国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律
法令番号: 法律第三十一号
公布年月日: 昭和51年5月26日
法令の形式: 法律
国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十一年五月二十六日
内閣総理大臣 三木武夫
法律第三十一号
国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律
(国家公務員災害補償法の一部改正)
第一条 国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)の一部を次のように改正する。
目次中「審査」を「審査等」に改める。
第二条中第七号を第八号とし、第六号の次に次の一号を加える。
七 第二十五条の規定による措置の申立てを受理し、審査し、及び判定を行うこと。
第四条第三項第一号中「公務上負傷し、若しくは疾病にかかり、又は通勤により負傷し、若しくは」を「負傷し、又は」に改め、同項第四号中「もつぱら」を「専ら」に改め、同条第四項中「著しく公正を欠く」を「公正を欠くと認められる」に改める。
第九条中第五号を第六号とし、第四号を第五号とし、第三号を第四号とし、第二号の次に次の一号を加える。
三 傷病補償年金
第十二条の次に次の一条を加える。
(傷病補償年金)
第十二条の二 職員が公務上負傷し、若しくは疾病にかかり、又は通勤により負傷し、若しくは疾病にかかり、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後一年六月を経過した日において次の各号のいずれにも該当する場合又は同日後次の各号のいずれにも該当することとなつた場合には、国は、その状態が継続している期間、傷病補償年金を支給する。
一 当該負傷又は疾病が治つていないこと。
二 当該負傷又は疾病による廃疾の程度が、別表に定める第一級から第三級までの各等級に相当するものとして人事院規則で定める第一級、第二級又は第三級の廃疾等級に該当すること。
2 傷病補償年金の額は、当該負傷又は疾病による廃疾の程度が次の各号に掲げる廃疾等級(前項第二号の廃疾等級をいう。第四項において同じ。)のいずれに該当するかに応じ、一年につき当該各号に定める額とする。
一 第一級 平均給与額に三百十三を乗じて得た額
二 第二級 平均給与額に二百七十七を乗じて得た額
三 第三級 平均給与額に二百四十五を乗じて得た額
3 傷病補償年金を受ける者には、休業補償は、行わない。
4 傷病補償年金を受ける者の当該廃疾の程度に変更があつたため、新たに第二項各号に掲げる他の廃疾等級に該当するに至つた場合には、国は、人事院規則で定めるところにより、新たに該当するに至つた廃疾等級に応ずる傷病補償年金を支給するものとし、その後は、従前の傷病補償年金は、支給しない。
第十三条第六項中「行なう」を「行う」に、「行なわない」を「行わない」に改め、同項を同条第七項とし、同条第五項中「行なう」を「行う」に改め、同項を同条第六項とし、同条第四項中「こえて」を「超えて」に改め、同項の次に次の一項を加える。
5 別表に定める各等級の身体障害に該当しない身体の障害であつて、同表に定める各等級の身体障害に相当するものは、同表に定める当該等級の身体障害とする。
第十四条(見出しを含む。)中「休業補償」の下に「、傷病補償年金」を加え、「一部を行なわない」を「一部の支給を行わない」に改める。
第十七条の八第一項中「障害補償年金」を「傷病補償年金、障害補償年金」に改める。
第十七条の九の見出し中「年金たる補償」を「年金たる補償等」に改め、同条に次の二項を加える。
2 同一の公務上の負傷若しくは疾病又は通勤による負傷若しくは疾病(次項において「同一の傷病」という。)に関し、傷病補償年金を受ける権利を有する者が休業補償又は障害補償を受ける権利を有することとなつた場合において、当該傷病補償年金を受ける権利が消滅した月の翌月以後の分として傷病補償年金が支払われたときは、その支払われた傷病補償年金は、当該休業補償又は障害補償の内払とみなす。
3 同一の傷病に関し、休業補償を受けている者が傷病補償年金又は障害補償を受ける権利を有することとなり、かつ、当該休業補償を行わないこととなつた場合において、その後も休業補償が支払われたときは、その支払われた休業補償は、当該傷病補償年金又は障害補償の内払とみなす。
第二十条の二(見出しを含む。)中「係る」の下に「傷病補償年金、」を、「ついては」の下に「、第十二条の二第二項の規定による額」を加え、「こえない」を「超えない」に改める。
第二十一条中「身体障害」の下に「(同表に定める各等級の身体障害に該当しない身体の障害であつて、同表に定める各等級の身体障害に相当するものを含む。)」を加える。
「第三章 審査」を「第三章 審査等」に改める。
第二十四条に見出しとして「(補償の実施に関する審査の申立て等)」を付する。
第二十五条を次のように改める。
(福祉施設の運営に関する措置の申立て等)
第二十五条 実施機関の行う第二十一条の規定による補装具の支給又は第二十二条の福祉施設の運営に関し不服のある者は、人事院規則に定める手続に従い、人事院に対し、実施機関により適当な措置が講ぜられることを申し立てることができる。
2 前条第二項の規定は、前項の措置の申立てについて準用する。
第二十六条第一項及び第二十七条第一項中「審査」を「第二十四条の規定による審査」に改める。
第二十八条中「障害補償」を「傷病補償年金、障害補償」に、「行なわない」を「行わない」に改める。
附則第三項中「第二十四条から第二十七条まで」を「第二十四条、第二十六条及び第二十七条」に改める。
別表中「別表」を「別表(第十二条の二、第十三条、第二十一条関係)」に改め、同表第一級の項第三号中「精神」を「神経系統の機能又は精神」に改め、同項第五号を削り、同項中第六号を第五号とし、第七号から第九号までを一号ずつ繰り上げ、同表第三級の項第三号中「精神」を「神経系統の機能又は精神」に改め、同表第四級の項第三号中「鼓膜の全部の欠損その他により」を削り、同表第五級の項中第六号を第八号とし、第二号から第五号までを二号ずつ繰り下げ、第一号の次に次の二号を加える。
二 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
三 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
別表第六級の項第三号を次のように改める。
三 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
別表第六級の項中第七号を第八号とし、第四号から第六号までを一号ずつ繰り下げ、第三号の次に次の一号を加える。
四 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
別表第七級の項第二号及び第三号を次のように改める。
二 両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
三 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
別表第七級の項第四号中「に著しい」を「又は精神に」に改める。
別表第九級の項中第一三号及び第一四号を削り、第一二号を第一六号とし、第八号から第一一号までを四号ずつ繰り下げ、同項第七号中「鼓膜の全部の欠損その他により」を削り、同号を同項第九号とし、同号の次に次の二号を加える。
一〇 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
一一 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
別表第九級の項第六号の次に次の二号を加える。
七 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
八 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
別表第一〇級の項第四号を次のように改める。
四 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
別表第一〇級の項中第一〇号を第一一号とし、第五号から第九号までを一号ずつ繰り下げ、第四号の次に次の一号を加える。
五 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
別表第一一級の項第四号を次のように改める。
四 十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
別表第一一級の項中第九号を第一一号とし、第五号から第八号までを二号ずつ繰り下げ、第四号の次に次の二号を加える。
五 両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
六 一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
別表第一三級の項中第一〇号を第一一号とし、第四号から第九号までを一号ずつ繰り下げ、第三号の次に次の一号を加える。
四 五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
別表第一四級の項中第一〇号を第一一号とし、第三号から第九号までを一号ずつ繰り下げ、第二号の次に次の一号を加える。
三 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
別表備考を削る。
(国家公務員災害補償法の一部を改正する法律の一部改正)
第二条 国家公務員災害補償法の一部を改正する法律(昭和四十一年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
附則第六条第三項中「(昭和四十九年法律第八十三号)」を「(昭和五十一年法律第三十一号)」に改める。
附則第八条第一項中「事由となつた」の下に「廃疾、」を加え、「同法」を「改正後の法」に、「年額から当該給付の年額の百分の五十の範囲内で人事院規則で定める率を乗じて得た額を減じた額」を「年金たる補償の年額に、当該年金たる補償の種類及び当該法令による年金たる給付の種類に応じ、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)別表第一第一号又は第二号の政令で定める率を考慮して人事院規則で定める率を乗じて得た額(その額が人事院規則で定める額を下回る場合には、当該人事院規則で定める額)」に改め、同条第二項中「同法」を「改正後の法」に、「行なわない」を「行わない」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 休業補償の額は、同一の事由について前項の人事院規則で定める法令による年金たる給付が支給される場合には、当分の間、改正後の法の規定にかかわらず、改正後の法の規定による額に、当該法令による年金たる給付の種類に応じ、同項の人事院規則で定める率のうち傷病補償年金について定める率を乗じて得た額(その額が人事院規則で定める額を下回る場合には、当該人事院規則で定める額)とする。
附 則
(施行期日等)
第一条 この法律は、昭和五十二年四月一日から施行する。ただし、第一条中国家公務員災害補償法目次、第二条、第十三条、第二十一条及び第三章の章名の改正規定、同法第二十四条に見出しを付する改正規定並びに同法第二十五条、第二十六条第一項、第二十七条第一項、附則第三項及び別表の改正規定並びに次項及び附則第九条の規定は、公布の日から施行する。
2 第一条の規定による改正後の国家公務員災害補償法(以下「新法」という。)第十三条、第二十一条及び別表の規定は、昭和五十年九月一日から適用する。
(経過措置)
第二条 新法第四条第三項の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に発生した事故に起因する公務上の災害又は通勤による災害に係る補償について適用する。
第三条 第二条の規定による改正後の国家公務員災害補償法の一部を改正する法律(以下「改正後の昭和四十一年法」という。)附則第八条第一項の規定は障害補償年金及び遺族補償年金のうち施行日以後の期間に係る分について、同条第二項の規定は施行日以後に支給すべき事由の生じた休業補償について適用し、障害補償年金及び遺族補償年金のうち施行日前の期間に係る分並びに施行日前に支給すべき事由の生じた休業補償については、なお従前の例による。
第四条 施行日の前日において同一の事由について第一条の規定(附則第一条第一項ただし書に規定する規定を除く。)による改正前の国家公務員災害補償法(以下「旧法」という。)の規定による年金たる補償と第二条の規定による改正前の国家公務員災害補償法の一部を改正する法律(以下「改正前の昭和四十一年法」という。)附則第八条第一項の人事院規則で定める法令による年金たる給付とを支給されていた者で、施行日以後も引き続きこれらの年金たる給付を受けるものに対し、同一の事由について支給する新法の規定による年金たる補償(傷病補償年金を除く。)で施行日の属する月分に係るものについて、新法及び改正後の昭和四十一年法の規定により算定した額が、旧法及び改正前の昭和四十一年法の規定により算定した年金たる補償で施行日の属する月の前月分に係るものの額(以下この項において「旧支給額」という。)に満たないときは、新法及び改正後の昭和四十一年法の規定により算定した額が旧支給額以上の額となる月の前月までの月分の当該年金たる補償の額は、これらの規定にかかわらず、当該旧支給額に相当する額とする。
2 前項の規定の適用を受ける者が、同項に規定する旧支給額以上の額となる月前において、新法第十三条第七項の規定により新たに該当するに至つた等級に応ずる障害補償年金を支給されることとなるとき、新法第十七条第三項又は第四項の規定により遺族補償年金の額を改定して支給されることとなるとき、その他人事院規則で定める事由に該当することとなつたときは、これらの事由に該当することとなつた日の属する月の翌月から当該旧支給額以上の額となる月の前月までの月分の当該年金たる補償の額は、前項の規定にかかわらず、人事院規則で定めるところによつて算定する額とする。
第五条 施行日前に同一の事由について旧法の規定による休業補償と改正前の昭和四十一年法附則第八条第一項の人事院規則で定める法令による年金たる給付とを支給されていた者で、施行日以後も引き続きこれらの年金たる給付を受けるものに対し、同一の事由について支給する新法の規定による休業補償の額は、新法及び改正後の昭和四十一年法の規定により算定した額が施行日の前日に支給すべき事由の生じた旧法の規定による休業補償の額(同日に休業補償を支給すべき事由が生じなかつたときは、同日前に最後に休業補償を支給すべき事由が生じた日の休業補償の額)に満たないときは、新法及び改正後の昭和四十一年法の規定にかかわらず、当該旧法の規定による休業補償の額に相当する額とする。
(人事院規則への委任)
第六条 附則第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、人事院規則で定める。
(国家公務員共済組合法の一部改正)
第七条 国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)の一部を次のように改正する。
第六十六条第七項中「休業補償」の下に「若しくは傷病補償年金」を加え、「これ」を「これら」に、「行なわれる」を「行われる」に改める。
第八十一条第二項中「退職の際に受けている者」の下に「のうち同法第十二条の二の規定による傷病補償年金又はこれに相当する補償を受けている者以外の者」を加え、「公務傷病がなおつた時」を「公務傷病が治つた時又は国家公務員災害補償法の規定による傷病補償年金若しくはこれに相当する補償が支給されることとなつた時」に、「なおつた」を「治つた」に、「なおらない」を「治らない」に改める。
第八十六条の前の見出し中「障害補償年金」を「傷病補償年金等」に改め、同条第一項中「規定による」の下に「傷病補償年金若しくは」を加え、「これに」を「これらに」に改める。
第八十六条の二中「こえる」を「超える」に改め、「災害に係る」の下に「傷病補償年金若しくは」を加え、「これに」を「これらに」に改める。
(私立学校教職員共済組合法の一部改正)
第八条 私立学校教職員共済組合法(昭和二十八年法律第二百四十五号)の一部を次のように改正する。
第二十五条の表第八十一条第二項の項中
国家公務員災害補償法第十条の規定による療養補償又はこれに相当する補償
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第七十五条の規定による療養補償又は労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定による療養補償給付
国家公務員災害補償法第十条の規定による療養補償又はこれに相当する補償
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第七十五条の規定による療養補償又は労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定による療養補償給付
同法第十二条の二の規定による傷病補償年金又はこれに相当する補償を受けている者以外の者
同法第十二条の八の規定による傷病補償年金を受けている者以外の者
国家公務員災害補償法の規定による傷病補償年金若しくはこれに相当する補償が支給されることとなつた時
労働者災害補償保険法の規定による傷病補償年金が支給されることとなつた時
に改め、同表第八十六条第一項の項中「国家公務員災害補償法の規定による」の下に「傷病補償年金若しくは」を加え、「これに」を「これらに」に改める。
(防衛庁職員給与法の一部改正)
第九条 防衛庁職員給与法(昭和二十七年法律第二百六十六号)の一部を次のように改正する。
第二十七条第一項中「第二十四条、第二十六条」を「第二十四条から第二十六条まで」に改める。
(義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休業に関する法律の一部改正)
第十条 義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休業に関する法律(昭和五十年法律第六十二号)の一部を次のように改正する。
第十一条中「もつぱら」を「専ら」に改める。
内閣総理大臣 三木武夫
大蔵大臣 大平正芳
文部大臣 永井道雄