船舶積量測度法
法令番号: 法律第三十四號
公布年月日: 大正3年3月31日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル船舶積量測度法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正三年三月三十日
內閣總理大臣 伯爵 山本權兵衞
農商務大臣 山本達雄
大藏大臣 男爵 高橋是淸
司法大臣 法學博士 奧田義人
遞信大臣 元田肇
法律第三十四號
船舶積量測度法
第一條 船舶ノ積量ハ百立方「フート」ヲ以テ一噸トシ之ヲ測度ス
第二條 甲板一層又ハ二層ヲ備フル船舶ニ在リテハ上甲板ヲ、三層以上ヲ備フル船舶ニ在リテハ最下層甲板ヨリ第二層ニ在ル甲板ヲ量噸甲板トス
第三條 甲板一層又ハ二層ヲ備フル船舶ニ在リテハ量噸甲板下ノ噸數ニ量噸甲板上蔽圍シタル場所ノ噸數ヲ、甲板三層以上ヲ備フル船舶ニ在リテハ量噸甲板下ノ噸數ニ量噸甲板上各甲板間ノ噸數及上甲板上蔽圍シタル場所ノ噸數ヲ加ヘタルモノヲ總噸數トス但シ左ニ揭クル場所ニシテ上甲板上ニ在ルモノノ噸數ハ之ヲ總噸數ニ算入セス
一 操舵機具、繫船機具、揚錨機具及主機關ト連結セサル副汽鑵副汽機ニ供用セラルル場所
二 機關室、操舵室、賄室及出入口室
三 採光通風ニ要スル場所及便所
四 主務大臣ニ於テ船舶ノ安全、衞生又ハ利用上前各號ニ揭クルモノニ準スヘキモノト認ムル場所
前項ニ揭クル機關室ノ噸數ハ船舶所有者ノ申請アリタル場合ニ於テ主務大臣之ヲ相當ト認ムルトキハ其ノ全部又ハ一部ヲ總噸數ニ算入スルコトヲ得
甲板ヲ備ヘサル船舶ニ在リテハ舷端以下ノ噸數ニ舷端以上蔽圍シタル場所ノ噸數ヲ加ヘタルモノヲ總噸數トス
第四條 總噸數ヨリ左ニ揭クル場所ノ噸數ヲ控除シタルモノヲ登簿噸數トス但シ總噸數ニ算入セサル場所ノ噸數ハ之ヲ控除セス
一 船員常用室及海圖室
二 荷足水艙
三 機關室
四 操舵機具、繫船機具、揚錨機具及主喞筒ト連結シタル副汽鑵副汽機ニ供用セラルル場所
五 水夫長倉庫
六 帆船ノ帆庫
七 主務大臣ニ於テ船舶ノ安全、衞生又ハ利用上前各號ニ揭クルモノニ準スヘキモノト認ムル場所
第五條 前二條ニ揭クル場所ノ限域ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依ル
第六條 登簿噸數ノ算定ニ付機關室ノ噸數トシテ總噸數ヨリ控除スヘキ噸數ハ左ノ割合ニ依リ之ヲ定ム
一 螺旋推進器ヲ備フル船舶ニ在リテハ機關室ノ噸數カ總噸數ノ百分ノ十三ヲ超エ百分ノ二十未滿ナルトキハ總噸數ノ百分ノ三十二、外車ヲ備フル船舶ニ在リテハ機關室ノ噸數カ總噸數ノ百分ノ二十ヲ超エ百分ノ三十未滿ナルトキハ總噸數ノ百分ノ三十七
二 前號ニ該當セサル場合ニ於テハ螺旋推進器ヲ備フル船舶ニ在リテハ機關室ノ噸數ニ其ノ四分ノ三、外車ヲ備フル船舶ニ在リテハ機關室ノ噸數ニ其ノ二分ノ一ヲ加ヘタルモノ但シ船舶所有者ノ申請アリタル場合ニ於テ主務大臣之ヲ相當ト認ムルトキハ前號ノ割合ニ依ルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ算定シタル噸數カ登簿噸數ノ算定ニ付總噸數ヨリ控除スヘキ機關室以外ノ場所ノ噸數ヲ總噸數ヨリ減シタル噸數ノ百分ノ五十五ヲ超ユルトキハ之ヲ百分ノ五十五ニ止ム
第七條 登簿噸數ノ算定ニ付總噸數ヨリ控除スヘキ帆庫ノ噸數カ總噸數ノ千分ノ二十五ヲ超ユルトキハ之ヲ千分ノ二十五ニ止ム
第八條 石數ヲ以テ積量ヲ表示スヘキ船舶ノ積量ハ十立方尺ヲ以テ一石トシ之ヲ測度シ囘漕船ニ在リテハ船梁上下ノ船艙ノ石數、其ノ他ノモノニ在リテハ舷端以下ノ船艙ノ石數ヲ積石數トス
第九條 積量測度ノ方法ハ主務大臣之ヲ定ム
附 則
第十條 本法ハ大正三年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十一條 明治十七年布吿第十號船舶積量測度規則ハ之ヲ廢止ス
第十二條 舊法ニ依リ噸數ヲ以テ積量ノ測度ヲ受ケタル船舶ニ付テハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ其ノ積量ヲ改測ス
第十三條 前條ノ規定ニ依ル改測前ニ於テ船舶法第九條ノ申請ニ因リ積量ヲ改測スル場合ニ於テハ舊法ニ依リ之ヲ測度スルコトヲ得
第十四條 舊法ニ依リ測度シタル船舶ノ積量ハ本法ノ測度方法ニ依リ之ヲ改測スル迄本法ニ依リ測度シタルモノト看做ス
第十五條 本法公布前造船奬勵法ニ依リ認許證書ノ交付ヲ申請シ本法施行前其ノ交付ヲ受ケ製造ニ著手シタル船舶ノ噸數ハ造船奬勵法第二條ノ規定ノ適用ニ付テハ舊法ニ依ル
第十六條 本法施行ノ際現ニ遠洋航路補助法ニ依リ補助航海ニ使用スル船舶ノ噸數ハ同法ノ適用ニ付テハ其ノ補助年限內舊法ニ依ル
第十七條 本法施行ノ際現ニ遠洋漁業奬勵法ニ依リ遠洋ニ於ケル漁獵業又ハ漁獲物ノ處理運搬業ニ使用スル船舶ノ噸數ハ同法ノ適用ニ付テハ奬勵金下付許可期間內舊法ニ依ル
第十八條 第十二條ノ規定ニ依リ改測ヲ爲シタル爲登記又ハ登錄ヲ爲ス場合ニ於テハ登錄稅ヲ課セス
第十九條 所有權及船舶管理人以外ノ事項ニ付登記アル船舶カ第十二條ノ規定ニ依リ又ハ船舶法第九條ノ申請ニ因リ改測セラレタル爲登記スヘカラサル船舶ト爲リタルトキト雖仍其ノ事項ニ付登記ノ存スル間ハ之ニ關スル登記及所有權ニ關スル登記ヲ爲スヘキモノトス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル船舶積量測度法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正三年三月三十日
内閣総理大臣 伯爵 山本権兵衛
農商務大臣 山本達雄
大蔵大臣 男爵 高橋是清
司法大臣 法学博士 奥田義人
逓信大臣 元田肇
法律第三十四号
船舶積量測度法
第一条 船舶ノ積量ハ百立方「フート」ヲ以テ一噸トシ之ヲ測度ス
第二条 甲板一層又ハ二層ヲ備フル船舶ニ在リテハ上甲板ヲ、三層以上ヲ備フル船舶ニ在リテハ最下層甲板ヨリ第二層ニ在ル甲板ヲ量噸甲板トス
第三条 甲板一層又ハ二層ヲ備フル船舶ニ在リテハ量噸甲板下ノ噸数ニ量噸甲板上蔽囲シタル場所ノ噸数ヲ、甲板三層以上ヲ備フル船舶ニ在リテハ量噸甲板下ノ噸数ニ量噸甲板上各甲板間ノ噸数及上甲板上蔽囲シタル場所ノ噸数ヲ加ヘタルモノヲ総噸数トス但シ左ニ掲クル場所ニシテ上甲板上ニ在ルモノノ噸数ハ之ヲ総噸数ニ算入セス
一 操舵機具、繋船機具、揚錨機具及主機関ト連結セサル副汽鑵副汽機ニ供用セラルル場所
二 機関室、操舵室、賄室及出入口室
三 採光通風ニ要スル場所及便所
四 主務大臣ニ於テ船舶ノ安全、衛生又ハ利用上前各号ニ掲クルモノニ準スヘキモノト認ムル場所
前項ニ掲クル機関室ノ噸数ハ船舶所有者ノ申請アリタル場合ニ於テ主務大臣之ヲ相当ト認ムルトキハ其ノ全部又ハ一部ヲ総噸数ニ算入スルコトヲ得
甲板ヲ備ヘサル船舶ニ在リテハ舷端以下ノ噸数ニ舷端以上蔽囲シタル場所ノ噸数ヲ加ヘタルモノヲ総噸数トス
第四条 総噸数ヨリ左ニ掲クル場所ノ噸数ヲ控除シタルモノヲ登簿噸数トス但シ総噸数ニ算入セサル場所ノ噸数ハ之ヲ控除セス
一 船員常用室及海図室
二 荷足水艙
三 機関室
四 操舵機具、繋船機具、揚錨機具及主喞筒ト連結シタル副汽鑵副汽機ニ供用セラルル場所
五 水夫長倉庫
六 帆船ノ帆庫
七 主務大臣ニ於テ船舶ノ安全、衛生又ハ利用上前各号ニ掲クルモノニ準スヘキモノト認ムル場所
第五条 前二条ニ掲クル場所ノ限域ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依ル
第六条 登簿噸数ノ算定ニ付機関室ノ噸数トシテ総噸数ヨリ控除スヘキ噸数ハ左ノ割合ニ依リ之ヲ定ム
一 螺旋推進器ヲ備フル船舶ニ在リテハ機関室ノ噸数カ総噸数ノ百分ノ十三ヲ超エ百分ノ二十未満ナルトキハ総噸数ノ百分ノ三十二、外車ヲ備フル船舶ニ在リテハ機関室ノ噸数カ総噸数ノ百分ノ二十ヲ超エ百分ノ三十未満ナルトキハ総噸数ノ百分ノ三十七
二 前号ニ該当セサル場合ニ於テハ螺旋推進器ヲ備フル船舶ニ在リテハ機関室ノ噸数ニ其ノ四分ノ三、外車ヲ備フル船舶ニ在リテハ機関室ノ噸数ニ其ノ二分ノ一ヲ加ヘタルモノ但シ船舶所有者ノ申請アリタル場合ニ於テ主務大臣之ヲ相当ト認ムルトキハ前号ノ割合ニ依ルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ算定シタル噸数カ登簿噸数ノ算定ニ付総噸数ヨリ控除スヘキ機関室以外ノ場所ノ噸数ヲ総噸数ヨリ減シタル噸数ノ百分ノ五十五ヲ超ユルトキハ之ヲ百分ノ五十五ニ止ム
第七条 登簿噸数ノ算定ニ付総噸数ヨリ控除スヘキ帆庫ノ噸数カ総噸数ノ千分ノ二十五ヲ超ユルトキハ之ヲ千分ノ二十五ニ止ム
第八条 石数ヲ以テ積量ヲ表示スヘキ船舶ノ積量ハ十立方尺ヲ以テ一石トシ之ヲ測度シ回漕船ニ在リテハ船梁上下ノ船艙ノ石数、其ノ他ノモノニ在リテハ舷端以下ノ船艙ノ石数ヲ積石数トス
第九条 積量測度ノ方法ハ主務大臣之ヲ定ム
附 則
第十条 本法ハ大正三年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十一条 明治十七年布告第十号船舶積量測度規則ハ之ヲ廃止ス
第十二条 旧法ニ依リ噸数ヲ以テ積量ノ測度ヲ受ケタル船舶ニ付テハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ其ノ積量ヲ改測ス
第十三条 前条ノ規定ニ依ル改測前ニ於テ船舶法第九条ノ申請ニ因リ積量ヲ改測スル場合ニ於テハ旧法ニ依リ之ヲ測度スルコトヲ得
第十四条 旧法ニ依リ測度シタル船舶ノ積量ハ本法ノ測度方法ニ依リ之ヲ改測スル迄本法ニ依リ測度シタルモノト看做ス
第十五条 本法公布前造船奨励法ニ依リ認許証書ノ交付ヲ申請シ本法施行前其ノ交付ヲ受ケ製造ニ著手シタル船舶ノ噸数ハ造船奨励法第二条ノ規定ノ適用ニ付テハ旧法ニ依ル
第十六条 本法施行ノ際現ニ遠洋航路補助法ニ依リ補助航海ニ使用スル船舶ノ噸数ハ同法ノ適用ニ付テハ其ノ補助年限内旧法ニ依ル
第十七条 本法施行ノ際現ニ遠洋漁業奨励法ニ依リ遠洋ニ於ケル漁猟業又ハ漁獲物ノ処理運搬業ニ使用スル船舶ノ噸数ハ同法ノ適用ニ付テハ奨励金下付許可期間内旧法ニ依ル
第十八条 第十二条ノ規定ニ依リ改測ヲ為シタル為登記又ハ登録ヲ為ス場合ニ於テハ登録税ヲ課セス
第十九条 所有権及船舶管理人以外ノ事項ニ付登記アル船舶カ第十二条ノ規定ニ依リ又ハ船舶法第九条ノ申請ニ因リ改測セラレタル為登記スヘカラサル船舶ト為リタルトキト雖仍其ノ事項ニ付登記ノ存スル間ハ之ニ関スル登記及所有権ニ関スル登記ヲ為スヘキモノトス