朕醫師會令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正八年九月二十三日
內閣總理大臣 原敬
內務大臣 床次竹二郞
勅令第四百二十九號
醫師會令
第一條 醫師法第九條第二項ノ醫師ハ郡市區醫師會ヲ設立スヘシ
郡市區醫師會ハ道府縣醫師會ヲ設立スヘシ
第二條 本令ニ於テ醫師會ト稱スルハ郡市區醫師會又ハ道府縣醫師會ヲ謂フ
第三條 本令ニ依リ設立シタル醫師會ニ非サレハ郡、市、區、道、府又ハ縣ノ文字ヲ冠スル醫師會ノ名稱ヲ附スルコトヲ得ス
第四條 郡市區醫師會ノ設立ハ會員ト爲ルヘキ者五人以上設立委員ト爲リ會則案ヲ定メ設立總會ノ議決ヲ經ヘシ
設立總會ノ招集及議事整理ハ設立委員之ヲ行フ
設立總會ニ於テハ郡市區醫師會ノ會員ト爲ルヘキ者半數以上出席スルニ非サレハ會議ヲ開クコトヲ得ス其ノ議決ハ出席者三分ノ二以上ノ多數ヲ以テスルニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス但シ設立總會ニ出席スルコト能ハサル者ハ豫メ書面ヲ以テ出席者ニ委任シテ表決權ヲ行フコトヲ妨ケス此ノ場合ニ於テハ之ヲ設立總會ニ出席シタル者ト看做ス
第五條 道府縣醫師會ノ設立ハ道府縣廳所在地ノ郡市區醫師會ノ會長設立委員ト爲リ會則案ヲ定メ設立總會ノ議決ヲ經ヘシ
設立總會ノ招集及議事整理ハ設立委員之ヲ行フ
設立總會ニ於テハ道府縣醫師會ノ會員ト爲ルヘキ郡市區醫師會カ其ノ會員中ヨリ選擧シタル委員半數以上出席スルニ非サレハ會議ヲ開クコトヲ得ス其ノ議決ハ出席者三分ノ二以上ノ多數ヲ以テスルニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス
前條第三項但書ノ規定ハ前項ノ會議及議決ニ之ヲ準用ス
第三項ノ委員ノ數ハ會員二十人以內ノ郡市區醫師會ニ在リテハ一人トシ會員二十人ヲ超ユルモノニ在リテハ會員三十人又ハ其ノ端數ヲ加フル每ニ一人ヲ加フ但シ第八條ノ規定ニ依ル市ヲ區域トスル醫師會ニ在リテハ會員ノ數ニ拘ラス二人トス
第六條 醫師會ノ設立總會ニ於テ醫師會設立ノ議決ヲ爲シタルトキハ設立委員ハ會則案ヲ添ヘ速ニ其ノ認可ヲ地方長官ニ申請スヘシ
醫師會ハ設立ノ認可アリタル時又ハ第九條ノ規定ニ依リ會則ノ設定アリタル時成立スルモノトス
第七條 醫師會成立シタルトキハ地方長官ハ醫師會ノ名稱、區域、事務所ノ所在地及成立ノ年月日ヲ吿示スヘシ其ノ吿示シタル事項ニ變更アリタルトキ亦同シ
第八條 市制第六條ノ市ニシテ內務大臣ノ指定シタルモノニ於テハ市ヲ區域トスル醫師會及市內ノ區ヲ區域トスル醫師會ヲ設立スヘシ
前項ノ規定ニ依ル市ヲ區域トスル醫師會ノ設立竝其ノ役員及總會ニ關シテハ道府縣醫師會ノ設立竝其ノ役員及總會ニ關スル規定ノ例ニ依ル此ノ場合ニ於テハ市ヲ區域トスル醫師會ハ道府縣醫師會ニ、區ヲ區域トスル醫師會ハ郡市區醫師會ニ該ルモノトス
第一項ノ規定ニ依ル區ヲ區域トスル醫師會ハ第五條第一項ノ適用ニ付テハ之ヲ郡市區醫師會ニ非サルモノト看做ス
第九條 地方長官ハ醫師會設立ノ義務ノ生シタル時ヨリ六月內ニ第四條、第五條又ハ第八條ノ規定ニ依ル醫師會設立ノ議決ナキトキハ醫師會ノ會員ト爲ルヘキ者ニ設立委員ヲ命シ、會則ノ設定ヲ爲シ其ノ他設立ニ關シ必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
第十條 醫師會ノ會則ニハ左ニ揭クル事項ヲ記載スヘシ
一 名稱及區域
二 事務所ノ所在地
三 役員ノ種類、數、職務權限、選任、解任及任期ニ關スル規定
四 道府縣醫師會ニ在リテハ議員又ハ豫備議員ノ選任、解任及任期ニ關スル規定
五 代議員ヲ設クル郡市區醫師會ニ在リテハ代議員ノ選任、解任及任期ニ關スル規定
六 總會其ノ他會議ニ關スル規定
七 經費ノ分賦徵收ニ關スル規定
八 財產及營造物ノ管理及處分ニ關スル規定
九 庶務及會計ニ關スル規定
第十一條 醫師會ノ會則ノ變更ハ總會ノ議決ヲ經テ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
第十二條 郡市區醫師會ノ總會ハ其ノ郡市區醫師會ノ會員ヲ以テ之ヲ組織ス會員百人以上ナルトキハ會則ノ定ムル所ニ依リ會員中ヨリ選擧シタル代議員ヲ以テ之ヲ組織スルコトヲ得
第十三條 道府縣醫師會ノ總會ハ道府縣醫師會ノ會員タル郡市區醫師會カ其ノ會員中ヨリ選擧シタル道府縣醫師會議員ヲ以テ之ヲ組織ス
前項ノ議員事故アルトキハ郡市區醫師會カ其ノ會員中ヨリ選擧シタル道府縣醫師會豫備議員道府縣醫師會會則ノ定ムル所ニ依リ之ヲ代理スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依リ選擧スヘキ議員ノ數ハ第五條第五項ノ委員ノ數ノ例ニ依ル但シ道府縣醫師會會則ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ妨ケス
第十四條 醫師會ノ總會ニ於テ左ニ揭クル事項ヲ議決スル場合ニ於テハ其ノ會員、代議員又ハ議員半數以上出席スルニ非サレハ會議ヲ開クコトヲ得ス其ノ議決ハ出席者三分ノ二以上ノ多數ヲ以テスルニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス
一 會則變更ノ議決
二 第二十一條又ハ第二十二條ノ議決
三 第二十八條第三項ノ議決
第四條第三項但書ノ規定ハ前項ノ會議及議決ニ之ヲ準用ス
第十五條 醫師會ニハ左ノ役員ヲ置クヘシ
會長 一人
副會長 一人又ハ二人
前項ノ外會則ノ定ムル所ニ依リ必要ナル役員ヲ置クコトヲ得
第十六條 郡市區醫師會ノ役員ハ其ノ會員中ヨリ、道府縣醫師會ノ役員ハ其ノ議員中ヨリ各其ノ總會ニ於テ之ヲ選擧スヘシ但シ第一囘總會ニ於テ前項ノ役員ノ選任アル迄會則ヲ以テ假役員ヲ定メ會務ヲ處理セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ役員ヲ選擧シタルトキハ速ニ其ノ氏名ヲ地方長官ニ屆出ツヘシ
第十七條 會長ハ會務ヲ總理シ醫師會ヲ代表ス
副會長ハ會長ヲ補佐シ會長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理ス
第十八條 醫師會ニ於テ議決シ又ハ施行シ得ル事項左ノ如シ
一 法令又ハ會則ニ規定スル事項
二 醫事衞生ニ關シ行政廳ヨリ諮問セラレタル事項
三 醫事衞生ニ關シ行政廳ニ建議スル事項
四 醫事衞生ノ硏究及施設ニ關スル事項
五 救療ニ關スル事項
第十九條 行政官廳ハ醫事衞生ニ關スル報吿又ハ調査ヲ醫師會ニ命スルコトヲ得
第二十條 醫師會ノ經費及醫師會設立ニ關スル經費ハ其ノ會員ノ負擔トス
第二十一條 醫師會ハ郡市區醫師會ノ會員中醫師法第二條第二號ニ該當シ又ハ業務ニ關シ不正ノ行爲アリ免許取消又ハ醫業停止ノ處分ヲ必要ト認ムル者アルトキハ總會ノ議決ニ依リ其ノ意見ヲ地方長官ニ具申スルコトヲ得醫師法第十條第三項ニ該當スル者アリト認ムルトキ亦同シ
第二十二條 郡市區醫師會ハ會則ノ定ムル所ニ依リ其ノ會員ニ對シ總會ノ議決ヲ經テ左ノ各號ノ一ニ揭クル懲戒ヲ行フコトヲ得但シ特別ノ事由アルトキハ之ヲ併セ行フコトヲ妨ケス
一 譴責
二 五百圓以下ノ過怠金
三 三年內議員、豫備議員及役員ノ選擧權及被選擧權竝代議員ノ被選擧權ノ停止
代議員、議員、豫備議員又ハ役員タル者前項第三號ノ規定ニ依リ被選擧權ヲ停止セラレタルトキハ解任セラレタルモノトス
第二十三條 醫師會ノ會則及議決ハ其ノ會員ヲ覊束ス
第二十四條 地方長官ハ醫師會ノ議決若ハ選擧又ハ施行スル事項カ法令若ハ會則ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキハ理由ヲ示シテ其ノ議決若ハ選擧ヲ取消シ又ハ其ノ施行スル事項ノ廢止、停止若ハ變更ヲ命スルコトヲ得
地方長官ハ醫師會ノ役員又ハ假役員ノ行爲カ法令若ハ會則ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキハ其ノ役員又ハ假役員ヲ解任スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ解任セラレタル者ハ三年間醫師會ノ役員ト爲ルコトヲ得ス
第二十五條 醫師法第十條ノ規定ニ依リ醫業ヲ停止セラレタル者ハ其ノ停止中醫師會ノ總會ニ出席シ若ハ總會ニ於ケル表決權ヲ行ヒ又ハ醫師會ノ役員タルコトヲ得ス
第二十六條 醫師會ハ地方長官ノ定ムル所ニ依リ每年度ノ豫算、決算及會務ノ狀況ヲ地方長官ニ屆出ツヘシ
第二十七條 地方長官必要ト認ムルトキハ郡市又ハ北海道若ハ沖繩縣ノ區ノ區域ニ依ラス郡市區醫師會ノ區域ヲ定ムルコトヲ得
第二十八條 道府縣郡市若ハ第八條ノ市內ノ區又ハ北海道若ハ沖繩縣ノ區ノ廢置分合ニ依リ又ハ前條ノ規定ニ依リ醫師會ノ區域ニ變更ヲ生シタル爲醫師會存立セサル區域ヲ生シタルトキハ其ノ區域ノ醫師會ノ會員タルヘキ者ハ其ノ區域ニ依リ醫師會ヲ設立シタルモノト看做ス
前項ノ場合ニ於テ地方長官ハ假ニ會則ヲ定メ假役員又ハ假議員ヲ選任シテ役員又ハ議員ノ選任アル迄會務ヲ處理セシムヘシ
第一項ノ規定ニ依リ設立シタル醫師會ハ會則ヲ議決シ其ノ認可ヲ設立ノ時ヨリ二月內ニ地方長官ニ申請スヘシ
第二十九條 醫師會ノ區域ニ變更ヲ生シタル爲財產處分ヲ要スルトキハ關係醫師會ノ協議ニ依リ財產處分方法ヲ定メ關係醫師會ノ區域カ道府縣ヲ同シクスル場合ニ於テハ地方長官ニ、異ニスル場合ニ於テハ內務大臣ニ其ノ認可ヲ申請スヘシ
醫師會ノ區域ニ變更ヲ生シタル爲消滅シタル舊醫師會ハ前項ノ目的ノ範圍內ニ於テハ仍之ヲ存續スルモノト看做ス
第一項ノ協議ヲ爲サス又ハ協議調ハサル場合ニ於ケル財產處分方法ハ關係醫師會ノ區域カ道府縣ヲ同シクスル場合ニ於テハ地方長官、異ニスル場合ニ於テハ內務大臣之ヲ定ム
第三十條 醫師會ハ本令ニ依リ地方長官ノ爲シタル處分ニ不服アルトキハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得訴願スル場合ニ於テハ總會ノ議決ヲ經ルコトヲ要ス
第二十四條第二項ノ規定ニ依リ解任セラレタル役員又ハ假役員其ノ解任ニ不服アルトキハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第三十一條 北海道、沖繩縣及島地ニ關シ本令中ノ規定ヲ適用シ難キ事項ニ付テハ內務大臣ノ認可ヲ受ケ地方長官別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
附 則
本令ハ大正八年法律第五十七號施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朕医師会令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正八年九月二十三日
内閣総理大臣 原敬
内務大臣 床次竹二郎
勅令第四百二十九号
医師会令
第一条 医師法第九条第二項ノ医師ハ郡市区医師会ヲ設立スヘシ
郡市区医師会ハ道府県医師会ヲ設立スヘシ
第二条 本令ニ於テ医師会ト称スルハ郡市区医師会又ハ道府県医師会ヲ謂フ
第三条 本令ニ依リ設立シタル医師会ニ非サレハ郡、市、区、道、府又ハ県ノ文字ヲ冠スル医師会ノ名称ヲ附スルコトヲ得ス
第四条 郡市区医師会ノ設立ハ会員ト為ルヘキ者五人以上設立委員ト為リ会則案ヲ定メ設立総会ノ議決ヲ経ヘシ
設立総会ノ招集及議事整理ハ設立委員之ヲ行フ
設立総会ニ於テハ郡市区医師会ノ会員ト為ルヘキ者半数以上出席スルニ非サレハ会議ヲ開クコトヲ得ス其ノ議決ハ出席者三分ノ二以上ノ多数ヲ以テスルニ非サレハ之ヲ為スコトヲ得ス但シ設立総会ニ出席スルコト能ハサル者ハ予メ書面ヲ以テ出席者ニ委任シテ表決権ヲ行フコトヲ妨ケス此ノ場合ニ於テハ之ヲ設立総会ニ出席シタル者ト看做ス
第五条 道府県医師会ノ設立ハ道府県庁所在地ノ郡市区医師会ノ会長設立委員ト為リ会則案ヲ定メ設立総会ノ議決ヲ経ヘシ
設立総会ノ招集及議事整理ハ設立委員之ヲ行フ
設立総会ニ於テハ道府県医師会ノ会員ト為ルヘキ郡市区医師会カ其ノ会員中ヨリ選挙シタル委員半数以上出席スルニ非サレハ会議ヲ開クコトヲ得ス其ノ議決ハ出席者三分ノ二以上ノ多数ヲ以テスルニ非サレハ之ヲ為スコトヲ得ス
前条第三項但書ノ規定ハ前項ノ会議及議決ニ之ヲ準用ス
第三項ノ委員ノ数ハ会員二十人以内ノ郡市区医師会ニ在リテハ一人トシ会員二十人ヲ超ユルモノニ在リテハ会員三十人又ハ其ノ端数ヲ加フル毎ニ一人ヲ加フ但シ第八条ノ規定ニ依ル市ヲ区域トスル医師会ニ在リテハ会員ノ数ニ拘ラス二人トス
第六条 医師会ノ設立総会ニ於テ医師会設立ノ議決ヲ為シタルトキハ設立委員ハ会則案ヲ添ヘ速ニ其ノ認可ヲ地方長官ニ申請スヘシ
医師会ハ設立ノ認可アリタル時又ハ第九条ノ規定ニ依リ会則ノ設定アリタル時成立スルモノトス
第七条 医師会成立シタルトキハ地方長官ハ医師会ノ名称、区域、事務所ノ所在地及成立ノ年月日ヲ告示スヘシ其ノ告示シタル事項ニ変更アリタルトキ亦同シ
第八条 市制第六条ノ市ニシテ内務大臣ノ指定シタルモノニ於テハ市ヲ区域トスル医師会及市内ノ区ヲ区域トスル医師会ヲ設立スヘシ
前項ノ規定ニ依ル市ヲ区域トスル医師会ノ設立並其ノ役員及総会ニ関シテハ道府県医師会ノ設立並其ノ役員及総会ニ関スル規定ノ例ニ依ル此ノ場合ニ於テハ市ヲ区域トスル医師会ハ道府県医師会ニ、区ヲ区域トスル医師会ハ郡市区医師会ニ該ルモノトス
第一項ノ規定ニ依ル区ヲ区域トスル医師会ハ第五条第一項ノ適用ニ付テハ之ヲ郡市区医師会ニ非サルモノト看做ス
第九条 地方長官ハ医師会設立ノ義務ノ生シタル時ヨリ六月内ニ第四条、第五条又ハ第八条ノ規定ニ依ル医師会設立ノ議決ナキトキハ医師会ノ会員ト為ルヘキ者ニ設立委員ヲ命シ、会則ノ設定ヲ為シ其ノ他設立ニ関シ必要ナル処分ヲ為スコトヲ得
第十条 医師会ノ会則ニハ左ニ掲クル事項ヲ記載スヘシ
一 名称及区域
二 事務所ノ所在地
三 役員ノ種類、数、職務権限、選任、解任及任期ニ関スル規定
四 道府県医師会ニ在リテハ議員又ハ予備議員ノ選任、解任及任期ニ関スル規定
五 代議員ヲ設クル郡市区医師会ニ在リテハ代議員ノ選任、解任及任期ニ関スル規定
六 総会其ノ他会議ニ関スル規定
七 経費ノ分賦徴収ニ関スル規定
八 財産及営造物ノ管理及処分ニ関スル規定
九 庶務及会計ニ関スル規定
第十一条 医師会ノ会則ノ変更ハ総会ノ議決ヲ経テ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
第十二条 郡市区医師会ノ総会ハ其ノ郡市区医師会ノ会員ヲ以テ之ヲ組織ス会員百人以上ナルトキハ会則ノ定ムル所ニ依リ会員中ヨリ選挙シタル代議員ヲ以テ之ヲ組織スルコトヲ得
第十三条 道府県医師会ノ総会ハ道府県医師会ノ会員タル郡市区医師会カ其ノ会員中ヨリ選挙シタル道府県医師会議員ヲ以テ之ヲ組織ス
前項ノ議員事故アルトキハ郡市区医師会カ其ノ会員中ヨリ選挙シタル道府県医師会予備議員道府県医師会会則ノ定ムル所ニ依リ之ヲ代理スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依リ選挙スヘキ議員ノ数ハ第五条第五項ノ委員ノ数ノ例ニ依ル但シ道府県医師会会則ヲ以テ別段ノ定ヲ為スコトヲ妨ケス
第十四条 医師会ノ総会ニ於テ左ニ掲クル事項ヲ議決スル場合ニ於テハ其ノ会員、代議員又ハ議員半数以上出席スルニ非サレハ会議ヲ開クコトヲ得ス其ノ議決ハ出席者三分ノ二以上ノ多数ヲ以テスルニ非サレハ之ヲ為スコトヲ得ス
一 会則変更ノ議決
二 第二十一条又ハ第二十二条ノ議決
三 第二十八条第三項ノ議決
第四条第三項但書ノ規定ハ前項ノ会議及議決ニ之ヲ準用ス
第十五条 医師会ニハ左ノ役員ヲ置クヘシ
会長 一人
副会長 一人又ハ二人
前項ノ外会則ノ定ムル所ニ依リ必要ナル役員ヲ置クコトヲ得
第十六条 郡市区医師会ノ役員ハ其ノ会員中ヨリ、道府県医師会ノ役員ハ其ノ議員中ヨリ各其ノ総会ニ於テ之ヲ選挙スヘシ但シ第一回総会ニ於テ前項ノ役員ノ選任アル迄会則ヲ以テ仮役員ヲ定メ会務ヲ処理セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ役員ヲ選挙シタルトキハ速ニ其ノ氏名ヲ地方長官ニ届出ツヘシ
第十七条 会長ハ会務ヲ総理シ医師会ヲ代表ス
副会長ハ会長ヲ補佐シ会長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理ス
第十八条 医師会ニ於テ議決シ又ハ施行シ得ル事項左ノ如シ
一 法令又ハ会則ニ規定スル事項
二 医事衛生ニ関シ行政庁ヨリ諮問セラレタル事項
三 医事衛生ニ関シ行政庁ニ建議スル事項
四 医事衛生ノ研究及施設ニ関スル事項
五 救療ニ関スル事項
第十九条 行政官庁ハ医事衛生ニ関スル報告又ハ調査ヲ医師会ニ命スルコトヲ得
第二十条 医師会ノ経費及医師会設立ニ関スル経費ハ其ノ会員ノ負担トス
第二十一条 医師会ハ郡市区医師会ノ会員中医師法第二条第二号ニ該当シ又ハ業務ニ関シ不正ノ行為アリ免許取消又ハ医業停止ノ処分ヲ必要ト認ムル者アルトキハ総会ノ議決ニ依リ其ノ意見ヲ地方長官ニ具申スルコトヲ得医師法第十条第三項ニ該当スル者アリト認ムルトキ亦同シ
第二十二条 郡市区医師会ハ会則ノ定ムル所ニ依リ其ノ会員ニ対シ総会ノ議決ヲ経テ左ノ各号ノ一ニ掲クル懲戒ヲ行フコトヲ得但シ特別ノ事由アルトキハ之ヲ併セ行フコトヲ妨ケス
一 譴責
二 五百円以下ノ過怠金
三 三年内議員、予備議員及役員ノ選挙権及被選挙権並代議員ノ被選挙権ノ停止
代議員、議員、予備議員又ハ役員タル者前項第三号ノ規定ニ依リ被選挙権ヲ停止セラレタルトキハ解任セラレタルモノトス
第二十三条 医師会ノ会則及議決ハ其ノ会員ヲ羈束ス
第二十四条 地方長官ハ医師会ノ議決若ハ選挙又ハ施行スル事項カ法令若ハ会則ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキハ理由ヲ示シテ其ノ議決若ハ選挙ヲ取消シ又ハ其ノ施行スル事項ノ廃止、停止若ハ変更ヲ命スルコトヲ得
地方長官ハ医師会ノ役員又ハ仮役員ノ行為カ法令若ハ会則ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキハ其ノ役員又ハ仮役員ヲ解任スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ解任セラレタル者ハ三年間医師会ノ役員ト為ルコトヲ得ス
第二十五条 医師法第十条ノ規定ニ依リ医業ヲ停止セラレタル者ハ其ノ停止中医師会ノ総会ニ出席シ若ハ総会ニ於ケル表決権ヲ行ヒ又ハ医師会ノ役員タルコトヲ得ス
第二十六条 医師会ハ地方長官ノ定ムル所ニ依リ毎年度ノ予算、決算及会務ノ状況ヲ地方長官ニ届出ツヘシ
第二十七条 地方長官必要ト認ムルトキハ郡市又ハ北海道若ハ沖縄県ノ区ノ区域ニ依ラス郡市区医師会ノ区域ヲ定ムルコトヲ得
第二十八条 道府県郡市若ハ第八条ノ市内ノ区又ハ北海道若ハ沖縄県ノ区ノ廃置分合ニ依リ又ハ前条ノ規定ニ依リ医師会ノ区域ニ変更ヲ生シタル為医師会存立セサル区域ヲ生シタルトキハ其ノ区域ノ医師会ノ会員タルヘキ者ハ其ノ区域ニ依リ医師会ヲ設立シタルモノト看做ス
前項ノ場合ニ於テ地方長官ハ仮ニ会則ヲ定メ仮役員又ハ仮議員ヲ選任シテ役員又ハ議員ノ選任アル迄会務ヲ処理セシムヘシ
第一項ノ規定ニ依リ設立シタル医師会ハ会則ヲ議決シ其ノ認可ヲ設立ノ時ヨリ二月内ニ地方長官ニ申請スヘシ
第二十九条 医師会ノ区域ニ変更ヲ生シタル為財産処分ヲ要スルトキハ関係医師会ノ協議ニ依リ財産処分方法ヲ定メ関係医師会ノ区域カ道府県ヲ同シクスル場合ニ於テハ地方長官ニ、異ニスル場合ニ於テハ内務大臣ニ其ノ認可ヲ申請スヘシ
医師会ノ区域ニ変更ヲ生シタル為消滅シタル旧医師会ハ前項ノ目的ノ範囲内ニ於テハ仍之ヲ存続スルモノト看做ス
第一項ノ協議ヲ為サス又ハ協議調ハサル場合ニ於ケル財産処分方法ハ関係医師会ノ区域カ道府県ヲ同シクスル場合ニ於テハ地方長官、異ニスル場合ニ於テハ内務大臣之ヲ定ム
第三十条 医師会ハ本令ニ依リ地方長官ノ為シタル処分ニ不服アルトキハ内務大臣ニ訴願スルコトヲ得訴願スル場合ニ於テハ総会ノ議決ヲ経ルコトヲ要ス
第二十四条第二項ノ規定ニ依リ解任セラレタル役員又ハ仮役員其ノ解任ニ不服アルトキハ内務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第三十一条 北海道、沖縄県及島地ニ関シ本令中ノ規定ヲ適用シ難キ事項ニ付テハ内務大臣ノ認可ヲ受ケ地方長官別段ノ定ヲ為スコトヲ得
附 則
本令ハ大正八年法律第五十七号施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス