麦酒税法施行規則
法令番号: 勅令第百六十八號
公布年月日: 明治34年8月24日
法令の形式: 勅令
朕麥酒稅法施行規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十四年八月二十三日
大藏大臣 曾禰荒助
勅令第百六十八號
麥酒稅法施行規則
第一條 麥酒ヲ製造セムトスル者ハ製造場ヲ定メ其ノ住所、氏名又ハ名稱ヲ記シタル免許申請書ヲ製造場所轄稅務署ニ提出スヘシ
製造場ヲ移轉セムトスルトキハ移轉先ノ製造場ヲ定メ所轄稅務署ニ申吿スヘシ
第二條 麥酒ノ製造場ハ敷地ノ連續スルト否トヲ問ハス總テ一製造場ト認ムヘキモノヲ謂フ
第三條 麥酒製造ノ免許ヲ受ケタル者ハ其ノ製造場每ニ地所、建物ノ詳細ナル圖面、製造用容器、器具、器械ノ目錄及麥酒製造方法書ヲ調製シ事業著手前所轄稅務署ニ提出スヘシ
前項ノ圖面及目錄ニ記載シタル事項ニ異動ヲ生シタルトキハ其ノ都度申吿スヘシ製造方法ヲ變更シ又ハ製造者ノ住所、氏名又ハ名稱ニ異動ヲ生シタルトキ亦同シ
第四條 麥酒製造者ヨリ前條第一項ノ目錄ヲ提出シ又ハ同第二項ノ申吿ヲ爲シタルトキハ所轄稅務署ハ其ノ容器、器具、器械ノ檢定ヲ爲スヘシ此ノ場合ニ於テ稅務署ハ之ニ番號、容量其ノ他必要ナル事項ヲ標記又ハ烙記スルコトヲ得
前項檢定後ニ非サレハ製造者ハ麥酒製造用容器、器具、器械ノ使用ヲ爲スコトヲ得ス
第五條 麥酒製造者ハ製造著手ノ時期ヲ定メ豫メ所轄稅務署ニ申吿スヘシ製造ヲ休止セムトスルトキ若ハ休止後製造ニ著手セムトスルトキ又ハ其ノ申吿シタル事項ヲ變更スルトキ亦同シ
第六條 麥酒製造業ヲ相續シタルトキハ相續人ヨリ其ノ旨所轄稅務署ニ申吿スヘシ
麥酒製造業ヲ讓渡サムトスルトキハ讓受人ト連署シ所轄稅務署ニ申吿スヘシ
第七條 麥酒製造者其ノ製造ヲ廢止セムトスルトキハ免許取消申請書ヲ所轄稅務署ニ提出スヘシ
第八條 製造石數査定ハ濾過シタル時ニ於テス
第九條 麥酒釀造中醱酵液廢棄、亡失其ノ他醱酵液ニ異狀アリタルトキハ製造者ハ其ノ旨直ニ所轄稅務署ニ申吿スヘシ
第十條 麥酒稅法第七條ニ依リ造石稅ノ免除ヲ請ハムトスル者ハ亡失ノ事實アリタルトキ直ニ其ノ申請書ヲ所轄稅務署ニ提出スヘシ
第十一條 麥酒製造者ハ少クトモ左ノ事項ヲ帳簿ニ記載スヘシ
一 原料ノ種類、數量、他ヨリ引取リタルモノニ在リテハ引取ノ日及其ノ引取先
二 使用シタル原料ノ種類、數量及其ノ使用ノ日
三 製造シタル麥酒ノ數量及其ノ製成ノ日
四 他ニ引渡シタル麥酒ノ數量、價額、引渡ノ日及引渡先
小賣ノ場合ニ於テハ前項第四號引渡先ノ記載ヲ要セス
第十二條 麥酒販賣者ハ少クトモ左ノ事項ヲ帳簿ニ記載スヘシ
一 引取リタル麥酒ノ數量、價額、引取ノ日及引取先
二 販賣シタル麥酒ノ數量、價額、販賣ノ日及賣渡先
小賣ノ場合ニ於テハ前項第二號賣渡先ノ記載ヲ要セス
第十三條 收稅官吏ハ隨時麥酒製造場又ハ販賣場ニ就キ麥酒、其ノ原料品、容器、器具、器械又ハ帳簿書類ヲ檢査スヘシ
第十四條 收稅官吏ハ監督上必要ト認ムルトキハ製造用容器、器具、器械ニ封印ヲ施スコトヲ得
第十五條 麥酒製造者ハ左ノ場合ニ於テハ收稅官吏ノ承認ヲ受クヘシ
一 麥芽汁ヲ醱酵桶ニ入レムトスルトキ
二 醱酵液ヲ他ノ容器ニ移替ヘムトスルトキ
三 麥酒ノ濾過ヲ爲サムトスルトキ
四 麥酒ノ殘滓等ヲ用井更ニ麥酒ヲ製造セムトスルトキ
五 麥酒ノ殘滓ヲ製造場外ニ移出シ又ハ他ノ殘滓ト混合セムトスルトキ
六 自己ノ所有ト否トヲ問ハス製造用容器、器具、器械ヲ製造場外ニ移出セムトスルトキ
七 製造場外ヨリ製造場內ニ麥酒ヲ移入セムトスルトキ
第十六條 麥酒製造者製造場所在地ニ現住セサルトキハ麥酒稅ニ關スル事務ヲ處理セシムル爲管理人ヲ定メ所轄稅務署ニ申吿スヘシ
第十七條 收稅官吏ハ麥酒製造者及販賣者ノ營業ニ關シ職務上知得シタル事項ヲ他ニ漏洩スルコトヲ得ス
附 則
第十八條 本令第四條第二項ハ本令施行ノ際ニ限リ麥酒稅法第二十二條ニ依リ麥酒ノ製造ヲ申吿シタル者ニ之ヲ適用セス
朕麦酒税法施行規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十四年八月二十三日
大蔵大臣 曽祢荒助
勅令第百六十八号
麦酒税法施行規則
第一条 麦酒ヲ製造セムトスル者ハ製造場ヲ定メ其ノ住所、氏名又ハ名称ヲ記シタル免許申請書ヲ製造場所轄税務署ニ提出スヘシ
製造場ヲ移転セムトスルトキハ移転先ノ製造場ヲ定メ所轄税務署ニ申告スヘシ
第二条 麦酒ノ製造場ハ敷地ノ連続スルト否トヲ問ハス総テ一製造場ト認ムヘキモノヲ謂フ
第三条 麦酒製造ノ免許ヲ受ケタル者ハ其ノ製造場毎ニ地所、建物ノ詳細ナル図面、製造用容器、器具、器械ノ目録及麦酒製造方法書ヲ調製シ事業著手前所轄税務署ニ提出スヘシ
前項ノ図面及目録ニ記載シタル事項ニ異動ヲ生シタルトキハ其ノ都度申告スヘシ製造方法ヲ変更シ又ハ製造者ノ住所、氏名又ハ名称ニ異動ヲ生シタルトキ亦同シ
第四条 麦酒製造者ヨリ前条第一項ノ目録ヲ提出シ又ハ同第二項ノ申告ヲ為シタルトキハ所轄税務署ハ其ノ容器、器具、器械ノ検定ヲ為スヘシ此ノ場合ニ於テ税務署ハ之ニ番号、容量其ノ他必要ナル事項ヲ標記又ハ烙記スルコトヲ得
前項検定後ニ非サレハ製造者ハ麦酒製造用容器、器具、器械ノ使用ヲ為スコトヲ得ス
第五条 麦酒製造者ハ製造著手ノ時期ヲ定メ予メ所轄税務署ニ申告スヘシ製造ヲ休止セムトスルトキ若ハ休止後製造ニ著手セムトスルトキ又ハ其ノ申告シタル事項ヲ変更スルトキ亦同シ
第六条 麦酒製造業ヲ相続シタルトキハ相続人ヨリ其ノ旨所轄税務署ニ申告スヘシ
麦酒製造業ヲ譲渡サムトスルトキハ譲受人ト連署シ所轄税務署ニ申告スヘシ
第七条 麦酒製造者其ノ製造ヲ廃止セムトスルトキハ免許取消申請書ヲ所轄税務署ニ提出スヘシ
第八条 製造石数査定ハ濾過シタル時ニ於テス
第九条 麦酒醸造中醗酵液廃棄、亡失其ノ他醗酵液ニ異状アリタルトキハ製造者ハ其ノ旨直ニ所轄税務署ニ申告スヘシ
第十条 麦酒税法第七条ニ依リ造石税ノ免除ヲ請ハムトスル者ハ亡失ノ事実アリタルトキ直ニ其ノ申請書ヲ所轄税務署ニ提出スヘシ
第十一条 麦酒製造者ハ少クトモ左ノ事項ヲ帳簿ニ記載スヘシ
一 原料ノ種類、数量、他ヨリ引取リタルモノニ在リテハ引取ノ日及其ノ引取先
二 使用シタル原料ノ種類、数量及其ノ使用ノ日
三 製造シタル麦酒ノ数量及其ノ製成ノ日
四 他ニ引渡シタル麦酒ノ数量、価額、引渡ノ日及引渡先
小売ノ場合ニ於テハ前項第四号引渡先ノ記載ヲ要セス
第十二条 麦酒販売者ハ少クトモ左ノ事項ヲ帳簿ニ記載スヘシ
一 引取リタル麦酒ノ数量、価額、引取ノ日及引取先
二 販売シタル麦酒ノ数量、価額、販売ノ日及売渡先
小売ノ場合ニ於テハ前項第二号売渡先ノ記載ヲ要セス
第十三条 収税官吏ハ随時麦酒製造場又ハ販売場ニ就キ麦酒、其ノ原料品、容器、器具、器械又ハ帳簿書類ヲ検査スヘシ
第十四条 収税官吏ハ監督上必要ト認ムルトキハ製造用容器、器具、器械ニ封印ヲ施スコトヲ得
第十五条 麦酒製造者ハ左ノ場合ニ於テハ収税官吏ノ承認ヲ受クヘシ
一 麦芽汁ヲ醗酵桶ニ入レムトスルトキ
二 醗酵液ヲ他ノ容器ニ移替ヘムトスルトキ
三 麦酒ノ濾過ヲ為サムトスルトキ
四 麦酒ノ残滓等ヲ用井更ニ麦酒ヲ製造セムトスルトキ
五 麦酒ノ残滓ヲ製造場外ニ移出シ又ハ他ノ残滓ト混合セムトスルトキ
六 自己ノ所有ト否トヲ問ハス製造用容器、器具、器械ヲ製造場外ニ移出セムトスルトキ
七 製造場外ヨリ製造場内ニ麦酒ヲ移入セムトスルトキ
第十六条 麦酒製造者製造場所在地ニ現住セサルトキハ麦酒税ニ関スル事務ヲ処理セシムル為管理人ヲ定メ所轄税務署ニ申告スヘシ
第十七条 収税官吏ハ麦酒製造者及販売者ノ営業ニ関シ職務上知得シタル事項ヲ他ニ漏洩スルコトヲ得ス
附 則
第十八条 本令第四条第二項ハ本令施行ノ際ニ限リ麦酒税法第二十二条ニ依リ麦酒ノ製造ヲ申告シタル者ニ之ヲ適用セス