(支給対象犯罪行為の範囲を定める処分等)
第三十五条 検察官は、外国譲与財産により被害回復給付金を支給しようとするときは、支給対象犯罪行為の範囲を定めなければならない。
2 前項に規定する支給対象犯罪行為の範囲は、同項の外国譲与財産に係る第二条第五号の対象犯罪行為及びこれと一連の犯行として行われた対象犯罪行為について、その罪の種類、時期及び態様、これを実行した者、外国犯罪被害財産等の形成の経緯その他の事情を考慮して定めるものとする。
3 検察官は、前二項の規定により支給対象犯罪行為の範囲を二以上に区分して定めたときは、その範囲ごとに、第一項の外国譲与財産(一の外国譲与財産が異なる支給対象犯罪行為の範囲に属する対象犯罪行為によりその被害を受けた者から得た財産又は当該財産の保有若しくは処分に基づき得た財産から形成されたものであって額又は数量により区分することができないものである場合においては、当該外国譲与財産の換価又は取立てにより得られる金銭の価額)を区分するものとする。
(外国譲与財産の処分)
第三十六条 検察官は、外国譲与財産が金銭以外の財産であるときは、その換価又は取立てをしなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、外国譲与財産の価額が著しく低い場合において、当該外国譲与財産の売却につき買受人がないとき、又は売却しても買受人がないことが明らかであるときは、これを廃棄することができる。
(外国譲与財産支給手続の開始)
第三十七条 検察官は、第三十五条第一項の規定により支給対象犯罪行為の範囲を定めた場合において、同項の外国譲与財産について、これを給付資金として保管するに至ったときは、遅滞なく、当該給付資金から被害回復給付金を支給するための手続(以下「外国譲与財産支給手続」という。)を開始する旨の決定をするものとする。ただし、その時点における給付資金をもっては外国譲与財産支給手続に要する費用等を支弁するのに不足すると認めるとき、その他その時点においては外国譲与財産支給手続を開始することが相当でないと認めるときは、この限りでない。
2 検察官は、外国から外国犯罪被害財産等又はその換価若しくは取立てにより得られた金銭の譲与を受けるため特に必要があると認めるときは、前項本文の規定にかかわらず、これを給付資金として保管する前に、外国譲与財産支給手続を開始する旨の決定をすることができる。
3 前二項の決定は、第三十五条第三項に規定する場合にあっては、支給対象犯罪行為の範囲ごとにするものとする。
4 検察官は、二以上の外国譲与財産について第三十五条第一項の規定により定められた支給対象犯罪行為の範囲が同一であるときは、これらの外国譲与財産(既に外国譲与財産支給手続が開始されているものを除く。)を同一の外国譲与財産とみなして、第一項又は第二項の決定をすることができる。
5 検察官は、外国譲与財産について第三十五条第一項の規定により定められた支給対象犯罪行為の範囲と犯罪被害財産の没収又はその価額の追徴の裁判について第五条第一項の規定により定められた支給対象犯罪行為の範囲とが同一であるときは、これらの外国譲与財産(既に外国譲与財産支給手続が開始されているものを除く。)及び犯罪被害財産又はその価額(既に犯罪被害財産支給手続が開始されているものを除く。)を同一の外国譲与財産とみなして、第一項又は第二項の決定をすることができる。
(外国譲与財産支給手続の不開始)
第三十八条 検察官は、外国譲与財産支給手続に要する費用等を支弁するのに足りる給付資金を保管することとなる見込みがないと認めるときは、外国譲与財産支給手続を開始しない旨の決定をするものとする。
2 検察官は、前項の決定をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。
(準用)
第三十九条 前節(第五条、第六条及び第八条を除く。)の規定は、外国譲与財産支給手続について準用する。この場合において、第七条第一項中「前条第二項」とあるのは「第三十七条第二項」と、第十条第一項及び第二十条中「第五条第一項」とあるのは「第三十五条第一項」と、第十四条第一項及び第二十一条第一項第一号ロ中「第六条第二項」とあるのは「第三十七条第二項」と、第十四条第一項中「犯罪被害財産又はその価額」とあるのは「外国譲与財産」と、第二十一条第一項第一号イ中「第六条第一項」とあるのは「第三十七条第一項」と、第二十四条第二項中「除く。)」とあるのは「除く。)及び外国譲与財産に係る外国の法令による裁判又は命令その他の処分に関する記録」と、第三十四条第一項中「第八条第一項」とあるのは「第三十八条第一項」と読み替えるものとする。