヲ決定ス
第十九條 所得稅ハ法人ノ事業年度每ニ之ヲ徵收ス但シ淸算所得ニ付テハ淸算又ハ合併ノ際之ヲ徵收ス
第二十條 法人解散シタル場合ニ於テ淸算所得ニ對スル所得稅ヲ納付セスシテ殘餘財產ヲ分配シタルトキハ其ノ稅金ニ付淸算人連帶シテ納稅ノ義務アルモノトス
第二十一條 所得稅ヲ納ムル義務アル法人關東州ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有セサルトキハ納稅地ヲ定メ申告スヘシ申告ナキトキハ關東長官其ノ納稅地ヲ指定ス
第二十二條 所得稅ヲ納ムル義務アル法人關東州ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有セサルトキハ其ノ所得ノ申告、納稅其ノ他所得稅ニ關スル一切ノ事項ヲ處理セシムル爲納稅管理人ヲ定メ申告スヘシ關東州外ニ本店又ハ主タル事務所ヲ移サムトスルトキ亦同シ
第二十三條 關東長官ハ本令ニ定ムルモノヲ除クノ外所得稅ニ關シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得