(調達価格及び調達期間)
第三条 経済産業大臣は、毎年度、当該年度の開始前に、電気事業者が次条第一項の規定により行う再生可能エネルギー電気の調達につき、経済産業省令で定める再生可能エネルギー発電設備の区分、設置の形態及び規模ごとに、当該再生可能エネルギー電気の一キロワット時当たりの価格(以下「調達価格」という。)及びその調達価格による調達に係る期間(以下「調達期間」という。)を定めなければならない。ただし、経済産業大臣は、我が国における再生可能エネルギー電気の供給の量の状況、再生可能エネルギー発電設備の設置に要する費用、物価その他の経済事情の変動等を勘案し、必要があると認めるときは、半期ごとに、当該半期の開始前に、調達価格及び調達期間(以下「調達価格等」という。)を定めることができる。
2 調達価格は、当該再生可能エネルギー発電設備による再生可能エネルギー電気の供給を調達期間にわたり安定的に行うことを可能とする価格として、当該供給が効率的に実施される場合に通常要すると認められる費用及び当該供給に係る再生可能エネルギー電気の見込量を基礎とし、我が国における再生可能エネルギー電気の供給の量の状況、第六条第一項の認定に係る発電(同条第四項の規定による変更の認定又は同条第五項の規定による変更の届出があったときは、その変更後のもの。同条第六項において同じ。)に係る再生可能エネルギー発電設備(以下「認定発電設備」という。)を用いて再生可能エネルギー電気を供給しようとする者(以下「特定供給者」という。)が受けるべき適正な利潤、この法律の施行前から再生可能エネルギー発電設備を用いて再生可能エネルギー電気を供給する者の当該供給に係る費用その他の事情を勘案して定めるものとする。
3 調達期間は、当該再生可能エネルギー発電設備による再生可能エネルギー電気の供給の開始の時から、その供給の開始後最初に行われる再生可能エネルギー発電設備の重要な部分の更新の時までの標準的な期間を勘案して定めるものとする。
4 経済産業大臣は、調達価格等を定めるに当たっては、第十六条の賦課金の負担が電気の使用者に対して過重なものとならないよう配慮しなければならない。
5 経済産業大臣は、調達価格等を定めようとするときは、当該再生可能エネルギー発電設備に係る所管に応じて農林水産大臣、国土交通大臣又は環境大臣に協議し、及び消費者政策の観点から消費者問題担当大臣(内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第九条第一項に規定する特命担当大臣であって、同項の規定により命を受けて同法第四条第一項第十七号及び同条第三項第六十一号に掲げる事務を掌理するものをいう。)の意見を聴くとともに、調達価格等算定委員会の意見を聴かなければならない。この場合において、経済産業大臣は、調達価格等算定委員会の意見を尊重するものとする。
6 経済産業大臣は、調達価格等を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。
7 経済産業大臣は、前項の規定による告示後速やかに、当該告示に係る調達価格等並びに当該調達価格等の算定の基礎に用いた数及び算定の方法を国会に報告しなければならない。
8 経済産業大臣は、物価その他の経済事情に著しい変動が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があると認めるときは、調達価格等を改定することができる。
9 第五項から第七項までの規定は、前項の規定による調達価格等の改定について準用する。
(特定契約の申込みに応ずる義務)
第四条 電気事業者は、特定供給者から、当該再生可能エネルギー電気について特定契約(当該特定供給者に係る認定発電設備に係る調達期間を超えない範囲内の期間(当該再生可能エネルギー電気が既に他の電気事業者に供給されていた場合その他の経済産業省令で定める場合にあっては、経済産業省令で定める期間)にわたり、特定供給者が電気事業者に対し再生可能エネルギー電気を供給することを約し、電気事業者が当該認定発電設備に係る調達価格により再生可能エネルギー電気を調達することを約する契約をいう。以下同じ。)の申込みがあったときは、その内容が当該電気事業者の利益を不当に害するおそれがあるときその他の経済産業省令で定める正当な理由がある場合を除き、特定契約の締結を拒んではならない。
2 経済産業大臣は、電気事業者に対し、特定契約の円滑な締結のため必要があると認めるときは、その締結に関し必要な指導及び助言をすることができる。
3 経済産業大臣は、正当な理由がなくて特定契約の締結に応じない電気事業者があるときは、当該電気事業者に対し、特定契約の締結に応ずべき旨の勧告をすることができる。
4 経済産業大臣は、前項に規定する勧告を受けた電気事業者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該電気事業者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
(接続の請求に応ずる義務)
第五条 電気事業者(特定規模電気事業者を除く。以下この条において同じ。)は、前条第一項の規定により特定契約の申込みをしようとする特定供給者から、当該特定供給者が用いる認定発電設備と当該電気事業者がその事業の用に供する変電用、送電用又は配電用の電気工作物(電気事業法第二条第一項第十六号に規定する電気工作物をいう。第三十九条第二項において同じ。)とを電気的に接続することを求められたときは、次に掲げる場合を除き、当該接続を拒んではならない。
一 当該特定供給者が当該接続に必要な費用であって経済産業省令で定めるものを負担しないとき。
二 当該電気事業者による電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがあるとき。
三 前二号に掲げる場合のほか、経済産業省令で定める正当な理由があるとき。
2 経済産業大臣は、電気事業者に対し、前項に規定する接続が円滑に行われるため必要があると認めるときは、当該接続に関し必要な指導及び助言をすることができる。
3 経済産業大臣は、正当な理由がなくて第一項に規定する接続を行わない電気事業者があるときは、当該電気事業者に対し、当該接続を行うべき旨の勧告をすることができる。
4 経済産業大臣は、前項に規定する勧告を受けた電気事業者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該電気事業者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
(再生可能エネルギー発電設備を用いた発電の認定等)
第六条 再生可能エネルギー発電設備を用いて発電しようとする者は、経済産業省令で定めるところにより、次の各号のいずれにも適合していることにつき、経済産業大臣の認定を受けることができる。
一 当該再生可能エネルギー発電設備について、調達期間にわたり安定的かつ効率的に再生可能エネルギー電気を発電することが可能であると見込まれるものであることその他の経済産業省令で定める基準に適合すること。
二 その発電の方法が経済産業省令で定める基準に適合すること。
2 経済産業大臣は、前項の認定の申請に係る発電が同項各号のいずれにも適合していると認めるときは、同項の認定をするものとする。
3 経済産業大臣は、第一項の認定をしようとする場合において、当該認定の申請に係る発電がバイオマスを電気に変換するものであるときは、政令で定めるところにより、あらかじめ、農林水産大臣、国土交通大臣又は環境大臣に協議しなければならない。
4 第一項の認定に係る発電をし、又はしようとする者は、当該認定に係る発電の変更をしようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣の認定を受けなければならない。ただし、経済産業省令で定める軽微な変更については、この限りでない。
5 第一項の認定に係る発電をし、又はしようとする者は、前項ただし書の経済産業省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
6 経済産業大臣は、第一項の認定に係る発電が同項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該認定を取り消すことができる。
7 第二項及び第三項の規定は、第四項の認定について準用する。
8 経済産業大臣は、第一項第二号の経済産業省令(発電に利用することができるバイオマスに係る部分に限る。)を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、農林水産大臣、国土交通大臣及び環境大臣に協議しなければならない。
(電気事業法の特例)
第七条 特定契約に基づく一般電気事業者に対するその一般電気事業(電気事業法第二条第一項第一号に規定する一般電気事業をいう。)の用に供するための再生可能エネルギー電気の供給については、同法第二十二条の規定は、適用しない。