(付保義務の発生)
第百十二条 漁業協同組合の地区内に住所を有し、且つ、指定漁船(一年を通じて六十日以上漁業に従事する総トン数百トン未満一トン以上の動力漁船であつて、当該地区内に主たる根拠地を有する漁船をいう。以下同じ。)を所有する者の総員の三分の二以上の者が、政令で定める手続により、当該地区内に住所を有する指定漁船の所有者(以下「指定漁船所有者」という。)はすべてその所有する指定漁船の全部を普通損害保険に付すべきことにつき同意をしたときは、指定漁船所有者(同意があつた後に指定漁船所有者となつた者を含む。)は、その所有する指定漁船の全部を、政令で定める金額を下らない額を保険金額として、普通損害保険に付さなければならない。当該漁船についての保険期間が満了したときも、同様とする。
2 前項の規定により普通損害保険の目的とすべき漁船が、同項の規定による同意(以下「義務付保の同意」という。)があつた時において現に普通損害保険、満期保険若しくは保険会社の普通海上保険に付されている場合又はその後において満期保険に付された場合には、同項の規定の適用については、当該保険の保険金額の限度において同項の規定により普通損害保険に付されたものとみなす。
(付保義務発生の公示等)
第百十三条 義務付保の同意があつたときは、政令の定めるところによりその同意をした者を代表する者(以下この節において「代表者」という。)は、当該地区の全部又は一部をその区域内に含む市町村及び都道府県の長に対し、その旨を届け出なければならない。
2 前項の規定による届出を受けた市町村の長は、義務付保の同意があつた旨及びその同意に係る地区を公示しなければならない。
(義務付保漁船についての保険料の集収及び払込等)
第百十三条の二 義務付保の同意があつた場合において、代表者が、その同意に係る地区を地区とする漁業協同組合に対し、その同意があつたことを証する書面を添えて、当該漁業協同組合の組合員たる指定漁船所有者が当該指定漁船につき組合に支払うべき保険料(特殊保険の保険料を除く。以下この条において同じ。)を集収してその者に代り組合に払い込む事業を行うべき旨の申出をしたときは、当該漁業協同組合は、正当な事由がある場合の外は、その申出に係る事業を行わなければならない。
2 前項の規定は、同項の規定による事業を行う漁業協同組合に対し、当該漁業協同組合の組合員から、その所有する指定漁船以外の漁船につき組合に支払うべき保険料を集収してその者に代り組合に払い込むべき旨の申出があつた場合に準用する。
3 第一項の規定による事業を行う漁業協同組合は、その組合員以外の者であつてその地区内に住所を有する者がその所有する漁船につき組合に支払うべき保険料についても、これを集収してその者に代り組合に払い込む事業を行うことができる。
4 組合は、前三項の規定により保険料の集収及び払込をした漁業協同組合に対して、その事務費として、政令で定める金額を交付しなければならない。
5 第二項及び第三項の規定は、普通保険の保険金額が政令で定める金額に達しない漁船については、適用しない。
(付保義務の消滅)
第百十三条の三 第百十二条第一項の規定により指定漁船を普通損害保険に付すべき義務は、左の場合には、消滅する。
一 政令で定める手続により指定漁船所有者の総員の二分の一以上の者が当該義務を消滅させることにつき同意をしたとき。
二 政令で定める場合を除き、義務付保の同意に係る地区を地区とする漁業協同組合の地区に変更があつたとき。
2 第百十三条の規定は、前項の規定により指定漁船を普通損害保険に付すべき義務が消滅した場合に準用する。
(委任規定)
第百十三条の四 前四条の規定の適用に関して必要な事項は、政令で定める。
(保険期間)
第百十三条の五 保険期間は、普通損害保険にあつては一年とし、特殊保険にあつては四箇月とする。但し、組合は、省令の定めるところにより、定款で別段の定をすることができる。
(組合のてん補責任)
第百十三条の六 組合は、保険の目的たる漁船につき、普通損害保険事故又は特殊保険事故によつて生じた損害をてん補する。但し、特殊保険事故が捕獲、だ捕又は抑留によつて生じた場合には、特約がなければ、これによつて生じた損害をてん補する責を負わない。
2 前項の規定によりてん補すべき損害の範囲に関して必要な事項は、省令で定める。
(危険の消滅)
第百十三条の七 組合員は、保険の目的たる漁船につき、保険期間中組合が負担した危険が消滅したときは、政令の定めるところにより、保険料の一部の払いもどしを請求することができる。
(商法の準用)
第百十三条の八 組合の普通損害保険及び特殊保険については、商法第六百三十七条(保険価額の著しい減少)及び第六百六十三条(短期時効)の規定を準用する。この場合において、同法第六百六十三条中「保険料支払ノ義務」とあるのは、「保険料支払ノ義務及ビ追徴金支払ノ義務」と読み替えるものとする。