朕判事檢事官等俸給令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十七年二月十四日
內閣總理大臣 伯爵 伊藤博文
司法大臣 芳川顯正
勅令第十七號
判事檢事官等俸給令
第一條 判事檢事ノ官等ハ高等官一等乃至八等トシ其ノ年俸ハ別表定ムル所ニ依ル
第二條 判事檢事ノ各職ニ就キ其ノ人員及俸給ヲ限定スルコト左ノ如シ
大審院
長 定員 一人
勅任 一級俸
部長 定員 三人
勅任 四級上俸 但年功ニ依リ三級俸ヲ給スルコトヲ得
判事 定員 二十五人
奏任 三級俸 但年功ニ依リ二級俸ヲ給スルコトヲ得
大審院檢事局
檢事總長 定員 一人
勅任 二級俸
檢事 定員 四人
奏任 三級俸 但年功ニ依リ二級俸ヲ給スルコトヲ得
控訴院
長 定員 七人
勅任
東京
大阪
 二級俸
其ノ他 三級俸
部長 定員 十五人
奏任 五級俸 但年功ニ依リ四級俸又ハ三級俸ヲ給スルコトヲ得
判事 定員 八十五人
奏任 八級俸 但年功ニ依リ七級俸又ハ六級俸ヲ給スルコトヲ得
控訴院檢事局
檢事長 定員 七人
勅任
東京
大阪
 三級俸
其ノ他 四級上俸
檢事 定員 十七人
奏任 八級俸 但年功ニ依リ七級俸又ハ六級俸ヲ給スルコトヲ得
地方裁判所
長 定員 四十九人
奏任
東京
大阪
 二級俸 但年功ニ依リ一級俸ヲ給スルコトヲ得
京都
橫濱
神戶
長崎
函館
新潟
仙臺
名古屋
廣島
熊本
 三級俸
但年功ニ依リ二級俸ヲ給スルコトヲ得
其ノ他 五級俸 但年功ニ依リ四級俸ヲ給スルコトヲ得
部長 定員 七十人
奏任 九級俸 但年功ニ依リ八級俸又ハ七級俸ヲ給スルコトヲ得
判事 定員 三百十五人
奏任 十二級俸 但年功ニ依リ十一級俸又ハ十級俸ヲ給スルコトヲ得
地方裁判所檢事局
檢事正 定員 四十九人
奏任
東京
大阪
 二級俸 但年功ニ依リ一級俸ヲ給スルコトヲ得
京都
橫濱
神戶
長崎
函館
新潟
仙臺
名古屋
廣島
熊本
 四級俸
但年功ニ依リ三級俸ヲ給スルコトヲ得
其ノ他 六級俸 但年功ニ依リ五級俸ヲ給スルコトヲ得
檢事 定員 九十五人
奏任 十二級俸 但年功ニ依リ十一級俸又ハ十級俸ヲ給スルコトヲ得
區裁判所
判事 定員 六百五十一人
奏任 十二級俸 但年功ニ依リ十一級俸又ハ十級俸ヲ給スルコトヲ得
區裁判所檢事局
檢事 定員 二百十人
奏任 十二級俸 但年功ニ依リ十一級俸又ハ十級俸ヲ給スルコトヲ得
第三條 大審院判事ノ中四人、大審院檢事ノ中一人ヲ限リ特ニ勅任ニ進メ四級俸ヲ給スルコトヲ得
第四條 控訴院檢事ノ中六人ヲ限リ五級俸乃至三級俸ヲ給スルコトヲ得
第五條 東京及大阪ノ地方裁判所長ニシテ一級俸ヲ給セラルヽ者ハ特ニ勅任ニ進ムルコトヲ得
第六條 東京及大阪ノ地方裁判所判事ノ中各一人ハ七級俸ヲ給スルコトヲ得
第七條 東京及大阪ノ地方裁判所檢事ノ中各一人ハ七級俸ヲ給スルコトヲ得
第八條 地方裁判所判事及區裁判所判事ニシテ豫審掛ヲ命セラレタル者ハ百三十人ヲ限リ九級俸又ハ八級俸ヲ給スルコトヲ得
第九條 區裁判所判事ニシテ其ノ裁判所監督ヲ命セラレタル者ハ八十人ヲ限リ九級俸又ハ八級俸ヲ給スルコトヲ得
第十條 地方裁判所及區裁判所檢事ノ中八十人ヲ限リ九級俸又ハ八級俸ヲ給スルコトヲ得
第十一條 豫備判事ハ二十五人、豫備檢事ハ五人ヲ以テ定員トス
豫備判事及豫備檢事ハ年俸四百圓トス
第十二條 司法官試補ハ奏任官ノ待遇トス
司法官試補ニシテ檢事代理ヲ命セラレタル者ハ百五十人ヲ限リ年俸三百圓以下ヲ給スルコトヲ得
第十三條 判事檢事ノ裁判所內ニ於ケル席次ハ官等ニ依リ官等同シキ者ハ俸給ノ多寡ニ依リ俸給同シキ者ハ俸給下賜辭令ノ日附ニ依ル
附 則
第十四條 本令施行ノ際別ニ辭令ヲ交付セサル者ハ其ノ職ニ相當スル俸給ヲ給セラルヽモノトス
第十五條 本令ハ明治二十七年四月一日ヨリ施行ス
第十六條 明治二十四年勅令第百三十四號判事檢事俸給令ハ本令施行ノ日ヨリ廢止ス
明治二十五年勅令第九十六號高等官官等俸給令中文武高等官官等表ノ中裁判所ノ欄竝ニ高等文官官等相當俸給表ノ中判事檢事ノ欄ハ本令施行ノ日ヨリ削除ス
(別表)
判事檢事俸給表
【表】
朕判事検事官等俸給令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十七年二月十四日
内閣総理大臣 伯爵 伊藤博文
司法大臣 芳川顕正
勅令第十七号
判事検事官等俸給令
第一条 判事検事ノ官等ハ高等官一等乃至八等トシ其ノ年俸ハ別表定ムル所ニ依ル
第二条 判事検事ノ各職ニ就キ其ノ人員及俸給ヲ限定スルコト左ノ如シ
大審院
長 定員 一人
勅任 一級俸
部長 定員 三人
勅任 四級上俸 但年功ニ依リ三級俸ヲ給スルコトヲ得
判事 定員 二十五人
奏任 三級俸 但年功ニ依リ二級俸ヲ給スルコトヲ得
大審院検事局
検事総長 定員 一人
勅任 二級俸
検事 定員 四人
奏任 三級俸 但年功ニ依リ二級俸ヲ給スルコトヲ得
控訴院
長 定員 七人
勅任
東京
大阪
 二級俸
其ノ他 三級俸
部長 定員 十五人
奏任 五級俸 但年功ニ依リ四級俸又ハ三級俸ヲ給スルコトヲ得
判事 定員 八十五人
奏任 八級俸 但年功ニ依リ七級俸又ハ六級俸ヲ給スルコトヲ得
控訴院検事局
検事長 定員 七人
勅任
東京
大阪
 三級俸
其ノ他 四級上俸
検事 定員 十七人
奏任 八級俸 但年功ニ依リ七級俸又ハ六級俸ヲ給スルコトヲ得
地方裁判所
長 定員 四十九人
奏任
東京
大阪
 二級俸 但年功ニ依リ一級俸ヲ給スルコトヲ得
京都
横浜
神戸
長崎
函館
新潟
仙台
名古屋
広島
熊本
 三級俸
但年功ニ依リ二級俸ヲ給スルコトヲ得
其ノ他 五級俸 但年功ニ依リ四級俸ヲ給スルコトヲ得
部長 定員 七十人
奏任 九級俸 但年功ニ依リ八級俸又ハ七級俸ヲ給スルコトヲ得
判事 定員 三百十五人
奏任 十二級俸 但年功ニ依リ十一級俸又ハ十級俸ヲ給スルコトヲ得
地方裁判所検事局
検事正 定員 四十九人
奏任
東京
大阪
 二級俸 但年功ニ依リ一級俸ヲ給スルコトヲ得
京都
横浜
神戸
長崎
函館
新潟
仙台
名古屋
広島
熊本
 四級俸
但年功ニ依リ三級俸ヲ給スルコトヲ得
其ノ他 六級俸 但年功ニ依リ五級俸ヲ給スルコトヲ得
検事 定員 九十五人
奏任 十二級俸 但年功ニ依リ十一級俸又ハ十級俸ヲ給スルコトヲ得
区裁判所
判事 定員 六百五十一人
奏任 十二級俸 但年功ニ依リ十一級俸又ハ十級俸ヲ給スルコトヲ得
区裁判所検事局
検事 定員 二百十人
奏任 十二級俸 但年功ニ依リ十一級俸又ハ十級俸ヲ給スルコトヲ得
第三条 大審院判事ノ中四人、大審院検事ノ中一人ヲ限リ特ニ勅任ニ進メ四級俸ヲ給スルコトヲ得
第四条 控訴院検事ノ中六人ヲ限リ五級俸乃至三級俸ヲ給スルコトヲ得
第五条 東京及大阪ノ地方裁判所長ニシテ一級俸ヲ給セラルヽ者ハ特ニ勅任ニ進ムルコトヲ得
第六条 東京及大阪ノ地方裁判所判事ノ中各一人ハ七級俸ヲ給スルコトヲ得
第七条 東京及大阪ノ地方裁判所検事ノ中各一人ハ七級俸ヲ給スルコトヲ得
第八条 地方裁判所判事及区裁判所判事ニシテ予審掛ヲ命セラレタル者ハ百三十人ヲ限リ九級俸又ハ八級俸ヲ給スルコトヲ得
第九条 区裁判所判事ニシテ其ノ裁判所監督ヲ命セラレタル者ハ八十人ヲ限リ九級俸又ハ八級俸ヲ給スルコトヲ得
第十条 地方裁判所及区裁判所検事ノ中八十人ヲ限リ九級俸又ハ八級俸ヲ給スルコトヲ得
第十一条 予備判事ハ二十五人、予備検事ハ五人ヲ以テ定員トス
予備判事及予備検事ハ年俸四百円トス
第十二条 司法官試補ハ奏任官ノ待遇トス
司法官試補ニシテ検事代理ヲ命セラレタル者ハ百五十人ヲ限リ年俸三百円以下ヲ給スルコトヲ得
第十三条 判事検事ノ裁判所内ニ於ケル席次ハ官等ニ依リ官等同シキ者ハ俸給ノ多寡ニ依リ俸給同シキ者ハ俸給下賜辞令ノ日附ニ依ル
附 則
第十四条 本令施行ノ際別ニ辞令ヲ交付セサル者ハ其ノ職ニ相当スル俸給ヲ給セラルヽモノトス
第十五条 本令ハ明治二十七年四月一日ヨリ施行ス
第十六条 明治二十四年勅令第百三十四号判事検事俸給令ハ本令施行ノ日ヨリ廃止ス
明治二十五年勅令第九十六号高等官官等俸給令中文武高等官官等表ノ中裁判所ノ欄並ニ高等文官官等相当俸給表ノ中判事検事ノ欄ハ本令施行ノ日ヨリ削除ス
(別表)
判事検事俸給表
【表】