繊維工業設備臨時措置法
法令番号: 法律第130号
公布年月日: 昭和31年6月5日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

繊維産業は国民生活に不可欠な衣料供給と輸出の面で重要だが、近年の輸出急増と価格の乱調により国際的批判が強まっている。特にガット加入時の欧州諸国の対応や米国の輸入阻止運動など、看過できない事態が生じている。これまで輸出品の価格・品質規制や生産調整などの対策を講じてきたが、過剰設備問題の解決が急務となっている。特に中小企業が大半を占める織布等の加工部門は継続的な不況に苦しんでいる。そこで繊維産業総合対策審議会の答申を受け、繊維工業設備の調整に関する法律を制定し、設備の登録制実施や過剰設備の処理を通じて、繊維工業の合理化と健全な発展を図ろうとするものである。

参照した発言:
第24回国会 衆議院 商工委員会 第11号

審議経過

第24回国会

参議院
(昭和31年3月1日)
衆議院
(昭和31年3月3日)
参議院
(昭和31年3月6日)
衆議院
(昭和31年4月26日)
(昭和31年5月7日)
(昭和31年5月8日)
(昭和31年5月9日)
(昭和31年5月10日)
(昭和31年5月11日)
(昭和31年5月14日)
(昭和31年5月15日)
(昭和31年5月16日)
(昭和31年5月17日)
(昭和31年5月18日)
(昭和31年5月21日)
(昭和31年5月22日)
(昭和31年5月22日)
参議院
(昭和31年5月24日)
(昭和31年5月25日)
(昭和31年5月26日)
(昭和31年5月28日)
衆議院
(昭和31年5月29日)
(昭和31年6月3日)
繊維工業設備臨時措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十一年六月五日
内閣総理大臣 鳩山一郎
法律第百三十号
繊維工業設備臨時措置法
目次
第一章
総則(第一条)
第二章
登録(第二条―第二十三条)
第三章
過剰設備の処理(第二十四条―第三十一条)
第四章
繊維工業設備審議会(第三十二条―第三十九条)
第五章
雑則(第四十条―第四十六条)
第六章
罰則(第四十七条―第五十条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、繊維製品の正常な輸出の発展に寄与するため、繊維工業設備に関する規制を行うことによつて、繊維工業の合理化を図ることを目的とする。
第二章 登録
(登録)
第二条 精紡機(リング精紡機、キャップ精紡機、フライヤー精紡機、ミュール精紡機及びポット精紡機をいう。以下同じ。)は、繊維工業設備台帳に登録を受けたものでなければ、糸(別表第一に掲げるものをいう。以下同じ。)の製造の用に供してはならない。ただし、特殊の構造を有するため糸の製造の能率が著しく高い精紡機であつて、通商産業省令で定めるものについては、この限りでない。
2 クリップ式織物幅出機、ピン式織物幅出機、クリップ式織物幅出乾燥機、ピン式織物幅出乾燥機及び羽二重ロール(以下「織物幅出機」と総称する。)は、繊維工業設備台帳に登録を受けたものでなければ、織物(別表第二に掲げるものをいう。以下同じ。)の精練、漂白、染色又は整理(以下「加工」と総称する。)の用に供してはならない。ただし、特殊の構造を有するため織物の加工の能率が著しく高い織物幅出機であつて、通商産業省令で定めるものについては、この限りでない。
(登録の区分)
第三条 前条の登録は、精紡機にあつては別表第三に掲げる精紡機の区分により、織物幅出機にあつては別表第四に掲げる織物幅出機の区分により行うものとする。
2 同一の精紡機又は織物幅出機については、前項の規定による登録の区分(以下単に「登録の区分」という。)の二以上について前条の登録を受けることができない。
第四条 第二条第一項の登録を受けた精紡機は、その登録を受けた登録の区分に係るもの以外の糸の製造の用に供してはならない。ただし、試験的に製造の用に供する場合その他通商産業省令で定める場合において、通商産業大臣の許可を受けたときは、この限りでない。
2 第二条第二項の登録を受けた織物幅出機は、その登録を受けた登録の区分に係るもの以外の織物の加工の用に供してはならない。ただし、試験的に加工の用に供する場合その他通商産業省令で定める場合において、通商産業大臣の許可を受けたときは、この限りでない。
(繊維工業設備台帳)
第五条 繊維工業設備台帳は、通商産業省に備える。
(既存設備による糸の製造又は織物の加工)
第六条 この法律の施行の時において現に精紡機又は織物幅出機を糸の製造又は織物の加工の用に供するため設置している者は、この法律の施行の日から二十日間は、第二条の規定にかかわらず、同条の登録を受けないで、その精紡機又は織物幅出機を糸の製造又は織物の加工の用に供することができる。その精紡機又は織物幅出機について次条第一項の登録申請書を提出した場合において、登録又は登録の拒否の処分があるまでの間も、同様とする。
(既存設備の登録)
第七条 前条に規定する者は、この法律の施行の時において現に糸の製造又は織物の加工の用に供するため設置している精紡機又は織物幅出機について第二条の登録を受けようとするときは、この法律の施行の日から二十日以内に、次の事項を記載した登録申請書を通商産業大臣に提出しなければならない。
一 精紡機又は織物幅出機の種類及び型式並びに精紡機にあつては錘の数、織物幅出機にあつては通商産業省令で定める部分の長さ(以下「働き長さ」という。)
二 登録の区分
三 氏名又は名称及び住所
四 精紡機又は織物幅出機の設置の場所
2 前項の登録申請書には、権原に基いて精紡機又は織物幅出機を糸の製造又は織物の加工の用に供することができることを証する書面を添附しなければならない。
3 精紡機又は織物幅出機の所有者以外の者が提出する第一項の登録申請書には、その区分の登録を受けることについて所有者の同意を得たことを証する書面を添附しなければならない。
第八条 通商産業大臣は、前条第一項の登録申請書を受理したときは、その精紡機又は織物幅出機を検査し、その精紡機又は織物幅出機が通商産業省令で定める技術上の基準に適合していると認めるときは、登録をしなければならない。
(新規登録を認める数の公告)
第九条 通商産業大臣は、毎年少くとも一回、繊維工業設備審議会の意見をきいて、昭和三十五年度における繊維製品の需給状況及び第二条の登録を受けた精紡機又は織物幅出機の数に基き、登録の区分ごとにその区分について新たに第二条の登録を受けることができる精紡機又は織物幅出機の数を定め、これを公告しなければならない。
2 前項の数は、次の各号に区別して定めなければならない。
一 第二条の登録を受けていない精紡機又は織物幅出機
二 当該登録の区分以外の区分について第二条の登録を受けた精紡機又は織物幅出機
3 前項第二号の精紡機又は織物幅出機の数は、現に登録を受けている登録の区分ごとに区別して定めなければならない。
4 第一項の数は、精紡機にあつては錘の数の合計、織物幅出機にあつては働き長さの合計をもつて表示しなければならない。
5 第一項の規定による公告においては、次条第一項の仮登録申請書を提出すべき期間として一月以上の期間を定めておかなければならない。
(仮登録)
第十条 前条第一項の規定による公告があつた場合において、第二条の登録を受けようとする者は、前条第五項の期間内に、第七条第一項に掲げる事項及び第二条の登録を受けた精紡機又は織物幅出機について登録を受けようとする場合はその登録を受けた登録の区分を記載した仮登録申請書を通商産業大臣に提出しなければならない。
2 第七条第三項の規定は、第二条の登録を受けた精紡機又は織物幅出機についてその所有者以外の者が前項の仮登録申請書を提出する場合に準用する。
第十一条 通商産業大臣は、前条第一項の仮登録申請書を受理した場合において、その精紡機又は織物幅出機が第八条の通商産業省令で定める技術上の基準に適合していると認めるときは、仮登録をしなければならない。
2 通商産業大臣は、第九条第二項第一号又は第三項の規定による区別ごとに、前項の規定により仮登録をすべき精紡機又は織物幅出機の錘の数又は働き長さの合計がその区別について第九条第一項の規定により公告した精紡機又は織物幅出機の錘の数又は働き長さの合計をこえるときは、公正な方法でくじを行い、仮登録をすべきものを定めなければならない。
3 第一項の仮登録は、繊維工業設備台帳に前条第一項に規定する事項及び仮登録の年月日を記載することによつて行う。
4 通商産業大臣は、第一項の仮登録をしたときは、前条第一項の仮登録申請書を提出した者に対し、その旨を通知しなければならない。
(新規登録)
第十二条 前条第一項の仮登録を受けて精紡機若しくは織物幅出機を設置した者又はその設置した精紡機若しくは織物幅出機について同項の仮登録を受けた者は、その仮登録を受けた精紡機又は織物幅出機について第二条の登録を受けようとするときは、前条第四項の規定による通知を受けた日から通商産業省令で定める期間を経過する時までに、第七条第一項に掲げる事項及び第二条の登録を受けた精紡機又は織物幅出機について登録を受けようとする場合はその登録番号を記載した登録申請書を通商産業大臣に提出しなければならない。
2 第七条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
第十三条 通商産業大臣は、前条第一項の登録申請書を受理したときは、その精紡機又は織物幅出機を検査し、その精紡機又は織物幅出機が第八条の通商産業省令で定める技術上の基準に適合していると認めるときは、登録をしなければならない。
2 通商産業大臣は、第二条の登録を受けた精紡機又は織物幅出機について前項の登録をするには、従前の登録を抹消しなければならない。
(代替登録)
第十四条 第二条の登録を受けた精紡機若しくは織物幅出機に代えて精紡機若しくは織物幅出機を設置した者又はその設置した精紡機若しくは織物幅出機をもつて同条の登録を受けた精紡機若しくは織物幅出機に代えた者は、その精紡機又は織物幅出機についてその現に登録を受けている区分の登録を受けようとするときは、次の事項を記載した登録申請書を通商産業大臣に提出しなければならない。
一 第七条第一項第一号、第三号及び第四号に掲げる事項
二 現に登録を受けている精紡機又は織物幅出機の登録番号
2 第二十条第一項の規定による届出に係る精紡機若しくは織物幅出機に代えて精紡機若しくは織物幅出機を設置した者又はその設置した清紡機若しくは織物幅出機をもつて同項の規定による届出に係る精紡機若しくは織物幅出機に代えた者は、その精紡機又は織物幅出機について同条第二項の規定による登録の抹消前に受けていた区分の登録を受けようとするときは、その届出をした日から通商産業省令で定める期間を経過する時までに、次の事項を記載した登録申請書を通商産業大臣に提出しなければならない。
一 第七条第一項第一号、第三号及び第四号に掲げる事項
二 第二十条第一項の規定による届出に係る精紡機又は織物幅出機の登録番号
三 第二十条第一項の規定による届出をした年月日
3 第一項の登録申請書には、権原に基いて第二条の登録を受けた精紡機又は織物幅出機を糸の製造又は織物の加工の用に供することができることを証する書面を添附しなければならない。
4 第二項の登録申請書には、権原に基いて第二十条第一項の規定による届出に係る精紡機又は織物幅出機を糸の製造又は織物の加工の用に供することができたことを証する書面を添附しなければならない。
5 第七条第二項の規定は、第一項又は第二項の場合に準用する。
第十五条 通商産業大臣は、前条第一項又は第二項の登録申請書を受理したときは、その精紡機又は織物幅出機を検査し、その精紡機又は織物幅出機が次の各号に適合していると認めるときは、登録をしなければならない。
一 従前の精紡機又は織物幅出機の錘の数若しくはその合計又は働き長さ若しくはその合計の範囲内であること。
二 第八条の通商産業省令で定める技術上の基準に適合していること。
三 織物幅出機にあつては、その種類が従前の織物幅出機の種類と同一であること。
2 前項第三号の規定の適用については、クリップ式織物幅出機とピン式織物幅出機と、クリップ式織物幅出乾燥機とピン式織物幅出乾燥機とは、それぞれ同一の種類とみなす。
3 通商産業大臣は、前条第一項の登録申請書を受理した場合において、第一項の登録をするには、従前の登録を抹消しなければならない。
第十六条 第八条、第十三条第一項又は前条第一項の登録は、繊維工業設備台帳に第七条第一項に掲げる事項、登録の年月日及び当該精紡機又は織物幅出機について定める登録番号を記載することによつて行う。
(登録の標識)
第十七条 通商産業大臣は、第八条、第十三条第一項又は第十五条第一項の登録をしたときは、当該精紡機又は織物幅出機に通商産業省令で定める標識を取り付けなければならない。
2 通商産業大臣は、第十三条第二項、第十五条第三項若しくは第二十条第二項の規定により登録を抹消したとき、又は第二十一条の規定により登録を取り消したときは、当該精紡機又は織物幅出機に取り付けてある前項の標識を取りはずさなければならない。
3 第二条の登録を受けた者は、第一項の標識が滅失し、又は汚損したときは、通商産業大臣に届け出て、新しい標識の取付を受けることができる。
(登録の効力の承継)
第十八条 第二条の登録を受けた精紡機又は織物幅出機を譲り受け、又は借り受けて、これを糸の製造又は織物の加工の用に供する者は、その精紡機又は織物幅出機について同条の登録を受けた者の地位を承継する。
2 第二条の登録を受けた者について相続又は合併があつたときは、相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、その登録を受けた精紡機又は織物幅出機についてその者の地位を承継する。
第十九条 第二条の登録を受けた者は、第七条第一項第三号又は第四条に掲げる事項に変更があつたときは、十日以内に、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
2 前条の規定により第二条の登録を受けた者の地位を承継した者は、十日以内に、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
3 通商産業大臣は、前二項の規定による届出があつたときは、繊維工業設備台帳の記載を変更しなければならない。
(滅失の届出)
第二十条 第二条の登録を受けた者は、その登録を受けた精紡機又は織物幅出機が滅失したときは、十日以内に、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
2 通商産業大臣は、前項の規定による届出があつたときは、その精紡機又は織物幅出機の登録を抹消しなければならない。
(登録の取消等)
第二十一条 通商産業大臣は、第二条の登録を受けた者が第四条の規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めてその精紡機若しくは織物幅出機を糸の製造若しくは織物の加工の用に供することを停止すべき旨を命ずることができる。
(繊維工業設備台帳の謄本等)
第二十二条 何人も、通商産業大臣に対し、繊維工業設備台帳の謄本の交付又は閲覧を請求することができる。
(省令への委任)
第二十三条 この章に定めるもののほか、登録の手続、繊維工業設備台帳の様式その他登録に関する手続的事項については、通商産業省令で定める。
第三章 過剰設備の処理
(共同行為の指示)
第二十四条 通商産業大臣は、毎年少くとも一回、繊維工業設備審議会の意見をきいて、昭和三十五年度における繊維製品の需給状況及び第二条の登録を受けた精紡機若しくは織物幅出機の数又は中小企業安定法(昭和二十七年法律第二百九十四号)第二十九条第一項若しくは第二項の規定に基く生産設備の制限に関する命令により登録を受けた織機の数に基き、必要な資金の額、一般消費者及び関連事業者に対する影響その他の事情を参酌して、糸若しくは織物の製造又は織物の加工の用に供さないように廃棄、格納その他の方法により処理すべき精紡機、織物幅出機又は織機の数を定め、精紡機、織物幅出機又は織機を糸若しくは織物の製造又は織物の加工の用に供している者に対し、その処理に関する共同行為を実施すべきことを指示しなければならない。
2 前項の規定による指示は、精紡機又は織物幅出機にあつては登録の区分ごとに、織機にあつては中小企業安定法第二十九条第一項又は第二項の規定に基く生産設備の制限に関する命令の別ごとに行う。
3 第一項の規定による指示は、共同行為をすべき期間及び共同行為の内容を定めて、告示により行う。
(共同行為の期間及び内容)
第二十五条 前条第三項の共同行為をすべき期間は、一年以内とする。
2 前条第三項の共同行為の内容は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと。
二 不当に差別的なものでないこと。
三 当該共同行為の指示を受けた者に係る事業の従業員の地位を不当に害するものでないこと。
(共同行為の指示の変更等)
第二十六条 通商産業大臣は、第二十四条第一項の規定による指示に係る共同行為の内容が前条第二項各号に適合するものでなくなつたと認めるときは、その指示を変更し、又は取り消さなければならない。
2 通商産業大臣は、過剰設備の処理が行われたことにより、糸又は織物の価格が著しく高騰し、当該糸若しくは織物若しくはこれらを原料とする繊維製品の輸出貿易を著しく阻害し、又は一般消費者若しくは関連事業者の利益を著しく害するおそれがあると認めるときは、当該糸又は織物の製造業者又は販売業者に対し、当該糸又は織物の販売価格を引き下げるべきことを勧告することができる。
3 前項の規定による勧告は、告示により行う。
(共同行為の届出)
第二十七条 第二十四条第一項の規定による指示(前条の規定による変更があつたときは、その変更後のもの。以下同じ。)を受けた者は、その指示に従い共同行為をしたときは、遅滞なく、通商産業省令で定める事項を通商産業大臣に届け出なければならない。これを変更し、又は廃止したときも、同様とする。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外)
第二十八条 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定は、第二十四条第一項の規定による指示を受けた者がその指示に従つてする共同行為については、適用しない。ただし、不公正な取引方法を用いるときは、この限りでない。
(公正取引委員会との関係)
第二十九条 通商産業大臣は、第二十四条第一項の規定による指示をしようとするときは、公正取引委員会に協議しなければならない。
2 通商産業大臣は、第二十六条第一項の規定による処分をしたとき、又は第二十七条の規定による届出を受理したときは、遅滞なく、その旨を公正取引委員会に通知しなければならない。
(調整組合等による過剰設備の処理)
第三十条 調整組合又は調整組合連合会は、中小企業安定法第十五条又は第二十六条に規定する事業のほか、第二十四条第一項の規定による指示に係る織機の処理に関する事業を行うことができる。
2 調整組合又は調整組合連合会は、前項の事業を行おうとするときは、過剰設備の処理に関する規程(以下「設備処理規程」という。)を定めてこれをしなければならない。
3 中小企業安定法第十六条から第二十二条まで、第二十七条、第三十条(第三項を除く。)、第三十一条第一項及び第三項、第三十二条、第三十八条、第三十九条、第四十一条(第二十九条の四の規定に係る部分を除く。)並びに第四十二条の規定は、前二項の場合に準用する。この場合において、これらの規定中「第二十九条第二項の規定による命令」とあるのは「繊維工業設備臨時措置法第三十一条第一項の規定による命令」と、第三十一条第一項中「この法律」とあるのは「繊維工業設備臨時措置法第三十条」と読み替えるものとする。
(織機の過剰設備の処理命令)
第三十一条 通商産業大臣は、調整組合又は調整組合連合会が設備処理規程をもつて織機の処理を実施した場合において、当該指示に係る織機を織物の製造の用に供している者で当該設備処理規程の適用を受けないものの事業活動が第一条の目的を達成するのに著しく障害となつており、かつ、次の各号に該当すると認めるときは、繊維工業設備審議会の意見をきいて、当該指示に係る織機を織物の製造の用に供している者のすべてに対し、当該調整組合又は調整組合連合会の設備処理規程の全部又は一部を指定し、その定に従うべきことを通商産業省令をもつて命ずることができる。
一 当該調整組合又は調整組合連合会(会員たる調整組合を含む。)が、本項の規定による命令に係る設備処理規程を公正かつ能率的に運用するに十分なものであること。
二 当該指示に係る織機を織物の製造の用に供している者で当該設備処理規程の適用を受けないものの数が、当該指示に係る織機を織物の製造の用に供している者の総数に比して極めて少い場合であること。
三 当該設備処理規程が、過剰設備の処理に伴う各事業者の負担の公平を確保し、かつ、相当の対価をもつてその処理が行われるような内容のものであること。
2 中小企業安定法第二十九条第三項、第二十九条の三から第二十九条の六まで、第三十条第三項、第三十一条、第三十一条の二、第四十一条中第二十九条の四の規定に係る部分、第四十二条及び第四十三条の規定は、第一項の規定による命令について準用する。
第四章 繊維工業設備審議会
(設置)
第三十二条 通商産業省に、繊維工業設備審議会を置く。
(権限)
第三十三条 繊維工業設備審議会(以下「審議会」という。)は、この法律によりその権限に属させられた事項を調査審議するほか、通商産業大臣の諮問に応じ、繊維工業設備に関する重要事項を調査審議する。
2 審議会は、この法律の実施に伴い繊維機械工業その他の関連事業が受ける影響に対処するための措置(繊維工業設備の更新に関する措置を含む。)について、通商産業大臣に建議することができる。
3 通商産業大臣は、前項の建議があつたときは、これを尊重し、繊維工業設備の更新の措置に係る建議については、当該建議に基き設備の更新に関し必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(組織)
第三十四条 審議会は、委員五十人以内で組織する。
2 専門の事項を調査させるため、審議会に、専門委員を置くことができる。
第三十五条 委員及び専門委員は、関係行政機関の職員及び繊維工業に関し学識経験のある者のうちから、通商産業大臣が任命する。
2 通商産業大臣は、委員のうち一人を会長として指名し、会務を総理させる。
(任期)
第三十六条 学識経験のある者のうちから任命された委員の任期は、一年とする。
(勤務)
第三十七条 委員及び専門委員は、非常勤とする。
(部会)
第三十八条 審議会に、部会を置くことができる。
2 部会に部会長を置き、会長の指名する委員がこれに当る。
3 部会に属すべき委員は、会長が指名する。
4 審議会は、その定めるところにより、部会の決議をもつて審議会の決議とすることができる。
(省令への委任)
第三十九条 この章に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、通商産業省令で定める。
第五章 雑則
(報告の徴収)
第四十条 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、精紡機又は織物幅出機を糸の製造又は織物の加工の用に供している者に対し、精紡機又は織物幅出機の使用の状況に関し報告をさせることができる。
2 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、第二十四条第一項の規定による指示に従い共同行為をしている者に対し、その共同行為の実施の状況に関し報告をさせることができる。
(立入検査)
第四十一条 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、精紡機又は織物幅出機を糸の製造又は織物の加工の用に供している者の工場、事業場、事務所又は倉庫に立ち入り、精紡機、織物幅出機、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(手数料)
第四十二条 次の表の上欄に掲げる者は、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内において政令で定める額の手数料を納めなければならない。
納付しなければならない者
金額
精紡機
織物幅出機
一 第七条第一項の登録申請書を提出する者
一錘につき五円
働き長さ十メートル又はその端数につき千円
二 第十条第一項の仮登録申請書を提出する者
 イ 第二条の登録を受けた精紡機又は織物幅出機について登録を受ける場合
一件につき六千円に一錘につき三円を加算した額
一件につき六千円に働き長さ十メートル又はその端数につき六百円を加算した額
 ロ その他の場合
一件につき一万円に一錘につき五円を加算した額
一件につき一万円に働き長さ十メートル又はその端数につき千円を加算した額
三 第十二条第一項又は第十四条第一項若しくは第二項の登録申請書を提出する者
一錘につき三円
働き長さ十メートル又はその端数につき六百円
四 第十七条第三項の規定により標識の取付を受ける者
一枚につき五百円
五 第十九条第一項又は第二項の規定により届出をする者
一件につき五百円
六 繊維工業設備台帳の謄本の交付を請求する者
一枚につき十円
七 繊維工業設備台帳の閲覧を請求する者
一件一回につき十円
(適用除外)
第四十三条 この法律の規定は、国、地方公共団体及び私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条に規定する学校法人には、適用しない。
(異議の申立)
第四十四条 この法律の規定による通商産業大臣の処分に対し不服のある者は、その処分のあつたことを知つた日から三十日以内に、その旨を記載した書面をもつて、通商産業大臣に異議の申立をすることができる。ただし、処分の日から六十日を経過したときは、異議の申立をすることができない。
第四十五条 通商産業大臣は、異議の申立を受理したときは、異議の申立をした者に対し、相当な期間をおいて予告をした上、公開による聴聞を行わなければならない。
2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。
3 聴聞に際しては、異議の申立をした者及び利害関係人に対し、その事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。
第四十六条 通商産業大臣は、前条の聴聞を行つた後、文書をもつて決定をし、その写を異議の申立をした者に送付しなければならない。
第六章 罰則
第四十七条 次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第二条の規定に違反して、登録を受けないで精紡機又は織物幅出機を糸の製造又は織物の加工の用に供した者
二 第二十一条の規定による命令に違反した者
三 第三十一条第一項の規定による命令に違反した者
第四十八条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第四十条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
二 第四十一条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
第四十九条 第十九条第一項若しくは第二項、第二十条第一項又は第二十七条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、一万円以下の罰金に処する。
第五十条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して四月をこえない範囲内で政令で定める日から施行する。
2 この法律は、公布の日から五年以内に廃止するものとする。
3 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第二十五条第一項の表中
繊維製品品質表示審議会
繊維製品の品質の表示に関する重要事項を調査審議すること。
繊維製品品質表示審議会
繊維製品の品質の表示に関する重要事項を調査審議すること。
繊維工業設備審議会
繊維工業設備に関する重要事項を調査審議すること。
に改める。
別表第一
一 綿糸(組成繊維中における綿以外の繊維の混用率が一パーセント以下の糸であつて、その引張強さが通商産業省令で定める引張強さ以上のものをいう。以下同じ。)
二 特紡綿糸(組成繊維中における綿以外の繊維の混用率が一パーセント以下の二十番手の単糸又はこれより太い単糸であつて、その引張強さが通商産業省令で定める引張強さ以上のもの(前号に掲げるものを除く。)をいう。以下同じ。)
三 組成繊維中における綿及びビスコース繊維以外の繊維の混用率が一パーセント以下の糸であつて、綿の混用率が十パーセント以上のもの(前二号に掲げるものを除く。)
四 特繊糸(組成繊維中における綿の混用率が十パーセント以上の糸(前三号、第十号、第十二号、第十四号及び第十八号に掲げるものを除く。)をいう。以下同じ。)
五 絹紡糸(組成繊維中における絹以外の繊維の混用率が一パーセント以下の絹紡式の糸をいう。以下同じ。)
六 スフ混紡絹紡糸(組成繊維中における絹及びビスコース繊維以外の繊維の混用率が一パーセント以下の絹紡式の糸であつて、絹の混用率が十パーセント以上のもの(前号に掲げるものを除く。)をいう。以下同じ。)
七 絹紡紬糸(組成繊維中におけるブーレット及び繭毛羽以外の繊維の混用率が一パーセント以下の紬糸式の糸をいう。以下同じ。)
八 スフ混紡紬糸(組成繊維中におけるブーレット、繭毛羽及びビスコース繊維以外の繊維の混用率が一パーセント以下の紬糸式の糸であつて、ブーレット又は繭毛羽の混用率が十パーセント以上のもの(前号に掲げるものを除く。)をいう。以下同じ。)
九 梳毛糸(組成繊維中における毛以外の繊維の混用率が三パーセント以下の梳毛式の糸をいう。以下同じ。)
十 梳毛式混紡糸(組成繊維中における毛の混用率が十パーセント以上の梳毛式の糸(前号及び第十八号に掲げるものを除く。)をいう。以下同じ。)
十一 紡毛糸(組成繊維中における毛以外の繊維の混用率が三パーセント以下の紡毛式の糸をいう。以下同じ。)
十二 紡毛式混紡糸(組成繊維中における毛の混用率が十パーセント以上の紡毛式の糸(前号及び第十八号に掲げるものを除く。)をいう。以下同じ。)
十三 麻糸(組成繊維中における麻(亜麻、苧麻及び大麻をいう。以下同じ。)以外の繊維の混用率が一パーセント以下の糸をいう。以下同じ。)
十四 麻混紡糸(組成繊維中における麻の混用率が十パーセント以上の糸(第十号、前二号及び第十八号に掲げるものを除く。)をいう。以下同じ。)
十五 スフ糸(組成繊維中におけるビスコース繊維以外の繊維の混用率が一パーセント以下の糸をいう。以下同じ。)
十六 組成繊維中における合成繊維及び酢酸繊維以外の繊維の混用率が一パーセント以下の糸
十七 組成繊維中における合成繊維、酢酸繊維及びビスコース繊維以外の繊維の混用率が一パーセント以下の糸であつて、合成繊維又は酢酸繊維の混用率が十パーセント以上のもの(前号に掲げるものを除く。)
十八 組成繊維中における合成繊維又は酢酸繊維の混用率が三十パーセント以上の糸(前二号に掲げるものを除く。)
別表第二
一 幅十三センチメートル以上の織物(以下単に「織物」という。)であつて、組成繊維中における毛の混用率が十パーセント以上のもの(第四号に掲げるものを除く。)
二 組成繊維中におけるビスコース繊維の短繊維以外の繊維の混用率が一パーセント以下の織物
三 組成繊維中における合成繊維又は酢酸繊維以外の繊維の混用率が一パーセント以下の織物
四 組成繊維中における合成繊維又は酢酸繊維の混用率が二十パーセント以上の織物(前号に掲げるものを除く。)
五 前四号に掲げるもの以外の織物
別表第三
一 綿糸又は別表第一第三号若しくは第十八号に掲げる糸の製造の用に供すべきもの
二 特紡綿糸又は別表第一第三号若しくは第十八号に掲げる糸の製造の用に供すべきもの
三 特繊糸、スフ糸又は別表第一第三号若しくは第十八号に掲げる糸の製造の用に供すべきもの
四 絹紡糸、スフ混紡絹紡糸又は別表第一第十八号に掲げる糸の製造の用に供すべきもの
五 絹紡紬糸、スフ混紡紬糸、スフ糸又は別表第一第十八号に掲げる糸の製造の用に供すべきもの
六 梳毛糸、梳毛式混紡糸又は別表第一第十八号に掲げる糸の製造の用に供すべきもの
七 紡毛糸、紡毛式混紡糸、スフ糸又は別表第一第十八号に掲げる糸の製造の用に供すべきもの
八 麻糸、麻混紡糸又は別表第一第十八号に掲げる糸の製造の用に供すべきもの
九 スフ糸又は別表第一第十七号に掲げる糸の製造の用に供すべきもの
十 別表第一第十六号から第十八号までに掲げる糸の製造の用に供すべきもの
別表第四
一 別表第二第一号、第二号又は第四号に掲げる織物の加工の用に供すべきもの
二 別表第二第二号、第四号又は第五号に掲げる織物の加工の用に供すべきもの
三 別表第二第三号又は第四号に掲げる織物の加工の用に供すべきもの
内閣総理大臣 鳩山一郎
通商産業大臣 石橋湛山