(認定)
第三条 指定地域の全部又は一部を管轄する都道府県知事は、当該指定地域につき前条第二項の規定により定められた疾病にかかつている者について、その者の申請に基づき、公害被害者認定審査会の意見をきいて、その者の当該疾病が当該指定地域に係る大気の汚染又は水質の汚濁の影響によるものである旨の認定を行なう。この場合において、当該疾病が厚生大臣の定める疾病であるときは、当該申請の時にその管轄に属する指定地域の区域内に住所を有しており、かつ、その時まで引き続き当該指定地域内に住所を有する期間が厚生大臣の定める期間以上である者(一日のうち厚生大臣の定める時間以上の時間を当該指定地域内において過ごすことが常態であり、かつ、その期間が指定地域ごとに厚生大臣の定める期間以上である者を含む。)に限つて行なうものとする。
2 指定地域の全部又は一部が政令で定める市の区域内にある場合には、その区域については、前項の規定による都道府県知事の権限は、当該市の長が行なう。
3 都道府県知事(前項の政令で定める市にあつては、当該市の長とする。第六条第一項、第十条及び第二十条を除き、以下同じ。)は、第一項の認定を行なつたときは、当該認定を受けた者に対し、公害医療手帳を交付するものとする。
(医療費の支給)
第四条 都道府県知事は、当該都道府県知事による前条第一項の認定を受けた者が当該認定に係る疾病について次に掲げる医療を受けたときは、その者に対し、医療費を支給する。
2 前項の規定は、前条第一項の認定を受けた者で当該認定に係る疾病が厚生大臣の定める疾病であるものが、当該指定地域外に住所を移したとき(一日のうち厚生大臣の定める時間以上の時間を当該指定地域内において過ごすことが常態でなくなつたときを含む。)、又は当該指定地域の全部若しくは一部が指定地域でなくなつたことにより指定地域内に住所を有しなくなつたとき(指定地域内において一日のうち厚生大臣の定める時間以上の時間を過ごすことが常態でなくなつたときを含む。)は、その者については、その日から起算して厚生大臣の定める期間を経過した日以後は適用しない。
(医療費の額等)
第五条 前条第一項の規定により支給する医療費の額は、当該医療に要する費用の額を限度とする。ただし、その者が当該疾病につき、健康保険法(大正十一年法律第七十号)、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)その他政令で定める法令の規定により医療に関する給付を受け、若しくは受けることができたとき、又は当該医療が法令の規定により国若しくは地方公共団体の負担による医療に関する給付として行なわれたときは、当該医療に要する費用の額から当該医療に関する給付の額を控除した額(その者が国民健康保険法による療養の給付を受け、又は受けることができたときは、当該療養の給付に関する同法の規定による一部負担金に相当する額とし、当該医療が法令の規定により国又は地方公共団体の負担による医療の現物給付として行なわれたときは、当該医療に関する給付について行なわれた実費徴収の額とする。)を限度とする。
2 前項の医療に要する費用の額は、健康保険の療養に要する費用の額の算定方法の例により算定した額とする。ただし、現に要した費用の額をこえることができない。
(保険医療機関等に対する医療費の支払等)
第六条 第三条第一項の認定を受けた者が、公害医療手帳を提示して、当該認定に係る疾病について、健康保険法その他政令で定める法令又は国民健康保険法の規定により当該指定地域をその区域に含む都道府県(当該指定地域が二以上の都道府県の区域にわたるときは、当該認定を行なつた都道府県知事(同条第二項の規定により市長が認定を行なつたときは、当該市をその区域に含む都道府県の都道府県知事とする。)の統轄する都道府県とする。後段において同じ。)の区域内の健康保険法第四十三条第三項第一号の保険医療機関若しくは保険薬局又は国民健康保険法第三十六条第四項の療養取扱機関(これらの開設者が診療報酬の請求及び支払に関しこの項及び次項に規定する方式によらない旨を都道府県知事又は第三条第二項の政令で定める市の長に申し出たものを除く。以下「保険医療機関等」という。)で医療を受けた場合には、当該保険医療機関等は、当該医療を受けた者に対する請求に代えて、その者が第四条第一項の規定により支給されるべき医療費の額を、都道府県(第三条第二項の政令で定める市の長による認定を受けた者が当該医療を受けたときは、当該市とする。次項及び第五項において同じ。)に対し、請求するものとする。同条第一項の認定を受けた者で生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)による保護を受けている世帯(その保護を停止されている世帯を除く。)に属するものが、公害医療手帳を提示して、当該認定に係る疾病について、当該指定地域をその区域に含む都道府県の区域内の同法第四十九条の規定により指定を受けた医療機関(その開設者が診療報酬の請求及び支払に関しこの項及び次項に規定する方式によらない旨を都道府県知事又は第三条第二項の政令で定める市の長に申し出たものを除く。以下「生活保護指定医療機関」という。)で医療を受けた場合における生活保護指定医療機関についても、同様とする。
2 都道府県は、前項の規定による請求があつたときは、当該医療を受けた者に代わり、保険医療機関等又は生活保護指定医療機関に対し、第四条第一項の規定により支給すべき医療費の額を支払うものとする。
3 前項の規定による支払があつたときは、当該医療を受けた者に対し、第四条第一項の規定による医療費の支給があつたものとみなす。
4 都道府県知事は、第二項の規定により支払うべき額を決定するにあたつては、社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)に定める審査委員会の意見をきかなければならない。
5 都道府県は、第二項の規定による支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金に委託することができる。
6 国民健康保険の被保険者である第三条第一項の認定を受けた者が、当該認定に係る疾病について、国民健康保険法第三十六条第四項の療養取扱機関から医療を受ける場合には、同法の規定により当該療養取扱機関に支払うべき一部負担金は、同法第四十二条第一項の規定にかかわらず、当該医療に関し都道府県知事が第二項の規定による支払をしない旨の決定をするまでは、支払うことを要しない。
(医療手当の支給)
第七条 都道府県知事は、当該都道府県知事による第三条第一項の認定を受けた者で、当該認定に係る疾病について第四条第一項各号の医療を受けており、かつ、その病状が政令で定める病状の程度をこえるものに対し、政令の定めるところにより、医療手当を支給する。
2 第四条第二項の規定は、医療手当について準用する。
(医療手当の支給の制限)
第八条 医療手当は、前条第一項に規定する者、その配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百七十七条第一項に定める扶養義務者で前条第一項に規定する者の生計を維持するものの所得につき所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の規定により計算した前年分(一月から四月までの間に受けた医療に係る医療手当については、前前年分とする。)の所得税の額(この所得税の額を計算する場合には、同法第九十二条及び第九十五条の規定を適用しないものとする。)が政令で定める額をこえるときは、支給しない。
(介護手当の支給)
第九条 都道府県知事は、当該都道府県知事による第三条第一項の認定を受けた者で、当該認定に係る疾病による厚生省令で定める範囲の身体上の障害により介護を要する状態にあり、かつ、介護を受けているものに対し、政令の定めるところにより、介護手当を支給する。ただし、その者が介護者に対し介護に要する費用を支出しないで介護を受けている場合は、この限りでない。
2 第四条第二項及び前条の規定は、介護手当について準用する。