樺太市制施行令
法令番号: 勅令第二百七十四號
公布年月日: 昭和12年6月23日
法令の形式: 勅令
朕樺太市制施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年六月二十二日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
拓務大臣 大谷尊由
勅令第二百七十四號
樺太市制施行令
第一章
總則
第一款
市及其ノ區域
第二款
市住民及其ノ權利義務
第三款
市條例及市規則
第二章
市會
第一款
組織及選擧
第二款
職務權限
第三章
市參事會
第一款
組織及選擧
第二款
職務權限
第四章
市吏員
第一款
組織選擧及任免
第二款
職務權限
第五章
給料及給與
第六章
市ノ財務
第一款
財產營造物及市稅
第二款
歲入出豫算及決算
第七章
市ノ監督
第八章
雜則
附 則
樺太市制施行令
第一章 總則
第一款 市及其ノ區域
第一條 市ハ法令ノ範圍內ニ於テ敎育及警防ニ關スル事務ヲ處理ス
第二條 市ノ境界變更ヲ爲サントスルトキハ樺太廳長官ハ關係アル市町村會ノ意見ヲ徵シ之ヲ定ム所屬未定地ヲ市ノ區域ニ編入セントスルトキ亦同ジ
前項ノ場合ニ於テ財產アルトキハ其ノ處分ハ關係アル市町村會ノ意見ヲ徵シ樺太廳長官之ヲ定ム
第三條 市ノ境界判明ナラザル場合ハ樺太廳長官之ヲ決定ス其ノ決定ニ不服アル市町村ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ關係市町村ニ交付スベシ
第四條 市ハ其ノ名稱ヲ變更セントスルトキハ樺太廳長官ノ許可ヲ受クベシ
第二款 市住民及其ノ權利義務
第五條 市內ニ住所ヲ有スル者ハ其ノ市住民トス
市住民ハ本令ニ從ヒ市ノ財產及營造物ヲ共用スル權利ヲ有シ市ノ負擔ヲ分任スル義務ヲ負フ
第六條 帝國臣民タル年齡二十五年以上ノ男子ニシテ二年以來市住民タルモノハ其ノ市公民トス但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
一 禁治產者及準禁治產者
二 破產者ニシテ復權ヲ得ザルモノ
三 貧困ニ因リ生活ノ爲公私ノ救助ヲ受ケ又ハ扶助ヲ受クル者
四 一定ノ住居ヲ有セザル者
五 六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
六 刑法第二編第一章、第三章、第九章、第十六章乃至第二十一章、第二十五章又ハ第三十六章乃至第三十九章ニ揭グル罪ヲ犯シ六年未滿ノ懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル後其ノ刑期ノ二倍ニ相當スル期間ヲ經過スルニ至ル迄ノ者但シ其ノ期間五年ヨリ短キトキハ五年トス
七 六年未滿ノ禁錮ノ刑ニ處セラレ又ハ前號ニ揭グル罪以外ノ罪ヲ犯シ六年未滿ノ懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
市ハ前項二年ノ制限ヲ特免スルコトヲ得
第一項二年ノ期間ハ市町村ノ廢置分合又ハ境界變更ノ爲中斷セラルルコトナシ
第七條 市公民ハ市ノ選擧ニ參與シ市ノ名譽職ニ選擧セラルル權利ヲ有シ市ノ名譽職ヲ擔任スル義務ヲ負フ
左ノ各號ノ一ニ該當セザル者ニシテ名譽職ノ當選ヲ辭シ又ハ其ノ職ヲ辭シ若ハ其ノ職務ヲ實際ニ執行セザルトキハ市ハ一年以上四年以下其ノ市公民權ヲ停止スルコトヲ得
一 疾病ニ罹リ公務ニ堪ヘザル者
二 業務ノ爲常ニ市內ニ居ルコトヲ得ザル者
三 年齡六十年以上ノ者
四 官公職ノ爲市ノ公務ヲ執ルコトヲ得ザル者
五 四年以上名譽職市吏員、名譽職參事會員又ハ市會議員ノ職ニ任ジ爾後同一ノ期間ヲ經過セザル者
六 其ノ他市會ノ議決ニ依リ正當ノ理由アリト認ムル者
前項ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二項ノ處分ハ其ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
市長第三項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
市公民租稅滯納處分中ハ市ノ名譽職ニ就クコトヲ得ズ
第八條 陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(未ダ入營セザル者及歸休下士官兵ヲ除ク)及戰時若ハ事變ニ際シ又ハ兵役法第五十五條第二項ノ規定(志願ニ依リ兵籍ニ編入セラレタル者ニ付テハ之ニ該當スル勅令ノ規定ヲ含ム)ニ依リ召集中ノ者ハ市ノ公務ニ參與スルコトヲ得ズ兵籍ニ編入セラレタル學生生徒(陸軍各部委託學生生徒、海軍軍醫學生藥劑學生主計學生造船學生造機學生造兵學生竝ニ海軍航空豫備學生海軍豫備生徒海軍豫備練習生及海軍豫備補習生ヲ除ク)及志願ニ依リ國民軍ニ編入セラレタル者亦同ジ
第三款 市條例及市規則
第九條 市ハ市住民ノ權利義務又ハ市ノ事務ニ關シ市條例ヲ設クルコトヲ得
市ハ市ノ營造物ニ關シ市條例ヲ以テ規定スルモノノ外市規則ヲ設クルコトヲ得
市條例及市規則ハ一定ノ公吿式ニ依リ之ヲ吿示スベシ
第二章 市會
第一款 組織及選擧
第十條 市會議員ハ其ノ被選擧權アル者ニ就キ選擧人之ヲ選擧ス
議員ノ定數左ノ如シ
一 人口五萬未滿ノ市 三十人
二 人口五萬以上十萬未滿ノ市 三十六人
三 人口十萬以上ノ市 四十人
議員ノ定數ハ市條例ヲ以テ特ニ之ヲ增減スルコトヲ得
議員ノ定數ハ總選擧ヲ行フ場合ニ非ザレバ之ヲ增減セズ但シ著シク人口ノ增減アリタル場合ニ於テ樺太廳長官ノ許可ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十一條 市公民ハ總テ選擧權ヲ有ス但シ公民權停止中ノ者又ハ第八條ノ規定ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第十二條 必要アルトキハ市ハ區劃ヲ定メテ投票分會ヲ設クルコトヲ得
第十三條 選擧權ヲ有スル市公民ハ被選擧權ヲ有ス
在職ノ檢事、警察官吏及收稅官吏ハ被選擧權ヲ有セズ
選擧事務ニ關係アル官吏及市ノ有給吏員ハ其ノ關係區域內ニ於テ被選擧權ヲ有セズ
市ノ有給ノ吏員敎員其ノ他ノ職員ニシテ在職中ノモノハ其ノ市ノ市會議員ト相兼ヌルコトヲ得ズ
第十四條 市會議員ノ任期ハ四年トシ總選擧ノ日ヨリ之ヲ起算ス
議員ノ定數ニ異動ヲ生ジタル爲解任ヲ要スル者アルトキハ市長抽籤シテ之ヲ定ム但シ缺員アルトキハ其ノ缺員ヲ以テ之ニ充ツベシ
前項但書ノ場合ニ於テ缺員ノ數解任ヲ要スル者ノ數ニ滿タザルトキハ其ノ不足ノ員數ニ付市長抽籤シテ解任スベキ者ヲ定メ缺員ノ數解任ヲ要スル者ノ數ヲ超ユルトキハ解任ヲ要スル者ニ充ツベキ缺員ハ最モ先ニ缺員ト爲リタル者ヨリ順次之ニ充テ缺員ト爲リタル時同ジキトキハ市長抽籤シテ之ヲ定ム
議員ノ定數ニ異動ヲ生ジタル爲新ニ選擧セラレタル議員ハ總選擧ニ依リ選擧セラレタル議員ノ任期滿了ノ日迄在任ス
第十五條 市會議員中缺員ヲ生ジタルトキハ其ノ缺員ト爲リタル議員ガ選擧ノ期日ヨリ一年以內ニ缺員ト爲リタル者ナル場合ニ於テ第三十七條第一項但書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシモノアルトキ又ハ選擧ノ期日ヨリ一年經過後ニ於テ缺員ト爲リタル者ナル場合ニ於テ第三十七條第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシモノアルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ當選者ヲ定ムベシ此ノ場合ニ於テハ第四十一條第四項及第五項ノ規定ヲ準用ス
前項ノ規定ノ適用ヲ受クル者ナク若ハ前項ノ規定ノ適用ニ依リ當選者ヲ定ムルモ仍其ノ缺員ガ議員ノ定數ノ六分ノ一ヲ超ユルニ至リタルトキ又ハ市長若ハ市會ニ於テ必要ト認ムルトキハ補缺選擧ヲ行フベシ
第四十一條第七項ノ規定ハ補缺選擧ニ之ヲ準用ス
補缺議員ハ其ノ前任者ノ殘任期間在任ス
第十六條 市長ハ選擧ノ期日前六十日目ノ現在ニ依リ選擧人名簿ヲ調製スベシ
選擧人ノ年齡ハ選擧人名簿確定ノ期日ニ依リ之ヲ算定ス
選擧人名簿ニハ選擧人ノ氏名、住所及生年月日等ヲ記載スベシ
第十七條 市長ハ選擧ノ期日前四十日目ヨリ十五日間市役所又ハ其ノ指定シタル場所ニ於テ選擧人名簿ヲ關係者ノ縱覽ニ供スベシ
市長ハ縱覽開始ノ日前三日目迄ニ縱覽ノ場所ヲ吿示スベシ
第十八條 選擧人名簿ニ關シ關係者ニ於テ異議アルトキハ縱覽期間內ニ之ヲ市長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ市長ハ其ノ申立ヲ受ケタル日ヨリ十四日以內ニ之ヲ決定シ名簿ノ修正ヲ要スルトキハ直ニ之ヲ修正スベシ
前項ノ決定ニ不服アル者ハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
市長前項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依リ決定ヲ爲シタルトキハ市長ハ直ニ其ノ要領ヲ吿示スベシ同項ノ規定ニ依リ名簿ヲ修正シタルトキ亦同ジ
第十九條 選擧人名簿ハ選擧ノ期日前三日目ヲ以テ確定ス
選擧人名簿ハ其ノ確定シタル日ヨリ一年以內ニ於テ行フ選擧ニ之ヲ用フ但シ市ノ廢置分合又ハ境界變更アリタル場合ニ於テ樺太廳長官ノ指定スルモノハ此ノ限ニ在ラズ
前條第二項又ハ第三項ノ裁決確定シ又ハ判決アリタルニ依リ名簿ノ修正ヲ要スル場合ニ於テハ其ノ名簿確定前ナルトキハ直ニ之ヲ修正シ其ノ名簿確定後ナルトキハ選擧ヲ終リタル後次ノ選擧ノ期日前四日目迄ニ之ヲ修正シ且其ノ要領ヲ吿示スベシ
投票分會ヲ設クル場合ニ於テ必要アルトキハ市長ハ確定名簿ニ依リ分會ノ區劃每ニ名簿ノ抄本ヲ調製スベシ
第二十條 第十八條ノ場合ニ於テ決定若ハ裁決確定シ又ハ判決アリタルニ依リ選擧人名簿無效ト爲リタルトキハ更ニ名簿ヲ調製スベシ
天災事變等ノ爲必要アルトキハ更ニ名簿ヲ調製スベシ
前二項ノ規定ニ依ル名簿ノ調製、縱覽、確定及異議ノ決定ニ關スル期日及期間ハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依ル
選擧人名簿調製後ニ於テ選擧ノ期日ヲ變更スルコトアルモ其ノ名簿ヲ用ヒ縱覽、修正、確定及異議ノ決定ニ關スル期日及期間ハ前選擧期日ニ依リ之ヲ算定ス
第二十一條 市長ハ選擧ノ期日前二十日目迄ニ選擧會場(投票分會場ヲ含ム以下之ニ同ジ)、投票ノ日時及選擧スベキ議員數ヲ吿示スベシ投票分會ヲ設クル場合ニ於テハ併セテ其ノ區劃ヲ吿示スベシ
投票分會ノ投票ハ選擧會ト同日時ニ之ヲ行フ
天災事變等ノ爲投票ヲ行フコト能ハザルトキ又ハ更ニ投票ヲ行フノ必要アルトキハ市長ハ其ノ投票ヲ行フベキ選擧會又ハ投票分會ノミニ付更ニ期日ヲ定メ投票ヲ行ハシムベシ此ノ場合ニ於テ選擧會場及投票ノ日時ハ選擧ノ期日前五日目迄ニ之ヲ吿示スベシ
第二十二條 市長ハ選擧長ト爲リ選擧會ヲ開閉シ其ノ取締ニ任ズ
投票分會ハ市長ノ指名シタル吏員投票分會長ト爲リ之ヲ開閉シ其ノ取締ニ任ズ
第二十三條 議員候補者ハ選擧人名簿ニ登錄セラレタル者ノ中ヨリ本人ノ承諾ヲ得テ選擧立會人タルベキ者一人ヲ定メ選擧ノ期日前二日目迄ニ市長ニ屆出ヅルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ屆出アリタル者(議員候補者死亡シ又ハ議員候補者タルコトヲ辭シタルトキハ其ノ屆出ニ係ル者ヲ除ク)十人ヲ超エザルトキハ直ニ其ノ者ヲ以テ選擧立會人トシ十人ヲ超ユルトキハ市長ハ其ノ者ノ中ニ就キ抽籤ニ依リ選擧立會人十人ヲ定ムベシ
前項ノ抽籤ハ選擧ノ期日ノ前日之ヲ行フ第一項ノ屆出ヲ爲シタル議員候補者ハ之ニ立會フコトヲ得
前項ノ抽籤ヲ行フベキ場所及日時ハ市長ニ於テ豫メ之ヲ吿示スベシ
第二項ノ規定ニ依リ選擧立會人定マリタルトキハ市長ハ直ニ之ヲ本人ニ通知シ選擧ニ立會ハシムベシ
議員候補者死亡シ又ハ議員候補者タルコトヲ辭シタルトキハ其ノ屆出ニ係ル選擧立會人ハ其ノ職ヲ失フ
第二項ノ規定ニ依ル選擧立會人三人ニ達セザルトキ若ハ三人ニ達セザルニ至リタルトキ又ハ選擧立會人ニシテ參會スルモノ選擧會ヲ開クベキ時刻ニ至リ三人ニ達セザルトキ若ハ其ノ後三人ニ達セザルニ至リタルトキハ市長ハ選擧人名簿ニ登錄セラレタル者ノ中ヨリ三人ニ達スル迄ノ選擧立會人ヲ選任シ直ニ之ヲ本人ニ通知シ選擧ニ立會ハシムベシ
選擧立會人ハ名譽職トス
前八項ノ規定ハ投票立會人ニ之ヲ準用ス但シ選擧人名簿ニ登錄セラレタル者トアルハ投票分會ノ區劃內ニ於ケル選擧人名簿ニ登錄セラレタル者トス
第二十四條 選擧人ニ非ザル者ハ選擧會場ニ入ルコトヲ得ズ但シ選擧會場ノ事務ニ從事スル者、選擧會場ヲ監視スル職權ヲ有スル者又ハ警察官吏ハ此ノ限ニ在ラズ
選擧會場ニ於テ演說討論ヲ爲シ若ハ喧擾ニ涉リ又ハ投票ニ關シ協議若ハ勸誘ヲ爲シ其ノ他選擧會場ノ秩序ヲ紊ル者アルトキハ選擧長又ハ投票分會長ハ之ヲ制止シ命ニ從ハザルトキハ之ヲ選擧會場外ニ退出セシムベシ
前項ノ規定ニ依リ退出セシメラレタル者ハ最後ニ至リ投票ヲ爲スコトヲ得但シ選擧長又ハ投票分會長會場ノ秩序ヲ紊ルノ虞ナシト認ムル場合ニ於テ投票ヲ爲サシムルヲ妨ゲズ
第二十五條 選擧ハ無記名投票ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
第二十六條 確定名簿ニ登錄セラレザル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ズ但シ選擧人名簿ニ登錄セラルベキ確定裁決書又ハ判決書ヲ所持シ選擧ノ當日選擧會場ニ到ル者ハ此ノ限ニ在ラズ
確定名簿ニ登錄セラレタル者選擧人名簿ニ登錄セラルルコトヲ得ザル者ナルトキハ投票ヲ爲スコトヲ得ズ選擧ノ當日選擧權ヲ有セザル者ナルトキ亦同ジ
第二十七條 選擧人ハ選擧ノ當日投票時間內ニ自ラ選擧會場ニ到リ選擧人名簿又ハ其ノ抄本ノ對照ヲ經テ投票ヲ爲スベシ
投票時間內ニ選擧會場ニ入リタル選擧人ハ其ノ時間ヲ過グルモ投票ヲ爲スコトヲ得
選擧人ハ選擧會場ニ於テ投票用紙ニ自ラ議員候補者一人ノ氏名ヲ記載シテ投函スベシ
投票ニ關スル記載ニ付テハ樺太廳長官ノ定ムル點字ハ之ヲ文字ト看做ス
自ラ議員候補者ノ氏名ヲ書スルコト能ハザル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ズ
投票用紙ハ市長ノ定ムル所ニ依リ一定ノ式ヲ用フベシ
投票分會ニ於テ爲シタル投票ハ投票分會長少クトモ一人ノ投票立會人ト共ニ投票函ノ儘之ヲ選擧長ニ送致スベシ
第二十八條 投票ノ拒否ハ選擧立會人又ハ投票立會人ノ意見ヲ聽キ選擧長又ハ投票分會長之ヲ決定スベシ
投票分會ニ於テ投票拒否ノ決定ヲ受ケタル選擧人不服アルトキハ投票分會長ハ假ニ投票ヲ爲サシムベシ
前項ノ投票ハ選擧人ヲシテ之ヲ封筒ニ入レ封緘シ表面ニ自ラ其ノ氏名ヲ記載シ投函セシムベシ
投票立會人ニ於テ異議アル選擧人ニ對シテモ亦前二項ニ同ジ
第二十九條 選擧人ニシテ左ニ揭グル事由ニ因リ選擧ノ當日投票時間內ニ自ラ選擧會場ニ到リ投票ヲ爲シ能ハザルベキコトヲ證スルモノノ投票ニ關シテハ第二十六條第一項但書、第二十七條第一項及第三項竝ニ前條ノ規定ニ拘ラズ樺太廳長官ハ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
一 湖川、港灣ノミヲ航行スル船舶、總噸數二十噸未滿ノ船舶及端舟其ノ他櫓櫂ノミヲ以テ運轉シ又ハ主トシテ櫓櫂ヲ以テ運轉スル舟ヲ除クノ外日本船舶(內地以外ニ船籍港ヲ定ムルモノヲ含ム以下之ニ同ジ)ノ船員又ハ其ノ船舶ニ乘務スルノ常況ニ在ル者船內從業中ナルベキコト
二 前號ノ船舶ヲ除クノ外日本船舶ニシテ總噸數五噸以上ノモノノ船員又ハ其ノ船舶ニ乘務スルノ常況ニ在ル者船內從業中ナルベキコト
三 鐵道列車ニ乘務スルノ常況ニ在ル鐵道係員、郵便取扱員其ノ他ノ者鐵道列車ニ乘務中ナルベキコト
四 選擧事務、選擧會場ノ監視、選擧取締其ノ他選擧ニ關係アル職務ニ從事スル者其ノ投票區域外ニ於テ職務ニ從事中ナルベキコト
五 陸海軍軍人演習召集中又ハ敎育召集中ナルベキコト
六 艦船乘員タル軍屬海上勤務中ナルベキコト
七 引續キ十日以上其ノ投票區域ノ屬スル市外ニ於テ職務又ハ業務ニ從事スルヲ例トスル者其ノ投票區域ノ屬スル市外ニ於テ職務又ハ業務ニ從事中ナルベキコト
第三十條 第四十一條若ハ第四十五條ノ選擧、增員選擧又ハ補缺選擧ヲ同時ニ行フ場合ニ於テハ一ノ選擧ヲ以テ合併シテ之ヲ行フ
第三十一條 市長ハ豫メ開票ノ日時ヲ吿示スベシ
第三十二條 選擧長ハ投票ノ日又ハ其ノ翌日(投票分會ヲ設ケタルトキハ總テノ投票函ノ送致ヲ受ケタル日又ハ其ノ翌日)選擧立會人立會ノ上投票函ヲ開キ投票ノ總數ト投票人ノ總數トヲ計算スベシ
前項ノ計算終リタルトキハ選擧長ハ先ヅ第二十八條第二項及第四項ノ投票ヲ調査シ選擧立會人ノ意見ヲ聽キ其ノ受理如何ヲ決定スベシ
選擧長ハ選擧立會人ト共ニ投票ヲ點檢スベシ
天災事變等ノ爲開票ヲ行フコト能ハザルトキハ市長ハ更ニ開票ノ期日ヲ定ムベシ此ノ場合ニ於テ選擧會場ノ變更ヲ要スルトキハ豫メ更ニ其ノ場所ヲ吿示スベシ
第三十三條 選擧人ハ其ノ選擧會ノ參觀ヲ求ムルコトヲ得但シ開票開始前ハ此ノ限ニ在ラズ
第三十四條 特別ノ事情アルトキハ市ハ樺太廳長官ノ許可ヲ得區劃ヲ定メテ開票分會ヲ設クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ開票分會ヲ設クル場合ニ於テ必要ナル事項ハ樺太廳長官之ヲ定ム
第三十五條 左ノ投票ハ之ヲ無效トス
一 成規ノ用紙ヲ用ヒザルモノ
二 議員候補者ニ非ザル者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
三 一投票中二人以上ノ議員候補者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
四 被選擧權ナキ議員候補者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
五 議員候補者ノ氏名ノ外他事ヲ記載シタルモノ但シ爵位、職業、身分、住所又ハ敬稱ノ類ヲ記入シタルモノハ此ノ限ニ在ラズ
六 議員候補者ノ氏名ヲ自書セザルモノ
七 議員候補者ノ何人ヲ記載シタルカヲ確認シ難キモノ
八 市會議員ノ職ニ在ル者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
第三十六條 投票ノ效力ハ選擧立會人ノ意見ヲ聽キ選擧長之ヲ決定スベシ
第三十七條 市會議員ノ選擧ハ有效投票ノ最多數ヲ得タル者ヲ以テ當選者トス但シ議員ノ定數ヲ以テ有效投票ノ總數ヲ除シテ得タル數ノ六分ノ一以上ノ得票アルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ當選者ヲ定ムルニ當リ得票ノ數同ジキトキハ年長者ヲ取リ年齡モ亦同ジキトキハ選擧長抽籤シテ之ヲ定ムベシ
第三十八條 當選者選擧ノ期日後ニ於テ被選擧權ヲ有セザルニ至リタルトキハ當選ヲ失フ
第三十九條 選擧長ハ選擧錄ヲ作リ選擧會ニ關スル顚末ヲ記載シ之ヲ朗讀シ二人以上ノ選擧立會人ト共ニ之ニ署名スベシ
投票分會長ハ投票錄ヲ作リ投票ニ關スル顚末ヲ記載シ之ヲ朗讀シ二人以上ノ投票立會人ト共ニ之ニ署名スベシ
投票分會長ハ投票函ト同時ニ投票錄ヲ選擧長ニ送致スベシ
選擧錄及投票錄ハ投票、選擧人名簿其ノ他ノ關係書類ト共ニ議員ノ任期間市長ニ於テ之ヲ保存スベシ
第四十條 當選者定マリタルトキハ市長ハ直ニ當選者ニ當選ノ旨ヲ吿知シ同時ニ當選者ノ住所氏名ヲ吿示シ且選擧錄ノ寫(投票錄アルトキハ併セテ投票錄ノ寫)ヲ添ヘ之ヲ樺太廳長官ニ報吿スベシ當選者ナキトキハ直ニ其ノ旨ヲ吿示シ且選擧錄ノ寫(投票錄アルトキハ併セテ投票錄ノ寫)ヲ添ヘ之ヲ樺太廳長官ニ報吿スベシ
當選者當選ヲ辭セントスルトキハ當選ノ吿知ヲ受ケタル日ヨリ五日以內ニ之ヲ市長ニ申立ツベシ
官吏ニシテ當選シタルモノハ所屬長官ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ之ニ應ズルコトヲ得ズ
前項ノ官吏ハ當選ノ吿知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ之ニ應ズベキ旨ヲ市長ニ申立テザルトキハ其ノ當選ヲ辭シタルモノト看做ス
市ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ市ニ於テ費用ヲ負擔スル事業ニ付市長若ハ其ノ委任ヲ受ケタル者ニ對シ請負ヲ爲ス者若ハ其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、役員若ハ支配人ニシテ當選シタルモノハ其ノ請負ヲ罷メ又ハ請負ヲ爲ス者ノ支配人若ハ主トシテ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、役員若ハ支配人タルコトナキニ至ルニ非ザレバ當選ニ應ズルコトヲ得ズ第二項ノ期限前ニ其ノ旨ヲ市長ニ申立テザルトキハ其ノ當選ヲ辭シタルモノト看做ス
前項ノ役員トハ取締役、監査役及之ニ準ズベキ者竝ニ淸算人ヲ謂フ
第四十一條 當選者左ニ揭グル事由ノ一ニ該當スルトキハ三月以內ニ更ニ選擧ヲ行フベシ但シ第二項又ハ第三項ノ規定ニ依リ更ニ選擧ヲ行フコトナクシテ當選者ヲ定メ得ル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一 當選ヲ辭シタルトキ
二 第三十八條ノ規定ニ依リ當選ヲ失ヒタルトキ
三 死亡者ナルトキ
四 選擧ニ關スル犯罪ニ依リ刑ニ處セラレ其ノ當選無效ト爲リタルトキ但シ同一人ニ關シ前各號ノ事由ニ依ル選擧又ハ補缺選擧ノ吿示ヲ爲シタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
五 樺太市制第三條第六項ニ於テ依ルコトヲ定メタル市制第三十六條ノ二ノ規定ニ依ル訴訟ノ結果當選無效ト爲リタルトキ
前項第一號乃至第三號ノ事由ヲ生ジタル場合ニ於テ第三十七條第一項但書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシモノアルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ當選者ヲ定ムベシ
第一項第四號又ハ第五號ノ事由ヲ生ジタルトキハ其ノ選擧ノ期日ヨリ一年以內ナル場合ニ於テ第三十七條第一項但書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシモノアルトキ又ハ其ノ選擧ノ期日ヨリ一年經過後ナル場合ニ於テ第三十七條第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシモノアルトキハ前項ノ規定ヲ準用ス
前二項ノ場合ニ於テ第三十七條第一項但書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシモノ選擧ノ期日後ニ於テ被選擧權ヲ有セザルニ至リタルトキハ之ヲ當選者ト定ムルコトヲ得ズ
第二項及第三項ノ場合ニ於テハ市長ハ豫メ選擧會ノ場所及日時ヲ吿示スベシ
第一項ノ期間ハ第四十四條第六項ノ規定ノ適用アル場合ニ於テハ選擧ヲ行フコトヲ得ザル事由已ミタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス
第一項ノ事由議員ノ任期滿了前六月以內ニ生ジタルトキハ第一項ノ選擧ハ之ヲ行ハズ但シ議員ノ數其ノ定數ノ三分ノ二ニ滿タザルニ至リタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第四十二條 第四十條第二項ノ期間ヲ經過シタルトキ又ハ同條第四項ノ申立アリタルトキハ市長ハ直ニ當選者ノ住所氏名ヲ吿示シ併セテ之ヲ樺太廳長官ニ報吿スベシ
當選者ナキニ至リタルトキ又ハ當選者其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ニ達セザルニ至リタルトキハ市長ハ直ニ其ノ旨ヲ吿示シ併セテ之ヲ樺太廳長官ニ報吿スベシ
第四十三條 選擧ノ規定ニ違反スルコトアルトキハ選擧ノ結果ニ異動ヲ生ズルノ虞アル場合ニ限リ其ノ選擧ノ全部又ハ一部ヲ無效トス但シ當選ニ異動ヲ生ズルノ虞ナキ者ヲ區分シ得ルトキハ其ノ者ニ限リ當選ヲ失フコトナシ
第四十四條 選擧人又ハ議員候補者選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ選擧ニ關シテハ選擧ノ日ヨリ、當選ニ關シテハ第四十條第一項又ハ第四十二條第二項ノ吿示ノ日ヨリ七日以內ニ之ヲ市長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ市長ハ七日以內ニ市會ノ決定ニ付スベシ市會ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ十四日以內ニ之ヲ決定スベシ
樺太廳長官ハ選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ選擧ニ關シテハ第四十條第一項ノ報吿ヲ受ケタル日ヨリ、當選ニ關シテハ第四十條第一項又ハ第四十二條第二項ノ報吿ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ之ヲ處分スルコトヲ得
前項ノ處分アリタルトキハ同一事件ニ付爲シタル異議ノ申立及市會ノ決定ハ無效トス
第一項ノ決定ニ不服アル者ハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決、第二項ノ處分又ハ第五項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
市長第一項ノ決定ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決、第二項ノ處分又ハ前項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第十五條、第四十一條又ハ第四十五條第一項若ハ第三項ノ選擧ハ之ニ關係アル選擧又ハ當選ニ關スル異議申立期間、異議ノ決定若ハ訴願ノ裁決確定セザル間又ハ訴訟ノ繫屬スル間之ヲ行フコトヲ得ズ
市會議員ハ選擧又ハ當選ニ關スル處分、決定若ハ裁決確定シ又ハ判決アル迄ハ會議ニ列席シ議事ニ參與スルノ權ヲ失ハズ
第四十五條 選擧無效ト確定シタルトキハ三月以內ニ更ニ選擧ヲ行フベシ
當選無效ト確定シタルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ更ニ當選者ヲ定ムベシ此ノ場合ニ於テハ第四十一條第四項及第五項ノ規定ヲ準用ス
當選者ナキトキ、當選者ナキニ至リタルトキ又ハ當選者其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ニ達セザルトキ若ハ定數ニ達セザルニ至リタルトキハ三月以內ニ更ニ選擧ヲ行フベシ
第四十一條第六項及第七項ノ規定ハ第一項及前項ノ選擧ニ之ヲ準用ス
第四十六條 市會議員被選擧權ヲ有セザル者ナルトキ又ハ第四十條第五項ニ揭グル者ナルトキハ其ノ職ヲ失フ其ノ被選擧權ノ有無又ハ第四十條第五項ニ揭グル者ニ該當スルヤ否ハ市會議員ガ左ノ各號ノ一ニ該當スルニ因リ被選擧權ヲ有セザル場合ヲ除クノ外市會之ヲ決定ス
一 禁治產者又ハ準禁治產者ト爲リタルトキ
二 破產者ト爲リタルトキ
三 禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルトキ
四 選擧ニ關スル犯罪ニ依リ罰金ノ刑ニ處セラレタルトキ
市長ハ市會議員中被選擧權ヲ有セザル者又ハ第四十條第五項ニ揭グル者アリト認ムルトキハ之ヲ市會ノ決定ニ付スベシ市會ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ十四日以內ニ之ヲ決定スベシ
第一項ノ決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第四項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
市長第一項ノ決定ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ前項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第四十四條第七項ノ規定ハ第一項及前二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交付スベシ
第四十七條 第十八條、第十九條及第四十四條ノ場合ニ於テ樺太廳長官ノ指定、處分又ハ裁決ハ樺太廳長官、市會ノ決定ハ市長直ニ之ヲ吿示スベシ
第四十八條 市會議員ノ選擧ニ付テハ衆議院議員選擧法第百四十二條及第百四十七條竝ニ衆議院議員選擧法施行令第八章(第五十七條ノ二ノ規定ヲ除ク)、第九章及第十二章(公立學校等ノ設備ノ使用ニ依ル演說會開催ノ爲ニ必要ナル施設ノ公營ニ關スル規定ヲ除ク)ノ規定ノ例ニ依ル但シ內務大臣及地方長官ノ職務ハ樺太廳長官之ヲ行フ
第二款 職務權限
第四十九條 市會ノ議決スベキ事件ノ槪目左ノ如シ
一 市條例及市規則ヲ設ケ又ハ改廢スルコト
二 市費ヲ以テ支辨スベキ事業ニ關スルコト但シ第九十八條ノ事務及法律勅令ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
三 歲入出豫算ヲ定ムルコト
四 決算報吿ヲ認定スルコト
五 法令ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手數料、市稅又ハ夫役現品ノ賦課徵收ニ關スルコト
六 市債ヲ起シ竝ニ起債ノ方法、利息ノ定率及償還ノ方法ヲ定ムルコト
七 不動產ノ管理、處分及取得ニ關スルコト
八 基本財產、特別基本財產及積立金穀等ノ設置、管理及處分ニ關スルコト
九 歲入出豫算ヲ以テ定ムルモノヲ除クノ外新ニ義務ノ負擔ヲ爲シ及權利ノ抛棄ヲ爲スコト
十 財產及營造物ノ管理方法ヲ定ムルコト但シ法律勅令ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
十一 市吏員ノ賠償責任及身元保證ニ關スルコト
十二 市ニ係ル訴願、訴訟及和解ニ關スルコト
第五十條 市會ハ其ノ權限ニ屬スル事項ノ一部ヲ市參事會ニ委任スルコトヲ得
第五十一條 市會ハ法律勅令ニ依リ其ノ權限ニ屬スル選擧ヲ行フベシ
第五十二條 市會ハ市ノ事務ニ關スル書類及計算書ヲ檢閱シ市長ノ報吿ヲ請求シテ事務ノ管理、議決ノ執行及出納ヲ檢査スルコトヲ得
市會ハ議員中ヨリ委員ヲ選擧シ市長又ハ其ノ指名シタル吏員立會ノ上實地ニ就キ前項ノ市會ノ權限ニ屬スル事件ヲ行ハシムルコトヲ得
第五十三條 市會ハ市ノ公益ニ關スル事件ニ付意見書ヲ關係行政廳ニ提出スルコトヲ得
第五十四條 市會ハ行政廳ノ諮問アルトキハ意見ヲ答申スベシ
市會ノ意見ヲ徵シテ處分ヲ爲スベキ場合ニ於テ市會成立セズ、招集ニ應ゼズ若ハ意見ヲ提出セズ又ハ市會ヲ招集スルコト能ハザルトキハ當該行政廳ハ其ノ意見ヲ俟タズシテ直ニ處分ヲ爲スコトヲ得
第五十五條 市會ハ議員中ヨリ議長及副議長一人ヲ選擧スベシ
議長及副議長ノ任期ハ議員ノ任期ニ依ル
第五十六條 議長故障アルトキハ副議長之ニ代リ議長及副議長共ニ故障アルトキハ臨時ニ議員中ヨリ假議長ヲ選擧スベシ
前項假議長ノ選擧ニ付テハ年長ノ議員議長ノ職務ヲ代理ス年齡同ジキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第五十七條 市長及其ノ委任又ハ囑託ヲ受ケタル者ハ會議ニ列席シテ議事ニ參與スルコトヲ得但シ議決ニ加ハルコトヲ得ズ
前項ノ列席者發言ヲ求ムルトキハ議長ハ直ニ之ヲ許スベシ但シ之ガ爲議員ノ演說ヲ中止セシムルコトヲ得ズ
第五十八條 市會ハ市長之ヲ招集ス議員定數ノ三分ノ一以上ヨリ會議ニ付スベキ事件ヲ示シテ市會招集ノ請求アルトキハ市長ハ之ヲ招集スベシ
市長ハ會期ヲ定メテ市會ヲ招集スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ市長ハ更ニ期限ヲ定メ市會ノ會期ヲ延長スルコトヲ得
招集及會議ノ事件ハ開會ノ日前三日目迄ニ之ヲ吿知スベシ但シ急施ヲ要スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
市會開會中急施ヲ要スル事件アルトキハ市長ハ直ニ之ヲ其ノ會議ニ付スルコトヲ得會議ニ付スル日前三日目迄ニ吿知ヲ爲シタル事件ニ付亦同ジ
市會ハ市長之ヲ開閉ス
第五十九條 市會ハ議員定數ノ半數以上出席スルニ非ザレバ會議ヲ開クコトヲ得ズ但シ第六十一條ノ除斥ノ爲半數ニ滿タザルトキ、同一ノ事件ニ付招集再囘ニ至ルモ仍半數ニ滿タザルトキ又ハ招集ニ應ズルモ出席議員定數ヲ缺キ議長ニ於テ出席ヲ催吿シ仍半數ニ滿タザルトキ若ハ半數ニ滿ツルモ其ノ後半數ニ滿タザルニ至リタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第六十條 市會ノ議事ハ過半數ヲ以テ決ス可否同數ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
議長ハ其ノ職務ヲ行フ場合ニ於テモ之ガ爲議員トシテ議決ニ加ハルノ權ヲ失ハズ
第六十一條 議長及議員ハ自己又ハ父母、祖父母、妻、子孫、兄弟姉妹ノ一身上ニ關スル事件ニ付テハ其ノ議事ニ參與スルコトヲ得ズ但シ市會ノ同意ヲ得タルトキハ會議ニ出席シ發言スルコトヲ得
第六十二條 法律勅令ニ依リ市會ニ於テ行フ選擧ニ付テハ第二十五條、第二十七條、第三十五條及第三十七條第一項ノ規定ヲ準用ス其ノ投票ノ效力ニ關シ異議アルトキハ市會之ヲ決定ス
前項ノ選擧ニ於テ當選者ヲ定ムルニ當リ得票ノ數同ジキトキハ議長抽籤シテ之ヲ定ム
市會ハ議員中異議ナキトキハ第一項ノ選擧ニ付指名推選ノ法ヲ用フルコトヲ得
指名推選ノ法ヲ用フル場合ニ於テハ被指名者ヲ以テ當選者ト定ムベキヤ否ヲ會議ニ付シ議員全員ノ同意ヲ得タル者ヲ以テ當選者トス
一ノ選擧ヲ以テ二人以上ヲ選擧スル場合ニ於テハ被指名者ヲ區分シテ前項ノ規定ヲ適用スルコトヲ得ズ
第六十三條 市會ノ會議ハ公開ス但シ左ノ場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一 市長ヨリ傍聽禁止ノ要求ヲ受ケタルトキ
二 議長又ハ議員三人以上ノ發議ニ依リ傍聽禁止ヲ可決シタルトキ
前項議長又ハ議員ノ發議ハ討論ヲ用ヒズ其ノ可否ヲ決スベシ
第六十四條 議長ハ會議ヲ總理シ會議ノ順序ヲ定メ其ノ日ノ會議ヲ開閉シ議場ノ秩序ヲ保持ス
議員定數ノ半數以上ヨリ請求アリタルトキハ議長ハ其ノ日ノ會議ヲ開クコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ議長仍會議ヲ開カザルトキハ第五十六條ノ例ニ依ル
前項議員ノ請求ニ依リ會議ヲ開キタルトキ又ハ議員中異議アルトキハ議長ハ會議ノ議決ニ依ルニ非ザレバ其ノ日ノ會議ヲ閉ヂ又ハ中止スルコトヲ得ズ
第六十五條 市會議員ハ市會ノ議決スベキ事件ニ付市會ニ議案ヲ發スルコトヲ得但シ歲入出豫算ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依ル發案ハ議員三人以上ヨリ文書ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第六十六條 議員ハ選擧人ノ指示又ハ委囑ヲ受クベカラズ
議員ハ會議中無禮ノ語ヲ用ヒ又ハ他人ノ身上ニ涉リ言論スルコトヲ得ズ
第六十七條 會議中本令又ハ會議規則ニ違ヒ其ノ他議場ノ秩序ヲ紊ル議員アルトキハ議長ハ之ヲ制止シ又ハ發言ヲ取消サシメ命ニ從ハザルトキハ當日ノ會議ノ終ル迄發言ヲ禁止シ又ハ議場外ニ退去セシメ必要アル場合ニ於テハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
議場騷擾ニシテ整理シ難キトキハ議長ハ當日ノ會議ヲ中止シ又ハ之ヲ閉ヅルコトヲ得
第六十八條 傍聽人公然可否ヲ表シ又ハ喧騷ニ涉リ其ノ他會議ノ妨害ヲ爲ストキハ議長ハ之ヲ制止シ命ニ從ハザルトキハ之ヲ退場セシメ必要アル場合ニ於テハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
傍聽席騷擾ナルトキハ議長ハ總テノ傍聽人ヲ退場セシメ必要アル場合ニ於テハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
第六十九條 市會ニ書記ヲ置キ議長ニ隸屬シテ庶務ヲ處理セシム
書記ハ議長之ヲ任免ス
第七十條 議長ハ書記ヲシテ會議錄ヲ調製シ會議ノ顚末及出席議員ノ氏名ヲ記載セシムベシ
會議錄ハ議長及議員二人以上之ニ署名スルコトヲ要ス其ノ議員ハ市會ニ於テ之ヲ定ムベシ
議長ハ會議錄ヲ添ヘ會議ノ結果ヲ市長ニ報吿スベシ
第七十一條 市會ハ會議規則及傍聽人取締規則ヲ設クベシ
會議規則ニハ本令又ハ會議規則ニ違反シタル議員ニ對シ市會ノ議決ニ依リ五日以內出席ヲ停止スル規定ヲ設クルコトヲ得
第三章 市參事會
第一款 組織及選擧
第七十二條 市參事會ハ議長及名譽職參事會員ヲ以テ之ヲ組織ス
第七十三條 名譽職參事會員ノ定數ハ六人トス
名譽職參事會員中缺員アルトキハ直ニ補缺選擧ヲ行フベシ
名譽職參事會員ハ隔年之ヲ選擧スベシ
名譽職參事會員ハ後任者ノ就任スルニ至ル迄在任ス市會議員ノ任期滿了シタルトキ亦同ジ
名譽職參事會員ハ其ノ選擧ニ關シ第九十三條ノ處分確定シ又ハ判決アル迄ハ會議ニ列席シ議事ニ參與スルノ權ヲ失ハズ
第七十四條 市參事會ハ市長ヲ以テ議長トス市長故障アルトキハ市長代理者之ヲ代理ス
第二款 職務權限
第七十五條 市參事會ノ職務權限左ノ如シ
一 市會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ其ノ委任ヲ受ケタルモノヲ議決スルコト
二 市會閉會中市會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ輕易ナルモノヲ市會ニ代リテ議決スルコト
三 市會成立セザルトキ、第五十九條但書ノ場合ニ於テ仍會議ヲ開クコト能ハザルトキ又ハ市長ニ於テ市會ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキ市會ノ權限ニ屬スル事件ヲ市會ニ代リテ議決スルコト
四 其ノ他法令ニ依リ市參事會ノ權限ニ屬スル事件
前項第二號ノ規定ニ依リ市參事會ニ於テ議決スベキ事件ハ市會ノ議決ヲ經テ市長之ヲ定ム
第七十六條 市參事會ハ市長之ヲ招集ス名譽職參事會員定數ノ半數以上ヨリ會議ニ付スベキ事件ヲ示シテ市參事會招集ノ請求アルトキハ市長ハ之ヲ招集スベシ
第七十七條 市參事會ノ會議ハ傍聽ヲ許サズ
第七十八條 市參事會ハ議長又ハ其ノ代理者及名譽職參事會員定數ノ半數以上出席スルニ非ザレバ會議ヲ開クコトヲ得ズ但シ第二項ノ除斥ノ爲名譽職參事會員其ノ半數ニ滿タザルトキ、同一ノ事件ニ付招集再囘ニ至ルモ仍名譽職參事會員其ノ半數ニ滿タザルトキ又ハ招集ニ應ズルモ出席名譽職參事會員定數ヲ缺キ議長ニ於テ出席ヲ催吿シ仍半數ニ滿タザルトキ若ハ半數ニ滿ツルモ其ノ後半數ニ滿タザルニ至リタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
議長及名譽職參事會員ハ自己又ハ父母、祖父母、妻、子孫、兄弟姉妹ノ一身上ニ關スル事件ニ付テハ其ノ議事ニ參與スルコトヲ得ズ但シ市參事會ノ同意ヲ得タルトキハ會議ニ出席シ發言スルコトヲ得
議長及其ノ代理者共ニ前項ノ場合ニ當ルトキハ年長ノ名譽職參事會員議長ノ職務ヲ代理ス
第七十九條 第五十三條、第五十四條、第五十七條、第五十八條第二項及第五項、第六十條、第六十二條、第六十四條乃至第六十七條、第六十九條竝ニ第七十條第一項及第二項ノ規定ハ市參事會ニ之ヲ準用ス
第四章 市吏員
第一款 組織選擧及任免
第八十條 市長ハ有給吏員トス但シ市條例ヲ以テ名譽職ト爲スコトヲ得
市長ノ任期ハ四年トス
市長ノ在職中ニ於テ行フ後任市長ノ選擧ハ現任市長ノ任期滿了ノ日前二十日以內又ハ現任市長ノ退職ノ申立アリタル場合ニ於テ其ノ退職スベキ日前二十日以內ニ非ザレバ之ヲ行フコトヲ得ズ
市長ノ選擧ニ於テ當選者定マリタルトキハ直ニ當選者ニ當選ノ旨ヲ吿知スベシ
市長ニ當選シタル者當選ノ吿知ヲ受ケタルトキハ其ノ吿知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ其ノ當選ニ應ズルヤ否ヲ申立ツベシ其ノ期間內ニ當選ニ應ズル旨ノ申立ヲ爲サザルトキハ當選ヲ辭シタルモノト看做ス
第四十條第三項ノ規定ハ市長ニ當選シタル者ニ之ヲ準用ス
名譽職市長ハ市公民中選擧權ヲ有スル者ニ限ル
有給市長ハ其ノ退職セントスル日前三十日目迄ニ申立ツルニ非ザレバ任期中退職スルコトヲ得ズ但シ市會ノ承認ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第八十一條 市ニ助役一人ヲ置ク但シ市條例ヲ以テ其ノ定數ヲ增加スルコトヲ得
第八十二條 助役ハ有給吏員トシ其ノ任期ハ四年トス
助役ハ市長ノ推薦ニ依リ市會之ヲ定メ市長職ニ在ラザルトキハ市會ニ於テ之ヲ選擧ス
第八十條第三項乃至第六項及第八項ノ規定ハ助役ニ之ヲ準用ス
第八十三條 有給市長及助役ハ第六條第一項ノ規定ニ拘ラズ在職ノ間其ノ市ノ公民トス
第八十四條 市長及助役ハ第十三條第二項又ハ第四項ニ揭ゲタル職ト兼ヌルコトヲ得ズ又其ノ市ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ其ノ市ニ於テ費用ヲ負擔スル事業ニ付市長若ハ其ノ委任ヲ受ケタル者ニ對シ請負ヲ爲ス者及其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、取締役監査役若ハ之ニ準ズベキ者、淸算人及支配人タルコトヲ得ズ
第八十五條 有給市長ハ樺太廳長官ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ他ノ報償アル業務ニ從事スルコトヲ得ズ
有給市長及助役ハ會社ノ取締役監査役若ハ之ニ準ズベキ者、淸算人又ハ支配人其ノ他ノ事務員タルコトヲ得ズ
第八十六條 市ニ收入役一人ヲ置ク但シ市條例ヲ以テ副收入役ヲ置クコトヲ得
第八十條第三項乃至第六項、第八十二條第一項及第二項、第八十三條、第八十四條竝ニ前條第二項ノ規定ハ收入役及副收入役ニ之ヲ準用ス
市長又ハ助役ト父子兄弟タル緣故アル者ハ收入役又ハ副收入役ノ職ニ在ルコトヲ得ズ收入役ト父子兄弟タル緣故アル者ハ副收入役ノ職ニ在ルコトヲ得ズ
第八十七條 市ハ處務便宜ノ爲區ヲ劃シ區長及其ノ代理者一人ヲ置クコトヲ得
區長及其ノ代理者ハ名譽職トス市公民中選擧權ヲ有スル者ヨリ市長ノ推薦ニ依リ市會之ヲ定ム此ノ場合ニ於テハ第八十條第三項乃至第六項ノ規定ヲ準用ス
第八十八條 市ハ臨時又ハ常設ノ委員ヲ置クコトヲ得
委員ハ名譽職トス市會議員、名譽職參事會員又ハ市公民中選擧權ヲ有スル者ヨリ市長ノ推薦ニ依リ市會之ヲ定ム但シ委員長ハ市長又ハ其ノ委任ヲ受ケタル助役ヲ以テ之ニ充ツ
第八十條第三項乃至第六項ノ規定ハ委員ニ之ヲ準用ス
委員ノ組織ニ關シテハ市條例ヲ以テ別段ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第八十九條 市公民ニ限リテ擔任スベキ職務ニ在ル吏員又ハ職ニ就キタルガ爲市公民タル者選擧權ヲ有セザルニ至リタルトキハ其ノ職ヲ失フ
前項ノ職務ニ在ル者ニシテ禁錮以上ノ刑ニ當ルベキ罪ノ爲豫審又ハ公判ニ付セラレタルトキハ監督官廳ハ其ノ職務ノ執行ヲ停止スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ停止期間報酬又ハ給料ヲ支給スルコトヲ得ズ
第九十條 前數條ニ定ムル者ノ外市ニ必要ノ有給吏員ヲ置キ市長之ヲ任免ス
前項吏員ノ定數ハ市會ノ議決ヲ經テ之ヲ定ム
第二款 職務權限
第九十一條 市長ノ擔任スル事務ノ槪目左ノ如シ
一 市會及市參事會ノ議決ヲ經ベキ事件ニ付其ノ議案ヲ發シ及其ノ議決ヲ執行スルコト
二 財產及營造物ヲ管理スルコト但シ特ニ之ガ管理者ヲ置キタルトキハ其ノ事務ヲ監督スルコト
三 收入支出ヲ命令シ及會計ヲ監督スルコト
四 證書及公文書類ヲ保管スルコト
五 法令又ハ市會ノ議決ニ依リ使用料、手數料、市稅又ハ夫役現品ヲ賦課徵收スルコト
六 其ノ他法令ニ依リ市長ノ職權ニ屬スル事項
第九十二條 市長ハ市吏員ヲ指揮監督シ之ニ對シ懲戒ヲ行フコトヲ得其ノ懲戒處分ハ譴責及十圓以下ノ過怠金トス
第九十三條 市會又ハ市參事會ノ議決又ハ選擧其ノ權限ヲ超エ又ハ法令若ハ會議規則ニ背クト認ムルトキハ市長ハ其ノ意見ニ依リ又ハ監督官廳ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付シ又ハ再選擧ヲ行ハシムベシ但シ特別ノ事由アリト認ムルトキハ市長ハ議決ニ付テハ之ヲ再議ニ付セズシテ直ニ樺太廳長官ノ指揮ヲ請フコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ爲シタル市會又ハ市參事會ノ議決仍其ノ權限ヲ超エ又ハ法令若ハ會議規則ニ背クト認ムルトキハ市長ハ樺太廳長官ノ指揮ヲ請フベシ
監督官廳ハ前二項ノ議決又ハ選擧ヲ取消スコトヲ得
前三項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ處分又ハ前項ノ規定ニ依ル主務大臣ノ處分ニ不服アル市長、市會又ハ市參事會ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第九十四條 市會又ハ市參事會ノ議決明ニ公益ヲ害スト認ムルトキハ市長ハ其ノ意見ニ依リ又ハ監督官廳ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付スベシ但シ特別ノ事由アリト認ムルトキハ市長ハ之ヲ再議ニ付セズシテ直ニ樺太廳長官ノ指揮ヲ請フコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ爲シタル市會又ハ市參事會ノ議決仍明ニ公益ヲ害スト認ムルトキハ市長ハ樺太廳長官ノ指揮ヲ請フベシ
市會又ハ市參事會ノ議決收支ニ關シ執行スルコト能ハザルモノアリト認ムルトキハ前二項ノ例ニ依ル左ニ揭グル費用ヲ削除シ又ハ減額シタル場合ニ於テ其ノ費用及之ニ伴フ收入ニ付亦同ジ
一 法令ニ依リ負擔スル費用、當該官廳ノ職權ニ依リ命ズル費用其ノ他ノ市ノ義務ニ屬スル費用
二 非常ノ災害ニ因ル應急又ハ復舊ノ施設ノ爲ニ要スル費用、傳染病豫防ノ爲ニ要スル費用其ノ他ノ緊急避クベカラザル費用
前三項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ處分ニ不服アル市長、市會又ハ市參事會ハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第九十五條 市會成立セザルトキ、第五十九條但書ノ場合ニ於テ仍會議ヲ開クコト能ハザルトキ又ハ市長ニ於テ市會ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキハ市長ハ市會ノ權限ニ屬スル事件ヲ市參事會ノ議決ニ付スルコトヲ得
市參事會成立セザルトキ又ハ第七十八條第一項但書ノ場合ニ於テ仍會議ヲ開クコト能ハザルトキハ市長ハ樺太廳長官ノ指揮ヲ請ヒ其ノ議決スベキ事件ヲ處分スルコトヲ得
市會又ハ市參事會ニ於テ其ノ議決スベキ事件ヲ議決セザルトキハ前項ノ例ニ依ル
市會又ハ市參事會ノ決定スベキ事件ニ關シテハ前三項ノ例ニ依ル此ノ場合ニ於ケル市參事會ノ決定又ハ市長ノ處分ニ關シテハ各本條ノ規定ニ準ジ訴願又ハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
前四項ノ規定ニ依ル處置ニ付テハ次囘ノ會議ニ於テ之ヲ市會又ハ市參事會ニ報吿スベシ
第九十六條 市參事會ニ於テ議決又ハ決定スベキ事件ニ關シ臨時急施ヲ要スル場合ニ於テ市參事會成立セザルトキ又ハ市長ニ於テ之ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキハ市長ハ之ヲ專決シ次囘ノ會議ニ於テ之ヲ市參事會ニ報吿スベシ
前項ノ規定ニ依リ市長ノ爲シタル處分ニ關シテハ各本條ノ規定ニ準ジ訴願又ハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第九十七條 市會及市參事會ノ權限ニ屬スル事項ノ一部ハ其ノ議決ニ依リ市長ニ於テ專決處分スルコトヲ得
第九十八條 市長其ノ他市吏員ハ法律勅令ノ定ムル所ニ依リ國其ノ他公共團體ノ事務ヲ掌ル
前項ノ事務ヲ執行スル爲要スル費用ハ市ノ負擔トス但シ法令中別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
第九十九條 市長ハ其ノ事務ノ一部ヲ助役ニ分掌セシムルコトヲ得但シ市ノ事務ニ付テハ豫メ市會ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
市長ハ市吏員ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第百條 助役ハ市長ノ事務ヲ補助ス
助役ハ市長故障アルトキ之ヲ代理ス助役數人アルトキハ豫メ市長ノ定メタル順序ニ依リ之ヲ代理ス
第百一條 收入役ハ市ノ出納其ノ他ノ會計事務及第九十八條ノ事務ニ關スル國其ノ他公共團體ノ出納其ノ他ノ會計事務ヲ掌ル但シ法令中別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
副收入役ハ收入役ノ事務ヲ補助シ收入役故障アルトキ之ヲ代理ス
市長ハ收入役ノ事務ノ一部ヲ副收入役ニ分掌セシムルコトヲ得但シ市ノ出納其ノ他ノ會計事務ニ付テハ豫メ市會ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
副收入役ヲ置カザル場合ニ於テハ市會ハ市長ノ推薦ニ依リ收入役故障アルトキ之ヲ代理スベキ吏員ヲ定ムベシ
第百二條 區長ハ市長ノ命ヲ承ケ市長ノ事務ニシテ區內ニ關スルモノヲ補助ス
區長代理者ハ區長ノ事務ヲ補助シ區長故障アルトキ之ヲ代理ス
第百三條 委員ハ市長ノ指揮監督ヲ承ケ財產又ハ營造物ヲ管理シ其ノ他委託ヲ受ケタル市ノ事務ヲ調査シ又ハ之ヲ處辨ス
第百四條 第九十條ノ吏員ハ市長ノ命ヲ承ケ事務ニ從事ス
第五章 給料及給與
第百五條 名譽職市長、市會議員、名譽職參事會員其ノ他ノ名譽職員ハ職務ノ爲要スル費用ノ辨償ヲ受クルコトヲ得
名譽職市長、區長、區長代理者及委員ニハ費用辨償ノ外勤務ニ相當スル報酬ヲ給スルコトヲ得
費用辨償額、報酬額及其ノ支給方法ハ市條例ヲ以テ之ヲ規定スベシ
第百六條 有給市長、助役其ノ他ノ有給吏員ノ給料額、旅費額及其ノ支給方法ハ市條例ヲ以テ之ヲ規定スベシ
第百七條 有給吏員ニハ市條例ノ定ムル所ニ依リ退隱料、退職給與金、死亡給與金又ハ遺族扶助料ヲ給スルコトヲ得
第百八條 費用辨償、報酬、給料、旅費、退隱料、退職給與金、死亡給與金又ハ遺族扶助料ノ給與ニ付關係者ニ於テ異議アルトキハ之ヲ市長ニ申立ツルコトヲ得
前項ノ異議ノ申立アリタルトキハ市長ハ七日以內ニ之ヲ市參事會ノ決定ニ付スベシ市參事會ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ三月以內ニ之ヲ決定スベシ
關係者前項ノ決定ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第四項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
市長第二項ノ決定ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ前項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百九條 費用辨償、報酬、給料、旅費、退隱料、退職給與金、死亡給與金、遺族扶助料其ノ他ノ給與ハ市ノ負擔トス
第六章 市ノ財務
第一款 財產營造物及市稅
第百十條 收益ノ爲ニスル市ノ財產ハ基本財產トシ之ヲ維持スベシ
市ハ特定ノ目的ノ爲特別ノ基本財產ヲ設ケ又ハ金穀等ヲ積立ツルコトヲ得
第百十一條 市ハ營造物ノ使用ニ付使用料ヲ徵收スルコトヲ得
市ハ特ニ一個人ノ爲ニスル事務ニ付手數料ヲ徵收スルコトヲ得
第百十二條 財產ノ賣却貸與、工事ノ請負及物件勞力其ノ他ノ供給ハ競爭入札ニ付スベシ但シ臨時急施ヲ要スルトキ、入札ノ價額其ノ費用ニ比シテ得失相償ハザルトキ又ハ市會ノ同意ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第百十三條 市ハ其ノ公益上必要アル場合ニ於テハ寄附又ハ補助ヲ爲スコトヲ得
第百十四條 市稅トシテ賦課スルコトヲ得ベキモノ左ノ如シ
一 直接國稅ノ附加稅
二 特別稅
直接國稅ノ附加稅ハ均一ノ稅率ヲ以テ之ヲ徵收スベシ但シ第百五十條ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
特別稅ノ種類及制限ハ樺太廳長官之ヲ定ム
第百十五條 三月以上市內ニ滯在スル者ハ其ノ滯在ノ初ニ遡リ市稅ヲ納ムル義務ヲ負フ
第百十六條 市內ニ住所ヲ有セズ又ハ三月以上滯在スルコトナシト雖モ市內ニ於テ土地家屋物件ヲ所有シ使用シ若ハ占有シ、市內ニ營業所ヲ設ケテ營業ヲ爲シ又ハ市內ニ於テ特定ノ行爲ヲ爲ス者ハ其ノ土地家屋物件營業若ハ其ノ收入ニ對シ又ハ其ノ行爲ニ對シテ賦課スル市稅ヲ納ムル義務ヲ負フ
第百十七條 合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リ設立シタル法人ハ合併ニ因リ消滅シタル法人ニ對シ其ノ合併前ノ事實ニ付賦課セラルベキ市稅ヲ納ムル義務ヲ負フ
相續人又ハ相續財團ハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ被相續人ニ對シ其ノ相續開始前ノ事實ニ付賦課セラルベキ市稅ヲ納ムル義務ヲ負フ
第百十八條 納稅者ノ市外ニ於テ所有シ使用シ占有スル土地家屋物件若ハ其ノ收入又ハ市外ニ於テ營業所ヲ設ケタル營業若ハ其ノ收入ニ對シテハ市稅ヲ賦課スルコトヲ得ズ
市ノ內外ニ於テ營業所ヲ設ケ營業ヲ爲ス者ニシテ其ノ營業又ハ收入ニ對スル本稅ヲ分別シテ納メザルモノニ對シ附加稅ヲ賦課スル場合、住所滯在ガ市ノ內外ニ涉ル者ノ收入ニシテ土地家屋物件又ハ營業所ヲ設ケタル營業ヨリ生ズル收入ニ非ザルモノニ對シ市稅ヲ賦課スル場合、鑛區又ハ砂鑛區ガ市ノ內外ニ涉ルトキ鑛區稅又ハ砂鑛區稅ノ附加稅ヲ賦課セントスル場合及鑛區又ハ砂鑛區ガ營業所所在地ノ市ノ內外ニ涉ルトキ鑛產稅ノ附加稅ヲ賦課セントスル場合ニ付テハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依ル
第百十九條 樺太所得稅令第二十一條ニ揭グル所得ニ對シテハ市稅ヲ賦課スルコトヲ得ズ
神社寺院祠宇佛堂ノ用ニ供スル建物及其ノ境內地竝ニ敎會所說敎所ノ用ニ供スル建物及其ノ構內地ニ對シテハ市稅ヲ賦課スルコトヲ得ズ但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者及住宅ヲ以テ敎會所說敎所ノ用ニ充ツル者ニ對シテハ此ノ限ニ在ラズ
國市町村其ノ他公共團體ニ於テ公用ニ供スル土地家屋物件及營造物ニ對シテハ市稅ヲ賦課スルコトヲ得ズ但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者及使用收益者ニ對シテハ此ノ限ニ在ラズ
國ノ事業又ハ行爲及國有ノ土地家屋物件ニ對シテハ國ニ市稅ヲ賦課スルコトヲ得ズ
前四項ノ外市稅ヲ賦課スルコトヲ得ザルモノハ別ニ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依ル
第百二十條 市ハ公益上其ノ他ノ事由ニ因リ課稅ヲ不適當トスル場合ニ於テハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ市稅ヲ賦課セザルコトヲ得
第百二十一條 數人ヲ利スル營造物ノ設置維持其ノ他ノ必要ナル費用ハ其ノ關係者ニ負擔セシムルコトヲ得
市ノ一部ヲ利スル營造物ノ設置維持其ノ他ノ必要ナル費用ハ其ノ部內ニ於テ市稅ヲ納ムル義務アル者ニ負擔セシムルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ營造物ヨリ生ズル收入アルトキハ先ヅ其ノ收入ヲ以テ其ノ費用ニ充ツベシ
數人又ハ市ノ一部ヲ利スル財產ニ付テハ前三項ノ例ニ依ル
第百二十二條 市稅ノ賦課徵收ニ關シテハ本令ニ規定アルモノノ外必要ナル事項ハ樺太廳長官之ヲ定ム
第百二十三條 數人又ハ市ノ一部ニ對シ特ニ利益アル事件ニ關シテハ市ハ不均一ノ賦課ヲ爲シ又ハ數人若ハ市ノ一部ニ對シ賦課ヲ爲スコトヲ得
第百二十四條 夫役又ハ現品ハ直接市稅ヲ準率ト爲シ且之ヲ金額ニ算出シテ賦課スベシ但シ第百五十條ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
學藝美術及手工ニ關スル勞務ニ付テハ夫役ヲ賦課スルコトヲ得ズ
夫役ヲ賦課セラレタル者ハ本人自ラ之ニ當リ又ハ適當ノ代人ヲ出スコトヲ得
夫役又ハ現品ハ金錢ヲ以テ之ニ代フルコトヲ得
第一項及前項ノ規定ハ急迫ノ場合ニ賦課スル夫役ニ付テハ之ヲ適用セズ
第百二十五條 非常災害ノ爲必要アルトキハ市ハ他人ノ土地ヲ一時使用シ又ハ其ノ土石竹木其ノ他ノ物品ヲ使用シ若ハ收用スルコトヲ得但シ其ノ損失ヲ補償スベシ
前項ノ場合ニ於テ危險防止ノ爲必要アルトキハ市長、警察官吏又ハ監督官廳ハ市內ノ居住者ヲシテ防禦ニ從事セシムルコトヲ得
第一項但書ノ規定ニ依リ補償スベキ金額ハ協議ニ依リ之ヲ定ム協議調ハザルトキハ鑑定人ノ意見ヲ徵シ樺太廳長官之ヲ決定ス決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得
前項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交付スベシ
第一項ノ規定ニ依リ土地ノ一時使用ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第百二十六條 市稅ノ賦課ニ關シ必要アル場合ニ於テハ當該吏員ハ日出ヨリ日沒迄ノ間營業者ニ關シテハ仍其ノ營業時間內家宅若ハ營業所ニ臨檢シ又ハ帳簿物件ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ當該吏員ハ其ノ身分ヲ證明スベキ證票ヲ携帶スベシ
第百二十七條 市長ハ納稅者中特別ノ事情アル者ニ對シ納稅延期ヲ許スコトヲ得其ノ年度ヲ超ユル場合ハ市參事會ノ議決ヲ經ベシ
市ハ特別ノ事情アル者ニ限リ市稅ヲ減免スルコトヲ得
第百二十八條 使用料、手數料及特別稅ニ關スル事項ニ付テハ市條例ヲ以テ之ヲ規定スベシ
詐僞其ノ他ノ不正ノ行爲ニ依リ使用料ノ徵收ヲ免レ又ハ市稅ヲ逋脫シタル者ニ付テハ市條例ヲ以テ其ノ徵收ヲ免レ又ハ逋脫シタル金額ノ三倍ニ相當スル金額(其ノ金額五圓未滿ナルトキハ五圓)以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得
前項ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手數料及市稅ノ賦課徵收ニ關シテハ市條例ヲ以テ五圓以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得財產又ハ營造物ノ使用ニ關シ亦同ジ
過料ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
市長前項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百二十九條 市稅ノ賦課ヲ受ケタル者其ノ賦課ニ付違法又ハ錯誤アリト認ムルトキハ徵稅令書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ三月以內ニ市長ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
財產又ハ營造物ヲ使用スル權利ニ關シ異議アル者ハ之ヲ市長ニ申立ツルコトヲ得
前二項ノ異議ノ申立アリタルトキハ市長ハ七日以內ニ之ヲ市參事會ノ決定ニ付スベシ市參事會ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ三月以內ニ之ヲ決定スベシ
前項ノ決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第六項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項及前二項ノ規定ハ使用料及手數料ノ徵收竝ニ夫役現品ノ賦課ニ關シ之ヲ準用ス
市長第三項ノ決定ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ前二項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百三十條 市稅、使用料、手數料、過料、過怠金其ノ他ノ市ノ收入ヲ定期內ニ納メザル者アルトキハ市長ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ
夫役現品ノ賦課ヲ受ケタル者定期內ニ其ノ履行ヲ爲サズ又ハ夫役現品ニ代フル金錢ヲ納メザルトキハ市長ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ急迫ノ場合ニ賦課シタル夫役ニ付テハ更ニ之ヲ金額ニ算出シ期限ヲ指定シテ其ノ納付ヲ命ズベシ
前二項ノ場合ニ於テハ市條例ノ定ムル所ニ依リ手數料ヲ徵收スルコトヲ得
滯納者第一項又ハ第二項ノ督促又ハ命令ヲ受ケ其ノ指定ノ期限內ニ之ヲ完納セザルトキハ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ處分スベシ
第一項乃至第三項ノ徵收金ハ國稅ニ次デ先取特權ヲ有シ其ノ追徵還付及時效ニ付テハ國稅ノ例ニ依ル
前三項ノ處分ニ不服アル者ハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
市長前項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第四項ノ處分中差押物件ノ公賣ハ處分ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
第二款 歲入出豫算及決算
第百三十一條 市長ハ每會計年度歲入出豫算ヲ調製シ遲クトモ年度開始ノ一月前ニ市會ノ議決ヲ經ベシ
市ノ會計年度ハ政府ノ會計年度ニ依ル
豫算ヲ市會ニ提出スルトキハ市長ハ併セテ事務報吿書及財產表ヲ提出スベシ
第百三十二條 市長ハ市會ノ議決ヲ經テ旣定豫算ノ追加又ハ更正ヲ爲スコトヲ得
第百三十三條 市費ヲ以テ支辨スル事件ニシテ數年ヲ期シテ其ノ費用ヲ支出スベキモノハ市會ノ議決ヲ經テ其ノ年期間各年度ノ支出額ヲ定メ繼續費ト爲スコトヲ得
第百三十四條 市ハ豫算外ノ支出又ハ豫算超過ノ支出ニ充ツル爲豫備費ヲ設クベシ
特別會計ニハ豫備費ヲ設ケザルコトヲ得
豫備費ハ市會ノ否決シタル費途ニ充ツルコトヲ得ズ
第百三十五條 豫算ハ議決ヲ經タル後直ニ之ヲ樺太廳長官ニ報吿シ且其ノ要領ヲ吿示スベシ
第百三十六條 市ハ特別會計ヲ設クルコトヲ得
第百三十七條 市會ニ於テ豫算ヲ議決シタルトキハ市長ヨリ其ノ謄本ヲ收入役ニ交付スベシ
收入役ハ市長又ハ監督官廳ノ命令アルニ非ザレバ支拂ヲ爲スコトヲ得ズ命令ヲ受クルモ支出ノ豫算ナク且豫備費支出、費目流用其ノ他財務ニ關スル規定ニ依リ支出ヲ爲スコトヲ得ザルトキ亦同ジ
第百三十八條 市ノ支拂金ニ關スル時效ニ付テハ政府ノ支拂金ノ例ニ依ル
第百三十九條 市ノ出納ハ每月例日ヲ定メテ之ヲ檢査シ且每會計年度少クトモ二囘臨時檢査ヲ爲スベシ
檢査ハ市長之ヲ爲シ臨時檢査ニハ名譽職參事會員ニ於テ互選シタル名譽職參事會員二人以上ノ立會ヲ要ス
第百四十條 市ノ出納ハ翌年度五月三十一日ヲ以テ閉鎖ス
決算ハ出納閉鎖後一月以內ニ證書類ヲ併セテ收入役ヨリ之ヲ市長ニ提出スベシ市長ハ之ヲ審査シ意見ヲ付シテ次ノ通常豫算ヲ議スル會議迄ニ之ヲ市會ノ認定ニ付スベシ
決算ハ其ノ認定ニ關スル市會ノ議決ト共ニ之ヲ樺太廳長官ニ報吿シ且其ノ要領ヲ吿示スベシ
第百四十一條 豫算調製ノ式、費目流用其ノ他財務ニ關シ必要ナル規定ハ樺太廳長官之ヲ定ム
第七章 市ノ監督
第百四十二條 市ハ第一次ニ於テ樺太廳長官、第二次ニ於テ主務大臣之ヲ監督ス
第百四十三條 本令中別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外市ノ監督ニ關スル樺太廳長官ノ處分ニ不服アル市ハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第百四十四條 本令中行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ベキ場合ニ於テハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得ズ
第百四十五條 異議ノ申立又ハ訴願ノ提起ハ處分、決定又ハ裁決アリタル日ヨリ二十一日以內ニ之ヲ爲スベシ但シ本令中別ニ期間ヲ定メタルモノハ此ノ限ニ在ラズ
行政訴訟ノ提起ハ處分、決定又ハ裁決アリタル日ヨリ三十日以內ニ之ヲ爲スベシ
決定書又ハ裁決書ノ交付ヲ受ケザル者ニ關シテハ前二項ノ期間ハ吿示ノ日ヨリ之ヲ起算ス
異議ノ申立ニ關スル期間ノ計算ニ付テハ訴願法ノ規定ニ依ル
異議ノ申立ハ期限經過後ニ於テモ宥恕スベキ事由アリト認ムルトキハ仍之ヲ受理スルコトヲ得
異議ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ申立人ニ交付スベシ
異議ノ申立アルモ處分ノ執行ハ之ヲ停止セズ但シ行政廳ハ其ノ職權ニ依リ又ハ關係者ノ請求ニ依リ必要ト認ムルトキハ之ヲ停止スルコトヲ得
第百四十六條 監督官廳ハ市ノ監督上必要アル場合ニ於テハ事務ノ報吿ヲ爲サシメ、書類帳簿ヲ徵シ及實地ニ就キ事務ヲ視察シ又ハ出納ヲ檢閱スルコトヲ得
監督官廳ハ市ノ監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
上級監督官廳ハ下級監督官廳ノ市ノ監督ニ關シテ爲シタル命令又ハ處分ヲ停止シ又ハ取消スコトヲ得
第百四十七條 主務大臣ハ市會ノ解散ヲ命ズルコトヲ得
市會解散ノ場合ニ於テハ三月以內ニ議員ヲ選擧スベシ
第百四十八條 市ニ於テ法律勅令ニ依リ負擔シ又ハ當該官廳ノ職權ニ依リ命ズル費用ヲ豫算ニ載セザルトキハ樺太廳長官ハ理由ヲ示シテ其ノ費用ヲ豫算ニ加フルコトヲ得
市長其ノ他ノ吏員其ノ執行スベキ事件ヲ執行セザルトキハ樺太廳長官又ハ其ノ委任ヲ受ケタル官吏之ヲ執行スルコトヲ得但シ其ノ費用ハ市ノ負擔トス
前二項ノ處分ニ不服アル市又ハ市長其ノ他ノ吏員ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百四十九條 市長、助役、收入役又ハ副收入役ニ故障アルトキハ監督官廳ハ臨時代理者ヲ選任シ又ハ官吏ヲ派遣シ其ノ職務ヲ管掌セシムルコトヲ得但シ官吏ヲ派遣シタル場合ニ於テハ其ノ旅費ハ市費ヲ以テ辨償セシムベシ
臨時代理者ハ有給ノ市吏員トシ其ノ給料額旅費額等ハ監督官廳之ヲ定ム
第百五十條 左ニ揭グル事件ハ樺太廳長官ノ許可ヲ受クベシ但シ輕易ナル事件ニ限リ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ許可ヲ受ケシメザルコトヲ得
一 市條例ヲ設ケ又ハ改廢スルコト
二 基本財產、特別基本財產及積立金穀等ノ處分ニ關スルコト
三 直接國稅二分ノ一ヲ超過スル附加稅ヲ賦課スルコト
四 均一ノ稅率ニ依ラズシテ國稅ノ附加稅ヲ賦課スルコト
五 市債ヲ起シ竝ニ起債ノ方法、利息ノ定率及償還ノ方法ヲ定メ又ハ之ヲ變更スルコト但シ年度內ノ收入ヲ以テ償還スベキ一時ノ借入金ハ此ノ限ニ在ラズ
六 第百二十一條第一項、第二項及第四項ノ規定ニ依リ數人又ハ市ノ一部ニ費用ヲ負擔セシムルコト
七 第百二十三條ノ規定ニ依リ不均一ノ賦課ヲ爲シ又ハ數人若ハ市ノ一部ニ對シ賦課ヲ爲スコト
八 第百二十四條ノ準率ニ依ラズシテ夫役現品ヲ賦課スルコト但シ急迫ノ場合ニ賦課スル夫役ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
九 繼續費ヲ定メ又ハ變更スルコト
第百五十一條 監督官廳ノ許可ヲ要スル事件ニ付テハ監督官廳ハ許可申請ノ趣旨ニ反セズト認ムル範圍內ニ於テ更正シテ許可ヲ與フルコトヲ得
第百五十二條 樺太廳長官ハ市長、助役、收入役、副收入役、區長、區長代理者、委員其ノ他ノ市吏員ニ對シ懲戒ヲ行フコトヲ得其ノ懲戒處分ハ譴責、二十五圓以下ノ過怠金及解職トス但シ市長、助役、收入役及副收入役ニ對スル解職ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ懲戒審査會ノ議決ヲ經テ樺太廳長官之ヲ行フ
解職ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得
樺太廳長官ハ市長、助役、收入役及副收入役ノ解職ヲ行ハントスル前其ノ停職ヲ命ズルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ停職期間報酬又ハ給料ヲ支給スルコトヲ得ズ
懲戒ニ依リ解職セラレタル者ハ二年間市町村ノ公職ニ就クコトヲ得ズ
第百五十三條 市吏員ノ服務規律、賠償責任、身元保證及事務引繼ニ關スル規定ハ樺太廳長官之ヲ定ム
前項ノ規定ニハ事務引繼ヲ拒ミタル者ニ對シ二十五圓以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得
第八章 雜則
第百五十四條 第十條ノ人口ハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依ル
第百五十五條 本令ニ於ケル直接稅ノ種類ハ樺太廳長官之ヲ定ム
第百五十六條 市ノ廢置分合又ハ境界變更アリタル場合ニ於テ市ノ事務ニ付必要ナル事項ハ本令ニ規定スルモノノ外樺太廳長官之ヲ定ム
附 則
本令ハ樺太市制施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令ノ適用ニ付テハ明治十三年第三十六號布吿刑法ノ重罪ノ刑ニ處セラレタル者ハ之ヲ六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者、同法ノ禁錮ノ刑ニ處セラレタル者ハ之ヲ六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ處セラレタル者ト看做ス
本令施行ノ際樺太廳長官ノ命令ニ依リ町村長ノ掌ルモノト定メラレタル國ノ事務ハ第九十八條第一項ノ規定ニ拘ラズ市ニ於テハ樺太廳長官ノ命令ノ定ムル所ニ依リ市長之ヲ掌ル
第四十九條第二號但書及第九十八條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
收入役ハ第百一條第一項ニ規定スル國ノ會計事務ノ外第三項ノ事務ニ關スル會計事務ヲ掌ル
朕樺太市制施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年六月二十二日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
拓務大臣 大谷尊由
勅令第二百七十四号
樺太市制施行令
第一章
総則
第一款
市及其ノ区域
第二款
市住民及其ノ権利義務
第三款
市条例及市規則
第二章
市会
第一款
組織及選挙
第二款
職務権限
第三章
市参事会
第一款
組織及選挙
第二款
職務権限
第四章
市吏員
第一款
組織選挙及任免
第二款
職務権限
第五章
給料及給与
第六章
市ノ財務
第一款
財産営造物及市税
第二款
歳入出予算及決算
第七章
市ノ監督
第八章
雑則
附 則
樺太市制施行令
第一章 総則
第一款 市及其ノ区域
第一条 市ハ法令ノ範囲内ニ於テ教育及警防ニ関スル事務ヲ処理ス
第二条 市ノ境界変更ヲ為サントスルトキハ樺太庁長官ハ関係アル市町村会ノ意見ヲ徴シ之ヲ定ム所属未定地ヲ市ノ区域ニ編入セントスルトキ亦同ジ
前項ノ場合ニ於テ財産アルトキハ其ノ処分ハ関係アル市町村会ノ意見ヲ徴シ樺太庁長官之ヲ定ム
第三条 市ノ境界判明ナラザル場合ハ樺太庁長官之ヲ決定ス其ノ決定ニ不服アル市町村ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ為シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ関係市町村ニ交付スベシ
第四条 市ハ其ノ名称ヲ変更セントスルトキハ樺太庁長官ノ許可ヲ受クベシ
第二款 市住民及其ノ権利義務
第五条 市内ニ住所ヲ有スル者ハ其ノ市住民トス
市住民ハ本令ニ従ヒ市ノ財産及営造物ヲ共用スル権利ヲ有シ市ノ負担ヲ分任スル義務ヲ負フ
第六条 帝国臣民タル年齢二十五年以上ノ男子ニシテ二年以来市住民タルモノハ其ノ市公民トス但シ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
一 禁治産者及準禁治産者
二 破産者ニシテ復権ヲ得ザルモノ
三 貧困ニ因リ生活ノ為公私ノ救助ヲ受ケ又ハ扶助ヲ受クル者
四 一定ノ住居ヲ有セザル者
五 六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者
六 刑法第二編第一章、第三章、第九章、第十六章乃至第二十一章、第二十五章又ハ第三十六章乃至第三十九章ニ掲グル罪ヲ犯シ六年未満ノ懲役ノ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル後其ノ刑期ノ二倍ニ相当スル期間ヲ経過スルニ至ル迄ノ者但シ其ノ期間五年ヨリ短キトキハ五年トス
七 六年未満ノ禁錮ノ刑ニ処セラレ又ハ前号ニ掲グル罪以外ノ罪ヲ犯シ六年未満ノ懲役ノ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
市ハ前項二年ノ制限ヲ特免スルコトヲ得
第一項二年ノ期間ハ市町村ノ廃置分合又ハ境界変更ノ為中断セラルルコトナシ
第七条 市公民ハ市ノ選挙ニ参与シ市ノ名誉職ニ選挙セラルル権利ヲ有シ市ノ名誉職ヲ担任スル義務ヲ負フ
左ノ各号ノ一ニ該当セザル者ニシテ名誉職ノ当選ヲ辞シ又ハ其ノ職ヲ辞シ若ハ其ノ職務ヲ実際ニ執行セザルトキハ市ハ一年以上四年以下其ノ市公民権ヲ停止スルコトヲ得
一 疾病ニ罹リ公務ニ堪ヘザル者
二 業務ノ為常ニ市内ニ居ルコトヲ得ザル者
三 年齢六十年以上ノ者
四 官公職ノ為市ノ公務ヲ執ルコトヲ得ザル者
五 四年以上名誉職市吏員、名誉職参事会員又ハ市会議員ノ職ニ任ジ爾後同一ノ期間ヲ経過セザル者
六 其ノ他市会ノ議決ニ依リ正当ノ理由アリト認ムル者
前項ノ処分ヲ受ケタル者其ノ処分ニ不服アルトキハ樺太庁長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二項ノ処分ハ其ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
市長第三項ノ規定ニ依ル樺太庁長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
市公民租税滞納処分中ハ市ノ名誉職ニ就クコトヲ得ズ
第八条 陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(未ダ入営セザル者及帰休下士官兵ヲ除ク)及戦時若ハ事変ニ際シ又ハ兵役法第五十五条第二項ノ規定(志願ニ依リ兵籍ニ編入セラレタル者ニ付テハ之ニ該当スル勅令ノ規定ヲ含ム)ニ依リ召集中ノ者ハ市ノ公務ニ参与スルコトヲ得ズ兵籍ニ編入セラレタル学生生徒(陸軍各部委託学生生徒、海軍軍医学生薬剤学生主計学生造船学生造機学生造兵学生並ニ海軍航空予備学生海軍予備生徒海軍予備練習生及海軍予備補習生ヲ除ク)及志願ニ依リ国民軍ニ編入セラレタル者亦同ジ
第三款 市条例及市規則
第九条 市ハ市住民ノ権利義務又ハ市ノ事務ニ関シ市条例ヲ設クルコトヲ得
市ハ市ノ営造物ニ関シ市条例ヲ以テ規定スルモノノ外市規則ヲ設クルコトヲ得
市条例及市規則ハ一定ノ公告式ニ依リ之ヲ告示スベシ
第二章 市会
第一款 組織及選挙
第十条 市会議員ハ其ノ被選挙権アル者ニ就キ選挙人之ヲ選挙ス
議員ノ定数左ノ如シ
一 人口五万未満ノ市 三十人
二 人口五万以上十万未満ノ市 三十六人
三 人口十万以上ノ市 四十人
議員ノ定数ハ市条例ヲ以テ特ニ之ヲ増減スルコトヲ得
議員ノ定数ハ総選挙ヲ行フ場合ニ非ザレバ之ヲ増減セズ但シ著シク人口ノ増減アリタル場合ニ於テ樺太庁長官ノ許可ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十一条 市公民ハ総テ選挙権ヲ有ス但シ公民権停止中ノ者又ハ第八条ノ規定ニ該当スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第十二条 必要アルトキハ市ハ区画ヲ定メテ投票分会ヲ設クルコトヲ得
第十三条 選挙権ヲ有スル市公民ハ被選挙権ヲ有ス
在職ノ検事、警察官吏及収税官吏ハ被選挙権ヲ有セズ
選挙事務ニ関係アル官吏及市ノ有給吏員ハ其ノ関係区域内ニ於テ被選挙権ヲ有セズ
市ノ有給ノ吏員教員其ノ他ノ職員ニシテ在職中ノモノハ其ノ市ノ市会議員ト相兼ヌルコトヲ得ズ
第十四条 市会議員ノ任期ハ四年トシ総選挙ノ日ヨリ之ヲ起算ス
議員ノ定数ニ異動ヲ生ジタル為解任ヲ要スル者アルトキハ市長抽籤シテ之ヲ定ム但シ欠員アルトキハ其ノ欠員ヲ以テ之ニ充ツベシ
前項但書ノ場合ニ於テ欠員ノ数解任ヲ要スル者ノ数ニ満タザルトキハ其ノ不足ノ員数ニ付市長抽籤シテ解任スベキ者ヲ定メ欠員ノ数解任ヲ要スル者ノ数ヲ超ユルトキハ解任ヲ要スル者ニ充ツベキ欠員ハ最モ先ニ欠員ト為リタル者ヨリ順次之ニ充テ欠員ト為リタル時同ジキトキハ市長抽籤シテ之ヲ定ム
議員ノ定数ニ異動ヲ生ジタル為新ニ選挙セラレタル議員ハ総選挙ニ依リ選挙セラレタル議員ノ任期満了ノ日迄在任ス
第十五条 市会議員中欠員ヲ生ジタルトキハ其ノ欠員ト為リタル議員ガ選挙ノ期日ヨリ一年以内ニ欠員ト為リタル者ナル場合ニ於テ第三十七条第一項但書ノ得票者ニシテ当選者ト為ラザリシモノアルトキ又ハ選挙ノ期日ヨリ一年経過後ニ於テ欠員ト為リタル者ナル場合ニ於テ第三十七条第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ当選者ト為ラザリシモノアルトキハ直ニ選挙会ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ当選者ヲ定ムベシ此ノ場合ニ於テハ第四十一条第四項及第五項ノ規定ヲ準用ス
前項ノ規定ノ適用ヲ受クル者ナク若ハ前項ノ規定ノ適用ニ依リ当選者ヲ定ムルモ仍其ノ欠員ガ議員ノ定数ノ六分ノ一ヲ超ユルニ至リタルトキ又ハ市長若ハ市会ニ於テ必要ト認ムルトキハ補欠選挙ヲ行フベシ
第四十一条第七項ノ規定ハ補欠選挙ニ之ヲ準用ス
補欠議員ハ其ノ前任者ノ残任期間在任ス
第十六条 市長ハ選挙ノ期日前六十日目ノ現在ニ依リ選挙人名簿ヲ調製スベシ
選挙人ノ年齢ハ選挙人名簿確定ノ期日ニ依リ之ヲ算定ス
選挙人名簿ニハ選挙人ノ氏名、住所及生年月日等ヲ記載スベシ
第十七条 市長ハ選挙ノ期日前四十日目ヨリ十五日間市役所又ハ其ノ指定シタル場所ニ於テ選挙人名簿ヲ関係者ノ縦覧ニ供スベシ
市長ハ縦覧開始ノ日前三日目迄ニ縦覧ノ場所ヲ告示スベシ
第十八条 選挙人名簿ニ関シ関係者ニ於テ異議アルトキハ縦覧期間内ニ之ヲ市長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ市長ハ其ノ申立ヲ受ケタル日ヨリ十四日以内ニ之ヲ決定シ名簿ノ修正ヲ要スルトキハ直ニ之ヲ修正スベシ
前項ノ決定ニ不服アル者ハ樺太庁長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
市長前項ノ規定ニ依ル樺太庁長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依リ決定ヲ為シタルトキハ市長ハ直ニ其ノ要領ヲ告示スベシ同項ノ規定ニ依リ名簿ヲ修正シタルトキ亦同ジ
第十九条 選挙人名簿ハ選挙ノ期日前三日目ヲ以テ確定ス
選挙人名簿ハ其ノ確定シタル日ヨリ一年以内ニ於テ行フ選挙ニ之ヲ用フ但シ市ノ廃置分合又ハ境界変更アリタル場合ニ於テ樺太庁長官ノ指定スルモノハ此ノ限ニ在ラズ
前条第二項又ハ第三項ノ裁決確定シ又ハ判決アリタルニ依リ名簿ノ修正ヲ要スル場合ニ於テハ其ノ名簿確定前ナルトキハ直ニ之ヲ修正シ其ノ名簿確定後ナルトキハ選挙ヲ終リタル後次ノ選挙ノ期日前四日目迄ニ之ヲ修正シ且其ノ要領ヲ告示スベシ
投票分会ヲ設クル場合ニ於テ必要アルトキハ市長ハ確定名簿ニ依リ分会ノ区画毎ニ名簿ノ抄本ヲ調製スベシ
第二十条 第十八条ノ場合ニ於テ決定若ハ裁決確定シ又ハ判決アリタルニ依リ選挙人名簿無効ト為リタルトキハ更ニ名簿ヲ調製スベシ
天災事変等ノ為必要アルトキハ更ニ名簿ヲ調製スベシ
前二項ノ規定ニ依ル名簿ノ調製、縦覧、確定及異議ノ決定ニ関スル期日及期間ハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依ル
選挙人名簿調製後ニ於テ選挙ノ期日ヲ変更スルコトアルモ其ノ名簿ヲ用ヒ縦覧、修正、確定及異議ノ決定ニ関スル期日及期間ハ前選挙期日ニ依リ之ヲ算定ス
第二十一条 市長ハ選挙ノ期日前二十日目迄ニ選挙会場(投票分会場ヲ含ム以下之ニ同ジ)、投票ノ日時及選挙スベキ議員数ヲ告示スベシ投票分会ヲ設クル場合ニ於テハ併セテ其ノ区画ヲ告示スベシ
投票分会ノ投票ハ選挙会ト同日時ニ之ヲ行フ
天災事変等ノ為投票ヲ行フコト能ハザルトキ又ハ更ニ投票ヲ行フノ必要アルトキハ市長ハ其ノ投票ヲ行フベキ選挙会又ハ投票分会ノミニ付更ニ期日ヲ定メ投票ヲ行ハシムベシ此ノ場合ニ於テ選挙会場及投票ノ日時ハ選挙ノ期日前五日目迄ニ之ヲ告示スベシ
第二十二条 市長ハ選挙長ト為リ選挙会ヲ開閉シ其ノ取締ニ任ズ
投票分会ハ市長ノ指名シタル吏員投票分会長ト為リ之ヲ開閉シ其ノ取締ニ任ズ
第二十三条 議員候補者ハ選挙人名簿ニ登録セラレタル者ノ中ヨリ本人ノ承諾ヲ得テ選挙立会人タルベキ者一人ヲ定メ選挙ノ期日前二日目迄ニ市長ニ届出ヅルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ届出アリタル者(議員候補者死亡シ又ハ議員候補者タルコトヲ辞シタルトキハ其ノ届出ニ係ル者ヲ除ク)十人ヲ超エザルトキハ直ニ其ノ者ヲ以テ選挙立会人トシ十人ヲ超ユルトキハ市長ハ其ノ者ノ中ニ就キ抽籤ニ依リ選挙立会人十人ヲ定ムベシ
前項ノ抽籤ハ選挙ノ期日ノ前日之ヲ行フ第一項ノ届出ヲ為シタル議員候補者ハ之ニ立会フコトヲ得
前項ノ抽籤ヲ行フベキ場所及日時ハ市長ニ於テ予メ之ヲ告示スベシ
第二項ノ規定ニ依リ選挙立会人定マリタルトキハ市長ハ直ニ之ヲ本人ニ通知シ選挙ニ立会ハシムベシ
議員候補者死亡シ又ハ議員候補者タルコトヲ辞シタルトキハ其ノ届出ニ係ル選挙立会人ハ其ノ職ヲ失フ
第二項ノ規定ニ依ル選挙立会人三人ニ達セザルトキ若ハ三人ニ達セザルニ至リタルトキ又ハ選挙立会人ニシテ参会スルモノ選挙会ヲ開クベキ時刻ニ至リ三人ニ達セザルトキ若ハ其ノ後三人ニ達セザルニ至リタルトキハ市長ハ選挙人名簿ニ登録セラレタル者ノ中ヨリ三人ニ達スル迄ノ選挙立会人ヲ選任シ直ニ之ヲ本人ニ通知シ選挙ニ立会ハシムベシ
選挙立会人ハ名誉職トス
前八項ノ規定ハ投票立会人ニ之ヲ準用ス但シ選挙人名簿ニ登録セラレタル者トアルハ投票分会ノ区画内ニ於ケル選挙人名簿ニ登録セラレタル者トス
第二十四条 選挙人ニ非ザル者ハ選挙会場ニ入ルコトヲ得ズ但シ選挙会場ノ事務ニ従事スル者、選挙会場ヲ監視スル職権ヲ有スル者又ハ警察官吏ハ此ノ限ニ在ラズ
選挙会場ニ於テ演説討論ヲ為シ若ハ喧擾ニ渉リ又ハ投票ニ関シ協議若ハ勧誘ヲ為シ其ノ他選挙会場ノ秩序ヲ紊ル者アルトキハ選挙長又ハ投票分会長ハ之ヲ制止シ命ニ従ハザルトキハ之ヲ選挙会場外ニ退出セシムベシ
前項ノ規定ニ依リ退出セシメラレタル者ハ最後ニ至リ投票ヲ為スコトヲ得但シ選挙長又ハ投票分会長会場ノ秩序ヲ紊ルノ虞ナシト認ムル場合ニ於テ投票ヲ為サシムルヲ妨ゲズ
第二十五条 選挙ハ無記名投票ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
第二十六条 確定名簿ニ登録セラレザル者ハ投票ヲ為スコトヲ得ズ但シ選挙人名簿ニ登録セラルベキ確定裁決書又ハ判決書ヲ所持シ選挙ノ当日選挙会場ニ到ル者ハ此ノ限ニ在ラズ
確定名簿ニ登録セラレタル者選挙人名簿ニ登録セラルルコトヲ得ザル者ナルトキハ投票ヲ為スコトヲ得ズ選挙ノ当日選挙権ヲ有セザル者ナルトキ亦同ジ
第二十七条 選挙人ハ選挙ノ当日投票時間内ニ自ラ選挙会場ニ到リ選挙人名簿又ハ其ノ抄本ノ対照ヲ経テ投票ヲ為スベシ
投票時間内ニ選挙会場ニ入リタル選挙人ハ其ノ時間ヲ過グルモ投票ヲ為スコトヲ得
選挙人ハ選挙会場ニ於テ投票用紙ニ自ラ議員候補者一人ノ氏名ヲ記載シテ投函スベシ
投票ニ関スル記載ニ付テハ樺太庁長官ノ定ムル点字ハ之ヲ文字ト看做ス
自ラ議員候補者ノ氏名ヲ書スルコト能ハザル者ハ投票ヲ為スコトヲ得ズ
投票用紙ハ市長ノ定ムル所ニ依リ一定ノ式ヲ用フベシ
投票分会ニ於テ為シタル投票ハ投票分会長少クトモ一人ノ投票立会人ト共ニ投票函ノ儘之ヲ選挙長ニ送致スベシ
第二十八条 投票ノ拒否ハ選挙立会人又ハ投票立会人ノ意見ヲ聴キ選挙長又ハ投票分会長之ヲ決定スベシ
投票分会ニ於テ投票拒否ノ決定ヲ受ケタル選挙人不服アルトキハ投票分会長ハ仮ニ投票ヲ為サシムベシ
前項ノ投票ハ選挙人ヲシテ之ヲ封筒ニ入レ封緘シ表面ニ自ラ其ノ氏名ヲ記載シ投函セシムベシ
投票立会人ニ於テ異議アル選挙人ニ対シテモ亦前二項ニ同ジ
第二十九条 選挙人ニシテ左ニ掲グル事由ニ因リ選挙ノ当日投票時間内ニ自ラ選挙会場ニ到リ投票ヲ為シ能ハザルベキコトヲ証スルモノノ投票ニ関シテハ第二十六条第一項但書、第二十七条第一項及第三項並ニ前条ノ規定ニ拘ラズ樺太庁長官ハ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
一 湖川、港湾ノミヲ航行スル船舶、総噸数二十噸未満ノ船舶及端舟其ノ他櫓櫂ノミヲ以テ運転シ又ハ主トシテ櫓櫂ヲ以テ運転スル舟ヲ除クノ外日本船舶(内地以外ニ船籍港ヲ定ムルモノヲ含ム以下之ニ同ジ)ノ船員又ハ其ノ船舶ニ乗務スルノ常況ニ在ル者船内従業中ナルベキコト
二 前号ノ船舶ヲ除クノ外日本船舶ニシテ総噸数五噸以上ノモノノ船員又ハ其ノ船舶ニ乗務スルノ常況ニ在ル者船内従業中ナルベキコト
三 鉄道列車ニ乗務スルノ常況ニ在ル鉄道係員、郵便取扱員其ノ他ノ者鉄道列車ニ乗務中ナルベキコト
四 選挙事務、選挙会場ノ監視、選挙取締其ノ他選挙ニ関係アル職務ニ従事スル者其ノ投票区域外ニ於テ職務ニ従事中ナルベキコト
五 陸海軍軍人演習召集中又ハ教育召集中ナルベキコト
六 艦船乗員タル軍属海上勤務中ナルベキコト
七 引続キ十日以上其ノ投票区域ノ属スル市外ニ於テ職務又ハ業務ニ従事スルヲ例トスル者其ノ投票区域ノ属スル市外ニ於テ職務又ハ業務ニ従事中ナルベキコト
第三十条 第四十一条若ハ第四十五条ノ選挙、増員選挙又ハ補欠選挙ヲ同時ニ行フ場合ニ於テハ一ノ選挙ヲ以テ合併シテ之ヲ行フ
第三十一条 市長ハ予メ開票ノ日時ヲ告示スベシ
第三十二条 選挙長ハ投票ノ日又ハ其ノ翌日(投票分会ヲ設ケタルトキハ総テノ投票函ノ送致ヲ受ケタル日又ハ其ノ翌日)選挙立会人立会ノ上投票函ヲ開キ投票ノ総数ト投票人ノ総数トヲ計算スベシ
前項ノ計算終リタルトキハ選挙長ハ先ヅ第二十八条第二項及第四項ノ投票ヲ調査シ選挙立会人ノ意見ヲ聴キ其ノ受理如何ヲ決定スベシ
選挙長ハ選挙立会人ト共ニ投票ヲ点検スベシ
天災事変等ノ為開票ヲ行フコト能ハザルトキハ市長ハ更ニ開票ノ期日ヲ定ムベシ此ノ場合ニ於テ選挙会場ノ変更ヲ要スルトキハ予メ更ニ其ノ場所ヲ告示スベシ
第三十三条 選挙人ハ其ノ選挙会ノ参観ヲ求ムルコトヲ得但シ開票開始前ハ此ノ限ニ在ラズ
第三十四条 特別ノ事情アルトキハ市ハ樺太庁長官ノ許可ヲ得区画ヲ定メテ開票分会ヲ設クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ開票分会ヲ設クル場合ニ於テ必要ナル事項ハ樺太庁長官之ヲ定ム
第三十五条 左ノ投票ハ之ヲ無効トス
一 成規ノ用紙ヲ用ヒザルモノ
二 議員候補者ニ非ザル者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
三 一投票中二人以上ノ議員候補者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
四 被選挙権ナキ議員候補者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
五 議員候補者ノ氏名ノ外他事ヲ記載シタルモノ但シ爵位、職業、身分、住所又ハ敬称ノ類ヲ記入シタルモノハ此ノ限ニ在ラズ
六 議員候補者ノ氏名ヲ自書セザルモノ
七 議員候補者ノ何人ヲ記載シタルカヲ確認シ難キモノ
八 市会議員ノ職ニ在ル者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
第三十六条 投票ノ効力ハ選挙立会人ノ意見ヲ聴キ選挙長之ヲ決定スベシ
第三十七条 市会議員ノ選挙ハ有効投票ノ最多数ヲ得タル者ヲ以テ当選者トス但シ議員ノ定数ヲ以テ有効投票ノ総数ヲ除シテ得タル数ノ六分ノ一以上ノ得票アルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ当選者ヲ定ムルニ当リ得票ノ数同ジキトキハ年長者ヲ取リ年齢モ亦同ジキトキハ選挙長抽籤シテ之ヲ定ムベシ
第三十八条 当選者選挙ノ期日後ニ於テ被選挙権ヲ有セザルニ至リタルトキハ当選ヲ失フ
第三十九条 選挙長ハ選挙録ヲ作リ選挙会ニ関スル顛末ヲ記載シ之ヲ朗読シ二人以上ノ選挙立会人ト共ニ之ニ署名スベシ
投票分会長ハ投票録ヲ作リ投票ニ関スル顛末ヲ記載シ之ヲ朗読シ二人以上ノ投票立会人ト共ニ之ニ署名スベシ
投票分会長ハ投票函ト同時ニ投票録ヲ選挙長ニ送致スベシ
選挙録及投票録ハ投票、選挙人名簿其ノ他ノ関係書類ト共ニ議員ノ任期間市長ニ於テ之ヲ保存スベシ
第四十条 当選者定マリタルトキハ市長ハ直ニ当選者ニ当選ノ旨ヲ告知シ同時ニ当選者ノ住所氏名ヲ告示シ且選挙録ノ写(投票録アルトキハ併セテ投票録ノ写)ヲ添ヘ之ヲ樺太庁長官ニ報告スベシ当選者ナキトキハ直ニ其ノ旨ヲ告示シ且選挙録ノ写(投票録アルトキハ併セテ投票録ノ写)ヲ添ヘ之ヲ樺太庁長官ニ報告スベシ
当選者当選ヲ辞セントスルトキハ当選ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ五日以内ニ之ヲ市長ニ申立ツベシ
官吏ニシテ当選シタルモノハ所属長官ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ之ニ応ズルコトヲ得ズ
前項ノ官吏ハ当選ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以内ニ之ニ応ズベキ旨ヲ市長ニ申立テザルトキハ其ノ当選ヲ辞シタルモノト看做ス
市ニ対シ請負ヲ為シ又ハ市ニ於テ費用ヲ負担スル事業ニ付市長若ハ其ノ委任ヲ受ケタル者ニ対シ請負ヲ為ス者若ハ其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行為ヲ為ス法人ノ無限責任社員、役員若ハ支配人ニシテ当選シタルモノハ其ノ請負ヲ罷メ又ハ請負ヲ為ス者ノ支配人若ハ主トシテ同一ノ行為ヲ為ス法人ノ無限責任社員、役員若ハ支配人タルコトナキニ至ルニ非ザレバ当選ニ応ズルコトヲ得ズ第二項ノ期限前ニ其ノ旨ヲ市長ニ申立テザルトキハ其ノ当選ヲ辞シタルモノト看做ス
前項ノ役員トハ取締役、監査役及之ニ準ズベキ者並ニ清算人ヲ謂フ
第四十一条 当選者左ニ掲グル事由ノ一ニ該当スルトキハ三月以内ニ更ニ選挙ヲ行フベシ但シ第二項又ハ第三項ノ規定ニ依リ更ニ選挙ヲ行フコトナクシテ当選者ヲ定メ得ル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一 当選ヲ辞シタルトキ
二 第三十八条ノ規定ニ依リ当選ヲ失ヒタルトキ
三 死亡者ナルトキ
四 選挙ニ関スル犯罪ニ依リ刑ニ処セラレ其ノ当選無効ト為リタルトキ但シ同一人ニ関シ前各号ノ事由ニ依ル選挙又ハ補欠選挙ノ告示ヲ為シタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
五 樺太市制第三条第六項ニ於テ依ルコトヲ定メタル市制第三十六条ノ二ノ規定ニ依ル訴訟ノ結果当選無効ト為リタルトキ
前項第一号乃至第三号ノ事由ヲ生ジタル場合ニ於テ第三十七条第一項但書ノ得票者ニシテ当選者ト為ラザリシモノアルトキハ直ニ選挙会ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ当選者ヲ定ムベシ
第一項第四号又ハ第五号ノ事由ヲ生ジタルトキハ其ノ選挙ノ期日ヨリ一年以内ナル場合ニ於テ第三十七条第一項但書ノ得票者ニシテ当選者ト為ラザリシモノアルトキ又ハ其ノ選挙ノ期日ヨリ一年経過後ナル場合ニ於テ第三十七条第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ当選者ト為ラザリシモノアルトキハ前項ノ規定ヲ準用ス
前二項ノ場合ニ於テ第三十七条第一項但書ノ得票者ニシテ当選者ト為ラザリシモノ選挙ノ期日後ニ於テ被選挙権ヲ有セザルニ至リタルトキハ之ヲ当選者ト定ムルコトヲ得ズ
第二項及第三項ノ場合ニ於テハ市長ハ予メ選挙会ノ場所及日時ヲ告示スベシ
第一項ノ期間ハ第四十四条第六項ノ規定ノ適用アル場合ニ於テハ選挙ヲ行フコトヲ得ザル事由已ミタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス
第一項ノ事由議員ノ任期満了前六月以内ニ生ジタルトキハ第一項ノ選挙ハ之ヲ行ハズ但シ議員ノ数其ノ定数ノ三分ノ二ニ満タザルニ至リタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第四十二条 第四十条第二項ノ期間ヲ経過シタルトキ又ハ同条第四項ノ申立アリタルトキハ市長ハ直ニ当選者ノ住所氏名ヲ告示シ併セテ之ヲ樺太庁長官ニ報告スベシ
当選者ナキニ至リタルトキ又ハ当選者其ノ選挙ニ於ケル議員ノ定数ニ達セザルニ至リタルトキハ市長ハ直ニ其ノ旨ヲ告示シ併セテ之ヲ樺太庁長官ニ報告スベシ
第四十三条 選挙ノ規定ニ違反スルコトアルトキハ選挙ノ結果ニ異動ヲ生ズルノ虞アル場合ニ限リ其ノ選挙ノ全部又ハ一部ヲ無効トス但シ当選ニ異動ヲ生ズルノ虞ナキ者ヲ区分シ得ルトキハ其ノ者ニ限リ当選ヲ失フコトナシ
第四十四条 選挙人又ハ議員候補者選挙又ハ当選ノ効力ニ関シ異議アルトキハ選挙ニ関シテハ選挙ノ日ヨリ、当選ニ関シテハ第四十条第一項又ハ第四十二条第二項ノ告示ノ日ヨリ七日以内ニ之ヲ市長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ市長ハ七日以内ニ市会ノ決定ニ付スベシ市会ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ十四日以内ニ之ヲ決定スベシ
樺太庁長官ハ選挙又ハ当選ノ効力ニ関シ異議アルトキハ選挙ニ関シテハ第四十条第一項ノ報告ヲ受ケタル日ヨリ、当選ニ関シテハ第四十条第一項又ハ第四十二条第二項ノ報告ヲ受ケタル日ヨリ二十日以内ニ之ヲ処分スルコトヲ得
前項ノ処分アリタルトキハ同一事件ニ付為シタル異議ノ申立及市会ノ決定ハ無効トス
第一項ノ決定ニ不服アル者ハ樺太庁長官ニ訴願シ其ノ裁決、第二項ノ処分又ハ第五項ノ規定ニ依ル樺太庁長官ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
市長第一項ノ決定ニ不服アルトキハ樺太庁長官ニ訴願シ其ノ裁決、第二項ノ処分又ハ前項ノ規定ニ依ル樺太庁長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第十五条、第四十一条又ハ第四十五条第一項若ハ第三項ノ選挙ハ之ニ関係アル選挙又ハ当選ニ関スル異議申立期間、異議ノ決定若ハ訴願ノ裁決確定セザル間又ハ訴訟ノ繋属スル間之ヲ行フコトヲ得ズ
市会議員ハ選挙又ハ当選ニ関スル処分、決定若ハ裁決確定シ又ハ判決アル迄ハ会議ニ列席シ議事ニ参与スルノ権ヲ失ハズ
第四十五条 選挙無効ト確定シタルトキハ三月以内ニ更ニ選挙ヲ行フベシ
当選無効ト確定シタルトキハ直ニ選挙会ヲ開キ更ニ当選者ヲ定ムベシ此ノ場合ニ於テハ第四十一条第四項及第五項ノ規定ヲ準用ス
当選者ナキトキ、当選者ナキニ至リタルトキ又ハ当選者其ノ選挙ニ於ケル議員ノ定数ニ達セザルトキ若ハ定数ニ達セザルニ至リタルトキハ三月以内ニ更ニ選挙ヲ行フベシ
第四十一条第六項及第七項ノ規定ハ第一項及前項ノ選挙ニ之ヲ準用ス
第四十六条 市会議員被選挙権ヲ有セザル者ナルトキ又ハ第四十条第五項ニ掲グル者ナルトキハ其ノ職ヲ失フ其ノ被選挙権ノ有無又ハ第四十条第五項ニ掲グル者ニ該当スルヤ否ハ市会議員ガ左ノ各号ノ一ニ該当スルニ因リ被選挙権ヲ有セザル場合ヲ除クノ外市会之ヲ決定ス
一 禁治産者又ハ準禁治産者ト為リタルトキ
二 破産者ト為リタルトキ
三 禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルトキ
四 選挙ニ関スル犯罪ニ依リ罰金ノ刑ニ処セラレタルトキ
市長ハ市会議員中被選挙権ヲ有セザル者又ハ第四十条第五項ニ掲グル者アリト認ムルトキハ之ヲ市会ノ決定ニ付スベシ市会ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ十四日以内ニ之ヲ決定スベシ
第一項ノ決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ樺太庁長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第四項ノ規定ニ依ル樺太庁長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
市長第一項ノ決定ニ不服アルトキハ樺太庁長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ前項ノ規定ニ依ル樺太庁長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第四十四条第七項ノ規定ハ第一項及前二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ為シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交付スベシ
第四十七条 第十八条、第十九条及第四十四条ノ場合ニ於テ樺太庁長官ノ指定、処分又ハ裁決ハ樺太庁長官、市会ノ決定ハ市長直ニ之ヲ告示スベシ
第四十八条 市会議員ノ選挙ニ付テハ衆議院議員選挙法第百四十二条及第百四十七条並ニ衆議院議員選挙法施行令第八章(第五十七条ノ二ノ規定ヲ除ク)、第九章及第十二章(公立学校等ノ設備ノ使用ニ依ル演説会開催ノ為ニ必要ナル施設ノ公営ニ関スル規定ヲ除ク)ノ規定ノ例ニ依ル但シ内務大臣及地方長官ノ職務ハ樺太庁長官之ヲ行フ
第二款 職務権限
第四十九条 市会ノ議決スベキ事件ノ概目左ノ如シ
一 市条例及市規則ヲ設ケ又ハ改廃スルコト
二 市費ヲ以テ支弁スベキ事業ニ関スルコト但シ第九十八条ノ事務及法律勅令ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
三 歳入出予算ヲ定ムルコト
四 決算報告ヲ認定スルコト
五 法令ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手数料、市税又ハ夫役現品ノ賦課徴収ニ関スルコト
六 市債ヲ起シ並ニ起債ノ方法、利息ノ定率及償還ノ方法ヲ定ムルコト
七 不動産ノ管理、処分及取得ニ関スルコト
八 基本財産、特別基本財産及積立金穀等ノ設置、管理及処分ニ関スルコト
九 歳入出予算ヲ以テ定ムルモノヲ除クノ外新ニ義務ノ負担ヲ為シ及権利ノ抛棄ヲ為スコト
十 財産及営造物ノ管理方法ヲ定ムルコト但シ法律勅令ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
十一 市吏員ノ賠償責任及身元保証ニ関スルコト
十二 市ニ係ル訴願、訴訟及和解ニ関スルコト
第五十条 市会ハ其ノ権限ニ属スル事項ノ一部ヲ市参事会ニ委任スルコトヲ得
第五十一条 市会ハ法律勅令ニ依リ其ノ権限ニ属スル選挙ヲ行フベシ
第五十二条 市会ハ市ノ事務ニ関スル書類及計算書ヲ検閲シ市長ノ報告ヲ請求シテ事務ノ管理、議決ノ執行及出納ヲ検査スルコトヲ得
市会ハ議員中ヨリ委員ヲ選挙シ市長又ハ其ノ指名シタル吏員立会ノ上実地ニ就キ前項ノ市会ノ権限ニ属スル事件ヲ行ハシムルコトヲ得
第五十三条 市会ハ市ノ公益ニ関スル事件ニ付意見書ヲ関係行政庁ニ提出スルコトヲ得
第五十四条 市会ハ行政庁ノ諮問アルトキハ意見ヲ答申スベシ
市会ノ意見ヲ徴シテ処分ヲ為スベキ場合ニ於テ市会成立セズ、招集ニ応ゼズ若ハ意見ヲ提出セズ又ハ市会ヲ招集スルコト能ハザルトキハ当該行政庁ハ其ノ意見ヲ俟タズシテ直ニ処分ヲ為スコトヲ得
第五十五条 市会ハ議員中ヨリ議長及副議長一人ヲ選挙スベシ
議長及副議長ノ任期ハ議員ノ任期ニ依ル
第五十六条 議長故障アルトキハ副議長之ニ代リ議長及副議長共ニ故障アルトキハ臨時ニ議員中ヨリ仮議長ヲ選挙スベシ
前項仮議長ノ選挙ニ付テハ年長ノ議員議長ノ職務ヲ代理ス年齢同ジキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第五十七条 市長及其ノ委任又ハ嘱託ヲ受ケタル者ハ会議ニ列席シテ議事ニ参与スルコトヲ得但シ議決ニ加ハルコトヲ得ズ
前項ノ列席者発言ヲ求ムルトキハ議長ハ直ニ之ヲ許スベシ但シ之ガ為議員ノ演説ヲ中止セシムルコトヲ得ズ
第五十八条 市会ハ市長之ヲ招集ス議員定数ノ三分ノ一以上ヨリ会議ニ付スベキ事件ヲ示シテ市会招集ノ請求アルトキハ市長ハ之ヲ招集スベシ
市長ハ会期ヲ定メテ市会ヲ招集スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ市長ハ更ニ期限ヲ定メ市会ノ会期ヲ延長スルコトヲ得
招集及会議ノ事件ハ開会ノ日前三日目迄ニ之ヲ告知スベシ但シ急施ヲ要スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
市会開会中急施ヲ要スル事件アルトキハ市長ハ直ニ之ヲ其ノ会議ニ付スルコトヲ得会議ニ付スル日前三日目迄ニ告知ヲ為シタル事件ニ付亦同ジ
市会ハ市長之ヲ開閉ス
第五十九条 市会ハ議員定数ノ半数以上出席スルニ非ザレバ会議ヲ開クコトヲ得ズ但シ第六十一条ノ除斥ノ為半数ニ満タザルトキ、同一ノ事件ニ付招集再回ニ至ルモ仍半数ニ満タザルトキ又ハ招集ニ応ズルモ出席議員定数ヲ欠キ議長ニ於テ出席ヲ催告シ仍半数ニ満タザルトキ若ハ半数ニ満ツルモ其ノ後半数ニ満タザルニ至リタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第六十条 市会ノ議事ハ過半数ヲ以テ決ス可否同数ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
議長ハ其ノ職務ヲ行フ場合ニ於テモ之ガ為議員トシテ議決ニ加ハルノ権ヲ失ハズ
第六十一条 議長及議員ハ自己又ハ父母、祖父母、妻、子孫、兄弟姉妹ノ一身上ニ関スル事件ニ付テハ其ノ議事ニ参与スルコトヲ得ズ但シ市会ノ同意ヲ得タルトキハ会議ニ出席シ発言スルコトヲ得
第六十二条 法律勅令ニ依リ市会ニ於テ行フ選挙ニ付テハ第二十五条、第二十七条、第三十五条及第三十七条第一項ノ規定ヲ準用ス其ノ投票ノ効力ニ関シ異議アルトキハ市会之ヲ決定ス
前項ノ選挙ニ於テ当選者ヲ定ムルニ当リ得票ノ数同ジキトキハ議長抽籤シテ之ヲ定ム
市会ハ議員中異議ナキトキハ第一項ノ選挙ニ付指名推選ノ法ヲ用フルコトヲ得
指名推選ノ法ヲ用フル場合ニ於テハ被指名者ヲ以テ当選者ト定ムベキヤ否ヲ会議ニ付シ議員全員ノ同意ヲ得タル者ヲ以テ当選者トス
一ノ選挙ヲ以テ二人以上ヲ選挙スル場合ニ於テハ被指名者ヲ区分シテ前項ノ規定ヲ適用スルコトヲ得ズ
第六十三条 市会ノ会議ハ公開ス但シ左ノ場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一 市長ヨリ傍聴禁止ノ要求ヲ受ケタルトキ
二 議長又ハ議員三人以上ノ発議ニ依リ傍聴禁止ヲ可決シタルトキ
前項議長又ハ議員ノ発議ハ討論ヲ用ヒズ其ノ可否ヲ決スベシ
第六十四条 議長ハ会議ヲ総理シ会議ノ順序ヲ定メ其ノ日ノ会議ヲ開閉シ議場ノ秩序ヲ保持ス
議員定数ノ半数以上ヨリ請求アリタルトキハ議長ハ其ノ日ノ会議ヲ開クコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ議長仍会議ヲ開カザルトキハ第五十六条ノ例ニ依ル
前項議員ノ請求ニ依リ会議ヲ開キタルトキ又ハ議員中異議アルトキハ議長ハ会議ノ議決ニ依ルニ非ザレバ其ノ日ノ会議ヲ閉ヂ又ハ中止スルコトヲ得ズ
第六十五条 市会議員ハ市会ノ議決スベキ事件ニ付市会ニ議案ヲ発スルコトヲ得但シ歳入出予算ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依ル発案ハ議員三人以上ヨリ文書ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス
第六十六条 議員ハ選挙人ノ指示又ハ委嘱ヲ受クベカラズ
議員ハ会議中無礼ノ語ヲ用ヒ又ハ他人ノ身上ニ渉リ言論スルコトヲ得ズ
第六十七条 会議中本令又ハ会議規則ニ違ヒ其ノ他議場ノ秩序ヲ紊ル議員アルトキハ議長ハ之ヲ制止シ又ハ発言ヲ取消サシメ命ニ従ハザルトキハ当日ノ会議ノ終ル迄発言ヲ禁止シ又ハ議場外ニ退去セシメ必要アル場合ニ於テハ警察官吏ノ処分ヲ求ムルコトヲ得
議場騒擾ニシテ整理シ難キトキハ議長ハ当日ノ会議ヲ中止シ又ハ之ヲ閉ヅルコトヲ得
第六十八条 傍聴人公然可否ヲ表シ又ハ喧騒ニ渉リ其ノ他会議ノ妨害ヲ為ストキハ議長ハ之ヲ制止シ命ニ従ハザルトキハ之ヲ退場セシメ必要アル場合ニ於テハ警察官吏ノ処分ヲ求ムルコトヲ得
傍聴席騒擾ナルトキハ議長ハ総テノ傍聴人ヲ退場セシメ必要アル場合ニ於テハ警察官吏ノ処分ヲ求ムルコトヲ得
第六十九条 市会ニ書記ヲ置キ議長ニ隷属シテ庶務ヲ処理セシム
書記ハ議長之ヲ任免ス
第七十条 議長ハ書記ヲシテ会議録ヲ調製シ会議ノ顛末及出席議員ノ氏名ヲ記載セシムベシ
会議録ハ議長及議員二人以上之ニ署名スルコトヲ要ス其ノ議員ハ市会ニ於テ之ヲ定ムベシ
議長ハ会議録ヲ添ヘ会議ノ結果ヲ市長ニ報告スベシ
第七十一条 市会ハ会議規則及傍聴人取締規則ヲ設クベシ
会議規則ニハ本令又ハ会議規則ニ違反シタル議員ニ対シ市会ノ議決ニ依リ五日以内出席ヲ停止スル規定ヲ設クルコトヲ得
第三章 市参事会
第一款 組織及選挙
第七十二条 市参事会ハ議長及名誉職参事会員ヲ以テ之ヲ組織ス
第七十三条 名誉職参事会員ノ定数ハ六人トス
名誉職参事会員中欠員アルトキハ直ニ補欠選挙ヲ行フベシ
名誉職参事会員ハ隔年之ヲ選挙スベシ
名誉職参事会員ハ後任者ノ就任スルニ至ル迄在任ス市会議員ノ任期満了シタルトキ亦同ジ
名誉職参事会員ハ其ノ選挙ニ関シ第九十三条ノ処分確定シ又ハ判決アル迄ハ会議ニ列席シ議事ニ参与スルノ権ヲ失ハズ
第七十四条 市参事会ハ市長ヲ以テ議長トス市長故障アルトキハ市長代理者之ヲ代理ス
第二款 職務権限
第七十五条 市参事会ノ職務権限左ノ如シ
一 市会ノ権限ニ属スル事件ニシテ其ノ委任ヲ受ケタルモノヲ議決スルコト
二 市会閉会中市会ノ権限ニ属スル事件ニシテ軽易ナルモノヲ市会ニ代リテ議決スルコト
三 市会成立セザルトキ、第五十九条但書ノ場合ニ於テ仍会議ヲ開クコト能ハザルトキ又ハ市長ニ於テ市会ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキ市会ノ権限ニ属スル事件ヲ市会ニ代リテ議決スルコト
四 其ノ他法令ニ依リ市参事会ノ権限ニ属スル事件
前項第二号ノ規定ニ依リ市参事会ニ於テ議決スベキ事件ハ市会ノ議決ヲ経テ市長之ヲ定ム
第七十六条 市参事会ハ市長之ヲ招集ス名誉職参事会員定数ノ半数以上ヨリ会議ニ付スベキ事件ヲ示シテ市参事会招集ノ請求アルトキハ市長ハ之ヲ招集スベシ
第七十七条 市参事会ノ会議ハ傍聴ヲ許サズ
第七十八条 市参事会ハ議長又ハ其ノ代理者及名誉職参事会員定数ノ半数以上出席スルニ非ザレバ会議ヲ開クコトヲ得ズ但シ第二項ノ除斥ノ為名誉職参事会員其ノ半数ニ満タザルトキ、同一ノ事件ニ付招集再回ニ至ルモ仍名誉職参事会員其ノ半数ニ満タザルトキ又ハ招集ニ応ズルモ出席名誉職参事会員定数ヲ欠キ議長ニ於テ出席ヲ催告シ仍半数ニ満タザルトキ若ハ半数ニ満ツルモ其ノ後半数ニ満タザルニ至リタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
議長及名誉職参事会員ハ自己又ハ父母、祖父母、妻、子孫、兄弟姉妹ノ一身上ニ関スル事件ニ付テハ其ノ議事ニ参与スルコトヲ得ズ但シ市参事会ノ同意ヲ得タルトキハ会議ニ出席シ発言スルコトヲ得
議長及其ノ代理者共ニ前項ノ場合ニ当ルトキハ年長ノ名誉職参事会員議長ノ職務ヲ代理ス
第七十九条 第五十三条、第五十四条、第五十七条、第五十八条第二項及第五項、第六十条、第六十二条、第六十四条乃至第六十七条、第六十九条並ニ第七十条第一項及第二項ノ規定ハ市参事会ニ之ヲ準用ス
第四章 市吏員
第一款 組織選挙及任免
第八十条 市長ハ有給吏員トス但シ市条例ヲ以テ名誉職ト為スコトヲ得
市長ノ任期ハ四年トス
市長ノ在職中ニ於テ行フ後任市長ノ選挙ハ現任市長ノ任期満了ノ日前二十日以内又ハ現任市長ノ退職ノ申立アリタル場合ニ於テ其ノ退職スベキ日前二十日以内ニ非ザレバ之ヲ行フコトヲ得ズ
市長ノ選挙ニ於テ当選者定マリタルトキハ直ニ当選者ニ当選ノ旨ヲ告知スベシ
市長ニ当選シタル者当選ノ告知ヲ受ケタルトキハ其ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以内ニ其ノ当選ニ応ズルヤ否ヲ申立ツベシ其ノ期間内ニ当選ニ応ズル旨ノ申立ヲ為サザルトキハ当選ヲ辞シタルモノト看做ス
第四十条第三項ノ規定ハ市長ニ当選シタル者ニ之ヲ準用ス
名誉職市長ハ市公民中選挙権ヲ有スル者ニ限ル
有給市長ハ其ノ退職セントスル日前三十日目迄ニ申立ツルニ非ザレバ任期中退職スルコトヲ得ズ但シ市会ノ承認ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第八十一条 市ニ助役一人ヲ置ク但シ市条例ヲ以テ其ノ定数ヲ増加スルコトヲ得
第八十二条 助役ハ有給吏員トシ其ノ任期ハ四年トス
助役ハ市長ノ推薦ニ依リ市会之ヲ定メ市長職ニ在ラザルトキハ市会ニ於テ之ヲ選挙ス
第八十条第三項乃至第六項及第八項ノ規定ハ助役ニ之ヲ準用ス
第八十三条 有給市長及助役ハ第六条第一項ノ規定ニ拘ラズ在職ノ間其ノ市ノ公民トス
第八十四条 市長及助役ハ第十三条第二項又ハ第四項ニ掲ゲタル職ト兼ヌルコトヲ得ズ又其ノ市ニ対シ請負ヲ為シ又ハ其ノ市ニ於テ費用ヲ負担スル事業ニ付市長若ハ其ノ委任ヲ受ケタル者ニ対シ請負ヲ為ス者及其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行為ヲ為ス法人ノ無限責任社員、取締役監査役若ハ之ニ準ズベキ者、清算人及支配人タルコトヲ得ズ
第八十五条 有給市長ハ樺太庁長官ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ他ノ報償アル業務ニ従事スルコトヲ得ズ
有給市長及助役ハ会社ノ取締役監査役若ハ之ニ準ズベキ者、清算人又ハ支配人其ノ他ノ事務員タルコトヲ得ズ
第八十六条 市ニ収入役一人ヲ置ク但シ市条例ヲ以テ副収入役ヲ置クコトヲ得
第八十条第三項乃至第六項、第八十二条第一項及第二項、第八十三条、第八十四条並ニ前条第二項ノ規定ハ収入役及副収入役ニ之ヲ準用ス
市長又ハ助役ト父子兄弟タル縁故アル者ハ収入役又ハ副収入役ノ職ニ在ルコトヲ得ズ収入役ト父子兄弟タル縁故アル者ハ副収入役ノ職ニ在ルコトヲ得ズ
第八十七条 市ハ処務便宜ノ為区ヲ画シ区長及其ノ代理者一人ヲ置クコトヲ得
区長及其ノ代理者ハ名誉職トス市公民中選挙権ヲ有スル者ヨリ市長ノ推薦ニ依リ市会之ヲ定ム此ノ場合ニ於テハ第八十条第三項乃至第六項ノ規定ヲ準用ス
第八十八条 市ハ臨時又ハ常設ノ委員ヲ置クコトヲ得
委員ハ名誉職トス市会議員、名誉職参事会員又ハ市公民中選挙権ヲ有スル者ヨリ市長ノ推薦ニ依リ市会之ヲ定ム但シ委員長ハ市長又ハ其ノ委任ヲ受ケタル助役ヲ以テ之ニ充ツ
第八十条第三項乃至第六項ノ規定ハ委員ニ之ヲ準用ス
委員ノ組織ニ関シテハ市条例ヲ以テ別段ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第八十九条 市公民ニ限リテ担任スベキ職務ニ在ル吏員又ハ職ニ就キタルガ為市公民タル者選挙権ヲ有セザルニ至リタルトキハ其ノ職ヲ失フ
前項ノ職務ニ在ル者ニシテ禁錮以上ノ刑ニ当ルベキ罪ノ為予審又ハ公判ニ付セラレタルトキハ監督官庁ハ其ノ職務ノ執行ヲ停止スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ停止期間報酬又ハ給料ヲ支給スルコトヲ得ズ
第九十条 前数条ニ定ムル者ノ外市ニ必要ノ有給吏員ヲ置キ市長之ヲ任免ス
前項吏員ノ定数ハ市会ノ議決ヲ経テ之ヲ定ム
第二款 職務権限
第九十一条 市長ノ担任スル事務ノ概目左ノ如シ
一 市会及市参事会ノ議決ヲ経ベキ事件ニ付其ノ議案ヲ発シ及其ノ議決ヲ執行スルコト
二 財産及営造物ヲ管理スルコト但シ特ニ之ガ管理者ヲ置キタルトキハ其ノ事務ヲ監督スルコト
三 収入支出ヲ命令シ及会計ヲ監督スルコト
四 証書及公文書類ヲ保管スルコト
五 法令又ハ市会ノ議決ニ依リ使用料、手数料、市税又ハ夫役現品ヲ賦課徴収スルコト
六 其ノ他法令ニ依リ市長ノ職権ニ属スル事項
第九十二条 市長ハ市吏員ヲ指揮監督シ之ニ対シ懲戒ヲ行フコトヲ得其ノ懲戒処分ハ譴責及十円以下ノ過怠金トス
第九十三条 市会又ハ市参事会ノ議決又ハ選挙其ノ権限ヲ超エ又ハ法令若ハ会議規則ニ背クト認ムルトキハ市長ハ其ノ意見ニ依リ又ハ監督官庁ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付シ又ハ再選挙ヲ行ハシムベシ但シ特別ノ事由アリト認ムルトキハ市長ハ議決ニ付テハ之ヲ再議ニ付セズシテ直ニ樺太庁長官ノ指揮ヲ請フコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ為シタル市会又ハ市参事会ノ議決仍其ノ権限ヲ超エ又ハ法令若ハ会議規則ニ背クト認ムルトキハ市長ハ樺太庁長官ノ指揮ヲ請フベシ
監督官庁ハ前二項ノ議決又ハ選挙ヲ取消スコトヲ得
前三項ノ規定ニ依ル樺太庁長官ノ処分又ハ前項ノ規定ニ依ル主務大臣ノ処分ニ不服アル市長、市会又ハ市参事会ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第九十四条 市会又ハ市参事会ノ議決明ニ公益ヲ害スト認ムルトキハ市長ハ其ノ意見ニ依リ又ハ監督官庁ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付スベシ但シ特別ノ事由アリト認ムルトキハ市長ハ之ヲ再議ニ付セズシテ直ニ樺太庁長官ノ指揮ヲ請フコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ為シタル市会又ハ市参事会ノ議決仍明ニ公益ヲ害スト認ムルトキハ市長ハ樺太庁長官ノ指揮ヲ請フベシ
市会又ハ市参事会ノ議決収支ニ関シ執行スルコト能ハザルモノアリト認ムルトキハ前二項ノ例ニ依ル左ニ掲グル費用ヲ削除シ又ハ減額シタル場合ニ於テ其ノ費用及之ニ伴フ収入ニ付亦同ジ
一 法令ニ依リ負担スル費用、当該官庁ノ職権ニ依リ命ズル費用其ノ他ノ市ノ義務ニ属スル費用
二 非常ノ災害ニ因ル応急又ハ復旧ノ施設ノ為ニ要スル費用、伝染病予防ノ為ニ要スル費用其ノ他ノ緊急避クベカラザル費用
前三項ノ規定ニ依ル樺太庁長官ノ処分ニ不服アル市長、市会又ハ市参事会ハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第九十五条 市会成立セザルトキ、第五十九条但書ノ場合ニ於テ仍会議ヲ開クコト能ハザルトキ又ハ市長ニ於テ市会ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキハ市長ハ市会ノ権限ニ属スル事件ヲ市参事会ノ議決ニ付スルコトヲ得
市参事会成立セザルトキ又ハ第七十八条第一項但書ノ場合ニ於テ仍会議ヲ開クコト能ハザルトキハ市長ハ樺太庁長官ノ指揮ヲ請ヒ其ノ議決スベキ事件ヲ処分スルコトヲ得
市会又ハ市参事会ニ於テ其ノ議決スベキ事件ヲ議決セザルトキハ前項ノ例ニ依ル
市会又ハ市参事会ノ決定スベキ事件ニ関シテハ前三項ノ例ニ依ル此ノ場合ニ於ケル市参事会ノ決定又ハ市長ノ処分ニ関シテハ各本条ノ規定ニ準ジ訴願又ハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
前四項ノ規定ニ依ル処置ニ付テハ次回ノ会議ニ於テ之ヲ市会又ハ市参事会ニ報告スベシ
第九十六条 市参事会ニ於テ議決又ハ決定スベキ事件ニ関シ臨時急施ヲ要スル場合ニ於テ市参事会成立セザルトキ又ハ市長ニ於テ之ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキハ市長ハ之ヲ専決シ次回ノ会議ニ於テ之ヲ市参事会ニ報告スベシ
前項ノ規定ニ依リ市長ノ為シタル処分ニ関シテハ各本条ノ規定ニ準ジ訴願又ハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第九十七条 市会及市参事会ノ権限ニ属スル事項ノ一部ハ其ノ議決ニ依リ市長ニ於テ専決処分スルコトヲ得
第九十八条 市長其ノ他市吏員ハ法律勅令ノ定ムル所ニ依リ国其ノ他公共団体ノ事務ヲ掌ル
前項ノ事務ヲ執行スル為要スル費用ハ市ノ負担トス但シ法令中別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
第九十九条 市長ハ其ノ事務ノ一部ヲ助役ニ分掌セシムルコトヲ得但シ市ノ事務ニ付テハ予メ市会ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
市長ハ市吏員ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第百条 助役ハ市長ノ事務ヲ補助ス
助役ハ市長故障アルトキ之ヲ代理ス助役数人アルトキハ予メ市長ノ定メタル順序ニ依リ之ヲ代理ス
第百一条 収入役ハ市ノ出納其ノ他ノ会計事務及第九十八条ノ事務ニ関スル国其ノ他公共団体ノ出納其ノ他ノ会計事務ヲ掌ル但シ法令中別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
副収入役ハ収入役ノ事務ヲ補助シ収入役故障アルトキ之ヲ代理ス
市長ハ収入役ノ事務ノ一部ヲ副収入役ニ分掌セシムルコトヲ得但シ市ノ出納其ノ他ノ会計事務ニ付テハ予メ市会ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
副収入役ヲ置カザル場合ニ於テハ市会ハ市長ノ推薦ニ依リ収入役故障アルトキ之ヲ代理スベキ吏員ヲ定ムベシ
第百二条 区長ハ市長ノ命ヲ承ケ市長ノ事務ニシテ区内ニ関スルモノヲ補助ス
区長代理者ハ区長ノ事務ヲ補助シ区長故障アルトキ之ヲ代理ス
第百三条 委員ハ市長ノ指揮監督ヲ承ケ財産又ハ営造物ヲ管理シ其ノ他委託ヲ受ケタル市ノ事務ヲ調査シ又ハ之ヲ処弁ス
第百四条 第九十条ノ吏員ハ市長ノ命ヲ承ケ事務ニ従事ス
第五章 給料及給与
第百五条 名誉職市長、市会議員、名誉職参事会員其ノ他ノ名誉職員ハ職務ノ為要スル費用ノ弁償ヲ受クルコトヲ得
名誉職市長、区長、区長代理者及委員ニハ費用弁償ノ外勤務ニ相当スル報酬ヲ給スルコトヲ得
費用弁償額、報酬額及其ノ支給方法ハ市条例ヲ以テ之ヲ規定スベシ
第百六条 有給市長、助役其ノ他ノ有給吏員ノ給料額、旅費額及其ノ支給方法ハ市条例ヲ以テ之ヲ規定スベシ
第百七条 有給吏員ニハ市条例ノ定ムル所ニ依リ退隠料、退職給与金、死亡給与金又ハ遺族扶助料ヲ給スルコトヲ得
第百八条 費用弁償、報酬、給料、旅費、退隠料、退職給与金、死亡給与金又ハ遺族扶助料ノ給与ニ付関係者ニ於テ異議アルトキハ之ヲ市長ニ申立ツルコトヲ得
前項ノ異議ノ申立アリタルトキハ市長ハ七日以内ニ之ヲ市参事会ノ決定ニ付スベシ市参事会ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ三月以内ニ之ヲ決定スベシ
関係者前項ノ決定ニ不服アルトキハ樺太庁長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第四項ノ規定ニ依ル樺太庁長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
市長第二項ノ決定ニ不服アルトキハ樺太庁長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ前項ノ規定ニ依ル樺太庁長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百九条 費用弁償、報酬、給料、旅費、退隠料、退職給与金、死亡給与金、遺族扶助料其ノ他ノ給与ハ市ノ負担トス
第六章 市ノ財務
第一款 財産営造物及市税
第百十条 収益ノ為ニスル市ノ財産ハ基本財産トシ之ヲ維持スベシ
市ハ特定ノ目的ノ為特別ノ基本財産ヲ設ケ又ハ金穀等ヲ積立ツルコトヲ得
第百十一条 市ハ営造物ノ使用ニ付使用料ヲ徴収スルコトヲ得
市ハ特ニ一個人ノ為ニスル事務ニ付手数料ヲ徴収スルコトヲ得
第百十二条 財産ノ売却貸与、工事ノ請負及物件労力其ノ他ノ供給ハ競争入札ニ付スベシ但シ臨時急施ヲ要スルトキ、入札ノ価額其ノ費用ニ比シテ得失相償ハザルトキ又ハ市会ノ同意ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第百十三条 市ハ其ノ公益上必要アル場合ニ於テハ寄附又ハ補助ヲ為スコトヲ得
第百十四条 市税トシテ賦課スルコトヲ得ベキモノ左ノ如シ
一 直接国税ノ附加税
二 特別税
直接国税ノ附加税ハ均一ノ税率ヲ以テ之ヲ徴収スベシ但シ第百五十条ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
特別税ノ種類及制限ハ樺太庁長官之ヲ定ム
第百十五条 三月以上市内ニ滞在スル者ハ其ノ滞在ノ初ニ遡リ市税ヲ納ムル義務ヲ負フ
第百十六条 市内ニ住所ヲ有セズ又ハ三月以上滞在スルコトナシト雖モ市内ニ於テ土地家屋物件ヲ所有シ使用シ若ハ占有シ、市内ニ営業所ヲ設ケテ営業ヲ為シ又ハ市内ニ於テ特定ノ行為ヲ為ス者ハ其ノ土地家屋物件営業若ハ其ノ収入ニ対シ又ハ其ノ行為ニ対シテ賦課スル市税ヲ納ムル義務ヲ負フ
第百十七条 合併後存続スル法人又ハ合併ニ因リ設立シタル法人ハ合併ニ因リ消滅シタル法人ニ対シ其ノ合併前ノ事実ニ付賦課セラルベキ市税ヲ納ムル義務ヲ負フ
相続人又ハ相続財団ハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ被相続人ニ対シ其ノ相続開始前ノ事実ニ付賦課セラルベキ市税ヲ納ムル義務ヲ負フ
第百十八条 納税者ノ市外ニ於テ所有シ使用シ占有スル土地家屋物件若ハ其ノ収入又ハ市外ニ於テ営業所ヲ設ケタル営業若ハ其ノ収入ニ対シテハ市税ヲ賦課スルコトヲ得ズ
市ノ内外ニ於テ営業所ヲ設ケ営業ヲ為ス者ニシテ其ノ営業又ハ収入ニ対スル本税ヲ分別シテ納メザルモノニ対シ附加税ヲ賦課スル場合、住所滞在ガ市ノ内外ニ渉ル者ノ収入ニシテ土地家屋物件又ハ営業所ヲ設ケタル営業ヨリ生ズル収入ニ非ザルモノニ対シ市税ヲ賦課スル場合、鉱区又ハ砂鉱区ガ市ノ内外ニ渉ルトキ鉱区税又ハ砂鉱区税ノ附加税ヲ賦課セントスル場合及鉱区又ハ砂鉱区ガ営業所所在地ノ市ノ内外ニ渉ルトキ鉱産税ノ附加税ヲ賦課セントスル場合ニ付テハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依ル
第百十九条 樺太所得税令第二十一条ニ掲グル所得ニ対シテハ市税ヲ賦課スルコトヲ得ズ
神社寺院祠宇仏堂ノ用ニ供スル建物及其ノ境内地並ニ教会所説教所ノ用ニ供スル建物及其ノ構内地ニ対シテハ市税ヲ賦課スルコトヲ得ズ但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者及住宅ヲ以テ教会所説教所ノ用ニ充ツル者ニ対シテハ此ノ限ニ在ラズ
国市町村其ノ他公共団体ニ於テ公用ニ供スル土地家屋物件及営造物ニ対シテハ市税ヲ賦課スルコトヲ得ズ但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者及使用収益者ニ対シテハ此ノ限ニ在ラズ
国ノ事業又ハ行為及国有ノ土地家屋物件ニ対シテハ国ニ市税ヲ賦課スルコトヲ得ズ
前四項ノ外市税ヲ賦課スルコトヲ得ザルモノハ別ニ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依ル
第百二十条 市ハ公益上其ノ他ノ事由ニ因リ課税ヲ不適当トスル場合ニ於テハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ市税ヲ賦課セザルコトヲ得
第百二十一条 数人ヲ利スル営造物ノ設置維持其ノ他ノ必要ナル費用ハ其ノ関係者ニ負担セシムルコトヲ得
市ノ一部ヲ利スル営造物ノ設置維持其ノ他ノ必要ナル費用ハ其ノ部内ニ於テ市税ヲ納ムル義務アル者ニ負担セシムルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ営造物ヨリ生ズル収入アルトキハ先ヅ其ノ収入ヲ以テ其ノ費用ニ充ツベシ
数人又ハ市ノ一部ヲ利スル財産ニ付テハ前三項ノ例ニ依ル
第百二十二条 市税ノ賦課徴収ニ関シテハ本令ニ規定アルモノノ外必要ナル事項ハ樺太庁長官之ヲ定ム
第百二十三条 数人又ハ市ノ一部ニ対シ特ニ利益アル事件ニ関シテハ市ハ不均一ノ賦課ヲ為シ又ハ数人若ハ市ノ一部ニ対シ賦課ヲ為スコトヲ得
第百二十四条 夫役又ハ現品ハ直接市税ヲ準率ト為シ且之ヲ金額ニ算出シテ賦課スベシ但シ第百五十条ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
学芸美術及手工ニ関スル労務ニ付テハ夫役ヲ賦課スルコトヲ得ズ
夫役ヲ賦課セラレタル者ハ本人自ラ之ニ当リ又ハ適当ノ代人ヲ出スコトヲ得
夫役又ハ現品ハ金銭ヲ以テ之ニ代フルコトヲ得
第一項及前項ノ規定ハ急迫ノ場合ニ賦課スル夫役ニ付テハ之ヲ適用セズ
第百二十五条 非常災害ノ為必要アルトキハ市ハ他人ノ土地ヲ一時使用シ又ハ其ノ土石竹木其ノ他ノ物品ヲ使用シ若ハ収用スルコトヲ得但シ其ノ損失ヲ補償スベシ
前項ノ場合ニ於テ危険防止ノ為必要アルトキハ市長、警察官吏又ハ監督官庁ハ市内ノ居住者ヲシテ防禦ニ従事セシムルコトヲ得
第一項但書ノ規定ニ依リ補償スベキ金額ハ協議ニ依リ之ヲ定ム協議調ハザルトキハ鑑定人ノ意見ヲ徴シ樺太庁長官之ヲ決定ス決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得
前項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ為シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交付スベシ
第一項ノ規定ニ依リ土地ノ一時使用ノ処分ヲ受ケタル者其ノ処分ニ不服アルトキハ樺太庁長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第百二十六条 市税ノ賦課ニ関シ必要アル場合ニ於テハ当該吏員ハ日出ヨリ日没迄ノ間営業者ニ関シテハ仍其ノ営業時間内家宅若ハ営業所ニ臨検シ又ハ帳簿物件ノ検査ヲ為スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ当該吏員ハ其ノ身分ヲ証明スベキ証票ヲ携帯スベシ
第百二十七条 市長ハ納税者中特別ノ事情アル者ニ対シ納税延期ヲ許スコトヲ得其ノ年度ヲ超ユル場合ハ市参事会ノ議決ヲ経ベシ
市ハ特別ノ事情アル者ニ限リ市税ヲ減免スルコトヲ得
第百二十八条 使用料、手数料及特別税ニ関スル事項ニ付テハ市条例ヲ以テ之ヲ規定スベシ
詐偽其ノ他ノ不正ノ行為ニ依リ使用料ノ徴収ヲ免レ又ハ市税ヲ逋脱シタル者ニ付テハ市条例ヲ以テ其ノ徴収ヲ免レ又ハ逋脱シタル金額ノ三倍ニ相当スル金額(其ノ金額五円未満ナルトキハ五円)以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得
前項ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手数料及市税ノ賦課徴収ニ関シテハ市条例ヲ以テ五円以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得財産又ハ営造物ノ使用ニ関シ亦同ジ
過料ノ処分ヲ受ケタル者其ノ処分ニ不服アルトキハ樺太庁長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
市長前項ノ規定ニ依ル樺太庁長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百二十九条 市税ノ賦課ヲ受ケタル者其ノ賦課ニ付違法又ハ錯誤アリト認ムルトキハ徴税令書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ三月以内ニ市長ニ異議ノ申立ヲ為スコトヲ得
財産又ハ営造物ヲ使用スル権利ニ関シ異議アル者ハ之ヲ市長ニ申立ツルコトヲ得
前二項ノ異議ノ申立アリタルトキハ市長ハ七日以内ニ之ヲ市参事会ノ決定ニ付スベシ市参事会ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ三月以内ニ之ヲ決定スベシ
前項ノ決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ樺太庁長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第六項ノ規定ニ依ル樺太庁長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項及前二項ノ規定ハ使用料及手数料ノ徴収並ニ夫役現品ノ賦課ニ関シ之ヲ準用ス
市長第三項ノ決定ニ不服アルトキハ樺太庁長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ前二項ノ規定ニ依ル樺太庁長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百三十条 市税、使用料、手数料、過料、過怠金其ノ他ノ市ノ収入ヲ定期内ニ納メザル者アルトキハ市長ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ
夫役現品ノ賦課ヲ受ケタル者定期内ニ其ノ履行ヲ為サズ又ハ夫役現品ニ代フル金銭ヲ納メザルトキハ市長ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ急迫ノ場合ニ賦課シタル夫役ニ付テハ更ニ之ヲ金額ニ算出シ期限ヲ指定シテ其ノ納付ヲ命ズベシ
前二項ノ場合ニ於テハ市条例ノ定ムル所ニ依リ手数料ヲ徴収スルコトヲ得
滞納者第一項又ハ第二項ノ督促又ハ命令ヲ受ケ其ノ指定ノ期限内ニ之ヲ完納セザルトキハ国税滞納処分ノ例ニ依リ之ヲ処分スベシ
第一項乃至第三項ノ徴収金ハ国税ニ次デ先取特権ヲ有シ其ノ追徴還付及時効ニ付テハ国税ノ例ニ依ル
前三項ノ処分ニ不服アル者ハ樺太庁長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
市長前項ノ規定ニ依ル樺太庁長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第四項ノ処分中差押物件ノ公売ハ処分ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
第二款 歳入出予算及決算
第百三十一条 市長ハ毎会計年度歳入出予算ヲ調製シ遅クトモ年度開始ノ一月前ニ市会ノ議決ヲ経ベシ
市ノ会計年度ハ政府ノ会計年度ニ依ル
予算ヲ市会ニ提出スルトキハ市長ハ併セテ事務報告書及財産表ヲ提出スベシ
第百三十二条 市長ハ市会ノ議決ヲ経テ既定予算ノ追加又ハ更正ヲ為スコトヲ得
第百三十三条 市費ヲ以テ支弁スル事件ニシテ数年ヲ期シテ其ノ費用ヲ支出スベキモノハ市会ノ議決ヲ経テ其ノ年期間各年度ノ支出額ヲ定メ継続費ト為スコトヲ得
第百三十四条 市ハ予算外ノ支出又ハ予算超過ノ支出ニ充ツル為予備費ヲ設クベシ
特別会計ニハ予備費ヲ設ケザルコトヲ得
予備費ハ市会ノ否決シタル費途ニ充ツルコトヲ得ズ
第百三十五条 予算ハ議決ヲ経タル後直ニ之ヲ樺太庁長官ニ報告シ且其ノ要領ヲ告示スベシ
第百三十六条 市ハ特別会計ヲ設クルコトヲ得
第百三十七条 市会ニ於テ予算ヲ議決シタルトキハ市長ヨリ其ノ謄本ヲ収入役ニ交付スベシ
収入役ハ市長又ハ監督官庁ノ命令アルニ非ザレバ支払ヲ為スコトヲ得ズ命令ヲ受クルモ支出ノ予算ナク且予備費支出、費目流用其ノ他財務ニ関スル規定ニ依リ支出ヲ為スコトヲ得ザルトキ亦同ジ
第百三十八条 市ノ支払金ニ関スル時効ニ付テハ政府ノ支払金ノ例ニ依ル
第百三十九条 市ノ出納ハ毎月例日ヲ定メテ之ヲ検査シ且毎会計年度少クトモ二回臨時検査ヲ為スベシ
検査ハ市長之ヲ為シ臨時検査ニハ名誉職参事会員ニ於テ互選シタル名誉職参事会員二人以上ノ立会ヲ要ス
第百四十条 市ノ出納ハ翌年度五月三十一日ヲ以テ閉鎖ス
決算ハ出納閉鎖後一月以内ニ証書類ヲ併セテ収入役ヨリ之ヲ市長ニ提出スベシ市長ハ之ヲ審査シ意見ヲ付シテ次ノ通常予算ヲ議スル会議迄ニ之ヲ市会ノ認定ニ付スベシ
決算ハ其ノ認定ニ関スル市会ノ議決ト共ニ之ヲ樺太庁長官ニ報告シ且其ノ要領ヲ告示スベシ
第百四十一条 予算調製ノ式、費目流用其ノ他財務ニ関シ必要ナル規定ハ樺太庁長官之ヲ定ム
第七章 市ノ監督
第百四十二条 市ハ第一次ニ於テ樺太庁長官、第二次ニ於テ主務大臣之ヲ監督ス
第百四十三条 本令中別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外市ノ監督ニ関スル樺太庁長官ノ処分ニ不服アル市ハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第百四十四条 本令中行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ベキ場合ニ於テハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得ズ
第百四十五条 異議ノ申立又ハ訴願ノ提起ハ処分、決定又ハ裁決アリタル日ヨリ二十一日以内ニ之ヲ為スベシ但シ本令中別ニ期間ヲ定メタルモノハ此ノ限ニ在ラズ
行政訴訟ノ提起ハ処分、決定又ハ裁決アリタル日ヨリ三十日以内ニ之ヲ為スベシ
決定書又ハ裁決書ノ交付ヲ受ケザル者ニ関シテハ前二項ノ期間ハ告示ノ日ヨリ之ヲ起算ス
異議ノ申立ニ関スル期間ノ計算ニ付テハ訴願法ノ規定ニ依ル
異議ノ申立ハ期限経過後ニ於テモ宥恕スベキ事由アリト認ムルトキハ仍之ヲ受理スルコトヲ得
異議ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ為シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ申立人ニ交付スベシ
異議ノ申立アルモ処分ノ執行ハ之ヲ停止セズ但シ行政庁ハ其ノ職権ニ依リ又ハ関係者ノ請求ニ依リ必要ト認ムルトキハ之ヲ停止スルコトヲ得
第百四十六条 監督官庁ハ市ノ監督上必要アル場合ニ於テハ事務ノ報告ヲ為サシメ、書類帳簿ヲ徴シ及実地ニ就キ事務ヲ視察シ又ハ出納ヲ検閲スルコトヲ得
監督官庁ハ市ノ監督上必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
上級監督官庁ハ下級監督官庁ノ市ノ監督ニ関シテ為シタル命令又ハ処分ヲ停止シ又ハ取消スコトヲ得
第百四十七条 主務大臣ハ市会ノ解散ヲ命ズルコトヲ得
市会解散ノ場合ニ於テハ三月以内ニ議員ヲ選挙スベシ
第百四十八条 市ニ於テ法律勅令ニ依リ負担シ又ハ当該官庁ノ職権ニ依リ命ズル費用ヲ予算ニ載セザルトキハ樺太庁長官ハ理由ヲ示シテ其ノ費用ヲ予算ニ加フルコトヲ得
市長其ノ他ノ吏員其ノ執行スベキ事件ヲ執行セザルトキハ樺太庁長官又ハ其ノ委任ヲ受ケタル官吏之ヲ執行スルコトヲ得但シ其ノ費用ハ市ノ負担トス
前二項ノ処分ニ不服アル市又ハ市長其ノ他ノ吏員ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百四十九条 市長、助役、収入役又ハ副収入役ニ故障アルトキハ監督官庁ハ臨時代理者ヲ選任シ又ハ官吏ヲ派遣シ其ノ職務ヲ管掌セシムルコトヲ得但シ官吏ヲ派遣シタル場合ニ於テハ其ノ旅費ハ市費ヲ以テ弁償セシムベシ
臨時代理者ハ有給ノ市吏員トシ其ノ給料額旅費額等ハ監督官庁之ヲ定ム
第百五十条 左ニ掲グル事件ハ樺太庁長官ノ許可ヲ受クベシ但シ軽易ナル事件ニ限リ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ許可ヲ受ケシメザルコトヲ得
一 市条例ヲ設ケ又ハ改廃スルコト
二 基本財産、特別基本財産及積立金穀等ノ処分ニ関スルコト
三 直接国税二分ノ一ヲ超過スル附加税ヲ賦課スルコト
四 均一ノ税率ニ依ラズシテ国税ノ附加税ヲ賦課スルコト
五 市債ヲ起シ並ニ起債ノ方法、利息ノ定率及償還ノ方法ヲ定メ又ハ之ヲ変更スルコト但シ年度内ノ収入ヲ以テ償還スベキ一時ノ借入金ハ此ノ限ニ在ラズ
六 第百二十一条第一項、第二項及第四項ノ規定ニ依リ数人又ハ市ノ一部ニ費用ヲ負担セシムルコト
七 第百二十三条ノ規定ニ依リ不均一ノ賦課ヲ為シ又ハ数人若ハ市ノ一部ニ対シ賦課ヲ為スコト
八 第百二十四条ノ準率ニ依ラズシテ夫役現品ヲ賦課スルコト但シ急迫ノ場合ニ賦課スル夫役ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
九 継続費ヲ定メ又ハ変更スルコト
第百五十一条 監督官庁ノ許可ヲ要スル事件ニ付テハ監督官庁ハ許可申請ノ趣旨ニ反セズト認ムル範囲内ニ於テ更正シテ許可ヲ与フルコトヲ得
第百五十二条 樺太庁長官ハ市長、助役、収入役、副収入役、区長、区長代理者、委員其ノ他ノ市吏員ニ対シ懲戒ヲ行フコトヲ得其ノ懲戒処分ハ譴責、二十五円以下ノ過怠金及解職トス但シ市長、助役、収入役及副収入役ニ対スル解職ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ懲戒審査会ノ議決ヲ経テ樺太庁長官之ヲ行フ
解職ノ処分ヲ受ケタル者其ノ処分ニ不服アルトキハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得
樺太庁長官ハ市長、助役、収入役及副収入役ノ解職ヲ行ハントスル前其ノ停職ヲ命ズルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ停職期間報酬又ハ給料ヲ支給スルコトヲ得ズ
懲戒ニ依リ解職セラレタル者ハ二年間市町村ノ公職ニ就クコトヲ得ズ
第百五十三条 市吏員ノ服務規律、賠償責任、身元保証及事務引継ニ関スル規定ハ樺太庁長官之ヲ定ム
前項ノ規定ニハ事務引継ヲ拒ミタル者ニ対シ二十五円以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得
第八章 雑則
第百五十四条 第十条ノ人口ハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依ル
第百五十五条 本令ニ於ケル直接税ノ種類ハ樺太庁長官之ヲ定ム
第百五十六条 市ノ廃置分合又ハ境界変更アリタル場合ニ於テ市ノ事務ニ付必要ナル事項ハ本令ニ規定スルモノノ外樺太庁長官之ヲ定ム
附 則
本令ハ樺太市制施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令ノ適用ニ付テハ明治十三年第三十六号布告刑法ノ重罪ノ刑ニ処セラレタル者ハ之ヲ六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者、同法ノ禁錮ノ刑ニ処セラレタル者ハ之ヲ六年未満ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ処セラレタル者ト看做ス
本令施行ノ際樺太庁長官ノ命令ニ依リ町村長ノ掌ルモノト定メラレタル国ノ事務ハ第九十八条第一項ノ規定ニ拘ラズ市ニ於テハ樺太庁長官ノ命令ノ定ムル所ニ依リ市長之ヲ掌ル
第四十九条第二号但書及第九十八条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
収入役ハ第百一条第一項ニ規定スル国ノ会計事務ノ外第三項ノ事務ニ関スル会計事務ヲ掌ル