(個人情報ファイルの保有)
第四条 行政機関は、個人情報ファイルを保有する(自らの事務の用に供するため個人情報ファイルを作成し、又は取得し、及び維持管理することをいい、個人情報の電子計算機処理の全部又は一部を他に委託してする場合を含み、他からその委託を受けてする場合を含まない。以下同じ。)に当たつては、法律の定める所掌事務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、できる限りその目的を特定しなければならない。
2 個人情報ファイルに記録されている項目(以下「ファイル記録項目」という。)の範囲及び処理情報の本人として個人情報ファイルに記録される個人の範囲(以下「ファイル記録範囲」という。)は、前項の規定により特定された個人情報ファイルを保有する目的(以下「ファイル保有目的」という。)を達成するため必要な限度を超えないものでなければならない。
(個人情報の安全確保等)
第五条 行政機関が個人情報の電子計算機処理又はせん孔業務その他の情報の入力のための準備作業若しくは磁気テープ等の保管(以下「個人情報の電子計算機処理等」という。)を行うに当たつては、当該行政機関の長(第二条第一号ロの政令で定める特別の機関にあつては、その機関ごとに政令で定める者をいう。以下同じ。)は、個人情報の漏えい、滅失、き損の防止その他の個人情報の適切な管理のために必要な措置(以下「安全確保の措置」という。)を講ずるよう努めなければならない。
2 個人情報ファイルを保有する行政機関(以下「保有機関」という。)の長は、ファイル保有目的に必要な範囲内で、処理情報が過去又は現在の事実と合致するよう努めなければならない。
(個人情報ファイルの保有等に関する事前通知)
第六条 行政機関が個人情報ファイルを保有しようとするときは、当該行政機関の長は、あらかじめ、総務庁長官に対し、次の各号に掲げる事項を通知しなければならない。通知した事項を変更しようとするときは、変更する事項についても、同様とする。
二 保有機関の名称及び個人情報ファイルが使用に供される事務をつかさどる組織の名称
六 処理情報を保有機関以外の者に経常的に提供する場合には、その提供先
七 次条第一項の規定により個人情報ファイル簿に掲載される個人情報ファイル(第十三条第一項ただし書に掲げるもの及び第十九条の規定により全部の処理情報について第十三条第一項本文の規定が適用されないこととなるものを除く。)にあつては、第十三条第一項本文の規定による請求を受理する組織の名称及び所在地
八 次条第二項の規定に基づきファイル記録項目の一部若しくは第五号若しくは第六号に掲げる事項を個人情報ファイル簿に記載しないこととするとき、又は同条第三項の規定に基づき個人情報ファイルを個人情報ファイル簿に掲載しないこととするときは、その旨
九 第十三条第一項ただし書に該当するため同項本文の請求ができない個人情報ファイルにあつては、その旨
十 他の法律又はこれに基づく命令の規定により、処理情報の内容の全部若しくは一部が免許証、許可証、通知書その他の書類に記載され、これらが既に処理情報の本人に交付されているとき、処理情報の内容の全部若しくは一部が公表され若しくは閲覧に供されているとき、処理情報の本人が処理情報の内容の全部若しくは一部を知らせるべき旨の請求をすることができるとき、又は第十三条第一項本文の規定が適用される処理情報についてその内容の全部若しくは一部の訂正、追加若しくは削除(以下「訂正等」という。)に関し特別の手続が定められているときは、その旨及び当該法律又は命令の名称
2 前項の規定は、次の各号に掲げる個人情報ファイルについては、適用しない。
一 国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項を記録する個人情報ファイル
二 犯罪の捜査、租税に関する法律の規定に基づく犯則事件の調査又は公訴の提起若しくは維持のために作成し、又は取得する個人情報ファイル
三 行政機関の職員又は職員であつた者に係る個人情報ファイルであつて、専らその人事、給与若しくは福利厚生に関する事項又はこれらに準ずる事項を記録するもの(行政機関が行う職員の採用試験に関する個人情報ファイルを含む。)
四 専ら試験的な電子計算機処理の用に供するための個人情報ファイル
五 前項の規定による通知に係る個人情報ファイルに記録されている処理情報の全部又は一部を記録した個人情報ファイルであつて、そのファイル保有目的、ファイル記録項目及びファイル記録範囲が当該通知に係るこれらの事項の範囲内のもの
六 一年以内に消去することとなる処理情報のみを記録する個人情報ファイル
七 資料その他の物品若しくは金銭の送付又は業務上必要な連絡のために利用する処理情報を記録した個人情報ファイルであつて、送付又は連絡の相手方の氏名、住所その他の送付又は連絡に必要な事項のみを記録するもの
八 職員が単独で作成する個人情報ファイルであつて、処理情報を専ら自己の職務の遂行のために保有機関の内部で使用するもの
九 職員が学術研究の用に供するためその発意に基づき作成し、又は取得する個人情報ファイルであつて、処理情報を専ら当該学術研究の目的のために使用するもの
十 処理情報の本人の数が政令で定める数に満たない個人情報ファイルであつて、処理情報を保有機関以外の者に提供することが予定されていないもの
十一 第三号から前号までに掲げる個人情報ファイルに準ずるものとして政令で定める個人情報ファイル
3 保有機関の長(第二条第一号ロの政令で定める特別の機関にあつては、第五条第一項の政令で定める者をいう。以下同じ。)は、第一項に規定する事項を通知した個人情報ファイルについて、当該保有機関がその保有をやめたとき、又はその個人情報ファイルが前項第十号に該当するに至つたときは、遅滞なく、総務庁長官に対しその旨を通知しなければならない。
(個人情報ファイル簿の作成及び閲覧)
第七条 保有機関の長は、政令で定めるところにより、当該保有機関が保有している個人情報ファイル(前条第二項各号に掲げるものを除く。)について、それぞれ同条第一項第一号から第七号まで、第九号及び第十号に掲げる事項を記載した帳簿(以下「個人情報ファイル簿」という。)を作成し、一般の閲覧に供しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、保有機関の長は、ファイルの記録項目の一部又は前条第一項第五号若しくは第六号に掲げる事項を個人情報ファイル簿に記載することにより、ファイル保有目的に係る事務の適正な遂行を著しく阻害するおそれがあると認めるときは、そのファイル記録項目の一部又は事項を記載しないことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、保有機関の長は、次の各号に掲げる事務のいずれかに使用される個人情報ファイルについて、当該個人情報ファイル簿に掲載することにより、ファイル保有目的に係る事務の適正な遂行を著しく阻害するおそれがあると認めるときは、これを個人情報フアイル簿に掲載しないことができる。
四 出入国の管理若しくは難民の認定又は査証に関する事務
六 前各号に掲げる事務に準ずるものとして政令で定める事務
(個人情報ファイルの公示)
第八条 総務庁長官は、第六条第一項の規定による通知を受けた個人情報ファイルについて、少なくとも毎年一回、同項第一号から第七号まで、第九号及び第十号に掲げる事項を官報で公示するものとする。ただし、同条第三項の規定による通知があつた個人情報ファイルについては、この限りでない。
2 前項の規定にかかわらず、総務庁長官は、次の各号に掲げる個人情報ファイルについては、当該各号に掲げるファイル記録項目の一部又は事項の公示をしないものとする。
一 前条第二項の規定に基づきファイル記録項目の一部又は第六条第一項第五号若しくは第六号に掲げる事項を個人情報ファイル簿に記載しないこととされた個人情報ファイル 当該記載しないこととされたファイル記録項目の一部又は事項
二 前条第三項の規定に基づき個人情報ファイル簿に掲載しないこととされた個人情報ファイル 前項に規定する事項
3 第一項の規定にかかわらず、総務庁長官は、前回の公示後、第六条第一項の規定による変更する事項の通知がないときは、その個人情報ファイルについては、第一項の規定による公示をしないことができる。
4 総務庁長官は、第一項の規定による公示を行つた個人情報ファイルについて、前回の公示後、第六条第三項の規定による通知を受けたときは、第一項の規定による公示の際当該通知の内容を併せて公示するものとする。
(処理情報の利用及び提供の制限)
第九条 処理情報は、法律の規定に基づき、保有機関の内部において利用し、又は保有機関以外の者に提供しなければならないときを除き、ファイル保有目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。
2 前項の規定にかかわらず、保有機関の長は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、ファイル保有目的以外の目的のために処理情報を利用し、又は提供することができる。ただし、処理情報をファイル保有目的以外の目的のために利用し、又は提供することによつて、処理情報の本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りではない。
一 処理情報の本人の同意があるとき、又は処理情報の本人に提供するとき。
二 保有機関が法律の定める所掌事務の遂行に必要な限度で処理情報を内部で利用する場合であつて、当該処理情報を利用することについて相当な理由のあるとき。
三 保有機関以外の行政機関、地方公共団体又は法律により直接に設立された法人若しくは特別の法律により特別の設立行為をもつて設立された法人(総務庁設置法(昭和五十八年法律第七十九号)第四条第十一号の規定の適用を受けない法人を除く。以下「特殊法人」という。)に処理情報を提供する場合において、処理情報の提供を受ける者(以下「受領者」という。)が、法律の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で処理情報を使用し、かつ、当該処理情報を使用することについて相当な理由のあるとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、専ら統計の作成又は学術研究の目的のために処理情報を提供するとき、処理情報の本人以外の者に提供することが明らかに処理情報の本人の利益になるときその他処理情報を提供することについて特別の理由のあるとき。
3 前項の規定は、処理情報の利用又は提供を制限する他の法律の規定の適用を妨げるものではない。
4 保有機関の長は、個人の権利利益を保護するため特に必要があると認めるときは、処理情報のファイル保有目的以外の目的のための保有機関の内部における利用を特定の部局又は機関に限るものとする。
(受領者に対する措置要求)
第十条 保有機関の長は、前条第二項の規定に基づき、処理情報を同項第三号又は第四号に掲げる者に提供する場合において、必要があると認めるときは、受領者に対し、提供に係る処理情報について、その使用目的若しくは使用方法の制限その他必要な制限を付し、又は安全確保の措置を講ずることを求めるものとする。
2 前項の規定により、前条第二項第三号に掲げる者に対し制限を付し、又は必要な措置を講ずることを求めるに当たつては、保有機関の長は、これらの者の事務又は業務の遂行を不当に阻害することのないよう留意するものとする。
(個人情報の電子計算機処理等の受託者の責務)
第十一条 第五条第一項の規定は、行政機関から個人情報の電子計算機処理等の委託を受けた者が受託した業務を行う場合について準用する。
(個人情報の電子計算機処理等に従事する者の義務)
第十二条 個人情報の電子計算機処理等を行う行政機関の職員若しくは職員であつた者又は前条の受託業務に従事している者若しくは従事していた者は、その業務に関して知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に使用してはならない。