家畜伝染病予防法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第16号
公布年月日: 平成23年4月4日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

アジア諸国での口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザの続発、特に2010年の宮崎県での口蹄疫発生による29万頭の牛・豚の殺処分など、家畜防疫の重要性が高まっている。口蹄疫対策検証委員会の報告書の内容や、高病原性鳥インフルエンザの発生状況を踏まえ、家畜伝染病の発生予防、早期通報、迅速な初動対応に重点を置いた家畜防疫体制を強化するため、本法律案を提出するものである。

参照した発言:
第177回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号

審議経過

第177回国会

衆議院
(平成23年3月9日)
(平成23年3月10日)
(平成23年3月22日)
(平成23年3月22日)
参議院
(平成23年3月24日)
(平成23年3月25日)
(平成23年3月29日)
家畜伝染病予防法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成二十三年四月四日
内閣総理大臣 菅直人
法律第十六号
家畜伝染病予防法の一部を改正する法律
家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号)の一部を次のように改正する。
目次中「第十二条の四」を「第十二条の七」に、「第三十五条」を「第三十五条の二」に、「第四章 輸出入検疫(第三十六条―第四十六条)」を
第四章
輸出入検疫等(第三十六条―第四十六条の四)
第五章
病原体の所持に関する措置(第四十六条の五―第四十六条の二十二)
に、「第五章」を「第六章」に、「第六十二条の五」を「第六十二条の六」に、「第六章 罰則(第六十三条―第六十六条)」を「第七章 罰則(第六十三条―第六十九条)」に改める。
第二条第一項の表二十六の項中「みつばち」を「蜜蜂」に改め、同項を同表二十八の項とし、同表二十五の項を同表二十七の項とし、同表二十四の項中「ニユーカツスル病」の下に「(病原性が高いものとして農林水産省令で定めるものに限る。以下同じ。)」を加え、同項を同表二十六の項とし、同表二十三の項を同表二十四の項とし、同項の次に次のように加える。
二十五 低病原性鳥インフルエンザ
鶏、あひる、うずら
第二条第一項の表中二十二の項を二十三の項とし、十九の項から二十一の項までを一項ずつ繰り下げ、十八の項の次に次のように加える。
十九 小反芻獣疫
めん羊、山羊
第二条第二項中「鼻疽又はアフリカ豚コレラ」を「豚コレラ、アフリカ豚コレラ、高病原性鳥インフルエンザ又は低病原性鳥インフルエンザ」に改める。
第三条中「第六十条」を「第六十条の二」に改める。
第三条の二の見出しを「(特定家畜伝染病防疫指針等)」に改め、同条第一項中「検査、消毒、」を「家畜が患畜又は疑似患畜であるかどうかを判定するために必要な検査、当該家畜伝染病の発生を予防し、又はそのまん延を防止するために必要な消毒及び」に改め、同条第三項中「聴かなければ」を「聴くとともに、都道府県知事の意見を求めなければ」に改め、同項を同条第七項とし、同条第二項中「都道府県知事」の下に「、家畜防疫員」を、「特定家畜伝染病防疫指針」の下に「及び特定家畜伝染病緊急防疫指針」を加え、同項に後段として次のように加える。
この場合において、都道府県知事は、必要があると認めるときは、市町村長に対し、当該措置の実施に関し、協力を求めることができる。
第三条の二第二項を同条第三項とし、同項の次に次の三項を加える。
4 農林水産大臣は、次項に規定するもののほか、都道府県知事及び市町村長に対し、前項の措置の実施に関し、必要な情報の提供、助言その他の援助を行うものとする。
5 農林水産大臣は、二以上の都道府県の区域にわたり第一項の農林水産省令で定める家畜伝染病がまん延し、又はまん延するおそれがあるときは、都道府県知事に対し、第三項の措置の実施に関し、都道府県の区域を超えた広域的な見地からの助言その他の援助を行うものとする。
6 農林水産大臣は、最新の科学的知見及び国際的動向を踏まえ、少なくとも三年ごとに特定家畜伝染病防疫指針に再検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。
第三条の二第一項の次に次の一項を加える。
2 農林水産大臣は、前項に規定するもののほか、同項の農林水産省令で定める家畜伝染病のまん延を防止するため緊急の必要があるときは、家畜の種類並びに地域及び期間を指定し、当該家畜伝染病について、その発生の状況に応じて必要となる措置を緊急に実施するための指針(次項において「特定家畜伝染病緊急防疫指針」という。)を作成し、公表するものとする。
第五条第一項中「第四項」を「以下この条」に改め、同条中第六項を第七項とし、第五項を第六項とし、同条第四項中「又は」を「若しくは」に改め、「報告」の下に「又は第十三条の二第五項の規定による判定の結果」を加え、同項を同条第五項とし、同条第三項中「第一項」の下に「及び前項」を加え、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。
3 都道府県知事は、農林水産省令の定めるところにより、家畜以外の動物が第二条第一項の表の上欄に掲げる伝染性疾病にかかり、又はかかつている疑いがあることが発見された場合において、当該伝染性疾病が当該動物から家畜に伝染するおそれがあると認めるときは、当該都道府県の職員に当該動物についての当該伝染性疾病の発生の状況等を把握するための検査を行わせることができる。
第八条の次に次の一条を加える。
(消毒設備の設置等の義務)
第八条の二 政令で定める家畜の所有者は、農林水産省令の定めるところにより、畜舎その他の農林水産省令で定める施設及びその敷地(農林水産省令で定める敷地を除く。)の出入口付近に、特定疾病又は監視伝染病の発生を予防するために必要な消毒をする設備を設置しなければならない。
2 前項の設備が設置されている同項の施設に入る者は、農林水産省令の定めるところにより、あらかじめ、当該設備を利用して、自らその身体を消毒するとともに、当該施設に持ち込む物品であつて農林水産省令で定めるものを消毒しなければならない。
3 第一項の設備が設置されている同項の施設の敷地に車両を入れる者は、農林水産省令の定めるところにより、あらかじめ、当該設備を利用して、当該車両を消毒しなければならない。
第十条を次のように改める。
(伝染性疾病の病原体により汚染された場所の消毒等)
第十条 都道府県知事は、家畜以外の動物が第二条第一項の表の上欄に掲げる伝染性疾病にかかつていることが発見された場合において、当該伝染性疾病が当該動物から家畜に伝染するおそれが高いと認めるときは、家畜伝染病の発生を予防するため必要な限度において、当該動物がいた場所又はその死体があつた場所その他当該伝染性疾病の病原体により汚染し、又は汚染したおそれがある場所又は物品を当該都道府県の職員に消毒させることができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による消毒をする場所の付近を通行する者に対し、家畜伝染病の発生を予防するため必要な限度において、その身体又はその場所の付近を通過させる車両の消毒を受けるよう求めることができる。
3 都道府県知事又は市町村長は、家畜以外の動物が牛疫、牛肺疫、口蹄疫、豚コレラ、アフリカ豚コレラ、高病原性鳥インフルエンザ又は低病原性鳥インフルエンザにかかつていることが発見された場合において、当該伝染性疾病の病原体による家畜伝染病の発生を予防するため緊急の必要があるときは、政令で定める手続に従い、七十二時間を超えない範囲内において期間を定め、当該動物がいた場所又はその死体があつた場所(これに隣接して当該伝染性疾病の病原体により汚染し、又は汚染したおそれがある場所を含む。)とその他の場所との通行を制限し、又は遮断することができる。
第十二条の三第一項中「について」の下に「、その飼養規模の区分に応じ」を、「に係る衛生管理」の下に「(第二十一条第一項の規定による焼却又は埋却が必要となる場合に備えた土地の確保その他の措置を含む。以下同じ。)」を加え、同条第三項中「聴かなければ」を「聴くとともに、都道府県知事の意見を求めなければ」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。
3 農林水産大臣は、少なくとも五年ごとに飼養衛生管理基準に再検討を加え、必要があると認めるときは、これを改正するものとする。
第十二条の四第一項中「都道府県知事は」の下に「、前条の指導又は助言をした場合において」を、「所有者が」の下に「なお」を加え、第二章中同条を第十二条の六とし、第十二条の三の次に次の二条を加える。
(定期の報告)
第十二条の四 飼養衛生管理基準が定められた家畜の所有者は、毎年、農林水産省令の定めるところにより、その飼養している当該家畜の頭羽数及び当該家畜の飼養に係る衛生管理の状況に関し、農林水産省令で定める事項を当該家畜の所在地を管轄する都道府県知事に報告しなければならない。
2 都道府県知事は、前項の規定による報告を受けたときは、農林水産省令の定めるところにより、遅滞なく、当該報告に係る事項を当該家畜の所在地を管轄する市町村長に通知しなければならない。
(指導及び助言)
第十二条の五 都道府県知事は、飼養衛生管理基準が定められた家畜の飼養に係る衛生管理が適正に行われることを確保するため必要があるときは、当該家畜の所有者に対し、当該飼養衛生管理基準に定めるところにより当該家畜の飼養に係る衛生管理が行われるよう必要な指導及び助言をすることができる。
第二章に次の一条を加える。
(家畜の飼養に係る衛生管理の状況等の公表)
第十二条の七 農林水産大臣は、毎年、飼養衛生管理基準が定められた家畜の飼養に係る衛生管理の状況、前二条の規定により都道府県知事がとつた措置の実施状況及び家畜防疫員の確保の状況について都道府県ごとに整理し、これらをインターネットの利用その他の適切な方法により公表するものとする。
第十三条第五項を削り、同条の次に次の一条を加える。
(農林水産大臣の指定する症状を呈している家畜の届出義務)
第十三条の二 家畜が農林水産大臣が家畜の種類ごとに指定する症状を呈していることを発見したときは、当該家畜を診断し、又はその死体を検案した獣医師(獣医師による診断又は検案を受けていない家畜又はその死体については、その所有者)は、農林水産省令で定める手続に従い、遅滞なく、当該家畜又はその死体の所在地を管轄する都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
2 前項の規定による届出には、前条第一項ただし書及び第二項の規定を準用する。
3 第一項の規定は、家畜が患畜又は疑似患畜となつたことを発見した場合、家畜が同項の症状を呈していることを第四十条又は第四十五条の規定による検査中に発見した場合その他農林水産省令で定める場合には、適用しない。
4 都道府県知事は、第一項の規定による届出があつたときは、農林水産省令で定める手続に従い、遅滞なく、農林水産大臣にその旨を報告しなければならない。この場合において、当該届出に係る症状を呈している家畜が農林水産省令で定める要件に該当するときは、農林水産大臣の指定する検体を家畜防疫員に採取させ、その報告の際に、これを農林水産大臣に提出しなければならない。
5 農林水産大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、当該報告に係る家畜が患畜又は疑似患畜であるかどうかを判定し、農林水産省令で定める手続に従い、遅滞なく、その結果を当該報告をした都道府県知事に通知しなければならない。
6 農林水産大臣は、第四項後段の場合を除き、前項の規定による判定をするため必要があるときは、第四項の規定による報告をした都道府県知事に対し、家畜防疫員に採取させた同項の農林水産大臣の指定する検体の提出を求めることができる。
7 都道府県知事は、第五項の規定による判定の結果の通知があつたときは、農林水産省令で定める手続に従い、遅滞なく、その結果を当該通知に係る家畜又はその死体の所有者(当該家畜又はその死体の所有者以外の者が第一項の規定による届出をした場合にあつては、当該届出をした者及び当該家畜又はその死体の所有者)に通知しなければならない。
8 都道府県知事は、第五項の規定により当該家畜が患畜又は疑似患畜である旨の通知があつたときは、農林水産省令で定める手続に従い、遅滞なく、その旨を公示するとともに当該家畜又はその死体の所在地を管轄する市町村長及び隣接市町村長並びに関係都道府県知事に通報しなければならない。
第十五条及び第十六条第一項各号中「又はアフリカ豚コレラ」を「、豚コレラ、アフリカ豚コレラ、高病原性鳥インフルエンザ又は低病原性鳥インフルエンザ」に改める。
第十七条の見出しを「(患畜等の殺処分)」に改め、同条第一項各号中「豚コレラ」を「小反芻獣疫」に改め、「、高病原性鳥インフルエンザ」を削り、同条の次に次の一条を加える。
(患畜等以外の家畜の殺処分)
第十七条の二 農林水産大臣は、口蹄疫がまん延し、又はまん延するおそれがある場合において、この章(この条の規定に係る部分を除く。)の規定により講じられる措置のみによつてはそのまん延の防止が困難であり、かつ、その急速かつ広範囲なまん延を防止するため、口蹄疫の患畜及び疑似患畜(以下この項において「患畜等」という。)以外の家畜であつてもこれを殺すことがやむを得ないと認めるときは、患畜等以外の家畜を殺す必要がある地域を指定地域として、また、当該指定地域において殺す必要がある家畜(患畜等を除く。)を指定家畜として、それぞれ指定することができる。
2 前項の指定地域(以下この条において「指定地域」という。)及び同項の指定家畜(以下「指定家畜」という。)の指定は、口蹄疫の急速かつ広範囲なまん延を防止するため必要な最小限度の範囲に限つてするものとする。
3 農林水産大臣は、指定地域及び指定家畜の指定をしようとするときは、当該指定地域を管轄する都道府県知事の意見を聴かなければならない。
4 農林水産大臣は、指定地域及び指定家畜の指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。
5 指定地域及び指定家畜の指定があつたときは、当該指定地域を管轄する都道府県知事は、当該指定地域内において指定家畜を所有する者に対し、期限を定めて、当該指定家畜を殺すべき旨を命ずるものとする。
6 前項の規定による命令を受けた者がその命令に従わないとき、又は指定家畜の所有者若しくはその所在が知れないため同項の規定による命令をすることができない場合において緊急の必要があるときは、同項の都道府県知事は、家畜防疫員に当該指定家畜を殺させることができる。
7 農林水産大臣は、指定地域の全部又は一部についてその指定の事由がなくなつたと認めるときは、当該指定地域の全部又は一部についてその指定を解除するものとする。
8 前項の規定による解除には、第三項及び第四項の規定を準用する。
第十八条中「又は疑似患畜」を「、疑似患畜又は指定家畜」に、「前二条」を「前三条」に改める。
第十九条中「第十七条」を「第十七条第一項若しくは第十七条の二第五項」に改める。
第二十一条第一項中「掲げる患畜又は疑似患畜」を「掲げる家畜」に改め、同項第一号中「アフリカ馬疫」の下に「、小反芻獣疫」を、「高病原性鳥インフルエンザ」の下に「、低病原性鳥インフルエンザ」を加え、同項に次の一号を加える。
三 指定家畜の死体
第二十一条第四項中「患畜又は疑似患畜」を「家畜」に改め、同条に次の二項を加える。
6 都道府県知事は、第一項の規定による焼却又は埋却が的確かつ迅速に実施されるようにするため、当該都道府県の区域内における当該焼却又は埋却が必要となる場合に備えた土地の確保その他の措置に関する情報の提供、助言、指導、補完的に提供する土地の準備その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
7 都道府県知事は、前項の必要な措置を講ずるため特に必要があると認めるときは、農林水産大臣及び市町村長に対し、協力を求めることができる。
第二十五条第一項本文中「施設」の下に「(以下「要消毒畜舎等」という。)」を加え、同条第二項中「前項の畜舎、船舶、車両その他これに準ずる施設」を「要消毒畜舎等」に、「同項ただし書」を「前項ただし書」に、「当該施設」を「当該要消毒畜舎等」に改め、同条第三項中「第一項の施設(同項ただし書」を「要消毒畜舎等(第一項ただし書」に改め、同条に次の三項を加える。
4 要消毒畜舎等の所有者は、第一項の規定による消毒が終了するまでの間、農林水産省令の定めるところにより、当該要消毒畜舎等及びその敷地(農林水産省令で定める敷地を除く。)の出入口付近に、家畜伝染病のまん延を防止するために必要な消毒をする設備を設置しなければならない。
5 家畜防疫員は、第三項の規定により自ら要消毒畜舎等を消毒する場合には、当該消毒が終了するまでの間、前項の農林水産省令の定めるところにより、自ら同項の設備を設置しなければならない。
6 第四項の設備が設置されている要消毒畜舎等の敷地から車両を出す者は、農林水産省令の定めるところにより、あらかじめ、当該設備を利用して、当該車両を消毒しなければならない。
第二十六条第一項中「前条第一項本文の施設」を「要消毒畜舎等」に、「第三項において同じ」を「以下「要消毒倉庫等」という」に、「当該施設」を「当該要消毒倉庫等」に改め、同条第二項中「命令に係る施設」を「規定による命令に係る要消毒倉庫等」に改め、同条第三項中「第一項の倉庫、船舶、車両その他これに準ずる施設」を「要消毒倉庫等」に、「同項の」を「第一項の規定による」に、「当該施設」を「当該要消毒倉庫等」に改め、同条に次の三項を加える。
4 要消毒倉庫等の所有者は、第一項の規定による命令に従つてすべき消毒が終了するまでの間、農林水産省令の定めるところにより、当該要消毒倉庫等及びその敷地(農林水産省令で定める敷地を除く。)の出入口付近に、家畜伝染病のまん延を防止するために必要な消毒をする設備を設置しなければならない。
5 都道府県知事は、第三項の規定により家畜防疫員に要消毒倉庫等を消毒させる場合には、当該消毒が終了するまでの間、前項の農林水産省令の定めるところにより、家畜防疫員に同項の設備を設置させなければならない。
6 第四項の設備が設置されている要消毒倉庫等の敷地から車両を出す者は、農林水産省令の定めるところにより、あらかじめ、当該設備を利用して、当該車両を消毒しなければならない。
第二十八条に次の一項を加える。
2 第二十五条第四項の設備が設置されている要消毒畜舎等又は第二十六条第四項の設備が設置されている要消毒倉庫等から出る者は、農林水産省令の定めるところにより、あらかじめ、これらの設備を利用して、前項の規定による消毒をしなければならない。
第二十八条の次に次の一条を加える。
(消毒設備の設置場所を通行する者の消毒の義務)
第二十八条の二 都道府県知事が家畜伝染病のまん延の防止のために必要な消毒のための設備であつて農林水産省令で定めるものを設置している場所を通行する者は、農林水産省令の定めるところにより、当該設備によるその身体及びその場所を通過させる車両の消毒を受けなければならない。
2 前項の設備は、家畜伝染病の急速かつ広範囲なまん延を防止するため特に必要があると都道府県知事が認める場合に設置するものとする。
3 都道府県知事は、第一項の設備が設置されている場所ごとに、公衆の見やすい場所に、農林水産省令で定める表示をしなければならない。
第二十九条中「及び疑似患畜」を「、疑似患畜及び指定家畜」に改める。
第三章に次の一条を加える。
(発生の原因の究明)
第三十五条の二 農林水産大臣は、第十六条第一項第一号に規定する家畜伝染病が発生したときは、速やかに、その発生の原因を究明するよう努めるものとする。
「第四章 輸出入検疫」を「第四章 輸出入検疫等」に改める。
第四十六条第一項中「第十四条」の下に「から第十七条まで、第十八条」を加え、第四章中同条の次に次の三条を加える。
(入国者に対する質問等)
第四十六条の二 家畜防疫官は、外国から入港した船舶又は航空機に乗つて来た者(次条において「入国者」という。)に対して、その携帯品(第四十条第一項若しくは第二項又は第四十一条の検査を受けた物を除く。以下同じ。)のうちに要消毒物品(監視伝染病が現に発生している外国の地域において使用された物品であつて家畜防疫官がその消毒をすることが必要であると認めるものをいう。次条において同じ。)が含まれているかどうかを判断するため、必要な質問を行うとともに、必要な限度において、当該携帯品の検査を行うことができる。
(入国者の携帯品の消毒)
第四十六条の三 家畜防疫官は、前条の検査の結果、入国者の携帯品のうちに要消毒物品が含まれていたときは、必要な限度において、当該要消毒物品を消毒することができる。
(協力の要請)
第四十六条の四 動物検疫所長は、前二条の規定による事務を円滑に行うため必要があると認めるときは、外国から入港した船舶若しくは航空機の所有者若しくは長(長に代わつてその職務を行う者があるときは、その者)又は港若しくは飛行場の管理者(次項において「船舶の所有者等」という。)に対し、第四十六条の二の質問に関する書類の配布、検疫の手続に関する情報の提供その他必要な協力を求めることができる。
2 船舶の所有者等は、動物検疫所長から前項の規定による求めがあつたときは、その求めに応ずるよう努めなければならない。
第六十三条第三号中「第十七条」を「第十七条第一項又は第十七条の二第五項」に改め、同条第五号中「による」を「に違反して」に改め、同条に次の一号を加える。
六 第四十六条の五第一項又は第四十六条の十の規定に違反した者
第六十四条第一号中「第十二条」の下に「、第十三条の二第一項」を、「第五十六条第二項(」の下に「第十三条の二第一項、」を加え、同条第二号中「第三十二条及び第三十三条については、」を「これらの規定を」に改め、同条第三号中「第三十六条の二第一項」の下に「、第四十六条の八第一項、第四十六条の十一第一項、第四十六条の十三第一項又は第四十六条の十八第一項(第四十六条の二十第二項において読み替えて準用する場合を含む。)」を加え、同条に次の三号を加える。
四 第四十六条の十八第三項(第四十六条の二十第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者
五 第五十一条第二項の規定による検査若しくは集取を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対し陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
六 第五十二条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
第六十六条中「前三条」を「第六十三条から前条まで」に改め、同条を第六十七条とする。
第六十五条第一号中「第十八条、第二十一条第二項」を「第八条の二、第十八条、第二十一条第二項」に、「又は第二十五条第一項(」を「、第二十五条第一項、第四項若しくは第六項、第二十六条第四項若しくは第六項、第二十八条第二項又は第二十八条の二第一項(第八条の二、」に、「及び第二十五条第一項」を「、第二十五条第一項、第四項及び第六項、第二十六条第四項及び第六項、第二十八条第二項並びに第二十八条の二第一項」に改め、同条第二号中「第十二条の四第二項」を「第十二条の六第二項」に改め、同条第三号中「第十四条第二項後段若しくは第三項、第十九条、第二十六条第二項又は」を「第十四条第二項若しくは第三項、第十九条、第二十六条第二項又は」に、「第十四条第二項後段若しくは第三項、第十九条、第二十六条第二項及び第四十条第四項については、」を「これらの規定を」に改め、「指示」の下に「(第十四条第二項の規定による指示については、同項の措置をとるべき旨の指示に限る。)」を加え、同条第十号中「第四十二条第二項及び第四十三条第五項については、」を「これらの規定を」に改め、同条第十三号中「第五十二条」を「第五十二条第一項」に改め、同号を同条第十六号とし、同条中第十二号を第十五号とし、第十一号の次に次の三号を加える。
十二 第四十六条の二(第六十二条第一項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定による質問に対し陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をし、又は第四十六条の二の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
十三 第四十六条の三(第六十二条第一項において準用する場合を含む。)の規定による消毒を拒み、妨げ、又は忌避した者
十四 第四十六条の八第二項、第四十六条の十四、第四十六条の十五(第四十六条の二十第一項において読み替えて準用する場合を含む。)、第四十六条の十八第二項(第四十六条の二十第二項において準用する場合を含む。)又は第四十六条の十九第二項の規定に違反した者
第六十五条を第六十六条とし、第六十四条の次に次の一条を加える。
第六十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第四十六条の六第三項(第四十六条の八第四項において準用する場合を含む。)の規定による条件に違反した者
二 第四十六条の十一第二項又は第四十六条の十九第一項の規定に違反した者
三 第四十六条の十一第四項、第四十六条の十六第二項(第四十六条の二十第一項において読み替えて準用する場合を含む。)又は第四十六条の十七第二項(第四十六条の二十第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者
本則に次の二条を加える。
第六十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の過料に処する。
一 第十二条の四第一項の規定に違反した者
二 第四十六条の十二第一項又は第四十六条の十三第二項の規定に違反した者
三 第四十六条の十二第三項の規定による命令に違反した者
第六十九条 第四十六条の八第三項又は第四十六条の十二第二項の規定に違反した者は、五万円以下の過料に処する。
第六章を第七章とする。
第四十七条中「第六条」を「対し、第六条第一項」に改め、「第十七条」の下に「、第十七条の二第五項若しくは第六項」を加え、「若しくは第三項」を「、第三項若しくは第五項、第二十八条の二第一項」に、「第三十一条」を「第三十一条第一項」に、「又は第三十四条」を「若しくは第三十四条」に、「実施すべき」を「実施し、又は家畜防疫員に第十六条第三項の規定による措置を実施させるべき」に改める。
第五十一条第二項中「前項」を「第一項及び第二項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第一項の次に次の二項を加える。
2 農林水産大臣は、前章の規定を施行するため必要があるときは、その職員に、許可所持者等又は届出伝染病等病原体を所持する者の事務所又は事業所に立ち入つてその者の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、関係者に質問させ、又は検査のため必要な限度において、監視伝染病病原体若しくはこれにより汚染し、若しくは汚染したおそれがある物を集取させることができる。
3 農林水産省の職員(家畜防疫官を除く。)は、前項の規定による立入検査、質問又は集取をするときは、農林水産省令の定めるところにより、その身分を示す証明書を携帯し、関係者にこれを提示しなければならない。
第五十二条に次の一項を加える。
2 農林水産大臣は、前章の規定を施行するため必要があるときは、農林水産省令で定める手続に従い、許可所持者等又は届出伝染病等病原体を所持する者に対し、必要な事項についての報告を求めることができる。
第五十二条の二中「第十七条第一項」の下に「、第十七条の二第五項」を加え、「これらの規定による命令」を「第十七条第一項又は第二十六条第一項の規定による命令」に改め、同条を第五十二条の三とし、第五十二条の次に次の一条を加える。
(伝染性疾病の発生の状況等に関する情報の収集及び公表)
第五十二条の二 農林水産大臣は、家畜の伝染性疾病の外国における発生の状況、動向及び原因に関する情報を収集するものとする。
2 農林水産大臣は、この法律の規定により得られた情報その他その収集した家畜の伝染性疾病に関する情報について整理及び分析を行い、家畜の伝染性疾病の発生の状況、動向及び原因に関する情報並びに当該家畜の伝染性疾病の発生の予防及びまん延の防止のために必要な情報をインターネットの利用その他の適切な方法により積極的に公表するものとする。
第五十三条に次の一項を加える。
4 都道府県知事は、獣医師を当該都道府県の職員として採用することにより、この法律に規定する事務を処理するために必要となる員数の家畜防疫員を確保するよう努めなければならない。
第五十六条第一項中「この法律又は」を「この法律(前章を除く。以下この項において同じ。)又は」に、「基く」を「基づく」に改める。
第五十八条第一項ただし書中「この限りでない」を「農林水産省令の定めるところにより、この項本文の規定により交付すべき手当金の全部若しくは一部を交付せず、又はこの項本文の規定により交付した手当金の全部若しくは一部を返還させるものとする」に改め、同項第一号中「とする」の下に「。次項第一号において同じ」を加え、同項第五号中「除く」の下に「。次項第三号において同じ」を加え、同条第四項中「きかなければ」を「聴かなければ」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項中「第一項」の下に「及び第二項」を加え、「きかなければ」を「聴かなければ」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「前二項」に、「同項第四号」を「第一項第四号」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 国は、次に掲げる家畜又は物品の所有者に対し、前項の手当金のほか、それぞれ当該各号に定める額を特別手当金として交付する。ただし、第十六条第一項第一号に規定する家畜伝染病の発生を予防し、又はまん延を防止するために必要な措置を講じなかつた者その他の農林水産省令で定める者に対しては、農林水産省令の定めるところにより、この項本文の規定により交付すべき特別手当金の全部若しくは一部を交付せず、又はこの項本文の規定により交付した特別手当金の全部若しくは一部を返還させるものとする。
一 第十六条の規定により殺された患畜にあつては、患畜となる前における当該家畜の評価額の三分の二
二 第十六条の規定により殺された疑似患畜にあつては、疑似患畜となる前における当該家畜の評価額の五分の一
三 第十六条第一項第一号に規定する家畜伝染病の病原体により汚染し、又は汚染したおそれがあるため第二十三条の規定により焼却し、又は埋却した物品にあつては、焼却又は埋却前における当該物品の評価額の五分の一
第五十九条中「家畜」を「患畜若しくは疑似患畜」に改める。
第六十条第一項第二号中「第五十八条第四項」を「第五十八条第五項」に改め、同項第八号中「二分の一」の下に「(指定家畜の焼却又は埋却に要するものについては、その全額)」を加え、同号を同項第九号とし、同項第七号の次に次の一号を加える。
八 農林水産大臣の指定する消毒に要した費用(第六号の薬品の購入費並びに前号の衛生資材の購入費及び賃借料を除く。)の二分の一
第六十条第二項中「都道府県が、特定家畜等(」を「都道府県知事が」に、「又は移出の禁止又は制限がされることにより畜産経営に重大な影響が及ぶ」を「若しくは移出の禁止若しくは制限、第三十三条の規定による催物の開催若しくは事業の停止若しくは制限又は第三十四条の規定による放牧、種付、と殺若しくはふ卵の停止若しくは制限をした場合において、当該都道府県が」に、「として政令で定めるものをいう。以下この項において同じ」を「(以下この項において「家畜等」という」に、「当該禁止」を「当該禁止、停止」に、「特定家畜等に」を「家畜等に」に、「場合には」を「ときは」に改め、同条の次に次の二条を加える。
(指定家畜に係る補償金等)
第六十条の二 国は、その所有する指定家畜を第十七条の二第五項の規定による命令に従つて殺し、又は同条第六項の規定により殺されたために損失を受けた者に対し、その生産に要する費用その他の通常生ずべき損失として政令で定める損失を補償しなければならない。
2 国は、第二十一条第一項の規定により焼却し、又は埋却した指定家畜の死体の所有者に対し、焼却又は埋却に要した費用の全額を交付する。
3 前二項に定めるもののほか、指定家畜に係る損失の補償及び費用の負担に関し必要な事項は、政令で定める。
(初期段階の措置に係る財政上の措置)
第六十条の三 政府は、患畜又は疑似患畜が発見された場合において家畜伝染病の発生後の初期の段階からそのまん延の防止のための措置が的確かつ迅速に講じられるようにするため、予備費の計上その他の必要な財政上の措置を講ずるよう努めなければならない。
第六十一条中「第九条」の下に「、第十二条の四第一項」を、「及び第二項」の下に「(同条第一項ただし書及び第二項については、第十三条の二第二項において準用する場合を含む。)、第十三条の二第一項」を加え、「及び第三項、第三十条」を「、第三項及び第五項、第三十条」に、「第五十二条」を「第五十二条第一項」に改める。
第六十二条第一項中「から第九条まで、第十一条」及び「から第九条まで及び第十一条」を削る。
第六十二条の二第一項中「所有者は」の下に「、その飼養している家畜につき家畜の伝染性疾病の発生を予防し、当該家畜に起因する家畜の伝染性疾病のまん延を防止することについて重要な責任を有していることを自覚し」を加える。
第六十二条の三の見出し中「厚生労働大臣」の下に「及び環境大臣」を加え、同条に次の三項を加える。
4 農林水産大臣は、第二条第一項の表の上欄に掲げる伝染性疾病が野生動物から家畜に伝染するおそれが高いためこの法律の規定による家畜の伝染性疾病の発生の予防又はまん延の防止のための措置を講じようとする場合において、必要があると認めるときは、環境大臣に意見を求め、又は野生動物の監視その他の必要な措置を講ずることを求めることができる。
5 環境大臣は、前項の伝染性疾病が野生動物から家畜に伝染するおそれが高いため家畜に当該伝染性疾病の発生又はまん延のおそれがあると認めるときは、この法律の規定による家畜の伝染性疾病の発生の予防又はまん延の防止のための措置の実施に関し、農林水産大臣に意見を述べることができる。
6 農林水産大臣及び環境大臣は、前二項の規定の円滑な実施を図るため、相互に情報又は資料を提供するものとする。
第五章中第六十二条の五を第六十二条の六とする。
第六十二条の四中「第三章」の下に「(第二十一条第六項及び第七項を除く。)」を加え、同条を第六十二条の五とし、第六十二条の三の次に次の一条を加える。
(連絡及び協力)
第六十二条の四 農林水産大臣及び関係行政機関の長は、この法律の施行に当たつては、家畜の伝染性疾病の発生の予防又はまん延の防止に関する事項について、相互に緊密に連絡し、及び協力しなければならない。
第五章を第六章とし、第四章の次に次の一章を加える。
第五章 病原体の所持に関する措置
(家畜伝染病病原体の所持の許可)
第四十六条の五 家畜伝染病病原体(家畜伝染病の病原体であつて農林水産省令で定めるものをいう。以下同じ。)を所持しようとする者は、農林水産省令の定めるところにより、農林水産大臣の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 第四十六条の十一第二項に規定する滅菌譲渡義務者が、農林水産省令の定めるところにより、同項に規定する滅菌譲渡をするまでの間家畜伝染病病原体を所持しようとする場合
二 この項本文の許可を受けた者(以下「許可所持者」という。)又は前号に規定する者から運搬を委託された者が、その委託に係る家畜伝染病病原体を当該運搬のために所持しようとする場合
三 許可所持者又は前二号に規定する者の従業者が、その職務上家畜伝染病病原体を所持しようとする場合
2 前項本文の許可を受けようとする者は、農林水産省令の定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を農林水産大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 家畜伝染病病原体の種類
三 所持の目的及び方法
四 家畜伝染病病原体の保管、使用及び滅菌又は無害化をする施設(以下「取扱施設」という。)の位置、構造及び設備
(許可の基準等)
第四十六条の六 農林水産大臣は、前条第一項本文の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項本文の許可をしてはならない。
一 所持の目的が検査、治療、医薬品その他農林水産省令で定める製品の製造又は試験研究であること。
二 取扱施設の位置、構造及び設備が農林水産省令で定める技術上の基準に適合するものであることその他その申請に係る家畜伝染病病原体による家畜伝染病が発生し、又はまん延するおそれがないこと。
2 次の各号のいずれかに該当する者には、前項の規定にかかわらず、前条第一項本文の許可を与えない。
一 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
三 この法律、狂犬病予防法(昭和二十五年法律第二百四十七号)、検疫法(昭和二十六年法律第二百一号)若しくは感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)又はこれらの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
四 第四十六条の九の規定により許可を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条の規定による通知があつた日前六十日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この項において同じ。)であつた者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)
五 第四十六条の九の規定による許可の取消しの処分に係る行政手続法第十五条の規定による通知があつた日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に第四十六条の十一第二項の規定による届出をした者(当該届出に係る同項に規定する滅菌譲渡について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から五年を経過しないもの
六 前号に規定する期間内に第四十六条の十一第二項の規定による届出があつた場合において、同号の通知の日前六十日以内に当該届出に係る法人(当該届出に係る同項に規定する滅菌譲渡について相当の理由がある法人を除く。)の役員若しくは政令で定める使用人であつた者又は当該届出に係る個人(当該届出に係る同項に規定する滅菌譲渡について相当の理由がある者を除く。)の政令で定める使用人であつた者で、当該届出の日から五年を経過しないもの
七 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号のいずれかに該当するもの
八 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちに第一号から第六号までのいずれかに該当する者のあるもの
九 個人で政令で定める使用人のうちに第一号から第六号までのいずれかに該当する者のあるもの
3 前条第一項本文の許可には、条件を付することができる。この場合において、その条件は、その許可に係る家畜伝染病病原体による家畜伝染病の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要な最小限度のものに限り、かつ、許可を受ける者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。
(許可証)
第四十六条の七 農林水産大臣は、第四十六条の五第一項本文の許可をしたときは、その許可に係る家畜伝染病病原体の種類その他農林水産省令で定める事項を記載した許可証を交付しなければならない。
2 許可証の再交付及び返納その他許可証に関する手続的事項は、農林水産省令で定める。
(許可事項の変更)
第四十六条の八 許可所持者は、第四十六条の五第二項第二号から第四号までに掲げる事項の変更をしようとするときは、農林水産省令の定めるところにより、農林水産大臣の許可を受けなければならない。ただし、その変更が農林水産省令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。
2 許可所持者は、前項ただし書に規定する軽微な変更をしようとするときは、農林水産省令の定めるところにより、あらかじめ、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
3 許可所持者は、第四十六条の五第二項第一号に掲げる事項を変更したときは、農林水産省令の定めるところにより、その変更の日から三十日以内に、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
4 第一項本文の許可には、第四十六条の六の規定を準用する。
(許可の取消し等)
第四十六条の九 農林水産大臣は、許可所持者が次の各号のいずれかに該当する場合は、第四十六条の五第一項本文の許可を取り消し、又は一年以内の期間を定めてその許可の効力を停止することができる。
一 取扱施設の位置、構造又は設備が第四十六条の六第一項第二号の技術上の基準に適合しなくなつたとき。
二 第四十六条の六第二項各号のいずれかに該当するに至つたとき。
三 第四十六条の六第三項(前条第四項において準用する場合を含む。)の条件に違反したとき。
四 この法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき。
(家畜伝染病病原体の譲渡し及び譲受けの制限)
第四十六条の十 家畜伝染病病原体は、次の各号のいずれかに該当する場合のほか、譲り渡し、又は譲り受けてはならない。
一 許可所持者がその許可に係る家畜伝染病病原体を、他の許可所持者(当該家畜伝染病病原体に係る第四十六条の五第一項本文の許可を受けた者に限る。以下この号において同じ。)に譲り渡し、又は他の許可所持者若しくは次条第二項に規定する滅菌譲渡義務者から譲り受ける場合
二 次条第二項に規定する滅菌譲渡義務者が家畜伝染病病原体を、農林水産省令の定めるところにより、許可所持者(当該家畜伝染病病原体に係る第四十六条の五第一項本文の許可を受けた者に限る。)に譲り渡す場合
(滅菌等)
第四十六条の十一 次の各号に掲げる者が当該各号に定める場合に該当するときは、その所持する家畜伝染病病原体の滅菌若しくは無害化(以下「滅菌等」という。)をし、又はその譲渡しをしなければならない。
一 許可所持者 その許可に係る家畜伝染病病原体について所持することを要しなくなつた場合又は第四十六条の五第一項本文の許可を取り消され、若しくはその許可の効力を停止された場合
二 家畜の伝染性疾病の病原体の検査を行つている機関(前号に掲げる者を除く。) その業務に伴い家畜伝染病病原体を所持することとなつた場合
2 前項の規定により家畜伝染病病原体の滅菌等又は譲渡し(以下「滅菌譲渡」という。)をしなければならない者(以下「滅菌譲渡義務者」という。)が、当該家畜伝染病病原体の滅菌譲渡をしようとするときは、農林水産省令の定めるところにより、当該家畜伝染病病原体の種類、滅菌譲渡の方法その他農林水産省令で定める事項を農林水産大臣に届け出なければならない。
3 許可所持者が、その許可に係る家畜伝染病病原体を所持することを要しなくなつた場合において、前項の規定による届出をしたときは、第四十六条の五第一項本文の許可は、その効力を失う。
4 農林水産大臣は、必要があると認めるときは、滅菌譲渡義務者に対し、農林水産省令の定めるところにより、当該家畜伝染病病原体の滅菌譲渡の方法の変更その他当該家畜伝染病病原体による家畜伝染病の発生を予防し、又はそのまん延を防止するために必要な措置を講ずべき旨を命ずることができる。
(家畜伝染病発生予防規程の作成等)
第四十六条の十二 許可所持者は、その許可に係る家畜伝染病病原体による家畜伝染病の発生を予防し、及びそのまん延を防止するため、農林水産省令の定めるところにより、当該家畜伝染病病原体の所持を開始する前に、家畜伝染病発生予防規程を作成し、農林水産大臣に届け出なければならない。
2 許可所持者は、家畜伝染病発生予防規程を変更したときは、その変更の日から三十日以内に、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
3 農林水産大臣は、家畜伝染病病原体による家畜伝染病の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があるときは、許可所持者に対し、家畜伝染病発生予防規程を変更すべき旨を命ずることができる。
(病原体取扱主任者の選任等)
第四十六条の十三 許可所持者は、その許可に係る家畜伝染病病原体による家畜伝染病の発生の予防及びまん延の防止について監督を行わせるため、当該家畜伝染病病原体の取扱いの知識経験に関する要件として農林水産省令で定めるものを備える者のうちから、病原体取扱主任者を選任しなければならない。
2 許可所持者は、病原体取扱主任者を選任したときは、農林水産省令の定めるところにより、その選任の日から三十日以内に、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
3 病原体取扱主任者は、誠実にその職務を遂行しなければならない。
4 取扱施設に立ち入る者は、病原体取扱主任者がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは家畜伝染病発生予防規程の実施を確保するためにする指示に従わなければならない。
5 許可所持者は、その許可に係る家畜伝染病病原体による家畜伝染病の発生の予防及びまん延の防止に関し、病原体取扱主任者の意見を尊重しなければならない。
6 農林水産大臣は、病原体取扱主任者が、この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反したときは、許可所持者に対し、当該病原体取扱主任者を解任すべき旨を命ずることができる。
(教育訓練)
第四十六条の十四 許可所持者は、取扱施設に立ち入る者に対し、農林水産省令の定めるところにより、家畜伝染病発生予防規程の周知を図るほか、その許可に係る家畜伝染病病原体による家畜伝染病の発生を予防し、及びそのまん延を防止するために必要な教育及び訓練を施さなければならない。
(記帳義務)
第四十六条の十五 許可所持者は、農林水産省令の定めるところにより、帳簿を備え、その所持する家畜伝染病病原体の保管、使用及び滅菌等に関する事項その他当該家畜伝染病病原体による家畜伝染病の発生の予防及びまん延の防止に関し必要な事項を記載しなければならない。
2 前項の帳簿は、農林水産省令の定めるところにより、保存しなければならない。
(施設の基準等)
第四十六条の十六 許可所持者は、取扱施設の位置、構造及び設備を第四十六条の六第一項第二号の技術上の基準に適合するように維持しなければならない。
2 農林水産大臣は、取扱施設の位置、構造又は設備が前項の技術上の基準に適合していないときは、許可所持者に対し、当該施設の修理又は改造その他当該家畜伝染病病原体による家畜伝染病の発生の予防又はまん延の防止のために必要な措置を講ずべき旨を命ずることができる。
(保管等の基準等)
第四十六条の十七 許可所持者及び滅菌譲渡義務者並びにこれらの者から運搬を委託された者(以下「許可所持者等」という。)は、その所持する家畜伝染病病原体の保管、使用、運搬(船舶又は航空機による運搬を除く。以下同じ。)又は滅菌等をする場合においては、農林水産省令で定める技術上の基準に従つて当該家畜伝染病病原体による家畜伝染病の発生の予防及びまん延の防止のために必要な措置を講じなければならない。
2 農林水産大臣は、許可所持者等が講ずる家畜伝染病病原体の保管、使用、運搬又は滅菌等に関する措置が前項の技術上の基準に適合していないときは、その者に対し、その保管、使用、運搬又は滅菌等の方法の変更その他当該家畜伝染病病原体による家畜伝染病の発生の予防又はまん延の防止のために必要な措置を講ずべき旨を命ずることができる。
(災害時の応急措置)
第四十六条の十八 許可所持者等は、その所持する家畜伝染病病原体に関し、地震、火災その他の災害が起こつたことにより、当該家畜伝染病病原体による家畜伝染病が発生し、若しくはまん延した場合又は当該家畜伝染病病原体による家畜伝染病が発生し、若しくはまん延するおそれがある場合においては、直ちに、農林水産省令の定めるところにより、応急の措置を講じなければならない。
2 許可所持者等は、前項に規定する場合においては、農林水産省令の定めるところにより、遅滞なく、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
3 農林水産大臣は、第一項の場合において、当該家畜伝染病病原体による家畜伝染病の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があるときは、許可所持者等に対し、当該家畜伝染病病原体の保管場所の変更、当該家畜伝染病病原体の滅菌等その他当該家畜伝染病病原体による家畜伝染病の発生の予防又はまん延の防止のために必要な措置を講ずべき旨を命ずることができる。
(届出伝染病等病原体の所持の届出)
第四十六条の十九 届出伝染病等病原体(家畜伝染病病原体以外の家畜伝染病の病原体及び届出伝染病の病原体であつて、農林水産省令で定めるものをいう。以下同じ。)を所持する者は、農林水産省令の定めるところにより、その所持の開始の日から七日以内に、当該届出伝染病等病原体の種類その他農林水産省令で定める事項を農林水産大臣に届け出なければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 家畜の伝染性疾病の病原体の検査を行つている機関が、その業務に伴い届出伝染病等病原体を所持することとなつた場合において、農林水産省令の定めるところにより、滅菌譲渡をするまでの間当該届出伝染病等病原体を所持するとき。
二 届出伝染病等病原体を所持する者から運搬又は滅菌等を委託された者が、その委託に係る届出伝染病等病原体を当該運搬又は滅菌等のために所持する場合
三 届出伝染病等病原体を所持する者の従業者が、その職務上届出伝染病等病原体を所持する場合
2 前項本文の規定による届出をした者(次条第一項において「届出所持者」という。)は、その届出に係る事項を変更したときは、農林水産省令の定めるところにより、その変更の日から七日以内に、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。その届出に係る届出伝染病等病原体を所持しないこととなつたときも、同様とする。
(準用)
第四十六条の二十 届出所持者には、第四十六条の十五及び第四十六条の十六の規定を準用する。この場合において、第四十六条の十五第一項及び第四十六条の十六第二項中「家畜伝染病病原体」とあるのは「届出伝染病等病原体」と、「家畜伝染病の」とあるのは「家畜の伝染性疾病の」と、同条中「取扱施設」とあるのは「届出伝染病等病原体の保管、使用及び滅菌等をする施設」と、同条第一項中「第四十六条の六第一項第二号の」とあるのは「農林水産省令で定める」と読み替えるものとする。
2 届出伝染病等病原体を所持する者(前条第一項第三号の従業者を除く。以下同じ。)には、第四十六条の十七及び第四十六条の十八の規定を準用する。この場合において、第四十六条の十七並びに第四十六条の十八第一項及び第三項中「家畜伝染病病原体」とあるのは「届出伝染病等病原体」と、「による家畜伝染病」とあるのは「による家畜の伝染性疾病」と読み替えるものとする。
(事業所管大臣等に対する要請)
第四十六条の二十一 農林水産大臣は、家畜伝染病病原体又は届出伝染病等病原体(以下「監視伝染病病原体」という。)による家畜の伝染性疾病の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該監視伝染病病原体を取り扱う事業者の事業を所管する大臣に対し、当該事業者による監視伝染病病原体の適切な取扱いを確保するために必要な措置を講ずることを要請することができる。
2 農林水産大臣は、監視伝染病病原体による家畜の伝染性疾病の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、家畜の伝染性疾病に関する試験研究又は検査を行つている機関の職員の派遣その他必要な協力を要請することができる。
(適用除外)
第四十六条の二十二 第四十六条の五から前条までの規定は、次に掲げる病原体については、適用しない。
一 薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第十四条第一項(同法第八十三条第一項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)の規定による承認を受けた医薬品に含有される病原体その他これに準ずる病原体であつて家畜の伝染性疾病を発生させるおそれがほとんどないものとして農林水産省令で定めるもの
二 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第六条第二十項に規定する一種病原体等、同条第二十一項に規定する二種病原体等、同条第二十二項に規定する三種病原体等又は同条第二十三項に規定する四種病原体等(それによる家畜伝染病のまん延により家畜の生産又は健康の維持に重大な影響を及ぼすおそれがある病原体として農林水産省令で定めるものを除く。)に該当する病原体
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 目次の改正規定(「第十二条の四」を「第十二条の七」に、「第三十五条」を「第三十五条の二」に改める部分及び「第六十二条の五」を「第六十二条の六」に改める部分に限る。)、第三条の二の改正規定、第二章に一条を加える改正規定、第二十一条に二項を加える改正規定、第三章に一条を加える改正規定、第五十二条の二を第五十二条の三とし、第五十二条の次に一条を加える改正規定、第五十三条の改正規定、第六十条の次に二条を加える改正規定(第六十条の三に係る部分に限る。)、第六十二条の二の改正規定、第六十二条の三の改正規定、第五章中第六十二条の五を第六十二条の六とする改正規定、第六十二条の四の改正規定及び同条を第六十二条の五とし、第六十二条の三の次に一条を加える改正規定並びに附則第九条第四項、第十二条(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)別表第一家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号)の項の改正規定に限る。)及び第二十条の規定 公布の日
二 目次の改正規定(「第十二条の四」を「第十二条の七」に、「第三十五条」を「第三十五条の二」に改める部分及び「第六十二条の五」を「第六十二条の六」に改める部分を除く。)、第五条第四項の改正規定、第八条の次に一条を加える改正規定、第十二条の三の改正規定、第十二条の四の改正規定、第二章中同条を第十二条の六とし、第十二条の三の次に二条を加える改正規定、第十三条の次に一条を加える改正規定、第二十五条の改正規定、第二十六条の改正規定、第二十八条の改正規定、第四章の章名の改正規定、同章中第四十六条の次に三条を加える改正規定、第六十三条に一号を加える改正規定、第六十四条の改正規定、第六十六条の改正規定、同条を第六十七条とする改正規定、第六十五条の改正規定(第二十八条の二第一項に係る部分を除く。)、第六十五条を第六十六条とし、第六十四条の次に一条を加える改正規定、本則に二条を加える改正規定、第六章を第七章とする改正規定、第五十一条の改正規定、第五十二条の改正規定、第五十六条の改正規定、第六十一条の改正規定及び第五章を第六章とし、第四章の次に一章を加える改正規定並びに次条から附則第四条まで、附則第六条から第八条まで及び附則第十九条の規定 公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日
三 附則第十八条の規定 この法律の公布の日又は民法等の一部を改正する法律(平成二十三年法律第___号)の公布の日のいずれか遅い日
(飼養衛生管理基準に関する経過措置)
第二条 前条第二号に掲げる規定の施行の日(以下「一部施行日」という。)前にこの法律による改正前の家畜伝染病予防法(以下「旧法」という。)第十二条の三の規定により定められ、又は改正された同条第一項に規定する飼養衛生管理基準は、一部施行日から起算して六月を経過する日(その日までにこの法律による改正後の家畜伝染病予防法(以下「新法」という。)第十二条の三の規定により定められ、又は改正されたときは、その定められ、又は改正された日)までの間は、新法第十二条の三の規定により定められ、又は改正された同条第一項に規定する飼養衛生管理基準とみなす。
(勧告及び命令に関する経過措置)
第三条 一部施行日前にされた旧法第十二条の四第一項の規定による勧告及び同条第二項の規定による命令については、なお従前の例による。
(農林水産大臣の指定する症状を呈している家畜の届出に関する経過措置)
第四条 新法第十三条の二第一項及び同条第二項において準用する新法第十三条第一項ただし書の規定は、一部施行日以後に家畜が新法第十三条の二第一項の症状を呈していることを発見した獣医師、当該家畜若しくはその死体の所有者又は運送業者について適用する。
(患畜等の殺処分に関する経過措置)
第五条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に旧法第十七条第一項の規定により都道府県知事が旧法第二条第一項の表十九の項に掲げる豚コレラ又は同表二十三の項に掲げる高病原性鳥インフルエンザの患畜又は疑似患畜の所有者に対してした命令(当該命令に係る期限が施行日以後に到来するものに限る。)は、家畜防疫員がその者に対してした新法第十六条第一項の指示とみなす。
(家畜伝染病病原体の所持に関する経過措置)
第六条 一部施行日において現に新法第四十六条の五第一項に規定する家畜伝染病病原体(新法第四十六条の二十二各号に掲げる病原体を除く。以下この条において「家畜伝染病病原体」という。)を所持している者は、一部施行日から三十日を経過するまでの間(以下この条において「猶予期間」という。)に同項本文の許可の申請をしなかった場合にあっては猶予期間の経過後遅滞なく、猶予期間に申請した当該許可を拒否された場合にあってはその処分後遅滞なく、当該家畜伝染病病原体の滅菌譲渡(新法第四十六条の十一第二項に規定する滅菌譲渡をいう。以下同じ。)をしなければならない。
2 一部施行日において現に家畜伝染病病原体を所持している者は、次に掲げる期間は、新法第四十六条の五第一項本文の規定にかかわらず、同項本文の許可を受けないで、当該家畜伝染病病原体を所持することができる。その者の従業者がその職務上所持する場合及びその者から運搬又は滅菌等(新法第四十六条の十一第一項に規定する滅菌等をいう。以下同じ。)を委託された者(その従業者を含む。)がその委託に係る家畜伝染病病原体を当該運搬又は滅菌等のために所持する場合も、同様とする。
一 猶予期間
二 猶予期間にした新法第四十六条の五第一項本文の許可の申請についての処分があるまでの間
三 前項の規定により滅菌譲渡をするまでの間
3 一部施行日において現に家畜伝染病病原体を所持している者は、新法第四十六条の十一第二項に規定する滅菌譲渡義務者とみなして、新法第四十六条の十の規定を適用する。
4 新法第四十六条の十一第二項及び第四項の規定は、一部施行日において現に家畜伝染病病原体を所持している者が当該家畜伝染病病原体の滅菌譲渡をする場合について準用する。
5 新法第四十六条の十七の規定は、第二項の規定により家畜伝染病病原体を所持する者について準用する。この場合において、同条第一項中「家畜伝染病病原体の」とあるのは、「家畜伝染病予防法の一部を改正する法律(平成二十三年法律第十六号)附則第六条第一項に規定する家畜伝染病病原体(以下この条において「家畜伝染病病原体」という。)の」と読み替えるものとする。
6 一部施行日において現に家畜伝染病病原体を所持している者は、新法第四十六条の十七第一項に規定する許可所持者等とみなして、新法第四十六条の十八の規定を適用する。
第七条 前条第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 前条第四項において準用する新法第四十六条の十一第二項の規定に違反した者
二 前条第四項において準用する新法第四十六条の十一第四項及び前条第五項において準用する新法第四十六条の十七第二項の規定による命令に違反した者
3 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前二項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して当該各項の罰金刑を科する。
(届出伝染病等病原体の所持に関する経過措置)
第八条 一部施行日において現に新法第四十六条の十九第一項に規定する届出伝染病等病原体(新法第四十六条の二十二各号に掲げる病原体を除く。以下この項において「届出伝染病等病原体」という。)を所持している者は、新法第四十六条の十九第一項本文の規定にかかわらず、同項本文の農林水産省令の定めるところにより、一部施行日から七日を経過するまでの間(第一号において「猶予期間」という。)に、当該届出伝染病等病原体の種類その他同項本文の農林水産省令で定める事項を農林水産大臣に届け出なければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 一部施行日において現に届出伝染病等病原体を所持している者(次号から第四号までに規定する者を除く。)が、猶予期間に滅菌譲渡をするまでの間当該届出伝染病等病原体を所持する場合
二 家畜の伝染性疾病の病原体の検査を行っている機関が、一部施行日前にその業務に伴い届出伝染病等病原体を所持することとなった場合において、新法第四十六条の十九第一項第一号の農林水産省令の定めるところにより、一部施行日以後に滅菌譲渡をするまでの間当該届出伝染病等病原体を所持するとき。
三 一部施行日前に届出伝染病等病原体を所持する者から運搬又は滅菌等を委託された者が、一部施行日において現にその委託に係る届出伝染病等病原体を当該運搬又は滅菌等のために所持している場合
四 届出伝染病等病原体を所持する者の従業者が、一部施行日において現にその職務上届出伝染病等病原体を所持している場合
2 前項の規定によりされた届出は、新法第四十六条の十九第一項本文の規定によりされた届出とみなす。
(手当金の交付等に関する経過措置)
第九条 施行日前に旧法第二条第二項に規定する患畜又は疑似患畜となった家畜、旧法第四条の二第三項若しくは第五項、第五条第一項、第六条第一項、第三十一条第一項又は第四十六条第二項若しくは第三項の規定による検査、注射、薬浴又は投薬を行ったため施行日前に死亡した動物又は死産し、若しくは流産した動物の胎児及び旧法第二十三条(同条第一項ただし書の場合を除く。第三項第三号において同じ。)の規定により施行日前に焼却し、又は埋却した物品に係る旧法第五十八条第一項の規定による手当金の交付については、なお従前の例による。
2 新法第五十八条第二項の規定は、新法第十六条の規定により施行日以後に殺された患畜及び疑似患畜並びに新法第二十三条(同条第一項ただし書の場合を除く。)の規定により施行日以後に焼却し、又は埋却した物品について適用する。
3 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる家畜又は物品は、それぞれ当該各号に定める家畜又は物品とみなして、新法第五十八条第二項の規定を適用する。
一 平成二十二年十一月以降において新法第十六条第一項第一号に規定する家畜伝染病に相当する家畜伝染病の患畜となったことにより施行日前に旧法第十六条又は第十七条の規定により殺された家畜 新法第五十八条第二項第一号に規定する患畜
二 平成二十二年十一月以降において新法第十六条第一項第二号に規定する家畜伝染病に相当する家畜伝染病の疑似患畜となったことにより施行日前に旧法第十六条又は第十七条の規定により殺された家畜 新法第五十八条第二項第二号に規定する疑似患畜
三 平成二十二年十一月以降において新法第十六条第一項第一号に規定する家畜伝染病に相当する家畜伝染病の病原体により汚染し、又は汚染したおそれがあるため施行日前に旧法第二十三条の規定により焼却し、又は埋却した物品 新法第五十八条第二項第三号に規定する物品
4 国は、前項の規定により新法第五十八条第二項の規定の適用を受けることとなる家畜又は物品の所有者に対し、施行日前においても、同項の規定の例により、特別手当金を交付することができる。この場合において、同項の規定の例により交付された特別手当金は、同項の規定により交付された特別手当金とみなす。
5 施行日前に旧法第二十一条第一項又は第二十三条第一項の規定により焼却し、又は埋却したニューカッスル病(新法第二条第一項の表二十六の項の農林水産省令で定めるニューカッスル病に相当するもの以外のものに限る。以下この条において同じ。)の患畜若しくは疑似患畜の死体又は物品(ニューカッスル病の病原体により汚染し、又は汚染したおそれがあるものに限る。)に係る旧法第五十九条の規定による費用の負担については、なお従前の例による。
6 施行日前に都道府県知事又は家畜防疫員が旧法を執行するために必要とした費用(ニューカッスル病のまん延を防止するために必要なものに限る。)に係る旧法第六十条第一項の規定による費用の負担については、なお従前の例による。
7 新法第六十条第二項の規定は、施行日以後に都道府県知事が新法第三十二条の規定による移動若しくは移出の禁止若しくは制限、新法第三十三条の規定による催物の開催若しくは事業の停止若しくは制限又は新法第三十四条の規定による放牧、種付、と殺若しくはふ卵の停止若しくは制限をした場合における当該禁止、停止又は制限に起因する家畜、その死体又は物品に係る売上げの減少又は飼料費その他の保管、輸送若しくは処分に要する費用の増加に係る費用の負担について適用する。
(罰則に関する経過措置)
第十条 この法律(附則第一条第二号に掲げる規定については、当該規定)の施行前にした行為及び附則第三条の規定によりなお従前の例によることとされる場合における一部施行日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(検討)
第十一条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(地方自治法の一部改正)
第十二条 地方自治法の一部を次のように改正する。
別表第一家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号)の項中「第三章」の下に「(第二十一条第六項及び第七項を除く。)」を加え、同表口蹄疫対策特別措置法(平成二十二年法律第四十四号)の項中「第四条から第六条まで」を「第五条第一項及び第二項」に改める。
(農業災害補償法の一部改正)
第十三条 農業災害補償法(昭和二十二年法律第百八十五号)の一部を次のように改正する。
第八十四条第一項第三号中「による死亡」の下に「及び家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号)第五十八条第一項(第四号に係る部分に限る。)の規定による手当金、同条第二項の規定による特別手当金又は同法第六十条の二第一項の規定による補償金の交付の原因となる死亡」を加える。
(農業災害補償法の一部改正に伴う経過措置)
第十四条 前条の規定による改正後の農業災害補償法第八十四条第一項第三号の規定は、施行日以後に共済掛金期間の開始する家畜共済について適用し、施行日前に共済掛金期間の開始する家畜共済については、なお従前の例による。
(口蹄疫対策特別措置法の一部改正)
第十五条 口蹄疫対策特別措置法(平成二十二年法律第四十四号)の一部を次のように改正する。
第四条を次のように改める。
第四条 削除
第五条の見出し中「患畜又は疑似患畜」を「家畜」に改め、同条第一項中「ために患畜又は疑似患畜」を「ために患畜、疑似患畜又は家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号。以下「法」という。)第十七条の二第一項の指定家畜(以下この項において「指定家畜」という。)」に、「存する患畜又は疑似患畜」を「存する患畜、疑似患畜又は指定家畜」に、「家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号。以下「法」という。)」を「法」に改め、同条第三項及び第四項中「患畜又は疑似患畜」を「家畜」に改め、同条第五項を次のように改める。
5 第一項の指定は、都道府県知事の申請に基づきするものとする。
第五条に次の三項を加える。
6 農林水産大臣は、前項の規定にかかわらず、口蹄疫のまん延が二以上の都道府県の区域にわたる場合その他必要があると認める場合には、関係都道府県知事の意見を聴いて、第一項の指定をすることができる。
7 農林水産大臣は、第一項の指定をしたときは、その旨を官報で公示しなければならない。
8 前項の規定は、第一項の指定の解除をしたときに準用する。
第六条を次のように改める。
第六条 削除
第七条中「(前条第八項において準用する場合を含む。)又は前条第六項若しくは第七項」を削る。
第八条第一項中「第四条第二項若しくは第四項の規定による消毒に係る措置(当該措置に係る地域の指定が同条第六項の規定により行われた場合に限る。次項において同じ。)、」、「(第六条第八項において準用する場合を含む。次項において同じ。)」及び「焼却若しくは埋却に係る」を削り、「第五条第五項において準用される第四条第六項」を「同条第六項」に改め、「又は第六条第一項の規定による勧告若しくは同条第二項の規定による措置(当該勧告又は措置に係る地域の指定が同条第十四項において準用される第四条第六項の規定により行われた場合に限る。次項において同じ。)」を削り、同条第二項中「、第四条第二項若しくは第四項の規定による消毒に係る措置」、「焼却若しくは埋却に係る」及び「又は第六条第一項の規定による勧告若しくは同条第二項の規定による措置」を削り、同条第四項中「第五条又は第六条」を「第五条第一項又は第二項」に改める。
第十条を次のように改める。
第十条 削除
第十八条第二項を削り、同条第三項中「家畜」を「患畜若しくは疑似患畜」に改め、同項を同条第二項とし、同条第四項を同条第三項とし、同条第五項中「第二十八条」を「第二十八条第一項」に改め、同項を同条第四項とする。
第十九条中「第四条第一項から第三項までの規定による消毒を実施するために要する費用、」、「(第六条第八項において準用する場合を含む。)又は第六条第七項」及び「並びに同条第九項の規定による損失の補てん及び同条第十項の規定による損失の補償を実施するために要する費用並びに同条第十二項の規定による焼却又は埋却を行った者に交付する費用」を削る。
第二十条を次のように改める。
第二十条 削除
第二十六条を次のように改める。
第二十六条 削除
第二十八条中「第四条から第六条まで」を「第五条第一項及び第二項」に改める。
附則第三条の前の見出しを削り、同条を次のように改める。
第三条 削除
附則第四条の前に見出しとして「(経過措置)」を付する。
附則第五条中「前二条」を「前条」に改める。
(口蹄疫対策特別措置法の一部改正に伴う経過措置)
第十六条 施行日前に前条の規定による改正前の口蹄疫対策特別措置法(以下この条において「旧特別措置法」という。)第四条第一項の規定による地域の指定がされた場合における同項から同条第四項までの規定による消毒に係る措置及び当該指定の解除については、なお従前の例による。
2 施行日前に旧特別措置法第六条第一項の規定による地域の指定がされた場合における同項の規定による勧告及び当該指定の解除については、なお従前の例による。
3 施行日前にされた旧特別措置法第六条第一項の規定による勧告(施行日以後に前項の規定によりなお従前の例によりされた勧告を含む。)に係る同条第二項の規定による措置、同条第五項の規定による指示及び同条第六項又は第七項の規定による焼却又は埋却については、なお従前の例による。
4 前項の勧告に従って家畜を殺したことに伴う旧特別措置法第六条第九項の規定による損失の補填及び施行日前に同条第二項の規定により家畜を殺され、又は施行日以後に前項の規定によりなお従前の例により家畜を殺されたことに伴う同条第十項の規定による損失の補償については、なお従前の例による。
5 施行日前にされた旧特別措置法第六条第六項の規定による焼却又は埋却(施行日以後に第三項の規定によりなお従前の例によりされた焼却又は埋却を含む。)に係る同条第十二項の規定による費用の交付については、なお従前の例による。
6 施行日前に都道府県知事又は家畜防疫員が旧特別措置法第四条第一項から第三項までの規定による消毒(施行日以後に第一項の規定によりなお従前の例によりされた消毒を含む。)を実施するために要した費用、旧特別措置法第六条第七項又は同条第八項において準用する旧特別措置法第五条第二項の規定による焼却又は埋却(施行日以後に第三項の規定によりなお従前の例によりされた焼却又は埋却を含む。)を実施するために要した費用並びに旧特別措置法第六条第九項の規定による損失の補填及び同条第十項の規定による損失の補償(施行日以後に第四項の規定によりなお従前の例によりされた損失の補填及び損失の補償を含む。)を実施するために要した費用並びに同条第十二項の規定による焼却又は埋却を行った者に交付した費用(施行日以後に前項の規定によりなお従前の例により交付された費用を含む。)に係る旧特別措置法第十九条の規定による費用の負担については、なお従前の例による。
(平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律の一部改正)
第十七条 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律(平成二十二年法律第五十号)の一部を次のように改正する。
第一条第一項中「限る。)、」の下に「家畜伝染病予防法の一部を改正する法律(平成二十三年法律第十六号)附則第十六条第四項の規定によりなお従前の例によることとされる同法附則第十五条の規定による改正前の」を加え、「補てん金」を「補填金」に改める。
(民法等の一部を改正する法律の一部改正)
第十八条 民法等の一部を改正する法律の一部を次のように改正する。
附則第一条第二号中「の施行」を「附則第一条第二号に掲げる規定の施行」に改める。
(農林水産省設置法の一部改正)
第十九条 農林水産省設置法(平成十一年法律第九十八号)の一部を次のように改正する。
第十一条第一項第一号中「輸出入動物その他の物に対する」を削り、「輸出入検査及びこれに基づく処置」を「輸出入動物その他の物に対する輸出入検査その他の措置」に改める。
(政令への委任)
第二十条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
総務大臣 片山善博
財務大臣 野田佳彦
農林水産大臣 鹿野道彦
環境大臣 松本龍
内閣総理大臣 菅直人