金属類回収令
法令番号: 勅令第六百六十七號
公布年月日: 昭和18年8月12日
法令の形式: 勅令
朕金屬類囘收令改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年八月十一日
內閣總理大臣 東條英機
遞信大臣 寺島健
商工大臣 岸信介
鐵道大臣 八田嘉明
內務大臣 安藤紀三郞
大東亞大臣 靑木一男
勅令第六百六十七號
金屬類囘收令
第一條 國家總動員法(昭和十三年勅令第三百十七號ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第八條ノ規定ニ基ク囘收物件ノ讓渡其ノ他ノ處分、使用、所持及移動竝ニ同法第十六條ノ二ノ規定ニ基ク事業ニ屬スル設備タル囘收物件ノ出資ニ關スル命令ニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 本令ハ戰力ノ增强ニ資スル爲鐵、鋼若ハ鉛又ハ此等ノ金屬ヲ主タル成分トスル合金ノ供給ノ確保ヲ圖ルコトヲ目的トス
第三條 本令ニ於テ囘收物件トハ前條ノ金屬又ハ合金ヲ主タル材料トスル物資ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノヲ謂フ
一 命令ヲ以テ指定スル事業ノ用ニ供スル物資ニシテ命令ヲ以テ指定スルモノ
二 命令ヲ以テ指定スル施設ニ備附ケタル物資ニシテ命令ヲ以テ指定スルモノ
三 前二號ニ揭グルモノノ外命令ヲ以テ定ムル物資
第四條 商工大臣ハ囘收物件ヲ所有シ又ハ權原ニ基キ占有スル者(第六條ノ規定ニ依リ商工大臣ノ指定スル者ヲ除ク)ニ對シ一般的ニ囘收物件ノ讓渡其ノ他ノ處分、使用又ハ移動ニ關シ必要ナル制限ヲ爲スコトヲ得事業ニ屬スル設備タル囘收物件ノ出資ニ付亦同ジ
第五條 商工大臣ハ囘收物件ヲ讓受ケ若ハ賃借シ又ハ事業ニ屬スル設備タル囘收物件ノ出資ヲ受ケントスル者(第六條ノ規定ニ依リ商工大臣ノ指定スル者ヲ除ク)ニ對シ一般的ニ囘收物件ノ讓受、賃借又ハ出資ヲ受クルコトニ關シ必要ナル制限ヲ爲スコトヲ得
第六條 商工大臣ハ囘收物件ノ所有者ニ對シ期限ヲ指定シテ商工大臣ノ指定スル者(以下囘收機關ト稱ス)ニ當該囘收物件ノ讓渡ノ申込ヲ爲スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ讓渡ノ申込ヲ爲スベキコトヲ命ゼラレタル所有者同項ノ期限迄ニ讓渡ノ申込ヲ爲サザルトキハ其ノ期限到來ノ日ニ於テ讓渡ノ申込ヲ爲シタルモノト看做ス
第七條 前條ノ規定ニ依リ囘收機關ニ對シ囘收物件ノ讓渡ノ申込アリタル場合ニ於テハ當該囘收物件ノ撤去、引取及撤去ニ因リ生ジタル破損箇所ノ修理竝ニ囘收物件ノ用途又ハ備附ノ狀況ニ鑑ミ特ニ必要トスル代替物件ノ備附ハ地方長官之ヲ行フ但シ囘收物件ヲ所有シ又ハ權原ニ基キ占有スル者ニ於テ當該囘收物件ノ撤去、撤去ニ因リ生ジタル破損箇所ノ修理又ハ代替物件ノ備附ヲ行フヲ妨ゲズ
地方長官前項ノ規定ニ依ル職權ヲ行フニ當リテハ其ノ指揮監督ノ下ニ其ノ指定スル囘收機關其ノ他ノ者ヲシテ必要ナル作業ニ從事セシムルヲ例トス
地方長官第一項ノ規定ニ依リ囘收物件ノ撤去又ハ引取ヲ行フ場合ニ於テハ當該囘收物件ヲ所有シ又ハ權原ニ基キ占有スル者ハ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
地方長官第一項ノ規定ニ依リ囘收物件ノ撤去又ハ引取ヲ爲シタルトキハ讓渡契約ノ履行ニ付テハ當該囘收物件ハ讓渡ノ申込ヲ受ケタル囘收機關ニ引渡アリタルモノト看做ス
第八條 第六條ノ規定ニ依リ囘收物件ヲ囘收機關ニ讓渡スル場合ニ於ケル讓渡價額ハ商工大臣之ヲ定ム但シ商工大臣必要アリト認ムルトキハ其ノ定ムル基準ニ依リ當事者間ノ協議ニ依リ之ヲ定メシムルコトヲ得
前項但書ノ規定ニ依ル協議ニ依リ讓渡價額定マリタルトキハ當該讓渡價額ハ商工大臣ノ定メタルモノト看做ス
第九條 第六條ノ規定ニ依リ囘收物件ヲ囘收機關ニ讓渡スル場合ニ於テハ當該囘收物件ノ撤去費其ノ他引渡ニ要スル費用及修理費ハ商工大臣ノ指定スル囘收機關ノ負擔トスルモノトス囘收物件ノ用途又ハ備附ノ狀況ニ鑑ミ特ニ代替物件ノ備附ヲ必要トスル場合ニ於テ代替物件ノ價額ト其ノ備附ニ要スル費用ノ額トノ合計額ガ當該囘收物件ノ前條ノ規定ニ依ル讓渡價額ヲ超ユル場合ニ於ケル其ノ超過分ニ付亦同ジ
第七條第一項本文ノ規定ニ依ル代替物件ノ備附ノ場合ニ於テハ代替物件ノ價額及其ノ備附ニ要スル費用ハ前項ノ超過分ヲ除クノ外囘收物件ノ讓渡ヲ受クベキ囘收機關ノ負擔トスルモノトス此ノ場合ニ於テ當該囘收物件ノ囘收機關ニ對スル讓渡價額ハ前條ノ規定ニ依ル讓渡價額ヨリ當該囘收機關ノ負擔スル代替物件ノ價額ト其ノ備附ニ要スル費用ノ額トノ合計額ヲ控除シタル額トス
囘收物件ガ都道府縣又ハ市町村若ハ之ニ準ズルモノノ所有ニ屬スルモノナル場合ニ於テハ修理費竝ニ代替物件ノ價額及其ノ備附ニ要スル費用ハ前二項ノ規定ニ拘ラズ當該都道府縣又ハ市町村若ハ之ニ準ズルモノノ負擔トス
第一項及第二項ノ規定ニ依リ囘收機關ノ負擔スベキ額ハ商工大臣ノ定ムル基準ニ依リ地方長官之ヲ定ム但シ地方長官必要アリト認ムルトキハ第一項ノ規定ニ依リ囘收機關ノ負擔スベキ額ニシテ第七條第一項但書ノ規定ニ依リ囘收物件ノ所有者又ハ占有者ニ於テ撤去、修理又ハ代替物件ノ備附ヲ爲ス場合ニ於ケルモノニ付商工大臣ノ定ムル基準ニ依リ當該所有者又ハ占有者ト當該囘收機關トノ協議ニ依リ之ヲ定メシムルコトヲ得
前項但書ノ規定ニ依ル協議ニ依リ囘收機關ノ負擔スベキ額定マリタルトキハ當該額ハ地方長官ノ定メタルモノト看做ス
第十條 囘收物件ニ關シ强制競賣手續、國稅徵收法ニ依ル强制徵收手續又ハ土地收用法、工場事業場使用收用令、土地工作物管理使用收用令若ハ總動員物資使用收用令ニ依ル使用若ハ收用ノ手續其ノ他此等ノ手續ニ準ズベキモノノ進行中ナルトキハ其ノ進行中ニ限リ當該囘收物件ニ關シテハ第四條乃至第六條及第十三條ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第十一條 第六條ノ規定ニ依リ爲シタル囘收物件ノ讓渡ハ他ノ法令ニ拘ラズ其ノ效力ヲ有ス
第六條ノ規定ニ依リ讓渡スベキ囘收物件ニ付存シタル擔保權ハ他ノ法令ニ拘ラズ當該囘收物件ニ付其ノ讓渡ノ時ヨリ之ヲ行フコトヲ得ズ
前項ノ場合ニ於テハ當該擔保權者ハ當該囘收物件ノ對價トシテ受クベキ金錢又ハ有價證券及其ノ對價ニ關シ企業整備資金措置法第四條ノ規定ニ依リ取得シタル同法第十四條第一項ニ揭グル債權竝ニ當該囘收物件ニ付第九條第一項ノ超過分トシテ受クベキ金錢ニ對シ其ノ權利ヲ行フコトヲ得
第十二條 第六條ノ規定ニ依リ囘收物件ヲ囘收機關ニ讓渡シタル場合ニ於テ當該囘收物件ガ知レタル擔保權ノ目的タル場合ニ於テハ囘收機關ハ當該囘收物件ノ對價トシテ支拂フベキ金錢又ハ有價證券及當該囘收物件ニ付第九條第一項ノ超過分トシテ支拂フベキ金錢ヲ供託スベシ
前項ノ場合ニ於テハ當該擔保權者ハ同項ノ規定ニ依リ供託セラレタル金錢又ハ有價證券ニ對シ其ノ權利ヲ行フコトヲ得
第十三條 商工大臣ハ囘收機關ニ對シ時期、方法、相手方其ノ他必要ナル事項ヲ指定シテ囘收物件ノ讓受、讓渡其ノ他ノ處分、使用、所持及移動ヲ命ジ又ハ囘收物件ノ讓渡、使用、所持及移動ニ關シ必要ナル制限ヲ爲スコトヲ得
第十四條 國家總動員法第二十七條ノ規定ニ依リ補償スベキ損失ハ第六條及前條ノ規定ニ基ク處分ニ因ル通常生ズベキ損失トス
前項ノ損失ノ補償ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十五條 商工大臣又ハ地方長官ハ囘收物件ニ關シ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ依リ囘收機關及囘收物件ノ所有者其ノ他ノ關係人ヨリ必要ナル報吿ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシテ當該囘收物件ノ所在ノ場所其ノ他必要ナル場所ニ臨檢シ業務ノ狀況若ハ當該囘收物件、書類、帳簿等ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十六條 商工大臣ハ本令ニ規定スル職權ノ一部ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得
第十七條 本令中商工大臣トアルハ朝鮮、臺灣又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮總督、臺灣總督又ハ南洋廳長官トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、臺灣ニ在リテハ州知事又ハ廳長、南洋群島ニ在リテハ南洋廳長官トス
第九條第三項中都道府縣又ハ市町村トアルハ朝鮮ニ在リテハ道又ハ府邑面、臺灣ニ在リテハ州若ハ廳又ハ市街庄、南洋群島ニ在リテハ南洋群島地方費トス
第十八條 本令ハ所有者若ハ權原ニ基ク占有者又ハ其ノ世帶員ノ日常生活ノ用ニ供スル物資(家庭用物件)ニハ適用ナキモノトス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、臺灣又ハ南洋群島ニ在リテハ昭和十八年九月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行前從前ノ罰則ヲ適用スベカリシ行爲及本令施行前囘收機關ニ對シ讓渡ノ申込アリタル囘收物件ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
朕金属類回収令改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年八月十一日
内閣総理大臣 東条英機
逓信大臣 寺島健
商工大臣 岸信介
鉄道大臣 八田嘉明
内務大臣 安藤紀三郎
大東亜大臣 青木一男
勅令第六百六十七号
金属類回収令
第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第八条ノ規定ニ基ク回収物件ノ譲渡其ノ他ノ処分、使用、所持及移動並ニ同法第十六条ノ二ノ規定ニ基ク事業ニ属スル設備タル回収物件ノ出資ニ関スル命令ニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 本令ハ戦力ノ増強ニ資スル為鉄、鋼若ハ鉛又ハ此等ノ金属ヲ主タル成分トスル合金ノ供給ノ確保ヲ図ルコトヲ目的トス
第三条 本令ニ於テ回収物件トハ前条ノ金属又ハ合金ヲ主タル材料トスル物資ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノヲ謂フ
一 命令ヲ以テ指定スル事業ノ用ニ供スル物資ニシテ命令ヲ以テ指定スルモノ
二 命令ヲ以テ指定スル施設ニ備附ケタル物資ニシテ命令ヲ以テ指定スルモノ
三 前二号ニ掲グルモノノ外命令ヲ以テ定ムル物資
第四条 商工大臣ハ回収物件ヲ所有シ又ハ権原ニ基キ占有スル者(第六条ノ規定ニ依リ商工大臣ノ指定スル者ヲ除ク)ニ対シ一般的ニ回収物件ノ譲渡其ノ他ノ処分、使用又ハ移動ニ関シ必要ナル制限ヲ為スコトヲ得事業ニ属スル設備タル回収物件ノ出資ニ付亦同ジ
第五条 商工大臣ハ回収物件ヲ譲受ケ若ハ賃借シ又ハ事業ニ属スル設備タル回収物件ノ出資ヲ受ケントスル者(第六条ノ規定ニ依リ商工大臣ノ指定スル者ヲ除ク)ニ対シ一般的ニ回収物件ノ譲受、賃借又ハ出資ヲ受クルコトニ関シ必要ナル制限ヲ為スコトヲ得
第六条 商工大臣ハ回収物件ノ所有者ニ対シ期限ヲ指定シテ商工大臣ノ指定スル者(以下回収機関ト称ス)ニ当該回収物件ノ譲渡ノ申込ヲ為スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ譲渡ノ申込ヲ為スベキコトヲ命ゼラレタル所有者同項ノ期限迄ニ譲渡ノ申込ヲ為サザルトキハ其ノ期限到来ノ日ニ於テ譲渡ノ申込ヲ為シタルモノト看做ス
第七条 前条ノ規定ニ依リ回収機関ニ対シ回収物件ノ譲渡ノ申込アリタル場合ニ於テハ当該回収物件ノ撤去、引取及撤去ニ因リ生ジタル破損箇所ノ修理並ニ回収物件ノ用途又ハ備附ノ状況ニ鑑ミ特ニ必要トスル代替物件ノ備附ハ地方長官之ヲ行フ但シ回収物件ヲ所有シ又ハ権原ニ基キ占有スル者ニ於テ当該回収物件ノ撤去、撤去ニ因リ生ジタル破損箇所ノ修理又ハ代替物件ノ備附ヲ行フヲ妨ゲズ
地方長官前項ノ規定ニ依ル職権ヲ行フニ当リテハ其ノ指揮監督ノ下ニ其ノ指定スル回収機関其ノ他ノ者ヲシテ必要ナル作業ニ従事セシムルヲ例トス
地方長官第一項ノ規定ニ依リ回収物件ノ撤去又ハ引取ヲ行フ場合ニ於テハ当該回収物件ヲ所有シ又ハ権原ニ基キ占有スル者ハ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
地方長官第一項ノ規定ニ依リ回収物件ノ撤去又ハ引取ヲ為シタルトキハ譲渡契約ノ履行ニ付テハ当該回収物件ハ譲渡ノ申込ヲ受ケタル回収機関ニ引渡アリタルモノト看做ス
第八条 第六条ノ規定ニ依リ回収物件ヲ回収機関ニ譲渡スル場合ニ於ケル譲渡価額ハ商工大臣之ヲ定ム但シ商工大臣必要アリト認ムルトキハ其ノ定ムル基準ニ依リ当事者間ノ協議ニ依リ之ヲ定メシムルコトヲ得
前項但書ノ規定ニ依ル協議ニ依リ譲渡価額定マリタルトキハ当該譲渡価額ハ商工大臣ノ定メタルモノト看做ス
第九条 第六条ノ規定ニ依リ回収物件ヲ回収機関ニ譲渡スル場合ニ於テハ当該回収物件ノ撤去費其ノ他引渡ニ要スル費用及修理費ハ商工大臣ノ指定スル回収機関ノ負担トスルモノトス回収物件ノ用途又ハ備附ノ状況ニ鑑ミ特ニ代替物件ノ備附ヲ必要トスル場合ニ於テ代替物件ノ価額ト其ノ備附ニ要スル費用ノ額トノ合計額ガ当該回収物件ノ前条ノ規定ニ依ル譲渡価額ヲ超ユル場合ニ於ケル其ノ超過分ニ付亦同ジ
第七条第一項本文ノ規定ニ依ル代替物件ノ備附ノ場合ニ於テハ代替物件ノ価額及其ノ備附ニ要スル費用ハ前項ノ超過分ヲ除クノ外回収物件ノ譲渡ヲ受クベキ回収機関ノ負担トスルモノトス此ノ場合ニ於テ当該回収物件ノ回収機関ニ対スル譲渡価額ハ前条ノ規定ニ依ル譲渡価額ヨリ当該回収機関ノ負担スル代替物件ノ価額ト其ノ備附ニ要スル費用ノ額トノ合計額ヲ控除シタル額トス
回収物件ガ都道府県又ハ市町村若ハ之ニ準ズルモノノ所有ニ属スルモノナル場合ニ於テハ修理費並ニ代替物件ノ価額及其ノ備附ニ要スル費用ハ前二項ノ規定ニ拘ラズ当該都道府県又ハ市町村若ハ之ニ準ズルモノノ負担トス
第一項及第二項ノ規定ニ依リ回収機関ノ負担スベキ額ハ商工大臣ノ定ムル基準ニ依リ地方長官之ヲ定ム但シ地方長官必要アリト認ムルトキハ第一項ノ規定ニ依リ回収機関ノ負担スベキ額ニシテ第七条第一項但書ノ規定ニ依リ回収物件ノ所有者又ハ占有者ニ於テ撤去、修理又ハ代替物件ノ備附ヲ為ス場合ニ於ケルモノニ付商工大臣ノ定ムル基準ニ依リ当該所有者又ハ占有者ト当該回収機関トノ協議ニ依リ之ヲ定メシムルコトヲ得
前項但書ノ規定ニ依ル協議ニ依リ回収機関ノ負担スベキ額定マリタルトキハ当該額ハ地方長官ノ定メタルモノト看做ス
第十条 回収物件ニ関シ強制競売手続、国税徴収法ニ依ル強制徴収手続又ハ土地収用法、工場事業場使用収用令、土地工作物管理使用収用令若ハ総動員物資使用収用令ニ依ル使用若ハ収用ノ手続其ノ他此等ノ手続ニ準ズベキモノノ進行中ナルトキハ其ノ進行中ニ限リ当該回収物件ニ関シテハ第四条乃至第六条及第十三条ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第十一条 第六条ノ規定ニ依リ為シタル回収物件ノ譲渡ハ他ノ法令ニ拘ラズ其ノ効力ヲ有ス
第六条ノ規定ニ依リ譲渡スベキ回収物件ニ付存シタル担保権ハ他ノ法令ニ拘ラズ当該回収物件ニ付其ノ譲渡ノ時ヨリ之ヲ行フコトヲ得ズ
前項ノ場合ニ於テハ当該担保権者ハ当該回収物件ノ対価トシテ受クベキ金銭又ハ有価証券及其ノ対価ニ関シ企業整備資金措置法第四条ノ規定ニ依リ取得シタル同法第十四条第一項ニ掲グル債権並ニ当該回収物件ニ付第九条第一項ノ超過分トシテ受クベキ金銭ニ対シ其ノ権利ヲ行フコトヲ得
第十二条 第六条ノ規定ニ依リ回収物件ヲ回収機関ニ譲渡シタル場合ニ於テ当該回収物件ガ知レタル担保権ノ目的タル場合ニ於テハ回収機関ハ当該回収物件ノ対価トシテ支払フベキ金銭又ハ有価証券及当該回収物件ニ付第九条第一項ノ超過分トシテ支払フベキ金銭ヲ供託スベシ
前項ノ場合ニ於テハ当該担保権者ハ同項ノ規定ニ依リ供託セラレタル金銭又ハ有価証券ニ対シ其ノ権利ヲ行フコトヲ得
第十三条 商工大臣ハ回収機関ニ対シ時期、方法、相手方其ノ他必要ナル事項ヲ指定シテ回収物件ノ譲受、譲渡其ノ他ノ処分、使用、所持及移動ヲ命ジ又ハ回収物件ノ譲渡、使用、所持及移動ニ関シ必要ナル制限ヲ為スコトヲ得
第十四条 国家総動員法第二十七条ノ規定ニ依リ補償スベキ損失ハ第六条及前条ノ規定ニ基ク処分ニ因ル通常生ズベキ損失トス
前項ノ損失ノ補償ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十五条 商工大臣又ハ地方長官ハ回収物件ニ関シ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ依リ回収機関及回収物件ノ所有者其ノ他ノ関係人ヨリ必要ナル報告ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ当該回収物件ノ所在ノ場所其ノ他必要ナル場所ニ臨検シ業務ノ状況若ハ当該回収物件、書類、帳簿等ヲ検査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第十六条 商工大臣ハ本令ニ規定スル職権ノ一部ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得
第十七条 本令中商工大臣トアルハ朝鮮、台湾又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮総督、台湾総督又ハ南洋庁長官トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、台湾ニ在リテハ州知事又ハ庁長、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官トス
第九条第三項中都道府県又ハ市町村トアルハ朝鮮ニ在リテハ道又ハ府邑面、台湾ニ在リテハ州若ハ庁又ハ市街庄、南洋群島ニ在リテハ南洋群島地方費トス
第十八条 本令ハ所有者若ハ権原ニ基ク占有者又ハ其ノ世帯員ノ日常生活ノ用ニ供スル物資(家庭用物件)ニハ適用ナキモノトス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、台湾又ハ南洋群島ニ在リテハ昭和十八年九月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行前従前ノ罰則ヲ適用スベカリシ行為及本令施行前回収機関ニ対シ譲渡ノ申込アリタル回収物件ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル