(目的)
第一条 この法律は、天災その他非常の災害に際して行われる民間の発意に基づく被災者の救援の充実に資するため、郵便振替の加入者がその口座の預り金の寄附を郵政大臣に委託する制度を実施することを目的とする。
(預り金の寄附委託等)
第二条 郵政大臣は、天災その他非常の災害があった場合において、次項の規定による寄附の委託を受けることを必要と認めたときは、当該寄附の委託を受けることとする天災その他非常の災害ごとに、当該寄附の委託を受けることができる期間(以下「募集期間」という。)を定める。
2 郵便振替の加入者(以下「加入者」という。)は、この法律で定めるところにより、募集期間が経過した日における当該加入者の口座の預り金の全部又は一部について、あらかじめ金額を定めて、自己を受取人に指定した払出しの請求をするとともに、当該金額を自己に払い渡すことに代え、民間の発意に基づく天災その他非常の災害の被災者の救援の事業(以下「民間災害救援事業」という。)を行う営利を目的としない法人その他の団体(以下「民間災害救援団体」という。)に寄附することを郵政大臣に委託することができる。
3 前項の規定による寄附の委託を行った加入者は、募集期間が経過する日までの間、当該寄附の委託の取消しをすることができる。
(寄附金の処理)
第三条 郵政大臣は、募集期間が経過した日において、前条第二項の規定による寄附の委託を行った加入者の口座から、同項の払出しの請求に係る預り金を払い出す。この場合において、当該募集期間が経過した日の当該口座の現在高が同項の規定により定めた金額に満たないときは、当該口座の現在高に相当する金額について払出しの請求があったものとみなして、その金額を払い出す。
2 郵政大臣は、前項の規定により募集期間が経過した日において払い出した金額を合計した金額と当該募集期間に係る次条及び第五条第二項の金額の合計額(以下「寄附金」という。)について、民間災害救援事業の実施に必要な費用に充てるため寄附金の配分を希望する民間災害救援団体を公募し、その申請を受けた上、第一条に規定するこの法律の目的に適合するよう、当該寄附金を配分すべき団体(以下「配分団体」という。)及び配分団体ごとの配分すべき額を決定し、その内容を公示するものとする。この場合において、郵政大臣は、当該寄附金の額から、当該寄附金の取りまとめのため郵政省において特に要した費用の額並びに当該寄附金の額(次条の規定により寄附金に充てられた額を除く。)の百分の一・五に相当する額を限度として寄附金の管理並びに配分に係る寄附金(以下「配分金」という。)の交付及び配分金の使途の監査のため郵政省において特に要する費用の額を差し引くことができる。
3 郵政大臣は、配分金の使途の適正を確保するため必要があると認めるときは、配分団体が守らなければならない事項を定めることができる。
4 郵政大臣は、第二項の決定をし、又は前項に規定する事項を定めるには、関係行政機関の長と協議し、かつ、政令で定める審議会に諮問しなければならない。
5 郵政大臣は、配分団体に対し配分金の使途についての監査をするものとする。
6 郵政大臣は、配分団体が第三項に規定する守らなければならない事項に違反したときは、交付した配分金の全部又は一部の返還を求めるものとする。
第四条 前条第二項の決定において配分金とならなかった寄附金があるときは、これを当該決定の日以後最初に終了する募集期間に係る寄附金に充てるものとする。
2 交付し又は交付すべきであった配分金の全部又は一部が、返還され又は交付できなくなったときは、当該返還され又は交付できなくなった配分金は、当該返還され又は交付できなくなった日以後最初に終了する募集期間に係る寄附金に充てるものとする。
(寄附金の経理等)
第五条 郵政大臣は、寄附金にあっては配分団体に交付するまでの間、前条及び次項の規定により寄附金に充てられることとなる金額にあってはその充てられるまでの間、これらを資金運用部に預託することができる。
2 前項の規定により資金運用部に預託した結果生じた利子は、当該利子が生じた日以後最初に終了する募集期間に係る寄附金に充てるものとする。
第六条 郵政大臣は、毎年、前年の四月一日からその年の三月三十一日までの間における寄附金に関する経理状況を公示するものとする。
(省令への委任)
第七条 この法律に定めるもののほか、寄附の委託及び寄附金の処理に関し必要な事項は、郵政省令で定める。