衛戍条例
法令番号: 勅令第二十六號
公布年月日: 明治43年3月19日
法令の形式: 勅令
朕衞戍條例改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年三月十八日
內閣總理大臣 侯爵 桂太郞
陸軍大臣 子爵 寺內正毅
勅令第二十六號
衞戍條例
第一條 陸軍軍隊ノ永久一地ニ駐屯スルヲ衞戍ト稱シ當該軍隊ニ於テ其ノ地ノ警備及陸軍ノ秩序軍紀風紀ノ監視竝陸軍ニ屬スル建築物等ノ保護ニ任ス
第二條 衞戍勤務ハ東京ニ在リテハ東京衞戍總督之ヲ統轄シ要塞又ハ警備隊ノ所在地ニ在リテハ要塞司令官又ハ警備隊司令官、其ノ他ニ在リテハ其ノ地駐屯團隊ノ高級團隊長憲兵隊長ヲ除ク衞戍司令官ト爲リ之ヲ管轄スルモノトス
第三條 衞戍勤務執行ノ區域ハ東京衞戍總督又ハ衞戍司令官之ヲ定メ其ノ區域ヲ衞戍地ト稱シ其ノ地名ヲ冠シテ某衞戍地ト謂フ
師團長ハ衞戍勤務ニ關シ師管內各衞戍司令官ヲ監督ス
第四條 團隊長又ハ要塞司令官若ハ警備隊司令官ニシテ衞戍司令官ナルトキハ其ノ部隊ノ副官ハ衞戍副官ヲ兼ヌルモノトス
第五條 東京衞戍總督及衞戍司令官ハ衞戍勤務ニ關シテハ其ノ地駐屯ノ軍隊憲兵隊ヲ除クヲ指揮シ衞兵ノ部署及其ノ編成ヲ定ム但シ衞戍勤務ハ近衞師團ノ禁闕守衞勤務ヲ妨クルコトナシ
第六條 東京衞戍總督及衞戍司令官ハ警備上必要ト認ムルトキハ其ノ管轄ニ屬セサル軍隊ト雖其ノ衞戍地ニ在ルモノニ對シ援助ヲ請求シ又ハ憲兵ヲシテ地方ノ狀況ヲ報吿セシメ且緊急ノ場合ニハ直ニ之ニ命令スルコトヲ得
第七條 前條ノ請求ヲ受ケタル團隊長ハ正當ノ理由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ス
第八條 衞戍地ニ在ル軍隊ハ東京衞戍總督又ハ衞戍司令官ノ管轄ニ屬セサルモノト雖東京衞戍總督又ハ衞戍司令官ノ定メタル衞戍ニ關スル諸規則ヲ遵守スヘキモノトス
第九條 東京衞戍總督及衞戍司令官ハ災害又ハ非常ノ際治安維持ニ關スル處置ニ付テハ當該地方官ト協議スルモノトス
東京衞戍總督及衞戍司令官ハ災害又ハ非常ノ際地方官ヨリ兵力ヲ請求スルトキ事急ナレハ直ニ之ニ應スルコトヲ得
其ノ事地方官ノ請求ヲ待ツノ遑ナキトキハ兵力ヲ以テ便宜處置スルコトヲ得
第十條 東京衞戍總督及衞戍司令官ハ豫メ災害又ハ非常ノ際陸軍ニ屬スル諸建築物其ノ他ノ物件ノ救防及警戒ニ關スル處置ヲ規定シ置クヘシ皇族邸宅、官衙、公署等ノ救防及警戒ニ關シ必要アルトキ亦同シ
東京衞戍總督ハ前項ノ事項ニシテ宮闕ニ關聯スルモノハ近衞師團長ト協議スヘシ
第十一條 軍隊ハ衞戍地外ニ在ルトキト雖其ノ任務ニ妨ナキ限リ本令ニ準シ衞戍勤務ヲ行フヘシ
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朕衛戍条例改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年三月十八日
内閣総理大臣 侯爵 桂太郎
陸軍大臣 子爵 寺内正毅
勅令第二十六号
衛戍条例
第一条 陸軍軍隊ノ永久一地ニ駐屯スルヲ衛戍ト称シ当該軍隊ニ於テ其ノ地ノ警備及陸軍ノ秩序軍紀風紀ノ監視並陸軍ニ属スル建築物等ノ保護ニ任ス
第二条 衛戍勤務ハ東京ニ在リテハ東京衛戍総督之ヲ統轄シ要塞又ハ警備隊ノ所在地ニ在リテハ要塞司令官又ハ警備隊司令官、其ノ他ニ在リテハ其ノ地駐屯団隊ノ高級団隊長憲兵隊長ヲ除ク衛戍司令官ト為リ之ヲ管轄スルモノトス
第三条 衛戍勤務執行ノ区域ハ東京衛戍総督又ハ衛戍司令官之ヲ定メ其ノ区域ヲ衛戍地ト称シ其ノ地名ヲ冠シテ某衛戍地ト謂フ
師団長ハ衛戍勤務ニ関シ師管内各衛戍司令官ヲ監督ス
第四条 団隊長又ハ要塞司令官若ハ警備隊司令官ニシテ衛戍司令官ナルトキハ其ノ部隊ノ副官ハ衛戍副官ヲ兼ヌルモノトス
第五条 東京衛戍総督及衛戍司令官ハ衛戍勤務ニ関シテハ其ノ地駐屯ノ軍隊憲兵隊ヲ除クヲ指揮シ衛兵ノ部署及其ノ編成ヲ定ム但シ衛戍勤務ハ近衛師団ノ禁闕守衛勤務ヲ妨クルコトナシ
第六条 東京衛戍総督及衛戍司令官ハ警備上必要ト認ムルトキハ其ノ管轄ニ属セサル軍隊ト雖其ノ衛戍地ニ在ルモノニ対シ援助ヲ請求シ又ハ憲兵ヲシテ地方ノ状況ヲ報告セシメ且緊急ノ場合ニハ直ニ之ニ命令スルコトヲ得
第七条 前条ノ請求ヲ受ケタル団隊長ハ正当ノ理由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ス
第八条 衛戍地ニ在ル軍隊ハ東京衛戍総督又ハ衛戍司令官ノ管轄ニ属セサルモノト雖東京衛戍総督又ハ衛戍司令官ノ定メタル衛戍ニ関スル諸規則ヲ遵守スヘキモノトス
第九条 東京衛戍総督及衛戍司令官ハ災害又ハ非常ノ際治安維持ニ関スル処置ニ付テハ当該地方官ト協議スルモノトス
東京衛戍総督及衛戍司令官ハ災害又ハ非常ノ際地方官ヨリ兵力ヲ請求スルトキ事急ナレハ直ニ之ニ応スルコトヲ得
其ノ事地方官ノ請求ヲ待ツノ遑ナキトキハ兵力ヲ以テ便宜処置スルコトヲ得
第十条 東京衛戍総督及衛戍司令官ハ予メ災害又ハ非常ノ際陸軍ニ属スル諸建築物其ノ他ノ物件ノ救防及警戒ニ関スル処置ヲ規定シ置クヘシ皇族邸宅、官衙、公署等ノ救防及警戒ニ関シ必要アルトキ亦同シ
東京衛戍総督ハ前項ノ事項ニシテ宮闕ニ関連スルモノハ近衛師団長ト協議スヘシ
第十一条 軍隊ハ衛戍地外ニ在ルトキト雖其ノ任務ニ妨ナキ限リ本令ニ準シ衛戍勤務ヲ行フヘシ
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス