(目的)
第一条 この法律は、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等を計画的かつ着実に推進するため、環境大臣が策定する基本方針等について定めるとともに、都道府県等が実施する特定支障除去等事業に関する特別の措置を講じ、もって国民の健康の保護及び生活環境の保全を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「特定産業廃棄物」とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)第二条第四項に規定する産業廃棄物であって、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成九年法律第八十五号)の施行(同法附則第一条第一号の規定による施行をいう。)前に廃棄物処理法第十二条第一項に規定する産業廃棄物処理基準又は廃棄物処理法第十二条の二第一項に規定する特別管理産業廃棄物処理基準に適合しない処分が行われたものをいう。
2 この法律において「支障の除去等」とは、特定産業廃棄物に起因する生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止をいう。
3 この法律において「支障除去等事業」とは、都道府県又は保健所を設置する市(以下「都道府県等」という。)が行う廃棄物処理法第十九条の八第一項の規定による支障の除去等の措置に係る事業をいう。
4 この法律において「特定支障除去等事業」とは、支障除去等事業のうち、第四条に規定する実施計画に基づいて行われるものをいう。
(基本方針)
第三条 環境大臣は、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等を平成二十四年度までの間に計画的かつ着実に推進するための基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 特定産業廃棄物に起因する支障の除去等の推進に関する基本的な方向
二 特定支障除去等事業その他の特定産業廃棄物に起因する支障の除去等の内容に関する事項
三 その他特定産業廃棄物に起因する支障の除去等の推進に際し配慮すべき重要事項
3 環境大臣は、基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
4 環境大臣は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。
(実施計画)
第四条 都道府県等は、基本方針に即して、当該都道府県等の区域(都道府県にあっては、当該都道府県の区域内にある保健所を設置する市の区域を除く。以下同じ。)内における特定産業廃棄物に起因する支障の除去等の実施に関する計画(以下「実施計画」という。)を定めることができる。
2 実施計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 当該都道府県等の区域内において特定産業廃棄物に起因する支障の除去等を講ずる必要があると認められる事案
二 前号に掲げる事案に係る特定産業廃棄物の処理の方法その他の支障除去等事業の内容に関する事項
三 第一号に掲げる事案について、特定産業廃棄物の処分を行った者等(廃棄物処理法第十九条の五第一項に規定する処分者等及び廃棄物処理法第十九条の六第一項に規定する排出事業者等をいう。以下同じ。)に対し都道府県等が講じた措置及び講じようとする措置の内容
四 その他特定産業廃棄物に起因する支障の除去等の実施に際し配慮すべき重要事項
3 都道府県等は、実施計画を定めるに当たっては、特定産業廃棄物の処分を行った者等の責任を明確化するよう配慮しなければならない。
4 都道府県等は、実施計画を定めようとするときは、あらかじめ、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第四十三条又は第四十四条の規定により置かれる審議会その他の合議制の機関及び関係市町村の意見を聴くとともに、環境大臣に協議し、その同意を得なければならない。
5 環境大臣は、前項の同意をしようとするときは、総務大臣に協議しなければならない。
6 都道府県等は、実施計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
7 第三項から前項までの規定は、実施計画の変更について準用する。
(国庫補助等)
第五条 国は、廃棄物処理法第十三条の十二に規定する適正処理推進センターが、廃棄物処理法第十三条の十三第五号に掲げる業務であって特定支障除去等事業に係るものを行う場合においては、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、当該業務に係る廃棄物処理法第十三条の十五第一項に規定する基金に充てる資金を補助することができる。
2 国は、前項に規定するもののほか、都道府県等が特定支障除去等事業を実施しようとするときは、当該特定支障除去等事業が円滑に実施されるように必要な助言、指導その他の援助の実施に努めるものとする。
(起債の特例)
第六条 特定支障除去等事業につき都道府県等が必要とする経費については、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条各号に規定する経費に該当しないものについても、地方債をもってその財源とすることができる。