師範教育令
法令番号: 勅令第百九號
公布年月日: 昭和18年3月8日
法令の形式: 勅令
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ師範敎育令改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年三月六日
內閣總理大臣 東條英機
文部大臣 橋田邦彦
勅令第百九號
師範敎育令
第一章 師範學校
第一條 師範學校ハ皇國ノ道ニ則リテ國民學校敎員タルベキ者ノ鍊成ヲ爲スヲ以テ目的トス
第二條 師範學校ハ官立トス
第三條 師範學校ニ男子部及女子部ヲ置ク但シ土地ノ情況ニ依リ男子部又ハ女子部ノミヲ置クコトヲ得
各部ニ本科及豫科ヲ置ク但シ土地ノ情況ニ依リ本科ノミヲ置クコトヲ得
第四條 本科ノ修業年限ハ三年トシ豫科ノ修業年限ハ二年トス
第五條 本科ニ入學スルコトヲ得ル者ハ當該學校豫科ヲ修了シタル者、中學校若ハ高等女學校ヲ卒業シタル者又ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ之ト同等以上ノ學力アリト認メラレタル者トス
豫科ニ入學スルコトヲ得ル者ハ國民學校高等科ヲ修了シタル者又ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ之ト同等以上ノ學力アリト認メラレタル者トス
第六條 師範學校ノ編制、敎科、敎授訓練、敎科用圖書、生徒ノ入學、退學、懲戒、學資ノ給與及卒業後ノ服務等ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第七條 師範學校ニ於テハ授業料ヲ徵收セズ
第八條 師範學校ニハ師範學校ヲ卒業シタル者ノ爲ニ硏究科ヲ置クコトヲ得
硏究科ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第九條 師範學校ニ附屬國民學校ヲ置ク
師範學校ニ附屬幼稚園ヲ置クコトヲ得
特別ノ事情アル場合ニ於テハ國民學校ヲ以テ附屬國民學校ニ代用スルコトヲ得
第十條 國民學校令第一條乃至第四條、第五條第一項及第三項、第六條、第七條、第十四條竝ニ第二十條ノ規定ハ附屬國民學校ニ之ヲ準用ス
幼稚園令第一條、第六條及第十三條ノ規定竝ニ國民學校令第二十條ノ規定ハ附屬幼稚園ニ之ヲ準用ス
第十一條 附屬國民學校ノ兒童ノ入學及退學、授業料等ニ關スル規程竝ニ附屬幼稚園ノ幼兒ノ入園及退園、保育料等ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第二章 高等師範學校及女子高等師範學校
第十二條 高等師範學校ハ皇國ノ道ニ則リテ中學校及高等女學校ノ敎員タルベキ者ノ鍊成ヲ爲スヲ以テ目的トス
女子高等師範學校ハ皇國ノ道ニ則リテ高等女學校ノ敎員タルベキ者ノ鍊成ヲ爲スヲ以テ目的トス
第十三條 高等師範學校及女子高等師範學校ハ官立トス
第十四條 高等師範學校及女子高等師範學校ノ修業年限ハ四年トス
第十五條 高等師範學校ニ入學スルコトヲ得ル者ハ中學校ヲ卒業シタル者又ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ之ト同等以上ノ學力アリト認メラレタル者トス
女子高等師範學校ニ入學スルコトヲ得ル者ハ高等女學校ヲ卒業シタル者又ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ之ト同等以上ノ學力アリト認メラレタル者トス
第十六條 高等師範學校及女子高等師範學校ノ學科ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第六條及第七條ノ規定ハ高等師範學校及女子高等師範學校ニ之ヲ準用ス
第十七條 高等師範學校ニハ高等師範學校ヲ卒業シタル者ノ爲ニ、女子高等師範學校ニハ女子高等師範學校ヲ卒業シタル者ノ爲ニ硏究科ヲ置クコトヲ得
硏究科ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第十八條 高等師範學校ニ附屬中學校及附屬國民學校ヲ置ク
女子高等師範學校ニ附屬高等女學校、附屬國民學校及附屬幼稚園ヲ置ク
特別ノ事情アル場合ニ於テハ公立ノ中學校ヲ以テ附屬中學校ニ、公立ノ高等女學校ヲ以テ附屬高等女學校ニ、國民學校ヲ以テ附屬國民學校ニ、公立又ハ私立ノ幼稚園ヲ以テ附屬幼稚園ニ代用スルコトヲ得
第十九條 中等學校令第一條、第二條第一項及第二項、第七條、第八條竝ニ第十一條乃至第十四條ノ規定ハ附屬中學校及附屬高等女學校ニ之ヲ準用ス
第十條及第十一條ノ規定ハ附屬國民學校及附屬幼稚園ニ之ヲ準用ス
附 則
本令ハ昭和十八年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ從前ノ規定ニ依ル師範學校ニ在學スル生徒ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ本令ニ依ル師範學校ノ生徒ト爲ルモノトス
師範學校男子部本科ノ修業年限ハ昭和十八年度及昭和十九年度ニ卒業スベキ生徒ニ付テハ六月之ヲ短縮ス
昭和二十一年度迄ニ師範學校女子部本科ニ入學シタル生徒(文部大臣ノ定ムル者ヲ除ク)ニ付テハ其ノ修業年限ハ第四條ノ規定ニ拘ラズ二年トス
師範學校女子部ニハ當分ノ內文部大臣ノ定ムル所ニ依リ師範學校女子部ヲ卒業シタル者ノ爲ニ專攻科ヲ置クコトヲ得
昭和十九年度迄ニ師範學校豫科ニ入學シタル生徒(文部大臣ノ定ムル者ヲ除ク)ニ付テハ其ノ修業年限ハ第四條ノ規定ニ拘ラズ三年トス
從前ノ規定ニ依ル師範學校ヲ卒業シタル者ハ本令ニ依ル師範學校ヲ卒業シタル者トス
本令施行ノ際現ニ存スル高等師範學校ノ修業年限二年ノ學科ハ現ニ在學スル生徒ニ付其ノ卒業スル迄之ヲ存置スルコトヲ得
本令施行ノ際現ニ高等師範學校附屬中學校又ハ女子高等師範學校附屬高等女學校ニ在學スル生徒(文部大臣ノ定ムル者ヲ除ク)ニ付テハ其ノ修業年限ハ第十九條第一項ニ於テ準用スル中等學校令第七條ノ規定ニ拘ラズ仍從前ノ例ニ依ル
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ師範教育令改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年三月六日
内閣総理大臣 東条英機
文部大臣 橋田邦彦
勅令第百九号
師範教育令
第一章 師範学校
第一条 師範学校ハ皇国ノ道ニ則リテ国民学校教員タルベキ者ノ錬成ヲ為スヲ以テ目的トス
第二条 師範学校ハ官立トス
第三条 師範学校ニ男子部及女子部ヲ置ク但シ土地ノ情況ニ依リ男子部又ハ女子部ノミヲ置クコトヲ得
各部ニ本科及予科ヲ置ク但シ土地ノ情況ニ依リ本科ノミヲ置クコトヲ得
第四条 本科ノ修業年限ハ三年トシ予科ノ修業年限ハ二年トス
第五条 本科ニ入学スルコトヲ得ル者ハ当該学校予科ヲ修了シタル者、中学校若ハ高等女学校ヲ卒業シタル者又ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ之ト同等以上ノ学力アリト認メラレタル者トス
予科ニ入学スルコトヲ得ル者ハ国民学校高等科ヲ修了シタル者又ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ之ト同等以上ノ学力アリト認メラレタル者トス
第六条 師範学校ノ編制、教科、教授訓練、教科用図書、生徒ノ入学、退学、懲戒、学資ノ給与及卒業後ノ服務等ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第七条 師範学校ニ於テハ授業料ヲ徴収セズ
第八条 師範学校ニハ師範学校ヲ卒業シタル者ノ為ニ研究科ヲ置クコトヲ得
研究科ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第九条 師範学校ニ附属国民学校ヲ置ク
師範学校ニ附属幼稚園ヲ置クコトヲ得
特別ノ事情アル場合ニ於テハ国民学校ヲ以テ附属国民学校ニ代用スルコトヲ得
第十条 国民学校令第一条乃至第四条、第五条第一項及第三項、第六条、第七条、第十四条並ニ第二十条ノ規定ハ附属国民学校ニ之ヲ準用ス
幼稚園令第一条、第六条及第十三条ノ規定並ニ国民学校令第二十条ノ規定ハ附属幼稚園ニ之ヲ準用ス
第十一条 附属国民学校ノ児童ノ入学及退学、授業料等ニ関スル規程並ニ附属幼稚園ノ幼児ノ入園及退園、保育料等ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第二章 高等師範学校及女子高等師範学校
第十二条 高等師範学校ハ皇国ノ道ニ則リテ中学校及高等女学校ノ教員タルベキ者ノ錬成ヲ為スヲ以テ目的トス
女子高等師範学校ハ皇国ノ道ニ則リテ高等女学校ノ教員タルベキ者ノ錬成ヲ為スヲ以テ目的トス
第十三条 高等師範学校及女子高等師範学校ハ官立トス
第十四条 高等師範学校及女子高等師範学校ノ修業年限ハ四年トス
第十五条 高等師範学校ニ入学スルコトヲ得ル者ハ中学校ヲ卒業シタル者又ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ之ト同等以上ノ学力アリト認メラレタル者トス
女子高等師範学校ニ入学スルコトヲ得ル者ハ高等女学校ヲ卒業シタル者又ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ之ト同等以上ノ学力アリト認メラレタル者トス
第十六条 高等師範学校及女子高等師範学校ノ学科ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第六条及第七条ノ規定ハ高等師範学校及女子高等師範学校ニ之ヲ準用ス
第十七条 高等師範学校ニハ高等師範学校ヲ卒業シタル者ノ為ニ、女子高等師範学校ニハ女子高等師範学校ヲ卒業シタル者ノ為ニ研究科ヲ置クコトヲ得
研究科ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第十八条 高等師範学校ニ附属中学校及附属国民学校ヲ置ク
女子高等師範学校ニ附属高等女学校、附属国民学校及附属幼稚園ヲ置ク
特別ノ事情アル場合ニ於テハ公立ノ中学校ヲ以テ附属中学校ニ、公立ノ高等女学校ヲ以テ附属高等女学校ニ、国民学校ヲ以テ附属国民学校ニ、公立又ハ私立ノ幼稚園ヲ以テ附属幼稚園ニ代用スルコトヲ得
第十九条 中等学校令第一条、第二条第一項及第二項、第七条、第八条並ニ第十一条乃至第十四条ノ規定ハ附属中学校及附属高等女学校ニ之ヲ準用ス
第十条及第十一条ノ規定ハ附属国民学校及附属幼稚園ニ之ヲ準用ス
附 則
本令ハ昭和十八年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ従前ノ規定ニ依ル師範学校ニ在学スル生徒ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ本令ニ依ル師範学校ノ生徒ト為ルモノトス
師範学校男子部本科ノ修業年限ハ昭和十八年度及昭和十九年度ニ卒業スベキ生徒ニ付テハ六月之ヲ短縮ス
昭和二十一年度迄ニ師範学校女子部本科ニ入学シタル生徒(文部大臣ノ定ムル者ヲ除ク)ニ付テハ其ノ修業年限ハ第四条ノ規定ニ拘ラズ二年トス
師範学校女子部ニハ当分ノ内文部大臣ノ定ムル所ニ依リ師範学校女子部ヲ卒業シタル者ノ為ニ専攻科ヲ置クコトヲ得
昭和十九年度迄ニ師範学校予科ニ入学シタル生徒(文部大臣ノ定ムル者ヲ除ク)ニ付テハ其ノ修業年限ハ第四条ノ規定ニ拘ラズ三年トス
従前ノ規定ニ依ル師範学校ヲ卒業シタル者ハ本令ニ依ル師範学校ヲ卒業シタル者トス
本令施行ノ際現ニ存スル高等師範学校ノ修業年限二年ノ学科ハ現ニ在学スル生徒ニ付其ノ卒業スル迄之ヲ存置スルコトヲ得
本令施行ノ際現ニ高等師範学校附属中学校又ハ女子高等師範学校附属高等女学校ニ在学スル生徒(文部大臣ノ定ムル者ヲ除ク)ニ付テハ其ノ修業年限ハ第十九条第一項ニ於テ準用スル中等学校令第七条ノ規定ニ拘ラズ仍従前ノ例ニ依ル