判事検事俸給令
法令番号: 勅令第百三十四號
公布年月日: 明治24年7月27日
法令の形式: 勅令
朕玆ニ判事檢事俸給令ヲ裁可ス
御名御璽
明治二十四年七月二十四日
內閣總理大臣 伯爵 松方正義
司法大臣 子爵 田中不二麻呂
勅令第百三十四號
判事檢事俸給令
第一條 判事檢事ノ年俸ハ別表定ムル所ニ依ル
第二條 判事檢事ノ各職ニ付其人員及年俸ヲ限定スルコト左ノ如シ
大審院
長 一人
勅任 五千圓
部長 三人
勅任 三千五百圓
判事 二十七人
勅任及奏任 三千圓乃至千六百圓
大審院檢事局
檢事總長 一人
勅任 四千圓
檢事 五人
勅任及奏任 三千圓乃至千六百圓
控訴院
長 七人
勅任
東京大阪四千圓
其他三千五百圓
部長 十五人
奏任 二千二百圓乃至千四百圓
判事 八十五人
奏任 千二百圓乃至九百圓
控訴院檢事局
檢事長 七人
勅任
東京大阪三千五百圓
其他三千圓
檢事 二十人
奏任 二千圓乃至九百圓
地方裁判所
長 四十八人
奏任
東京大阪二千五百圓
其他二千二百圓乃至千四百圓
部長 九十人
奏任 千二百圓乃至九百圓
判事 四百十五人
奏任 八百圓乃至六百圓
地方裁判所檢事局
檢事正 四十八人
奏任
東京大阪二千二百圓
其他二千圓乃至千二百圓
檢事 百二十五人
奏任 八百圓乃至六百圓
區裁判所
判事 八百四十人
奏任 八百圓乃至六百圓
區裁判所檢事局
檢事 二百七十五人
奏任 八百圓乃至六百圓
第三條 豫備判事ハ其人員ヲ三十五人トシ豫備檢事ハ其人員ヲ十五人トス
豫備判事豫備檢事ハ奏任トシ年俸四百圓ヲ給ス
司法官試補ハ其人員ヲ百十人トス
司法官試補ハ其待遇ヲ奏任トシ年俸三百圓以下ヲ給ス
第四條 第二條ノ各職中年俸ニ等差アルモノハ每俸平等ニ其人員ヲ定ム但端數ノ人員ヲ生スルトキハ最下級ヨリ漸次上級ノ人員ニ併合ス
第五條 裁判所構成法第六十二條ニ依リ新任スル判事又ハ檢事ニシテ直チニ補職スル者ハ奏任トシ最下級ノ年俸ヲ給ス豫備判事又ハ豫備檢事ニシテ補職スル者モ亦同シ
裁判所構成法第六十五條第一項ニ依リ新任スル判事又ハ檢事ハ其補スヘキ職ノ最下ノ年俸ヲ給ス
判事又ハ檢事ニシテ他ニ轉官シ若ハ退官シタル者ヲ更ニ判事又ハ檢事ニ任スルトキハ前官ト同年俸若ハ其以下ノ年俸ヲ給ス
第六條 判事又ハ檢事ノ進級ハ闕員アルトキニ限リ之ヲ行フ
第七條 判事又ハ檢事ノ進級ハ第二條ニ揭ケタル各職每ニ先任ノ順序ニ依リ之ヲ行フ但區裁判所判事ハ地方裁判所判事ト併合シ區裁判所檢事局檢事ハ地方裁判所檢事局檢事ト併合シテ先任順序ヲ定メ進級セシム
大審院ノ部長判事大審院檢事局ノ檢事總長檢事控訴院ノ長部長判事控訴院檢事局ノ檢事長檢事地方裁判所ノ長部長及地方裁判所檢事局ノ檢事正ノ補職ハ拔擢ヲ以テ之ヲ行フコトヲ得但其補スヘキ職ノ最下ノ年俸ニ非サレハ給スルコトヲ得ス
東京大阪控訴院ノ長同院檢事局ノ檢事長及東京大阪地方裁判所ノ長同地方裁判所檢事局ノ檢事正ノ補職モ亦拔擢ヲ以テ之ヲ行フコトヲ得
東京京都大阪橫濱神戶長崎名古屋廣島仙臺熊本ノ各地方裁判所檢事局檢事ノ補職ハ二十人ヲ限リ拔擢ヲ以テ之ヲ行ヒ八級九級ノ年俸ヲ給スルコトヲ得
第八條 地方裁判所判事ニシテ豫審ヲ爲スコトヲ命セラレタル者ハ百人ヲ限リ其事務取扱中一箇年百圓以內ノ加俸ヲ之ニ給スルコトヲ得
第九條 判事檢事ノ各職ニ於ケル先任順序ハ年俸ノ多寡ニ依リ年俸相同シキモノハ年俸下賜辭令ノ日付ニ依ル
判事檢事ノ裁判所內ニ於ケル席次ハ前項ノ規程ニ從フ
第十條 判事又ハ檢事轉職又ハ轉任スルトキハ前職ト同年俸若ハ其以下ノ年俸ニ非サレハ給スルコトヲ得ス此場合ニ於テハ前職ノ年俸下賜辭令ノ日付ニ依リ後職ノ先任順序ヲ定ム
待命ノ判事又ハ檢事補職セラレ又ハ轉任シテ補職セラルヽトキ及司法行政官吏ニシテ判事檢事タルノ資格ヲ有スル者判事又ハ檢事ニ轉任シ補職セラルヽトキモ亦同シ
退職ノ判事又ハ檢事補職セラレ又ハ轉任シテ補職セラルヽトキモ亦同シ但後職ノ年俸下賜辭令ノ日付ニ依リ先任順序ヲ定ム
附 則
第十一條 本令施行ノ際年俸二千四百圓以下ノ奏任官ニシテ俸給減額四百圓ニ相當スル者ハ之ヲ二百圓ノ減額ニ止ムルコトヲ得
第十二條 本令ハ明治二十四年八月十六日ヨリ施行ス
明治二十三年勅令第百五十八號判事檢事官等俸給令ハ本令施行ノ日ヨリ廢止ス
別表
【表】
朕茲ニ判事検事俸給令ヲ裁可ス
御名御璽
明治二十四年七月二十四日
内閣総理大臣 伯爵 松方正義
司法大臣 子爵 田中不二麻呂
勅令第百三十四号
判事検事俸給令
第一条 判事検事ノ年俸ハ別表定ムル所ニ依ル
第二条 判事検事ノ各職ニ付其人員及年俸ヲ限定スルコト左ノ如シ
大審院
長 一人
勅任 五千円
部長 三人
勅任 三千五百円
判事 二十七人
勅任及奏任 三千円乃至千六百円
大審院検事局
検事総長 一人
勅任 四千円
検事 五人
勅任及奏任 三千円乃至千六百円
控訴院
長 七人
勅任
東京大阪四千円
其他三千五百円
部長 十五人
奏任 二千二百円乃至千四百円
判事 八十五人
奏任 千二百円乃至九百円
控訴院検事局
検事長 七人
勅任
東京大阪三千五百円
其他三千円
検事 二十人
奏任 二千円乃至九百円
地方裁判所
長 四十八人
奏任
東京大阪二千五百円
其他二千二百円乃至千四百円
部長 九十人
奏任 千二百円乃至九百円
判事 四百十五人
奏任 八百円乃至六百円
地方裁判所検事局
検事正 四十八人
奏任
東京大阪二千二百円
其他二千円乃至千二百円
検事 百二十五人
奏任 八百円乃至六百円
区裁判所
判事 八百四十人
奏任 八百円乃至六百円
区裁判所検事局
検事 二百七十五人
奏任 八百円乃至六百円
第三条 予備判事ハ其人員ヲ三十五人トシ予備検事ハ其人員ヲ十五人トス
予備判事予備検事ハ奏任トシ年俸四百円ヲ給ス
司法官試補ハ其人員ヲ百十人トス
司法官試補ハ其待遇ヲ奏任トシ年俸三百円以下ヲ給ス
第四条 第二条ノ各職中年俸ニ等差アルモノハ毎俸平等ニ其人員ヲ定ム但端数ノ人員ヲ生スルトキハ最下級ヨリ漸次上級ノ人員ニ併合ス
第五条 裁判所構成法第六十二条ニ依リ新任スル判事又ハ検事ニシテ直チニ補職スル者ハ奏任トシ最下級ノ年俸ヲ給ス予備判事又ハ予備検事ニシテ補職スル者モ亦同シ
裁判所構成法第六十五条第一項ニ依リ新任スル判事又ハ検事ハ其補スヘキ職ノ最下ノ年俸ヲ給ス
判事又ハ検事ニシテ他ニ転官シ若ハ退官シタル者ヲ更ニ判事又ハ検事ニ任スルトキハ前官ト同年俸若ハ其以下ノ年俸ヲ給ス
第六条 判事又ハ検事ノ進級ハ闕員アルトキニ限リ之ヲ行フ
第七条 判事又ハ検事ノ進級ハ第二条ニ掲ケタル各職毎ニ先任ノ順序ニ依リ之ヲ行フ但区裁判所判事ハ地方裁判所判事ト併合シ区裁判所検事局検事ハ地方裁判所検事局検事ト併合シテ先任順序ヲ定メ進級セシム
大審院ノ部長判事大審院検事局ノ検事総長検事控訴院ノ長部長判事控訴院検事局ノ検事長検事地方裁判所ノ長部長及地方裁判所検事局ノ検事正ノ補職ハ抜擢ヲ以テ之ヲ行フコトヲ得但其補スヘキ職ノ最下ノ年俸ニ非サレハ給スルコトヲ得ス
東京大阪控訴院ノ長同院検事局ノ検事長及東京大阪地方裁判所ノ長同地方裁判所検事局ノ検事正ノ補職モ亦抜擢ヲ以テ之ヲ行フコトヲ得
東京京都大阪横浜神戸長崎名古屋広島仙台熊本ノ各地方裁判所検事局検事ノ補職ハ二十人ヲ限リ抜擢ヲ以テ之ヲ行ヒ八級九級ノ年俸ヲ給スルコトヲ得
第八条 地方裁判所判事ニシテ予審ヲ為スコトヲ命セラレタル者ハ百人ヲ限リ其事務取扱中一箇年百円以内ノ加俸ヲ之ニ給スルコトヲ得
第九条 判事検事ノ各職ニ於ケル先任順序ハ年俸ノ多寡ニ依リ年俸相同シキモノハ年俸下賜辞令ノ日付ニ依ル
判事検事ノ裁判所内ニ於ケル席次ハ前項ノ規程ニ従フ
第十条 判事又ハ検事転職又ハ転任スルトキハ前職ト同年俸若ハ其以下ノ年俸ニ非サレハ給スルコトヲ得ス此場合ニ於テハ前職ノ年俸下賜辞令ノ日付ニ依リ後職ノ先任順序ヲ定ム
待命ノ判事又ハ検事補職セラレ又ハ転任シテ補職セラルヽトキ及司法行政官吏ニシテ判事検事タルノ資格ヲ有スル者判事又ハ検事ニ転任シ補職セラルヽトキモ亦同シ
退職ノ判事又ハ検事補職セラレ又ハ転任シテ補職セラルヽトキモ亦同シ但後職ノ年俸下賜辞令ノ日付ニ依リ先任順序ヲ定ム
附 則
第十一条 本令施行ノ際年俸二千四百円以下ノ奏任官ニシテ俸給減額四百円ニ相当スル者ハ之ヲ二百円ノ減額ニ止ムルコトヲ得
第十二条 本令ハ明治二十四年八月十六日ヨリ施行ス
明治二十三年勅令第百五十八号判事検事官等俸給令ハ本令施行ノ日ヨリ廃止ス
別表
【表】