(目的)
第一条 この法律は、電子計算機の高度利用の進展に伴いプログラムの供給不足が深刻化するおそれがある状況にかんがみ、ソフトウェア供給力の開発を効果的に図ることができると認められる地域において、プログラム業務従事者の知識及び技能の向上を図る事業その他のソフトウェア供給力開発事業を推進するための措置を講ずることにより、プログラムの安定的な供給を確保し、もって情報化社会の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「プログラム」とは、情報処理の促進に関する法律(昭和四十五年法律第九十号。以下「情報処理促進法」という。)第二条第二項に規定するプログラムをいう。
2 この法律において「ソフトウェア供給力の開発」とは、プログラムの作成の業務に従事している者(以下「プログラム業務従事者」という。)の知識及び技能の向上を図ること、プログラムの作成を効率的に行うことのできるプログラム及び電子計算機の利用の促進を図ること等により、プログラムの作成又は電子計算機の利用に必要な役務(プログラムの作成に関する知識又は技能を要するものに限る。)の実施に係る能力を開発し、及び向上させることをいう。
3 この法律において「ソフトウェア供給力開発事業」とは、ソフトウェア供給力の開発を図るために行う次に掲げる事業及びプログラムの作成に関する取引のあっせんを行う事業であってこれらの事業に附帯して行われるものをいう。
一 電子計算機を利用してプログラムの作成を効率化するためのプログラム(次号において「効率化プログラム」という。)及びこれを使用するための電子計算機を備える施設その他のプログラムの作成を効率的に行うことのできるプログラム及び電子計算機を備える施設を整備して次のイ及びロの業務を行う事業
イ プログラム業務従事者のプログラムの作成に関して必要な知識及び技能の向上を図る業務
ロ プログラムの作成に関する高度な知識及び技能を有するプログラム業務従事者が他のプログラム業務従事者を統轄しつつプログラムの効率的な作成方法を実践することによりプログラムの作成能力の向上を図ることを指導し、及び支援する業務
二 効率化プログラム及びこれを使用するための電子計算機の展示、効率化プログラムに係る技術情報の提供等を行うことにより効率化プログラムを普及する事業
4 この法律において「地域ソフトウェア供給力開発事業」とは、次条に規定する地域において行われるソフトウェア供給力開発事業をいう。
(地域)
第三条 この法律によるソフトウェア供給力開発事業を推進する措置は、既にソフトウェア供給力の開発が十分に行われ、かつ、今後ともその状況が継続すると見込まれる地域として政令で定める地域以外の地域であって、その地域におけるプログラム業務従事者数、ソフトウェア業を営む事業者数及びそのプログラムの作成能力、電子計算機を利用する産業の集積の程度等の状況及びその見通しからみて、当該地域においてソフトウェア供給力開発事業を推進することにより我が国のプログラムの供給不足に対応してその安定的な供給に資する相当のソフトウェア供給力の開発が促進されると認められる地域において講じられるものとする。
(基本指針)
第四条 主務大臣は、地域ソフトウェア供給力開発事業を推進するための基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。この場合において、次項第二号から第五号までに掲げる事項については、第二条第三項各号に掲げる事業ごとに定めなければならない。
2 基本指針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 プログラムの供給不足の状況及びその見通し並びにこれに対応した地域ソフトウェア供給力開発事業の推進に関する基本的な方向
二 ソフトウェア供給力開発事業を行うことが前条の規定に照らして適当と認められる地域の基準(次条第三項第一号において「地域基準」という。)に関する事項
三 地域ソフトウェア供給力開発事業を行う者の要件に関する事項
四 地域ソフトウェア供給力開発事業の内容(第二条第三項第一号に掲げる事業にあっては、整備に係る施設を含む。)に関する事項
五 その他地域ソフトウェア供給力開発事業の推進に際し配慮すべき重要事項
3 主務大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
4 主務大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(事業計画の承認)
第五条 第三条に規定する地域においてソフトウェア供給力開発事業を行おうとする者(当該ソフトウェア供給力開発事業を行う法人を設立しようとする者を含む。)は、当該ソフトウェア供給力開発事業に関する計画(以下「事業計画」という。)を作成し、これを主務大臣に提出して、その事業計画が適当である旨の承認を受けることができる。
2 事業計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。この場合において、第二条第三項第一号に掲げるソフトウェア供給力開発事業を行うときは、第二号に掲げる事項を除き、同項第一号イ及びロに掲げる業務ごとに記載しなければならない。
二 ソフトウェア供給力開発事業を行う者に関する事項
三 ソフトウェア供給力開発事業の内容(第二条第三項第一号に掲げる事業にあっては、その整備しようとする施設を含む。)
五 ソフトウェア供給力開発事業を行うのに必要な資金の額及びその調達方法
3 主務大臣は、第一項の承認の申請があった場合において、その事業計画が次の各号に適合するものであると認めるときは、その承認をするものとする。
一 前項第一号に掲げる場所が第三条の政令で定める地域以外の地域に属し、かつ、その事業計画に係るソフトウェア供給力開発事業の実施の対象となると認められる地域(次号において「事業対象地域」という。)が基本指針において定める地域基準に適合するものであること。
二 その事業計画に係るソフトウェア供給力開発事業を実施すること及び前項第三号に掲げる事項が事業対象地域のソフトウェア供給力の開発の状況及びその見通しからみて適当なものであること。
三 前項第二号に掲げる事項が前条第二項第三号に掲げる事項について基本指針で定めるものに照らして適当なものであること。
四 前項第三号に掲げる事項が前条第二項第一号及び第四号に掲げる事項について基本指針で定めるものに照らして適当なものであること。
五 前項第三号から第五号までに掲げる事項がその事業計画に係るソフトウェア供給力開発事業を確実に行うために適当なものであること。
六 その他基本指針に照らして適当なものであること。
(事業計画の変更等)
第六条 前条第一項の承認を受けた者(その者の設立に係る同項の法人を含む。)は、当該承認に係る事業計画を変更しようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。
2 主務大臣は、前条第一項の承認を受けた事業計画(前項の規定による変更の承認があったときは、その変更後のもの。以下「承認計画」という。)に係る地域ソフトウェア供給力開発事業を行う者(以下「承認事業者」という。)が当該承認計画に従って地域ソフトウェア供給力開発事業を行っていないと認めるときは、その承認を取り消すことができる。
3 前条第三項の規定は、第一項の承認について準用する。
(情報処理振興事業協会の行う地域ソフトウェア供給力開発事業推進業務)
第七条 情報処理振興事業協会(以下「協会」という。)は、情報処理促進法第二十八条第一項に規定する業務のほか、地域ソフトウェア供給力開発事業を推進するため、次に掲げる業務を行う。
一 承認事業者が承認計画に従って行う第二条第三項第一号に掲げるソフトウェア供給力開発事業に必要な資金の出資を行うこと。
二 承認事業者が承認計画に従って行う第二条第三項第一号イに掲げる業務に必要な教材を開発し、及びその開発に係る教材を提供すること。
三 第三条に規定する地域においてソフトウェア供給力開発事業を行おうとする者又は承認事業者に対し、その事業計画の立案又はその承認計画の実施に関し、指導及び助言を行うこと。
四 地域ソフトウェア供給力開発事業の円滑な実施に関し必要な調査を行い、及びその成果を普及すること。
(特別勘定)
第八条 協会は、前条第一号に掲げる業務(これに附帯する業務を含む。)に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定を設けて整理しなければならない。
(情報処理促進法の特例)
第九条 第七条の規定により協会の業務が行われる場合における次の表の上欄に掲げる情報処理促進法の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
第十条第二項 |
、通商産業大臣 |
通商産業大臣の認可を受けて、地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置法(以下「地域ソフトウェア供給力開発法」という。)第七条第一号に掲げる業務(以下「出資業務」という。)に必要な資金又は同条第二号に掲げる業務(以下「教材開発業務」という。)に必要な資金に充てるため必要があるときは通商産業大臣及び労働大臣 |
第十条第四項 |
又は第三十条第一項の信用基金 |
、第三十条第一項の信用基金、出資業務に必要な資金又は教材開発業務に必要な資金 |
第二十一条第二項 |
通商産業大臣 |
通商産業大臣(地域ソフトウェア供給力開発法第七条に規定する業務(以下「地域ソフトウェア供給力開発事業推進業務」という。)に係る変更については、通商産業大臣及び労働大臣) |
第二十三条第四項 |
通商産業大臣 |
通商産業大臣(人材育成関連業務(出資業務及び教材開発業務並びに地域ソフトウェア供給力開発法第七条第三号から第五号までに掲げる業務であつて地域ソフトウェア供給力開発法第二条第三項第一号に掲げるソフトウェア供給力開発事業に係るものをいう。以下同じ。)に関する意見については、通商産業大臣及び労働大臣) |
第二十九条第一項 |
通商産業大臣 |
通商産業大臣(人材育成関連業務に係るものについては、通商産業大臣及び労働大臣) |
第二十九条第二項 |
通商産業省令 |
通商産業省令(人材育成関連業務に係るものについては、通商産業省令、労働省令) |
第三十二条及び第三十三条 |
通商産業大臣 |
通商産業大臣(地域ソフトウェア供給力開発事業推進業務に係る部分については、通商産業大臣及び労働大臣) |
第三十四条の三第三項 |
特別の勘定 |
特別の勘定、地域ソフトウェア供給力開発法第八条の規定による特別の勘定 |
第三十四条の三第四項 |
通商産業大臣の認可を受けて、その残余の額を |
その残余の額を |
プログラム作成効率化業務に係る出資者の出資に対し |
通商産業大臣の認可を受けてプログラム作成効率化業務に係る出資者の出資に対し、地域ソフトウェア供給力開発法第八条に規定する特別の勘定にあつては通商産業大臣及び労働大臣の認可を受けて出資業務に係る出資者の出資に対し |
一般の勘定にあつては |
一般の勘定にあつては通商産業大臣の認可を受けて |
という。)に係る出資者の出資に対し |
という。)及び教材開発業務に係る出資者の出資に対し |
第三十五条第一項及び第二項ただし書並びに第三十五条の三 |
通商産業大臣 |
通商産業大臣(地域ソフトウェア供給力開発事業推進業務に係るものについては、通商産業大臣及び労働大臣) |
第三十六条 |
この法律 |
この法律及び地域ソフトウェア供給力開発法 |
通商産業省令 |
通商産業省令(地域ソフトウェア供給力開発事業推進業務に係るものについては、通商産業省令、労働省令) |
第三十七条第一項及び第三十八条 |
通商産業大臣 |
通商産業大臣(人材育成関連業務については、通商産業大臣及び労働大臣) |
この法律 |
この法律又は地域ソフトウェア供給力開発法 |
第三十九条第二項 |
及び第三十条第一項の信用基金に係る出資 |
、第三十条第一項の信用基金に係る出資、出資業務に係る出資及び教材開発業務に係る出資 |
第四十条第一項 |
その他の一般の勘定 |
地域ソフトウェア供給力開発法第八条に規定する特別の勘定に属する額に相当する額を出資業務に係る各出資者に対し、その他の一般の勘定 |
|
及び第三十条第一項の信用基金 |
、第三十条第一項の信用基金に係る各出資者及び教材開発業務 |
第四十一条第一項 |
次の場合には |
次の場合には、地域ソフトウェア供給力開発法第九条第二項に規定する場合を除き |
第四十一条第二項 |
次の場合には |
次の場合には、地域ソフトウェア供給力開発法第九条第三項に規定する場合を除き |
第四十三条第一号 |
通商産業大臣 |
通商産業大臣又は通商産業大臣及び労働大臣 |
第四十三条第三号 |
第二十八条第一項 |
第二十八条第一項及び地域ソフトウェア供給力開発法第七条 |
2 通商産業大臣及び労働大臣は、前項の規定により読み替えられた情報処理促進法第十条第二項、第二十九条第一項、第三十二条、第三十四条の三第四項、第三十五条第一項若しくは第二項ただし書若しくは第三十五条の三の規定による認可をしようとするとき、前項の規定により読み替えられた情報処理促進法第三十三条第一項の規定による承認をしようとするとき又は前項の規定により読み替えられた情報処理促進法第三十六条の規定による通商産業省令、労働省令を定めようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。
3 通商産業大臣及び労働大臣は、第一項の規定により読み替えられた情報処理促進法第二十九条第一項の規定による認可又は第三十二条の規定による認可(事業計画に係る部分に限る。)をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
(雇用促進事業団の行う出資業務)
第十条 雇用促進事業団は、雇用促進事業団法(昭和三十六年法律第百十六号。次条において「事業団法」という。)第十九条に規定する業務のほか、プログラム業務従事者たる労働者のプログラムの作成に関して必要な知識及び技能の向上を図るため、次に掲げる業務を行う。
一 協会に対し、第七条第一号に規定する出資に充てるために必要な資金の出資を行うこと。
(事業団法の特例)
第十一条 前条の規定により雇用促進事業団の業務が行われる場合には、事業団法第二十条第一項中「第十九条第一項及び第三項」とあるのは「第十九条第一項及び第三項並びに地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置法(以下「地域ソフトウェア供給力開発法」という。)第十条」と、事業団法第二十二条第二項中「認可」とあるのは「認可(地域ソフトウェア供給力開発法第十条に規定する業務に係るものを除く。)」と、事業団法第二十四条第三項中「承認」とあるのは「承認(地域ソフトウェア供給力開発法第十条に規定する業務に係るものを除く。)」と、事業団法第三十二条第二項中「この法律」とあるのは「この法律又は地域ソフトウェア供給力開発法」と、事業団法第四十条第三号中「第十九条」とあるのは「第十九条及び地域ソフトウェア供給力開発法第十条」とする。
(負担金についての損金算入の特例)
第十二条 承認事業者(その者が民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人である場合に限る。)が行う第二条第三項各号に掲げる事業であって承認計画に係るものに係る基金に充てるための負担金を支出した場合には、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、損金算入の特例の適用があるものとする。
(資金の確保)
第十三条 政府は、承認計画に係る地域ソフトウェア供給力開発事業を実施するのに必要な資金の確保又はその融通のあっせんに努めるものとする。
(承認事業者等に対する能力開発事業としての助成及び援助)
第十四条 政府は、プログラム業務従事者たる労働者に関しこの法律に基づきプログラムの作成に関して必要な知識及び技能の向上を図るために必要な措置を講ずる承認事業者等に対して、雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第六十三条の能力開発事業として、必要な助成及び援助を行うものとする。
(報告の徴収)
第十五条 主務大臣は、承認事業者に対し、承認計画に係る地域ソフトウェア供給力開発事業の実施状況に関し報告をさせることができる。
(主務大臣)
第十六条 この法律における主務大臣は、次の各号に定めるとおりとする。
一 第四条第一項に規定する基本指針に関する事項のうち、第二条第三項第一号に掲げるソフトウェア供給力開発事業(以下この条において「知識等開発事業」という。)に係る部分(同号ロに掲げる業務に係る部分にあっては、プログラムの効率的な作成方法を実践するプログラム業務従事者のプログラムの作成に関して必要な知識及び技能の向上の促進について定められるものに限る。)については通商産業大臣及び労働大臣とし、その他の部分については通商産業大臣(第四条第二項第一号に掲げる事項のうち電子計算機に電気通信回線を接続してする情報処理のためのプログラムに係る部分については、通商産業大臣及び郵政大臣)とする。
二 第五条第一項に規定する承認、第六条第一項に規定する変更の承認及び同条第二項に規定する承認の取消しに関する事項のうち、知識等開発事業に係るものについては通商産業大臣及び労働大臣とし、第二条第三項第二号に掲げるソフトウェア供給力開発事業に係るものについては通商産業大臣とする。
三 前条に規定する報告の徴収に関する事項のうち、知識等開発事業の実施状況に係るものについては通商産業大臣及び労働大臣とし、その他のものについては通商産業大臣とする。
(罰則)
第十七条 第十五条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、十万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の刑を科する。