巡査看守退隠料及遺族扶助料法
法令番号: 法律第三十八號
公布年月日: 明治34年7月26日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル巡査看守退隱料及遺族扶助料法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十四年七月二十五日
內閣總理大臣 子爵 桂太郞
海軍大臣 山本權兵衞
陸軍大臣 男爵 兒玉源太郞
內務大臣 男爵 內海忠勝
司法大臣 淸浦奎吾
外務大臣 曾禰荒助
法律第三十八號
巡査看守退隱料及遺族扶助料法
第一條 巡査又ハ看守勤續十年以上ニシテ左ノ各號ノ一ニ當ルトキハ退隱料ヲ給ス
一 年齡五十歲ヲ超ヘ退職シタルトキ
二 傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ其ノ職ニ堪ヘス退職シタルトキ
三 廢官廢廳ニ依リ退職シタルトキ
四 身體若ハ精神ノ衰弱又ハ事務ノ都合ニ依リ退職ヲ命セラレタルトキ
前項ノ退隱料年額ハ退職當時ニ於ケル月俸三箇月分トシ勤續十年以上三十年ニ至ル迄一年ヲ加フル每ニ退職當時ノ月俸額十分ノ一ヲ增加ス
第二條 巡査又ハ看守勤續一年以上十年未滿ニシテ第一條第一項各號ノ一ニ當ルトキハ一時金ヲ給ス但シ退隱料ヲ受クル者又ハ受クヘキ者ハ此ノ限ニ在ラス
一時金ハ退職當時ニ於ケル月俸額ノ三分ノ二ニ勤續年數ヲ乘シタル額トス
第三條 退隱料ヲ受クル者又ハ受クヘキ者再ヒ前職ニ就キ勤續一年以上ニシテ第一條第一項各號ノ一ニ當ルトキハ前後通算シテ勤續三十年ニ至ル迄後ノ勤續一年ヲ加フル每ニ後ノ退職當時ニ於ケル月俸額十分ノ一ヲ退隱料年額ニ增加ス
一時金ヲ受ケタル者又ハ受クヘキ者再ヒ前職ニ就キ第一條第一項各號ノ一ニ當ルトキハ前後通算シテ勤續十年以上ニ至ル者ニハ第一條ニ依リ退隱料ヲ給シ十年未滿ノ者ニハ第二條ニ依リ後ノ勤續年數ニ對スル一時金ヲ給ス
第四條 巡査又ハ看守職務ノ爲傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ一肢以上ノ用ヲ失ヒ又ハ之ニ準スヘキ者ト爲リ其ノ職ニ堪ヘス退職シタルトキハ退隱料ヲ給ス
前項ノ退隱料年額ハ退職當時ノ月俸三箇月分乃至六箇月分トス
第一條及第三條ニ依リ退隱料ヲ受クル者又ハ受クヘキ者本條第一項ニ當ルトキハ其ノ退隱料年額ニ退職當時ノ月俸四箇月分以內ヲ增加ス
前二項ニ依ル退隱料年額及增加金額ハ傷痍疾病ノ輕重ニ依リ之ヲ定ム
第五條 前條ノ規定ハ職務ノ爲傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ退職シタル後一年以內ニ其ノ傷痍疾病ニ起因シ前條第一項ニ當ルニ至リタル者ニ之ヲ準用ス
第六條 巡査又ハ看守交互ニ轉職シ又ハ他ノ官職ニ轉シタルトキハ事務ノ都合ニ依リ退職ヲ命セラレタル者ト看做ス
第七條 巡査又ハ看守左ノ各號ノ一ニ當ルトキハ遺族ニ扶助料ヲ給ス
一 職務ノ爲傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ在職中死亡シタルトキ
二 勤續十年以上ニシテ在職中死亡シタルトキ
三 退隱料ヲ受ケ又ハ受クヘクシテ死亡シタルトキ
扶助料年額ハ前項第一號ノ場合ニ在リテハ第四條ニ依リ査定シタル金額ノ三分ノ二トシ第二號ノ場合ニ在リテハ第一條又ハ第三條ニ依リ査定シタル金額ノ三分ノ一トシ第三號ノ場合ニ在リテハ其ノ退隱料年額ノ三分ノ一トス但シ職務ノ爲傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ退職シタル後一年以內ニ其ノ傷痍疾病ニ起因シテ死亡シタルトキハ第四條第五條ニ依リ査定シタル金額ノ三分ノ二トス
第八條 扶助料ハ寡婦ニ給ス寡婦死亡シ又ハ扶助料ヲ受クヘカラサルトキハ子ニ給ス
數子間ニ在リテハ法定家督相續ノ順位ニ依リ最先者ニ給ス最先者死亡シ若ハ扶助料ヲ受クヘカラサルトキハ順次次位者ニ轉給ス
民法第九百六十九條ニ依リ家督相續人タルコトヲ得サル者及推定家督相續人ニシテ廢除セラレタル者ニハ扶助料ヲ給セス但シ疾病其ノ他身體又ハ精神ノ狀況ニ依リ家政ヲ執ルニ堪ヘサルカ爲廢除セラレタル者ハ此ノ限ニ在ラス
養子ハ家督相續人ニ非サレハ扶助料ヲ給セス
第九條 扶助料ヲ受クヘキ寡婦及子ナキトキハ扶助料ハ直系尊屬ニ給ス
前項ノ場合ニ在リテハ先ツ父ニ給シ父死亡シ又ハ扶助料ヲ受クヘカラサルトキハ母ニ給ス母ヨリ祖父ニ祖父ヨリ祖母ニ轉給スルハ順次此ノ例ニ依ル
第十條 扶助料ヲ受クル者ナクシテ死亡シタル者ノ家ニ在ル兄弟姊妹二十歲未滿又ハ篤疾若ハ癈疾ニシテ自活スルコト能ハサルトキハ扶助料ニ相當スル金額ノ三箇年分以內ヲ一時限リ給スルコトアルヘシ
第十一條 退隱料ヲ受ケタル者又ハ受クヘキ者左ノ各號ノ一ニ當ルトキハ之ヲ給セス
一 國籍ヲ喪失シタルトキ
二 重罪ノ刑ニ處セラレタルトキ
三 在職中ノ犯罪ニ依リ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルトキ
第十二條 遺族ニシテ左ノ各號ノ一ニ當ルトキハ扶助料ヲ給セス
一 前條第一號又ハ第二號ニ當ルトキ
二 寡婦婚姻シタルトキ
三 子年齡二十歲ニ滿チタルトキ
四 尊屬ノ女婚姻シタルトキ
第十三條 子二十歲ニ滿ルモ篤疾又ハ癈疾ニシテ自活スルコト能ハス他ニ扶助料ヲ受クル者ナキトキハ其ノ事由ノ存續スル間扶助料ノ三分ノ一ヲ給スルコトアルヘシ
第十四條 退隱料ヲ受クル者又ハ受クヘキ者左ノ各號ノ一ニ當ルトキハ其ノ間退隱料ノ支給ヲ停止ス
一 公權ヲ停止セラレタルトキ
二 六箇月以上行方不明ナルトキ
退隱料ヲ受クル者又ハ受クヘキ者再ヒ判任官待遇以上ノ官職ニ就キタル場合ニ於テハ其ノ俸給月額ニ退隱料月割額ヲ合シ退職當時ニ於ケル俸給月額ニ超過スルトキハ其ノ超過額ニ對スル退隱料ノ支給ヲ停止ス
第十五條 扶助料ヲ受クル者又ハ受クヘキ者前條第一項各號ノ一ニ當ルトキハ其ノ間扶助料ノ支給ヲ停止シ第八條第九條ノ順位ニ依リ之ヲ次位者ニ轉給ス
第十六條 退隱料及扶助料ノ年額竝一時金ノ圓位未滿ハ圓位ニ滿タシム
第十七條 巡査又ハ看守ノ勤續年數ハ就職ノ月ヨリ起算シ退職ノ月ヲ以テ終ル但シ十二箇月未滿ノ端數ハ之ヲ算入セス
休職及敎習中ノ月數ハ勤續年數ニ算入ス
第十八條 巡査又ハ看守其ノ職務ヲ以テ從軍シタルトキハ軍人恩給法ノ算則ニ照ラシテ從軍年ヲ加算ス
第十九條 本法ニ於テ寡婦、子、尊屬ト稱スルハ巡査又ハ看守タリシ者死亡ノ當時ヨリ引續キ其ノ家ニ在ル者ヲ謂フ但シ父死亡後出生シタル嫡出ノ子ハ死亡當時其ノ家ニ在ル者ト看做ス
第二十條 退隱料及扶助料ノ支給、停止及廢止ハ其ノ事由ノ生シタル翌月ヨリ之ヲ行フ
第五條ニ依ル退隱料ノ支給ハ事由認定ノ翌月ヨリ始マリ前條但書ニ依ル扶助料ノ支給ハ出生ノ翌月ヨリ始マル
第二十一條 退隱料、一時金及扶助料ハ之ヲ受クヘキ事由ノ生シタル日ヨリ三年以內ニ請求スルニ非サレハ之ヲ給セス
第二十二條 退隱料ハ民事訴訟法第五百七十條及第六百十八條ノ規定ニ關シテハ恩給ト看做ス
第二十三條 本法ニ依ル給與金ノ支給ニ關スル事項ヲ裁定スヘキ行政官廳ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十四條 本法ニ依ル給與金ハ巡査又ハ看守最後ノ退職又ハ死亡當時ニ於テ俸給ヲ受ケタル經濟ノ負擔トス
第二十五條 本法ニ依ル給與金ノ一部又ハ全部ヲ拒否セラレタル者其ノ拒否ヲ不當ナリトスルトキハ訴願ヲ提起スルコトヲ得違法ニシテ權利ヲ傷害セラレタリトスルトキハ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十六條 本法ハ陸軍監獄看守、海軍監獄看守、海軍警査、貴族院守衞、衆議院守衞及其ノ遺族ニ之ヲ適用ス
附 則
第二十七條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十八條 明治十五年太政官達第四十一號巡査看守給助例ハ巡査、看守、陸軍監獄看守、海軍監獄看守、海軍警査、貴族院守衞、衆議院守衞及其ノ遺族ニ之ヲ適用セス但シ巡査看守給助例ニ依リ現ニ給助ヲ受クル者又ハ旣ニ受クヘキ事由ノ生シタル者又ハ其ノ事由ニ起因シテ一年以內ニ重症ニ趨キ又ハ死亡シタル者ニ對シテハ其ノ第一條乃至第七條ヲ適用スルノ外本法第三條、第十一條、第十二條、第十四條、第十五條、第二十條第一項、第二十一條、第二十三條及第二十五條ヲ準用ス
明治十五年太政官達第六十六號ハ巡査、看守ニ明治三十三年法律第三十號ハ巡査、看守、陸軍監獄看守、海軍監獄看守、海軍警査、貴族院守衞、衆議院守衞及其ノ遺族ニ之ヲ適用セス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル巡査看守退隠料及遺族扶助料法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十四年七月二十五日
内閣総理大臣 子爵 桂太郎
海軍大臣 山本権兵衛
陸軍大臣 男爵 児玉源太郎
内務大臣 男爵 内海忠勝
司法大臣 清浦奎吾
外務大臣 曽祢荒助
法律第三十八号
巡査看守退隠料及遺族扶助料法
第一条 巡査又ハ看守勤続十年以上ニシテ左ノ各号ノ一ニ当ルトキハ退隠料ヲ給ス
一 年齢五十歳ヲ超ヘ退職シタルトキ
二 傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ其ノ職ニ堪ヘス退職シタルトキ
三 廃官廃庁ニ依リ退職シタルトキ
四 身体若ハ精神ノ衰弱又ハ事務ノ都合ニ依リ退職ヲ命セラレタルトキ
前項ノ退隠料年額ハ退職当時ニ於ケル月俸三箇月分トシ勤続十年以上三十年ニ至ル迄一年ヲ加フル毎ニ退職当時ノ月俸額十分ノ一ヲ増加ス
第二条 巡査又ハ看守勤続一年以上十年未満ニシテ第一条第一項各号ノ一ニ当ルトキハ一時金ヲ給ス但シ退隠料ヲ受クル者又ハ受クヘキ者ハ此ノ限ニ在ラス
一時金ハ退職当時ニ於ケル月俸額ノ三分ノ二ニ勤続年数ヲ乗シタル額トス
第三条 退隠料ヲ受クル者又ハ受クヘキ者再ヒ前職ニ就キ勤続一年以上ニシテ第一条第一項各号ノ一ニ当ルトキハ前後通算シテ勤続三十年ニ至ル迄後ノ勤続一年ヲ加フル毎ニ後ノ退職当時ニ於ケル月俸額十分ノ一ヲ退隠料年額ニ増加ス
一時金ヲ受ケタル者又ハ受クヘキ者再ヒ前職ニ就キ第一条第一項各号ノ一ニ当ルトキハ前後通算シテ勤続十年以上ニ至ル者ニハ第一条ニ依リ退隠料ヲ給シ十年未満ノ者ニハ第二条ニ依リ後ノ勤続年数ニ対スル一時金ヲ給ス
第四条 巡査又ハ看守職務ノ為傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ一肢以上ノ用ヲ失ヒ又ハ之ニ準スヘキ者ト為リ其ノ職ニ堪ヘス退職シタルトキハ退隠料ヲ給ス
前項ノ退隠料年額ハ退職当時ノ月俸三箇月分乃至六箇月分トス
第一条及第三条ニ依リ退隠料ヲ受クル者又ハ受クヘキ者本条第一項ニ当ルトキハ其ノ退隠料年額ニ退職当時ノ月俸四箇月分以内ヲ増加ス
前二項ニ依ル退隠料年額及増加金額ハ傷痍疾病ノ軽重ニ依リ之ヲ定ム
第五条 前条ノ規定ハ職務ノ為傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ退職シタル後一年以内ニ其ノ傷痍疾病ニ起因シ前条第一項ニ当ルニ至リタル者ニ之ヲ準用ス
第六条 巡査又ハ看守交互ニ転職シ又ハ他ノ官職ニ転シタルトキハ事務ノ都合ニ依リ退職ヲ命セラレタル者ト看做ス
第七条 巡査又ハ看守左ノ各号ノ一ニ当ルトキハ遺族ニ扶助料ヲ給ス
一 職務ノ為傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ在職中死亡シタルトキ
二 勤続十年以上ニシテ在職中死亡シタルトキ
三 退隠料ヲ受ケ又ハ受クヘクシテ死亡シタルトキ
扶助料年額ハ前項第一号ノ場合ニ在リテハ第四条ニ依リ査定シタル金額ノ三分ノ二トシ第二号ノ場合ニ在リテハ第一条又ハ第三条ニ依リ査定シタル金額ノ三分ノ一トシ第三号ノ場合ニ在リテハ其ノ退隠料年額ノ三分ノ一トス但シ職務ノ為傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ退職シタル後一年以内ニ其ノ傷痍疾病ニ起因シテ死亡シタルトキハ第四条第五条ニ依リ査定シタル金額ノ三分ノ二トス
第八条 扶助料ハ寡婦ニ給ス寡婦死亡シ又ハ扶助料ヲ受クヘカラサルトキハ子ニ給ス
数子間ニ在リテハ法定家督相続ノ順位ニ依リ最先者ニ給ス最先者死亡シ若ハ扶助料ヲ受クヘカラサルトキハ順次次位者ニ転給ス
民法第九百六十九条ニ依リ家督相続人タルコトヲ得サル者及推定家督相続人ニシテ廃除セラレタル者ニハ扶助料ヲ給セス但シ疾病其ノ他身体又ハ精神ノ状況ニ依リ家政ヲ執ルニ堪ヘサルカ為廃除セラレタル者ハ此ノ限ニ在ラス
養子ハ家督相続人ニ非サレハ扶助料ヲ給セス
第九条 扶助料ヲ受クヘキ寡婦及子ナキトキハ扶助料ハ直系尊属ニ給ス
前項ノ場合ニ在リテハ先ツ父ニ給シ父死亡シ又ハ扶助料ヲ受クヘカラサルトキハ母ニ給ス母ヨリ祖父ニ祖父ヨリ祖母ニ転給スルハ順次此ノ例ニ依ル
第十条 扶助料ヲ受クル者ナクシテ死亡シタル者ノ家ニ在ル兄弟姉妹二十歳未満又ハ篤疾若ハ廃疾ニシテ自活スルコト能ハサルトキハ扶助料ニ相当スル金額ノ三箇年分以内ヲ一時限リ給スルコトアルヘシ
第十一条 退隠料ヲ受ケタル者又ハ受クヘキ者左ノ各号ノ一ニ当ルトキハ之ヲ給セス
一 国籍ヲ喪失シタルトキ
二 重罪ノ刑ニ処セラレタルトキ
三 在職中ノ犯罪ニ依リ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルトキ
第十二条 遺族ニシテ左ノ各号ノ一ニ当ルトキハ扶助料ヲ給セス
一 前条第一号又ハ第二号ニ当ルトキ
二 寡婦婚姻シタルトキ
三 子年齢二十歳ニ満チタルトキ
四 尊属ノ女婚姻シタルトキ
第十三条 子二十歳ニ満ルモ篤疾又ハ廃疾ニシテ自活スルコト能ハス他ニ扶助料ヲ受クル者ナキトキハ其ノ事由ノ存続スル間扶助料ノ三分ノ一ヲ給スルコトアルヘシ
第十四条 退隠料ヲ受クル者又ハ受クヘキ者左ノ各号ノ一ニ当ルトキハ其ノ間退隠料ノ支給ヲ停止ス
一 公権ヲ停止セラレタルトキ
二 六箇月以上行方不明ナルトキ
退隠料ヲ受クル者又ハ受クヘキ者再ヒ判任官待遇以上ノ官職ニ就キタル場合ニ於テハ其ノ俸給月額ニ退隠料月割額ヲ合シ退職当時ニ於ケル俸給月額ニ超過スルトキハ其ノ超過額ニ対スル退隠料ノ支給ヲ停止ス
第十五条 扶助料ヲ受クル者又ハ受クヘキ者前条第一項各号ノ一ニ当ルトキハ其ノ間扶助料ノ支給ヲ停止シ第八条第九条ノ順位ニ依リ之ヲ次位者ニ転給ス
第十六条 退隠料及扶助料ノ年額並一時金ノ円位未満ハ円位ニ満タシム
第十七条 巡査又ハ看守ノ勤続年数ハ就職ノ月ヨリ起算シ退職ノ月ヲ以テ終ル但シ十二箇月未満ノ端数ハ之ヲ算入セス
休職及教習中ノ月数ハ勤続年数ニ算入ス
第十八条 巡査又ハ看守其ノ職務ヲ以テ従軍シタルトキハ軍人恩給法ノ算則ニ照ラシテ従軍年ヲ加算ス
第十九条 本法ニ於テ寡婦、子、尊属ト称スルハ巡査又ハ看守タリシ者死亡ノ当時ヨリ引続キ其ノ家ニ在ル者ヲ謂フ但シ父死亡後出生シタル嫡出ノ子ハ死亡当時其ノ家ニ在ル者ト看做ス
第二十条 退隠料及扶助料ノ支給、停止及廃止ハ其ノ事由ノ生シタル翌月ヨリ之ヲ行フ
第五条ニ依ル退隠料ノ支給ハ事由認定ノ翌月ヨリ始マリ前条但書ニ依ル扶助料ノ支給ハ出生ノ翌月ヨリ始マル
第二十一条 退隠料、一時金及扶助料ハ之ヲ受クヘキ事由ノ生シタル日ヨリ三年以内ニ請求スルニ非サレハ之ヲ給セス
第二十二条 退隠料ハ民事訴訟法第五百七十条及第六百十八条ノ規定ニ関シテハ恩給ト看做ス
第二十三条 本法ニ依ル給与金ノ支給ニ関スル事項ヲ裁定スヘキ行政官庁ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十四条 本法ニ依ル給与金ハ巡査又ハ看守最後ノ退職又ハ死亡当時ニ於テ俸給ヲ受ケタル経済ノ負担トス
第二十五条 本法ニ依ル給与金ノ一部又ハ全部ヲ拒否セラレタル者其ノ拒否ヲ不当ナリトスルトキハ訴願ヲ提起スルコトヲ得違法ニシテ権利ヲ傷害セラレタリトスルトキハ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十六条 本法ハ陸軍監獄看守、海軍監獄看守、海軍警査、貴族院守衛、衆議院守衛及其ノ遺族ニ之ヲ適用ス
附 則
第二十七条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十八条 明治十五年太政官達第四十一号巡査看守給助例ハ巡査、看守、陸軍監獄看守、海軍監獄看守、海軍警査、貴族院守衛、衆議院守衛及其ノ遺族ニ之ヲ適用セス但シ巡査看守給助例ニ依リ現ニ給助ヲ受クル者又ハ既ニ受クヘキ事由ノ生シタル者又ハ其ノ事由ニ起因シテ一年以内ニ重症ニ趨キ又ハ死亡シタル者ニ対シテハ其ノ第一条乃至第七条ヲ適用スルノ外本法第三条、第十一条、第十二条、第十四条、第十五条、第二十条第一項、第二十一条、第二十三条及第二十五条ヲ準用ス
明治十五年太政官達第六十六号ハ巡査、看守ニ明治三十三年法律第三十号ハ巡査、看守、陸軍監獄看守、海軍監獄看守、海軍警査、貴族院守衛、衆議院守衛及其ノ遺族ニ之ヲ適用セス