特許法施行法
法令番号: 法律第122号
公布年月日: 昭和34年4月13日
法令の形式: 法律

本法

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

特許法施行法は、新特許法の施行に必要な経過的事項を定めるもので、その措置が複雑多岐にわたるため独立の法律として立案された。主な内容は、新特許法の施行期日を昭和35年4月1日と定め、現行法による特許権等を新法による権利とみなすこと、施行時に特許庁に係属中の特許出願等は従前の例により処理すること等を規定している。また、特許料、特許補償等審査会、罰則の適用に関する事項等についても定めている。なお、関係諸法令の改正は実用新案法、意匠法、商標法と共通する事項も多いため、別途一括して提案することとしている。

参照した発言:
第31回国会 参議院 商工委員会 第7号

審議経過

第31回国会

参議院
(昭和34年2月10日)
(昭和34年2月11日)
(昭和34年2月17日)
(昭和34年2月18日)
(昭和34年2月25日)
(昭和34年2月26日)
(昭和34年3月3日)
(昭和34年3月5日)
(昭和34年3月10日)
(昭和34年3月11日)
(昭和34年3月12日)
(昭和34年3月13日)
衆議院
(昭和34年3月17日)
(昭和34年3月20日)
(昭和34年3月24日)
(昭和34年3月25日)
参議院
(昭和34年3月25日)
衆議院
(昭和34年3月26日)
(昭和34年3月27日)
(昭和34年3月28日)
(昭和34年5月2日)
特許法施行法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十四年四月十三日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百二十二号
特許法施行法
(特許法の施行期日)
第一条 特許法(昭和三十四年法律第百二十一号。以下「新法」という。)は、昭和三十五年四月一日から施行する。
(特許法の廃止)
第二条 特許法(大正十年法律第九十六号。以下「旧法」という。)は、廃止する。
(特許権)
第三条 旧法による特許権(制限付移転の特許権を除く。)であつて、新法の施行の際現に存するものは、新法の施行の日において新法による特許権となつたものとみなす。ただし、その効力は、旧法第百二十五条第二号の規定により効力が及ばないこととされた物には、及ばない。
第四条 旧法第七十三条第三項に規定する権利であつて、新法の施行の際現に存するものは、新法の施行の日において新法第五十二条第一項の権利となつたものとみなす。ただし、同条第二項及び第四項の規定は、適用しない。
(制限付移転の特許権)
第五条 旧法による制限付移転の特許権であつて、新法の施行の際現に登録してあるものは、新法の施行の日において専用実施権となつたものとみなす。
(実施権)
第六条 旧法第十四条第二項の規定による実施権であつて、新法の施行の際現に存するものは、新法の施行の日において新法第三十五条第一項の規定による通常実施権となつたものとみなす。
第七条 旧法第三十七条の規定による実施権であつて、新法の施行の際現に存するものは、新法の施行の日において新法第七十九条の規定による通常実施権となつたものとみなす。
第八条 旧法第三十八条第一項の規定による実施権であつて新法の施行の際現に存するものは新法の施行の日において、第二十条第二項の規定によりその例によるものとされた旧法第三十八条第一項の規定による実施権は当該審決が確定した日において、新法第八十条第一項の規定による通常実施権となつたものとみなす。
第九条 旧法第三十八条第二項の規定による実施権であつて、新法の施行の際現に存するものは、新法の施行の日において新法第八十条第一項の規定による通常実施権となつたものとみなす。
第十条 旧法第三十九条の規定による実施権であつて、新法の施行の際現に存するものは、新法の施行の日において新法第八十条第一項の規定による通常実施権となつたものとみなす。
2 新法第八十条第二項の規定は、前項の場合には、適用しない。
第十一条 旧法第四十一条第一項の規定による実施権であつて新法の施行の際現に存するものは新法の施行の日において、第二十条第五項の規定によりその例によるものとされた旧法第四十一条第一項の規定による実施権はその許与の日において、新法第八十三条第二項の裁定による通常実施権となつたものとみなす。
第十二条 旧法第四十八条第一項の規定による実施権であつて、新法の施行の際現に存するものは、新法の施行の日において新法第七十八条第一項の規定による通常実施権となつたものとみなす。
第十三条 旧法第四十九条の規定による実施権であつて新法の施行の際現に存するものは新法の施行の日において、第二十条第二項の規定によりその例によるものとされた旧法第四十九条の規定による実施権は当該審決が確定した日において、新法第九十二条第二項の裁定による通常実施権又は実用新案権についての通常実施権となつたものとみなす。
第十四条 旧法第百二十六条第一項の規定による実施権であつて新法の施行の際現に存するものは新法の施行の日において、第二十条第三項の規定によりその例によるものとされた旧法第百二十六条第一項の規定による実施権は当該審決が確定した日において、新法第百七十六条の規定による通常実施権となつたものとみなす。
第十五条 旧法第百二十七条第一項の規定による実施権であつて新法の施行の際現に存するものは新法の施行の日において、第二十条第三項の規定によりその例によるものとされた旧法第百二十七条第一項の規定による実施権は当該審決が確定した日において、新法第八十条第一項の規定による通常実施権となつたものとみなす。
第十六条 第三条の規定により新法による特許権となつたものとみなされた旧法による特許権(第二十条第一項の規定により従前の例により特許をされたものを含む。)がその特許出願の日前の出願に係る他人の実用新案権と抵触するときは、当該特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、業としてその特許発明の実施をすることができない。
2 前項に規定する場合は、新法第七十二条に規定する場合に該当するものとみなし、新法第九十二条の規定を適用する。
第十七条 第三条の規定により新法による特許権となつたものとみなされた旧法による特許権(第二十条第一項の規定により従前の例により特許をされたものを含む。)と抵触する実用新案権であつて、当該特許出願の日前又はこれと同日の出願に係るものの存続期間が満了したときは、その原実用新案権者は、原実用新案権の範囲内において、当該特許権又はその実用新案権の存続期間の満了の際現に存する専用実施権について新法第八十条第一項の規定による通常実施権を有するものとみなす。
2 新法第八十条第二項の規定は、前項の場合には、適用しない。
3 第三条の規定により新法による特許権となつたものとみなされた旧法による特許権(第二十条第一項の規定により従前の例により特許をされたものを含む。)と抵触する実用新案権であつて、当該特許出願の日前又はこれと同日の出願に係るものの存続期間が満了したときは、その満了の際現にその実用新案権についての専用実施権又はその実用新案権若しくは専用実施権についての実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第十九条第三項において準用する新法第九十九条第一項の効力を有する通常実施権を有する者は、原権利の範囲内において、当該特許権又はその実用新案権の存続期間の満了の際現に存する専用実施権について新法第八十条第一項の規定による通常実施権を有するものとみなす。
(存続期間)
第十八条 第三条の規定により新法による特許権となつたものとみなされた旧法による特許権(第二十条第一項の規定により従前の例により特許をされたものを含む。)の存続期間については、なお従前の例による。ただし、第二十条第五項に規定する場合を除き、延長することができない。
(質権)
第十九条 新法の施行前にした特許権を目的とする質権の設定であつて、新法の施行の際現に登録してないものは、新法の施行の日にその効力を失う。
(係属中の手続)
第二十条 新法の施行の際現に係属している特許出願(抗告審判に係属しているものを含む。)については、その特許出願について査定又は審決が確定するまでは、なお従前の例による。
2 新法の施行の際現に係属している旧法第四十九条、第五十三条第一項若しくは第二項若しくは第八十四条第一項の審判又はこれらの審判の審決に対する抗告審判については、なお従前の例による。ただし、新法の施行の際現に係属している旧法第四十九条、第五十三条第一項若しくは第二項又は第八十四条第一項の審判(新法の施行の際現に事件が抗告審判に係属しており、新法の施行後差し戻されて審判に係属した場合におけるその審判を含む。)については、その審判の審決を抗告審判の審決と、審判請求書の却下の決定を抗告審判の請求書の却下の決定とみなす。
3 新法の施行の際現に係属している旧法第百二十一条第一項(旧法第百二十八条第一項において準用する場合を含む。)の再審については、なお従前の例による。
4 第二項ただし書の規定は、前項の場合に準用する。
5 第一項から第三項までに規定する手続以外の手続であつて、新法の施行の際現に特許庁に係属しているものについては、なお従前の例による。
(正当権利者の特許出願)
第二十一条 新法の施行の際現に係属している旧法第十条又は第十一条に規定する正当権利者の特許出願については、これらの規定は、新法の施行後も、なおその効力を有する。
(特許を受ける権利の承継)
第二十二条 新法の施行前にした特許出願後における特許を受ける権利の承継(相続その他の一般承継を除く。)であつて、新法の施行の際現に特許庁長官に届出をしてないものは、新法の施行の日にその効力を失う。
(特許権の移転等)
第二十三条 新法の施行前にした特許権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)又は処分の制限であつて、新法の施行の際現に登録してないものは、新法の施行の日にその効力を失う。
2 新法の施行前にした特許権を目的とする質権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更又は処分の制限であつて、新法の施行の際現に登録してないものは、新法の施行の日にその効力を失う。
(職務発明)
第二十四条 新法第三十五条の規定は、新法の施行前に被用者、法人の役員又は公務員がした発明についても、適用する。
(無効審判)
第二十五条 旧法によりした特許又は旧法第五十三条第一章の規定によりした許可(第二十条第一項又は第二項の規定により従前の例によりした特許又は当該許可を含む。)についての新法第百二十三条第一項若しくは第百二十九条第一項の審判又はこれらの審判の確定審決に対する再審においては、旧法第五十七条の規定は、新法の施行後も、なおその効力を有し、同条第一項又は第二項に規定する場合に限り、その特許又は許可を無効にすることができる。
2 旧法第八十四条第一項第一号の審判又はその審判の審決に対する抗告審判の確定審決(第二十条第二項の規定により従前の例によりした当該審決であつて、確定したものを含む。)に対する再審であつて、新法の施行後に請求したものにおいても、前項と同様とする。
3 新法の施行前にした特許又は旧法第五十三条第一項若しくは第二項の規定によりした許可については、旧法第八十五条の規定は、新法の施行後も、なおその効力を有する。
(特許料)
第二十六条 新法の施行前にすでに納付し又は納付すべきであつた特許料については、なお従前の例による。
2 新法第百十一条の規定は、新法の施行前に納付した特許料(前項の規定により従前の例により納付したものを含む。)についても、適用する。
3 旧法により存続期間が延長された特許権(第二十条第五項の規定により従前の例により存続期間が延長されたものを含む。)についての特許料の納付については、旧法第六十五条第二項、第四項及び第七項、第六十六条第一項、第六十七条並びに第六十九条の規定は、第一項に規定する場合を除き、新法の施行後も、なおその効力を有する。
4 旧法第十一条(第二十一条の規定によりなおその効力を有する場合を含む。)の規定により正当権利者に特許をしたときは、旧法第六十五条第六項の規定は、新法の施行後も、なおその効力を有する。
(特許補償等審査会)
第二十七条 第二十条第五項の規定により従前の例により特許権の存続期間を延長するときは、旧特許法施行令(大正十年勅令第四百六十号)第三条の規定により特許補償等審査会の権限とされていた事項は、特許発明実施審議会の権限とする。
(補償金)
第二十八条 新法の施行前に発生した補償金を受ける権利については、なお従前の例による。
(処分)
第二十九条 旧法によりした処分、手続その他の行為(第二十条第一項から第三項まで又は第五項の規定により従前の例によりしたものを含む。)は、新法中にこれに相当する規定があるときは、新法によりしたものとみなす。
(罰則の適用)
第三十条 新法の施行前にした行為及び第二十条第一項から第三項まで又は第五項の規定により従前の例によるものとされた手続に係る新法の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附 則
この法律は、昭和三十五年四月一日から施行する。
法務大臣 愛知揆一
通商産業大臣 高碕達之助
内閣総理大臣 岸信介