精神病者監護法
法令番号: 法律第三十八號
公布年月日: 明治33年3月10日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル精神病者監護法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十三年三月九日
內閣總理大臣 侯爵 山縣有朋
內務大臣 侯爵 西鄕從道
法律第三十八號
精神病者監護法
第一條 精神病者ハ其ノ後見人配偶者四親等內ノ親族又ハ戶主ニ於テ之ヲ監護スルノ義務ヲ負フ但シ民法第九百八條ニ依リ後見人タルコトヲ得サル者ハ此ノ限ニ在ラス
監護義務者數人アル場合ニ於テ其ノ義務ヲ履行スヘキ者ノ順位ハ左ノ如シ
但シ監護義務者相互ノ同意ヲ以テ順位ヲ變更スルコトヲ得
第一 後見人
第二 配偶者
第三 親權ヲ行フ父又ハ母
第四 戶主
第五 前各號ニ揭ケタル者ニ非サル四親等內ノ親族中ヨリ親族會ノ選任シタル者
第二條 監護義務者ニ非サレハ精神病者ヲ監置スルコトヲ得ス
第三條 精神病者ヲ監置セムトスルトキハ行政廳ノ許可ヲ受クヘシ但シ急迫ノ事情アルトキハ假リニ之ヲ監置スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ二十四時間內ニ行政廳ニ屆出ヘシ
前項假監置ノ期間ハ七日ヲ超ユルコトヲ得ス
行政廳ノ許可ヲ受ケテ監置シタル精神病者ノ監置ヲ廢止シタル後三箇年內ニ更ニ之ヲ監置セムトスルトキ又ハ民法第九百二十二條ニ依リ禁治產者ヲ監置セムトスルトキハ行政廳ニ屆出ヘシ
第四條 精神病者ノ監置ノ方法又ハ場所ヲ變更シタルトキハ二十四時間內ニ行政廳ニ屆出ヘシ
第五條 監置シタル精神病者治癒シ死亡シ若ハ行方不明ト爲リタルトキ又ハ其ノ監置ヲ廢止シタルトキハ七日內ニ行政廳ニ屆出ヘシ
第六條 精神病者ヲ監置スルノ必要アルモ監護義務者ナキ場合又ハ監護義務者其ノ義務ヲ履行スルコト能ハサル事由アルトキハ精神病者ノ住所地、住所地ナキトキ又ハ不明ナルトキハ其ノ所在地市區町村長ハ勅令ノ定ムル所ニ從ヒ之ヲ監護スヘシ
第七條 行政廳ハ精神病者ノ監護ニ關シ必要ト認ムルトキハ監置ノ許可ヲ取消シ監置ノ廢止ヲ命シ又ハ監置ノ方法若ハ場所ノ變更ヲ命スルコトヲ得
監置ノ許可ヲ取消サレ又ハ其ノ廢止ヲ命セラレタル者監置ヲ廢止セサルトキハ行政廳ハ直接ニ監置ヲ廢止スルコトヲ得
第八條 精神病者監置ノ必要アルトキ又ハ監置不適當ト認ムルトキハ行政廳ハ第一條第二項ノ順位ニ拘ラス監護義務者ヲ指定シ之カ監置ヲ命スルコトヲ得但シ急迫ノ事情アルトキハ行政廳ハ假リニ其ノ精神病者ヲ監置スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第三條第二項ノ規定ヲ準用ス
市區町村長ニ於テ監護スル精神病者ノ監護義務者ヲ發見シ又ハ監護義務者其ノ義務ヲ履行シ得ルニ至リタルトキ亦前項ニ同シ
本條ニ依リ精神病者ノ監置ヲ命セラレタル監護義務者其ノ命ヲ履行セサルトキハ第六條ノ例ニ依リ市區町村長ニ於テ之ヲ監護スヘシ
本條ニ依リ監護義務者ノ監置シタル精神病者ニ關シテハ行政廳ノ許可ヲ受クルニ非サレハ其ノ監置ヲ廢止シ又ハ監置ノ方法若ハ場所ヲ變更スルコトヲ得ス
第九條 私宅監置室、公私立精神病院及公私立病院ノ精神病室ハ行政廳ノ許可ヲ受クルニ非サレハ之ヲ使用スルコトヲ得ス
私宅監置室、公私立精神病院及公私立病院ノ精神病室ノ構造設備及管理方法ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十條 監護ニ要シタル費用ハ被監護者ノ負擔トシ被監護者ヨリ辨償ヲ得サルトキハ其ノ扶養義務者ノ負擔トス
市區町村長ニ於テ監護スル場合ニ於テ之カ爲要スル費用ノ支辨方法及其ノ追徵方法ハ行旅病人及行旅死亡人取扱法ノ規定ヲ準用ス
第十一條 行政廳ハ必要ト認ムルトキハ其ノ指定シタル醫師ヲシテ精神病者ノ檢診ヲ爲サシメ又ハ官吏若ハ醫師ヲシテ精神病者ニ關シ必要ナル尋問ヲ爲サシメ又ハ精神病者在ル家宅病院其ノ他ノ場所ニ臨檢セシムルコトヲ得
第十二條 本法又ハ本法ニ基ツキテ發スル命令ノ執行ニ關シ行政廳ノ違法處分ニ由リ權利ヲ傷害セラレタリトスル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第十三條 本法又ハ本法ニ基ツキテ發スル命令ノ執行ニ關スル行政廳ノ處分ニ不服アル者ハ訴願ヲ提起スルコトヲ得
第十四條 官吏公吏又ハ行政廳ノ命ヲ受ケテ公務ヲ行フ醫師本法ノ執行ニ關シ不正ノ所爲ヲ爲シタル者ハ三年以下ノ重禁錮ニ處シ百圓以下ノ罰金ヲ附加ス
第十五條 官吏公吏又ハ行政廳ノ命ヲ受ケテ公務ヲ行フ醫師本法ノ執行ニ關シ賄賂ヲ收受シ又ハ之ヲ聽許シタル者ハ刑法第二百八十六條ノ例ニ照ラシテ處斷ス
第十六條 左ニ揭クル者ハ一年以下ノ重禁錮ニ處シ百圓以下ノ罰金ヲ附加ス
一 詐僞ノ所爲ヲ以テ行政廳ノ許可ヲ受ケ若ハ虛僞ノ屆出ヲ爲シ精神病者ヲ監置シ又ハ拘束ノ程度ヲ加重シタル者
二 醫師精神病者ノ診斷書ニ虛僞ノ事實ヲ記載シ又ハ自ラ診斷セスシテ診斷書ヲ授與シタル者
前項第一號ノ場合ニ於テハ監置又ハ拘束ノ日數十日ヲ過クル每ニ一等ヲ加フ
第十七條 左ニ揭クル者ハ二月以下ノ重禁錮ニ處シ二十圓以下ノ罰金ヲ附加シ又ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス但シ監置又ハ拘束ノ日數十日ヲ過クル每ニ一等ヲ加フ
一 許可ヲ受ケス又ハ屆出ヲ爲サス若ハ命ヲ受ケスシテ精神病者トシテ人ヲ監置シタル者
二 禁治產ノ宣吿又ハ監置ノ許可ヲ取消サレ又ハ監置ノ廢止ヲ命セラレ若ハ假監置ノ期間ヲ經過シタル後監置ヲ廢止セサル者
三 許可ヲ受ケ又ハ屆出ヲ爲シ若ハ命ヲ受ケタル程度ヲ超エテ精神病者ヲ拘束シタル者
第十八條 左ニ揭クル者ハ一月以下ノ重禁錮ニ處シ十圓以下ノ罰金ヲ附加シ又ハ五十圓以下ノ罰金ニ處ス
一 精神病者ノ監置ニ關シ虛僞ノ事實ヲ記載シタル願屆其ノ他ノ書類ヲ行政廳ニ提出シタル者
二 監護義務ヲ履行スヘキ順位ニ在ラサル者ニシテ許可ヲ受ケス又ハ命ニ依ルニ非スシテ監置ヲ廢止シ又ハ監置ノ方法若ハ場所ヲ變更シタル者
三 官吏又ハ行政廳ノ指定シタル醫師ノ臨檢若ハ檢診ヲ拒ミ又ハ其ノ尋問ニ對シ答辯ヲ爲サス若ハ虛僞ノ答辯ヲ爲シタル者
第十九條 左ニ揭クル者ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 監置ノ方法若ハ場所ノ變更ヲ命セラレ其ノ命ヲ履行セサル者
二 監護義務者精神病者ノ監置ヲ命セラレ其ノ命ヲ履行セサル者
三 第八條第四項及第九條第一項ニ違背シタル者
第二十條 第四條及第五條ニ違背シタル者ハ十圓以下ノ罰金ニ處ス
附 則
第二十一條 本法ハ明治三十三年七月一日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行前ヨリ精神病者ヲ監置シタル者ニシテ仍之ヲ繼續セムトスルトキハ本法施行ノ日ヨリ二箇月內ニ第三條ノ許可ヲ受ケ又ハ屆出ヲ爲スヘシ
第三條ノ許可ヲ受ケス又ハ屆出ヲ爲サスシテ前項ノ期間ヲ經過シタル後監置ヲ廢止セサル者ハ第十七條ノ例ニ照シテ處斷ス
本法中市區町村長ニ屬スル職務ハ市制區制町村制ヲ施行セサル地ニ在リテハ市區町村長ニ準スヘキ者之ヲ行フ
第二十二條 外國人タル精神病者ノ監護ニ關シ別段ノ規定ヲ要スルモノハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十三條 人事訴訟手續法第五十條又ハ第六十條ニ依リ裁判所ニ於テ精神病者ノ監護ニ付必要ナル處分ヲ命シタル場合ニ關シテハ本法ノ規定ヲ適用セス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル精神病者監護法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十三年三月九日
内閣総理大臣 侯爵 山県有朋
内務大臣 侯爵 西郷従道
法律第三十八号
精神病者監護法
第一条 精神病者ハ其ノ後見人配偶者四親等内ノ親族又ハ戸主ニ於テ之ヲ監護スルノ義務ヲ負フ但シ民法第九百八条ニ依リ後見人タルコトヲ得サル者ハ此ノ限ニ在ラス
監護義務者数人アル場合ニ於テ其ノ義務ヲ履行スヘキ者ノ順位ハ左ノ如シ
但シ監護義務者相互ノ同意ヲ以テ順位ヲ変更スルコトヲ得
第一 後見人
第二 配偶者
第三 親権ヲ行フ父又ハ母
第四 戸主
第五 前各号ニ掲ケタル者ニ非サル四親等内ノ親族中ヨリ親族会ノ選任シタル者
第二条 監護義務者ニ非サレハ精神病者ヲ監置スルコトヲ得ス
第三条 精神病者ヲ監置セムトスルトキハ行政庁ノ許可ヲ受クヘシ但シ急迫ノ事情アルトキハ仮リニ之ヲ監置スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ二十四時間内ニ行政庁ニ届出ヘシ
前項仮監置ノ期間ハ七日ヲ超ユルコトヲ得ス
行政庁ノ許可ヲ受ケテ監置シタル精神病者ノ監置ヲ廃止シタル後三箇年内ニ更ニ之ヲ監置セムトスルトキ又ハ民法第九百二十二条ニ依リ禁治産者ヲ監置セムトスルトキハ行政庁ニ届出ヘシ
第四条 精神病者ノ監置ノ方法又ハ場所ヲ変更シタルトキハ二十四時間内ニ行政庁ニ届出ヘシ
第五条 監置シタル精神病者治癒シ死亡シ若ハ行方不明ト為リタルトキ又ハ其ノ監置ヲ廃止シタルトキハ七日内ニ行政庁ニ届出ヘシ
第六条 精神病者ヲ監置スルノ必要アルモ監護義務者ナキ場合又ハ監護義務者其ノ義務ヲ履行スルコト能ハサル事由アルトキハ精神病者ノ住所地、住所地ナキトキ又ハ不明ナルトキハ其ノ所在地市区町村長ハ勅令ノ定ムル所ニ従ヒ之ヲ監護スヘシ
第七条 行政庁ハ精神病者ノ監護ニ関シ必要ト認ムルトキハ監置ノ許可ヲ取消シ監置ノ廃止ヲ命シ又ハ監置ノ方法若ハ場所ノ変更ヲ命スルコトヲ得
監置ノ許可ヲ取消サレ又ハ其ノ廃止ヲ命セラレタル者監置ヲ廃止セサルトキハ行政庁ハ直接ニ監置ヲ廃止スルコトヲ得
第八条 精神病者監置ノ必要アルトキ又ハ監置不適当ト認ムルトキハ行政庁ハ第一条第二項ノ順位ニ拘ラス監護義務者ヲ指定シ之カ監置ヲ命スルコトヲ得但シ急迫ノ事情アルトキハ行政庁ハ仮リニ其ノ精神病者ヲ監置スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第三条第二項ノ規定ヲ準用ス
市区町村長ニ於テ監護スル精神病者ノ監護義務者ヲ発見シ又ハ監護義務者其ノ義務ヲ履行シ得ルニ至リタルトキ亦前項ニ同シ
本条ニ依リ精神病者ノ監置ヲ命セラレタル監護義務者其ノ命ヲ履行セサルトキハ第六条ノ例ニ依リ市区町村長ニ於テ之ヲ監護スヘシ
本条ニ依リ監護義務者ノ監置シタル精神病者ニ関シテハ行政庁ノ許可ヲ受クルニ非サレハ其ノ監置ヲ廃止シ又ハ監置ノ方法若ハ場所ヲ変更スルコトヲ得ス
第九条 私宅監置室、公私立精神病院及公私立病院ノ精神病室ハ行政庁ノ許可ヲ受クルニ非サレハ之ヲ使用スルコトヲ得ス
私宅監置室、公私立精神病院及公私立病院ノ精神病室ノ構造設備及管理方法ニ関スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十条 監護ニ要シタル費用ハ被監護者ノ負担トシ被監護者ヨリ弁償ヲ得サルトキハ其ノ扶養義務者ノ負担トス
市区町村長ニ於テ監護スル場合ニ於テ之カ為要スル費用ノ支弁方法及其ノ追徴方法ハ行旅病人及行旅死亡人取扱法ノ規定ヲ準用ス
第十一条 行政庁ハ必要ト認ムルトキハ其ノ指定シタル医師ヲシテ精神病者ノ検診ヲ為サシメ又ハ官吏若ハ医師ヲシテ精神病者ニ関シ必要ナル尋問ヲ為サシメ又ハ精神病者在ル家宅病院其ノ他ノ場所ニ臨検セシムルコトヲ得
第十二条 本法又ハ本法ニ基ツキテ発スル命令ノ執行ニ関シ行政庁ノ違法処分ニ由リ権利ヲ傷害セラレタリトスル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第十三条 本法又ハ本法ニ基ツキテ発スル命令ノ執行ニ関スル行政庁ノ処分ニ不服アル者ハ訴願ヲ提起スルコトヲ得
第十四条 官吏公吏又ハ行政庁ノ命ヲ受ケテ公務ヲ行フ医師本法ノ執行ニ関シ不正ノ所為ヲ為シタル者ハ三年以下ノ重禁錮ニ処シ百円以下ノ罰金ヲ附加ス
第十五条 官吏公吏又ハ行政庁ノ命ヲ受ケテ公務ヲ行フ医師本法ノ執行ニ関シ賄賂ヲ収受シ又ハ之ヲ聴許シタル者ハ刑法第二百八十六条ノ例ニ照ラシテ処断ス
第十六条 左ニ掲クル者ハ一年以下ノ重禁錮ニ処シ百円以下ノ罰金ヲ附加ス
一 詐偽ノ所為ヲ以テ行政庁ノ許可ヲ受ケ若ハ虚偽ノ届出ヲ為シ精神病者ヲ監置シ又ハ拘束ノ程度ヲ加重シタル者
二 医師精神病者ノ診断書ニ虚偽ノ事実ヲ記載シ又ハ自ラ診断セスシテ診断書ヲ授与シタル者
前項第一号ノ場合ニ於テハ監置又ハ拘束ノ日数十日ヲ過クル毎ニ一等ヲ加フ
第十七条 左ニ掲クル者ハ二月以下ノ重禁錮ニ処シ二十円以下ノ罰金ヲ附加シ又ハ百円以下ノ罰金ニ処ス但シ監置又ハ拘束ノ日数十日ヲ過クル毎ニ一等ヲ加フ
一 許可ヲ受ケス又ハ届出ヲ為サス若ハ命ヲ受ケスシテ精神病者トシテ人ヲ監置シタル者
二 禁治産ノ宣告又ハ監置ノ許可ヲ取消サレ又ハ監置ノ廃止ヲ命セラレ若ハ仮監置ノ期間ヲ経過シタル後監置ヲ廃止セサル者
三 許可ヲ受ケ又ハ届出ヲ為シ若ハ命ヲ受ケタル程度ヲ超エテ精神病者ヲ拘束シタル者
第十八条 左ニ掲クル者ハ一月以下ノ重禁錮ニ処シ十円以下ノ罰金ヲ附加シ又ハ五十円以下ノ罰金ニ処ス
一 精神病者ノ監置ニ関シ虚偽ノ事実ヲ記載シタル願届其ノ他ノ書類ヲ行政庁ニ提出シタル者
二 監護義務ヲ履行スヘキ順位ニ在ラサル者ニシテ許可ヲ受ケス又ハ命ニ依ルニ非スシテ監置ヲ廃止シ又ハ監置ノ方法若ハ場所ヲ変更シタル者
三 官吏又ハ行政庁ノ指定シタル医師ノ臨検若ハ検診ヲ拒ミ又ハ其ノ尋問ニ対シ答弁ヲ為サス若ハ虚偽ノ答弁ヲ為シタル者
第十九条 左ニ掲クル者ハ百円以下ノ罰金ニ処ス
一 監置ノ方法若ハ場所ノ変更ヲ命セラレ其ノ命ヲ履行セサル者
二 監護義務者精神病者ノ監置ヲ命セラレ其ノ命ヲ履行セサル者
三 第八条第四項及第九条第一項ニ違背シタル者
第二十条 第四条及第五条ニ違背シタル者ハ十円以下ノ罰金ニ処ス
附 則
第二十一条 本法ハ明治三十三年七月一日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行前ヨリ精神病者ヲ監置シタル者ニシテ仍之ヲ継続セムトスルトキハ本法施行ノ日ヨリ二箇月内ニ第三条ノ許可ヲ受ケ又ハ届出ヲ為スヘシ
第三条ノ許可ヲ受ケス又ハ届出ヲ為サスシテ前項ノ期間ヲ経過シタル後監置ヲ廃止セサル者ハ第十七条ノ例ニ照シテ処断ス
本法中市区町村長ニ属スル職務ハ市制区制町村制ヲ施行セサル地ニ在リテハ市区町村長ニ準スヘキ者之ヲ行フ
第二十二条 外国人タル精神病者ノ監護ニ関シ別段ノ規定ヲ要スルモノハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十三条 人事訴訟手続法第五十条又ハ第六十条ニ依リ裁判所ニ於テ精神病者ノ監護ニ付必要ナル処分ヲ命シタル場合ニ関シテハ本法ノ規定ヲ適用セス