価格調整公団法
法令番号: 法律第六十二号
公布年月日: 昭和22年4月16日
法令の形式: 法律
朕は、帝國議会の協賛を経た價格調整公團法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月十五日
内閣総理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
内務大臣 植原悦二郎
大藏大臣 石橋湛山
法律第六十二号
價格調整公團法
第一章 総則
第一條 價格調整公團は、経済安定本部総務長官の定める基本的な政策及び計画に從い、物價廳長官の定める價格等(以下指定價格等という。)の適正を調整に関する業務を行うことを目的とする。
前項の價格等とは、價格、運送賃その他給付の対價である財產的給付をいう。
價格調整公團は、法人とする。
第二條 價格調整公團は、主たる事務所を、東京都に置く。
價格調整公團は、物價廳長官の認可を受けて、價格等の調整に関する業務を行うため必要の地に從たる事務所を設けることができる。
第三條 價格調整公團の基本金は、三千万円とする。
前項の基本金は、政府が全額これを出資しなければならない。
價格調整公團の運営資金は、必要があるときには、復興金融金庫から借り入れるものとする。
第四條 價格調整公團は、定款を以て、左の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 基本金額に関する事項
五 役員に関する事項
六 業務及びその執行に関する事項
七 会計に関する事項
八 公告の方法
定款は、物價廳長官及び経済安定本部総務長官の認可を受けて、これを変更することができる。
第五條 價格調整公團は、勅令の定めるところにより、登記しなければならない。
前項の規定によつて登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第六條 價格調整公團には、所得税及び法人税を課さない。
都道府縣、市町村その他これに準ずるものは、價格調整公團の事業に対しては、地方税を課することはできない。但し、特別の事情に基いて内務大臣及び大藏大臣の認可を受けた場合にはこの限りでない。
第七條 價格調整公團は、経済安定本部総務長官の命令によつて解散する。
経済安定本部総務長官は、前項の命令をなす場合には、物價廳長官にはからなければならない。この場合において命令の最終責任は経済安定本部総務長官にあるものとする。
前項に定めるものの外、價格調整公團の解散に関して必要な事項は、勅令でこれを定める。
第八條 價格調整公團でない者は、價格調整公團又はこれに類似する名称を用いることができない。
第九條 民法第四十四條、第五十條、第五十四條及び第五十七條並びに非訟事件手続法第三十五條第一項の規定は、價格調整公團にこれを準用する。
第二章 役員及び職員
第十條 價格調整公團に、役員として、理事長副理事長各一人、理事二人以上及び監事一人以上を置く。
理事長は、價格調整公團を代表し、第十五條の規定に基き、その業務を総理する。
副理事長は、定款の定めるところにより、價格調整公團を代表し、理事長を補佐して價格調整公團の業務を掌理し、理事長に事故のあるときにはその職務を代理し、理事長が欠員のときにはその職務を行う。
理事は、定款の定めるところにより、價格調整公團を代表し、理事長及び副理事長を補佐して價格調整公團の業務を掌理し、理事長及び副理事長に事故のあるときにはその職務を代理し、理事長及び副理事長が欠員のときにはその職務を行う。
監事は、價格調整公團の業務を監査する。
第十一條 理事長、副理事長、理事及び監事は、物價廳長官がこれを任命する。
第十二條 理事長、副理事長及び理事は、定款の定めるところにより、價格調整公團の職員のうちから、主たる事務所又は從たる事務所の業務に関し、一切の裁判上又は裁判外の行爲をする権限を有する代理人を選任することができる。
第十三條 價格調整公團の役員及び職員は、指定價格等に対する給付の目的である物資の生產、精製、加工、保管、賣買若しくは輸送を業とする会社の株式を所有し、又はこれらの会社その他の企業の業務に從事し、若しくはその営業につき一切の利害関係を有してはならない。
第十四條 價格調整公團の役員及び職員は、官吏その他の政府職員とする。
理事長たる者は、物價廳次長と同級又はこれと同格とし、その他の役員たる者は、一級又はこれと同格とし、職員たる者は、一級、二級若しくは三級又はこれらと同格とし、それらの定員は、物價廳長官がこれを定める。
價格調整公團の役員及び職員は、官吏に関する一般法令に從うものとする。但し、主務大臣が経済安定本部総務長官の承認を受けて、給料、服務その他の必要な事項に関して特例を定めたときには、これによるものとする。
第三章 業務
第十五條 價格調整公團は、経済安定本部総務長官の定める基本的な政策及び計画に基いて、物價廳長官のなす指導及び監督に從い、左の業務を行う。
一 経済安定本部総務長官の定める方策に基く價格等の調整のための資金の受入又は交付
二 経済安定本部総務長官の定める方策に基く價格等の調整のための買取及び賣戻
三 前各号の業務に附帶する業務
第十六條 價格調整公團は、業務開始の際、業務の方法を定めて、経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同樣である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、物價廳長官及び大藏大臣にはからなければならない、この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第十七條 價格調整公團は、毎事業年度の前期及び後期の初において六箇月毎の事業計画を作成し、これを経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同樣である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、物價廳長官及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第四章 会計
第十八條 價格調整公團の事業年度は、毎年四月から翌年三月までとし、これを前期及び後期に分ける。
第十九條 價格調整公團は、前條の各期毎に、財產目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、毎事業年度経過後二箇月以内に、これを経済安定本部総務長官に提出し、その承認を受けなければならない。
経済安定本部総務長官は、前項の承認を行うときには、物價廳長官及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において承認の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
價格調整公團は、第一項の規定による経済安定本部総務長官の承認を受けたときには、その財產目録、貸借対照表及び損益計算書を公告し、且つこれを定款とともに、各事務所に備えて置かなければならない。
前項の財產目録、貸借対照表及び損益計算書は、会計檢査院の檢査を受け、その承認を受けなければならない。
價格調整公團は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、命令の定めるところにより、剩余金を國庫に納付しなければならない。
價格調整公團は、帳簿、書類その他一切の記録を整然且つ明確に記載し、会計檢査院、経済安定本部及び主務官廳の檢査を受けることができるように整備しなければならない。
会計檢査院は、常に適確に前項の檢査を行わなければならない。
第五章 監督及び助成
第二十條 経済安定本部総務長官は、その定める基本的な政策及び計画に関して、價格調整公團を指導監督する。
経済安定本部総務長官は、價格等の適正な調整を図るため必要があると認めるときには、價格調整公團に対し、監督上必要な命令をなすことができる。
物價廳長官は、價格等の適正な調整を図るため必要があると認めるときには、價格調整公團に対して、経済安定本部総務長官の定める基本的な政策及び計画に基いて、監督上必要な命令をなすことができる。
物價廳長官又は経済安定本部総務長官は、必要があると認めるときには、價格調整公團に対して報告をさせ、又は当該官吏に、必要な場所に臨檢し、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を檢査させることができる。
價格調整公團は、必要があると認めるときには、指定價格等に対する給付をなすを業とする者(以下單に業者という。)、業者の所有する物資の占有者又は業者から指定價格等に対する給付を受ける者に対し、價格等の調整に関し、報告を徴し、書類の提出を求め、若しくは帳簿の作成を命じ、又は命令の定めるところにより、当該官吏に必要な場所に臨檢し、業務の状況若しくは帳簿書類その他必要な物件を檢査させることができる。
前二項の規定により、当該官吏に臨檢檢査をさせる場合には、命令の定めるところにより、その身分を示す証票を携行させなければならない。
第二十一條 價格調整公團は、その役員及び職員に対して、特別の報酬を與える必要があるときには、その報酬規程を定め、経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同樣である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、物價廳長官及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は経済安定本部総務長官にあるものとする。
第二十二條 物價廳長官は、價格調整公團の役員が法令若しくは定款又はこの法律に基いてなす命令に違反したときには、これを解任することができる。
経済安定本部総務長官は、價格調整公團の役員が價格調整公團の目的及び業務に関してその任に適せず、又はその職務を適切に遂行していないと認めるときには、これを解任することができる。
第二十三條 物價廳長官は、必要があると認めるときには、その定めるところにより、業者に対し、当該給付の目的である物資を價格調整公團に賣り渡すことを命ずることができる。
價格調整公團は、前項の命令によつて、價格調整公團に賣り渡された物資を、物價廳長官が定める額で、その物資の賣主に賣り戻さなければならない。
第二十四條 物價廳長官は、必要があると認めるときには、業者から指定價格等に対する給付を受ける者に対し、その價格等を物價廳長官の定めるところにより、價格調整公團に支拂うことを命ずることができる。
價格調整公團は、前項の場合において價格等の受領につき、業者から委任があつたものとする。
第六章 罰則
第二十五條 第二十三條第一項又は前條第一項の規定による命令に違反した者は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第二十六條 左の場合においては、その違反行爲をなした價格調整公團の役員又は職員は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第十五條に規定しない業務を行つた場合
二 第二十條第二項及び第三項の規定による経済安定本部総務長官又は物價廳長官の監督上の命令に違反した場合
第二十七條 この法律の規定による報告を怠り、若しくは虚僞の報告をなし、又は書類の提出をなさず、若しくは虚僞の記載をした書類を提出し、又は帳簿の作成を怠り、若しくは帳簿に虚僞の記載をなし、又は檢査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十八條 前三條の罪を犯した者には、情状に因り、懲役及び罰金を併科することができる。
法人(價格調整公團を除く。以下同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者がその法人又は人の業務に関して第二十五條又は前條の違反行爲をなしたときには、行爲者を罰する外、その法人又は人に対して右本條の罰金刑を科する。
第二十九條 第八條の規定に違反して、價格調整公團又はこれに類似する名称を用いた者は、これを一万円以下の過料に処する。
附 則
第三十條 この法律は、公布の日から、これを施行する。
第三十一條 價格調整公團が成立したときには、昭和二十一年十二月十一日以後、指定價格等に対する給付をなす業に從事した統制機関は、解散するものとする。
前項の規定による統制機関の清算は、昭和二十三年四月一日までに結了せしめるものとする。
第三十二條 政府は、設立委員を命じて、價格調整公團の設立に関する事務を処理させる。
第三十三條 設立委員は、定款を作成して、物價廳長官及び経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。
前項の認可があつたときには、設立委員は、遅滯なく基本金の拂込を請求しなければならない。
第三十四條 基本金の拂込があつたときには、設立委員は、遅滯なくその事務を價格調整公團の理事長に引き継がなければならない。
理事長が前項の事務の引継を受けたときには、理事長、副理事長、理事及び監事の全員は、遅滯なく登記をしなければならない。
價格調整公團は、設立の登記をすることによつて成立する。
第三十五條 價格調整公團でない者で、この法律施行の際現に價格調整公團又はこれに類似する名称を用いているものについては、この法律施行後六箇月を限り、第八條の規定を適用しない。
朕は、帝国議会の協賛を経た価格調整公団法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月十五日
内閣総理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
内務大臣 植原悦二郎
大蔵大臣 石橋湛山
法律第六十二号
価格調整公団法
第一章 総則
第一条 価格調整公団は、経済安定本部総務長官の定める基本的な政策及び計画に従い、物価庁長官の定める価格等(以下指定価格等という。)の適正を調整に関する業務を行うことを目的とする。
前項の価格等とは、価格、運送賃その他給付の対価である財産的給付をいう。
価格調整公団は、法人とする。
第二条 価格調整公団は、主たる事務所を、東京都に置く。
価格調整公団は、物価庁長官の認可を受けて、価格等の調整に関する業務を行うため必要の地に従たる事務所を設けることができる。
第三条 価格調整公団の基本金は、三千万円とする。
前項の基本金は、政府が全額これを出資しなければならない。
価格調整公団の運営資金は、必要があるときには、復興金融金庫から借り入れるものとする。
第四条 価格調整公団は、定款を以て、左の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 基本金額に関する事項
五 役員に関する事項
六 業務及びその執行に関する事項
七 会計に関する事項
八 公告の方法
定款は、物価庁長官及び経済安定本部総務長官の認可を受けて、これを変更することができる。
第五条 価格調整公団は、勅令の定めるところにより、登記しなければならない。
前項の規定によつて登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第六条 価格調整公団には、所得税及び法人税を課さない。
都道府県、市町村その他これに準ずるものは、価格調整公団の事業に対しては、地方税を課することはできない。但し、特別の事情に基いて内務大臣及び大蔵大臣の認可を受けた場合にはこの限りでない。
第七条 価格調整公団は、経済安定本部総務長官の命令によつて解散する。
経済安定本部総務長官は、前項の命令をなす場合には、物価庁長官にはからなければならない。この場合において命令の最終責任は経済安定本部総務長官にあるものとする。
前項に定めるものの外、価格調整公団の解散に関して必要な事項は、勅令でこれを定める。
第八条 価格調整公団でない者は、価格調整公団又はこれに類似する名称を用いることができない。
第九条 民法第四十四条、第五十条、第五十四条及び第五十七条並びに非訟事件手続法第三十五条第一項の規定は、価格調整公団にこれを準用する。
第二章 役員及び職員
第十条 価格調整公団に、役員として、理事長副理事長各一人、理事二人以上及び監事一人以上を置く。
理事長は、価格調整公団を代表し、第十五条の規定に基き、その業務を総理する。
副理事長は、定款の定めるところにより、価格調整公団を代表し、理事長を補佐して価格調整公団の業務を掌理し、理事長に事故のあるときにはその職務を代理し、理事長が欠員のときにはその職務を行う。
理事は、定款の定めるところにより、価格調整公団を代表し、理事長及び副理事長を補佐して価格調整公団の業務を掌理し、理事長及び副理事長に事故のあるときにはその職務を代理し、理事長及び副理事長が欠員のときにはその職務を行う。
監事は、価格調整公団の業務を監査する。
第十一条 理事長、副理事長、理事及び監事は、物価庁長官がこれを任命する。
第十二条 理事長、副理事長及び理事は、定款の定めるところにより、価格調整公団の職員のうちから、主たる事務所又は従たる事務所の業務に関し、一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
第十三条 価格調整公団の役員及び職員は、指定価格等に対する給付の目的である物資の生産、精製、加工、保管、売買若しくは輸送を業とする会社の株式を所有し、又はこれらの会社その他の企業の業務に従事し、若しくはその営業につき一切の利害関係を有してはならない。
第十四条 価格調整公団の役員及び職員は、官吏その他の政府職員とする。
理事長たる者は、物価庁次長と同級又はこれと同格とし、その他の役員たる者は、一級又はこれと同格とし、職員たる者は、一級、二級若しくは三級又はこれらと同格とし、それらの定員は、物価庁長官がこれを定める。
価格調整公団の役員及び職員は、官吏に関する一般法令に従うものとする。但し、主務大臣が経済安定本部総務長官の承認を受けて、給料、服務その他の必要な事項に関して特例を定めたときには、これによるものとする。
第三章 業務
第十五条 価格調整公団は、経済安定本部総務長官の定める基本的な政策及び計画に基いて、物価庁長官のなす指導及び監督に従い、左の業務を行う。
一 経済安定本部総務長官の定める方策に基く価格等の調整のための資金の受入又は交付
二 経済安定本部総務長官の定める方策に基く価格等の調整のための買取及び売戻
三 前各号の業務に附帯する業務
第十六条 価格調整公団は、業務開始の際、業務の方法を定めて、経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、物価庁長官及び大蔵大臣にはからなければならない、この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第十七条 価格調整公団は、毎事業年度の前期及び後期の初において六箇月毎の事業計画を作成し、これを経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、物価庁長官及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第四章 会計
第十八条 価格調整公団の事業年度は、毎年四月から翌年三月までとし、これを前期及び後期に分ける。
第十九条 価格調整公団は、前条の各期毎に、財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、毎事業年度経過後二箇月以内に、これを経済安定本部総務長官に提出し、その承認を受けなければならない。
経済安定本部総務長官は、前項の承認を行うときには、物価庁長官及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において承認の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
価格調整公団は、第一項の規定による経済安定本部総務長官の承認を受けたときには、その財産目録、貸借対照表及び損益計算書を公告し、且つこれを定款とともに、各事務所に備えて置かなければならない。
前項の財産目録、貸借対照表及び損益計算書は、会計検査院の検査を受け、その承認を受けなければならない。
価格調整公団は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、命令の定めるところにより、剰余金を国庫に納付しなければならない。
価格調整公団は、帳簿、書類その他一切の記録を整然且つ明確に記載し、会計検査院、経済安定本部及び主務官庁の検査を受けることができるように整備しなければならない。
会計検査院は、常に適確に前項の検査を行わなければならない。
第五章 監督及び助成
第二十条 経済安定本部総務長官は、その定める基本的な政策及び計画に関して、価格調整公団を指導監督する。
経済安定本部総務長官は、価格等の適正な調整を図るため必要があると認めるときには、価格調整公団に対し、監督上必要な命令をなすことができる。
物価庁長官は、価格等の適正な調整を図るため必要があると認めるときには、価格調整公団に対して、経済安定本部総務長官の定める基本的な政策及び計画に基いて、監督上必要な命令をなすことができる。
物価庁長官又は経済安定本部総務長官は、必要があると認めるときには、価格調整公団に対して報告をさせ、又は当該官吏に、必要な場所に臨検し、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。
価格調整公団は、必要があると認めるときには、指定価格等に対する給付をなすを業とする者(以下単に業者という。)、業者の所有する物資の占有者又は業者から指定価格等に対する給付を受ける者に対し、価格等の調整に関し、報告を徴し、書類の提出を求め、若しくは帳簿の作成を命じ、又は命令の定めるところにより、当該官吏に必要な場所に臨検し、業務の状況若しくは帳簿書類その他必要な物件を検査させることができる。
前二項の規定により、当該官吏に臨検検査をさせる場合には、命令の定めるところにより、その身分を示す証票を携行させなければならない。
第二十一条 価格調整公団は、その役員及び職員に対して、特別の報酬を与える必要があるときには、その報酬規程を定め、経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、物価庁長官及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は経済安定本部総務長官にあるものとする。
第二十二条 物価庁長官は、価格調整公団の役員が法令若しくは定款又はこの法律に基いてなす命令に違反したときには、これを解任することができる。
経済安定本部総務長官は、価格調整公団の役員が価格調整公団の目的及び業務に関してその任に適せず、又はその職務を適切に遂行していないと認めるときには、これを解任することができる。
第二十三条 物価庁長官は、必要があると認めるときには、その定めるところにより、業者に対し、当該給付の目的である物資を価格調整公団に売り渡すことを命ずることができる。
価格調整公団は、前項の命令によつて、価格調整公団に売り渡された物資を、物価庁長官が定める額で、その物資の売主に売り戻さなければならない。
第二十四条 物価庁長官は、必要があると認めるときには、業者から指定価格等に対する給付を受ける者に対し、その価格等を物価庁長官の定めるところにより、価格調整公団に支払うことを命ずることができる。
価格調整公団は、前項の場合において価格等の受領につき、業者から委任があつたものとする。
第六章 罰則
第二十五条 第二十三条第一項又は前条第一項の規定による命令に違反した者は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第二十六条 左の場合においては、その違反行為をなした価格調整公団の役員又は職員は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第十五条に規定しない業務を行つた場合
二 第二十条第二項及び第三項の規定による経済安定本部総務長官又は物価庁長官の監督上の命令に違反した場合
第二十七条 この法律の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をなし、又は書類の提出をなさず、若しくは虚偽の記載をした書類を提出し、又は帳簿の作成を怠り、若しくは帳簿に虚偽の記載をなし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十八条 前三条の罪を犯した者には、情状に因り、懲役及び罰金を併科することができる。
法人(価格調整公団を除く。以下同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して第二十五条又は前条の違反行為をなしたときには、行為者を罰する外、その法人又は人に対して右本条の罰金刑を科する。
第二十九条 第八条の規定に違反して、価格調整公団又はこれに類似する名称を用いた者は、これを一万円以下の過料に処する。
附 則
第三十条 この法律は、公布の日から、これを施行する。
第三十一条 価格調整公団が成立したときには、昭和二十一年十二月十一日以後、指定価格等に対する給付をなす業に従事した統制機関は、解散するものとする。
前項の規定による統制機関の清算は、昭和二十三年四月一日までに結了せしめるものとする。
第三十二条 政府は、設立委員を命じて、価格調整公団の設立に関する事務を処理させる。
第三十三条 設立委員は、定款を作成して、物価庁長官及び経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。
前項の認可があつたときには、設立委員は、遅滞なく基本金の払込を請求しなければならない。
第三十四条 基本金の払込があつたときには、設立委員は、遅滞なくその事務を価格調整公団の理事長に引き継がなければならない。
理事長が前項の事務の引継を受けたときには、理事長、副理事長、理事及び監事の全員は、遅滞なく登記をしなければならない。
価格調整公団は、設立の登記をすることによつて成立する。
第三十五条 価格調整公団でない者で、この法律施行の際現に価格調整公団又はこれに類似する名称を用いているものについては、この法律施行後六箇月を限り、第八条の規定を適用しない。