水道法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第73号
公布年月日: 昭和52年6月23日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

水道の需給見通し、布設状況、水源の清潔保持の状況を踏まえ、水道に関する国・地方公共団体等の責務を明確化するとともに、水道整備の計画的推進や簡易専用水道の管理規制等の措置を講じるものである。具体的には、水源の清潔保持と水の適正使用に関する各主体の責務の明確化、地方公共団体による計画的整備施策の策定・実施、国による基本的・総合的施策の策定と技術的・財政的援助の実施、広域的水道整備計画の策定、水道事業の市町村による原則経営、水質検査施設の設置義務、簡易専用水道の管理基準の設定と定期検査の義務付け、水源水質保全に関する意見具申制度の創設、地方公共団体への国庫補助制度の整備等を行うものである。

参照した発言:
第80回国会 衆議院 社会労働委員会 第21号

審議経過

第80回国会

衆議院
(昭和52年5月24日)
(昭和52年5月24日)
参議院
(昭和52年5月24日)
(昭和52年5月25日)
(昭和52年6月28日)
水道法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十二年六月二十三日
内閣総理大臣 福田赳夫
法律第七十三号
水道法の一部を改正する法律
水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)の一部を次のように改正する。
目次中「第一章 総則(第一条―第五条)」を
第一章
総則(第一条―第五条)
第一章の二
広域的水道整備計画(第五条の二)
に、「第四章 専用水道(第三十二条―第三十四条)」を
第四章
専用水道(第三十二条―第三十四条)
第四章の二
簡易専用水道(第三十四条の二)
に、「第五十条」を「第五十条の二」に改める。
第一条中「とともに、」の下に「水道を計画的に整備し、及び」を加える。
第二条を次のように改める。
(責務)
第二条 国及び地方公共団体は、水道が国民の日常生活に直結し、その健康を守るために欠くことのできないものであり、かつ、水が貴重な資源であることにかんがみ、水源及び水道施設並びにこれらの周辺の清潔保持並びに水の適正かつ合理的な使用に関し必要な施策を講じなければならない。
2 国民は、前項の国及び地方公共団体の施策に協力するとともに、自らも、水源及び水道施設並びにこれらの周辺の清潔保持並びに水の適正かつ合理的な使用に努めなければならない。
第二条の二 地方公共団体は、当該地域の自然的社会的諸条件に応じて、水道の計画的整備に関する施策を策定し、及びこれを実施するとともに、水道事業及び水道用水供給事業を経営するに当たつては、その適正かつ能率的な運営に努めなければならない。
2 国は、水源の開発その他の水道の整備に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを推進するとともに、地方公共団体並びに水道事業者及び水道用水供給事業者に対し、必要な技術的及び財政的援助を行うよう努めなければならない。
第三条中第十項を第十一項とし、第七項から第九項までを一項ずつ繰り下げ、第六項の次に次の一項を加える。
7 この法律において「簡易専用水道」とは、水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であつて、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいう。ただし、その用に供する施設の規模が政令で定める基準以下のものを除く。
第一章の次に次の一章を加える。
第一章の二 広域的水道整備計画
第五条の二 地方公共団体は、この法律の目的を達成するため水道の広域的な整備を図る必要があると認めるときは、関係地方公共団体と共同して、水道の広域的な整備に関する基本計画(以下「広域的水道整備計画」という。)を定めるべきことを都道府県知事に要請することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による要請があつた場合において、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係地方公共団体と協議し、かつ、当該都道府県の議会の同意を得て、広域的水道整備計画を定めるものとする。
3 広域的水道整備計画においては、次の各号に掲げる事項を定めなければならない。
一 水道の広域的な整備に関する基本方針
二 広域的水道整備計画の区域に関する事項
三 前号の区域に係る根幹的水道施設の配置その他水道の広域的な整備に関する基本的事項
4 広域的水道整備計画は、当該地域における水系、地形その他の自然的条件及び人口、土地利用その他の社会的条件、水道により供給される水の需要に関する長期的な見通し並びに当該地域における水道の整備の状況を勘案して定めなければならない。
5 都道府県知事は、広域的水道整備計画を定めたときは、遅滞なく、これを厚生大臣に報告するとともに、関係地方公共団体に通知しなければならない。
6 厚生大臣は、都道府県知事に対し、広域的水道整備計画に関し必要な助言又は勧告をすることができる。
第六条の見出しを「(事業の認可及び経営主体)」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 水道事業は、原則として市町村が経営するものとし、市町村以外の者は、給水しようとする区域をその区域に含む市町村の同意を得た場合に限り、水道事業を経営することができるものとする。
第十条第一項に後段として次のように加える。
この場合において、給水区域の拡張により新たに他の市町村の区域が給水区域に含まれることとなるときは、当該他の市町村の同意を得なければ、当該認可を受けることができない。
第十条第二項中「第六条第二項及び」及びただし書を削る。
第二十条に次の一項を加える。
3 水道事業者は、第一項の規定による水質検査を行うため、必要な検査施設を設けなければならない。ただし、当該水質検査を地方公共団体の機関又は厚生大臣の指定する者に委託して行うときは、この限りでない。
第四章の次に次の一章を加える。
第四章の二 簡易専用水道
第三十四条の二 簡易専用水道の設置者は、厚生省令で定める基準に従い、その水道を管理しなければならない。
2 簡易専用水道の設置者は、当該簡易専用水道の管理について、厚生省令の定めるところにより、定期に、地方公共団体の機関又は厚生大臣の指定する者の検査を受けなければならない。
第三十六条に次の一項を加える。
3 都道府県知事は、簡易専用水道の管理が第三十四条の二第一項の厚生省令で定める基準に適合していないと認めるときは、当該簡易専用水道の設置者に対して、期間を定めて、当該簡易専用水道の管理に関し、清掃その他の必要な措置を採るべき旨を命ずることができる。
第三十七条中「専用水道」の下に「又は簡易専用水道」を、「前条第一項」の下に「又は第三項」を加え、「前条第二項」を「同条第二項」に改める。
第三十九条第三項中「第一項」の下に「又は第二項」を加え、同項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 都道府県知事は、簡易専用水道の管理の適正を確保するために必要があると認めるときは、簡易専用水道の設置者から簡易専用水道の管理について必要な報告を徴し、又は当該職員をして簡易専用水道の用に供する施設の在る場所若しくは設置者の事務所に立ち入らせ、その施設、水質若しくは必要な帳簿書類を検査させることができる。
第四十三条を次のように改める。
(水源の汚濁防止のための要請等)
第四十三条 水道事業者又は水道用水供給事業者は、水源の水質を保全するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対して、水源の水質の汚濁の防止に関し、意見を述べ、又は適当な措置を講ずべきことを要請することができる。
第四十四条中「簡易水道事業を経営しようとする市町村に対し」を「水道事業又は水道用水供給事業を経営する地方公共団体に対し、その事業に要する費用のうち政令で定めるものについて」に改め、「水道の新設に要する費用の」を削る。
第四十五条の次に次の一条を加える。
(研究等の推進)
第四十五条の二 国は、水道に係る施設及び技術の研究、水質の試験及び研究、日常生活の用に供する水の適正かつ合理的な供給及び利用に関する調査及び研究その他水道に関する研究及び試験並びに調査の推進に努めるものとする。
第四十六条に次の一項を加える。
2 この法律の規定により都道府県知事に属する権限は、その一部を市町村長に委任することができる。
第四十八条中「水道施設」の下に「又は簡易専用水道の用に供する施設」を加え、「又は専用水道」を「、専用水道又は簡易専用水道」に改める。
第六章中第五十条の次に次の一条を加える。
(国の設置する簡易専用水道に関する特例)
第五十条の二 この法律中簡易専用水道に関する規定は、第五十三条から第五十六条までの規定を除き、国の設置する簡易専用水道についても適用されるものとする。
2 国の設置する簡易専用水道については、第三十六条第三項、第三十七条及び第三十九条第二項に定める都道府県知事の権限は、厚生大臣が行う。
第五十三条第一号中「第十条第一項」の下に「前段」を加える。
第五十四条に次の一号を加える。
八 第三十四条の二第二項の規定に違反した者
第五十五条第二号中「第三十九条第一項」の下に「又は第二項」を加える。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、目次の改正規定(「第四章 専用水道(第三十二条―第三十四条)」を
第四章
専用水道(第三十二条―第三十四条)
第四章の二
簡易専用水道(第三十四条の二)
に改める部分及び「第五十条」を「第五十条の二」に改める部分に限る。)、第三条及び第二十条の改正規定、第四章の次に一章を加える改正規定、第三十六条、第三十七条、第三十九条、第四十六条及び第四十八条の改正規定、第五十条の次に一条を加える改正規定並びに第五十四条及び第五十五条の改正規定は、この法律の公布の日から起算して一年を経過した日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
2 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(離島振興法の一部改正)
3 離島振興法(昭和二十八年法律第七十二号)の一部を次のように改正する。
第九条第六項中「基き新たに簡易水道を布設する市町村」を「基づき簡易水道の用に供する水道施設の新設又は増設をする地方公共団体」に、「その布設」を「その新設又は増設」に改める。
(奄美群島振興開発特別措置法の一部改正)
4 奄美群島振興開発特別措置法(昭和二十九年法律第百八十九号)の一部を次のように改正する。
別表水道の項中「簡易水道事業に係る水道の新設」を「簡易水道事業の用に供する水道施設の新設又は増設」に改める。
(沖縄振興開発特別措置法の一部改正)
5 沖縄振興開発特別措置法(昭和四十六年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第五条に次の一項を加える。
6 沖縄における水道施設の災害の復旧に要する費用につき水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第四十四条の規定により地方公共団体に対して国が補助する場合における補助の割合は、同条に基づく政令の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、十分の十以内とする。
別表中水道の項を次のように改める。
水道
水道法第三条第二項に規定する水道事業及び同条第四項に規定する水道用水供給事業
十分の十以内
(水源地域対策特別措置法の一部改正)
6 水源地域対策特別措置法(昭和四十八年法律第百十八号)の一部を次のように改正する。
別表第一中「別表第一」を「別表第一(第九条関係)」に、「簡易水道事業に係る水道の新設」を「簡易水道事業の用に供する水道施設の新設又は増設」に改める。
別表第二中「別表第二」を「別表第二(第九条関係)」に改める。
厚生大臣 渡辺美智雄
内閣総理大臣 福田赳夫