学校教育法等の一部を改正する法律
法令番号: 法律第55号
公布年月日: 平成11年5月28日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

21世紀に向けた転換期において、大学が学問の進展や社会の要請に対応し、教育研究の活性化を図ることは重要な課題となっている。このため、大学制度の弾力化を推進し、優秀な成績で単位を修得した者への3年以上での卒業認定制度の導入や、大学院研究科の位置づけの明確化、柔軟な組織編制を可能とする。また、大学の一体的・機能的な運営と責任ある意思決定を実現するため、学部長の設置、国立大学での運営諮問会議・評議会の設置、教授会の所掌事務の明確化、国公立大学教員選考における学部長等の役割を定めるものである。これにより、社会に開かれた大学運営体制の整備を図る。

参照した発言:
第145回国会 衆議院 本会議 第21号

審議経過

第145回国会

衆議院
(平成11年4月1日)
(平成11年4月14日)
(平成11年4月16日)
(平成11年4月22日)
(平成11年4月27日)
参議院
(平成11年5月7日)
(平成11年5月11日)
(平成11年5月13日)
(平成11年5月18日)
(平成11年5月20日)
(平成11年5月21日)
学校教育法等の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十一年五月二十八日
内閣総理大臣 小渕恵三
法律第五十五号
学校教育法等の一部を改正する法律
(学校教育法の一部改正)
第一条 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
第五十五条の二の次に次の一条を加える。
第五十五条の三 大学は、文部大臣の定めるところにより、当該大学の学生(第五十五条第二項に規定する課程に在学するものを除く。)で当該大学に三年(同条第一項ただし書の規定により修業年限を四年を超えるものとする学部の学生にあつては、三年以上で文部大臣の定める期間)以上在学したもの(これに準ずるものとして文部大臣の定める者を含む。)が、卒業の要件として当該大学の定める単位を優秀な成績で修得したと認める場合には、同項の規定にかかわらず、その卒業を認めることができる。
第五十八条第二項中「副学長」の下に「、学部長」を加え、同条第三項中「掌り」を「つかさどり」に改め、同条第四項の次に次の一項を加える。
学部長は、学部に関する校務をつかさどる。
第六十六条を次のように改める。
第六十六条 大学院を置く大学には、研究科を置くことを常例とする。ただし、当該大学の教育研究上の目的を達成するため有益かつ適切である場合においては、文部大臣の定めるところにより、研究科以外の教育研究上の基本となる組織を置くことができる。
第六十八条の三中「副学長」の下に「、学部長」を加える。
第八十七条の二中「(第五十三条」の下に「及び第六十六条」を加え、「における大学の学部には、」を「において、大学の学部には」に改め、「組織を」の下に「含み、大学の大学院の研究科には第六十六条ただし書に規定する組織を」を加える。
(国立学校設置法の一部改正)
第二条 国立学校設置法(昭和二十四年法律第百五十号)の一部を次のように改正する。
目次中「第七条」を「第七条の八」に、「第七条の二―第七条の五」を「第七条の九―第七条の十一」に、「第七条の六」を「第七条の十二」に改める。
第二章の三中第七条の六を第七条の十二とする。
第二章の二中第七条の五を第七条の十一とし、第七条の三及び第七条の四を削り、同章中第七条の二を第七条の九とし、同条の次に次の一条を加える。
(評議会及び教授会の特例)
第七条の十 筑波大学に対する第七条の三及び第七条の四の規定の適用については、第七条の三第二項第二号中「学部長」とあるのは「学群の長」と、同条第三項第一号中「学部」とあるのは「学群、学系、学類」と、同条第五項中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(第五号に掲げる事項を除く。)」と、同項第四号中「学部、学科」とあるのは「学群、学系、学類」と、第七条の四第一項第一号中「学部」とあるのは「学群」と、同項第四号中「教養部」とあるのは「教養部及び学系」と、同条第四項第一号中「学部」とあるのは「学群」とする。
第二章中第七条の次に次の七条を加える。
(運営諮問会議)
第七条の二 国立大学(国立短期大学(国立大学に併設されるものを除く。)を含む。次項において同じ。)に、運営諮問会議を置く。
2 運営諮問会議は、委員若干人で組織し、その委員は、当該国立大学の職員以外の者で大学に関し広くかつ高い識見を有するもののうちから、学長の申出を受けて文部大臣が任命する。
3 運営諮問会議は、次に掲げる事項について、学長の諮問に応じて審議し、及び学長に対して助言又は勧告を行う。
一 大学の教育研究上の目的を達成するための基本的な計画に関する重要事項
二 大学の教育研究活動等の状況について当該大学が行う評価に関する重要事項
三 その他大学の運営に関する重要事項
(評議会)
第七条の三 国立大学に、評議会を置く。ただし、一個の学部のみを置く国立大学(当該学部以外に次項第二号の文部省令で定める大学院の研究科又は大学附置の研究所を置くものを除く。)及び第三条の三第一項の国立大学(以下「国立大学院大学」という。)で一個の研究科のみを置くもの(当該研究科以外に大学附置の研究所を置くものを除く。)にあつては、この限りでない。
2 評議会の評議員は、次に掲げる者をもつて充てる。
一 学長
二 学部長、国立大学院大学の大学院の研究科その他の文部省令で定める大学院の研究科の長、教養部の長及び大学附置の研究所の長
三 教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)第二条第三項に規定する部局長(前号に掲げるものを除く。)のうち文部省令で定めるところにより当該国立大学が定める者
3 前項各号に掲げる者のほか、評議会の定めるところにより、次に掲げる者を評議員に加えることができる。
一 学部、前項第二号の文部省令で定める大学院の研究科、教養部及び大学附置の研究所のうち評議会が定めるものごとに当該組織から選出される教授
二 評議会の議に基づいて学長が指名する教員
4 第二項第三号及び前項の評議員は、学長の申出に基づいて文部大臣が任命する。
5 評議会は、次に掲げる事項について審議し、並びにこの法律及び教育公務員特例法の規定によりその権限に属させられた事項を行う。
一 大学の教育研究上の目的を達成するための基本的な計画に関する事項
二 学則その他重要な規則の制定又は改廃に関する事項
三 大学の予算の見積りの方針に関する事項
四 学部、学科その他の重要な組織の設置又は廃止及び学生の定員に関する事項
五 教員人事の方針に関する事項
六 大学の教育課程の編成に関する方針に係る事項
七 学生の厚生及び補導に関する事項
八 学生の入学、卒業又は課程の修了その他その在籍に関する方針及び学位の授与に関する方針に係る事項
九 大学の教育研究活動等の状況について当該大学が行う評価に関する事項
十 その他大学の運営に関する重要事項
6 評議会に議長を置き、学長をもつて充てる。
7 議長は、評議会を主宰する。
(教授会)
第七条の四 次に掲げる国立大学の組織に、教授会を置く。
一 学部
二 国立大学院大学の大学院の研究科
三 前条第二項第二号の文部省令で定める大学院の研究科(前号に掲げるものを除く。)
四 教養部
五 大学附置の研究所
2 次に掲げる国立大学の組織に、当該国立大学の定めるところにより、教授会を置くことができる。
一 大学院の研究科(前項第二号及び第三号に掲げるものを除く。)で専任の教授を置くもの
二 第十三条の規定に基づき置かれる組織で専任の教授を置くもの
3 前項各号に掲げる組織に教授会を置かない場合にあつては、当該組織の専任の教授は、第一項各号に掲げる組織のうち当該国立大学が定めるものに置かれる教授会に所属するものとする。
4 第一項及び第二項の教授会は、次の各号(第一項第四号及び第五号並びに第二項第二号に掲げる組織に置かれる教授会にあつては、第三号)に掲げる事項について審議し、及び教育公務員特例法の規定によりその権限に属させられた事項を行う。
一 学部又は研究科の教育課程の編成に関する事項
二 学生の入学、卒業又は課程の修了その他その在籍に関する事項及び学位の授与に関する事項
三 その他当該教授会を置く組織(前項の規定により第二項各号に掲げる組織の教授が所属することとされた教授会を置く組織にあつては、当該各号に掲げる組織を含む。)の教育又は研究に関する重要事項
5 評議会を置かない国立大学にあつては、第一項第一号又は第二号に掲げる組織に置かれる教授会は、前項各号に掲げる事項のほか、前条第五項各号(第六号及び第八号を除く。)に掲げる事項について審議する。
6 教授会に議長を置き、当該教授会を置く組織の長(評議会を置かない国立大学の第一項第一号又は第二号に掲げる組織でその長を置かないものにあつては、学長)をもつて充てる。
7 議長は、教授会を主宰する。
(国立短期大学の教授会)
第七条の五 国立短期大学に、教授会を置く。
2 前項の教授会は、次に掲げる事項について審議し、及び教育公務員特例法の規定によりその権限に属させられた事項を行う。
一 短期大学の教育課程の編成に関する事項
二 学生の入学、卒業その他その在籍に関する事項
三 その他短期大学の教育及び研究に関する重要事項
3 第一項の教授会については、前条第五項から第七項までの規定を準用する。この場合において、同条第六項中「当該教授会を置く組織の長(評議会を置かない国立大学の第一項第一号又は第二号に掲げる組織でその長を置かないものにあつては、学長)」とあるのは、「学長」と読み替えるものとする。
(議事の手続等)
第七条の六 前四条に定めるもののほか、運営諮問会議、評議会及び教授会の議事の手続その他これらの組織に関し必要な事項は、文部省令で定める。
(国立大学等の運営の基準)
第七条の七 国立大学及び国立短期大学は、当該国立大学又は国立短期大学の教育研究上の目的を達成するため、学部その他の組織の一体的な運営により、その機能を総合的に発揮するようにしなければならない。
(教育研究等の状況の公表)
第七条の八 国立大学及び国立短期大学は、文部省令で定めるところにより、当該国立大学又は国立短期大学の教育及び研究並びに組織及び運営の状況を公表しなければならない。
(教育公務員特例法の一部改正)
第三条 教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)の一部を次のように改正する。
第二条中第四項を第五項とし、第三項の次に次の一項を加える。
4 この法律で「評議会」とは、国立大学にあつては国立学校設置法(昭和二十四年法律第百五十号)第七条の三に規定する評議会をいい、公立大学にあつてはその大学を設置する地方公共団体の定めるところにより学長、学部長その他の者で構成する会議をいう。
第四条第一項中「とし、その選考は、大学管理機関が行う」を「とする」に改め、同条第二項中「前項の選考は、学長については」を「学長の採用のための選考は」に、「すぐれ、且つ」を「優れ、かつ」に、「大学管理機関の定める基準により、学部長については、当該学部の教授会の議に基き、教員及び学部長以外の部局長については、大学管理機関の定める基準により、行わなければならない」を「評議会(評議会を置かない大学にあつては、教授会。以下同じ。)の議に基づき学長の定める基準により、評議会が行う」に改め、同条に次の四項を加える。
3 学部長の採用のための選考は、当該学部の教授会の議に基づき、学長が行う。
4 学部長以外の部局長の採用のための選考は、評議会の議に基づき学長の定める基準により、学長が行う。
5 教員の採用及び昇任のための選考は、評議会の議に基づき学長の定める基準により、教授会(国立学校設置法第二章の二の規定によりその組織が定められた大学にあつては、人事委員会。第十二条第一項において同じ。)の議に基づき学長が行う。
6 前項の選考について教授会が審議する場合において、その教授会が置かれる組織の長は、当該大学の教員人事の方針を踏まえ、その選考に関し、教授会に対して意見を述べることができる。
第五条第一項中「大学管理機関」を「学長及び教員にあつては評議会、部局長にあつては学長」に改め、同条第二項中「大学管理機関」を「評議会及び学長」に、「当つては」を「当たつては」に改め、同条第三項及び第四項中「大学管理機関」を「評議会及び学長」に改め、同条第五項中「大学管理機関」を「学長及び教員にあつては評議会、部局長にあつては学長」に改める。
第六条第一項中「大学管理機関」を「学長及び教員にあつては評議会、部局長にあつては学長」に改める。
第七条及び第八条中「大学管理機関」を「評議会の議に基づき学長」に改める。
第九条第一項中「大学管理機関」を「学長及び教員にあつては評議会、部局長にあつては学長」に改める。
第十条中「大学管理機関」を「学長」に、「基いて」を「基づいて」に改める。
第十一条第一項中「大学管理機関」を「評議会の議に基づき学長」に改め、同条第二項中「第二十一条の三第一項並びに地方公務員法」を「第二十一条の四第一項並びに同法」に、「大学管理機関」を「評議会の議に基づき学長」に改める。
第十二条第一項中「大学管理機関」を「学長にあつては評議会、教員及び学部長にあつては教授会の議に基づき学長、学部長以外の部局長にあつては学長」に改め、同条第二項中「大学管理機関」を「評議会の議に基づき学長」に改める。
第二十二条中「(昭和二十四年法律第百五十号)」を削る。
第二十五条を次のように改める。
第二十五条 削除
附 則
(施行期日)
1 この法律は、平成十二年四月一日から施行する。
(学校教育法の一部改正に伴う経過措置)
2 第一条の規定による改正後の学校教育法第五十五条の三の規定は、この法律の施行の日前から引き続き大学に在学する者(同日前に大学に在学し、同日以後に再び大学に在学することとなった者のうち、文部大臣の定める者を含む。)については、適用しない。
(国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法の一部改正)
3 国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法(昭和五十七年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
第二条第三項及び第三条第二項中「大学管理機関」を「教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)第二条第四項に規定する評議会(評議会を置かない大学にあつては、教授会)の議に基づき学長」に改める。
附則第二項を削り、附則第一項の項番号を削る。
(大学の教員等の任期に関する法律の一部改正)
4 大学の教員等の任期に関する法律(平成九年法律第八十二号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項中「大学管理機関(教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)第四条第二項に規定する大学管理機関をいい、同法第二十五条第一項第二号の規定により読み替えられたものを含む。次項において同じ。)は」を「学長は、教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)第二条第四項に規定する評議会(評議会を置かない大学にあつては、教授会)の議に基づき」に改め、同条第二項中「大学管理機関」を「学長」に改める。
第六条中「大学管理機関(教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)第四条第二項に規定する大学管理機関をいい、同法第二十五条第一項第二号の規定により読み替えられたものを含む。次項において同じ。)」とあるのは「文部省令で定めるところにより任命権者」」を「学長は、教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)第二条第四項に規定する評議会(評議会を置かない大学にあつては、教授会)の議に基づき」とあるのは「文部省令で定めるところにより任命権者は」」に、「「大学管理機関」」を「「学長」」に改める。
文部大臣 有馬朗人
内閣総理大臣 小渕恵三