特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律
法令番号: 法律第86号
公布年月日: 平成11年7月13日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

現代社会では数万種類の化学物質が使用され、毎年約300種類の新規化学物質が開発される中、テトラクロロエチレンやダイオキシン類など有害性のある物質への社会的関心が高まっている。このため、従来の規制的手法に加え、化学物質管理の改善促進と環境保全推進のための新制度導入が必要となっている。また、化学物質管理の改善による環境保全上の支障の未然防止は、OECD勧告等にみられるように国際的な共通認識となっており、主要先進国でも実施されつつある。そこで国際協調の観点からも、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善を促進する本法案を提案するものである。

参照した発言:
第145回国会 衆議院 本会議 第20号

審議経過

第145回国会

衆議院
(平成11年3月30日)
(平成11年4月27日)
(平成11年5月14日)
(平成11年5月18日)
(平成11年5月19日)
(平成11年5月21日)
(平成11年5月21日)
参議院
(平成11年5月26日)
(平成11年5月27日)
(平成11年6月8日)
(平成11年6月10日)
(平成11年6月29日)
(平成11年7月6日)
(平成11年7月7日)
特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十一年七月十三日
内閣総理大臣 小渕恵三
法律第八十六号
特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律
目次
第一章
総則(第一条―第四条)
第二章
第一種指定化学物質の排出量等の把握等(第五条―第十三条)
第三章
指定化学物質等取扱事業者による情報の提供等(第十四条―第十六条)
第四章
雑則(第十七条―第二十三条)
第五章
罰則(第二十四条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、環境の保全に係る化学物質の管理に関する国際的協調の動向に配慮しつつ、化学物質に関する科学的知見及び化学物質の製造、使用その他の取扱いに関する状況を踏まえ、事業者及び国民の理解の下に、特定の化学物質の環境への排出量等の把握に関する措置並びに事業者による特定の化学物質の性状及び取扱いに関する情報の提供に関する措置等を講ずることにより、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的とする。
(定義等)
第二条 この法律において「化学物質」とは、元素及び化合物(それぞれ放射性物質を除く。)をいう。
2 この法律において「第一種指定化学物質」とは、次の各号のいずれかに該当し、かつ、その有する物理的化学的性状、その製造、輸入、使用又は生成の状況等からみて、相当広範な地域の環境において当該化学物質が継続して存すると認められる化学物質で政令で定めるものをいう。
一 当該化学物質が人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれがあるものであること。
二 当該化学物質が前号に該当しない場合には、当該化学物質の自然的作用による化学的変化により容易に生成する化学物質が同号に該当するものであること。
三 当該化学物質がオゾン層を破壊し、太陽紫外放射の地表に到達する量を増加させることにより人の健康を損なうおそれがあるものであること。
3 この法律において「第二種指定化学物質」とは、前項各号のいずれかに該当し、かつ、その有する物理的化学的性状からみて、その製造量、輸入量又は使用量の増加等により、相当広範な地域の環境において当該化学物質が継続して存することとなることが見込まれる化学物質(第一種指定化学物質を除く。)で政令で定めるものをいう。
4 前二項の政令は、環境の保全に係る化学物質の管理についての国際的動向、化学物質に関する科学的知見、化学物質の製造、使用その他の取扱いに関する状況等を踏まえ、化学物質による環境の汚染により生ずる人の健康に係る被害並びに動植物の生息及び生育への支障が未然に防止されることとなるよう十分配慮して定めるものとする。
5 この法律において「第一種指定化学物質等取扱事業者」とは、次の各号のいずれかに該当する事業者のうち、政令で定める業種に属する事業を営むものであって当該事業者による第一種指定化学物質の取扱量等を勘案して政令で定める要件に該当するものをいう。
一 第一種指定化学物質の製造の事業を営む者、業として第一種指定化学物質又は第一種指定化学物質を含有する製品であって政令で定める要件に該当するもの(以下「第一種指定化学物質等」という。)を使用する者その他業として第一種指定化学物質等を取り扱う者
二 前号に掲げる者以外の者であって、事業活動に伴って付随的に第一種指定化学物質を生成させ、又は排出することが見込まれる者
6 この法律において「指定化学物質等取扱事業者」とは、前項各号のいずれかに該当する事業者及び第二種指定化学物質の製造の事業を営む者、業として第二種指定化学物質又は第二種指定化学物質を含有する製品であって政令で定める要件に該当するもの(以下「第二種指定化学物質等」という。)を使用する者その他業として第二種指定化学物質等を取り扱う者をいう。
7 この法律において「電子情報処理組織」とは、主務大臣又は都道府県知事の指定する電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と、第五条第二項の規定による届出をしようとする者又は第六条第一項若しくは第八項若しくは第十条第一項の規定による請求をしようとする者の使用に係る入出力装置とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。
(化学物質管理指針)
第三条 主務大臣は、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止するため、化学物質の物理的化学的性状についての科学的知見及び化学物質の製造、使用その他の取扱い等に関する技術の動向を勘案し、指定化学物質等取扱事業者が講ずべき第一種指定化学物質等及び第二種指定化学物質等(以下「指定化学物質等」という。)の管理に係る措置に関する指針(以下「化学物質管理指針」という。)を定めるものとする。
2 化学物質管理指針においては、次の事項を定めるものとする。
一 指定化学物質等の製造、使用その他の取扱いに係る設備の改善その他の指定化学物質等の管理の方法に関する事項
二 指定化学物質等の製造の過程におけるその回収、再利用その他の指定化学物質等の使用の合理化に関する事項
三 指定化学物質等の管理の方法及び使用の合理化並びに第一種指定化学物質の排出の状況に関する国民の理解の増進に関する事項
四 指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の活用に関する事項
3 主務大臣は、化学物質管理指針を定め、又は変更しようとするときは、関係行政機関の長に協議するものとする。
4 主務大臣は、化学物質管理指針を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
(事業者の責務)
第四条 指定化学物質等取扱事業者は、第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質が人の健康を損なうおそれがあるものであること等第二条第二項各号のいずれかに該当するものであることを認識し、かつ、化学物質管理指針に留意して、指定化学物質等の製造、使用その他の取扱い等に係る管理を行うとともに、その管理の状況に関する国民の理解を深めるよう努めなければならない。
第二章 第一種指定化学物質の排出量等の把握等
(排出量等の把握及び届出)
第五条 第一種指定化学物質等取扱事業者は、その事業活動に伴う第一種指定化学物質の排出量(第一種指定化学物質等の製造、使用その他の取扱いの過程において変動する当該第一種指定化学物質の量に基づき算出する方法その他の主務省令で定める方法により当該事業所において環境に排出される第一種指定化学物質の量として算出する量をいう。次項及び第九条第一項において同じ。)及び移動量(その事業活動に係る廃棄物の処理を当該事業所の外において行うことに伴い当該事業所の外に移動する第一種指定化学物質の量として主務省令で定める方法により算出する量をいう。次項において同じ。)を主務省令で定めるところにより把握しなければならない。
2 第一種指定化学物質等取扱事業者は、主務省令で定めるところにより、第一種指定化学物質及び事業所ごとに、毎年度、前項の規定により把握される前年度の第一種指定化学物質の排出量及び移動量に関し主務省令で定める事項を主務大臣に届け出なければならない。
3 前項の規定による届出(次条第一項の請求に係る第一種指定化学物質に係るものを除く。)は、当該届出に係る事業所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して行わなければならない。この場合において、当該都道府県知事は、当該届出に係る事項に関し意見を付すことができる。
(対応化学物質分類名への変更)
第六条 第一種指定化学物質等取扱事業者は、前条第二項の規定による届出に係る第一種指定化学物質の使用その他の取扱いに関する情報が秘密として管理されている生産方法その他の事業活動に有用な技術上の情報であって公然と知られていないものに該当するものであるとして、当該第一種指定化学物質の名称に代えて、当該第一種指定化学物質の属する分類のうち主務省令で定める分類の名称(以下「対応化学物質分類名」という。)をもって次条第一項の規定による通知を行うよう主務大臣に請求を行うことができる。
2 第一種指定化学物質等取扱事業者は、前項の請求を行うときは、前条第二項の規定による届出と併せて、主務省令で定めるところにより、その理由を付して行わなければならない。
3 主務大臣は、第一項の請求があったときは、遅滞なく、前条第二項の規定による届出に係る事項のうち当該請求に係る第一種指定化学物質に係るものについて、当該第一種指定化学物質の名称に代えて、対応化学物質分類名をもって当該第一種指定化学物質に係る事業所の所在地を管轄する都道府県知事(以下「関係都道府県知事」という。)に通知しなければならない。
4 主務大臣は、第一項の請求を認める場合には、その旨の決定をし、当該請求を行った第一種指定化学物質等取扱事業者に対し、その旨を通知するものとする。
5 主務大臣は、第一項の請求を認めない場合には、その旨の決定をし、当該決定後直ちに、当該請求を行った第一種指定化学物質等取扱事業者に対し、その旨及びその理由を通知するものとする。
6 前二項の決定は、第一項の請求があった日から三十日以内にするものとする。
7 前項の規定にかかわらず、主務大臣は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、同項の期間を三十日以内に限り延長することができる。
8 第一種指定化学物質等取扱事業者は、毎年度、当該年度の前年度以前の各年度において第八条第一項の規定によりファイルに記録された対応化学物質分類名を維持する必要があるときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣にその旨の請求を行わなければならない。
9 第四項から第七項までの規定は、前項の請求について準用する。この場合において、第四項から第六項までの規定中「第一項」とあるのは、「第八項」と読み替えるものとする。
(届出事項の通知等)
第七条 主務大臣は、第五条第二項の規定による届出があったときは、遅滞なく、当該届出に係る事項を環境庁長官及び通商産業大臣に通知するものとする。ただし、当該届出に係る事項のうち第一種指定化学物質の名称について前条第一項の請求があったときは、当該第一種指定化学物質の名称については、対応化学物質分類名をもって通知するものとする。
2 主務大臣は、前条第五項(同条第九項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の決定をしたときは、当該決定に係る第一種指定化学物質の名称を環境庁長官及び通商産業大臣並びに当該決定に係る関係都道府県知事に通知するものとする。この場合において、当該通知は、同条第五項の規定による第一種指定化学物質等取扱事業者への通知の日から二週間を経過した日以後速やかに行うものとする。
3 主務大臣は、毎年度、当該年度の前年度以前の各年度において前条第四項(同条第九項において準用する場合を含む。)の決定をした場合であって、当該年度において同条第八項の請求がないときは、当該決定に係る第一種指定化学物質の名称を環境庁長官及び通商産業大臣並びに当該決定に係る関係都道府県知事に通知するものとする。
4 環境庁長官は、必要があると認めるときは、主務大臣に対し、第一項ただし書の規定による通知に係る第一種指定化学物質に関し第五条第二項の規定により届け出られた事項について説明を求めることができる。
5 関係都道府県知事は、必要があると認めるときは、主務大臣に対し、主務省令で定めるところにより、当該都道府県知事の管轄する区域に係る前条第三項の規定による通知に係る第一種指定化学物質に関し第五条第二項の規定により届け出られた事項について説明を求めることができる。
(届出事項の集計等)
第八条 環境庁長官及び通商産業大臣は、前条第一項から第三項までの規定により通知された事項について、総理府令、通商産業省令で定めるところにより電子計算機に備えられたファイルに記録するものとする。
2 環境庁長官及び通商産業大臣は、前項の規定による記録をしたときは、総理府令、通商産業省令で定めるところにより、遅滞なく、同項のファイルに記録された事項(以下「ファイル記録事項」という。)のうち、主務大臣が所管する事業を行う事業所に係るものを当該主務大臣に、その管轄する都道府県の区域に所在する事業所に係るものを都道府県知事に、それぞれ通知するものとする。
3 環境庁長官及び通商産業大臣は、総理府令、通商産業省令で定めるところにより、遅滞なく、ファイル記録事項を集計するものとする。
4 環境庁長官及び通商産業大臣は、遅滞なく、前項の規定により集計した結果を主務大臣及び都道府県知事に通知するとともに、公表するものとする。
5 主務大臣及び都道府県知事は、第二項の規定による通知があったときは、当該通知に係る事項について集計するとともに、その結果を公表することができる。
(届け出られた排出量以外の排出量の算出等)
第九条 環境庁長官及び通商産業大臣は、関係行政機関の協力を得て、第一種指定化学物質等取扱事業者以外の事業者の事業活動に伴う第一種指定化学物質の排出量その他第五条第二項の規定により届け出られた第一種指定化学物質の排出量以外の環境に排出されていると見込まれる第一種指定化学物質の量を総理府令、通商産業省令で定める事項ごとに算出するものとする。
2 環境庁長官及び通商産業大臣は、前項の規定により算出された結果を総理府令、通商産業省令で定めるところにより集計し、その結果を前条第四項の集計した結果と併せて公表するものとする。
(開示請求権)
第十条 何人も、第八条第四項の規定による公表があったときは、当該公表があった日以後、主務大臣に対し、当該公表に係る集計結果に集計されているファイル記録事項であって当該主務大臣が保有するものの開示の請求を行うことができる。
2 前項の請求(以下「開示請求」という。)は、次の事項を明らかにして行わなければならない。
一 開示請求をする者の氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人その他の団体にあっては代表者の氏名
二 事業所の名称、所在地その他の開示請求に係る事業所を特定するに足りる事項
(排出量等の開示義務)
第十一条 主務大臣は、開示請求があったときは、当該開示請求をした者に対し、ファイル記録事項のうち、当該開示請求に係る事項を速やかに開示しなければならない。
(調査の実施等)
第十二条 国は、第八条第四項及び第九条第二項に規定する結果並びに第一種指定化学物質の安全性の評価に関する内外の動向を勘案して、環境の状況の把握に関する調査のうち第一種指定化学物質に係るもの及び第一種指定化学物質による人の健康又は動植物の生息若しくは生育への影響に関する科学的知見を得るための調査を総合的かつ効果的に行うとともに、その成果を公表するものとする。
(資料の提供の要求等)
第十三条 都道府県知事は、当該都道府県の区域において国が行う前条に規定する調査に関し、当該調査を行う行政機関の長に対し、必要な資料の提供を求め、又は意見を述べることができる。
第三章 指定化学物質等取扱事業者による情報の提供等
(指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の提供)
第十四条 指定化学物質等取扱事業者は、指定化学物質等を他の事業者に対し譲渡し、又は提供するときは、その譲渡し、又は提供する時までに、その譲渡し、又は提供する相手方に対し、当該指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報を文書又は磁気ディスクの交付その他通商産業省令で定める方法により提供しなければならない。
2 指定化学物質等取扱事業者は、前項の規定により提供した指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の内容に変更を行う必要が生じたときは、速やかに、当該指定化学物質等を譲渡し、又は提供した相手方に対し、変更後の当該指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報を文書又は磁気ディスクの交付その他通商産業省令で定める方法により提供するよう努めなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、前二項に規定する情報の提供に関し必要な事項は、通商産業省令で定める。
(勧告及び公表)
第十五条 通商産業大臣は、前条第一項の規定に違反する指定化学物質等取扱事業者があるときは、当該指定化学物質等取扱事業者に対し、同項の規定に従って必要な情報を提供すべきことを勧告することができる。
2 通商産業大臣は、前項の規定による勧告を受けた指定化学物質等取扱事業者がその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。
(報告の徴収)
第十六条 通商産業大臣は、この章の規定の施行に必要な限度において、指定化学物質等取扱事業者に対し、その指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の提供に関し報告をさせることができる。
第四章 雑則
(国及び地方公共団体の措置)
第十七条 国は、化学物質の安全性の評価に関する国際的動向に十分配慮しつつ、化学物質の性状に関する科学的知見の充実に努めるとともに、化学物質の安全性の評価に関する試験方法の開発その他の技術的手法の開発に努めるものとする。
2 国は、化学物質の性状及び取扱いに関する情報に係るデータベース(論文、数値、図形その他の情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。)の整備及びその利用の促進に努めるものとする。
3 国及び地方公共団体は、指定化学物質等取扱事業者が行う指定化学物質等の自主的な管理の改善を促進するため、技術的な助言その他の措置を講ずるように努めるものとする。
4 国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じて指定化学物質等の性状及び管理並びに第一種指定化学物質の排出の状況に関する国民の理解を深めるよう努めるものとする。
5 国及び地方公共団体は、前二項の責務を果たすために必要な人材を育成するよう努めるものとする。
(審議会の意見の聴取)
第十八条 内閣総理大臣、厚生大臣及び通商産業大臣は、第二条第二項又は第三項の政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、あらかじめ、政令で定める審議会の意見を聴くものとする。
(手数料)
第十九条 ファイル記録事項の開示を受ける者は、政令で定めるところにより、実費の範囲内において政令で定める額の開示の実施に係る手数料を納付しなければならない。
(電子情報処理組織の使用等に関する事項)
第二十条 主務大臣は、第五条第二項の規定による届出又は第六条第一項若しくは第八項の請求については、政令で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して又は磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。以下同じ。)により行わせることができる。
2 主務大臣は、第六条第四項又は第五項(これらの規定を同条第九項において準用する場合を含む。)の規定による通知については、政令で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して又は磁気ディスクにより行うことができる。
3 第一項の規定により電子情報処理組織を使用して第五条第二項の規定による届出又は第六条第一項若しくは第八項の請求が行われた場合には、当該届出のうち第五条第三項の規定により都道府県知事を経由して行われたものについては当該都道府県知事の指定する電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該都道府県知事に、当該届出のうち第六条第一項の請求に係る第一種指定化学物質に係るもの又は同項若しくは同条第八項の請求については主務大臣の指定する電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該主務大臣に、それぞれ到達したものとみなす。
4 第二項の規定により電子情報処理組織を使用して行われた第六条第四項又は第五項(これらの規定を同条第九項において準用する場合を含む。)の規定による通知は、第六条第一項又は第八項の請求をした者の使用に係る入出力装置に備えられたファイルへの記録がされた後通常その出力に要する時間が経過した時に当該請求をした者に到達したものと推定する。
5 主務大臣は、第十条第一項の請求又は第十一条の規定による開示については、政令で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して又は磁気ディスクにより行わせ、又は行うことができる。
(経過措置)
第二十一条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
(主務大臣等)
第二十二条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
一 第二条第七項の規定による指定、第十条第一項の規定による請求及び第十一条の規定による開示に関する事項並びに第二十条第五項に定める事項については、環境庁長官、通商産業大臣又は当該第一種指定化学物質等取扱事業者の行う事業を所管する大臣
二 第三条第一項の規定による化学物質管理指針の策定、同条第三項の規定による協議及び同条第四項の規定による公表に関する事項(同条第二項第四号に掲げる事項に係るものを除く。)については、環境庁長官及び通商産業大臣
三 第三条第一項の規定による化学物質管理指針の策定、同条第三項の規定による協議及び同条第四項の規定による公表に関する事項(同条第二項第四号に掲げる事項に係るものに限る。)については、通商産業大臣
四 第五条第二項の規定による届出、第六条第一項の規定による請求、同条第三項の規定による通知、同条第四項及び第五項(これらの規定を同条第九項において準用する場合を含む。)の規定による決定及び通知、同条第七項(同条第九項において準用する場合を含む。)の規定による期間の延長、同条第八項の規定による請求、第七条第一項から第三項までの規定による通知、同条第四項及び第五項の規定による説明、第八条第二項及び第四項の規定による通知並びに同条第五項の規定による集計及び公表に関する事項並びに第二十条第一項及び第二項に定める事項については、当該第一種指定化学物質等取扱事業者の行う事業を所管する大臣
2 この法律における主務省令は、内閣総理大臣、通商産業大臣及び当該第一種指定化学物質等取扱事業者の行う事業を所管する大臣の発する命令とする。
(事務の区分)
第二十三条 第五条第三項前段の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
第五章 罰則
第二十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の過料に処する。
一 第五条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第十六条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第十八条の規定 公布の日
二 第三章及び第二十四条(第一号を除く。)の規定 公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日
三 第二章、第十九条、第二十条及び第二十四条(第一号に限る。)並びに次条の規定 公布の日から起算して二年六月を超えない範囲内において政令で定める日
四 第二十三条及び附則第四条の規定 平成十二年四月一日又は前号に定める日のいずれか遅い日
(経過措置)
第二条 第六条第六項に規定する日が、前条第三号に規定する規定の施行の日の属する年度の翌年度にある場合には、同項中「三十日以内」とあるのは、「五月以内」とする。
(検討)
第三条 政府は、この法律の施行後七年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(地方自治法の一部改正)
第四条 地方自治法の一部を次のように改正する。
別表第一に次のように加える。
特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成十一年法律第八十六号)
第五条第三項前段の規定により都道府県が処理することとされている事務
(環境庁設置法の一部改正)
第五条 環境庁設置法(昭和四十六年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。
第四条第六号の三の次に次の一号を加える。
六の四 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成十一年法律第八十六号)の施行に関する事務で所掌に属するものを処理すること。
(通商産業省設置法の一部改正)
第六条 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第四条第六十三号の二の次に次の一号を加える。
六十三の三 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成十一年法律第八十六号)の施行に関する事務で所掌に属するものを処理すること。
内閣総理大臣 小渕恵三
厚生大臣 宮下創平
通商産業大臣 与謝野馨
自治大臣 野田毅