(目的)
第一條 この法律は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定を実施するため、たばこ専売法(昭和二十四年法律第百十一号)、塩専売法(昭和二十四年法律第百十二号)等の特例を設けることを目的とする。
(定義)
第二條 この法律において「合衆国」とは、アメリカ合衆国をいう。
2 この法律において「合衆国軍隊」とは、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約(以下「條約」という。)に基き日本国の領域及びその附近に配備される合衆国の陸軍、海軍又は空軍をいう。
3 この法律において「合衆国軍隊の構成員」とは、合衆国軍隊に属する軍人で現に服役中のものをいう。
4 この法律において「軍属」とは、合衆国の国籍を有する文民で合衆国軍隊に雇用され、これに勤務し、又はこれに随伴するもの(通常日本国に在留する者並びに通常合衆国に居住する個人及びその者又は合衆国の法律に基いて設立若しくは組織された法人の被用者で合衆国軍隊のための合衆国政府との契約の履行のみを目的として日本国にあるものを除く。)をいう。
5 この法律において「家族」とは、合衆国軍隊の構成員又は軍属の配偶者及び二十一才未満の子並びに父母及び二十一才以上の子でその生計費の十分の五以上を合衆国軍隊の構成員又は軍属が負担するものをいう。
6 この法律において「軍人用販売機関等」とは、合衆国軍隊が公認し、且つ、規制する海軍販売所、ピー・エツクス、食堂、社交クラブ、劇場、新聞発行所その他の合衆国の歳出外資金により合衆国軍隊の使用する施設及び区域内に設置された諸機関で、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにこれらの者の家族の利用に供せられるものをいう。
7 この法律において「契約者等」とは、通常合衆国に居住する個人又は合衆国の法律に基いて設立若しくは組織された法人で、條約第一條に掲げる目的の遂行のために合衆国軍隊が使用することに日本国が同意した施設及び区域の建設、維持又は運営(軍人用販売機関等の建設、維持又は運営を除く。以下同じ。)に関して合衆国政府と締結した契約に基き日本国において当該契約に係る建設、維持又は運営のみの事業をなすもの及び通常合衆国に居住する個人のうち、当該事業のためにのみ被用されている者で当該事業に従事するためにのみ日本国にあるものをいう。
8 この法律において「製造たばこ」とは、たばこ属の植物の葉を主原料とし、喫煙用、かみ用又はかぎ用に供しうる状態に製造したものをいう。
9 この法律において「製造たばこ用巻紙」とは、製造たばこのさや紙用に製造された紙をいう。
10 この法律において「塩」とは、塩化ナトリウムの含有量が百分の四十以上の固型物で塩専売法第一條第一項に規定するものをいう。
(輸入等の特例)
第三條 左に掲げる場合には、日本専売公社の委託又は許可を受けないで、製造たばこ、製造たばこ用巻紙又は塩を輸入することができる。
一 合衆国軍隊がその用に供するために輸入する場合で、当該軍隊がその用に供するために輸入することにつき合衆国軍隊の権限ある官憲により証明された場合
二 軍人用販売機関等が合衆国軍隊の構成員、軍属若しくはこれらの者の家族又は契約者等の用に供するために輸入する場合で、当該機関がこれらの者の用に供するために輸入することにつき合衆国軍隊の権限ある官憲により証明された場合
三 合衆国軍隊の構成員、軍属若しくはこれらの者の家族又は契約者等が、その私用に供するために成年者一人につき二百本以内の紙巻たばこ若しくは二百グラム以内のその他の製造たばこ又は相当量の塩を携帯品として輸入する場合
四 合衆国軍隊の構成員、軍属若しくはこれらの者の家族又は契約者等の私用に供するために二百本以内の紙巻たばこ又は二百グラム以内のその他の製造たばこを合衆国軍事郵便局を通じて日本国に郵送される場合
2 製造たばこについては、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律(昭和二十七年法律第百十二号)第六條第四号又は第六号の規定は、前項第三号又は第四号に規定する方法により輸入されるもののうちこれらの号に規定する量をこえない部分についてのみ適用し、同法第九條第四号の規定は、前項第四号の場合にのみ適用するものとする。
(譲渡等の制限の特例)
第四條 合衆国軍隊、軍人用販売機関等、合衆国軍隊の構成員、軍属、これらの者の家族若しくは契約者等又はこれらの者であつた者は、たばこ専売法第六十六條第一項又は塩専売法第四十二條第一項の規定にかかわらず、前條第一項の規定により輸入された製造たばこ、製造たばこ用巻紙又は塩を合衆国軍隊、軍人用販売機関等、合衆国軍隊の構成員、軍属、これらの者の家族又は契約者等に譲り渡すことができる。
2 前項の規定により製造たばこ、製造たばこ用巻紙又は塩を譲り渡す場合において、その相手方は、たばこ専売法第六十六條第一項又は塩専売法第四十二條第一項の規定にかかわらず、これを譲り受けることができる。