朕府縣稅徵收ニ關スル件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十三年三月二十九日
大藏大臣 伯爵 松方正義
內務大臣 侯爵 西鄕從道
勅令第八十一號
第一條 市町村ハ其ノ市町村內ノ府縣稅ヲ徵收シ之ヲ府縣ニ納入スルノ義務ヲ負フ
前項府縣稅ノ徵收ニ關シテハ地租ノ附加稅ヲ除クノ外徵收金額百分ノ四ヲ其ノ市町村ニ交付スヘシ
第二條 市町村ハ避クヘカラサル災害ニ因リ旣收ノ稅金ヲ失ヒタルトキハ其ノ稅金納入義務ノ免除ヲ府縣知事ニ申請スルコトヲ得
第三條 府縣知事前條ノ申請ヲ受ケタルトキハ之ヲ府縣參事會ノ決定ニ付スヘシ其ノ決定ニ不服アル者ハ決定書ノ交付ヲ受ケタル翌日ヨリ起算シ十四日以內ニ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
前項ノ決定ニ關シテハ府縣知事ヨリモ亦訴願ヲ提起スルコトヲ得
第四條 府縣稅ヲ徵收セムトスルトキハ府縣知事又ハ其ノ委任ヲ受ケタル官吏吏員ハ市町村ニ對シ徵稅令書ヲ發シ市町村長ハ徵稅令書ニ依リ徵稅傳令書ヲ調製シ之ヲ納稅人ニ交付スヘシ
府縣知事又ハ其ノ委任ヲ受ケタル官吏吏員ハ直ニ納稅人ニ對シ徵稅令書ヲ發スルコトヲ得
納稅人ニ於テ徵稅令書又ハ徵稅傳令書ノ受領ヲ拒ミタルトキ又ハ納稅人ノ所在知レサルトキハ徵稅令書又ハ徵稅傳令書ヲ發シタル行政廳ニ於テ其ノ令書又ハ傳令書ノ要領ヲ公示スルヲ以テ之ヲ交付シタルモノト看做ス
第五條 徵稅傳令書ヲ受ケタル納稅人ハ其ノ稅金ヲ市町村ノ收入役ニ拂込ミ其ノ領收證ヲ得テ納稅ノ義務ヲ了ス
徵稅令書ヲ受ケタル納稅人ハ其ノ稅金ヲ府縣金庫ニ拂込ミ其ノ領收證ヲ得テ納稅ノ義務ヲ了ス
市町村ハ其ノ徵收シタル府縣稅ヲ府縣金庫ニ拂込ミ其ノ領收證ヲ得テ稅金納入ノ義務ヲ了ス
第六條 徵稅傳令書ヲ受ケタル納稅人ニ於テ納期ヲ過キ稅金ヲ完納セサルトキハ市町村長ハ其ノ滯納ノ稅目、金額及滯納人ノ住所氏名其ノ他必要ナル事項ヲ記載シ之ヲ徵稅令書ヲ發シタル官吏吏員ニ報吿スヘシ
第七條 納稅人ニ於テ滯納處分、强制執行又ハ家資分散若ハ破產ノ宣吿ヲ受ケタルトキハ徵稅令書又ハ徵稅傳令書ヲ交付シタル府縣稅ニ限リ納期前ト雖之ヲ徵收スルコトヲ得法人ノ解散シタルトキ亦同シ
第八條 府縣稅ノ徵收期ハ府縣知事之ヲ定ム
第九條 市制町村制ヲ施行セサル地ニ於ケル府縣稅ノ徵收ニ關シテハ本令ノ規定ヲ準用ス其ノ準用シ難キ事項ハ內務大臣ノ許可ヲ得テ府縣知事之ヲ定ム
第十條 本令ニ關スル細則ハ府縣知事之ヲ定ム
附 則
本令ハ明治三十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕府県税徴収ニ関スル件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十三年三月二十九日
大蔵大臣 伯爵 松方正義
内務大臣 侯爵 西郷従道
勅令第八十一号
第一条 市町村ハ其ノ市町村内ノ府県税ヲ徴収シ之ヲ府県ニ納入スルノ義務ヲ負フ
前項府県税ノ徴収ニ関シテハ地租ノ附加税ヲ除クノ外徴収金額百分ノ四ヲ其ノ市町村ニ交付スヘシ
第二条 市町村ハ避クヘカラサル災害ニ因リ既収ノ税金ヲ失ヒタルトキハ其ノ税金納入義務ノ免除ヲ府県知事ニ申請スルコトヲ得
第三条 府県知事前条ノ申請ヲ受ケタルトキハ之ヲ府県参事会ノ決定ニ付スヘシ其ノ決定ニ不服アル者ハ決定書ノ交付ヲ受ケタル翌日ヨリ起算シ十四日以内ニ内務大臣ニ訴願スルコトヲ得
前項ノ決定ニ関シテハ府県知事ヨリモ亦訴願ヲ提起スルコトヲ得
第四条 府県税ヲ徴収セムトスルトキハ府県知事又ハ其ノ委任ヲ受ケタル官吏吏員ハ市町村ニ対シ徴税令書ヲ発シ市町村長ハ徴税令書ニ依リ徴税伝令書ヲ調製シ之ヲ納税人ニ交付スヘシ
府県知事又ハ其ノ委任ヲ受ケタル官吏吏員ハ直ニ納税人ニ対シ徴税令書ヲ発スルコトヲ得
納税人ニ於テ徴税令書又ハ徴税伝令書ノ受領ヲ拒ミタルトキ又ハ納税人ノ所在知レサルトキハ徴税令書又ハ徴税伝令書ヲ発シタル行政庁ニ於テ其ノ令書又ハ伝令書ノ要領ヲ公示スルヲ以テ之ヲ交付シタルモノト看做ス
第五条 徴税伝令書ヲ受ケタル納税人ハ其ノ税金ヲ市町村ノ収入役ニ払込ミ其ノ領収証ヲ得テ納税ノ義務ヲ了ス
徴税令書ヲ受ケタル納税人ハ其ノ税金ヲ府県金庫ニ払込ミ其ノ領収証ヲ得テ納税ノ義務ヲ了ス
市町村ハ其ノ徴収シタル府県税ヲ府県金庫ニ払込ミ其ノ領収証ヲ得テ税金納入ノ義務ヲ了ス
第六条 徴税伝令書ヲ受ケタル納税人ニ於テ納期ヲ過キ税金ヲ完納セサルトキハ市町村長ハ其ノ滞納ノ税目、金額及滞納人ノ住所氏名其ノ他必要ナル事項ヲ記載シ之ヲ徴税令書ヲ発シタル官吏吏員ニ報告スヘシ
第七条 納税人ニ於テ滞納処分、強制執行又ハ家資分散若ハ破産ノ宣告ヲ受ケタルトキハ徴税令書又ハ徴税伝令書ヲ交付シタル府県税ニ限リ納期前ト雖之ヲ徴収スルコトヲ得法人ノ解散シタルトキ亦同シ
第八条 府県税ノ徴収期ハ府県知事之ヲ定ム
第九条 市制町村制ヲ施行セサル地ニ於ケル府県税ノ徴収ニ関シテハ本令ノ規定ヲ準用ス其ノ準用シ難キ事項ハ内務大臣ノ許可ヲ得テ府県知事之ヲ定ム
第十条 本令ニ関スル細則ハ府県知事之ヲ定ム
附 則
本令ハ明治三十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス