第百十五條 證人ノ呼出狀ニハ其氏名、住所及ヒ職業ヲ記載ス可シ
又出頭ノ日時、場所及ヒ呼出ニ應セサルトキハ罰金ヲ言渡シ且勾引スルコトアル可キ旨ヲ記載ス可シ
呼出狀ノ送達ト出頭トノ間少クトモ二十四時ノ猶豫アル可シ
第百十六條 證人疾病其他正當ノ事故ニ因リ呼出ニ應スル能ハサルコトヲ疏明シタルトキハ豫審判事其所在ニ就テ之ヲ訊問ス可シ
第百十七條 證人ト爲ル可キ者豫備、後備ノ軍籍ニ在ラサル軍人、軍屬ナルトキハ其所屬ノ長官又ハ隊長ヲ經由シテ呼出狀ヲ送達ス其長官又ハ隊長ハ卽時ニ出頭セシム可キコトヲ認可シ又ハ職務上已ムコトヲ得サル差支アルトキハ其事由ヲ付シテ出頭ノ延期ヲ豫審判事ニ請求ス可シ
第百十八條 豫審判事ハ前二條ニ定メタル差支ノ場合ヲ除ク外證人呼出ニ應セサルトキハ檢事ノ意見ヲ聽キ其不參ニ因リ生シタル費用ノ賠償及ヒ二圓以上二十圓以下ノ罰金ヲ言渡ス可シ但其決定ニ對シテハ抗吿ヲ爲スコトヲ得此抗吿ハ執行ヲ停止スル效力ヲ有ス
豫審判事ハ其證人ニ對シ罰金ノ言渡書ト共ニ再度ノ呼出狀ヲ送達シ又ハ直チニ勾引狀ヲ發スルコトヲ得
若シ證人再度ノ呼出ニ應セサルトキハ費用賠償ノ外二倍ノ罰金ヲ言渡ス可シ又勾引狀ヲ發スルコトヲ得
豫備、後備ノ軍籍ニ在ラサル軍人、軍屬ニ對スル罰金ノ言渡及ヒ執行ハ軍事裁判所又ハ所屬ノ長官又ハ隊長ニ囑託シテ之ヲ爲ス可シ其勾引ニ付テモ亦同シ
第百十九條 豫審判事ハ證人罰金言渡書ノ送達アリタルヨリ三日內ニ其出頭セサリシコトヲ正當ノ理由ヲ以テ辯解シタルトキハ檢事ノ意見ヲ聽キ其罰金及ヒ賠償ノ決定ヲ取消ス可シ
第百二十條 證人呼出狀ニ因リ出頭シタルトキハ其呼出狀ヲ差出ス可シ若シ之ヲ遺失シタルトキハ其人違ナキコトヲ疏明ス可シ
第百二十一條 豫審判事ハ證人トシテ呼出シタル者ニ對シ其氏名、年齡、職業、住所及ヒ第百二十三條ニ記載シタル者ナリヤ否ヤヲ問フ可シ
第百二十二條 豫審判事ハ證人ヲシテ良心ニ從ヒ眞實ヲ述ヘ何事ヲモ默祕セス又何事ヲモ附加セサル旨ヲ宣誓セシム可シ
裁判所書記ハ證人ニ宣誓書ヲ讀聞カセ之ニ署名捺印セシム若シ署名捺印スルコト能ハサルトキハ其旨ヲ附記ス可シ
第百二十三條 左ニ記載シタル者ハ證人ト爲ルコトヲ許サス但宣誓ヲ爲サシメスシテ事實參考ノ爲メ其供述ヲ聽クコトヲ得
第二 民事原吿人及ヒ被吿人ノ親屬但姻族ニ付テハ婚姻ノ解除シタルトキト雖モ亦同シ
第三 民事原吿人及ヒ被吿人ノ後見人又ハ此等ノ者ノ後見ヲ受クル者
第百二十五條 左ニ記載シタル場合ニ於テハ證言ヲ拒ムコトヲ得
第一 官吏、公吏又ハ官吏、公吏タリシ者其職務上默祕ス可キ義務アル事情ニ闕スルトキ
第二 醫師、藥商、穩婆、辯護士、辯護人、公證人、神職、僧侶其身分、職業ノ爲メ委託ヲ受ケタルニ因テ知リタル事實ニシテ默祕ス可キモノニ關スルトキ
證言ヲ拒ム者ハ拒絕ノ原因タル事實ヲ開示シ且之ヲ疏明ス可シ
第百二十六條 證人宣誓ヲ肯セス又ハ宣誓シテ供述ヲ肯セサルトキハ豫審判事檢事ノ意見ヲ聽キ刑法第百八十條ニ從ヒ罰金ヲ言渡ス可シ但其決定ニ對シテハ抗吿ヲ爲スコトヲ得此抗吿ハ執行ヲ停止スル效力ヲ有ス
豫備、後備ノ軍籍ニ在ラサル軍人、軍屬ニ對スル罰金ノ言渡及ヒ執行ハ軍事裁判所ニ囑託シテ之ヲ爲ス可シ
第百二十七條 證人ハ他ノ證人及ヒ被吿人ト各別ニ之ヲ訊問ス可シ但事實發見ノ爲メ必要ナリトスルトキハ證人ト他ノ證人又ハ被吿人ト對質セシムルコトヲ得
第百二十八條 豫審判事ハ證人ノ供述ヲ確實ナラシムル爲メ必要ナリトスルトキハ犯所又ハ其他ノ場所ニ同行スルコトヲ得
若シ證人同行スルコトヲ肯セサルトキハ第百十八條ノ規定ニ從フ
第百二十九條 第百條第百一條ノ規定ハ證人ニ付テモ亦之ヲ適用ス
第百三十條 皇族證人ナルトキハ豫審判事其所在ニ就キ訊問ヲ爲ス可シ
各大臣ニ付テハ其官廳ノ所在地ニ於テ之ヲ訊問ス若シ其所在地外ニ滯在スルトキハ其現在地ニ於テ之ヲ訊問ス可シ
帝國議會ノ議員ニ付テハ開會期間其議會ノ所在地ニ滯在中ハ其所在地ニ於テ之ヲ訊問ス可シ
第百三十一條 豫審判事ハ證人ニ其供述ノ相違ナキヤ否ヤヲ知ラシムル爲メ裁判所書記ヲシテ調書ヲ讀聞カセシム可シ
證人ハ其供述ヲ變更增減センコトヲ請求スルヲ得書記ハ其請求アリタルコト及ヒ變更增減ノ條件ヲ調書ニ記載ス可シ
調書ニハ豫審判事、書記及ヒ證人共ニ署名捺印ス可シ若シ證人署名捺印スルコト能ハサルトキハ其旨ヲ附記ス可シ
第百三十二條 豫審判事ハ證人裁判所所在ノ地ニ住セサルトキハ其住居ノ地ノ區裁判所判事ニ訊問ノ事ヲ囑託スルコトヲ得
若シ證人管轄地外ニ在ルトキハ其所在ノ地ノ豫審判事又ハ區裁判所判事ニ訊問ノ事ヲ囑託スルコトヲ得
第百三十三條 第百十八條第百十九條及ヒ第百二十六條ニ揭ケタル證人ニ對スル豫審判事ノ權ハ受託判事ニモ屬ス
第百三十四條 證人ハ出頭ニ付テノ旅費、日當ヲ要ムルコトヲ得