公職選挙法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第122号
公布年月日: 平成11年8月13日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

本法案は主に3つの改正を提案している。第一に、政治への国民の信頼向上のため、公職在任中の収賄罪等で実刑に処せられた者について、刑期満了後の被選挙権停止期間を現行の5年から10年に延長する。第二に、遠洋区域を航行する船舶乗組員の投票機会を確保するため、衆参両院選挙においてファクシミリによる洋上投票を可能とする。第三に、選挙の公正を確保するため、選挙期間前に掲示された政治活動用ポスターについて、その掲示者が候補者となった場合は当日中の撤去を義務付け、選挙管理委員会に撤去権限を付与する。

参照した発言:
第145回国会 衆議院 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号

審議経過

第145回国会

衆議院
(平成11年7月29日)
参議院
(平成11年8月9日)
公職選挙法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十一年八月十三日
内閣総理大臣 小渕恵三
法律第百二十二号
公職選挙法の一部を改正する法律
公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の一部を次のように改正する。
目次中「第九条―第十一条」を「第九条―第十一条の二」に、「第十一条 (選挙権及び被選挙権を有しない者)」を
第十一条 (選挙権及び被選挙権を有しない者)
第十一条の二 (被選挙権を有しない者)
に、「第二百一条の五―第二百一条の十四」を「第二百一条の五―第二百一条の十五」に、「第二百一条の十四 (政党その他の政治団体の機関紙誌)」を
第二百一条の十四 (選挙運動の期間前に掲示されたポスターの撤去)
第二百一条の十五 (政党その他の政治団体の機関紙誌)
に改める。
第二章中第十一条の次に次の一条を加える。
(被選挙権を有しない者)
第十一条の二 公職にある間に犯した前条第一項第四号に規定する罪により刑に処せられ、その執行を終わり又はその執行の免除を受けた者でその執行を終わり又はその執行の免除を受けた日から五年を経過したものは、当該五年を経過した日から五年間、被選挙権を有しない。
第四十九条に次の一項を加える。
3 選挙人で船舶安全法(昭和八年法律第十一号)にいう遠洋区域を航行区域とする船舶その他これに準ずるものとして自治省令で定める船舶に乗つて本邦以外の区域を航海する船員(船員法(昭和二十二年法律第百号)第一条((船員))に規定する船員をいう。)であるもののうち選挙の当日第一項第一号に掲げる事由に該当すると見込まれるものの衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙における投票については、同項の規定によるほか、政令で定めるところにより、第四十二条第一項ただし書、第四十四条、第四十五条、第四十六条第一項から第三項まで、前条及び第五十条の規定にかかわらず、不在者投票管理者の管理する場所において、自治省令で定める投票送信用紙に投票の記載をし、これを自治省令で指定する市町村の選挙管理委員会の委員長にファクシミリ装置を用いて送信する方法により、行わせることができる。
第八十六条の八第一項中「第十一条((選挙権及び被選挙権を有しない者))第一項」の下に「、第十一条の二((被選挙権を有しない者))」を加える。
第十四章の三中第二百一条の十四を第二百一条の十五とし、第二百一条の十三の次に次の一条を加える。
(選挙運動の期間前に掲示されたポスターの撤去)
第二百一条の十四 衆議院議員、参議院議員、都道府県の議会の議員、都道府県知事、指定都市の議会の議員又は市長の選挙については、当該選挙の期日の公示又は告示の前に政党その他の政治活動を行う団体がその政治活動のために使用するポスターを掲示した者は、当該ポスターにその氏名又はその氏名が類推されるような事項を記載された者が当該選挙において候補者となつたときは、当該候補者となつた日のうちに、当該選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)において、当該ポスターを撤去しなければならない。
2 都道府県又は市町村の選挙管理委員会は、前項の規定に違反して撤去しないポスターがあると認めるときは、撤去させることができる。この場合において、都道府県又は市町村の選挙管理委員会は、あらかじめ、その旨を当該警察署長に通報するものとする。
第二百三十五条の二第一号中「第二百一条の十四((政党その他の政治団体の機関紙誌))第一項」を「第二百一条の十五((政党その他の政治団体の機関紙誌))第一項」に改め、同条第二号中「第二百一条の十四」を「第二百一条の十五」に改める。
第二百五十二条の三第一項中「第二百一条の十四((政党その他の政治団体の機関紙誌))第一項」を「第二百一条の十五((政党その他の政治団体の機関紙誌))第一項」に改め、同条第二項第三号中「第二百一条の十一第十一項」の下に「又は第二百一条の十四((選挙運動の期間前に掲示されたポスターの撤去))第二項」を加える。
第二百五十五条に次の一項を加える。
3 第四十九条第三項の規定による投票については、船舶において投票を管理すべき者及び投票を受信すべき市町村の選挙管理委員会の委員長は投票管理者と、投票の記載をし、これを送信すべき場所及び投票を受信すべき場所は投票所と、投票を受信すべきファクシミリ装置は投票箱と、船舶において投票に立ち会うべき者は投票立会人と、選挙人が指示する公職の候補者一人の氏名、一の衆議院名簿届出政党等の名称若しくは略称又は一の参議院名簿届出政党等の名称若しくは略称を記載すべきものと定められた者は第四十八条第二項の規定により公職の候補者の氏名、衆議院名簿届出政党等の名称若しくは略称又は参議院名簿届出政党等の名称若しくは略称を記載すべきものと定められた者とみなして、この章の規定を適用する。
第二百六十三条第四号中「並びに同条第二項」を「、同条第二項」に改め、「郵送に要する費用」の下に「並びに同条第三項の規定により行われる送信に要する費用」を加える。
第二百六十九条の二中「取扱い」の下に「(国外にある船舶におけるものを除く。)」を加える。
第二百七十条第二項中「前項の規定にかかわらず」の下に「、第四十九条((不在者投票))第一項若しくは第三項の規定による投票に関し国外においてする行為」を加える。
第二百七十条の二第一項中「第四十九条((不在者投票))第一項」の下に「又は第三項」を加え、「及び」を「(国外においてするものを除く。次項において同じ。)及び」に改め、同条第二項中「第四十九条第一項」の下に「又は第三項」を加える。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。ただし、第四十九条に一項を加える改正規定、第二百五十五条に一項を加える改正規定並びに第二百六十三条第四号、第二百六十九条の二、第二百七十条第二項及び第二百七十条の二の改正規定並びに次条第二項、附則第四条中漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第九十四条第一項の表以外部分の改正規定、附則第六条及び附則第七条中農業委員会等に関する法律(昭和二十六年法律第八十八号)第十一条の表以外の部分の改正規定(「第四十六条の二」の下に「、第四十九条第三項」を、「第二百五十二条の三」の下に「、第二百五十五条第三項」を加える部分に限る。)は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(適用区分)
第二条 この法律による改正後の公職選挙法(以下「新法」という。)第十一条の二及び第八十六条の八第一項の規定(他の法律において準用する場合を含む。)は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後にした行為により刑に処せられた者について適用し、施行日前にした行為により刑に処せられた者については、なお従前の例による。
2 新法第四十九条第三項、第二百五十五条第三項及び第二百六十三条第四号の規定並びに附則第六条の規定による改正後の国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律(昭和二十五年法律第百七十九号)の規定は、前条ただし書に規定する規定の施行の日以後初めてその期日を公示される衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙から適用し、同日の前日までにその期日を公示された衆議院議員の総選挙及び参議院議員の通常選挙については、なお従前の例による。
3 新法第二百一条の十四の規定は、施行日以後その期日を公示され又は告示される選挙について適用する。
(地方自治法の一部改正)
第三条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
第百二十七条第一項及び第百四十三条第一項中「若しくは同法第二百五十二条」を「、第十一条の二若しくは第二百五十二条」に改める。
第百六十四条第一項中「第十一条第一項」の下に「又は第十一条の二」を加える。
(漁業法の一部改正)
第四条 漁業法の一部を次のように改正する。
第八十七条中第三項を第四項とし、第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。
2 公職選挙法第三条(公職の定義)に規定する公職にある間に犯した同法第十一条第一項第四号に規定する罪により刑に処せられ、その執行を終わり又はその執行の免除を受けた者でその執行を終わり又はその執行の免除を受けた日から五年を経過したものは、当該五年を経過した日から五年間、被選挙権を有しない。
第九十一条第二号中「第八十七条第二項若しくは第三項」を「第八十七条第三項若しくは第四項」に改める。
第九十四条第一項の表以外の部分中「第四十六条の二」の下に「、第四十九条第三項」を、「第二百五十二条の三」の下に「、第二百五十五条第三項」を加え、同項の表第八十六条の八第一項の項中「第十一条第一項」の下に「、第十一条の二」を、「第八十七条第一項第二号」の下に「若しくは第二項」を加え、同表第九十条の項及び第九十一条第二項の項中「第八十七条第二項又は第三項」を「第八十七条第三項又は第四項」に改め、同表第百三十五条第一項の項中「第八十七条第二項」を「第八十七条第三項」に改め、同表第百三十六条の項中「第八十七条第三項」を「第八十七条第四項」に改める。
第九十七条第一項中「第八十七条第一項第二号」の下に「若しくは第二項」を加え、「除く外」を「除くほか」に改める。
(漁業法の一部改正に伴う経過措置)
第五条 前条の規定による改正後の漁業法の規定は、施行日以後にした行為により刑に処せられた者について適用し、施行日前にした行為により刑に処せられた者については、なお従前の例による。
(国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部改正)
第六条 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を次のように改正する。
第十三条中第十一項を第十二項とし、第十項の次に次の一項を加える。
11 市区町村の選挙管理委員会が公職選挙法第四十九条第三項の規定による事務を行う場合には、当該事務に要する経費として自治大臣が定める額を加算する。
第十三条の二第一項中「次項及び」及び「(指定船舶における不在者投票を除く。)」を削り、同条第二項を次のように改める。
2 公職選挙法第四十九条第三項の規定により不在者投票管理者の管理する場所において行われる不在者投票に要する経費の額は、同項の規定により市区町村の選挙管理委員会の委員長に投票をファクシミリ装置を用いて送信するために要する通信料とする。
(農業委員会等に関する法律の一部改正)
第七条 農業委員会等に関する法律の一部を次のように改正する。
第十一条の表以外の部分中「(選挙権及び被選挙権を有しない者)」の下に「、第十一条の二(被選挙権を有しない者)」を、「第四十六条の二」の下に「、第四十九条第三項」を、「第二百五十二条の三」の下に「、第二百五十五条第三項」を加え、同条の表第十一条第二項の項の次に次のように加える。
第十一条の二
前条第一項第四号
農業委員会等に関する法律第十一条において準用する前条第一項第四号
第十一条の表第八十六条の八第一項の項中「第十一条((選挙権及び被選挙権を有しない者))第一項」の下に「、第十一条の二((被選挙権を有しない者))」を加える。
第十三条中「若しくは同法第二百五十二条」を「、第十一条の二若しくは第二百五十二条」に、「公職選挙法第十一条又は」を「公職選挙法第十一条、第十一条の二又は」に改める。
(地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の一部改正)
第八条 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成十一年法律第八十七号)の一部を次のように改正する。
第一条のうち地方自治法別表第一及び別表第二の改正規定のうち同法別表第一公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の項第二号中「第二百一条の十一第十一項」の下に「及び第二百一条の十四第二項」を加え、同項第五号中「及び第二百一条の十一第十一項」を「並びに第二百一条の十一第十一項及び第二百一条の十四第二項」に改め、地方自治法別表第二公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の項第二号中「及び第二百一条の十一第十一項」を「並びに第二百一条の十一第十一項及び第二百一条の十四第二項」に改める。
第四百六十条のうち公職選挙法第十七章中第二百七十四条の次に一条を加える改正規定のうち同法第二百七十五条第一項第二号中「第二百一条の十一第十一項」の下に「及び第二百一条の十四((選挙運動の期間前に掲示されたポスターの撤去))第二項」を加え、同項第五号中「及び第二百一条の十一第十一項」を「並びに第二百一条の十一第十一項及び第二百一条の十四第二項」に改め、同条第二項第二号中「及び第二百一条の十一第十一項」を「並びに第二百一条の十一第十一項及び第二百一条の十四第二項」に改める。
農林水産大臣 中川昭一
自治大臣 野田毅
内閣総理大臣 小渕恵三