中小漁業融資保証法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第44号
公布年月日: 昭和51年6月1日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

中小漁業融資保証保険制度は、中小漁業者等への融資円滑化を図る制度として運営され、49年度末時点で漁業信用基金協会の債務保証残高は約1500億円に達し、中小漁業の振興に大きく貢献してきた。しかし、最近の漁業事情に対応し中小漁業者等の資金融通をより円滑にするため、制度改善が必要となった。具体的には、漁業信用基金協会の債務保証に関する保証保険業務を中央漁業信用基金に移行して一元化を図るとともに、緊急融資資金の保険てん補率を8割に引き上げることで、制度の円滑かつ機能的な運営を目指すものである。

参照した発言:
第77回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号

審議経過

第77回国会

参議院
(昭和51年3月4日)
衆議院
(昭和51年4月28日)
(昭和51年5月6日)
(昭和51年5月7日)
参議院
(昭和51年5月11日)
(昭和51年5月13日)
(昭和51年5月14日)
(昭和51年6月11日)
中小漁業融資保証法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十一年六月一日
内閣総理大臣 三木武夫
法律第四十四号
中小漁業融資保証法の一部を改正する法律
中小漁業融資保証法(昭和二十七年法律第三百四十六号)の一部を次のように改正する。
目次中「第六十九条」を「第七十八条」に改め、「第三章 中小漁業融資保証保険(第七十条―第七十八条)」を削り、「第四章」を「第三章」に改める。
目次中「第四節 業務(第百六条―第百十四条)」を
第四節
業務
第一款
通則(第百六条―第百八条)
第二款
保証保険(第百八条の二―第百八条の十)
第三款
融資保険(第百九条―第百十四条)
に改める。
目次中「第五章」を「第四章」に、「第六章」を「第五章」に改める。
第一条中「その債務を保証し、かつ、その保証につき政府が保険を行う制度を確立するとともに、その健全かつ円滑な運営に資するための措置を講じ」を「その債務を保証する制度及び中央漁業信用基金がその保証等につき保険を行うとともにその保証につき必要な資金の融通を行う制度を確立し」に改める。
第二十一条第十号中「中小漁業融資保証保険」を「第百六条第一号に規定する保証保険」に改める。
第四十三条中「政府」を「中央漁業信用基金」に、「第七十四条」を「第百八条の七」に改める。
第四十三条の二第一項中「第百六条第二号」を「第百六条第三号」に改める。
第三章の章名を削る。
第六十九条から第七十八条までを次のように改める。
第六十九条から第七十八条まで 削除
「第四章 中央漁業信用基金」を「第三章 中央漁業信用基金」に改める。
第七十九条中「農林中央金庫が行う漁業近代化資金等に係る貸付け等」を「協会が行う漁業近代化資金等に係る債務の保証等」に、「その行う債務の保証の業務」を「当該業務」に、「円滑な融通を図る」を「融通を円滑にする」に改める。
第百五条中「刑法」の下に「(明治四十年法律第四十五号)」を加える。
第百六条の前に次の款名を付する。
第一款 通則
第百六条第三号中「前二号」を「前三号」に改め、同号を同条第四号とし、同条第二号を同条第三号とし、同条第一号中「第百九条から第百十四条まで」を「第三款」に改め、同号を同条第二号とし、同条に第一号として次の一号を加える。
一 保証保険(次款の規定による保険をいう。以下同じ。)
第百七条第一項中「主務大臣の認可を受けて」を「業務方法書の定めるところにより」に、「前条第一号」を「保証保険に係る保険契約の締結及び融資保険」に改める。
第百八条第二項第一号を次のように改める。
一 保険関係が成立する保証及び貸付け又は手形の割引の範囲
第百八条第二項第三号を同項第八号とし、同項第二号中「第百六条第二号」を「第百六条第三号」に改め、同号を同項第七号とし、同項第一号の次に次の五号を加える。
二 保険事故
三 保険金額の保険価額に対する割合
四 保険料に関する事項
五 保険金に関する事項
六 回収金の納付その他被保険者の守るべき条件に関する事項
第百八条の次に次の一款及び款名を加える。
第二款 保証保険
(保険契約)
第百八条の二 中央基金は、事業年度の半期ごとに、協会を相手方として、その協会が漁業近代化資金等に係る借入れ(手形の割引を受けることを含むものとし、一の借入れに係る借入金の額又は一の手形の割引に係る手形金額が政令で定める額未満のものを除く。)による債務の保証をすることにより、その協会が借入金(手形の割引の場合には、手形債務)及び遅延利息以外の利息(借入期間が政令で定める期間以上である借入金に係るものに限る。)で政令で定めるもの(以下「借入金等」という。)につき保証をした金額の総額が一定の金額に達するまで、その保証につき、中央基金とその協会との間に保険関係が成立する旨を定める契約を締結することができる。
2 中央基金は、事業年度の半期ごとに、協会を相手方として、その協会が漁業近代化資金等に係る借入れ(手形の割引を受けることを含むものとし、一の借入れに係る借入金の額又は一の手形の割引に係る手形金額が前項の政令で定める額未満のものに限る。)による債務の保証をしたことを中央基金に通知することにより、その協会が借入金等につき保証をした金額の総額が一定の金額に達するまで、その保証につき、中央基金とその協会との間に保険関係が成立する旨を定める契約を締結することができる。
3 前二項の保険関係においては、協会が借入金等につき保証をした金額を保険価額とし、協会が被保証人に代わつてする借入金等の全部又は一部の弁済(手形の割引の場合には、支払。以下この款において同じ。)を保険事故とし、保険価額に一定の率を乗じて得た金額を保険金額とする。
4 前項の一定の率は、地方公共団体が会員となつている協会であつて政令で定めるものについては、百分の七十(公害防止施設の設置の費用その他の公害防止に要する費用で主務大臣が指定するものに充てるために必要な資金(以下「公害防止資金」という。)に係る保険関係にあつては、百分の八十)とし、その他の協会については、百分の五十(公害防止資金に係る保険関係にあつては、百分の六十)とする。
(保険料)
第百八条の三 保険料の額は、保険金額に年百分の三以内で政令で定める率を乗じて得た額とする。
(保険金)
第百八条の四 中央基金が第百八条の二第一項又は第二項の保険関係に基づいて支払うべき保険金の額は、協会が被保証人に代わつて弁済をした借入金等の額から協会がその支払の請求をする時までに被保証人に対する求償権(弁済をした日以後の利息及び避けることができなかつた費用その他の損害の賠償に係る部分を除く。以下この条において同じ。)を行使して取得した額を控除した残額に、第百八条の二第三項の一定の率を乗じて得た額とする。
2 前項の求償権を行使して取得した額は、協会が借入金等のほか第百八条の二第一項の政令で定める利息以外の利息又は費用についても弁済をしたときは、求償権を行使して取得した総額に、弁済をした借入金等の額の総弁済額に対する割合を乗じて得た額とする。
(保険金支払の請求)
第百八条の五 協会は、保険事故の発生の日から一月を経過した後でなければ、保険金の支払の請求をすることができない。
2 協会は、保険事故の発生の日から一年三月を経過した後は、前項の請求をすることができない。
3 中央基金は、特別の事由がある場合を除き、第一項の請求のあつた日から三十日以内に保険金を支払うものとする。
(協会の求償)
第百八条の六 協会は、第百八条の二第一項又は第二項の保険関係が成立した保証に基づき被保証人に代わつて弁済をした場合には、その求償に努めなければならない。
(回収金の納付)
第百八条の七 保険金の支払を受けた協会は、その支払の請求をした後当該被保証人に対する求償権(協会が当該被保証人に代わつて弁済をした日以後保険金の支払を受けた日の前日までの利息及び避けることができなかつた費用その他の損害の賠償に係る部分を除く。以下この条において同じ。)を行使して取得した額(協会が借入金等のほか、第百八条の二第一項の政令で定める利息以外の利息又は費用についても弁済をしたときは、求償権を行使して取得した総額に、当該弁済をした借入金等の額の当該弁済総額に対する割合を乗じて得た額)に、当該支払を受けた保険金の額の当該保険金に係る第百八条の四第一項に規定する残額に対する割合を乗じて得た額を中央基金に納付しなければならない。
(契約の解除等)
第百八条の八 中央基金は、協会がこの法律若しくはこれに基づく命令の規定又は第百八条の二第一項若しくは第二項の保険契約の条項に違反したときは、同条第一項若しくは第二項の保険関係に基づく保険金の全部若しくは一部を支払わず、若しくは当該保険金の全部若しくは一部を返還させ、又は将来にわたつて保険契約を解除することができる。
(災害資金に関する特例)
第百八条の九 第百八条の二第一項又は第二項の保険関係(公害防止資金及び次条に規定する資金に係る保険関係を除く。)であつて、次に掲げる者の事業(第二号に掲げる者にあつては、その直接又は間接の構成員たる第一号に掲げる者の事業)の再建に必要な資金で主務大臣が指定するもの(以下「災害資金」という。)に係る債務の保証に係るものにおいては、第百八条の二第三項の一定の率は、同条第四項の規定にかかわらず、同項の政令で定める協会については百分の八十とし、その他の協会については百分の六十とする。
一 主務大臣が指定する暴風、豪雨、高潮、津波その他の災害を受け、かつ、主務大臣が指定する地域内に住所又は事業場を有する中小漁業者等であつて、当該災害による損失額が主務大臣が定める基準に該当することについてその住所地又は事業場の所在地を管轄する市町村長又は特別区の区長の認定を受けたもの
二 前号に掲げるもののほか、その直接又は間接の構成員のうちに同号に掲げる者を含む水産業協同組合
(緊急融資資金に関する特例)
第百八条の十 第百八条の二第一項又は第二項の保険関係(公害防止資金及び災害資金に係る保険関係を除く。)であつて、漁業再建整備特別措置法(昭和五十一年法律第四十三号)第八条第一項に規定する資金その他漁業経営に関する事情の著しい変化により事業活動に支障を生じている中小漁業者等に対しその事業活動の継続を図るため緊急に融資される資金のうち国の助成に係る利子補給が行われる資金で主務大臣が指定するものに係る債務の保証に係るものにおいては、第百八条の二第三項の一定の率は、同条第四項の規定にかかわらず、百分の八十とする。
第三款 融資保険
第百九条第三項中「漁業再建整備特別措置法第八条第一項」を「前条」に改める。
第百十一条中「漁業再建整備特別措置法第八条第一項」を「第百八条の十」に改める。
第百十四条中「第七十三条」を「第百八条の五」に、「第七十六条」を「第百八条の八」に、「第七十条第一項若しくは第二項」を「第百八条の二第一項若しくは第二項」に改める。
第百十九条第三項中「融資保険の事業と第百六条第二号の貸付けの事業とを」を「保証保険の事業、融資保険の事業及び第百六条第三号の貸付けの事業をそれぞれ」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項中「第百六条第二号」を「第百六条第三号」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項中「保険資金に」を「当該保険資金に」に改め、同項を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。
中央基金は、保証保険の事業に関して、保険資金を設け、政府が当該保険資金に充てるべきものとして示して出資した額に相当する金額をもつてこれに充てなければならない。
「第五章 雑則」を「第四章 雑則」に改める。
「第六章 罰則  」を「第五章 罰則」に改める。
第百二十九条第一項中「五万円」を「十万円」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、目次中「第六十九条」を「第七十八条」に改め、「第三章 中小漁業融資保証保険(第七十条―第七十八条)」を削り、「第四章」を「第三章」に改める改正規定、目次中「第五章」を「第四章」に、「第六章」を「第五章」に改める改正規定、第一条、第二十一条第十号及び第四十三条の改正規定、第三章の章名を削る改正規定、第六十九条から第七十八条までの改正規定、「第四章 中央漁業信用基金」を「第三章 中央漁業信用基金」に改める改正規定、第百五条の改正規定、「第五章 雑則」を「第四章 雑則」に改める改正規定並びに「第六章 罰則」を「第五章 罰則」に改める改正規定並びに次条、附則第三条及び附則第五条から附則第九条までの規定は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(中小漁業融資保証保険特別会計法の廃止)
第二条 中小漁業融資保証保険特別会計法(昭和二十七年法律第三百四十七号。以下「特別会計法」という。)は、廃止する。
2 中小漁業融資保証保険特別会計(以下「特別会計」という。)の昭和五十一年四月一日に始まる会計年度は、特別会計法の廃止の日の前日に終わるものとする。
3 特別会計の昭和五十一年度以前の年度の決算の処理に関しては、なお従前の例による。
(特別会計に属する権利義務の承継等)
第三条 特別会計法の廃止の際現に特別会計に属する権利及び義務は、その廃止の時において、改正後の中小漁業融資保証法(以下「新法」という。)により新法第百六条第一号に規定する保証保険を行うこととなる中央漁業信用基金(以下「中央基金」という。)が承継する。
2 前項の規定により中央基金が特別会計に属する権利及び義務を承継したときは、その承継に係る特別会計の資産の価額からその承継に係る特別会計の負債の価額を控除した残額に相当する金額は、その承継の時において政府から中央基金に新法第百十九条第一項の保険資金に充てるべきものとして出資されたものとする。
(緊急融資資金に関する特例)
第四条 この法律の施行の日から附則第一条ただし書の政令で定める日の前日までの間は、中小漁業融資保証法第七十六条の三の規定の適用については、同条中「漁業再建整備特別措置法(昭和五十一年法律第四十三号)第八条第一項に規定する資金」とあるのは、「漁業再建整備特別措置法(昭和五十一年法律第四十三号)第八条第一項に規定する資金その他漁業経営に関する事情の著しい変化により事業活動に支障を生じている中小漁業者等に対しその事業活動の継続を図るため緊急に融資される資金のうち国の助成に係る利子補給が行われる資金で主務大臣が指定するもの」とする。
(経過措置)
第五条 第六十九条から第七十八条までの改正規定の施行の際現に成立している中小漁業融資保証保険の保険関係は、新法第三章第四節第二款の規定により成立した保険関係とみなす。
2 前項の規定により新法第三章第四節第二款の規定により成立した保険関係とみなされた保険関係のうち漁業近代化資金助成法及び中小漁業融資保証法の一部を改正する法律(昭和四十九年法律第四十八号)附則第三条に規定する保険関係に該当する保険関係についての新法第百八条の二第三項及び第四項、第百八条の四並びに第百八条の七の規定の適用については、新法第百八条の二第三項中「借入金等」とあるのは「借入金」と、同条第四項中「百分の七十(公害防止施設の設置の費用その他の公害防止に要する費用で主務大臣が指定するものに充てるために必要な資金(以下「公害防止資金」という。)に係る保険関係にあつては、百分の八十)」とあるのは「百分の七十」と、「百分の五十(公害防止資金に係る保険関係にあつては、百分の六十)」とあるのは「百分の五十」と、新法第百八条の四第一項中「借入金等」とあるのは「借入金」と、同条第二項及び新法第百八条の七中「借入金等」とあるのは「借入金」と、「第百八条の二第一項の政令で定める利息以外の利息」とあるのは「利息」とする。
第六条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律の一部改正)
第七条 退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律(昭和二十五年法律第六十二号)の一部を次のように改正する。
第一条中「、中小漁業融資保証保険特別会計」を削る。
(漁業近代化資金助成法の一部改正)
第八条 漁業近代化資金助成法(昭和四十四年法律第五十二号)の一部を次のように改正する。
第七条第二号中「第七十四条」を「第百八条の七」に、「政府」を「中央漁業信用基金」に改める。
(農林省設置法の一部改正)
第九条 農林省設置法 (昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第八号中「、中小漁業融資保証保倹事業」を削る。
第四条第六十六号中「、中小漁業融資保証保険事業」を削り、「行なう」を「行う」に改める。
第七十七条中第九号を削り、第九号の二を第九号とし、同条第十号中「及び中小漁業融資保証保険特別会計」を削り、「行なう」を「行う」に改める。
大蔵大臣 大平正芳
農林大臣 安倍晋太郎
内閣総理大臣 三木武夫