朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ徵兵事務條例ノ改正ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十九年三月三十日
海軍大臣 侯爵 西鄕從道
陸軍大臣 侯爵 大山巖
內務大臣 芳川顯正
勅令第百十二號
徵兵事務條例
第一章 徵兵區
第一條 徵兵區ハ師管及聯隊區又ハ警備隊區ノ區域ニ從フ
第二條 聯隊區及警備隊區ハ更ニ之ヲ徵募區ニ分ツ
第三條 徵募區ハ一郡又ハ一市北海道ニ在テハ區ヲ以テ一區ト爲ス
一市ニシテ二聯隊區ニ分屬スルモノハ各別ニ一區ト爲ス
數郡ニ一郡役所ヲ置クモノハ數郡ヲ併セ一區ト爲ス其ノ島廳ヲ置クモノ亦同シ
東京市、京都市、大阪市ニ於テハ更ニ徵募區ヲ檢査區ニ分チ區ヲ以テ檢査區ト爲ス
第四條 步兵隊ノ兵員ハ聯隊每ニ其ノ師管ノ一聯隊區ヨリ其ノ他ノ兵員ハ其ノ師管各聯隊區ヨリ徵集ス但要員ヲ充シ能ハサルトキハ他ノ聯隊區若クハ他ノ師管ヨリ其ノ不足ヲ補充スルコトヲ得
警備隊ノ兵員ハ其ノ警備隊區ヨリ徵集ス
海軍兵員ハ各師管內沿海及島嶼ヲ包括スル聯隊區ヨリ徵集ス
第二章 徵兵官
第五條 徵兵官ハ總理徵兵官、師管徵兵官、聯隊區徵兵官、警備隊區徵兵官及聯隊區聯合徵兵署徵兵官トス
第六條 總理徵兵官ハ內務大臣及陸軍大臣ヲ以テ之ニ充テ全國徵兵ノ事ヲ統轄ス
第七條 師管徵兵官ハ師管內府縣每ニ師團長及府縣知事ヲ以テ之ニ充テ師團長ヲ首坐トシ其ノ管內府縣徵兵ノ事ヲ統轄ス
北海道ニ於テハ師團長及北海道廳長官ヲ以テ師管徵兵官ニ充テ師團長ヲ首坐トシ其ノ管內徵兵ノ事ヲ統轄ス
第八條 聯隊區徵兵官ハ聯隊區內徵募區每ニ聯隊區司令官及島司郡市長北海道ノ區ニ在テハ區長ヲ以テ之ニ充テ警備隊區徵兵官ハ警備隊司令官及島司郡長ヲ以テ之ニ充テ聯隊區司令官又ハ警備隊司令官ヲ首坐トシ其ノ區內徵募事務ヲ執行ス
東京市、京都市、大阪市ニ於テハ檢査區每ニ聯隊區司令官及區長ヲ以テ聯隊區徵兵官ニ充テ聯隊區司令官ヲ首坐トシ抽籤事務ヲ除クノ外其ノ區內徵募事務ヲ執行ス
第九條 聯隊區聯合徵兵署徵兵官ハ東京市、京都市、大阪市ニ於テ徵募區每ニ聯隊區司令官、市參事會員タル府ノ書記官及各區長ヲ以テ之ニ充テ聯隊區司令官ヲ首坐トシ其ノ區內抽籤事務ヲ執行ス
第十條 第八條第九條ニ揭クル徵兵官ノ外聯隊區內徵募區東京市、京都市、大阪市ニ在テハ檢査區每ニ聯隊區徵兵參事員警備隊區內徵募區每ニ警備隊區徵兵參事員ヲ置ク
第十一條 聯隊區徵兵參事員又ハ警備隊區徵兵參事員ハ徵兵令第二十二條ニ當ル徵集延期及徵集免除竝ニ明治二十八年勅令第百二十六號第二條ノ徵集猶豫ニ關スル事件ヲ審議シ意見ヲ徵兵官ニ具申スルヲ任トス但徵兵官ノ裁決ニ付可否ヲ議スルノ權ナキモノトス
第十二條 聯隊區徵兵參事員又ハ警備隊區徵兵參事員ハ郡市名譽職參事會員ヲ以テ之ニ充ツ但市ニ於テハ其ノ市名譽職參事會員ニ於テ四名ヲ互選シ之ヲ定ム
東京市、京都市、大阪市ノ區ノ聯隊區徵兵參事員ハ市會ニ於テ其ノ區內ニ住スル市公民中選擧權ヲ有スル者ヨリ四名ヲ選擧シ之ヲ定ム其ノ任期ハ市會議員ノ例ニ依ル
島廳ヲ置ク島嶼ノ聯隊區徵兵參事員又ハ警備隊區徵兵參事員ハ島司ニ於テ各町村會議員中ヨリ四名ヲ選ヒ府縣知事ノ認可ヲ得テ之ヲ命ス其ノ任期ハ町村會議員ノ任期ニ依ル
北海道ノ郡又ハ區ノ聯隊區徵兵參事員ハ徵募區每ニ四名トシ北海道廳長官之ヲ命ス其ノ任期等ハ北海道廳長官ノ定ムル所ニ依ル
第十三條 每年徵募事務執行中ハ師管徵兵醫官及聯隊區徵兵醫官又ハ警備隊區徵兵醫官ヲ置ク
師管徵兵醫官ハ師管內徵兵身體檢査ニ係ル事ヲ總管シ聯隊區徵兵醫官又ハ警備隊區徵兵醫官ハ徵兵身體ノ檢査ニ從事ス
第十四條 師管徵兵醫官ハ師團軍醫部長ヲ以テ之ニ充テ聯隊區徵兵醫官又ハ警備隊區徵兵醫官ハ聯隊區司令部又ハ警備隊司令部附軍醫一名ヲ以テ之ニ充ツルヲ例トス
第十五條 每年徵募事務執行中ハ聯隊區徵兵署、警備隊區徵兵署及聯隊區聯合徵兵署ニ事務員ヲ置キ該徵兵署ノ庶務ニ從事セシム
第十六條 聯隊區徵兵署事務員又ハ警備隊區徵兵署事務員ハ聯隊區書記又ハ警備隊書記二名及島廳郡市書記東京市、京都市、大阪市及北海道ノ區ニ在テハ區書記二名若クハ三名ヲ以テ之ニ充ツ
聯隊區聯合徵兵署事務員ハ聯隊區書記二名府屬二名及各區書記二名若クハ三名ヲ以テ之ニ充ツ
第十七條 每年徵募事務執行中ハ地方醫師若干名ヲ以テ徵兵醫官補助員トシ北海道廳長官府縣知事之ヲ命ス
徵兵醫官補助員ハ徵兵醫官ノ指揮ヲ受ケ身體檢査ノ事ヲ補助ス
第三章 配賦
第十八條 每年徵集スヘキ現役兵及補充兵ノ員數ハ上裁ヲ經テ陸軍大臣之ヲ各師管ニ配賦ス
第十九條 師團長ハ第十八條ニ依リ現役兵及補充兵ノ要員ヲ各聯隊區又ハ警備隊區ニ聯隊區司令官又ハ警備隊司令官ハ之ヲ各徵募區ニ配賦ス
第二十條 現役兵及補充兵ノ配賦ハ壯丁ノ總數ヲ率トシ比例ヲ以テ之ヲ定ム
第四章 徵募
第二十一條 町村長町村制ヲ施行セサル地方ニ在テハ戶長以下同シハ每年戶籍簿ニ據リ徵兵適齡者ヲ取調ヘ徵兵令第二十五條ノ屆書ニ照較シ壯丁名簿ヲ作リ二月十五日迄ニ島司又ハ郡長ニ差出シ島司郡長ハ㸃檢ノ後之ヲ一徵募區ニ取纒メ前年假決ノ諸名簿ト共ニ聯隊區徵兵署又ハ警備隊區徵兵署ニ提出スヘシ
市長東京市、京都市、大阪市及北海道ノ區ニ在テハ區長以下同シハ前項ノ例ニ依リ壯丁名簿ヲ作リ前年假決ノ諸名簿ト共ニ之ヲ聯隊區徵兵署ニ提出スヘシ
第二十二條 每年徵募事務執行ノトキハ各徵募區及檢査區ニ聯隊區徵兵署又ハ警備隊區徵兵署ヲ設ク但土地廣濶壯丁多數ノ徵募區ニ於テハ二箇所以上ノ地ニ逐次開設スルコトヲ得
東京市、京都市、大阪市ニ於テハ抽籤執行ノ爲メ別ニ徵募區ニ聯隊區聯合徵兵署ヲ設ク
第二十三條 聯隊區司令官又ハ警備隊司令官ハ島司郡市長ニ協議シ徵兵署開設ノ日割ヲ定メ聯隊區司令官警備隊司令官ハ師團長ニ島司郡市長ハ北海道廳長官府縣知事ニ申報スヘシ
聯隊區聯合徵兵署開設ノ日割ハ聯隊區司令官ヨリ府ノ書記官ニ協議シ之ヲ定メ聯隊區司令官ハ師團長ニ府ノ書記官ハ府知事ニ申報シ且府ノ書記官ハ徵兵署開設ノ日割及其ノ場所ヲ區長ニ達スヘシ
島司郡市長ハ檢査抽籤ノ日時及徵兵署設置ノ場所ヲ豫メ聯隊區徵兵參事員又ハ警備隊區徵兵參事員ニ通知シ且其ノ管內ニ吿示スヘシ
第二十四條 兵役ノ適否ヲ定ムル爲メ聯隊區徵兵署又ハ警備隊區徵兵署ニ於テ壯丁ノ身體檢査ヲ行フ其ノ檢査ハ徵兵官及徵兵參事員ノ面前ニ於テスルモノトス
第二十五條 聯隊區司令官又ハ警備隊司令官ハ壯丁ノ身體檢査ノ事ヲ監督シ兵種ノ選定ニ任ス
第二十六條 島司郡市長ハ徵集延期及徵集猶豫ニ關スル書類ノ調査及事實ノ審覈ニ任ス
第二十七條 壯丁ノ身體檢査終ルトキハ聯隊區徵兵官又ハ警備隊區徵兵官ハ徵集延期、徵集猶豫、徵集免除及兵役免除ノ處分ヲ爲シ又壯丁名簿ヲ以テ徵集名簿、徵集延期名簿、徵集猶豫名簿、徵集免除名簿及兵役免除名簿ヲ作ルヘシ
第二十八條 身體檢査ニ合格シタル壯丁ハ徵集順序ヲ定ムル爲メ徵募區每ニ體格ノ等位及兵種ヲ分チ聯隊區徵兵署又ハ警備隊區徵兵署ニ於テ抽籤ヲ行フ但東京市、京都市、大阪市ニ於テハ聯隊區聯合徵兵署ニ於テ之ヲ行フ
抽籤ハ徵兵官及徵兵參事員ノ面前ニ於テ抽籤總代人之ヲ爲スモノトス
抽籤總代人ハ徵募區又ハ檢査區每ニ籤丁ノ選ヲ以テ二名若クハ三名ヲ出スモノトス
第二十九條 前條ノ徵兵官ハ總代人ノ抽キタル籤番號ノ順序ニ依リ抽籤名簿二通ヲ作ルヘシ
第三十條 抽籤終ルトキハ抽籤名簿及徵集名簿ハ聯隊區司令官又ハ警備隊司令官之ヲ領シ抽籤名簿、徵集延期名簿、徵集猶豫名簿、徵集免除名簿及兵役免除名簿ハ島司郡市長之ヲ領シ島廳、郡市役所東京市、京都市、大阪市及北海道ノ區ニ在テハ區役所以下同シニ備置クヘシ但東京市、京都市、大阪市ニ於テハ市長ノ領スヘキ抽籤名簿ハ府ノ書記官之ヲ領シ府廳ニ備置クヘシ
第三十一條 各徵募區ノ抽籤終ルトキハ聯隊區司令官又ハ警備隊司令官ハ第十九條ノ配賦ニ基キ現役兵徵募及補充兵編入ノ處分ヲ爲シ又徵集名簿ヲ以テ現役兵名簿、補充兵名簿及要員超過名簿ヲ作ルヘシ
第三十二條 聯隊區司令官又ハ警備隊司令官ハ現役兵名簿ヲ各聯隊長聯隊ヲ爲ササル隊ニ在テハ其ノ隊長及海兵團長ニ交付シ且現役兵ニ徵募スヘキ者及補充兵ニ編入スヘキ者ノ順序ヲ島司郡市長ニ通知スヘシ但東京市、京都市、大阪市ニ在テハ府ノ書記官ニ通知スヘシ
抽籤名簿及補充兵名簿ハ之ヲ聯隊區司令部又ハ警備隊司令部ニ備置キ要員超過名簿ハ島司郡市長ニ交付シ島廳郡市役所ニ備置クヘシ
第三十三條 第二十七條ノ處分ヲ爲シタル者ニハ聯隊區徵兵官又ハ警備隊區徵兵官第三十一條ノ處分ヲ爲シタル者ニハ聯隊區司令官又ハ警備隊司令官各其ノ證書ヲ附與ス但徵集免除ノ者竝ニ要員ニ超過シタル者ニハ證書ヲ附與セス
第三十四條 徵募事務終ルトキハ聯隊區司令官又ハ警備隊司令官ハ徵兵事務報吿書及徵兵表ヲ作リ師團長ニ差出シ師團長ハ師管徵兵事務報吿書及徵兵表ヲ作リ陸軍大臣ニ差出シ陸軍大臣ハ全國徵兵表ヲ作リ奏上スヘシ
第五章 裁決
第三十五條 裁決ハ分テ假決及終決ノ二種トス
第三十六條 假決ハ徵集延期及徵集猶豫ノ事ヲ裁決シ終決ハ現役兵徵募、補充兵編入、要員超過、徵集免除及兵役免除ノ事ヲ裁決ス
第三十七條 徵集延期、徵集猶豫、徵集免除及兵役免除ノ裁決ハ聯隊區徵兵官又ハ警備隊區徵兵官之ヲ爲シ其ノ他ノ裁決ハ聯隊區司令官又ハ警備隊司令官之ヲ爲ス
第三十八條 壯丁若クハ其ノ家族ニ於テ徵兵令第二十二條及明治二十八年勅令第百二十六號第二條ニ關スル聯隊區徵兵官又ハ警備隊區徵兵官ノ裁決ニ不服アルトキハ師管徵兵官ニ師管徵兵官ノ裁決ニ不服アルトキハ總理徵兵官ニ訴願スルコトヲ得但訴願ノ爲ニ裁決ノ執行ヲ停止セス
本條ノ訴願ハ裁決書ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ之ヲ爲スヘシ其ノ期日ヲ過クルモノハ受理セス
第三十九條 徵兵官ノ裁決ニ對シ訴願ヲ爲サントスル者ハ其ノ訴願書ニ同徵募區內其ノ年徵集ニ應スヘキ壯丁ノ戶主三名ノ保證書ヲ添ヘ其ノ裁決ヲ爲シタル徵兵官ヲ經由シテ差出スヘシ
第四十條 徵兵官第三十九條ノ訴願書ヲ受領シタルトキハ之ニ前裁決ニ關スル書類ヲ添ヘ上級ノ徵兵官ニ差出スヘシ
第四十一條 徵兵官ノ裁決ニ對シテハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ許サス
第六章 現役兵及補充兵
第四十二條 現役兵入營期日ハ每年十二月一日トス但疾病犯罪其ノ他ノ事故ニ由リ十二月一日ニ入營シ難キ者ハ同月三十一日迄ニ入營セシム
警備隊諸兵ノ入營ハ二期ニ分チ其ノ第一期ハ徵募年ノ十二月一日第二期ハ翌年六月一日トシ砲兵輸卒ノ入營ハ三期ニ分チ其ノ第一期ハ徵募年ノ十二月一日第二期ハ翌年四月一日第三期ハ同年八月一日トシ輜重輸卒ノ入營ハ四期ニ分チ其ノ第一期ハ徵募年ノ十二月一日第二期ハ翌年三月一日第三期ハ同年六月一日第四期ハ同年九月一日トス
仙臺、札幌、弘前、金澤ノ各衞戍地ニ於テハ砲兵輸卒ノ入營ハ二期ニ分チ其ノ第一期ハ徵募年ノ翌年四月一日第二期ハ同年八月一日トシ輜重輸卒ノ入營ハ三期ニ分チ其ノ第一期ハ徵募年ノ翌年三月一日第二期ハ同年六月一日第三期ハ同年九月一日トス
戰時若クハ事變ニ際シテハ第二期以下ノ入營期日ヲ變更スルコトヲ得
第四十三條 現役兵入營ノトキハ先ツ聯隊區司令部若クハ便宜ノ地ニ召集シ入營兵引率員之ヲ入營地ニ引率シ聯隊區司令部所在ノ入營地ニ在テハ聯隊區司令官ヨリ直ニ當該隊長ニ交付ス但入營兵五人未滿ナルトキハ直ニ入營地ニ單行セシム
海軍現役兵ハ其ノ集合地ニ引率シ入營兵受領員ニ交付スルモノトス但入營兵引率員出發後到著シタル者ハ直ニ入營地ニ單行セシム
第四十四條 現役兵入營ニ際シ父母ノ疾病危篤或ハ死亡ノ爲メ入營ノ延期ヲ願フ者アルトキハ聯隊區司令官又ハ警備隊司令官ニ於テ十四日以內ノ延期ヲ許スヘシ
其ノ延期ヲ願フ者ハ願書ニ市町村長ノ奧書證印ヲ受ケ其ノ父母疾病危篤ノ者ハ醫師ノ診斷證書ヲ添ヘ差出スヘシ
第四十五條 現役兵入營前ハ第四條ノ區域外ニ轉籍戶籍上本人ノ出入モ含有ス以下同シスルモ所屬ノ隊籍ヲ變更セス
徵兵令第二十七條ニ當リ翌年囘ト爲リタル者ハ身體檢査ヲ行ヒ更ニ隊籍ヲ定ムルモノトス但第四條ノ區域外ニ轉籍シタル者ハ其ノ地ニ於テ身體檢査ヲ行ヒ隊籍ヲ定ム
第四十六條 現役兵入營前死亡シ若クハ疾病犯罪其ノ他ノ事故ニ由リ十二月三十一日迄ニ入營シ難シト認メタル者又ハ入營ノ後翌年一月三十一日前ニ死亡シタル者若クハ一時服役ニ堪ヘサル者又ハ常備後備ノ服役及永久服役ニ堪ヘ難キ者アルトキハ其ノ徵募區同兵種ノ第一補充兵若クハ海軍補充兵ヲ以テ抽籤番號ノ順序ニ從ヒ補充シ若シ其ノ徵募區ヨリ補充スルコト能ハサルトキハ聯隊區內他ノ徵募區ヨリ補充ス其ノ配賦ハ各徵募區補充兵ノ總數ヲ率トシ比例ヲ以テ之ヲ定ム但警備隊諸兵及砲兵輸卒、輜重輸卒ニシテ入營スヘキ月ノ二十日迄ニ本文ノ事故ヲ生シタル者アルトキハ次期入營スヘキ者ヲ繰上ケ入營セシム其ノ最終期ニ在テハ前期ニ繰上ケタル缺員ト其ノ期ノ缺員ハ第一補充兵ヲ以テ補充ス
第四十七條 現役兵入營前癈疾又ハ不具ト爲リ永久兵役ニ堪ヘ難キ者アルトキハ聯隊區司令官又ハ警備隊司令官ニ於テ兵役ヲ免ス但徵兵令第二十七條ニ當リ翌年囘ト爲リタル者其ノ年徵募事務終結前ハ此ノ限ニ在ラス
第四十八條 現役兵入營前徵兵令第二十二條ニ當ルヘキ事故ノ生スルトキハ本人ノ願ニ由リ聯隊區司令官又ハ警備隊司令官ニ於テ徵集ヲ延期ス
其ノ願書ニハ同徵募區內其ノ年徵集ニ應スヘキ現役兵ノ戶主二名ノ保證書ヲ添ヘ島司郡市長ヲ經テ聯隊區司令官又ハ警備隊司令官ニ差出スヘシ但町村ニ在テハ町村長ノ奧書證印ヲ受クヘキモノトス
島司郡市長ハ其ノ事實ヲ審覈シ狀況書ヲ作リ願書ト共ニ聯隊區司令官又ハ警備隊司令官ニ送付スヘシ
第四十九條 現役兵入營前及補充兵補充兵證書附與後其ノ年十一月三十日以前ノ者以下同シ轉籍シタルトキハ十四日以內ニ島司郡市長ヲ經テ聯隊區司令官又ハ警備隊司令官ニ屆出ヘシ但町村ニ在テハ町村長ヲ經由スヘシ
其ノ轉籍聯隊區外又ハ警備隊區外ニ係ルトキハ舊住地聯隊區司令官又ハ警備隊司令官ヨリ新住地聯隊區司令官又ハ警備隊司令官ニ通報スヘシ
本條ノ屆出ヲ爲ササル者ハ五錢以上一圓九十五錢以下ノ科料ニ處ス
第五十條 現役兵入營前及補充兵寄留若クハ十四日以上ノ旅行ヲ爲サントスルトキハ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者ヲ定メ島司郡市長ヲ經テ聯隊區司令官又ハ警備隊司令官ニ屆出ヘシ其ノ復歸シタルトキ亦屆出ヘシ但町村ニ在テハ町村長ヲ經由スヘシ
本條ノ屆出ヲ爲ササル者ハ五錢以上一圓九十五錢以下ノ科料ニ處ス
通報人正當ノ事由ナクシテ召集ノ命ヲ通報セス若クハ其ノ通報ヲ遲緩シタルトキハ五錢以上一圓九十五錢以下ノ科料ニ處ス
第七章 雜則
第五十一條 徵兵令第十二條ニ依リ現役ニ服センコトヲ志願スル者ハ其ノ願書ニ戶主或ハ後見人連署シ身元證書ヲ添ヘ市町村長ノ奧書證印ヲ受ケ九月一日以前自己ノ服役セント欲スル軍隊又ハ海兵團ニ願出テ許可ヲ受クヘシ但軍隊又ハ海兵團遠隔ノ地ニ居住ノ者ハ徵兵檢査ノ際聯隊區徵兵署又ハ警備隊區徵兵署ニ申立テ身體檢査ヲ受ケ合格ノ者ハ合格證書ヲ添ヘ願出ルコトヲ得
檢査ノ爲メ往復ノ旅費及入營旅費ハ自辨トス
第五十二條 第五十一條ニ依リ服役ノ許可ヲ受ケタル者ハ入營前本籍地ノ市町村長ニ屆出ヘシ
第五十三條 他ノ徵募區ニ寄留シ其ノ地ニ於テ身體檢査ヲ受ケンコトヲ冀望スル者ハ三月一日迄ニ本籍地ノ島司郡市長ニ願出ヘシ
島司郡長ニ差出ス願書ニハ町村長ノ奧書證印ヲ受クヘキモノトス
島司郡市長其ノ願ヲ許可シタルトキハ之ヲ本人寄留地ノ島司郡市長ニ通知スヘシ
本條ノ願出已ムヲ得サル事故ノ爲メ三月一日ヲ過クルモノハ島司郡市長ヨリ本人寄留地ノ島司郡市長ニ協議シ徵募上故障ナキモノニ限リ許可スヘシ
第五十四條 徵兵令第二十二條ニ當ル者ハ同徵募區內其ノ年ノ徵集ニ應スヘキ壯丁ノ戶主二名ノ保證書ヲ添ヘ三月一日迄ニ三月一日後抽籤迄ニ事故ノ生シタル者ハ其ノ都度以下同シ聯隊區徵兵官又ハ警備隊區徵兵官ニ願出ヘシ但其ノ事故二年以上繼續スル者ハ每年願出テ其ノ三箇年ヲ過クルモ仍ホ止マサル者ハ本文ノ保證書ヲ添ヘ屆出ヘシ
前項ノ願書及屆書ニハ町村長ノ奧書證印ヲ受クヘキモノトス
第五十五條 徵兵令第二十三條第一項ニ當ル者ハ學校長ノ證明書同條第二項ニ當ル者ハ公使領事又ハ貿易事務官ノ證明書ヲ添ヘ三月一日迄ニ聯隊區徵兵官又ハ警備隊區徵兵官ニ願出ヘシ
公使領事及貿易事務官ヲ置カサル國ニ在ル者ハ其ノ徵集猶豫願書ニ海外旅券ヲ受取リタル官廳ノ證明書ヲ添ヘ差出スヘシ
公使領事及貿易事務官ヲ置キタル國ニ在ル者ト雖徵集猶豫願ヲ差出ストキ未タ公使領事又ハ貿易事務官ノ證明書ヲ得サルトキハ之ニ換フルニ海外旅券ヲ受取リタル官廳ノ承認書ヲ添ヘ差出シ置キ追テ證明書ヲ差出スコトヲ得
本條ノ願書ニハ町村長ノ奧書證印ヲ受クヘキモノトス
第五十六條 明治二十八年勅令第百二十六號第二條ニ當ル者ハ其ノ移住ノ年月日及生業ノ狀況ヲ詳記シ每年三月一日迄ニ聯隊區徵兵官ニ願出ヘシ
前項ノ願書ニハ町村長ノ奧書證印ヲ受クヘキモノトス
第五十七條 徵兵令第二十三條第一項ノ事故止ミタル者ノ屆書及同條第二項ノ歸朝シタル者ノ屆書ハ町村長ヨリ其ノ年ノ壯丁名簿進達前ニ在テハ其ノ名簿ト共ニ進達後ニ在テハ受領ノ日ヨリ三日以內ニ聯隊區徵兵官又ハ警備隊區徵兵官ニ差出スヘシ
市長ハ前項ノ屆書ヲ聯隊區徵兵署若クハ聯隊區聯合徵兵署開設ノトキ同署ニ提出スヘシ
第五十八條 疾病傷痍或ハ犯罪等ニテ身體檢査ヲ受ケ難キ者及一年志願兵年齡十九歲以下ノ者ヲ除ク出願中ノ者ハ書面ヲ以テ檢査當日迄ニ島司郡市長ニ屆出ヘシ其ノ疾病傷痍ノ者ハ醫師ノ診斷證書ヲ添フヘシ
島司郡長ニ差出ス屆書ニハ町村長ノ奧書證印ヲ受クヘキモノトス
本條ノ屆出ヲ爲ササル者ハ五錢以上一圓九十五錢以下ノ科料ニ處ス
第五十九條 疾病傷痍或ハ犯罪等ニテ期限ニ際シ入營シ難キ者ハ書面ヲ以テ入營當日迄ニ聯隊區司令官又ハ警備隊司令官ニ屆出ヘシ其ノ疾病傷痍ノ者ハ醫師ノ診斷證書ヲ添フヘシ其ノ屆書ニハ市町村長ノ奧書證印ヲ受クヘキモノトス
本條ノ屆出ヲ爲ササル者ハ五錢以上一圓九十五錢以下ノ科料ニ處ス
第六十條 徵兵署ノ諸費、壯丁及抽籤總代人ノ旅費、現役兵入營ノ旅費、徵兵參事員ノ手當金、旅費、徵兵醫官補助員ノ給料、旅費ハ官給ス
第六十一條 第七師團ノ兵員ハ其ノ師管內徵兵令施行地ヨリ徵集ス但要員ヲ充シ能ハサルトキハ他ノ師管ヨリ其ノ不足ヲ補充スルコトヲ得
第六十二條 島嶼ニ於テ本條例中ノ條規ヲ實施スルコト能ハサルトキハ師團長、地方長官協議ノ上適宜ノ方法ヲ設クルコトヲ得
第六十三條 徵兵令ヲ施行セサル地ニ寄留ノ者ハ寄留地最寄ノ徵募區ニ於テ身體檢査ヲ受クルコトヲ得其ノ願出手續及取扱ハ第五十三條ノ例ニ準ス
第六十四條 徵兵令ヲ施行セサル地ヨリ施行ノ地ニ轉籍シタル者ハ其ノ年又ハ翌年ノ徵集ニ應セシム但年齡二十六歲ヲ過キ轉籍シタル者ハ此ノ限ニ在ラス
附 則
第六十五條 近衞師團ノ兵員ハ當分第一師管ヨリ徵集ス
第六十六條 聯隊區徵兵參事員又ハ警備隊區徵兵參事員ハ未タ郡制ヲ施行セサル郡ニ在テハ其ノ郡內ニ於テ四名ヲ選擧シ當選ノ者ヲ以テ之ニ充ツ其ノ選擧人被選擧人資格、選擧ノ方法及任期ハ總テ府縣會議員ノ例ニ依ル
第六十七條 本條例ハ明治二十九年四月一日ヨリ施行ス
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ徴兵事務条例ノ改正ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十九年三月三十日
海軍大臣 侯爵 西郷従道
陸軍大臣 侯爵 大山巌
内務大臣 芳川顕正
勅令第百十二号
徴兵事務条例
第一章 徴兵区
第一条 徴兵区ハ師管及連隊区又ハ警備隊区ノ区域ニ従フ
第二条 連隊区及警備隊区ハ更ニ之ヲ徴募区ニ分ツ
第三条 徴募区ハ一郡又ハ一市北海道ニ在テハ区ヲ以テ一区ト為ス
一市ニシテ二連隊区ニ分属スルモノハ各別ニ一区ト為ス
数郡ニ一郡役所ヲ置クモノハ数郡ヲ併セ一区ト為ス其ノ島庁ヲ置クモノ亦同シ
東京市、京都市、大阪市ニ於テハ更ニ徴募区ヲ検査区ニ分チ区ヲ以テ検査区ト為ス
第四条 歩兵隊ノ兵員ハ連隊毎ニ其ノ師管ノ一連隊区ヨリ其ノ他ノ兵員ハ其ノ師管各連隊区ヨリ徴集ス但要員ヲ充シ能ハサルトキハ他ノ連隊区若クハ他ノ師管ヨリ其ノ不足ヲ補充スルコトヲ得
警備隊ノ兵員ハ其ノ警備隊区ヨリ徴集ス
海軍兵員ハ各師管内沿海及島嶼ヲ包括スル連隊区ヨリ徴集ス
第二章 徴兵官
第五条 徴兵官ハ総理徴兵官、師管徴兵官、連隊区徴兵官、警備隊区徴兵官及連隊区連合徴兵署徴兵官トス
第六条 総理徴兵官ハ内務大臣及陸軍大臣ヲ以テ之ニ充テ全国徴兵ノ事ヲ統轄ス
第七条 師管徴兵官ハ師管内府県毎ニ師団長及府県知事ヲ以テ之ニ充テ師団長ヲ首坐トシ其ノ管内府県徴兵ノ事ヲ統轄ス
北海道ニ於テハ師団長及北海道庁長官ヲ以テ師管徴兵官ニ充テ師団長ヲ首坐トシ其ノ管内徴兵ノ事ヲ統轄ス
第八条 連隊区徴兵官ハ連隊区内徴募区毎ニ連隊区司令官及島司郡市長北海道ノ区ニ在テハ区長ヲ以テ之ニ充テ警備隊区徴兵官ハ警備隊司令官及島司郡長ヲ以テ之ニ充テ連隊区司令官又ハ警備隊司令官ヲ首坐トシ其ノ区内徴募事務ヲ執行ス
東京市、京都市、大阪市ニ於テハ検査区毎ニ連隊区司令官及区長ヲ以テ連隊区徴兵官ニ充テ連隊区司令官ヲ首坐トシ抽籤事務ヲ除クノ外其ノ区内徴募事務ヲ執行ス
第九条 連隊区連合徴兵署徴兵官ハ東京市、京都市、大阪市ニ於テ徴募区毎ニ連隊区司令官、市参事会員タル府ノ書記官及各区長ヲ以テ之ニ充テ連隊区司令官ヲ首坐トシ其ノ区内抽籤事務ヲ執行ス
第十条 第八条第九条ニ掲クル徴兵官ノ外連隊区内徴募区東京市、京都市、大阪市ニ在テハ検査区毎ニ連隊区徴兵参事員警備隊区内徴募区毎ニ警備隊区徴兵参事員ヲ置ク
第十一条 連隊区徴兵参事員又ハ警備隊区徴兵参事員ハ徴兵令第二十二条ニ当ル徴集延期及徴集免除並ニ明治二十八年勅令第百二十六号第二条ノ徴集猶予ニ関スル事件ヲ審議シ意見ヲ徴兵官ニ具申スルヲ任トス但徴兵官ノ裁決ニ付可否ヲ議スルノ権ナキモノトス
第十二条 連隊区徴兵参事員又ハ警備隊区徴兵参事員ハ郡市名誉職参事会員ヲ以テ之ニ充ツ但市ニ於テハ其ノ市名誉職参事会員ニ於テ四名ヲ互選シ之ヲ定ム
東京市、京都市、大阪市ノ区ノ連隊区徴兵参事員ハ市会ニ於テ其ノ区内ニ住スル市公民中選挙権ヲ有スル者ヨリ四名ヲ選挙シ之ヲ定ム其ノ任期ハ市会議員ノ例ニ依ル
島庁ヲ置ク島嶼ノ連隊区徴兵参事員又ハ警備隊区徴兵参事員ハ島司ニ於テ各町村会議員中ヨリ四名ヲ選ヒ府県知事ノ認可ヲ得テ之ヲ命ス其ノ任期ハ町村会議員ノ任期ニ依ル
北海道ノ郡又ハ区ノ連隊区徴兵参事員ハ徴募区毎ニ四名トシ北海道庁長官之ヲ命ス其ノ任期等ハ北海道庁長官ノ定ムル所ニ依ル
第十三条 毎年徴募事務執行中ハ師管徴兵医官及連隊区徴兵医官又ハ警備隊区徴兵医官ヲ置ク
師管徴兵医官ハ師管内徴兵身体検査ニ係ル事ヲ総管シ連隊区徴兵医官又ハ警備隊区徴兵医官ハ徴兵身体ノ検査ニ従事ス
第十四条 師管徴兵医官ハ師団軍医部長ヲ以テ之ニ充テ連隊区徴兵医官又ハ警備隊区徴兵医官ハ連隊区司令部又ハ警備隊司令部附軍医一名ヲ以テ之ニ充ツルヲ例トス
第十五条 毎年徴募事務執行中ハ連隊区徴兵署、警備隊区徴兵署及連隊区連合徴兵署ニ事務員ヲ置キ該徴兵署ノ庶務ニ従事セシム
第十六条 連隊区徴兵署事務員又ハ警備隊区徴兵署事務員ハ連隊区書記又ハ警備隊書記二名及島庁郡市書記東京市、京都市、大阪市及北海道ノ区ニ在テハ区書記二名若クハ三名ヲ以テ之ニ充ツ
連隊区連合徴兵署事務員ハ連隊区書記二名府属二名及各区書記二名若クハ三名ヲ以テ之ニ充ツ
第十七条 毎年徴募事務執行中ハ地方医師若干名ヲ以テ徴兵医官補助員トシ北海道庁長官府県知事之ヲ命ス
徴兵医官補助員ハ徴兵医官ノ指揮ヲ受ケ身体検査ノ事ヲ補助ス
第三章 配賦
第十八条 毎年徴集スヘキ現役兵及補充兵ノ員数ハ上裁ヲ経テ陸軍大臣之ヲ各師管ニ配賦ス
第十九条 師団長ハ第十八条ニ依リ現役兵及補充兵ノ要員ヲ各連隊区又ハ警備隊区ニ連隊区司令官又ハ警備隊司令官ハ之ヲ各徴募区ニ配賦ス
第二十条 現役兵及補充兵ノ配賦ハ壮丁ノ総数ヲ率トシ比例ヲ以テ之ヲ定ム
第四章 徴募
第二十一条 町村長町村制ヲ施行セサル地方ニ在テハ戸長以下同シハ毎年戸籍簿ニ拠リ徴兵適齢者ヲ取調ヘ徴兵令第二十五条ノ届書ニ照較シ壮丁名簿ヲ作リ二月十五日迄ニ島司又ハ郡長ニ差出シ島司郡長ハ点検ノ後之ヲ一徴募区ニ取纒メ前年仮決ノ諸名簿ト共ニ連隊区徴兵署又ハ警備隊区徴兵署ニ提出スヘシ
市長東京市、京都市、大阪市及北海道ノ区ニ在テハ区長以下同シハ前項ノ例ニ依リ壮丁名簿ヲ作リ前年仮決ノ諸名簿ト共ニ之ヲ連隊区徴兵署ニ提出スヘシ
第二十二条 毎年徴募事務執行ノトキハ各徴募区及検査区ニ連隊区徴兵署又ハ警備隊区徴兵署ヲ設ク但土地広濶壮丁多数ノ徴募区ニ於テハ二箇所以上ノ地ニ逐次開設スルコトヲ得
東京市、京都市、大阪市ニ於テハ抽籤執行ノ為メ別ニ徴募区ニ連隊区連合徴兵署ヲ設ク
第二十三条 連隊区司令官又ハ警備隊司令官ハ島司郡市長ニ協議シ徴兵署開設ノ日割ヲ定メ連隊区司令官警備隊司令官ハ師団長ニ島司郡市長ハ北海道庁長官府県知事ニ申報スヘシ
連隊区連合徴兵署開設ノ日割ハ連隊区司令官ヨリ府ノ書記官ニ協議シ之ヲ定メ連隊区司令官ハ師団長ニ府ノ書記官ハ府知事ニ申報シ且府ノ書記官ハ徴兵署開設ノ日割及其ノ場所ヲ区長ニ達スヘシ
島司郡市長ハ検査抽籤ノ日時及徴兵署設置ノ場所ヲ予メ連隊区徴兵参事員又ハ警備隊区徴兵参事員ニ通知シ且其ノ管内ニ告示スヘシ
第二十四条 兵役ノ適否ヲ定ムル為メ連隊区徴兵署又ハ警備隊区徴兵署ニ於テ壮丁ノ身体検査ヲ行フ其ノ検査ハ徴兵官及徴兵参事員ノ面前ニ於テスルモノトス
第二十五条 連隊区司令官又ハ警備隊司令官ハ壮丁ノ身体検査ノ事ヲ監督シ兵種ノ選定ニ任ス
第二十六条 島司郡市長ハ徴集延期及徴集猶予ニ関スル書類ノ調査及事実ノ審覈ニ任ス
第二十七条 壮丁ノ身体検査終ルトキハ連隊区徴兵官又ハ警備隊区徴兵官ハ徴集延期、徴集猶予、徴集免除及兵役免除ノ処分ヲ為シ又壮丁名簿ヲ以テ徴集名簿、徴集延期名簿、徴集猶予名簿、徴集免除名簿及兵役免除名簿ヲ作ルヘシ
第二十八条 身体検査ニ合格シタル壮丁ハ徴集順序ヲ定ムル為メ徴募区毎ニ体格ノ等位及兵種ヲ分チ連隊区徴兵署又ハ警備隊区徴兵署ニ於テ抽籤ヲ行フ但東京市、京都市、大阪市ニ於テハ連隊区連合徴兵署ニ於テ之ヲ行フ
抽籤ハ徴兵官及徴兵参事員ノ面前ニ於テ抽籤総代人之ヲ為スモノトス
抽籤総代人ハ徴募区又ハ検査区毎ニ籤丁ノ選ヲ以テ二名若クハ三名ヲ出スモノトス
第二十九条 前条ノ徴兵官ハ総代人ノ抽キタル籤番号ノ順序ニ依リ抽籤名簿二通ヲ作ルヘシ
第三十条 抽籤終ルトキハ抽籤名簿及徴集名簿ハ連隊区司令官又ハ警備隊司令官之ヲ領シ抽籤名簿、徴集延期名簿、徴集猶予名簿、徴集免除名簿及兵役免除名簿ハ島司郡市長之ヲ領シ島庁、郡市役所東京市、京都市、大阪市及北海道ノ区ニ在テハ区役所以下同シニ備置クヘシ但東京市、京都市、大阪市ニ於テハ市長ノ領スヘキ抽籤名簿ハ府ノ書記官之ヲ領シ府庁ニ備置クヘシ
第三十一条 各徴募区ノ抽籤終ルトキハ連隊区司令官又ハ警備隊司令官ハ第十九条ノ配賦ニ基キ現役兵徴募及補充兵編入ノ処分ヲ為シ又徴集名簿ヲ以テ現役兵名簿、補充兵名簿及要員超過名簿ヲ作ルヘシ
第三十二条 連隊区司令官又ハ警備隊司令官ハ現役兵名簿ヲ各連隊長連隊ヲ為ササル隊ニ在テハ其ノ隊長及海兵団長ニ交付シ且現役兵ニ徴募スヘキ者及補充兵ニ編入スヘキ者ノ順序ヲ島司郡市長ニ通知スヘシ但東京市、京都市、大阪市ニ在テハ府ノ書記官ニ通知スヘシ
抽籤名簿及補充兵名簿ハ之ヲ連隊区司令部又ハ警備隊司令部ニ備置キ要員超過名簿ハ島司郡市長ニ交付シ島庁郡市役所ニ備置クヘシ
第三十三条 第二十七条ノ処分ヲ為シタル者ニハ連隊区徴兵官又ハ警備隊区徴兵官第三十一条ノ処分ヲ為シタル者ニハ連隊区司令官又ハ警備隊司令官各其ノ証書ヲ附与ス但徴集免除ノ者並ニ要員ニ超過シタル者ニハ証書ヲ附与セス
第三十四条 徴募事務終ルトキハ連隊区司令官又ハ警備隊司令官ハ徴兵事務報告書及徴兵表ヲ作リ師団長ニ差出シ師団長ハ師管徴兵事務報告書及徴兵表ヲ作リ陸軍大臣ニ差出シ陸軍大臣ハ全国徴兵表ヲ作リ奏上スヘシ
第五章 裁決
第三十五条 裁決ハ分テ仮決及終決ノ二種トス
第三十六条 仮決ハ徴集延期及徴集猶予ノ事ヲ裁決シ終決ハ現役兵徴募、補充兵編入、要員超過、徴集免除及兵役免除ノ事ヲ裁決ス
第三十七条 徴集延期、徴集猶予、徴集免除及兵役免除ノ裁決ハ連隊区徴兵官又ハ警備隊区徴兵官之ヲ為シ其ノ他ノ裁決ハ連隊区司令官又ハ警備隊司令官之ヲ為ス
第三十八条 壮丁若クハ其ノ家族ニ於テ徴兵令第二十二条及明治二十八年勅令第百二十六号第二条ニ関スル連隊区徴兵官又ハ警備隊区徴兵官ノ裁決ニ不服アルトキハ師管徴兵官ニ師管徴兵官ノ裁決ニ不服アルトキハ総理徴兵官ニ訴願スルコトヲ得但訴願ノ為ニ裁決ノ執行ヲ停止セス
本条ノ訴願ハ裁決書ヲ受ケタル日ヨリ二十日以内ニ之ヲ為スヘシ其ノ期日ヲ過クルモノハ受理セス
第三十九条 徴兵官ノ裁決ニ対シ訴願ヲ為サントスル者ハ其ノ訴願書ニ同徴募区内其ノ年徴集ニ応スヘキ壮丁ノ戸主三名ノ保証書ヲ添ヘ其ノ裁決ヲ為シタル徴兵官ヲ経由シテ差出スヘシ
第四十条 徴兵官第三十九条ノ訴願書ヲ受領シタルトキハ之ニ前裁決ニ関スル書類ヲ添ヘ上級ノ徴兵官ニ差出スヘシ
第四十一条 徴兵官ノ裁決ニ対シテハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ許サス
第六章 現役兵及補充兵
第四十二条 現役兵入営期日ハ毎年十二月一日トス但疾病犯罪其ノ他ノ事故ニ由リ十二月一日ニ入営シ難キ者ハ同月三十一日迄ニ入営セシム
警備隊諸兵ノ入営ハ二期ニ分チ其ノ第一期ハ徴募年ノ十二月一日第二期ハ翌年六月一日トシ砲兵輸卒ノ入営ハ三期ニ分チ其ノ第一期ハ徴募年ノ十二月一日第二期ハ翌年四月一日第三期ハ同年八月一日トシ輜重輸卒ノ入営ハ四期ニ分チ其ノ第一期ハ徴募年ノ十二月一日第二期ハ翌年三月一日第三期ハ同年六月一日第四期ハ同年九月一日トス
仙台、札幌、弘前、金沢ノ各衛戍地ニ於テハ砲兵輸卒ノ入営ハ二期ニ分チ其ノ第一期ハ徴募年ノ翌年四月一日第二期ハ同年八月一日トシ輜重輸卒ノ入営ハ三期ニ分チ其ノ第一期ハ徴募年ノ翌年三月一日第二期ハ同年六月一日第三期ハ同年九月一日トス
戦時若クハ事変ニ際シテハ第二期以下ノ入営期日ヲ変更スルコトヲ得
第四十三条 現役兵入営ノトキハ先ツ連隊区司令部若クハ便宜ノ地ニ召集シ入営兵引率員之ヲ入営地ニ引率シ連隊区司令部所在ノ入営地ニ在テハ連隊区司令官ヨリ直ニ当該隊長ニ交付ス但入営兵五人未満ナルトキハ直ニ入営地ニ単行セシム
海軍現役兵ハ其ノ集合地ニ引率シ入営兵受領員ニ交付スルモノトス但入営兵引率員出発後到著シタル者ハ直ニ入営地ニ単行セシム
第四十四条 現役兵入営ニ際シ父母ノ疾病危篤或ハ死亡ノ為メ入営ノ延期ヲ願フ者アルトキハ連隊区司令官又ハ警備隊司令官ニ於テ十四日以内ノ延期ヲ許スヘシ
其ノ延期ヲ願フ者ハ願書ニ市町村長ノ奥書証印ヲ受ケ其ノ父母疾病危篤ノ者ハ医師ノ診断証書ヲ添ヘ差出スヘシ
第四十五条 現役兵入営前ハ第四条ノ区域外ニ転籍戸籍上本人ノ出入モ含有ス以下同シスルモ所属ノ隊籍ヲ変更セス
徴兵令第二十七条ニ当リ翌年回ト為リタル者ハ身体検査ヲ行ヒ更ニ隊籍ヲ定ムルモノトス但第四条ノ区域外ニ転籍シタル者ハ其ノ地ニ於テ身体検査ヲ行ヒ隊籍ヲ定ム
第四十六条 現役兵入営前死亡シ若クハ疾病犯罪其ノ他ノ事故ニ由リ十二月三十一日迄ニ入営シ難シト認メタル者又ハ入営ノ後翌年一月三十一日前ニ死亡シタル者若クハ一時服役ニ堪ヘサル者又ハ常備後備ノ服役及永久服役ニ堪ヘ難キ者アルトキハ其ノ徴募区同兵種ノ第一補充兵若クハ海軍補充兵ヲ以テ抽籤番号ノ順序ニ従ヒ補充シ若シ其ノ徴募区ヨリ補充スルコト能ハサルトキハ連隊区内他ノ徴募区ヨリ補充ス其ノ配賦ハ各徴募区補充兵ノ総数ヲ率トシ比例ヲ以テ之ヲ定ム但警備隊諸兵及砲兵輸卒、輜重輸卒ニシテ入営スヘキ月ノ二十日迄ニ本文ノ事故ヲ生シタル者アルトキハ次期入営スヘキ者ヲ繰上ケ入営セシム其ノ最終期ニ在テハ前期ニ繰上ケタル欠員ト其ノ期ノ欠員ハ第一補充兵ヲ以テ補充ス
第四十七条 現役兵入営前廃疾又ハ不具ト為リ永久兵役ニ堪ヘ難キ者アルトキハ連隊区司令官又ハ警備隊司令官ニ於テ兵役ヲ免ス但徴兵令第二十七条ニ当リ翌年回ト為リタル者其ノ年徴募事務終結前ハ此ノ限ニ在ラス
第四十八条 現役兵入営前徴兵令第二十二条ニ当ルヘキ事故ノ生スルトキハ本人ノ願ニ由リ連隊区司令官又ハ警備隊司令官ニ於テ徴集ヲ延期ス
其ノ願書ニハ同徴募区内其ノ年徴集ニ応スヘキ現役兵ノ戸主二名ノ保証書ヲ添ヘ島司郡市長ヲ経テ連隊区司令官又ハ警備隊司令官ニ差出スヘシ但町村ニ在テハ町村長ノ奥書証印ヲ受クヘキモノトス
島司郡市長ハ其ノ事実ヲ審覈シ状況書ヲ作リ願書ト共ニ連隊区司令官又ハ警備隊司令官ニ送付スヘシ
第四十九条 現役兵入営前及補充兵補充兵証書附与後其ノ年十一月三十日以前ノ者以下同シ転籍シタルトキハ十四日以内ニ島司郡市長ヲ経テ連隊区司令官又ハ警備隊司令官ニ届出ヘシ但町村ニ在テハ町村長ヲ経由スヘシ
其ノ転籍連隊区外又ハ警備隊区外ニ係ルトキハ旧住地連隊区司令官又ハ警備隊司令官ヨリ新住地連隊区司令官又ハ警備隊司令官ニ通報スヘシ
本条ノ届出ヲ為ササル者ハ五銭以上一円九十五銭以下ノ科料ニ処ス
第五十条 現役兵入営前及補充兵寄留若クハ十四日以上ノ旅行ヲ為サントスルトキハ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者ヲ定メ島司郡市長ヲ経テ連隊区司令官又ハ警備隊司令官ニ届出ヘシ其ノ復帰シタルトキ亦届出ヘシ但町村ニ在テハ町村長ヲ経由スヘシ
本条ノ届出ヲ為ササル者ハ五銭以上一円九十五銭以下ノ科料ニ処ス
通報人正当ノ事由ナクシテ召集ノ命ヲ通報セス若クハ其ノ通報ヲ遅緩シタルトキハ五銭以上一円九十五銭以下ノ科料ニ処ス
第七章 雑則
第五十一条 徴兵令第十二条ニ依リ現役ニ服センコトヲ志願スル者ハ其ノ願書ニ戸主或ハ後見人連署シ身元証書ヲ添ヘ市町村長ノ奥書証印ヲ受ケ九月一日以前自己ノ服役セント欲スル軍隊又ハ海兵団ニ願出テ許可ヲ受クヘシ但軍隊又ハ海兵団遠隔ノ地ニ居住ノ者ハ徴兵検査ノ際連隊区徴兵署又ハ警備隊区徴兵署ニ申立テ身体検査ヲ受ケ合格ノ者ハ合格証書ヲ添ヘ願出ルコトヲ得
検査ノ為メ往復ノ旅費及入営旅費ハ自弁トス
第五十二条 第五十一条ニ依リ服役ノ許可ヲ受ケタル者ハ入営前本籍地ノ市町村長ニ届出ヘシ
第五十三条 他ノ徴募区ニ寄留シ其ノ地ニ於テ身体検査ヲ受ケンコトヲ冀望スル者ハ三月一日迄ニ本籍地ノ島司郡市長ニ願出ヘシ
島司郡長ニ差出ス願書ニハ町村長ノ奥書証印ヲ受クヘキモノトス
島司郡市長其ノ願ヲ許可シタルトキハ之ヲ本人寄留地ノ島司郡市長ニ通知スヘシ
本条ノ願出已ムヲ得サル事故ノ為メ三月一日ヲ過クルモノハ島司郡市長ヨリ本人寄留地ノ島司郡市長ニ協議シ徴募上故障ナキモノニ限リ許可スヘシ
第五十四条 徴兵令第二十二条ニ当ル者ハ同徴募区内其ノ年ノ徴集ニ応スヘキ壮丁ノ戸主二名ノ保証書ヲ添ヘ三月一日迄ニ三月一日後抽籤迄ニ事故ノ生シタル者ハ其ノ都度以下同シ連隊区徴兵官又ハ警備隊区徴兵官ニ願出ヘシ但其ノ事故二年以上継続スル者ハ毎年願出テ其ノ三箇年ヲ過クルモ仍ホ止マサル者ハ本文ノ保証書ヲ添ヘ届出ヘシ
前項ノ願書及届書ニハ町村長ノ奥書証印ヲ受クヘキモノトス
第五十五条 徴兵令第二十三条第一項ニ当ル者ハ学校長ノ証明書同条第二項ニ当ル者ハ公使領事又ハ貿易事務官ノ証明書ヲ添ヘ三月一日迄ニ連隊区徴兵官又ハ警備隊区徴兵官ニ願出ヘシ
公使領事及貿易事務官ヲ置カサル国ニ在ル者ハ其ノ徴集猶予願書ニ海外旅券ヲ受取リタル官庁ノ証明書ヲ添ヘ差出スヘシ
公使領事及貿易事務官ヲ置キタル国ニ在ル者ト雖徴集猶予願ヲ差出ストキ未タ公使領事又ハ貿易事務官ノ証明書ヲ得サルトキハ之ニ換フルニ海外旅券ヲ受取リタル官庁ノ承認書ヲ添ヘ差出シ置キ追テ証明書ヲ差出スコトヲ得
本条ノ願書ニハ町村長ノ奥書証印ヲ受クヘキモノトス
第五十六条 明治二十八年勅令第百二十六号第二条ニ当ル者ハ其ノ移住ノ年月日及生業ノ状況ヲ詳記シ毎年三月一日迄ニ連隊区徴兵官ニ願出ヘシ
前項ノ願書ニハ町村長ノ奥書証印ヲ受クヘキモノトス
第五十七条 徴兵令第二十三条第一項ノ事故止ミタル者ノ届書及同条第二項ノ帰朝シタル者ノ届書ハ町村長ヨリ其ノ年ノ壮丁名簿進達前ニ在テハ其ノ名簿ト共ニ進達後ニ在テハ受領ノ日ヨリ三日以内ニ連隊区徴兵官又ハ警備隊区徴兵官ニ差出スヘシ
市長ハ前項ノ届書ヲ連隊区徴兵署若クハ連隊区連合徴兵署開設ノトキ同署ニ提出スヘシ
第五十八条 疾病傷痍或ハ犯罪等ニテ身体検査ヲ受ケ難キ者及一年志願兵年齢十九歳以下ノ者ヲ除ク出願中ノ者ハ書面ヲ以テ検査当日迄ニ島司郡市長ニ届出ヘシ其ノ疾病傷痍ノ者ハ医師ノ診断証書ヲ添フヘシ
島司郡長ニ差出ス届書ニハ町村長ノ奥書証印ヲ受クヘキモノトス
本条ノ届出ヲ為ササル者ハ五銭以上一円九十五銭以下ノ科料ニ処ス
第五十九条 疾病傷痍或ハ犯罪等ニテ期限ニ際シ入営シ難キ者ハ書面ヲ以テ入営当日迄ニ連隊区司令官又ハ警備隊司令官ニ届出ヘシ其ノ疾病傷痍ノ者ハ医師ノ診断証書ヲ添フヘシ其ノ届書ニハ市町村長ノ奥書証印ヲ受クヘキモノトス
本条ノ届出ヲ為ササル者ハ五銭以上一円九十五銭以下ノ科料ニ処ス
第六十条 徴兵署ノ諸費、壮丁及抽籤総代人ノ旅費、現役兵入営ノ旅費、徴兵参事員ノ手当金、旅費、徴兵医官補助員ノ給料、旅費ハ官給ス
第六十一条 第七師団ノ兵員ハ其ノ師管内徴兵令施行地ヨリ徴集ス但要員ヲ充シ能ハサルトキハ他ノ師管ヨリ其ノ不足ヲ補充スルコトヲ得
第六十二条 島嶼ニ於テ本条例中ノ条規ヲ実施スルコト能ハサルトキハ師団長、地方長官協議ノ上適宜ノ方法ヲ設クルコトヲ得
第六十三条 徴兵令ヲ施行セサル地ニ寄留ノ者ハ寄留地最寄ノ徴募区ニ於テ身体検査ヲ受クルコトヲ得其ノ願出手続及取扱ハ第五十三条ノ例ニ準ス
第六十四条 徴兵令ヲ施行セサル地ヨリ施行ノ地ニ転籍シタル者ハ其ノ年又ハ翌年ノ徴集ニ応セシム但年齢二十六歳ヲ過キ転籍シタル者ハ此ノ限ニ在ラス
附 則
第六十五条 近衛師団ノ兵員ハ当分第一師管ヨリ徴集ス
第六十六条 連隊区徴兵参事員又ハ警備隊区徴兵参事員ハ未タ郡制ヲ施行セサル郡ニ在テハ其ノ郡内ニ於テ四名ヲ選挙シ当選ノ者ヲ以テ之ニ充ツ其ノ選挙人被選挙人資格、選挙ノ方法及任期ハ総テ府県会議員ノ例ニ依ル
第六十七条 本条例ハ明治二十九年四月一日ヨリ施行ス