第百十五條 市行政ハ第一次ニ於テ府縣知事之ヲ監督シ第二次ニ於テ內務大臣之ヲ監督ス但法律ニ指定シタル場合ニ於テ府縣參事會ノ參與スルハ別段ナリトス
第百十六條 此法律中別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外凡市ノ行政ニ關スル府縣知事若クハ府縣參事會ノ處分若クハ裁決ニ不服アル者ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
市ノ行政ニ關スル訴願ハ處分書若クハ裁決書ヲ交付シ又ハ之ヲ吿知シタル日ヨリ十四日以內ニ其理由ヲ具シテ之ヲ提出ス可シ但此法律中別ニ期限ヲ定ムルモノハ此限ニ在ラス
此法律中ニ指定スル場合ニ於テ府縣知事若クハ府縣參事會ノ裁決ニ不服アリテ行政裁判所ニ出訴セントスル者ハ裁決書ヲ交付シ又ハ之ヲ吿知シタル日ヨリ二十一日以內ニ出訴ス可シ
行政裁判所ニ出訴スルコトヲ許シタル場合ニ於テハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得ス
訴願及訴訟ヲ提出スルトキハ處分又ハ裁決ノ執行ヲ停止ス但此法律中別ニ規定アリ又ハ當該官廳ノ意見ニ依リ其停止ノ爲メニ市ノ公益ニ害アリト爲ストキハ此限ニ在ラス
第百十七條 監督官廳ハ市行政ノ法律命令ニ背戾セサルヤ其事務錯亂澁滯セサルヤ否ヲ監視ス可シ監督官廳ハ之カ爲メニ行政事務ニ關シテ報吿ヲ爲サシメ豫算及決算等ノ書類帳簿ヲ徵シ並實地ニ就テ事務ノ現況ヲ視察シ出納ヲ檢閱スルノ權ヲ有ス
第百十八條 市ニ於テ法律勅令ニ依テ負擔シ又ハ當該官廳ノ職權ニ依テ命令スル所ノ支出ヲ定額豫算ニ載セス又ハ臨時之ヲ承認セス又ハ實行セサルトキハ府縣知事ハ理由ヲ示シテ其支出額ヲ定額豫算表ニ加ヘ又ハ臨時支出セシム可シ
市ニ於テ前項ノ處分ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百十九條 凡市會又ハ市參事會ニ於テ議決ス可キ事件ヲ議決セサルトキハ府縣參事會代テ之ヲ議決ス可シ
第百二十條 內務大臣ハ市會ヲ解散セシムルコトヲ得解散ヲ命シタル場合ニ於テハ同時ニ三箇月以內更ニ議員ヲ改選ス可キコトヲ命ス可シ但改選市會ノ集會スル迄ハ府縣參事會市會ニ代テ一切ノ事件ヲ議決ス
第百二十一條 左ノ事件ニ關スル市會ノ議決ハ內務大臣ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス
二 學藝、美術ニ關シ又ハ歷史上貴重ナル物品ノ賣却讓與質入書入交換若クハ大ナル變更ヲ爲ス事
第百二十二條 左ノ事件ニ關スル市會ノ議決ハ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス
一 新ニ市ノ負債ヲ起シ又ハ負債額ヲ增加シ及第百六條第二項ノ例ニ違フモノ但償還期限三年以內ノモノハ此限ニ在ラス
二 市特別稅並使用料、手數料ヲ新設シ增額シ又ハ變更スル事
三 地租七分ノ一其他直接國稅百分ノ五十ヲ超過スル附加稅ヲ賦課スル事
五 法律勅令ノ規定ニ依リ官廳ヨリ補助スル步合金ニ對シ支出金額ヲ定ムル事
第百二十三條 左ノ事件ニ關スル市會ノ議決ハ府縣參事會ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス
四 各個人特ニ使用スル市有土地使用法ノ變更ヲ爲ス事(第八十六條)
六 法律勅令ニ依テ負擔スル義務ニ非スシテ向五箇年以上ニ亘リ新ニ市住民ニ負擔ヲ課スル事
七 均一ノ稅率ニ據ラスシテ國稅府縣稅ニ附加稅ヲ賦課スル事(第九十條第二項)
八 第九十九條ニ從ヒ數個人又ハ市內ノ一區ニ費用ヲ賦課スル事
九 第百一條ノ準率ニ據ラスシテ夫役及現品ヲ賦課スル事
第百二十四條 府縣知事ハ市長、助役、市參事會員、委員、區長其他市吏員ニ對シ懲戒處分ヲ行フコトヲ得其懲戒處分ハ譴責及過怠金トス其過怠金ハ二十五圓以下トス
追テ市吏員ノ懲戒法ヲ設クル迄ハ左ノ區別ニ從ヒ官吏懲戒例ヲ適用ス可シ
一 市參事會ノ懲戒處分(第六十四條第二項第五)ニ不服アル者ハ府縣知事ニ訴願シ府縣知事ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
二 府縣知事ノ懲戒處分ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
三 本條第一項ニ揭載スル市吏員職務ニ違フコト再三ニ及ヒ又ハ其情狀重キ者又ハ行狀ヲ亂リ廉恥ヲ失フ者、財產ヲ浪費シ其分ヲ守ラサル者又ハ職務擧ラサル者ハ懲戒裁判ヲ以テ其職ヲ解クコトヲ得其隨時解職スルコトヲ得可キ者ハ(第六十三條)懲戒裁判ヲ以テスルノ限ニ在ラス
總テ解職セラレタル者ハ自己ノ所爲ニ非スシテ職務ヲ執ルニ堪ヘサルカ爲メ解職セラレタル場合ヲ除クノ外退隱料ヲ受クルノ權ヲ失フモノトス
四 懲戒裁判ハ府縣知事其審問ヲ爲シ府縣參事會之ヲ裁決ス其裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
監督官廳ハ懲戒裁判ノ裁決前吏員ノ停職ヲ命シ並給料ヲ停止スルコトヲ得
第百二十五條 市吏員及使丁其職務ヲ盡サス又ハ權限ヲ越エタル事アルカ爲メ市ニ對シテ賠償ス可キコトアルトキハ府縣參事會之ヲ裁決ス其裁決ニ不服アル者ハ裁決書ヲ交付シ又ハ之ヲ吿知シタル日ヨリ七日以內ニ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得但出訴ヲ爲シタルトキハ府縣參事會ハ假ニ其財產ヲ差押フルコトヲ得