医師会及歯科医師会令
法令番号: 勅令第六百三十四號
公布年月日: 昭和17年8月22日
法令の形式: 勅令
朕醫師會及齒科醫師會令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十七年八月二十一日
內閣總理大臣 東條英機
厚生大臣 小泉親彥
勅令第六百三十四號
醫師會及齒科醫師會令
第一條 本令ニ於テ醫師會ト稱スルハ日本醫師會又ハ道府縣醫師會ヲ謂フ
第二條 日本醫師會ハ內地ヲ、道府縣醫師會ハ道府縣ヲ區域トス
第三條 醫師ニシテ醫事ニ關スル事務ニ從事スルモノハ其ノ就業ノ場所(就業ノ場所一定セザル者又ハ船舶內ニ於テ就業スルノ常況ニ在ル者ニ在リテハ住所トス以下同ジ)ノ所在スル道府縣ヲ區域トスル道府縣醫師會ノ會員トス
醫師ニシテ醫事ニ關スル事務ニ從事セザルモノハ其ノ住所ノ所在スル道府縣ヲ區域トスル道府縣醫師會ノ會員トス
醫師ニ非ザルモ醫師免許ヲ受クル資格ヲ有スル者ニシテ醫事ニ關スル業務ニ從事スルモノハ其ノ就業ノ場所ノ所在スル道府縣ヲ區域トスル道府縣醫師會ノ會員ト爲ルコトヲ得
地方長官必要アリト認ムルトキハ前項ノ者ニ對シ同項ノ道府縣醫師會ノ會員ト爲ルベキコトヲ命ズルコトヲ得
第一項乃至前項ノ規定ハ陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(歸休下士官兵ヲ除ク)、戰時若ハ事變ニ際シ又ハ兵役法第五十五條第二項ノ規定(志願ニ依リ兵籍ニ編入セラレタル者ニ付テハ之ニ該當スル勅令ノ規定ヲ含ム)ニ依リ召集中ノモノ、兵籍ニ編入セラレタル學生生徒、志願ニ依リ國民軍ニ編入セラレタル者及陸海軍軍屬(厚生大臣ノ定ムル者ヲ除ク)ニ對シテハ之ヲ適用セズ
第四條 道府縣醫師會ハ日本醫師會成立ノ時ヨリ其ノ會員トス
第五條 本令ニ依ル醫師會ニ非ザル者ハ醫師會又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用フルコトヲ得ズ
第六條 道府縣醫師會ノ設立ハ設立委員會則案ヲ定メ設立總會ノ議決ヲ經ベシ
設立委員ハ五人以上トシ第三條第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ當該道府縣醫師會ノ會員ト爲ルベキ者ノ中ヨリ地方長官之ヲ選任ス
設立總會ノ議員ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ會員ト爲ルベキ者ノ中ヨリ郡市ノ區域(特別ノ事情アルトキハ地方長官ノ指定スル區域)每ニ選擧ス
設立總會ニ於テハ議員半數以上出席スルニ非ザレバ會議ヲ開クコトヲ得ズ其ノ議決ハ出席者三分ノ二以上ノ多數ヲ以テスルニ非ザレバ之ヲ爲スコトヲ得ズ
設立總會ノ招集及議事整理ハ設立委員之ヲ行フ
設立總會ニ於テ設立ノ議決ヲ爲シタルトキハ設立委員ハ速ニ其ノ設立ニ付地方長官ノ認可ヲ受クベシ
道府縣醫師會ノ設立ニ要スル費用ハ當該道府縣醫師會ノ負擔トス
第七條 日本醫師會ノ設立ハ設立委員會則案ヲ定メ設立總會ノ議決ヲ經ベシ
設立委員ハ五人以上トシ道府縣醫師會ノ會長中ヨリ厚生大臣之ヲ選任ス
設立總會ノ議員ハ道府縣醫師會ノ會長(會長缺員ノトキハ副會長)ヲ以テ之ニ充ツ
設立總會ニ於テハ議員半數以上出席スルニ非ザレバ會議ヲ開クコトヲ得ズ其ノ議決ハ出席者三分ノ二以上ノ多數ヲ以テスルニ非ザレバ之ヲ爲スコトヲ得ズ
設立總會ノ招集及議事整理ハ設立委員之ヲ行フ
設立總會ニ於テ設立ノ議決ヲ爲シタルトキハ設立委員ハ速ニ其ノ設立ニ付厚生大臣ノ認可ヲ受クベシ
日本醫師會ノ設立ニ要スル費用ハ日本醫師會ノ負擔トス
第八條 醫師會ハ設立ノ認可ヲ受ケタル時又ハ第十條ノ規定ニ依リ會則ノ作成アリタル時成立ス
第九條 醫師會成立シタルトキハ監督官廳ハ醫師會ノ名稱、事務所ノ所在地及成立ノ年月日ヲ吿示スベシ其ノ吿示シタル事項ニ變更アリタルトキ亦同ジ
第十條 監督官廳ハ第六條第二項又ハ第七條第二項ノ規定ニ依リ醫師會ノ設立委員ヲ選任シタル時ヨリ二月以內ニ第六條第六項又ハ第七條第六項ノ規定ニ依ル設立認可ノ申請ナキトキハ會則ノ作成其ノ他設立ニ關シ必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
第十一條 醫師會ノ會則ニハ左ニ揭グル事項ヲ記載スベシ
一 目的及名稱
二 事務所ノ所在地
三 道府縣醫師會ニ在リテハ第三條第三項ニ該當スル者ノ入會及退會ノ手續ニ關スル規定
四 役員ニ關スル規定
五 道府縣醫師會ニ在リテハ議員及豫備議員ノ選擧ニ關スル規定
六 事業及其ノ執行ニ關スル規定
七 會員ノ懲戒ニ關スル規定
八 總會其ノ他會議ニ關スル規定
九 經費ノ分賦及收入ニ關スル規定
十 重要ナル財產及營造物ノ管理方法及處分ニ關スル規定
十一 庶務及會計ニ關スル規定
十二 道府縣醫師會ニ在リテハ支部ニ關スル規定
第十二條 醫師會ノ行フ事業左ノ如シ
一 醫道ノ振作ニ關スル事項
二 醫療及保健指導ニ關スル醫師ノ補習ニ關スル事項
三 醫療及保健指導ノ普及及向上ニ關スル事項
四 衞生思想ノ啓發ニ關スル事項
五 醫療及保健指導ノ調査硏究ニ關スル事項
六 醫業經營ノ改善ニ關スル事項
七 其ノ他目的達成上必要ナル事項
第十三條 醫師會ノ總會ハ議長、議員及特別議員ヲ以テ之ヲ組織ス
醫師會ニ豫備議員ヲ置ク
豫備議員ハ議員事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ議員缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
第十四條 日本醫師會ノ議員ハ道府縣醫師會ノ會長ヲ以テ之ニ充テ豫備議員ハ道府縣醫師會ノ副會長ヲ以テ之ニ充ツ
日本醫師會ノ特別議員ノ定數ハ十五人トシ道府縣醫師會ノ會員又ハ學識經驗アル者ノ中ヨリ厚生大臣之ヲ命ズ
第十五條 道府縣醫師會ノ議員及豫備議員ハ會則ノ定ムル所ニ依リ其ノ會員會員中ヨリ支部每ニ一人ヲ選擧ス
前項ノ選擧ニ付テハ會則ノ定ムル所ニ依リ指名推選ノ法ヲ用フルコトヲ得
道府縣醫師會ノ特別議員ノ定數ハ道府縣醫師會ノ議員ノ定數ノ三分ノ一(端數アル場合ハ之ヲ切捨ツルモノトス)トシ道府縣醫師會ノ會員又ハ學識經驗アル者ノ中ヨリ地方長官之ヲ命ズ
第十六條 道府縣醫師會ノ議員及豫備議員中缺員ヲ生ジタルトキハ會則ノ定ムル所ニ依リ補缺選擧ヲ行フ
道府縣醫師會ノ議員及豫備議員ノ定數ノ增加アリタル場合ニ於テハ會則ノ定ムル所ニ依リ增員選擧ヲ行フ
前條第二項ノ規定ハ前二項ノ規定ニ依ル選擧ニ之ヲ準用ス
第十七條 醫師會ノ特別議員竝ニ道府縣醫師會ノ議員及豫備議員ノ任期ハ三年トス
但シ補缺選擧又ハ增員選擧ニ依リ議員又ハ豫備議員ト爲リタル者ノ任期ハ他ノ議員又ハ豫備議員ノ殘任期間トシ特別議員ニ付テハ特別ノ事由アル場合ニ於テハ任期中之ヲ解任スルコトヲ妨ゲズ
第十八條 左ニ揭グル事項ハ總會ノ議決ヲ經ベシ
一 收支豫算
二 經費ノ分賦收入方法
三 收支決算
四 借入金(年度內ニ於テ償還スル借入金ヲ除ク)
五 重要ナル財產及營造物ノ造成、管理方法及處分
六 醫療報酬ノ標準額
七 會則ノ變更
八 其ノ他法令又ハ會則ニ規定スル事項
第十九條 前條第一號、第二號、第六號及第七號ニ揭グル事項ハ監督官廳ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
前條第四號又ハ第五號ニ揭グル事項ニ付テハ醫師會ハ監督官廳ノ認可ヲ受クベシ
第二十條 總會ハ醫師會ノ會長之ヲ招集ス
第二十一條 總會ノ議長ハ醫師會ノ會長、會長事故アルトキ又ハ缺員ノトキハ副會長ヲ以テ之ニ充ツ會長及副會長共ニ事故アルトキ又ハ缺員ノトキハ出席者ノ互選ニ依リ議長ヲ定ム
第二十二條 總會ハ本令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外議員(其ノ職務ヲ代理シ又ハ行フ豫備議員ヲ含ム)及特別議員ノ三分ノ一以上出席スルニ非ザレバ會議ヲ開クコトヲ得ズ但シ同一ノ事件ニ付招集再囘ニ至ルモ仍定數ニ滿タザルトキ又ハ招集ニ應ズルモ出席者定數ヲ缺キ議長ニ於テ出席ヲ催吿シ仍定數ニ滿タザルトキ若ハ定數ニ滿ツルモ其ノ後定數ニ滿タザルニ至リタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
總會ノ議事ハ本令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外出席者ノ過半數ヲ以テ之ヲ決ス可否同數ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第二十三條 總會ハ左ニ揭グル事項ノ議事ニ付テハ議員(其ノ職務ヲ代理シ又ハ行フ豫備議員ヲ含ム)及特別議員ノ半數以上出席スルニ非ザレバ會議ヲ開クコトヲ得ズ
一 會則變更ノ議決
二 第三十三條ノ議決
三 第三十五條第一項ノ議決
前條第一項但書ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ議決ハ出席者三分ノ二以上ノ多數ヲ以テスルニ非ザレバ之ヲ爲スコトヲ得ズ
第二十四條 醫師會ニ左ノ役員ヲ置ク
會長 一人
副會長 一人
專務理事 一人
理事 日本醫師會ニ在リテハ十人以內、道府縣醫師會ニ在リテハ五人以內
專務理事ハ有給トス
醫師會ハ會則ノ定ムル所ニ依リ第一項ノ役員ノ外必要ナル役員ヲ置クコトヲ得
第二十五條 日本醫師會ノ會長ハ道府縣醫師會ノ會員中ヨリ厚生大臣ノ奏請ニ依リ內閣ニ於テ之ヲ命ズ但シ特別ノ事由アルトキハ學識經驗アル者ノ中ヨリ之ヲ命ズルコトヲ妨ゲズ
日本醫師會ノ副會長、專務理事及理事ハ道府縣醫師會ノ會員中ヨリ日本醫師會長ノ推薦ニ依リ厚生大臣之ヲ命ズ但シ專務理事ハ學識經驗アル者ノ中ヨリ之ヲ命ズルコトヲ妨ゲズ
第二十六條 道府縣醫師會ノ會長ハ其ノ會員中ヨリ地方長官ノ具申ニ依リ厚生大臣之ヲ命ズ
道府縣醫師會ノ副會長、專務理事及理事ハ其ノ會員中ヨリ道府縣醫師會長ノ推薦ニ依リ地方長官之ヲ命ズ
前條第二項但書ノ規定ハ道府縣醫師會ノ專務理事ノ任命ニ之ヲ準用ス
道府縣醫師會長第二項ノ規定ニ依リ副會長、專務理事及理事ヲ推薦セントスルトキハ總會ノ意見ヲ徵スベシ
第二十七條 第二十四條第一項ノ役員ノ任期ハ三年トス但シ特別ノ事由アル場合ニ於テハ任期中之ヲ解任スルコトヲ妨ゲズ
第二十八條 會長ハ醫師會ヲ代表シ其ノ會務ヲ總理ス
副會長ハ會長ヲ輔佐シ會務ヲ掌理シ會長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ會長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
專務理事及理事ハ會長及副會長ヲ輔佐シ會務ヲ掌理ス
專務理事ハ會長及副會長共ニ事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ會長及副會長共ニ缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ豫メ會長ノ定ムル順位ニ依リ會長、副會長及專務理事共ニ事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ會長、副會長及專務理事共ニ缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
第二十九條 會長ハ總會成立セザルトキ又ハ總會ニ於テ議決スベキ事項ヲ議決セザルトキハ監督官廳ニ具狀シテ指揮ヲ請ヒ總會ノ議決スベキ事項ヲ處分スルコトヲ得
第三十條 總會ノ議決ヲ經ベキ事項ニシテ臨時急施ヲ要シ總會ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキハ會長之ヲ專決處分スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ會長ハ次ノ總會ニ於テ之ヲ報吿スベシ
第三十一條 道府縣醫師會ノ會務ヲ補助セシムル爲郡市ノ區域(特別ノ事情アルトキハ地方長官ノ指定スル區域)每ニ支部ヲ置ク
支部ニ支部長ヲ置ク
支部長ハ支部ノ事務ヲ掌理ス
支部長ハ當該支部ノ區域內ノ會員中ヨリ道府縣醫師會長地方長官ノ認可ヲ受ケ之ヲ委囑ス
第三十二條 醫師會ハ會則ノ定ムル所ニ依リ其ノ會員ニ對シ經費ヲ分賦スルコトヲ得
第三十三條 道府縣醫師會ハ其ノ會員中國民醫療法第十五條ノ處分ヲ必要ト認ムル者アルトキハ總會ノ議決ヲ經テ其ノ意見ヲ地方長官ヲ經由シテ厚生大臣ニ具申スルコトヲ得
第三十四條 道府縣醫師會ハ其ノ會員ト診療委囑者トノ間ニ紛議ヲ生ジタルトキハ當事者ノ請求ニ因リ其ノ調停ヲ爲スコトヲ得
第三十五條 道府縣醫師會ハ會則ノ定ムル所ニ依リ其ノ會員ニ對シ總會ノ議決ヲ經テ左ノ各號ノ一ニ揭グル懲戒ヲ行フコトヲ得但シ特別ノ事由アルトキハ之ヲ併セテ行フコトヲ妨ゲズ
一 譴責
二 千圓以下ノ過怠金
三 三年以內議員及豫備議員ノ選擧權及被選擧權ノ停止
議員又ハ豫備議員前項第三號ノ規定ニ依リ被選擧權ヲ停止セラレタルトキハ議員又ハ豫備議員ヲ解任セラレタルモノトス
第三十六條 醫師會ノ會則及議決ハ其ノ會員ヲ覊束ス
第三十七條 日本醫師會ハ會則ノ定ムル所ニ依リ其ノ事務ノ一部ヲ道府縣醫師會ヲシテ行ハシムルコトヲ得
第三十八條 日本醫師會ハ道府縣醫師會ノ總會ノ議決又ハ施行スル事項ガ日本醫師會ノ會則又ハ總會ノ議決ニ反スト認ムルトキハ其ノ議決ノ取消又ハ施行スル事項ノ廢止、停止若ハ變更ニ付厚生大臣ニ具狀スルコトヲ得
第三十九條 日本醫師會ハ厚生大臣之ヲ監督ス
道府縣醫師會ハ第一次ニ於テ地方長官、第二次ニ於テ厚生大臣之ヲ監督ス
第四十條 厚生大臣ハ日本醫師會ニ對シ、厚生大臣又ハ地方長官ハ道府縣醫師會ニ對シ醫療及保健指導ノ改良發達ヲ圖ル爲必要ナル事項ノ施行ヲ命ズルコトヲ得
第四十一條 監督官廳ハ醫師會ノ總會ノ議決、選擧又ハ施行スル事項ガ法令若ハ會則ニ違反シ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ其ノ議決、選擧若ハ當選ヲ取消シ、其ノ施行スル事項ノ廢止、停止若ハ變更ヲ命ジ又ハ特別議員ヲ解任シ若ハ議員若ハ豫備議員ノ改選ヲ命ズルコトヲ得道府縣醫師會ノ總會ノ議決又ハ施行スル事項ガ日本醫師會ノ會則又ハ總會ノ議決ニ反スト認ムルトキ亦同ジ
監督官廳ハ醫師會ノ役員ノ行爲ガ法令、會則若ハ議決ニ違反シ又ハ公益ヲ害スルモノト認ムルトキハ其ノ役員ヲ解任スルコトヲ得道府縣醫師會ノ役員ノ行爲ガ日本醫師會ノ會則又ハ總會ノ議決ニ反スト認ムルトキ亦同ジ
第四十二條 國民醫療法第十五條第二項ノ規定ニ依リ醫業ヲ停止セラレタル者ハ其ノ停止中議員又ハ豫備議員ノ選擧權及被選擧權ヲ有セズ
役員、議員、豫備議員又ハ特別議員國民醫療法第十五條第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ醫師免許ノ取消又ハ醫業ノ停止ノ處分ヲ受ケタルトキハ役員、議員、豫備議員又ハ特別議員ヲ解任セラレタルモノトス
第四十三條 監督官廳ハ必要アリト認ムルトキハ醫師會ニ對シ會務ニ關スル報吿ヲ爲サシメ又ハ會務若ハ財產ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ得
監督官廳ハ醫師會ノ監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第四十四條 道府縣醫師會ノ區域ニ變更ヲ生ジタル爲財產處分ヲ要スルトキハ關係醫師會ノ協議ニ依リ其ノ財產處分方法ヲ定ムベシ
關係醫師會前項ノ協議ヲ爲サズ又ハ協議ヲ爲スモ協議調ハザル場合ニ於テハ厚生大臣其ノ財產處分方法ヲ定ム
第四十五條 醫師會ハ本令ニ依リ地方長官ノ爲シタル處分ニ對シ不服アルトキハ厚生大臣ニ訴願スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ總會ノ議決ヲ經ルコトヲ要ス
第四十六條 道府縣醫師會ノ經費ノ分賦若ハ懲戒ヲ受ケタル者又ハ日本醫師會ノ經費ノ分賦ヲ受ケタル道府縣醫師會其ノ處分ニ不服アルトキハ其ノ處分ヲ爲シタル醫師會ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
前項ノ異議ノ申立アリタルトキハ其ノ醫師會ハ二月以內ニ決定ヲ爲シ申立人ニ之ヲ通知スベシ
前項ノ規定ニ依リ道府縣醫師會ノ爲シタル決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ地方長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ厚生大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル地方長官ノ裁決ニ付テハ當該醫師會ヨリモ總會ノ議決ヲ經テ厚生大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二項ノ規定ニ依リ日本醫師會ノ爲シタル決定ヲ受ケタル道府縣醫師會其ノ決定ニ不服アルトキハ總會ノ議決ヲ經テ厚生大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第三項ノ規定ニ依リ地方長官ニ訴願セントスルトキハ其ノ決定ヲ爲シタル道府縣醫師會ヲ、前項ノ規定ニ依リ厚生大臣ニ訴願セントスルトキハ日本醫師會ヲ經由スベシ此ノ場合ニ於テハ訴願法第十一條第一項ノ規定ヲ準用ス
異議ノ申立又ハ訴願若ハ行政訴訟ノ提起ハ處分通知又ハ決定書若ハ裁決書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ之ヲ爲スベシ
異議ノ申立ニ關シテハ訴願法第五條、第八條第三項、第九條、第十條及第十二條乃至第十四條ノ規定ヲ準用ス
第四十七條 第一條乃至前條ノ規定ハ日本齒科醫師會及道府縣齒科醫師會ニ之ヲ準用ス但シ同條中醫師、醫師免許、醫業又ハ醫師會長トアルハ各齒科醫師(醫師ニシテ國民醫療法第八條第二項ノ規定ニ依リ厚生大臣ノ許可ヲ受ケ齒科專門ヲ標榜シ又ハ齒科醫業ニ屬スル行爲ヲ爲スモノヲ含ム)、齒科醫師免許、齒科醫業又ハ齒科醫師會長トス
附 則
第四十八條 本令ハ國民醫療法中醫師會及齒科醫師會ニ關スル規定施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第四十九條 醫師會令及齒科醫師會令ハ之ヲ廢止ス但シ同令中郡市區醫師會、道府縣醫師會及日本醫師會竝ニ郡市齒科醫師會、道府縣齒科醫師會及日本齒科醫師會ニ關スル規定ハ第五十條ノ規定ニ依リ醫師法又ハ齒科醫師法中當該醫師會又ハ齒科醫師會ニ關スル規定ノ效力ヲ有スル時迄仍其ノ效力ヲ有ス
第五十條 國民醫療法第八十三條但書ノ規定ニ依ル時期ハ左ノ如シ
一 醫師法又ハ齒科醫師法中郡市區醫師會又ハ郡市齒科醫師會ニ關スル規定ハ各道府縣ノ郡市區醫師會又ハ郡市齒科醫師會每ニ付本令ニ依リ當該道府縣ノ郡市區醫師會又ハ郡市齒科醫師會ノ屬スル道府縣ヲ區域トスル道府縣醫師會又ハ道府縣齒科醫師會ノ成立アリタル時
二 醫師法又ハ齒科醫師法中道府縣醫師會又ハ道府縣齒科醫師會ニ關スル規定ハ各道府縣醫師會又ハ道府縣齒科醫師會每ニ付本令ニ依リ區域ヲ同ジクスル道府縣醫師會又ハ道府縣齒科醫師會ノ成立アリタル時但シ醫師法又ハ齒科醫師法ニ依ル日本醫師會又ハ日本齒科醫師會ノ會員タル資格ニ於ケル道府縣醫師會又ハ道府縣齒科醫師會ニ關スル規定ハ本令ニ依リ日本醫師會又ハ日本齒科醫師會ノ成立アリタル時
三 醫師法又ハ齒科醫師法中日本醫師會又ハ日本齒科醫師會ニ關スル規定ハ本令ニ依リ日本醫師會又ハ日本齒科醫師會ノ成立アリタル時
第五十一條 國民醫療法第八十八條ノ規定ニ依ル權利義務ノ承繼ハ左ノ區別ニ依ル
一 醫師法又ハ齒科醫師法ニ依ル郡市區醫師會又ハ郡市齒科醫師會ノ權利義務ニ在リテハ其ノ郡市區醫師會又ハ郡市齒科醫師會ノ屬スル道府縣ヲ區域トスル本令ニ依ル道府縣醫師會又ハ道府縣齒科醫師會
二 醫師法又ハ齒科醫師法ニ依ル道府縣醫師會又ハ道府縣醫師會ノ權利義務ニ在リテハ其ノ區域ヲ同ジクスル本令ニ依ル道府縣醫師會又ハ道府縣齒科醫師會
三 醫師法又ハ齒科醫師法ニ依ル日本醫師會又ハ日本齒科醫師會ノ權利義務ニ在リテハ本令ニ依ル日本醫師會又ハ日本齒科醫師會
第五十二條 本令ニ依ル醫師會又ハ齒科醫師會成立ノ際醫師會令又ハ齒科醫師會令ニ依ル選擧權及被選擧權ノ停止處分ニシテ其ノ停止期間滿了セザルモノ、同令ニ依ル異議ノ申立ニシテ現ニ申立中ノモノ又ハ申立期間滿了セザルモノ等ノ處理ニ關シ必要アル場合ニ於テハ厚生大臣必要ナル定ヲ爲スコトヲ得
朕医師会及歯科医師会令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十七年八月二十一日
内閣総理大臣 東条英機
厚生大臣 小泉親彦
勅令第六百三十四号
医師会及歯科医師会令
第一条 本令ニ於テ医師会ト称スルハ日本医師会又ハ道府県医師会ヲ謂フ
第二条 日本医師会ハ内地ヲ、道府県医師会ハ道府県ヲ区域トス
第三条 医師ニシテ医事ニ関スル事務ニ従事スルモノハ其ノ就業ノ場所(就業ノ場所一定セザル者又ハ船舶内ニ於テ就業スルノ常況ニ在ル者ニ在リテハ住所トス以下同ジ)ノ所在スル道府県ヲ区域トスル道府県医師会ノ会員トス
医師ニシテ医事ニ関スル事務ニ従事セザルモノハ其ノ住所ノ所在スル道府県ヲ区域トスル道府県医師会ノ会員トス
医師ニ非ザルモ医師免許ヲ受クル資格ヲ有スル者ニシテ医事ニ関スル業務ニ従事スルモノハ其ノ就業ノ場所ノ所在スル道府県ヲ区域トスル道府県医師会ノ会員ト為ルコトヲ得
地方長官必要アリト認ムルトキハ前項ノ者ニ対シ同項ノ道府県医師会ノ会員ト為ルベキコトヲ命ズルコトヲ得
第一項乃至前項ノ規定ハ陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(帰休下士官兵ヲ除ク)、戦時若ハ事変ニ際シ又ハ兵役法第五十五条第二項ノ規定(志願ニ依リ兵籍ニ編入セラレタル者ニ付テハ之ニ該当スル勅令ノ規定ヲ含ム)ニ依リ召集中ノモノ、兵籍ニ編入セラレタル学生生徒、志願ニ依リ国民軍ニ編入セラレタル者及陸海軍軍属(厚生大臣ノ定ムル者ヲ除ク)ニ対シテハ之ヲ適用セズ
第四条 道府県医師会ハ日本医師会成立ノ時ヨリ其ノ会員トス
第五条 本令ニ依ル医師会ニ非ザル者ハ医師会又ハ之ニ類似スル名称ヲ用フルコトヲ得ズ
第六条 道府県医師会ノ設立ハ設立委員会則案ヲ定メ設立総会ノ議決ヲ経ベシ
設立委員ハ五人以上トシ第三条第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ当該道府県医師会ノ会員ト為ルベキ者ノ中ヨリ地方長官之ヲ選任ス
設立総会ノ議員ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ会員ト為ルベキ者ノ中ヨリ郡市ノ区域(特別ノ事情アルトキハ地方長官ノ指定スル区域)毎ニ選挙ス
設立総会ニ於テハ議員半数以上出席スルニ非ザレバ会議ヲ開クコトヲ得ズ其ノ議決ハ出席者三分ノ二以上ノ多数ヲ以テスルニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ
設立総会ノ招集及議事整理ハ設立委員之ヲ行フ
設立総会ニ於テ設立ノ議決ヲ為シタルトキハ設立委員ハ速ニ其ノ設立ニ付地方長官ノ認可ヲ受クベシ
道府県医師会ノ設立ニ要スル費用ハ当該道府県医師会ノ負担トス
第七条 日本医師会ノ設立ハ設立委員会則案ヲ定メ設立総会ノ議決ヲ経ベシ
設立委員ハ五人以上トシ道府県医師会ノ会長中ヨリ厚生大臣之ヲ選任ス
設立総会ノ議員ハ道府県医師会ノ会長(会長欠員ノトキハ副会長)ヲ以テ之ニ充ツ
設立総会ニ於テハ議員半数以上出席スルニ非ザレバ会議ヲ開クコトヲ得ズ其ノ議決ハ出席者三分ノ二以上ノ多数ヲ以テスルニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ
設立総会ノ招集及議事整理ハ設立委員之ヲ行フ
設立総会ニ於テ設立ノ議決ヲ為シタルトキハ設立委員ハ速ニ其ノ設立ニ付厚生大臣ノ認可ヲ受クベシ
日本医師会ノ設立ニ要スル費用ハ日本医師会ノ負担トス
第八条 医師会ハ設立ノ認可ヲ受ケタル時又ハ第十条ノ規定ニ依リ会則ノ作成アリタル時成立ス
第九条 医師会成立シタルトキハ監督官庁ハ医師会ノ名称、事務所ノ所在地及成立ノ年月日ヲ告示スベシ其ノ告示シタル事項ニ変更アリタルトキ亦同ジ
第十条 監督官庁ハ第六条第二項又ハ第七条第二項ノ規定ニ依リ医師会ノ設立委員ヲ選任シタル時ヨリ二月以内ニ第六条第六項又ハ第七条第六項ノ規定ニ依ル設立認可ノ申請ナキトキハ会則ノ作成其ノ他設立ニ関シ必要ナル処分ヲ為スコトヲ得
第十一条 医師会ノ会則ニハ左ニ掲グル事項ヲ記載スベシ
一 目的及名称
二 事務所ノ所在地
三 道府県医師会ニ在リテハ第三条第三項ニ該当スル者ノ入会及退会ノ手続ニ関スル規定
四 役員ニ関スル規定
五 道府県医師会ニ在リテハ議員及予備議員ノ選挙ニ関スル規定
六 事業及其ノ執行ニ関スル規定
七 会員ノ懲戒ニ関スル規定
八 総会其ノ他会議ニ関スル規定
九 経費ノ分賦及収入ニ関スル規定
十 重要ナル財産及営造物ノ管理方法及処分ニ関スル規定
十一 庶務及会計ニ関スル規定
十二 道府県医師会ニ在リテハ支部ニ関スル規定
第十二条 医師会ノ行フ事業左ノ如シ
一 医道ノ振作ニ関スル事項
二 医療及保健指導ニ関スル医師ノ補習ニ関スル事項
三 医療及保健指導ノ普及及向上ニ関スル事項
四 衛生思想ノ啓発ニ関スル事項
五 医療及保健指導ノ調査研究ニ関スル事項
六 医業経営ノ改善ニ関スル事項
七 其ノ他目的達成上必要ナル事項
第十三条 医師会ノ総会ハ議長、議員及特別議員ヲ以テ之ヲ組織ス
医師会ニ予備議員ヲ置ク
予備議員ハ議員事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ議員欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
第十四条 日本医師会ノ議員ハ道府県医師会ノ会長ヲ以テ之ニ充テ予備議員ハ道府県医師会ノ副会長ヲ以テ之ニ充ツ
日本医師会ノ特別議員ノ定数ハ十五人トシ道府県医師会ノ会員又ハ学識経験アル者ノ中ヨリ厚生大臣之ヲ命ズ
第十五条 道府県医師会ノ議員及予備議員ハ会則ノ定ムル所ニ依リ其ノ会員会員中ヨリ支部毎ニ一人ヲ選挙ス
前項ノ選挙ニ付テハ会則ノ定ムル所ニ依リ指名推選ノ法ヲ用フルコトヲ得
道府県医師会ノ特別議員ノ定数ハ道府県医師会ノ議員ノ定数ノ三分ノ一(端数アル場合ハ之ヲ切捨ツルモノトス)トシ道府県医師会ノ会員又ハ学識経験アル者ノ中ヨリ地方長官之ヲ命ズ
第十六条 道府県医師会ノ議員及予備議員中欠員ヲ生ジタルトキハ会則ノ定ムル所ニ依リ補欠選挙ヲ行フ
道府県医師会ノ議員及予備議員ノ定数ノ増加アリタル場合ニ於テハ会則ノ定ムル所ニ依リ増員選挙ヲ行フ
前条第二項ノ規定ハ前二項ノ規定ニ依ル選挙ニ之ヲ準用ス
第十七条 医師会ノ特別議員並ニ道府県医師会ノ議員及予備議員ノ任期ハ三年トス
但シ補欠選挙又ハ増員選挙ニ依リ議員又ハ予備議員ト為リタル者ノ任期ハ他ノ議員又ハ予備議員ノ残任期間トシ特別議員ニ付テハ特別ノ事由アル場合ニ於テハ任期中之ヲ解任スルコトヲ妨ゲズ
第十八条 左ニ掲グル事項ハ総会ノ議決ヲ経ベシ
一 収支予算
二 経費ノ分賦収入方法
三 収支決算
四 借入金(年度内ニ於テ償還スル借入金ヲ除ク)
五 重要ナル財産及営造物ノ造成、管理方法及処分
六 医療報酬ノ標準額
七 会則ノ変更
八 其ノ他法令又ハ会則ニ規定スル事項
第十九条 前条第一号、第二号、第六号及第七号ニ掲グル事項ハ監督官庁ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
前条第四号又ハ第五号ニ掲グル事項ニ付テハ医師会ハ監督官庁ノ認可ヲ受クベシ
第二十条 総会ハ医師会ノ会長之ヲ招集ス
第二十一条 総会ノ議長ハ医師会ノ会長、会長事故アルトキ又ハ欠員ノトキハ副会長ヲ以テ之ニ充ツ会長及副会長共ニ事故アルトキ又ハ欠員ノトキハ出席者ノ互選ニ依リ議長ヲ定ム
第二十二条 総会ハ本令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外議員(其ノ職務ヲ代理シ又ハ行フ予備議員ヲ含ム)及特別議員ノ三分ノ一以上出席スルニ非ザレバ会議ヲ開クコトヲ得ズ但シ同一ノ事件ニ付招集再回ニ至ルモ仍定数ニ満タザルトキ又ハ招集ニ応ズルモ出席者定数ヲ欠キ議長ニ於テ出席ヲ催告シ仍定数ニ満タザルトキ若ハ定数ニ満ツルモ其ノ後定数ニ満タザルニ至リタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
総会ノ議事ハ本令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外出席者ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス可否同数ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第二十三条 総会ハ左ニ掲グル事項ノ議事ニ付テハ議員(其ノ職務ヲ代理シ又ハ行フ予備議員ヲ含ム)及特別議員ノ半数以上出席スルニ非ザレバ会議ヲ開クコトヲ得ズ
一 会則変更ノ議決
二 第三十三条ノ議決
三 第三十五条第一項ノ議決
前条第一項但書ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ議決ハ出席者三分ノ二以上ノ多数ヲ以テスルニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ
第二十四条 医師会ニ左ノ役員ヲ置ク
会長 一人
副会長 一人
専務理事 一人
理事 日本医師会ニ在リテハ十人以内、道府県医師会ニ在リテハ五人以内
専務理事ハ有給トス
医師会ハ会則ノ定ムル所ニ依リ第一項ノ役員ノ外必要ナル役員ヲ置クコトヲ得
第二十五条 日本医師会ノ会長ハ道府県医師会ノ会員中ヨリ厚生大臣ノ奏請ニ依リ内閣ニ於テ之ヲ命ズ但シ特別ノ事由アルトキハ学識経験アル者ノ中ヨリ之ヲ命ズルコトヲ妨ゲズ
日本医師会ノ副会長、専務理事及理事ハ道府県医師会ノ会員中ヨリ日本医師会長ノ推薦ニ依リ厚生大臣之ヲ命ズ但シ専務理事ハ学識経験アル者ノ中ヨリ之ヲ命ズルコトヲ妨ゲズ
第二十六条 道府県医師会ノ会長ハ其ノ会員中ヨリ地方長官ノ具申ニ依リ厚生大臣之ヲ命ズ
道府県医師会ノ副会長、専務理事及理事ハ其ノ会員中ヨリ道府県医師会長ノ推薦ニ依リ地方長官之ヲ命ズ
前条第二項但書ノ規定ハ道府県医師会ノ専務理事ノ任命ニ之ヲ準用ス
道府県医師会長第二項ノ規定ニ依リ副会長、専務理事及理事ヲ推薦セントスルトキハ総会ノ意見ヲ徴スベシ
第二十七条 第二十四条第一項ノ役員ノ任期ハ三年トス但シ特別ノ事由アル場合ニ於テハ任期中之ヲ解任スルコトヲ妨ゲズ
第二十八条 会長ハ医師会ヲ代表シ其ノ会務ヲ総理ス
副会長ハ会長ヲ輔佐シ会務ヲ掌理シ会長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ会長欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
専務理事及理事ハ会長及副会長ヲ輔佐シ会務ヲ掌理ス
専務理事ハ会長及副会長共ニ事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ会長及副会長共ニ欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ予メ会長ノ定ムル順位ニ依リ会長、副会長及専務理事共ニ事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ会長、副会長及専務理事共ニ欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
第二十九条 会長ハ総会成立セザルトキ又ハ総会ニ於テ議決スベキ事項ヲ議決セザルトキハ監督官庁ニ具状シテ指揮ヲ請ヒ総会ノ議決スベキ事項ヲ処分スルコトヲ得
第三十条 総会ノ議決ヲ経ベキ事項ニシテ臨時急施ヲ要シ総会ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキハ会長之ヲ専決処分スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ会長ハ次ノ総会ニ於テ之ヲ報告スベシ
第三十一条 道府県医師会ノ会務ヲ補助セシムル為郡市ノ区域(特別ノ事情アルトキハ地方長官ノ指定スル区域)毎ニ支部ヲ置ク
支部ニ支部長ヲ置ク
支部長ハ支部ノ事務ヲ掌理ス
支部長ハ当該支部ノ区域内ノ会員中ヨリ道府県医師会長地方長官ノ認可ヲ受ケ之ヲ委嘱ス
第三十二条 医師会ハ会則ノ定ムル所ニ依リ其ノ会員ニ対シ経費ヲ分賦スルコトヲ得
第三十三条 道府県医師会ハ其ノ会員中国民医療法第十五条ノ処分ヲ必要ト認ムル者アルトキハ総会ノ議決ヲ経テ其ノ意見ヲ地方長官ヲ経由シテ厚生大臣ニ具申スルコトヲ得
第三十四条 道府県医師会ハ其ノ会員ト診療委嘱者トノ間ニ紛議ヲ生ジタルトキハ当事者ノ請求ニ因リ其ノ調停ヲ為スコトヲ得
第三十五条 道府県医師会ハ会則ノ定ムル所ニ依リ其ノ会員ニ対シ総会ノ議決ヲ経テ左ノ各号ノ一ニ掲グル懲戒ヲ行フコトヲ得但シ特別ノ事由アルトキハ之ヲ併セテ行フコトヲ妨ゲズ
一 譴責
二 千円以下ノ過怠金
三 三年以内議員及予備議員ノ選挙権及被選挙権ノ停止
議員又ハ予備議員前項第三号ノ規定ニ依リ被選挙権ヲ停止セラレタルトキハ議員又ハ予備議員ヲ解任セラレタルモノトス
第三十六条 医師会ノ会則及議決ハ其ノ会員ヲ羈束ス
第三十七条 日本医師会ハ会則ノ定ムル所ニ依リ其ノ事務ノ一部ヲ道府県医師会ヲシテ行ハシムルコトヲ得
第三十八条 日本医師会ハ道府県医師会ノ総会ノ議決又ハ施行スル事項ガ日本医師会ノ会則又ハ総会ノ議決ニ反スト認ムルトキハ其ノ議決ノ取消又ハ施行スル事項ノ廃止、停止若ハ変更ニ付厚生大臣ニ具状スルコトヲ得
第三十九条 日本医師会ハ厚生大臣之ヲ監督ス
道府県医師会ハ第一次ニ於テ地方長官、第二次ニ於テ厚生大臣之ヲ監督ス
第四十条 厚生大臣ハ日本医師会ニ対シ、厚生大臣又ハ地方長官ハ道府県医師会ニ対シ医療及保健指導ノ改良発達ヲ図ル為必要ナル事項ノ施行ヲ命ズルコトヲ得
第四十一条 監督官庁ハ医師会ノ総会ノ議決、選挙又ハ施行スル事項ガ法令若ハ会則ニ違反シ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ其ノ議決、選挙若ハ当選ヲ取消シ、其ノ施行スル事項ノ廃止、停止若ハ変更ヲ命ジ又ハ特別議員ヲ解任シ若ハ議員若ハ予備議員ノ改選ヲ命ズルコトヲ得道府県医師会ノ総会ノ議決又ハ施行スル事項ガ日本医師会ノ会則又ハ総会ノ議決ニ反スト認ムルトキ亦同ジ
監督官庁ハ医師会ノ役員ノ行為ガ法令、会則若ハ議決ニ違反シ又ハ公益ヲ害スルモノト認ムルトキハ其ノ役員ヲ解任スルコトヲ得道府県医師会ノ役員ノ行為ガ日本医師会ノ会則又ハ総会ノ議決ニ反スト認ムルトキ亦同ジ
第四十二条 国民医療法第十五条第二項ノ規定ニ依リ医業ヲ停止セラレタル者ハ其ノ停止中議員又ハ予備議員ノ選挙権及被選挙権ヲ有セズ
役員、議員、予備議員又ハ特別議員国民医療法第十五条第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ医師免許ノ取消又ハ医業ノ停止ノ処分ヲ受ケタルトキハ役員、議員、予備議員又ハ特別議員ヲ解任セラレタルモノトス
第四十三条 監督官庁ハ必要アリト認ムルトキハ医師会ニ対シ会務ニ関スル報告ヲ為サシメ又ハ会務若ハ財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得
監督官庁ハ医師会ノ監督上必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第四十四条 道府県医師会ノ区域ニ変更ヲ生ジタル為財産処分ヲ要スルトキハ関係医師会ノ協議ニ依リ其ノ財産処分方法ヲ定ムベシ
関係医師会前項ノ協議ヲ為サズ又ハ協議ヲ為スモ協議調ハザル場合ニ於テハ厚生大臣其ノ財産処分方法ヲ定ム
第四十五条 医師会ハ本令ニ依リ地方長官ノ為シタル処分ニ対シ不服アルトキハ厚生大臣ニ訴願スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ総会ノ議決ヲ経ルコトヲ要ス
第四十六条 道府県医師会ノ経費ノ分賦若ハ懲戒ヲ受ケタル者又ハ日本医師会ノ経費ノ分賦ヲ受ケタル道府県医師会其ノ処分ニ不服アルトキハ其ノ処分ヲ為シタル医師会ニ異議ノ申立ヲ為スコトヲ得
前項ノ異議ノ申立アリタルトキハ其ノ医師会ハ二月以内ニ決定ヲ為シ申立人ニ之ヲ通知スベシ
前項ノ規定ニ依リ道府県医師会ノ為シタル決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ地方長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ厚生大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル地方長官ノ裁決ニ付テハ当該医師会ヨリモ総会ノ議決ヲ経テ厚生大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二項ノ規定ニ依リ日本医師会ノ為シタル決定ヲ受ケタル道府県医師会其ノ決定ニ不服アルトキハ総会ノ議決ヲ経テ厚生大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第三項ノ規定ニ依リ地方長官ニ訴願セントスルトキハ其ノ決定ヲ為シタル道府県医師会ヲ、前項ノ規定ニ依リ厚生大臣ニ訴願セントスルトキハ日本医師会ヲ経由スベシ此ノ場合ニ於テハ訴願法第十一条第一項ノ規定ヲ準用ス
異議ノ申立又ハ訴願若ハ行政訴訟ノ提起ハ処分通知又ハ決定書若ハ裁決書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内ニ之ヲ為スベシ
異議ノ申立ニ関シテハ訴願法第五条、第八条第三項、第九条、第十条及第十二条乃至第十四条ノ規定ヲ準用ス
第四十七条 第一条乃至前条ノ規定ハ日本歯科医師会及道府県歯科医師会ニ之ヲ準用ス但シ同条中医師、医師免許、医業又ハ医師会長トアルハ各歯科医師(医師ニシテ国民医療法第八条第二項ノ規定ニ依リ厚生大臣ノ許可ヲ受ケ歯科専門ヲ標榜シ又ハ歯科医業ニ属スル行為ヲ為スモノヲ含ム)、歯科医師免許、歯科医業又ハ歯科医師会長トス
附 則
第四十八条 本令ハ国民医療法中医師会及歯科医師会ニ関スル規定施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第四十九条 医師会令及歯科医師会令ハ之ヲ廃止ス但シ同令中郡市区医師会、道府県医師会及日本医師会並ニ郡市歯科医師会、道府県歯科医師会及日本歯科医師会ニ関スル規定ハ第五十条ノ規定ニ依リ医師法又ハ歯科医師法中当該医師会又ハ歯科医師会ニ関スル規定ノ効力ヲ有スル時迄仍其ノ効力ヲ有ス
第五十条 国民医療法第八十三条但書ノ規定ニ依ル時期ハ左ノ如シ
一 医師法又ハ歯科医師法中郡市区医師会又ハ郡市歯科医師会ニ関スル規定ハ各道府県ノ郡市区医師会又ハ郡市歯科医師会毎ニ付本令ニ依リ当該道府県ノ郡市区医師会又ハ郡市歯科医師会ノ属スル道府県ヲ区域トスル道府県医師会又ハ道府県歯科医師会ノ成立アリタル時
二 医師法又ハ歯科医師法中道府県医師会又ハ道府県歯科医師会ニ関スル規定ハ各道府県医師会又ハ道府県歯科医師会毎ニ付本令ニ依リ区域ヲ同ジクスル道府県医師会又ハ道府県歯科医師会ノ成立アリタル時但シ医師法又ハ歯科医師法ニ依ル日本医師会又ハ日本歯科医師会ノ会員タル資格ニ於ケル道府県医師会又ハ道府県歯科医師会ニ関スル規定ハ本令ニ依リ日本医師会又ハ日本歯科医師会ノ成立アリタル時
三 医師法又ハ歯科医師法中日本医師会又ハ日本歯科医師会ニ関スル規定ハ本令ニ依リ日本医師会又ハ日本歯科医師会ノ成立アリタル時
第五十一条 国民医療法第八十八条ノ規定ニ依ル権利義務ノ承継ハ左ノ区別ニ依ル
一 医師法又ハ歯科医師法ニ依ル郡市区医師会又ハ郡市歯科医師会ノ権利義務ニ在リテハ其ノ郡市区医師会又ハ郡市歯科医師会ノ属スル道府県ヲ区域トスル本令ニ依ル道府県医師会又ハ道府県歯科医師会
二 医師法又ハ歯科医師法ニ依ル道府県医師会又ハ道府県医師会ノ権利義務ニ在リテハ其ノ区域ヲ同ジクスル本令ニ依ル道府県医師会又ハ道府県歯科医師会
三 医師法又ハ歯科医師法ニ依ル日本医師会又ハ日本歯科医師会ノ権利義務ニ在リテハ本令ニ依ル日本医師会又ハ日本歯科医師会
第五十二条 本令ニ依ル医師会又ハ歯科医師会成立ノ際医師会令又ハ歯科医師会令ニ依ル選挙権及被選挙権ノ停止処分ニシテ其ノ停止期間満了セザルモノ、同令ニ依ル異議ノ申立ニシテ現ニ申立中ノモノ又ハ申立期間満了セザルモノ等ノ処理ニ関シ必要アル場合ニ於テハ厚生大臣必要ナル定ヲ為スコトヲ得