第一條 この勅令において特定人とは、聯合國最高司令官から逮捕、拘禁又は抑留されるべき者として指定された者をいふ。
第二條 この勅令において特定財產とは、特定人が有するすべての財產及び特定人が支配する財產であつて大藏大臣の定めるものをいふ。但し、特定人及びその家族の日常生活の用に供する家具、什器、衣服その他大藏大臣の定めるものを除く。
昭和二十年七月一日以後において、特定人が有してゐた財產をその家族その他大藏大臣の定める者に讓渡した場合には、大藏大臣の定めるところにより、その財產を特定財產とみなす。
第三條 特定財產は、大藏大臣が、その定めるところにより、これを管理する。
國稅徵收法第十一條、第十三條、第十五條、第十八條、第二十條乃至第二十二條、第二十三條ノ一第一項及び第二十三條ノ二乃至第二十三條ノ四の規定は、前項の規定による管理についてこれを準用する。
第四條 特定人の指定があつた後においては、特定財產については、大藏大臣の定めるところにより、その許可を受けなければ、その形質若しくは現狀を變更し又はこれを移動しその他管理を害する行爲をしてはならない。
大藏大臣の管理に屬する特定財產について特定人及びその家族その他の利害關係人の申請があつたときは、大藏大臣は、その定めるところにより、管理の解除をすることができる。
第五條 特定人その他特定財產に關する利害關係人は、大藏大臣の定めるところにより、特定財產に關する報吿書を提出しなければならない。
第六條 大藏大臣は、特定財產の管理のため必要があるときは、當該官吏をして特定人又は特定財產に關する利害關係人に質問し又は必要な場所に臨檢して特定財產又はこれに關する帳簿書類その他の物件を檢査させることができる。
第七條 この勅令による管理に關する事務は、大藏大臣の定めるところにより、財務局及び稅務署においてこれを行はしめることができる。
第八條 第四條第一項の規定に違反した者は、これを三年以下の懲役若しくは禁錮又は一萬圓以下の罰金に處する。
第五條の規定に違反して報吿書を提出せず若しくは虛僞の事項を記載した報吿書を提出し、又は第六條の規定による當該官吏の質問に對して答辯をなさず若しくは虛僞の陳述をなし又は檢査を拒み、妨げ若しくは忌避した者も前項に同じ。
第九條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者がその法人又は人の業務又は財產に關して、前條の違反行爲をなしたときは、行爲者を罰する外、その法人又は人に對して前條の罰金刑を科する。