(目的)
第一条 この法律は、ゴルフ場等に係る会員契約の締結及びその履行を公正にし、並びに会員が受けることのある会員契約に係る損害の防止を図ることにより、会員の利益を保護し、あわせて会員契約に基づく役務の提供を適正かつ円滑にすることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「会員契約」とは、当事者の一方が相手方に対してゴルフ場その他スポーツ施設又は保養のための施設であって政令で定めるものを継続的に利用させる役務(以下「指定役務」という。)を提供することを約し、相手方がこれに応じて政令で定める金額以上の額の金銭を支払うことを約する契約をいう。
2 この法律において「会員制事業者」とは、会員契約に基づき指定役務を提供する事業(以下「会員制事業」という。)を行う者(会員制事業を行おうとする者を含む。)をいう。
3 この法律において「会員」とは、会員制事業者から会員契約に基づき指定役務の提供を受ける者をいう。
4 この法律において「募集」とは、広告その他これに類似する方法により会員契約の締結について、勧誘をし、若しくは勧誘をさせること又は会員契約の締結をすること若しくは会員契約の締結の代理若しくは媒介を行わせることをいう。
5 この法律において「会員契約代行者」とは、会員契約の締結の代理又は媒介を行う者をいう。
6 この法律において「預託金」とは、会員が会員契約に基づき会員制事業者に支払う金銭(以下「拠出金」という。)のうち会員制事業者が会員に対して将来返還することを約したものをいう。
(募集の届出)
第三条 会員制事業者は、募集をしようとするときは、あらかじめ、通商産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を主務大臣に届け出なければならない。
一 会員制事業者に関する事項であって次に掲げるもの
イ 氏名又は名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名
ロ 会員制事業を行うのに必要な資金の額及びその調達方法
ハ 指定役務に係る施設を所有権以外の権原に基づいて占有する場合にあっては、当該権原の内容
二 会員契約に関する事項であって次に掲げるもの
ロ 指定役務に係る施設の開設時期その他の当該施設についての計画に関する事項で通商産業省令で定めるもの
ホ 会員に預託金を支払わせる場合にあっては、預託金の額及び据置期間並びに預託金の額の全部又は一部に相当する額の金銭を会員に返還することを担保するための措置の有無及びその内容
ト 会員制事業者が会員の数についての計画を変更する場合において会員が会員契約を解除することができる旨の定めがあるときはその内容その他会員契約の解除に関する事項
チ 損害賠償額の予定(違約金を含む。)に関する定めがあるときは、その内容
リ 会員契約に基づく会員の債権の譲渡に関する定めがあるときは、その内容
2 前項の規定は、同項の規定による届出があった施設に係る募集をしようとするときには、適用しない。ただし、会員制事業者が、同項の規定により届け出た同項第一号に掲げる事項の変更(通商産業省令で定める軽微な変更を除く。)をした後に、又は同項の規定により届け出た同項第二号に掲げる事項の変更をして、募集をしようとするときは、この限りでない。
(会員契約の締結時期の制限)
第四条 会員制事業者又は会員契約代行者は、会員契約に係る施設が開設された後でなければ、当該施設に係る会員契約の締結をしてはならない。ただし、会員制事業者が政令で定める者との間において、政令で定めるところにより、当該施設が開設されないこととなった場合において会員制事業者が会員に対して行うべき拠出金の返還につき、その額の二分の一以上の額に相当する額の金銭の会員に対する支払を担保する契約(以下「保証委託契約」という。)を締結した後(当該施設の開設に係る工事に関し、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第二十九条の許可その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものが必要である場合にあっては、当該処分があった後に限る。)に、通商産業省令で定めるところにより、主務大臣にその旨を届け出た場合において、当該保証委託契約に係る会員契約の締結をするときは、この限りでない。
(書面の交付)
第五条 会員制事業者又は会員契約代行者は、会員契約の締結(会員契約の締結の媒介を含む。)をしようとするときは、顧客に対し、当該会員契約が成立するまでの間に、通商産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
一 会員契約の内容及びその履行に関する事項であって通商産業省令で定めるものについての当該会員契約の概要
二 会員制事業者の業務及び財産の状況に関する事項であって通商産業省令で定めるもの
2 会員制事業者又は会員契約代行者は、会員契約の締結をしたときは、会員に対し、遅滞なく、通商産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
二 指定役務に係る施設の開設時期その他の当該施設についての計画に関する事項で通商産業省令で定めるもの
三 指定役務に係る施設を所有権以外の権原に基づいて占有する場合にあっては、当該権原の内容
四 会員の数及び新たに会員契約を締結しようとする者の数
六 会員に預託金を支払わせる場合にあっては、預託金の額及び据置期間並びに預託金の額の全部又は一部に相当する額の金銭を会員に返還することを担保するための措置の有無及びその内容
八 会員制事業者が会員の数についての計画を変更する場合において会員が会員契約を解除することができる旨の定めがあるときはその内容その他会員契約の解除に関する事項(第十二条第一項から第三項までの規定に関する事項を含む。)
九 損害賠償額の予定(違約金を含む。)に関する定めがあるときは、その内容
十 会員契約に基づく会員の債権の譲渡に関する定めがあるときは、その内容
十一 保証委託契約を締結している場合にあっては、その内容
十二 前各号に掲げるもののほか、会員契約の内容及びその履行に関する事項であって通商産業省令で定めるもの
3 第三条第一項の規定による届出をした会員制事業者は、会員の数についての計画その他の会員契約に関する事項であって通商産業省令で定めるものを変更しようとするときは、あらかじめ、通商産業省令で定めるところにより、会員に対し、当該変更の内容を記載した書面を交付しなければならない。
(誇大広告の禁止)
第六条 会員制事業者又は会員契約代行者は、会員契約に関する事項について広告をするときは、指定役務の内容、指定役務に係る施設の概要、会員の数についての計画その他の通商産業省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認されるような表示をしてはならない。
(会員契約の締結又は更新についての勧誘等)
第七条 会員制事業者又は会員契約代行者は、会員契約の締結又は更新についての勧誘をするに際し、会員契約に関する事項であって、顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない。
2 会員制事業者は、会員契約の解除を妨げる目的をもって、会員契約に関する事項であって、会員の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、不実のことを告げる行為をしてはならない。
(不当な行為等の禁止)
第八条 会員制事業者又は会員契約代行者は、次に掲げる行為をしてはならない。
一 威迫する言動を交えて、会員契約の締結若しくは更新についての勧誘をし、又は会員契約の解除を妨げること。
二 会員契約に基づく債務又は会員契約の解除によって生ずる債務の全部又は一部の履行を拒否し、又は不当に遅延させること。
三 前二号に掲げるもののほか、会員契約に関する行為であって、顧客又は会員の保護に欠けるものとして通商産業省令で定めるもの
(書類の閲覧)
第九条 第三条第一項の規定による届出をした会員制事業者は、通商産業省令で定めるところにより、当該会員制事業者の業務及び財産の状況を記載した書類を、会員契約に関する業務を行う事業所に備え置き、会員の求めに応じ、閲覧させなければならない。
(指示)
第十条 主務大臣は、会員制事業者が第三条から前条までの規定に違反し、又は会員契約代行者が第四条、第五条第一項若しくは第二項、第六条、第七条第一項若しくは第八条の規定に違反した場合において、会員契約の締結及びその履行の公正並びに会員の利益が害されるおそれがあると認めるときは、その会員制事業者又は会員契約代行者に対し、会員契約の締結、更新又は解除に係る業務に関し必要な措置をとるべきことを指示することができる。
(業務の停止等)
第十一条 主務大臣は、会員制事業者が第三条から第九条までの規定に違反し、若しくは会員契約代行者が第四条、第五条第一項若しくは第二項、第六条、第七条第一項若しくは第八条の規定に違反した場合において、会員契約の締結及びその履行の公正並びに会員の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、又は会員制事業者若しくは会員契約代行者が前条の規定による指示に従わないときは、その会員制事業者又は会員契約代行者に対し、一年以内の期間を限り、会員契約の締結、更新又は解除に係る業務の全部又は一部を停止すべきことを命ずることができる。
2 主務大臣は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。
(会員契約の解除等)
第十二条 会員は、第五条第二項の書面を受領した日から起算して八日を経過したときを除き、書面により会員契約の解除を行うことができる。この場合において、会員制事業者は、当該会員契約の解除に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。
2 前項の会員契約の解除は、当該会員契約の解除を行う旨の書面を発した時に、その効力を生ずる。
3 会員制事業者は、第一項の会員契約の解除があった場合には、既に当該会員契約に基づき役務が提供されたときにおいても、会員に対し、当該役務の提供により得られた利益に相当する金銭の支払を請求することができない。
4 前三項の規定に反する特約で会員に不利なものは、無効とする。
(会員制事業協会)
第十三条 主務大臣は、会員契約の締結及びその履行を公正にし、並びに会員の利益を保護するとともに、会員契約に基づく役務の提供を適正かつ円滑にすることを目的として民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人であって、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、当該業務に係る会員制事業の種類を定めて会員制事業協会として指定することができる。
2 主務大臣は、前項の規定による指定をしたときは、当該会員制事業協会の名称、住所及び事務所の所在地並びに当該指定に係る会員制事業の種類を公示しなければならない。
3 会員制事業協会は、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
4 主務大臣は、前項の規定による届出があったときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
(会員制事業協会の業務)
第十四条 会員制事業協会は、その目的を達成するため、前条第一項の規定による指定に係る会員制事業に関し次に掲げる業務を行うものとする。
一 会員制事業を行うに当たり、この法律その他の法令の規定を遵守させるための会員制事業者に対する指導、勧告その他の業務
二 会員制事業に関し、契約内容の適正化その他会員の保護を図るため必要な会員制事業者に対する指導、勧告その他の業務
三 会員制事業の業務に対する会員等からの苦情の解決
五 会員制事業に関する広報その他会員制事業協会の目的を達成するため必要な業務
(改善命令)
第十五条 主務大臣は、会員制事業協会の前条に規定する業務の運営に関し改善が必要であると認めるときは、会員制事業協会に対し、その改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(指定の取消し等)
第十六条 主務大臣は、会員制事業協会が前条の規定による命令に違反したときは、第十三条第一項の規定による指定を取り消すことができる。
2 主務大臣は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。
(報告及び立入検査)
第十七条 主務大臣は、この法律の施行のため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより会員制事業者若しくは会員契約代行者に対し報告を求め、又はその職員に、会員制事業者若しくは会員契約代行者の事業所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 主務大臣は、第十四条に規定する業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、会員制事業協会に対しその業務若しくは財産に関して報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、会員制事業協会の事務所に立ち入り、その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
3 前二項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第一項又は第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(経過措置)
第十八条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
(適用除外)
第十九条 この法律の規定は、この法律以外の法律の規定であってこれにより会員の利益の保護が確保されるものの適用を受ける契約の締結又はその代理若しくは媒介の行為として政令で定めるものについては、適用しない。
2 この法律の規定は、特別の法律に基づいて設立された組合並びにその連合会及び中央会その他の政令で定める者がその直接又は間接の構成員と締結する会員契約については、適用しない。
3 この法律の規定は、国又は地方公共団体が会員制事業者として締結する会員契約については、適用しない。
(主務大臣)
第二十条 この法律における主務大臣は、通商産業大臣及び当該会員契約に係る役務を提供する事業を所管する大臣とする。
(権限の委任)
第二十一条 この法律により主務大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、地方支分部局の長又は都道府県知事に行わせることができる。
(罰則)
第二十二条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第二十三条 次の各号の一に該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第三条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をして募集をした者
二 第四条の規定に違反して、会員契約の締結をした者
三 第五条第一項から第三項までの規定に違反して、書面を交付せず、又はこれらの規定に規定する事項が記載されていない書面若しくは虚偽の記載のある書面を交付した者
四 第六条の規定に違反して、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものより著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をした者
五 第九条の規定に違反して、書類を備え置かず、若しくは会員の求めに応じて閲覧させず、又は虚偽の記載のある書類を備え置き、若しくは会員に閲覧させた者
六 第十七条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
七 第十七条第二項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の資料の提出をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第二十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。