朕衞戍病院條例ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十一年二月十八日
陸軍大臣 子爵 桂太郞
勅令第二十七號
衞戍病院條例
第一條 衞戍病院ハ衞戍地ニ置キ所在地陸軍部隊官衙學校ヲ包含ス以下同シノ患者ヲ收療シ且看護學修業兵及看病人ノ敎育ヲ掌ル所トス
衞戍病院ハ衞戍地ノ情況ニ依リ分院ヲ設クルコトヲ得但其ノ設置及位置ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第二條 衞戍病院臺灣ハ除クハ衞戍地兵員ノ多少ニ依リ五等ニ區分ス
衞戍病院及其ノ分院ハ所在ノ地名ヲ冠シ某衞戍病院又ハ某衞戍病院某分院ト稱ス
第三條 衞戍病院ニ左ノ職員ヲ置ク
病院長 軍醫正若クハ一等軍醫
軍醫
藥劑官 四等以下ノ病院ニハ之ヲ置カス
軍吏 三等以下ノ病院ニハ之ヲ置カス
前項ノ外下士若干ヲ置ク
第四條 前條職員ノ外所在地部隊附軍醫ハ病院ノ勤務ニ服スルモノトス
第五條 病院長ハ所在地高級團隊長東京ニ在テハ第一師團長、臺灣ニ在テハ臺灣守備混成旅團長、要塞所在地ニ在テハ要塞司令官ニ隸シテ院務ヲ總理シ院內ノ衞生治病及敎育ノ責ニ任ス尙ホ其ノ勤務ニ關シテハ所管軍醫部長ノ監督ヲ受ク
第六條 軍醫以下ノ職員ハ病院長ノ命ヲ受ケ院務ヲ分掌ス所在地部隊附軍醫ノ病院勤務ニ服スル者亦同シ
第七條 入院患者ノ治療ニ關スル諸費ハ病院ノ支辨トス但准士官以上特務曹長ヲ除ク及自費服役ノ一年志願兵竝軍屬ニシテ其ノ傷痍疾病公務ニ起因セサル者ハ其ノ定額ヲ納付セシム
第八條 軍人軍屬旅行途上發病シタルトキ其ノ他止ムヲ得サル場合ニ在テハ第一條ノ規定ニ拘ラス附近衞戍病院ニ收療スルコトヲ得現職若クハ現役ヲ離レ又ハ候補生諸生徒ヲ免セラレタル者ニシテ一時收療ヲ要スルトキ亦同シ
第九條 營外居住タル軍人軍屬ノ患者ハ入院ヲ要スル者ノ外衞戍病院ヨリ藥物療用品ヲ與フルコトナシト雖モ土地ノ情況又ハ救急處置等ノ爲メ止ヲ得サル場合ニ限リ軍醫ノ處方ニ據リ之ヲ與フルコトヲ得但其ノ傷痍疾病公務ニ起因セサル者ハ代價ノ定額ヲ納付セシム
第十條 第七條及第九條ノ定額ハ陸軍大臣之ヲ定ム
附 則
第十一條 本條例ハ明治三十一年四月一日ヨリ施行ス
朕衛戍病院条例ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十一年二月十八日
陸軍大臣 子爵 桂太郎
勅令第二十七号
衛戍病院条例
第一条 衛戍病院ハ衛戍地ニ置キ所在地陸軍部隊官衙学校ヲ包含ス以下同シノ患者ヲ収療シ且看護学修業兵及看病人ノ教育ヲ掌ル所トス
衛戍病院ハ衛戍地ノ情況ニ依リ分院ヲ設クルコトヲ得但其ノ設置及位置ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第二条 衛戍病院台湾ハ除クハ衛戍地兵員ノ多少ニ依リ五等ニ区分ス
衛戍病院及其ノ分院ハ所在ノ地名ヲ冠シ某衛戍病院又ハ某衛戍病院某分院ト称ス
第三条 衛戍病院ニ左ノ職員ヲ置ク
病院長 軍医正若クハ一等軍医
軍医
薬剤官 四等以下ノ病院ニハ之ヲ置カス
軍吏 三等以下ノ病院ニハ之ヲ置カス
前項ノ外下士若干ヲ置ク
第四条 前条職員ノ外所在地部隊附軍医ハ病院ノ勤務ニ服スルモノトス
第五条 病院長ハ所在地高級団隊長東京ニ在テハ第一師団長、台湾ニ在テハ台湾守備混成旅団長、要塞所在地ニ在テハ要塞司令官ニ隷シテ院務ヲ総理シ院内ノ衛生治病及教育ノ責ニ任ス尚ホ其ノ勤務ニ関シテハ所管軍医部長ノ監督ヲ受ク
第六条 軍医以下ノ職員ハ病院長ノ命ヲ受ケ院務ヲ分掌ス所在地部隊附軍医ノ病院勤務ニ服スル者亦同シ
第七条 入院患者ノ治療ニ関スル諸費ハ病院ノ支弁トス但准士官以上特務曹長ヲ除ク及自費服役ノ一年志願兵並軍属ニシテ其ノ傷痍疾病公務ニ起因セサル者ハ其ノ定額ヲ納付セシム
第八条 軍人軍属旅行途上発病シタルトキ其ノ他止ムヲ得サル場合ニ在テハ第一条ノ規定ニ拘ラス附近衛戍病院ニ収療スルコトヲ得現職若クハ現役ヲ離レ又ハ候補生諸生徒ヲ免セラレタル者ニシテ一時収療ヲ要スルトキ亦同シ
第九条 営外居住タル軍人軍属ノ患者ハ入院ヲ要スル者ノ外衛戍病院ヨリ薬物療用品ヲ与フルコトナシト雖モ土地ノ情況又ハ救急処置等ノ為メ止ヲ得サル場合ニ限リ軍医ノ処方ニ拠リ之ヲ与フルコトヲ得但其ノ傷痍疾病公務ニ起因セサル者ハ代価ノ定額ヲ納付セシム
第十条 第七条及第九条ノ定額ハ陸軍大臣之ヲ定ム
附 則
第十一条 本条例ハ明治三十一年四月一日ヨリ施行ス