(目的)
第一条 この法律は、南九州の地域のうち、夏期における降雨量がきわめて多く、かつ、特殊な火山噴出物でおおわれている特定の畑作地域を南九州畑作振興地域として指定し、その地域内の農業者で営農改善計画をたてこれに基づきその営農の改善を図ろうとするものに、農林漁業金融公庫が、必要な資金を長期かつ低利で貸し付けることにより、その地域における農業者の経営の安定を図ることを目的とする。
(南九州畑作振興地域の指定)
第二条 農林大臣は、南九州の地域(宮崎県及び鹿児島県の区域をいう。)のうち、五月から七月までの間における降雨量がきわめて多く、かつ、シラス、ボラ、コラ、アカホヤ等特殊な火山噴出物でおおわれている畑作地域(その地域内の農業者の全部又は大部分が主として畑又は牧野につき耕作又は養畜の事業を行なつている地域をいう。)で政令で定める基準に適合するものを、宮崎県知事又は鹿児島県知事(以下「県知事」という。)からの申請に基づき、気象条件その他の自然的経済的条件の類似するものごとに、南九州畑作振興地域として指定する。
2 前項の規定による南九州畑作振興地域の指定は、告示をもつてしなければならない。
(貸付け)
第三条 農林漁業金融公庫(以下「公庫」という。)は、南九州畑作振興地域の区域内において主として畑又は牧野につき耕作又は養畜の事業を行なう者で第六条第一項の認定を受けたものに対し、この法律の定めるところにより、当該認定に係る営農改善計画に記載された同条第二項第四号の改善措置を実施するために必要な資金で、農林漁業金融公庫法(昭和二十七年法律第三百五十五号)第十八条第一項第一号若しくは第八号に掲げるもの、果樹の植栽若しくは育成に必要なもの、茶樹若しくは桑樹の植栽に必要なもの又は乳牛若しくは肉用牛の購入に必要なものの貸付けを行なうものとする。
(貸付条件)
第四条 前条に規定する者に対し同条に規定する資金(以下「営農改善資金」という。)の貸付けを行なう場合における貸付金の利率は年五分(据置期間中は、年四分五厘)以内、その償還期間(据置期間を含む。)は二十五年以内、その据置期間は八年以内においてそれぞれ公庫が定めるものとする。
(貸付金額等の決定)
第五条 公庫は、第三条に規定する者に対し営農改善資金の貸付けを行なう場合には、貸付けの申込みをした者につき、次条第一項の認定に係る営農改善計画を参酌して、貸付金額及び償還期間その他の貸付条件を定めなければならない。
(貸付資格の認定)
第六条 営農改善資金の貸付けを受けようとする者は、農林省令で定める手続により、営農改善計画を作成し、これを申請書に添え、県知事に提出して、当該貸付けを受けることが適当である旨の県知事の認定を受けなければならない。
2 前項の営農改善計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
四 当該南九州畑作振興地域の気象条件その他の自然的経済的条件に適応する営農条件に応ずる農業経営の確立を図るために必要な改善措置
五 営農改善資金の額並びにその貸付けを受けた場合における貸付金の使用計画及び償還計画
六 第四号の改善措置に必要な資金で営農改善資金以外のものの額及び調達方法
3 第一項の認定の申請は、昭和四十八年三月三十一日までにするものとする。
第七条 県知事は、前条第一項の規定により認定の申請があつたときは、その申請に係る事項が次の各号の要件をみたす場合に限り、同項の認定をするものとする。
一 営農改善計画に記載された前条第二項第四号の改善措置が当該南九州畑作振興地域の気象条件その他の自然的経済的条件に適応する営農条件に応ずる農業経営の確立を図るために必要かつ適当なものであること。
二 営農改善計画が適正に作成されており、かつ、申請者がこれを達成する見込みが確実であること。
三 申請者が営農改善計画を達成するためには、当該貸付けを受けることが必要であつて他に適当な方法がないこと。
(指導等)
第八条 県知事は、営農改善資金の貸付けを受けようとする者又はその貸付けを受けた者(その者の一般承継人を含む。)からの申出があつたときは、その者に対し、営農改善計画の作成又はその達成につき必要な指導をするものとする。
2 県知事は、営農改善資金の貸付けを受けようとする者の営農改善計画の作成に資するため、南九州畑作振興地域ごとに、当該南九州畑作振興地域の区域内において主として畑又は牧野につき耕作又は養畜の事業を行なう者の営農の改善の目標として、その気象条件その他の自然的経済的条件に適応する営農条件に応ずる営農方式の例を作成することができる。