朕專賣局作業會計規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十三年二月一日
大藏大臣 伯爵 松方正義
勅令第二十號
專賣局作業會計規則
第一條 歲入歲出ノ豫定計算書ハ所管大臣之ヲ調製シ前年度八月三十一日迄ニ各省豫定經費要求書ト俱ニ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ
第二條 所管大臣ハ其ノ年三月三十一日ニ終リタル會計年度ノ受拂勘定表及固定資本價格增減表ヲ調製シ歲入歲出ノ豫定計算書ニ添附スヘシ
第三條 歲入歲出ノ決定計算書ハ所管大臣之ヲ調製シ翌年度十二月三十一日迄ニ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ
專賣局長又ハ專賣支局長ハ會計檢査院ニ證明ノ爲每年度歲入確定額計算書ヲ調製シ證憑書類ヲ添ヘ年度經過後二箇月以內ニ其ノ歲入事務管理廳ニ送付シ歲入事務管理廳ハ之ヲ會計檢査院ニ送付スヘシ
專賣局長又ハ專賣支局長ハ會計檢査院ニ證明ノ爲每月支出ノ計算書ヲ調製シ證憑書類ヲ添ヘ翌月十五日迄ニ其ノ所管大臣ニ送付シ所管大臣ハ之ヲ會計檢査院ニ送付スヘシ
本條第二項第三項ノ計算書ハ特ニ所管大臣ヨリ委任ヲ受ケタル官吏ヨリ直ニ會計檢査院ニ送付セシムルコトヲ得
第四條 歲入歲出ノ豫算ハ決定ノ後所管大臣之ヲ專賣局長及專賣支局長ニ命シテ執行セシムヘシ
第五條 專賣局長又ハ專賣支局長ハ歲出ヲ支出スル爲金庫ニ向テ仕拂請求書ヲ發スヘシ
第六條 仕拂請求書ヲ發スル官吏ハ葉煙草ノ賠償及購買費、外國ニ於テ仕拂ヲ爲ス經費及支部局ノ經費ニ限リ專賣局又ハ專賣支局ノ出納官吏ニ現金ノ前渡ヲ爲スコトヲ得
第七條 各年度ノ歲出ニ屬スル仕拂請求書ヲ發スルハ每年度三月三十一日限リトス
仕拂請求書發行及取扱ノ手續ハ仕拂命令ノ例ニ依ル
第八條 各年度ニ屬スル定額戾入ヲ爲スハ每年度三月三十一日限リトス
第九條 每年度內ニ收入ヲ爲スヘキ權利ヲ得テ當該年度內ニ收入濟トナラサルモノハ收入未濟トシテ順次翌年度ニ繰越シ現ニ收入ヲナシタル年度ノ歲入ニ組入ルヘシ但シ明治三十年勅令第三百七十五號ニ依リ延納ヲ許可シタル葉煙草ノ代金ニ限リ翌年度七月三十一日迄ハ當該年度ノ歲入ニ組入ルヘシ
第十條 每年度內ニ仕拂ヲ爲スヘキ義務ヲ生シ當該年度內ニ仕拂請求書ヲ發セサルモノハ支出未濟トシテ順次翌年度ヘ繰越シ當該年度經過後滿五箇年內ハ支出ノ請求アル每ニ仕拂請求書ヲ發スヘシ但シ支出未濟ノ繰越額ハ支出濟額ト合シテ豫算定額ヲ超過スルヲ得ス
第十一條 每年度內ニ於テ仕拂請求書ヲ發シ金庫ニ於テ仕拂ノ請求ヲ受ケサルモノハ仕拂未濟トシテ之ニ相當スル資金ヲ翌年度ヘ繰越シ仕拂ノ請求アル每ニ仕拂ヲ爲スヘシ
第十二條 前條ノ仕拂未濟金ハ會計法第十八條ニ依リ仕拂義務ヲ免レタルトキハ其ノ期滿免除トナリタル年度ノ一般ノ歲入ニ繰入ルヘシ
第十三條 仕拂請求書ノ執行ニ關シテハ仕拂命令執行ノ例ニ依ル
第十四條 收入官吏ハ其ノ取扱タル收入ヲ記入スル帳簿ノ結果ニ依リ每月收入報吿書ヲ調製シ參照書類ヲ添ヘ翌月十五日迄ニ專賣局ニ送付スヘシ
專賣局ハ作業全部ノ每月收入總報吿書ヲ調製シ參照書類ヲ添ヘ其ノ翌月中ニ所管大臣ヲ經由シテ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ
第十五條 金庫出納役ハ每月仕拂請求書受領濟報吿書ヲ調製シ其ノ翌月中ニ大藏省ニ送付スヘシ
第十六條 資本ハ總テ價格ヲ付シテ計算スヘシ
第十七條 資本ノ價格ハ左ノ方法ニ依テ之ヲ定ム
一 土地ハ近鄰地ノ賣買價格五箇年間ノ平均ニ依ル近鄰ニ比較スヘキ相當ノ土地ナキトキハ五人以上ノ評價人ヲ定メ其ノ評定價格ノ平均ニ依ル
二 建造物及其ノ他ノ工作物機械器具及其ノ他ノ物品ハ建築費又ハ購入價格ニ依ル建築費又ハ購入價格ノ不明ナルモノハ物件ノ輕重ニ依リ二人以上ノ評價人ヲ定メ其ノ評定價格ノ平均ニ依ル
三 葉煙草ハ賠償又ハ購買價格ニ依ル其ノ沒收等ニ係ルモノハ其ノ比準價格ニ依ル
第十八條 土地ノ價格ハ前條ノ方法ニ依リ每五年ニ之ヲ改定スヘシ
第十九條 建造物及其ノ他ノ工作物機械器具及其ノ他ノ物品ハ永遠保存品ヲ除キ總テ保存期限ヲ定メ其ノ期限ニ應シテ每年價格ヲ遞減スヘシ
前項中固定資本ニ屬スル物件ヲ修理シタルトキハ其ノ修理費ヲ以テ現年ノ價格ニ加ヘ再ヒ保存年限ニ應シテ價格ヲ遞減スヘシ
第二十條 前條ノ物件ヲ修理シタルトキハ保存年限ヲ改定シテ之ヲ延フルコトヲ得
第二十一條 每年度ノ終リニ現在スル葉煙草ニシテ毀損又ハ變質ニ因リ其ノ價格減少スルトキハ當時ノ賠償又ハ購買價格ニ比準シテ改定スヘシ
第二十二條 歲入ノ收入濟額、收入未濟額、据置運轉資本ニ屬スル現金ノ持越高、總葉煙草ノ價格、總備品ノ價格ヲ以テ受入トシ歲出ノ支出濟額、支出未濟額、据置運轉資本額、賣拂代價收入濟物品ノ價格、賣拂代價收入未濟物品ノ價格、損失ニ歸シタル物品ノ價格ヲ以テ拂出トシ受入ノ總額ヨリ拂出ノ總額ヲ控除シ殘餘アルトキハ作業ノ益金トシテ其ノ事業ヲ營ミタル年度ノ一般ノ歲入ニ納付スヘシ
第二十三條 大藏省ハ專賣局作業會計ノ主計簿ヲ備ヘ歲入ノ豫算額、確定額、收入濟額、收入未濟額、歲出ノ豫算額、支出濟額ヲ登記スヘシ
第二十四條 專賣局ハ日記簿、原簿、補助簿ヲ備ヘ其ノ事業ニ關スル一切ノ計算ヲ登記スヘシ
第二十五條 收入官吏ハ收入簿ヲ備ヘ歲入ノ種類ヲ區分シ確定額、收入濟額、收入未濟額ヲ登記スヘシ
第二十六條 專賣局ハ歲入簿ヲ備ヘ歲入ノ種類ヲ區分シ歲入ノ豫算額、確定額、收入濟額、收入未濟額ヲ登記スヘシ
第二十七條 金庫出納役ハ支出簿ヲ備ヘ歲出ノ豫算額、仕拂請求書受領濟額ヲ登記スヘシ
第二十八條 此ノ規則ニ規定セサルモノハ總テ會計規則ノ各條項ヲ適用ス
附 則
本令ハ明治三十三年度ヨリ施行ス
朕専売局作業会計規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十三年二月一日
大蔵大臣 伯爵 松方正義
勅令第二十号
専売局作業会計規則
第一条 歳入歳出ノ予定計算書ハ所管大臣之ヲ調製シ前年度八月三十一日迄ニ各省予定経費要求書ト俱ニ之ヲ大蔵大臣ニ送付スヘシ
第二条 所管大臣ハ其ノ年三月三十一日ニ終リタル会計年度ノ受払勘定表及固定資本価格増減表ヲ調製シ歳入歳出ノ予定計算書ニ添附スヘシ
第三条 歳入歳出ノ決定計算書ハ所管大臣之ヲ調製シ翌年度十二月三十一日迄ニ之ヲ大蔵大臣ニ送付スヘシ
専売局長又ハ専売支局長ハ会計検査院ニ証明ノ為毎年度歳入確定額計算書ヲ調製シ証憑書類ヲ添ヘ年度経過後二箇月以内ニ其ノ歳入事務管理庁ニ送付シ歳入事務管理庁ハ之ヲ会計検査院ニ送付スヘシ
専売局長又ハ専売支局長ハ会計検査院ニ証明ノ為毎月支出ノ計算書ヲ調製シ証憑書類ヲ添ヘ翌月十五日迄ニ其ノ所管大臣ニ送付シ所管大臣ハ之ヲ会計検査院ニ送付スヘシ
本条第二項第三項ノ計算書ハ特ニ所管大臣ヨリ委任ヲ受ケタル官吏ヨリ直ニ会計検査院ニ送付セシムルコトヲ得
第四条 歳入歳出ノ予算ハ決定ノ後所管大臣之ヲ専売局長及専売支局長ニ命シテ執行セシムヘシ
第五条 専売局長又ハ専売支局長ハ歳出ヲ支出スル為金庫ニ向テ仕払請求書ヲ発スヘシ
第六条 仕払請求書ヲ発スル官吏ハ葉煙草ノ賠償及購買費、外国ニ於テ仕払ヲ為ス経費及支部局ノ経費ニ限リ専売局又ハ専売支局ノ出納官吏ニ現金ノ前渡ヲ為スコトヲ得
第七条 各年度ノ歳出ニ属スル仕払請求書ヲ発スルハ毎年度三月三十一日限リトス
仕払請求書発行及取扱ノ手続ハ仕払命令ノ例ニ依ル
第八条 各年度ニ属スル定額戻入ヲ為スハ毎年度三月三十一日限リトス
第九条 毎年度内ニ収入ヲ為スヘキ権利ヲ得テ当該年度内ニ収入済トナラサルモノハ収入未済トシテ順次翌年度ニ繰越シ現ニ収入ヲナシタル年度ノ歳入ニ組入ルヘシ但シ明治三十年勅令第三百七十五号ニ依リ延納ヲ許可シタル葉煙草ノ代金ニ限リ翌年度七月三十一日迄ハ当該年度ノ歳入ニ組入ルヘシ
第十条 毎年度内ニ仕払ヲ為スヘキ義務ヲ生シ当該年度内ニ仕払請求書ヲ発セサルモノハ支出未済トシテ順次翌年度ヘ繰越シ当該年度経過後満五箇年内ハ支出ノ請求アル毎ニ仕払請求書ヲ発スヘシ但シ支出未済ノ繰越額ハ支出済額ト合シテ予算定額ヲ超過スルヲ得ス
第十一条 毎年度内ニ於テ仕払請求書ヲ発シ金庫ニ於テ仕払ノ請求ヲ受ケサルモノハ仕払未済トシテ之ニ相当スル資金ヲ翌年度ヘ繰越シ仕払ノ請求アル毎ニ仕払ヲ為スヘシ
第十二条 前条ノ仕払未済金ハ会計法第十八条ニ依リ仕払義務ヲ免レタルトキハ其ノ期満免除トナリタル年度ノ一般ノ歳入ニ繰入ルヘシ
第十三条 仕払請求書ノ執行ニ関シテハ仕払命令執行ノ例ニ依ル
第十四条 収入官吏ハ其ノ取扱タル収入ヲ記入スル帳簿ノ結果ニ依リ毎月収入報告書ヲ調製シ参照書類ヲ添ヘ翌月十五日迄ニ専売局ニ送付スヘシ
専売局ハ作業全部ノ毎月収入総報告書ヲ調製シ参照書類ヲ添ヘ其ノ翌月中ニ所管大臣ヲ経由シテ之ヲ大蔵大臣ニ送付スヘシ
第十五条 金庫出納役ハ毎月仕払請求書受領済報告書ヲ調製シ其ノ翌月中ニ大蔵省ニ送付スヘシ
第十六条 資本ハ総テ価格ヲ付シテ計算スヘシ
第十七条 資本ノ価格ハ左ノ方法ニ依テ之ヲ定ム
一 土地ハ近隣地ノ売買価格五箇年間ノ平均ニ依ル近隣ニ比較スヘキ相当ノ土地ナキトキハ五人以上ノ評価人ヲ定メ其ノ評定価格ノ平均ニ依ル
二 建造物及其ノ他ノ工作物機械器具及其ノ他ノ物品ハ建築費又ハ購入価格ニ依ル建築費又ハ購入価格ノ不明ナルモノハ物件ノ軽重ニ依リ二人以上ノ評価人ヲ定メ其ノ評定価格ノ平均ニ依ル
三 葉煙草ハ賠償又ハ購買価格ニ依ル其ノ没収等ニ係ルモノハ其ノ比準価格ニ依ル
第十八条 土地ノ価格ハ前条ノ方法ニ依リ毎五年ニ之ヲ改定スヘシ
第十九条 建造物及其ノ他ノ工作物機械器具及其ノ他ノ物品ハ永遠保存品ヲ除キ総テ保存期限ヲ定メ其ノ期限ニ応シテ毎年価格ヲ逓減スヘシ
前項中固定資本ニ属スル物件ヲ修理シタルトキハ其ノ修理費ヲ以テ現年ノ価格ニ加ヘ再ヒ保存年限ニ応シテ価格ヲ逓減スヘシ
第二十条 前条ノ物件ヲ修理シタルトキハ保存年限ヲ改定シテ之ヲ延フルコトヲ得
第二十一条 毎年度ノ終リニ現在スル葉煙草ニシテ毀損又ハ変質ニ因リ其ノ価格減少スルトキハ当時ノ賠償又ハ購買価格ニ比準シテ改定スヘシ
第二十二条 歳入ノ収入済額、収入未済額、据置運転資本ニ属スル現金ノ持越高、総葉煙草ノ価格、総備品ノ価格ヲ以テ受入トシ歳出ノ支出済額、支出未済額、据置運転資本額、売払代価収入済物品ノ価格、売払代価収入未済物品ノ価格、損失ニ帰シタル物品ノ価格ヲ以テ払出トシ受入ノ総額ヨリ払出ノ総額ヲ控除シ残余アルトキハ作業ノ益金トシテ其ノ事業ヲ営ミタル年度ノ一般ノ歳入ニ納付スヘシ
第二十三条 大蔵省ハ専売局作業会計ノ主計簿ヲ備ヘ歳入ノ予算額、確定額、収入済額、収入未済額、歳出ノ予算額、支出済額ヲ登記スヘシ
第二十四条 専売局ハ日記簿、原簿、補助簿ヲ備ヘ其ノ事業ニ関スル一切ノ計算ヲ登記スヘシ
第二十五条 収入官吏ハ収入簿ヲ備ヘ歳入ノ種類ヲ区分シ確定額、収入済額、収入未済額ヲ登記スヘシ
第二十六条 専売局ハ歳入簿ヲ備ヘ歳入ノ種類ヲ区分シ歳入ノ予算額、確定額、収入済額、収入未済額ヲ登記スヘシ
第二十七条 金庫出納役ハ支出簿ヲ備ヘ歳出ノ予算額、仕払請求書受領済額ヲ登記スヘシ
第二十八条 此ノ規則ニ規定セサルモノハ総テ会計規則ノ各条項ヲ適用ス
附 則
本令ハ明治三十三年度ヨリ施行ス