(外国保険会社ニ関スル件)
法令番号: 勅令第三百八十號
公布年月日: 明治33年9月27日
法令の形式: 勅令
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ外國保險會社ニ關スル件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十三年九月二十六日
內閣總理大臣 侯爵 山縣有朋
司法大臣 淸浦奎吾
農商務大臣 曾禰荒助
勅令第三百八十號
第一條 外國會社カ日本ニ代理店ヲ設ケテ保險事業ヲ營ムトキハ日本ニ於ケル代表者ヲ定ムルコトヲ要ス
商法第六十二條ノ規定ハ前項ノ代表者ニ之ヲ準用ス
第二條 外國會社ハ其日本ニ於ケル事業ノ本據及ヒ代表者ノ氏名、住所ヲ主務官廳ニ屆出ツルコトヲ要ス
第三條 外國會社カ免許ヲ申請スルニハ申請書ニ左ノ書類ヲ添附スルコトヲ要ス
一 定款
二 日本ニ於ケル事業ノ方法書
三 普通保險約款
四 保險料及ヒ責任準備金算出ノ基礎ニ關スル書類
五 最終ノ財產目錄、貸借對照表及ヒ損益計算書
六 生命保險ヲ目的トスルモノニ在リテハ責任準備金利用ノ方法ヲ記載シタル書類
前項第一號乃至第四號及ヒ第六號ニ揭ケタル書類ノ變更ハ主務官廳ノ認可ヲ受クルニ非サレハ其效力ヲ生セス
第四條 外國會社カ主務官廳ノ命令ニ違反シタルトキハ主務官廳ハ其日本ニ於ケル事業ノ停止若クハ代表者ノ改任ヲ命シ又ハ免許ヲ取消スコトヲ得
第五條 主務官廳ハ必要ト認ムルトキハ外國會社ヲシテ相當ノ金額ヲ供託セシムルコトヲ得
外國會社カ供託ヲ命セラレタル場合ニ於テハ主務官廳ノ認許シタル有價證券ヲ以テ其金額ニ代フルコトヲ得
第六條 日本ニ於ケル保險契約者、被保險者、保險金額ヲ受取ルヘキ者又ハ外國相互會社ノ社員ハ供託物ノ上ニ優先權ヲ有ス
第七條 外國相互會社ノ日本ニ於ケル一般ノ債權者ハ社員及ヒ外國ニ於ケル債權者ニ對シ供託物ノ上ニ優先權ヲ有ス
第八條 外國會社ハ每年一囘一定ノ時期ニ於テ其日本ニ於ケル事業ノ報吿書ヲ作リ之ヲ主務官廳ニ提出スルコトヲ要ス
第九條 外國會社ノ本國ニ於テ作リタル財產目錄、貸借對照表、事業報吿書及ヒ損益計算書ハ遲滯ナク之ヲ主務官廳ニ提出スルコトヲ要ス
第十條 外國會社ノ代表者ハ定款、日本ニ於ケル社員ノ名簿及ヒ前二條ニ揭ケタル書類ヲ日本ニ於ケル事業ノ本據ニ備フルコトヲ要ス
日本ニ於ケル保險契約者、被保險者又ハ保險金額ヲ受取ルヘキ者ハ前二條ニ揭ケタル書類ノ閱覽ヲ求メ又ハ其謄本若クハ抄本ノ交付ヲ請求スルコトヲ得但定款又ハ保險約款ノ定ムル處ニ依リ其謄本又ハ抄本ノ交付ニ付キ手數料ヲ拂フコトヲ要ス
第十一條 外國會社カ其事業ヲ廢止シ又ハ免許ヲ取消サレタル場合ニ於テハ第六條又ハ第七條ノ規定ニ依リテ優先權ヲ有スル者ニ辨濟ヲ爲シ又ハ擔保ヲ供スルニ非サレハ供託物ノ返還ヲ請求スルコトヲ得ス
第十二條 主務官廳カ日本ニ支店又ハ事務所ヲ設ケタル外國會社ノ免許ヲ取消シタルトキハ其處分確定ノ後遲滯ナク其旨ヲ支店又ハ事務所ノ所在地ノ登記所ニ通知スルコトヲ要ス
登記所カ前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ支店又ハ事務所ノ登記ヲ抹消スルコトヲ要ス
第十三條 外國會社ノ代表者ハ左ノ場合ニ於テハ五圓以上五百圓以下ノ過料ニ處セラル
一 本令ニ定メタル登記ヲ爲スコトヲ怠リタルトキ
二 第八條又ハ第九條ニ揭ケタル書類ヲ備ヘ置カス、之ニ記載スヘキ事項ヲ記載セス又ハ之ニ不正ノ記載ヲ爲シタルトキ
第十四條 外國會社ノ代表者ハ左ノ場合ニ於テハ十圓以上千圓以下ノ過料ニ處セラル
一 保險事業ニ非サル事業ヲ爲シタルトキ
二 生命保險ト損害保險トヲ併セテ營ミタルトキ
三 主務官廳ノ命令ニ違反シタルトキ
四 主務官廳ノ檢査ヲ妨ケタルトキ
五 主務官廳ニ對シ不實ノ申立ヲ爲シ又ハ事實ヲ隱蔽シタルトキ
六 正當ノ理由ナクシテ本令ノ規定ニ依リ閱覽ヲ許スヘキ書類ヲ閱覽セシメス又ハ其謄本若クハ抄本ヲ交付セサリシトキ
第十五條 非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前二條ニ定メタル過料ニ之ヲ準用ス
第十六條 保險業法第一條、第三條、第四條、第七條、第九條乃至第十一條及ヒ第九十七條ノ規定ハ外國會社ニ之ヲ準用ス
第十七條 商法第九條、第十一條乃至第十五條、第十九條乃至第三十八條、第四十條、第四十一條、第二百五十五條乃至第二百五十八條及ヒ保險業法第八十五條、第八十六條、第九十條、第九十一條ノ規定ハ外國相互會社ニ之ヲ準用ス
第十八條 各登記所ニ外國相互保險會社登記簿ヲ備フ
第十九條 外國相互會社カ日本ニ事務所ヲ設ケタル場合ニ於テ其登記ヲ申請スルトキハ會社ノ代表者ハ申請書ニ其日本ニ於ケル事業ノ本據及ヒ代表者ノ氏名、住所ヲ記載シ且之ニ左ノ書面ヲ添附スルコトヲ要ス
一 主タル事務所ノ存在ヲ認ムルニ足ル書面
二 代表者タル資格ヲ證スル書面
三 會社ノ定款又ハ會社ノ性質ヲ識別スルニ足ル書面
四 日本ニ於ケル社員ノ名簿
五 主務官廳ノ免許書又ハ其認證アル謄本
前項第一號乃至第三號ノ書面ハ會社ノ本國ノ管轄官廳又ハ日本ニ在ル領事ノ認證ヲ受ケタルモノナルコトヲ要ス
第二十條 外國相互會社ノ代表者カ支配人ノ選任ノ登記ヲ申請スル場合ニ於テハ申請書ニ其日本ニ於ケル事務所設立ノ登記ノ年月日ヲ記載シ且之ニ支配人ノ選任ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第二十一條 非訟事件手續法第百三十九條、第百四十一條乃至第百四十九條、第百五十一條、第百五十四條乃至第百六十五條、第百七十三條第一項、第百七十四條第二項、第二百三條及ヒ第二百四條ノ規定ハ外國相互會社ニ之ヲ準用ス
第二十二條 第一條乃至第六條、第八條乃至第十一條及ヒ第十三條乃至第十六條ノ規定ハ外國人カ日本ニ支店又ハ代理店ヲ設ケテ保險事業ヲ營ム場合ニ之ヲ準用ス
附 則
第二十三條 本令ハ明治三十三年十一月十五日ヨリ之ヲ施行ス
第二十四條 本令施行前ニ日本ニ支店、事務所又ハ代理店ヲ設ケタル外國人又ハ外國會社ハ其施行ノ日ヨリ六箇月內ニ其日本ニ於ケル事業ノ本據ヲ主務官廳ニ屆出ツルコトヲ要ス
第二十五條 第四條乃至第十五條、第十七條、第二十條、保險業法第一條、第三條、第四條、第九條乃至第十一條、第九十七條及ヒ非訟事件手續法第百七十三條第一項、第百七十四條第二項ノ規定ハ本令施行前ニ日本ニ支店、事務所又ハ代理店ヲ設ケタル外國人又ハ外國會社ニ之ヲ準用ス
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ外国保険会社ニ関スル件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十三年九月二十六日
内閣総理大臣 侯爵 山県有朋
司法大臣 清浦奎吾
農商務大臣 曽祢荒助
勅令第三百八十号
第一条 外国会社カ日本ニ代理店ヲ設ケテ保険事業ヲ営ムトキハ日本ニ於ケル代表者ヲ定ムルコトヲ要ス
商法第六十二条ノ規定ハ前項ノ代表者ニ之ヲ準用ス
第二条 外国会社ハ其日本ニ於ケル事業ノ本拠及ヒ代表者ノ氏名、住所ヲ主務官庁ニ届出ツルコトヲ要ス
第三条 外国会社カ免許ヲ申請スルニハ申請書ニ左ノ書類ヲ添附スルコトヲ要ス
一 定款
二 日本ニ於ケル事業ノ方法書
三 普通保険約款
四 保険料及ヒ責任準備金算出ノ基礎ニ関スル書類
五 最終ノ財産目録、貸借対照表及ヒ損益計算書
六 生命保険ヲ目的トスルモノニ在リテハ責任準備金利用ノ方法ヲ記載シタル書類
前項第一号乃至第四号及ヒ第六号ニ掲ケタル書類ノ変更ハ主務官庁ノ認可ヲ受クルニ非サレハ其効力ヲ生セス
第四条 外国会社カ主務官庁ノ命令ニ違反シタルトキハ主務官庁ハ其日本ニ於ケル事業ノ停止若クハ代表者ノ改任ヲ命シ又ハ免許ヲ取消スコトヲ得
第五条 主務官庁ハ必要ト認ムルトキハ外国会社ヲシテ相当ノ金額ヲ供託セシムルコトヲ得
外国会社カ供託ヲ命セラレタル場合ニ於テハ主務官庁ノ認許シタル有価証券ヲ以テ其金額ニ代フルコトヲ得
第六条 日本ニ於ケル保険契約者、被保険者、保険金額ヲ受取ルヘキ者又ハ外国相互会社ノ社員ハ供託物ノ上ニ優先権ヲ有ス
第七条 外国相互会社ノ日本ニ於ケル一般ノ債権者ハ社員及ヒ外国ニ於ケル債権者ニ対シ供託物ノ上ニ優先権ヲ有ス
第八条 外国会社ハ毎年一回一定ノ時期ニ於テ其日本ニ於ケル事業ノ報告書ヲ作リ之ヲ主務官庁ニ提出スルコトヲ要ス
第九条 外国会社ノ本国ニ於テ作リタル財産目録、貸借対照表、事業報告書及ヒ損益計算書ハ遅滞ナク之ヲ主務官庁ニ提出スルコトヲ要ス
第十条 外国会社ノ代表者ハ定款、日本ニ於ケル社員ノ名簿及ヒ前二条ニ掲ケタル書類ヲ日本ニ於ケル事業ノ本拠ニ備フルコトヲ要ス
日本ニ於ケル保険契約者、被保険者又ハ保険金額ヲ受取ルヘキ者ハ前二条ニ掲ケタル書類ノ閲覧ヲ求メ又ハ其謄本若クハ抄本ノ交付ヲ請求スルコトヲ得但定款又ハ保険約款ノ定ムル処ニ依リ其謄本又ハ抄本ノ交付ニ付キ手数料ヲ払フコトヲ要ス
第十一条 外国会社カ其事業ヲ廃止シ又ハ免許ヲ取消サレタル場合ニ於テハ第六条又ハ第七条ノ規定ニ依リテ優先権ヲ有スル者ニ弁済ヲ為シ又ハ担保ヲ供スルニ非サレハ供託物ノ返還ヲ請求スルコトヲ得ス
第十二条 主務官庁カ日本ニ支店又ハ事務所ヲ設ケタル外国会社ノ免許ヲ取消シタルトキハ其処分確定ノ後遅滞ナク其旨ヲ支店又ハ事務所ノ所在地ノ登記所ニ通知スルコトヲ要ス
登記所カ前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ支店又ハ事務所ノ登記ヲ抹消スルコトヲ要ス
第十三条 外国会社ノ代表者ハ左ノ場合ニ於テハ五円以上五百円以下ノ過料ニ処セラル
一 本令ニ定メタル登記ヲ為スコトヲ怠リタルトキ
二 第八条又ハ第九条ニ掲ケタル書類ヲ備ヘ置カス、之ニ記載スヘキ事項ヲ記載セス又ハ之ニ不正ノ記載ヲ為シタルトキ
第十四条 外国会社ノ代表者ハ左ノ場合ニ於テハ十円以上千円以下ノ過料ニ処セラル
一 保険事業ニ非サル事業ヲ為シタルトキ
二 生命保険ト損害保険トヲ併セテ営ミタルトキ
三 主務官庁ノ命令ニ違反シタルトキ
四 主務官庁ノ検査ヲ妨ケタルトキ
五 主務官庁ニ対シ不実ノ申立ヲ為シ又ハ事実ヲ隠蔽シタルトキ
六 正当ノ理由ナクシテ本令ノ規定ニ依リ閲覧ヲ許スヘキ書類ヲ閲覧セシメス又ハ其謄本若クハ抄本ヲ交付セサリシトキ
第十五条 非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ前二条ニ定メタル過料ニ之ヲ準用ス
第十六条 保険業法第一条、第三条、第四条、第七条、第九条乃至第十一条及ヒ第九十七条ノ規定ハ外国会社ニ之ヲ準用ス
第十七条 商法第九条、第十一条乃至第十五条、第十九条乃至第三十八条、第四十条、第四十一条、第二百五十五条乃至第二百五十八条及ヒ保険業法第八十五条、第八十六条、第九十条、第九十一条ノ規定ハ外国相互会社ニ之ヲ準用ス
第十八条 各登記所ニ外国相互保険会社登記簿ヲ備フ
第十九条 外国相互会社カ日本ニ事務所ヲ設ケタル場合ニ於テ其登記ヲ申請スルトキハ会社ノ代表者ハ申請書ニ其日本ニ於ケル事業ノ本拠及ヒ代表者ノ氏名、住所ヲ記載シ且之ニ左ノ書面ヲ添附スルコトヲ要ス
一 主タル事務所ノ存在ヲ認ムルニ足ル書面
二 代表者タル資格ヲ証スル書面
三 会社ノ定款又ハ会社ノ性質ヲ識別スルニ足ル書面
四 日本ニ於ケル社員ノ名簿
五 主務官庁ノ免許書又ハ其認証アル謄本
前項第一号乃至第三号ノ書面ハ会社ノ本国ノ管轄官庁又ハ日本ニ在ル領事ノ認証ヲ受ケタルモノナルコトヲ要ス
第二十条 外国相互会社ノ代表者カ支配人ノ選任ノ登記ヲ申請スル場合ニ於テハ申請書ニ其日本ニ於ケル事務所設立ノ登記ノ年月日ヲ記載シ且之ニ支配人ノ選任ヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第二十一条 非訟事件手続法第百三十九条、第百四十一条乃至第百四十九条、第百五十一条、第百五十四条乃至第百六十五条、第百七十三条第一項、第百七十四条第二項、第二百三条及ヒ第二百四条ノ規定ハ外国相互会社ニ之ヲ準用ス
第二十二条 第一条乃至第六条、第八条乃至第十一条及ヒ第十三条乃至第十六条ノ規定ハ外国人カ日本ニ支店又ハ代理店ヲ設ケテ保険事業ヲ営ム場合ニ之ヲ準用ス
附 則
第二十三条 本令ハ明治三十三年十一月十五日ヨリ之ヲ施行ス
第二十四条 本令施行前ニ日本ニ支店、事務所又ハ代理店ヲ設ケタル外国人又ハ外国会社ハ其施行ノ日ヨリ六箇月内ニ其日本ニ於ケル事業ノ本拠ヲ主務官庁ニ届出ツルコトヲ要ス
第二十五条 第四条乃至第十五条、第十七条、第二十条、保険業法第一条、第三条、第四条、第九条乃至第十一条、第九十七条及ヒ非訟事件手続法第百七十三条第一項、第百七十四条第二項ノ規定ハ本令施行前ニ日本ニ支店、事務所又ハ代理店ヲ設ケタル外国人又ハ外国会社ニ之ヲ準用ス