大豆なたね交付金暫定措置法
法令番号: 法律第201号
公布年月日: 昭和36年11月9日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

大豆及びなたねについて、従来は農産物価格安定法に基づき価格低落を防止してきたが、大豆輸入自由化に伴い国内産の価格低落が予想される。この影響に対処し生産確保と農家所得の安定を図るため、関税率引き上げと生産改善施策を講じるものの、これらだけでは不十分である。そこで、生産者が需給・価格等の諸条件に適応可能となるまでの当分の間、国内産の大豆及びなたねについて、販売数量・方法等を調整して販売事業を行う生産者団体等を通じ、生産者に交付金を交付する措置を講じることを目的とする。

参照した発言:
第39回国会 衆議院 農林水産委員会 第7号

審議経過

第39回国会

参議院
(昭和36年10月10日)
衆議院
(昭和36年10月12日)
参議院
(昭和36年10月20日)
衆議院
(昭和36年10月26日)
参議院
(昭和36年10月26日)
衆議院
(昭和36年10月27日)
(昭和36年10月27日)
(昭和36年10月31日)
参議院
(昭和36年10月31日)
(昭和36年10月31日)
(昭和36年10月31日)
大豆なたね交付金暫定措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十六年十一月九日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第二百一号
大豆なたね交付金暫定措置法
(目的)
第一条 この法律は、大豆の輸入に関する事情の変化が国内産の大豆及びなたねの価格に及ぼす影響に対処するため、国内産の大豆又はなたねにつき、販売の数量及び方法等を調整してその販売事業を行なう生産者団体等を通じその生産者に交付金を交付する措置を講じて、その生産の確保と農家所得の安定とに資することを目的とする。
(生産者団体等に対する交付金の交付)
第二条 政府は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、次の各号に掲げる法人(以下「生産者団体等」という。)で、大豆又はなたねの販売の条件を有利にするため、次条の規定による承認を受けた調整販売計画等に従い、大豆又はなたねの集荷、保管又は販売の数量又は方法を調整して計画的かつ合理的にその販売事業を行なうものに対し、交付金を交付することができる。
一 大豆又はなたねの生産者がその直接又は間接の構成員の全部又は一部となつている農業協同組合又は農業協同組合連合会
二 大豆又はなたねの集荷の業務を行なう者がその直接又は間接の構成員の全部又は一部となつている法人(前号に掲げる者を除く。)
2 前項の交付金の金額は、生産者団体等ごとに、第一号の基準価格から第二号の標準販売価格を控除した金額に、当該生産者団体等が大豆又はなたねの生産者からのその生産に係る大豆又はなたねの売渡しの委託(当該委託を受けた第四条第一項の都道府県知事の登録を受けて大豆又はなたねの集荷の業務を行なう者からの当該委託に係る大豆又はなたねの売渡しの委託及び当該大豆又はなたねにつき順次される売渡しの委託を含む。)を受けて農林省令で定める期間内に販売した大豆又はなたねの数量(その数量が農林大臣の定める数量をこえる場合にあつては、その農林大臣の定める数量)に相当する数を乗じて得た金額とする。
一 政令で定めるところにより、政令で定める一定期間の大豆又はなたねの生産者の販売価格に農業パリテイ指数(食糧管理法(昭和十七年法律第四十号)第四条ノ二第二項に規定する農業パリテイ指数をいう。)を乗じて得た金額及び大豆又はなたねの生産事情その他の経済事情を参酌し、大豆又はなたねの再生産を確保することを旨として農林大臣が定める金額(以下「基準価格」という。)
二 大豆又はなたねの生産者の標準的な販売価格として、政令で定めるところにより、生産者団体等の大豆又はなたねの標準的な販売価格からその流通経費を控除した金額を基準として農林大臣が定める金額(以下「標準販売価格」という。)
3 前項の農林大臣の定める数量は、政令で定める一定年間の年産の大豆又はなたねの生産者販売数量の年平均数量、大麦及びはだか麦の生産の転換のための施策の実施等による大豆又はなたねの生産事情、及び流通事情、生産者団体等の大豆又はなたねの販売の実績、当該生産者団体等に係る次条の規定による承認を受けた調整販売計画等に定められている前項の売渡しの委託を受ける大豆又はなたねの予定数量等を参酌して定めなければならない。
4 農林大臣は、基準価格、標準販売価格及び第二項の農林大臣の定める数量を定めようとするときは、政令で定める生産者団体等の意見を聞かなければならない。
5 基準価格は、毎年、おおむね収穫期間前の期間内で政令で定める期日までに定めて告示しなければならない。
(調整販売計画等の承認)
第三条 前条第一項の交付金の交付を受けようとする生産者団体等は、政令で定めるところにより、大豆又はなたねの販売事業につき実施するその集荷、保管又は販売の数量又は方法の調整に関する計画、その同条第二項の売渡しの委託を受ける大豆又はなたねの予定数量並びにその大豆又はなたねの同項の売渡しの委託を受ける場合の方法及び条件(以下「調整販売計画等」という。)並びに第五条第一項の規定による交付金の交付の方法を定め、これらにつき農林大臣の承認を受けなければならない。
2 生産者団体等は、前項の承認を受けた調整販売計画等又は第五条第一項の規定による交付金の交付の方法を変更するには、あらかじめ、農林大臣の承認を受けなければならない。
(生産者の登録集荷業者に対する売渡しの委託等)
第四条 大豆又はなたねの生産者で次条の規定による交付金の交付を受けようとするものは、農林省令で定めるところにより、都道府県知事の登録を受けて大豆又はなたねの集荷の業務を行なう者に大豆又はなたねの売渡しの委託をしなければならない。
2 前項の登録に関し必要な事項は、政令で定める。
(生産者に対する交付金の交付)
第五条 第二条第一項の交付金の交付を受けた生産者団体等は、農林省令で定めるところにより、その交付を受けた交付金の金額に相当する金額を、当該生産者団体等に大豆又はなたねの同条第二項の売渡しの委託をした者に対し、その売渡しの委託に係る大豆又はなたねの数量を基準として交付しなければならない。
2 前項の規定による交付金の交付を受けた者(大豆又はなたねの生産者を除く。)は、その交付を受けた金額に相当する金額を、同項の規定の例により、その者に大豆又はなたねの第二条第二項の売渡しの委託をした者に対し交付しなければならない。この項の規定による交付金の交付を受けた者(大豆又はなたねの生産者を除く。)についても、同様とする。
(農産物価格安定法の適用除外)
第六条 農産物価格安定法(昭和二十八年法律第二百二十五号)は、大豆及びなたねについては、適用しない。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行し、大豆については昭和三十六年産のものから、なたねについては昭和三十七年産のものから適用する。ただし、昭和三十六年産の大豆については、第四条の規定は、適用しない。
2 昭和三十六年産の大豆についてのこの法律の規定の適用については、第二条第二項中「当該委託を受けた第四条第一項の都道府県知事の登録を受けて大豆又はなたねの集荷の業務を行なう者」とあるのは「当該委託を受けた者」とし、同条第五項中「おおむね収穫期前の期間内で政令で定める期日」とあるのは「政令で定める期日」とし、第五条第二項中「大豆又はなたねの生産者」とあるのは「大豆又はなたねの生産者で他の者から大豆又はなたねの売渡しの委託を受けなかつたもの」と、「その交付を受けた金額」とあるのは「その交付を受けた金額(その者が第二条第二項の売渡しの委託をした大豆又はなたねのうちその者が生産した大豆又はなたねに係る部分を除く。)」とする。
3 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第四十七号の三の次に次の一号を加える。
四十七の四 大豆なたね交付金暫定措置法(昭和三十六年法律第二百一号)により交付金を交付すること。
第四十八条第三号の二の次に次の一号を加える。
三の三 大豆なたね交付金暫定措置法による基準価格及び標準販売価格の決定に関すること。
第五十条に次の一号を加える。
六 大豆なたね交付金暫定措置法による交付金の交付に関すること。(第四十八条第三号の三に掲げる事務を除く。)
大蔵大臣 水田三喜男
農林大臣 河野一郎
内閣総理大臣 池田勇人