第一條 古物商トハ主トシテ一度使用シタル物品若ハ其ノ物品ニ幾部ノ手入ヲ爲シタルモノヲ賣買交換スルヲ以テ營業ト爲ス者ヲ云フ
第二條 古物商ノ營業ヲ爲サムトスル者ハ其ノ物品ノ種類ヲ定メ行政廳ノ免許ヲ受クヘシ
第三條 古物商ハ免許ヲ受ケタル行政廳ノ管轄內ニ店舖ヲ設ケタルトキハ其ノ旨行政廳ニ屆出ツヘシ
第四條 免許ヲ受ケタル行政廳ノ管轄以外ノ地ニ於テ營業所又ハ店舖ヲ設ケムトスルトキハ更ニ其ノ地行政廳ノ免許ヲ受クヘシ
管轄以外ノ地ニ於テ營業所又ハ店舖ヲ設クルニ非スシテ賣買若ハ交換シタルトキハ古物商ニ非サル者ヨリ買受ケ若ハ讓受ケタル場合ニ限リ其ノ品目ヲ其ノ地ノ行政廳ニ屆出ヘシ但シ官衙公署ノ公賣品及質業者ヨリ買受ケタルモノハ此ノ限ニ在ラス
第五條 左ニ記載シタルモノニ關スル規定ハ別ニ命令ヲ以テ之ヲ定ムルコトヲ得
二 刀劒又ハ之ヲ仕込ミタル器具其ノ他危險ノ虞アル物品ノ賣買交換
第六條 古物商物品ヲ買受ケ若ハ交換セムトスルトキハ賣主、讓渡主ニ於テ其ノ物品ヲ處分スルノ權利ヲ有スルコトヲ確認シタル後之ヲ爲スヘシ若不正品ノ疑アルトキハ直ニ警察官ニ申吿スヘシ
第七條 住所、氏名ノ詳ナラサル者ヨリ物品ヲ買受ケ又ハ交換スルコトヲ得ス但シ住所、氏名ノ詳ナル者其ノ證人タルトキ又ハ警察官ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第八條 傳染病毒ニ汚染シタル物品ナリト認ムルモノハ消毒シタル後ニ非サレハ之ヲ買受ケ又ハ讓受クルコトヲ得ス
前項ノ物品ニシテ警察官ニ於テ未タ消毒セサルモノト認ムルトキハ直ニ消毒法ヲ施サシム其ノ命ニ從ハサルトキハ之ヲ官沒ス
第九條 贓物ニシテ特ニ識別シ得ヘキ物品ニ限リ警察官ハ品觸ヲ發スルコトヲ得
第十條 贓物ノ品觸アルトキハ到達シタル年月日ヲ其ノ品觸寫書ニ附記スヘシ品觸到達以後六箇月內ニ品觸ニ相當スル物品ヲ買受ケ又ハ交換シ若ハ寄藏ヲ受ケ若ハ其ノ以前ニ之ヲ得タル儘所持シタルトキハ直ニ警察官ニ屆出ヘシ
第十一條 古物商物品ヲ賣買シ若ハ交換シタルトキハ其ノ物品及賣主、讓渡主ヲ帳簿ニ記載シ又買主、讓受主ヲ詳ニスルコトヲ得タルトキハ之ヲ記載スヘシ
其ノ他帳簿ニ關スル規定ハ別ニ命令ヲ以テ之ヲ定ムルコトヲ得
第十二條 物品ノ賣買交換ヲ記載シタル帳簿ヲ廢棄セムトスルトキハ警察官ノ許可ヲ受クヘシ
第十三條 警察官ハ犯罪ノ嫌疑アル物品若ハ遺失物又ハ傳染病毒汚染ノ物品アリト認ムルトキハ何時タリトモ物品及帳簿ノ檢査ヲ爲シ時宜ニ依リ其ノ物品ヲ差押ヘ又ハ帳簿ヲ差出サシムルコトヲ得
警察官ニ於テ物品ヲ押收シタルトキハ領置證書ヲ交付スヘシ
第十四條 古物商法律命令ニ違犯シ行政廳ニ於テ必要ト認ムルトキハ其ノ營業ヲ禁止若ハ停止スルコトヲ得
第十五條 禁止ノ處分ヲ受ケタル者ハ他人ノ名義ヲ以テ古物商營業ヲ爲シ又ハ古物商ノ代理人タルコトヲ得ス停止ノ處分ヲ受ケタル者其ノ期限內亦同シ
第十六條 行政廳ハ何時タリトモ營業禁止ヲ解クコトヲ得
第十七條 古物商ノ買受ケ又ハ交換シタル物品ニシテ遺失物若ハ贓物ニ係ルトキハ營業者ヨリシタルト否トヲ問ハス警察官ニ於テ之ヲ徵收シ被害者ニ還付スルコトヲ得若被害者知レサルトキハ徵收シタル日ヨリ二箇年ノ後官沒スルコトヲ得
第十八條 他ノ營業者ニシテ隨時其ノ營業ニ屬スル古物ヲ賣買交換シ特ニ此ノ法律ヲ適用スルノ必要アルモノハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九條 左ニ揭クル諸項ノ一ニ該當スル者ハ二圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第十三條ノ場合ニ於テ虛僞ノ陳述ヲ爲シ又ハ故意ニ物品、帳簿ヲ毀損亡失シタル者
第二十條 第三條、第四條、第六條、第七條、第八條、第十條、第十一條及第十二條ニ違犯シタル者ハ二圓以上五十圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十一條 此ノ法律ヲ犯シタル者ニハ刑法ノ數罪俱發ノ例ヲ用井ス
第二十二條 營業上ニ付テハ家屬又ハ雇人ノ所爲ト雖營業者其ノ責ニ任ス
第二十三條 此ノ法律ヲ施行スル爲ニ必要ナル細則ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム