社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第八十一号
公布年月日: 平成4年6月26日
法令の形式: 法律
社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成四年六月二十六日
内閣総理大臣 宮澤喜一
法律第八十一号
社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律
(社会福祉事業法の一部改正)
第一条 社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
目次中「第七章 社会福祉事業(第五十七条―第七十条)」を
第七章
社会福祉事業(第五十七条―第七十条)
第七章の二
社会福祉事業に従事する者の確保の促進
第一節
基本指針等(第七十条の二―第七十条の五)
第二節
福祉人材センター
第一款
都道府県福祉人材センター(第七十条の六―第七十条の十二)
第二款
中央福祉人材センター(第七十条の十三―第七十条の十五)
第三節
福利厚生センター(第七十条の十六―第七十条の二十)
に改める。
第七章の次に次の一章を加える。
第七章の二 社会福祉事業に従事する者の確保の促進
第一節 基本指針等
(基本指針)
第七十条の二 厚生大臣は、社会福祉事業が適正に行われることを確保するため、社会福祉事業に従事する者(以下この章において「社会福祉事業従事者」という。)の確保及び国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。
2 基本指針に定める事項は、次のとおりとする。
一 社会福祉事業従事者の就業の動向に関する事項
二 社会福祉事業を経営する者が行う、社会福祉事業従事者に係る処遇の改善(国家公務員及び地方公務員である者に係るものを除く。)及び資質の向上並びに新規の社会福祉事業従事者の確保に資する措置その他の社会福祉事業従事者の確保に資する措置の内容に関する事項
三 前号に規定する措置の内容に関して、その適正かつ有効な実施を図るために必要な措置の内容に関する事項
四 国民の社会福祉事業に対する理解を深め、国民の社会福祉に関する活動への参加を促進するために必要な措置の内容に関する事項
3 厚生大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、労働大臣及び自治大臣に協議するとともに、中央社会福祉審議会及び都道府県の意見を聴かなければならない。
4 厚生大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(社会福祉事業を経営する者の講ずべき措置)
第七十条の三 社会福祉事業を経営する者は、前条第二項第二号に規定する措置の内容に即した措置を講ずるように努めなければならない。
2 社会福祉事業を経営する者は、前条第二項第四号に規定する措置の内容に即した措置を講ずる者に対し、必要な協力を行うように努めなければならない。
(指導及び助言)
第七十条の四 国及び都道府県は、社会福祉事業を経営する者に対し、第七十条の二第二項第二号に規定する措置の内容に即した措置の的確な実施に必要な指導及び助言を行うものとする。
(国及び地方公共団体の措置)
第七十条の五 国は、社会福祉事業従事者の確保及び国民の社会福祉に関する活動への参加を促進するために必要な財政上及び金融上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
2 地方公共団体は、社会福祉事業従事者の確保及び国民の社会福祉に関する活動への参加を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第二節 福祉人材センター
第一款 都道府県福祉人材センター
(指定等)
第七十条の六 都道府県知事は、社会福祉事業に関する連絡及び援助を行うこと等により社会福祉事業従事者の確保を図ることを目的として設立された社会福祉法人であつて、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、都道府県ごとに一個に限り、都道府県福祉人材センター(以下「都道府県センター」という。)として指定することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による指定をしたときは、当該都道府県センターの名称、住所及び事務所の所在地を公示しなければならない。
3 都道府県センターは、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
4 都道府県知事は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
(業務)
第七十条の七 都道府県センターは、当該都道府県の区域内において、次に掲げる業務を行うものとする。
一 社会福祉事業に関する啓発活動を行うこと。
二 社会福祉事業従事者の確保に関する調査研究を行うこと。
三 社会福祉事業を経営する者に対し、第七十条の二第二項第二号に規定する措置の内容に即した措置の実施に関する技術的事項について相談その他の援助を行うこと。
四 社会福祉事業の業務に関し、社会福祉事業従事者及び社会福祉事業に従事しようとする者に対して研修を行うこと。
五 社会福祉事業従事者の確保に関する連絡を行うこと。
六 社会福祉事業に従事しようとする者に対し、就業の援助を行うこと。
七 前各号に掲げるもののほか、社会福祉事業従事者の確保を図るために必要な業務を行うこと。
(他の社会福祉事業従事者の確保に関する業務を行う団体との連携)
第七十条の八 都道府県センターは、前条に規定する業務を行うに当たつては、他の社会福祉事業従事者の確保に関する業務を行う団体との連携に努めなければならない。
(事業計画等)
第七十条の九 都道府県センターは、毎事業年度、厚生省令の定めるところにより、事業計画書及び収支予算書を作成し、都道府県知事に提出しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 都道府県センターは、厚生省令の定めるところにより、毎事業年度終了後、事業報告書及び収支決算書を作成し、都道府県知事に提出しなければならない。
(監督命令)
第七十条の十 都道府県知事は、この款の規定を施行するために必要な限度において、都道府県センターに対し、第七十条の七に規定する業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(指定の取消し等)
第七十条の十一 都道府県知事は、都道府県センターが、次の各号のいずれかに該当するときは、第七十条の六第一項の規定による指定(以下この条において「指定」という。)を取り消すことができる。
一 第七十条の七に規定する業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき。
二 指定に関し不正の行為があつたとき。
三 この款の規定又は当該規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき。
2 都道府県知事は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。
(聴聞)
第七十条の十二 都道府県知事は、前条第一項の規定による処分をしようとするときは、あらかじめ、その相手方にその処分の理由を通知し、弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。
第二款 中央福祉人材センター
(指定)
第七十条の十三 厚生大臣は、都道府県センターの業務に関する連絡及び援助を行うこと等により、都道府県センターの健全な発展を図るとともに、社会福祉事業従事者の確保を図ることを目的として設立された社会福祉法人であつて、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国を通じて一個に限り、中央福祉人材センター(以下「中央センター」という。)として指定することができる。
(業務)
第七十条の十四 中央センターは、次に掲げる業務を行うものとする。
一 都道府県センターの業務に関する啓発活動を行うこと。
二 二以上の都道府県の区域における社会福祉事業従事者の確保に関する調査研究を行うこと。
三 社会福祉事業の業務に関し、都道府県センターの業務に従事する者に対して研修を行うこと。
四 社会福祉事業の業務に関し、社会福祉事業従事者に対して研修を行うこと。
五 都道府県センターの業務について、連絡調整を図り、及び指導その他の援助を行うこと。
六 都道府県センターの業務に関する情報及び資料を収集し、並びにこれを都道府県センターその他の関係者に対し提供すること。
七 前各号に掲げるもののほか、都道府県センターの健全な発展及び社会福祉事業従事者の確保を図るために必要な業務を行うこと。
(準用)
第七十条の十五 第七十条の六第二項から第四項まで及び第七十条の九から第七十条の十二までの規定は、中央センターについて準用する。この場合において、これらの規定中「都道府県知事」とあるのは「厚生大臣」と、第七十条の六第二項中「前項」とあるのは「第七十条の十三」と、第七十条の十中「この款」とあるのは「次款」と、「第七十条の七」とあるのは「第七十条の十四」と、第七十条の十一第一項中「第七十条の六第一項」とあるのは「第七十条の十三」と、「第七十条の七」とあるのは「第七十条の十四」と、「この款」とあるのは「次款」と読み替えるものとする。
第三節 福利厚生センター
(指定)
第七十条の十六 厚生大臣は、社会福祉事業に関する連絡及び助成を行うこと等により社会福祉事業従事者の福利厚生の増進を図ることを目的として設立された社会福祉法人であつて、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国を通じて一個に限り、福利厚生センターとして指定することができる。
(業務)
第七十条の十七 福利厚生センターは、次に掲げる業務を行うものとする。
一 社会福祉事業を経営する者に対し、社会福祉事業従事者の福利厚生に関する啓発活動を行うこと。
二 社会福祉事業従事者の福利厚生に関する調査研究を行うこと。
三 福利厚生契約(福利厚生センターが社会福祉事業を経営する者に対してその者に使用される社会福祉事業従事者の福利厚生の増進を図るための事業を行うことを約する契約をいう。以下同じ。)に基づき、社会福祉事業従事者の福利厚生の増進を図るための事業を実施すること。
四 社会福祉事業従事者の福利厚生に関し、社会福祉事業を経営する者との連絡を行い、及び社会福祉事業を経営する者に対し助成を行うこと。
五 前各号に掲げるもののほか、社会福祉事業従事者の福利厚生の増進を図るために必要な業務を行うこと。
(約款の認可等)
第七十条の十八 福利厚生センターは、前条第三号に掲げる業務の開始前に、福利厚生契約に基づき実施する事業に関する約款(以下この条において「約款」という。)を定め、厚生大臣に提出してその認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 厚生大臣は、前項の認可をした約款が前条第三号に掲げる業務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、その約款を変更すべきことを命ずることができる。
3 約款に記載すべき事項は、厚生省令で定める。
(契約の締結及び解除)
第七十条の十九 福利厚生センターは、福利厚生契約の申込者が第五十七条第一項若しくは第二項、第六十二条第一項若しくは第二項又は第六十四条第一項の規定に違反して社会福祉事業を経営する者であるとき、その他厚生省令で定める正当な理由があるときを除いては、福利厚生契約の締結を拒絶してはならない。
2 福利厚生センターは、社会福祉事業を経営する者がその事業を廃止したとき、その他厚生省令で定める正当な理由があるときを除いては、福利厚生契約を解除してはならない。
(準用)
第七十条の二十 第七十条の六第二項から第四項まで及び第七十条の九から第七十条の十二までの規定は、福利厚生センターについて準用する。この場合において、これらの規定中「都道府県知事」とあるのは「厚生大臣」と、第七十条の六第二項中「前項」とあるのは「第七十条の十六」と、第七十条の九第一項中「に提出しなければ」とあるのは「の認可を受けなければ」と、第七十条の十中「この款」とあるのは「次節」と、「第七十条の七」とあるのは「第七十条の十七」と、第七十条の十一第一項中「第七十条の六第一項」とあるのは「第七十条の十六」と、「第七十条の七」とあるのは「第七十条の十七」と、「この款」とあるのは「次節」と、「違反した」とあるのは「違反したとき、又は第七十条の十八第一項の認可を受けた同項に規定する約款によらないで第七十条の十七第三号に掲げる業務を行つた」と読み替えるものとする。
第七十四条第一項中第六号を第七号とし、第五号の次に次の一号を加える。
六 社会福祉に関する活動への住民の参加のための援助
第七十四条第二項から第四項までの規定中「第五号まで」を「第六号まで」に改める。
(社会福祉施設職員退職手当共済法の一部改正)
第二条 社会福祉施設職員退職手当共済法(昭和三十六年法律第百五十五号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
社会福祉施設職員等退職手当共済法
第一条中「を経営する」を「及び特定社会福祉事業を経営する」に改め、「職員」の下に「及び特定社会福祉事業に従事する職員」を加える。
第二条第一項中「の各号」を削り、同項第二号中「肢体不自由児施設」を「肢体不自由児施設」に改め、同項第四号中「身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)第十八条第四項第三号に規定する」を「社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)第五十七条第一項の規定による届出がなされ、又は同条第二項の規定による許可を受けた身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)にいう」に改め、同項第五号中「精神薄弱者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)第十六条第一項第二号に規定する」を「社会福祉事業法第五十七条第一項の規定による届出がなされ、又は同条第二項の規定による許可を受けた精神薄弱者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)にいう」に改め、同条第七項中「社会福祉施設」を「社会福祉施設等」に改め、同項を同条第八項とし、同条中第四項から第六項までを一項ずつ繰り下げ、同条第三項中「社会福祉施設」の下に「及び特定社会福祉事業(以下「社会福祉施設等」という。)」を加え、同項を同条第四項とし、同条第二項中「を経営する」を「及び特定社会福祉事業を経営する」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 この法律において「特定社会福祉事業」とは、次に掲げる事業をいう。
一 児童福祉法第三十四条の三第一項の規定による届出がなされた児童居宅生活支援事業のうち児童居宅介護等事業
二 老人福祉法第十四条の規定による届出がなされた老人居宅生活支援事業のうち老人居宅介護等事業
三 身体障害者福祉法第二十六条第一項の規定による届出がなされた身体障害者居宅生活支援事業のうち身体障害者居宅介護等事業
四 精神薄弱者福祉法第十八条第一項の規定による届出がなされた精神薄弱者居宅生活支援事業のうち精神薄弱者居宅介護等事業及び社会福祉事業法第六十四条第一項の規定による届出がなされた精神薄弱者福祉法にいう精神薄弱者地域生活援助事業
五 その他政令で定める社会福祉事業
第十一条第二項から第四項までの規定中「当該社会福祉施設」を「当該社会福祉施設等」に改め、同条第七項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第八項とし、同条第六項の次に次の一項を加える。
7 引き続き一年以上被共済職員である者が、その者に係る共済契約者の経営する社会福祉施設等以外の施設又は事業の業務に常時従事することを要するものとなつたことにより退職した場合において、その者が、退職した日から起算して五年以内に、退職手当金を請求しないで再び当該共済契約者の経営する社会福祉施設等に係る職員となつたときは、前後の各期間につき第一項から第五項までの規定によつて計算した被共済職員期間を合算する。
第二十六条の次に次の一条を加える。
(経過措置)
第二十六条の二 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第二十八条中「五千円」を「二十万円」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成四年七月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第一条中社会福祉事業法の目次の改正規定(「第七章 社会福祉事業(第五十七条―第七十条)」を
第七章
社会福祉事業(第五十七条―第七十条)
第七章の二
社会福祉事業に従事する者の確保の促進
第一節
基本指針等(第七十条の二―第七十条の五)
第二節
福祉人材センター
第一款
都道府県福祉人材センター(第七十条の六―第七十条の十二)
に改める部分に限る。)及び同法第七章の次に一章を加える改正規定(同法第七章の二第一節及び第二節第一款に係る部分に限る。)並びに附則第四条中厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)第六条第五十四号の改正規定 公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日
二 第一条中社会福祉事業法の目次の改正規定(前号に掲げる改正規定を除く。)及び同法第七章の次に一章を加える改正規定(同号に掲げる改正規定を除く。)並びに附則第五条の規定 平成五年四月一日
(社会福祉施設職員退職手当共済法の一部改正に伴う経過措置)
第二条 この法律の施行前に第二条の規定による改正前の社会福祉施設職員退職手当共済法の規定によってした退職手当共済契約の申込みその他の手続は、同条の規定による改正後の社会福祉施設職員等退職手当共済法の規定によってしたものとみなす。
(社会福祉・医療事業団法の一部改正)
第三条 社会福祉・医療事業団法(昭和五十九年法律第七十五号)の一部を次のように改正する。
第一条中「社会福祉施設職員退職手当共済制度」を「社会福祉施設職員等退職手当共済制度」に改める。
第二十一条第一項第三号中「社会福祉施設職員退職手当共済法」を「社会福祉施設職員等退職手当共済法」に、同項第四号中「第五項」を「第四項」に改める。
第三十六条第二項及び第三十七条第一項中「社会福祉施設職員退職手当共済法」を「社会福祉施設職員等退職手当共済法」に改める。
(厚生省設置法の一部改正)
第四条 厚生省設置法の一部を次のように改正する。
第五条第六十五号中「社会福祉施設職員退職手当共済法」を「社会福祉施設職員等退職手当共済法」に改める。
第六条第五十四号中「社会福祉法人」を「社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)の定めるところにより、社会福祉法人」に改め、「及び」を削り、「指定する」を「指定し、及び基本指針を定める」に改める。
第五条 厚生省設置法の一部を次のように改正する。
第六条第五十四号中「を定める」を「を定め、並びに同法の規定に基づき中央福祉人材センター及び福利厚生センターを指定し、並びにこれらに対し、認可その他監督を行う」に改める。
(その他の経過措置の政令への委任)
第六条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
厚生大臣 山下徳夫
内閣総理大臣 宮澤喜一
社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成四年六月二十六日
内閣総理大臣 宮沢喜一
法律第八十一号
社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律
(社会福祉事業法の一部改正)
第一条 社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
目次中「第七章 社会福祉事業(第五十七条―第七十条)」を
第七章
社会福祉事業(第五十七条―第七十条)
第七章の二
社会福祉事業に従事する者の確保の促進
第一節
基本指針等(第七十条の二―第七十条の五)
第二節
福祉人材センター
第一款
都道府県福祉人材センター(第七十条の六―第七十条の十二)
第二款
中央福祉人材センター(第七十条の十三―第七十条の十五)
第三節
福利厚生センター(第七十条の十六―第七十条の二十)
に改める。
第七章の次に次の一章を加える。
第七章の二 社会福祉事業に従事する者の確保の促進
第一節 基本指針等
(基本指針)
第七十条の二 厚生大臣は、社会福祉事業が適正に行われることを確保するため、社会福祉事業に従事する者(以下この章において「社会福祉事業従事者」という。)の確保及び国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。
2 基本指針に定める事項は、次のとおりとする。
一 社会福祉事業従事者の就業の動向に関する事項
二 社会福祉事業を経営する者が行う、社会福祉事業従事者に係る処遇の改善(国家公務員及び地方公務員である者に係るものを除く。)及び資質の向上並びに新規の社会福祉事業従事者の確保に資する措置その他の社会福祉事業従事者の確保に資する措置の内容に関する事項
三 前号に規定する措置の内容に関して、その適正かつ有効な実施を図るために必要な措置の内容に関する事項
四 国民の社会福祉事業に対する理解を深め、国民の社会福祉に関する活動への参加を促進するために必要な措置の内容に関する事項
3 厚生大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、労働大臣及び自治大臣に協議するとともに、中央社会福祉審議会及び都道府県の意見を聴かなければならない。
4 厚生大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(社会福祉事業を経営する者の講ずべき措置)
第七十条の三 社会福祉事業を経営する者は、前条第二項第二号に規定する措置の内容に即した措置を講ずるように努めなければならない。
2 社会福祉事業を経営する者は、前条第二項第四号に規定する措置の内容に即した措置を講ずる者に対し、必要な協力を行うように努めなければならない。
(指導及び助言)
第七十条の四 国及び都道府県は、社会福祉事業を経営する者に対し、第七十条の二第二項第二号に規定する措置の内容に即した措置の的確な実施に必要な指導及び助言を行うものとする。
(国及び地方公共団体の措置)
第七十条の五 国は、社会福祉事業従事者の確保及び国民の社会福祉に関する活動への参加を促進するために必要な財政上及び金融上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
2 地方公共団体は、社会福祉事業従事者の確保及び国民の社会福祉に関する活動への参加を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第二節 福祉人材センター
第一款 都道府県福祉人材センター
(指定等)
第七十条の六 都道府県知事は、社会福祉事業に関する連絡及び援助を行うこと等により社会福祉事業従事者の確保を図ることを目的として設立された社会福祉法人であつて、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、都道府県ごとに一個に限り、都道府県福祉人材センター(以下「都道府県センター」という。)として指定することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による指定をしたときは、当該都道府県センターの名称、住所及び事務所の所在地を公示しなければならない。
3 都道府県センターは、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
4 都道府県知事は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
(業務)
第七十条の七 都道府県センターは、当該都道府県の区域内において、次に掲げる業務を行うものとする。
一 社会福祉事業に関する啓発活動を行うこと。
二 社会福祉事業従事者の確保に関する調査研究を行うこと。
三 社会福祉事業を経営する者に対し、第七十条の二第二項第二号に規定する措置の内容に即した措置の実施に関する技術的事項について相談その他の援助を行うこと。
四 社会福祉事業の業務に関し、社会福祉事業従事者及び社会福祉事業に従事しようとする者に対して研修を行うこと。
五 社会福祉事業従事者の確保に関する連絡を行うこと。
六 社会福祉事業に従事しようとする者に対し、就業の援助を行うこと。
七 前各号に掲げるもののほか、社会福祉事業従事者の確保を図るために必要な業務を行うこと。
(他の社会福祉事業従事者の確保に関する業務を行う団体との連携)
第七十条の八 都道府県センターは、前条に規定する業務を行うに当たつては、他の社会福祉事業従事者の確保に関する業務を行う団体との連携に努めなければならない。
(事業計画等)
第七十条の九 都道府県センターは、毎事業年度、厚生省令の定めるところにより、事業計画書及び収支予算書を作成し、都道府県知事に提出しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 都道府県センターは、厚生省令の定めるところにより、毎事業年度終了後、事業報告書及び収支決算書を作成し、都道府県知事に提出しなければならない。
(監督命令)
第七十条の十 都道府県知事は、この款の規定を施行するために必要な限度において、都道府県センターに対し、第七十条の七に規定する業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(指定の取消し等)
第七十条の十一 都道府県知事は、都道府県センターが、次の各号のいずれかに該当するときは、第七十条の六第一項の規定による指定(以下この条において「指定」という。)を取り消すことができる。
一 第七十条の七に規定する業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき。
二 指定に関し不正の行為があつたとき。
三 この款の規定又は当該規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき。
2 都道府県知事は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。
(聴聞)
第七十条の十二 都道府県知事は、前条第一項の規定による処分をしようとするときは、あらかじめ、その相手方にその処分の理由を通知し、弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。
第二款 中央福祉人材センター
(指定)
第七十条の十三 厚生大臣は、都道府県センターの業務に関する連絡及び援助を行うこと等により、都道府県センターの健全な発展を図るとともに、社会福祉事業従事者の確保を図ることを目的として設立された社会福祉法人であつて、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国を通じて一個に限り、中央福祉人材センター(以下「中央センター」という。)として指定することができる。
(業務)
第七十条の十四 中央センターは、次に掲げる業務を行うものとする。
一 都道府県センターの業務に関する啓発活動を行うこと。
二 二以上の都道府県の区域における社会福祉事業従事者の確保に関する調査研究を行うこと。
三 社会福祉事業の業務に関し、都道府県センターの業務に従事する者に対して研修を行うこと。
四 社会福祉事業の業務に関し、社会福祉事業従事者に対して研修を行うこと。
五 都道府県センターの業務について、連絡調整を図り、及び指導その他の援助を行うこと。
六 都道府県センターの業務に関する情報及び資料を収集し、並びにこれを都道府県センターその他の関係者に対し提供すること。
七 前各号に掲げるもののほか、都道府県センターの健全な発展及び社会福祉事業従事者の確保を図るために必要な業務を行うこと。
(準用)
第七十条の十五 第七十条の六第二項から第四項まで及び第七十条の九から第七十条の十二までの規定は、中央センターについて準用する。この場合において、これらの規定中「都道府県知事」とあるのは「厚生大臣」と、第七十条の六第二項中「前項」とあるのは「第七十条の十三」と、第七十条の十中「この款」とあるのは「次款」と、「第七十条の七」とあるのは「第七十条の十四」と、第七十条の十一第一項中「第七十条の六第一項」とあるのは「第七十条の十三」と、「第七十条の七」とあるのは「第七十条の十四」と、「この款」とあるのは「次款」と読み替えるものとする。
第三節 福利厚生センター
(指定)
第七十条の十六 厚生大臣は、社会福祉事業に関する連絡及び助成を行うこと等により社会福祉事業従事者の福利厚生の増進を図ることを目的として設立された社会福祉法人であつて、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国を通じて一個に限り、福利厚生センターとして指定することができる。
(業務)
第七十条の十七 福利厚生センターは、次に掲げる業務を行うものとする。
一 社会福祉事業を経営する者に対し、社会福祉事業従事者の福利厚生に関する啓発活動を行うこと。
二 社会福祉事業従事者の福利厚生に関する調査研究を行うこと。
三 福利厚生契約(福利厚生センターが社会福祉事業を経営する者に対してその者に使用される社会福祉事業従事者の福利厚生の増進を図るための事業を行うことを約する契約をいう。以下同じ。)に基づき、社会福祉事業従事者の福利厚生の増進を図るための事業を実施すること。
四 社会福祉事業従事者の福利厚生に関し、社会福祉事業を経営する者との連絡を行い、及び社会福祉事業を経営する者に対し助成を行うこと。
五 前各号に掲げるもののほか、社会福祉事業従事者の福利厚生の増進を図るために必要な業務を行うこと。
(約款の認可等)
第七十条の十八 福利厚生センターは、前条第三号に掲げる業務の開始前に、福利厚生契約に基づき実施する事業に関する約款(以下この条において「約款」という。)を定め、厚生大臣に提出してその認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 厚生大臣は、前項の認可をした約款が前条第三号に掲げる業務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、その約款を変更すべきことを命ずることができる。
3 約款に記載すべき事項は、厚生省令で定める。
(契約の締結及び解除)
第七十条の十九 福利厚生センターは、福利厚生契約の申込者が第五十七条第一項若しくは第二項、第六十二条第一項若しくは第二項又は第六十四条第一項の規定に違反して社会福祉事業を経営する者であるとき、その他厚生省令で定める正当な理由があるときを除いては、福利厚生契約の締結を拒絶してはならない。
2 福利厚生センターは、社会福祉事業を経営する者がその事業を廃止したとき、その他厚生省令で定める正当な理由があるときを除いては、福利厚生契約を解除してはならない。
(準用)
第七十条の二十 第七十条の六第二項から第四項まで及び第七十条の九から第七十条の十二までの規定は、福利厚生センターについて準用する。この場合において、これらの規定中「都道府県知事」とあるのは「厚生大臣」と、第七十条の六第二項中「前項」とあるのは「第七十条の十六」と、第七十条の九第一項中「に提出しなければ」とあるのは「の認可を受けなければ」と、第七十条の十中「この款」とあるのは「次節」と、「第七十条の七」とあるのは「第七十条の十七」と、第七十条の十一第一項中「第七十条の六第一項」とあるのは「第七十条の十六」と、「第七十条の七」とあるのは「第七十条の十七」と、「この款」とあるのは「次節」と、「違反した」とあるのは「違反したとき、又は第七十条の十八第一項の認可を受けた同項に規定する約款によらないで第七十条の十七第三号に掲げる業務を行つた」と読み替えるものとする。
第七十四条第一項中第六号を第七号とし、第五号の次に次の一号を加える。
六 社会福祉に関する活動への住民の参加のための援助
第七十四条第二項から第四項までの規定中「第五号まで」を「第六号まで」に改める。
(社会福祉施設職員退職手当共済法の一部改正)
第二条 社会福祉施設職員退職手当共済法(昭和三十六年法律第百五十五号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
社会福祉施設職員等退職手当共済法
第一条中「を経営する」を「及び特定社会福祉事業を経営する」に改め、「職員」の下に「及び特定社会福祉事業に従事する職員」を加える。
第二条第一項中「の各号」を削り、同項第二号中「肢体不自由児施設」を「肢体不自由児施設」に改め、同項第四号中「身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)第十八条第四項第三号に規定する」を「社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)第五十七条第一項の規定による届出がなされ、又は同条第二項の規定による許可を受けた身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)にいう」に改め、同項第五号中「精神薄弱者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)第十六条第一項第二号に規定する」を「社会福祉事業法第五十七条第一項の規定による届出がなされ、又は同条第二項の規定による許可を受けた精神薄弱者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)にいう」に改め、同条第七項中「社会福祉施設」を「社会福祉施設等」に改め、同項を同条第八項とし、同条中第四項から第六項までを一項ずつ繰り下げ、同条第三項中「社会福祉施設」の下に「及び特定社会福祉事業(以下「社会福祉施設等」という。)」を加え、同項を同条第四項とし、同条第二項中「を経営する」を「及び特定社会福祉事業を経営する」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 この法律において「特定社会福祉事業」とは、次に掲げる事業をいう。
一 児童福祉法第三十四条の三第一項の規定による届出がなされた児童居宅生活支援事業のうち児童居宅介護等事業
二 老人福祉法第十四条の規定による届出がなされた老人居宅生活支援事業のうち老人居宅介護等事業
三 身体障害者福祉法第二十六条第一項の規定による届出がなされた身体障害者居宅生活支援事業のうち身体障害者居宅介護等事業
四 精神薄弱者福祉法第十八条第一項の規定による届出がなされた精神薄弱者居宅生活支援事業のうち精神薄弱者居宅介護等事業及び社会福祉事業法第六十四条第一項の規定による届出がなされた精神薄弱者福祉法にいう精神薄弱者地域生活援助事業
五 その他政令で定める社会福祉事業
第十一条第二項から第四項までの規定中「当該社会福祉施設」を「当該社会福祉施設等」に改め、同条第七項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第八項とし、同条第六項の次に次の一項を加える。
7 引き続き一年以上被共済職員である者が、その者に係る共済契約者の経営する社会福祉施設等以外の施設又は事業の業務に常時従事することを要するものとなつたことにより退職した場合において、その者が、退職した日から起算して五年以内に、退職手当金を請求しないで再び当該共済契約者の経営する社会福祉施設等に係る職員となつたときは、前後の各期間につき第一項から第五項までの規定によつて計算した被共済職員期間を合算する。
第二十六条の次に次の一条を加える。
(経過措置)
第二十六条の二 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第二十八条中「五千円」を「二十万円」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成四年七月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第一条中社会福祉事業法の目次の改正規定(「第七章 社会福祉事業(第五十七条―第七十条)」を
第七章
社会福祉事業(第五十七条―第七十条)
第七章の二
社会福祉事業に従事する者の確保の促進
第一節
基本指針等(第七十条の二―第七十条の五)
第二節
福祉人材センター
第一款
都道府県福祉人材センター(第七十条の六―第七十条の十二)
に改める部分に限る。)及び同法第七章の次に一章を加える改正規定(同法第七章の二第一節及び第二節第一款に係る部分に限る。)並びに附則第四条中厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)第六条第五十四号の改正規定 公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日
二 第一条中社会福祉事業法の目次の改正規定(前号に掲げる改正規定を除く。)及び同法第七章の次に一章を加える改正規定(同号に掲げる改正規定を除く。)並びに附則第五条の規定 平成五年四月一日
(社会福祉施設職員退職手当共済法の一部改正に伴う経過措置)
第二条 この法律の施行前に第二条の規定による改正前の社会福祉施設職員退職手当共済法の規定によってした退職手当共済契約の申込みその他の手続は、同条の規定による改正後の社会福祉施設職員等退職手当共済法の規定によってしたものとみなす。
(社会福祉・医療事業団法の一部改正)
第三条 社会福祉・医療事業団法(昭和五十九年法律第七十五号)の一部を次のように改正する。
第一条中「社会福祉施設職員退職手当共済制度」を「社会福祉施設職員等退職手当共済制度」に改める。
第二十一条第一項第三号中「社会福祉施設職員退職手当共済法」を「社会福祉施設職員等退職手当共済法」に、同項第四号中「第五項」を「第四項」に改める。
第三十六条第二項及び第三十七条第一項中「社会福祉施設職員退職手当共済法」を「社会福祉施設職員等退職手当共済法」に改める。
(厚生省設置法の一部改正)
第四条 厚生省設置法の一部を次のように改正する。
第五条第六十五号中「社会福祉施設職員退職手当共済法」を「社会福祉施設職員等退職手当共済法」に改める。
第六条第五十四号中「社会福祉法人」を「社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)の定めるところにより、社会福祉法人」に改め、「及び」を削り、「指定する」を「指定し、及び基本指針を定める」に改める。
第五条 厚生省設置法の一部を次のように改正する。
第六条第五十四号中「を定める」を「を定め、並びに同法の規定に基づき中央福祉人材センター及び福利厚生センターを指定し、並びにこれらに対し、認可その他監督を行う」に改める。
(その他の経過措置の政令への委任)
第六条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
厚生大臣 山下徳夫
内閣総理大臣 宮沢喜一